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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全5問消化管領域で最も出題される可能性が高いのは、(1)相次ぐ新薬の上市、(2)胃がんガイドライン改訂に向けた動き、(3)消化器がんの化学療法、である。治療の進歩が著しい炎症性腸疾患、2016年にRome IV基準が発表された過敏性腸症候群と機能性胃腸症については、必ず押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)上部消化管疾患に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)食道粘膜傷害の内視鏡的重症度と自覚症状の間には相関を認める(b)食道アカラシアは高い非同期性収縮を認めることが多い(c)食道静脈瘤出血時にバソプレシン、テルリプレシン、オクトレオチドは有効であるが、ソマトスタチンは無効である(d)好酸球性胃腸炎の診断基準の1つに、「腹水が存在し腹水中に多数の好酸球が存在している」がある(e)ボノプラザンは、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療には保険適用となっていない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全5問肝臓の領域では、B型肝炎をはじめ、体質性黄疸、肝膿瘍、自己免疫性肝炎などのマイナー疾患からの出題も予想される。膵臓では嚢胞腫瘍、自己免疫性膵炎、膵がんの化学療法などがポイントとなる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)HBV感染に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)B型慢性肝炎の治療対象は、HBe抗原の陽性・陰性にかかわらずALT 31U/L以上かつHBV DNA 2,000IU/mL以上である(b)本邦におけるB型肝硬変は、代償性/非代償性肝硬変にかかわらずIFN治療が第1選択となる(c)HBV持続感染者に対する抗ウイルス療法の長期目標は、ALT持続正常化・HBe抗原陰性かつHBe抗体陽性・HBV DNA増加抑制の3項目である(d)テノホビルの長期投与では、腎機能障害・高リン血症・骨密度低下に注意する必要があり、定期的に腎機能と血清リンの測定を行うことが推奨される(e)テノホビルアラフェミナド(TAF)はテノホビル(TFV)の新規プロドラッグであり、テノホビルジソプロキシル(TDF)に比べ少ない用量で同等の高い抗ウイルス効果を示すが、TDFと比較して腎機能障害および骨密度低下を来しやすいと報告されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域は、認定内科医試験では出題比率が低いものの、総合内科専門医試験では高い傾向がある。本試験の対策としては、個々の薬剤名とその適応をしっかり覚えることがポイントとなる。頻出テーマは、鉄過剰症、悪性リンパ腫の治療前感染症スクリーニング、特発性血小板減少性紫斑病など。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)貧血に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鉄欠乏性貧血では、生体内鉄制御を担う血中ヘプシジン増加を認めることが報告されている(b)鉄欠乏性貧血の原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与している可能性が指摘されている(c)鉄欠乏性貧血の診断基準は(1)ヘモグロビン12g/dL未満(2)血清鉄30µg/dL未満(3)血清フェリチン12ng/mL未満である(d)温式自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA)は、全例直接クームス試験陽性である(e)特発性温式AIHAの治療は、副腎皮質ステロイドを第1選択とするが、ステロイド無効の場合にはリツキシマブ(ヒト化抗CD20モノクローナル抗体)が保険適用となっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 神経】 全5問神経領域では、総合内科専門医試験特有のテーマとして、抗NMDA受容体抗体脳炎、多発性硬化症と神経脊髄炎との違い、筋強直性ジストロフィーがある。この3つのテーマは、毎年複数題出題されているので、確実に押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)末梢神経障害に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)膝蓋腱反射とアキレス腱反射の反射中枢は同じである(b)起床時に手首に力が入らず、垂れてしまう。これは睡眠中の尺骨神経麻痺が原因である(c)フローマンサイン陽性は、橈骨神経麻痺の診断に有用である(d)手根管症候群の診断に有用な所見として、ファレンテスト陽性・ティネル様サイン陽性がある(e)足を組んで寝ていたら、翌朝足首(足関節)と足の指(趾)が背屈できなくなり受診。診察所見で下垂足(drop foot)を認める。脛骨神経麻痺が原因である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 循環器】 全7問循環器領域では、心筋梗塞、心不全治療に加えて、心アミロイドーシス、心サルコイドーシス、大動脈炎症候群が、本試験における特徴的なテーマといえる。また、新しいデバイスが登場すると出題される傾向がある。今年要注意なのは、リードレスペースメーカー、最近適応拡大されたループレコーダーなど。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)心不全について正しいものはどれか?1つ選べ(a)NYHA分類I度は「軽度の身体活動の制限があるが、安静時には無症状」の状態である(b)NYHA分類II度はAHA/ACC心不全ステージBに相当する(c)クリニカルシナリオ(CS)は急性心不全患者の入院早期管理に用いられる指標で、CS4は右心不全、CS5は急性冠症候群に分類されている(d)NT-proBNP(N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心筋細胞内のproBNPがBNPに分解される際に産生され、心不全診断の基準値はBNPと同じ値である(e)日本循環器学会/日本心不全学会のステートメント(心不全症例におけるASV適正使用に関するステートメント第2報)に、中枢型有意の睡眠時無呼吸を伴い、安定状態にある左室収縮機能低下に基づく心不全患者に対しては、ASVの導入・継続は禁忌ではないが、慎重を期する必要があると記載されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全3問総合内科/救急の領域で確実に出題されるのは「意識レベル」。JCSとGCSについては、どちらも確実に解答できるようにしておきたい。また、JMECCに関する問題と脳死判定基準も出題のヤマとなると思われる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)救急・脳死に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)覚醒しているが、見当識障害を認めればJapan Coma Scale(JCS)は3とする(b)「痛み刺激で開眼・不適当な発語・指示には従えないが痛み刺激から逃避する」でGlasgow Coma Scale(GCS)は8点となる(c)病歴聴取で使用されるSAMPLE historyの「M」は「Meal(最終食事時間)」である(d)脳死判定基準の除外基準では、深昏睡および自発呼吸の消失が「低体温によるもの」「代謝/内分泌障害によるもの」とともに「急性薬物中毒によるもの」が含まれている(e)脳死判定基準の1つに「前庭反射の消失」があり、聴性脳幹誘発反応にて確認することとなっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第7回~第12回の解答】第7回:(d)、第8回:(a)、第9回:(b)、第10回:(d)、第11回:(e)、第12回:(d)【第1回】~【第6回】は こちら

