双極症における片頭痛と関連する臨床的特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/18

 

 双極症患者は、併存疾患を有していることが多く、片頭痛は最も一般的な併存疾患の1つであるといわれている。双極症における片頭痛の有病率に関する研究は増加しているが、関連する臨床的特徴、併存疾患、治療法は、いまだ十分に調査されておらず、一貫性も認められていない。フランス・ University of Clermont AuvergneのLudovic Samalin氏らは、成人双極症患者の大規模コホートを用いて、片頭痛に関連する臨床的特徴および併存疾患について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2025年6月15日号の報告。

 対象は、FondaMental Advanced Centers of Expertiseに通院している双極症外来患者4,348例。社会人口統計学的および臨床的データは、標準化された手法を用いて収集した。片頭痛を含む医学的併存疾患の生涯診断は、自己報告、臨床医評価、病歴レビューに基づき行った。片頭痛と社会人口統計学的要因、臨床的特徴、併存疾患、薬剤との関連性を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・双極症患者における片頭痛の有病率は20%であり、双極症II型で29.1%、双極症I型で19.9%であった。
・多変量解析により、片頭痛と関連している因子として、以下が特定された。
【若年】オッズ比(OR):0.98、95%信頼区間(CI):0.97〜0.99
【女性】OR:2.15、95%CI:1.56〜2.95
【睡眠障害】OR:1.06、95%CI:1.02〜1.11
【小児期のトラウマ】OR:1.01、95%CI:1.00〜1.02
【高血圧】OR:1.88、95%CI:1.13〜3.15
【乾癬】OR:1.61、95%CI:1.01〜2.56
【喘息】OR:1.65、95%CI:1.02〜2.67
【第2世代抗精神病薬使用率の低さ】OR:0.65、95%CI:0.48〜0.87

 著者らは「片頭痛は双極症で頻繁にみられる併存疾患であり、とくに若年、女性、睡眠障害やトラウマ歴を有する患者では、臨床的負担が増大する。双極症患者の片頭痛を軽減するためにも、気分の安定、睡眠マネジメント、トラウマサポートなど統合的な治療アプローチが必要とされることが明らかとなった」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)