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第12回 糖尿病合併症対策のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第12回】糖尿病合併症対策のキホン―眼科、腎機能、神経障害などの非専門領域の検査は、どのくらいの頻度でどこまで行うべきでしょうか。また専門医を紹介すべきタイミングと連携のコツを教えてください。 糖尿病網膜症の発症・進展抑制、早期治療のために、眼科医との連携は重要です。初診時に、眼科に行ったことがあるかを確認し、行ったことがなければ、眼科医に紹介します。1度眼科を受診すると、眼科医のほうでその後の定期検診を指示してくれますが、こちらでも、定期的に眼科を受診するように指導します。とくに問題がなければ半年に1回、網膜症がある場合は、重症度に応じた受診間隔でよいでしょう。「糖尿病治療ガイド2016-2017」(日本糖尿病学会編・著)では、眼科医への定期的診察の目安として、病期ごとに「正常(網膜症なし):1回/6~12ヵ月」「単純網膜症:1回/3~6ヵ月」「増殖前網膜症:1回/1~2ヵ月」「増殖網膜症:1回/2週間~1ヵ月」としています1)。 糖尿病腎症は、慢性透析療法の原疾患の第1位で2)、透析療法を受けている糖尿病患者さんの生命予後は非糖尿病の透析患者さんよりも不良で、心血管疾患や感染症リスクも高く重症化しやすいため3)、腎症についても、早期発見、進展抑制が求められます。腎症は、糸球体濾過量(GFR、推算糸球体濾過量:eGFRで代用)と尿中アルブミン排泄量あるいは尿蛋白排泄量によって評価できます。eGFRは、血清クレアチニン(Cr)を用いて「eGFR(mL/分/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287(女性の場合は、この値に×0.739)」で換算できるので、受診時に一般的な腎機能検査として、尿蛋白排泄量およびCr、BUNの検査は必ず行います。また、尿中アルブミン量を3~6ヵ月に一度測定し、アルブミン/クレアチニン比(ACR:Albumin Creatinine Ratio)を算出することで、尿蛋白が出現する前に腎臓の変化を発見することができます。網膜症のない場合、正常アルブミン尿であっても、eGFR<60mL/分/1.73m2の場合は、他の腎臓病との鑑別のために、また遅くとも尿中アルブミン排泄量が300mg/gクレアチニンを超えたら、専門医に紹介し、以降、定期的に腎臓専門医を受診してもらうようにします。 一般的には、糖尿病の三大合併症は神経障害→網膜症→腎症の順に進行し、神経障害は最も早く現れます。神経障害は、血糖コントロールの悪化とともに起こることが多いですが、糖尿病と診断される前、境界型の段階から存在するため、しばしば糖尿病診断の糸口になることもあります。神経障害の症状は非常に多岐にわたるため、糖尿病以外の原因による神経障害との鑑別が重要になります。足の末梢神経障害について、症状が著しく左右非対称であったり、筋萎縮や運動神経障害が強い場合は、神経内科に紹介します。 外来で注意したい糖尿病の合併症の1つに、指や爪の白癬症(水虫)や変形、胼胝(べんち、たこ)、足潰瘍・足壊疽などの「足病変」があります。神経障害および血流障害、易感染性が足潰瘍・足壊疽の主な原因になりますが、それ以外に、網膜症による視力低下で、身の回りを清潔にすることがおろそかになる、足にできた傷に気付かない、足に合わない靴を履いているなどが間接的な原因になり、足病変を悪化させることがあります。足潰瘍はひどくなると足壊疽になり、切断に至ることもあるため、まず予防をきちんとすること、できてしまった場合は、できるだけ早期に診断し対処します。予防のためには、患者さんに、毎日足を観察して異常があれば連絡するように伝えます。また、医療従事者側でも、診察の際に足を診察し、早期診断に努めるようにします。―糖尿病性神経障害の基本的な診断法と治療法について教えてください。 神経障害には、広範囲に左右対称性にみられる「多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)」と「単神経障害」があり、多くみられるのは多発神経障害です。 両足の感覚障害(両足のしびれや疼痛、また、足の裏に薄紙が貼りついたような感覚や砂利の上を歩いているような感覚になる知覚異常など)や穿刺痛、電撃痛、灼熱痛といった自発痛(ジンジン、ビリビリ、チリチリなど)、触覚・温痛覚の低下・欠如といった自覚症状、両側アキレス腱反射、両足の振動覚および触覚のうち、複数の異常があれば、多発神経障害の可能性があります。自覚症状については、かなりひどくならないと患者さんから訴えてくることはないため、注意が必要です。 多発神経障害の予防・治療のために、まずは良好な血糖コントロールを維持することが重要です。ただし、長期間の血糖不良例では、急激な血糖低下により、神経障害が悪化する可能性があります(治療後神経障害)。神経障害の自覚症状を改善する薬剤として、アルドース還元酵素阻害薬「エパルレスタット(商品名:キネダック)」があり、神経機能の悪化の抑制が報告されています4)。また、自発痛に対しては、Ca2+チャネルのα2δリガンド「プレガバリン(商品名:リリカ)」やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)「デュロキセチン(商品名:サインバルタ)」、抗不整脈薬「メキシレチン(商品名:メキシチール)」、抗けいれん薬「カルバマゼピン(商品名:テグレトール)」、三環系抗うつ薬などが単独、もしくは併用で使用できます。―高齢者ではどこまで合併症対策をすべきでしょうか? 高齢であっても、高血糖は糖尿病合併症の危険因子になるため、非高齢者同様、合併症の発症・進展を見据えた血糖コントロールは重要です。 しかし、高齢者の合併症は、非高齢者とは異なる特徴があります。高齢者でとくに問題になるのは認知機能の低下で、高齢患者さんでは、高血糖による認知症の発症リスクが高くなることが報告されています5,6)。また、高齢者では、高血糖によるうつ症状の発症・再発が多くなることも報告されています7)。そのほか、歯周病が増悪しやすいこと、急性合併症のうち、糖尿病ケトアシドーシスは若年者が多いのに対し、高齢者では高血糖高浸透圧症候群が多いなど1)、高齢者と非高齢者では留意すべき合併症が異なることを念頭に置く必要があります。 また、高齢者の合併症対策を考えるうえで、最も大切なのは血糖コントロールの考え方です。高齢者では、身体機能や認知機能、生理機能の低下や多くの併発症の可能性があり、個人差が非常に大きいことから、非高齢者とは異なる観点で、個別化した血糖コントロール目標および治療を検討することが求められます。高齢糖尿病は、若・壮年に発症し高齢化した患者さんと、高齢になって発症した患者さんで分けて考えます。とくに、高齢発症の糖尿病患者さんでは、生活スタイルや家族構成、身体的・精神的機能を考慮した治療戦略、さらには合併症対策を立てたほうがよいでしょう。また、高齢者では、年齢によっては余命を考慮し、できるだけQOLを損なうことなく、望ましい治療を選択することも重要です。 高齢者については、「糖尿病治療ガイド2016-2017」で初めて「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」が掲げられました(詳細は、第1回 食事療法・運動療法のキホン-高齢者にも、厳密な食事管理・運動を行ってもらうべきでしょうか。をご参照ください)1)。1)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2016-2017. 文光堂;2016.2)一般社団法人 日本透析医学会 統計調査委員会. 図説 わが国の慢性透析療法の現況. 2015年12月31日現在.3)羽田 勝計、門脇 孝、荒木 栄一編. 糖尿病最新の治療2016-2018. 南江堂;2016.4)Hotta N, et al. Diabet Med. 2012;29:1529-1533.5)Yaffe K, et al. Arch Neurol. 2012;69:1170-1175.6)Crane PK, et al. N Engl J Med. 2013;369:540-548.7)Maraldi C, et al. Arch Intern Med. 2007;167:1137-1144.

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認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

 東京慈恵会医科大学の永田 智行氏らは、精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症に対する、非定型抗精神病薬の8週間の治療継続および治療反応を、CATIE-AD(Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness-Alzheimer's Disease)データを用いて調査した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2017年8月9日号の報告。 治療介入が必要な精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症外来患者421例の臨床データを利用した。ベースラインの社会人口統計学的および臨床的特徴が、治療継続および治療反応に及ぼす影響を、ロジスティック回帰分析を用いて調査した。臨床的特徴は、CGI-C(臨床全般印象度の変化)、NPI(Neuropsychiatric Inventory)、BPRS(簡易精神症状評価尺度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療継続率は、48.7%であった。・欠測を直前の値で補完する LOCF法(last observation carried forward method)による治療反応率は、CGI-C 42.7%、NPI 48.6%、BPRS 37.5%であった。・白人患者331例における治療継続については、有意な予測因子が認められなかった。・より良好な治療反応の予測因子は、低MMSE(ミニメンタルステート検査)スコア、リスペリドン治療(オランザピン、クエチアピンと比較して)、糖尿病歴、より健康的な身体状態、より重度な初期精神病症状であった。■関連記事認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか

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視力低下が認知機能の低下に関連か

 視力障害と認知機能低下は高齢者によくみられるが、両者の関係はよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のStephanie P. Chen氏らは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)および国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを解析し、遠見視力障害と主観的視力障害は、認知機能低下と関連していることを示した。著者は今回の結果について、「自己申告の視力を用いている米国のメディケア受益者集団で確認されており、視力障害を有する患者を確認することの重要性を強調するものである。視力と認知機能との間の長期的な相互作用についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。 研究グループは、米国の高齢者における自己申告の視力障害と認知機能との関連を評価する目的で、1999~2002年のNHANESならびに2011~15年のNHATSの2つのデータを解析した。NHANESは一般人の非入院集団、NHATSは米国本土におけるメディケア受益者が含まれる。 視力は、NHANESでは近見および遠見視力測定と、自己申告の視力が用いられ、NHATSでは自己申告に基づいた。 認知機能は、NHANESではDigit Symbol Substitution Test(DSST)が用いられ、DSSTスコア28以下(下位1/4)を認知機能障害とした。また。NHATSでは、NHATSプロトコールによる分類が用いられた(probableおよびpossible認知症)。 主な結果は以下のとおり。・回答が得られた調査参加者で解析対象となったのは、NHANES集団ではDSSTを完遂した60歳以上の2,975例、NHATS集団では認知症を評価し得た65歳以上の3万202例であった。・参加者背景は、NHANES集団が年齢(平均±SD)72±8歳、女性52%(1,527例)、非ヒスパニック系白人61%(1,818例)、NHATS集団は75~84歳が最も多く(40%、1万2,212例)、58%は女性(1万7,659例)、69%は非ヒスパニック系白人(2万842例)であった。・NHANES集団において、DSSTスコア低値は遠見視力障害(β=-5.1[95%信頼区間[CI]:-8.6~-1.6]、オッズ比[OR]:2.8[95%CI:1.1~6.7])と主観的視力障害(β=-5.3[95%CI:-8.0~-2.6]、OR:2.7[95%CI:1.6~4.8])のいずれとも関連しており、共変量を完全に調整後も認知機能障害のオッズ比が高かった。・一方、近見視力障害は、認知機能障害のオッズ比上昇はなかったが、DSSTスコア低値と関連していた。・NHATS集団では、すべての視力の指標は、共変量を完全に調整後も認知症と関連しており(遠見視力障害のOR:1.9[95%CI:1.6~2.2]、近見視力障害のOR:2.6[95%CI:2.2~3.1]、遠見または近見視力障害のいずれかのOR:2.1[95%CI:1.8~2.4])、NHANES集団での結果が裏付けられた。

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自宅に退院する急性脳卒中患者を予測する5つの因子

 急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろうと著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。 本研究は、2011年1月1日~2015年12月31日にわが国の脳卒中センターに入院した急性脳卒中患者3,200例の電子カルテをレビューした、後ろ向きコホート研究である。アウトカムの変数は発症後早期の脳卒中患者の退院先で、予測変数はロジスティック回帰分析により特定した。データは、このモデルを開発するための学習データ(n=2,240)およびモデルの予測能を評価するための試験データ(n=960)に分けた。 主な結果は以下のとおり。・全部で1,548人(48%)の患者が自宅に退院した。・複数のロジスティック回帰分析では、生活習慣、脳卒中のタイプ、入院時の機能的自立度評価運動スコア、入院時の機能自立度評価認知スコア、麻痺の5つの予測変数が特定された。・本評価モデルは、カットオフポイント10としたとき、感度85.0%、特異度75.3%を示し、曲線下面積は0.88(95%信頼区間:0.86~0.89)であった。・予測能の評価においては、感度88.0%、特異度68.7%で、曲線下面積は0.87(95%信頼区間:0.85~0.89)であった。

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睡眠不足だと認知症になりやすいのか

 米国・ミネソタ大学のPamela L. Lutsey氏らは、中年後期の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)や短時間、長時間睡眠が認知症リスクと関連しているかを、15年以上のフォローアップ期間で検討した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年7月21日号の報告。 Atherosclerosis Risk in Communities研究に参加した1,667例を対象に、在宅終夜睡眠ポリグラフィー検査(1996~98年)を実施し、認知症発症のフォローアップを行った。認知症は、入院診断コード(1996~2012年)および包括的な神経認知検査(2011~13年)により定義した。 主な結果は以下のとおり。・OSAおよび睡眠時間は、認知症発症のリスクとの関連が認められなかった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、重度のOSA(無呼吸低呼吸指数:30回以上/時間 vs. 5回未満/時間)は、すべての認知症リスク(RR:2.35、95%CI:1.06~5.18)およびアルツハイマー型認知症リスク(RR:1.66、95%CI:1.03~2.68)の高さと関連が認められたが、心血管のリスク因子の調整によりその関連性は弱まった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、7時間未満の睡眠は、8~9時間の睡眠と比較し、すべての認知症リスクの高さと関連していた(RR:2.00、95%CI:1.03~3.86)。■関連記事「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも不眠症になりやすい食事の傾向就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大

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早産児の神経発達遅延リスクは改善したか/BMJ

 在胎期間22~34週の早産児の2歳時の神経発達アウトカムは過去20年で、重度または中等度の運動/感覚器障害のない生存が有意に増大していたが、発達遅延のリスクは高いままであることが、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のVeronique Pierrat氏らによる、同国の早産児に関する住民コホート研究「EPIPAGE(1997年)」「EPIPAGE-2(2011年)」の結果、報告された。世界的に早産児の生存は増加しており、重度の新生児罹患率は低下している。しかし、最近の2000年代に生まれた早産児のアウトカムに関する研究は、超早産児に焦点が集まっており、在胎期間がある程度ある早産児についての報告はまれだという。BMJ誌2017年8月16日号掲載の報告。在胎期間22~34週の早産児の2歳時のアウトカムを検討 研究グループは、2011年に生まれた在胎期間22~26週、27~31週、32~34週の各早産児について、2歳時の神経発達アウトカムを検討し、さらに1997年のデータと比較した。 2011年に在胎期間22~34週で生まれた新生児は5,567例。そのうち2歳時に生存していた4,199例がフォローアップに包含された。アウトカムの比較は、両研究に参加する国内9地域における、1997年3,334例、2011年2,418例の新生児について報告された。 生存児について以下の評価を行った。1)脳性麻痺(2000 European consensusで定義)、2)神経発達の程度:保護者によるASQ(Ages and Stages Questionnaire)の評価で神経発達に関するスコアが閾値以下(5領域のうち少なくとも1つ以上)。データは、修正月齢22~26ヵ月、脳性麻痺・失明・聴覚障害のない児に行われたものを解析に含んだ。3)重度または中等度の運動/感覚器障害(脳性麻痺のレベルはGross Motor Function Classification Systemで2~5、片側性または両側性の失明もしくは聴覚障害)のない生存。 結果は、95%信頼区間(CI)とともに、アウトカム評価の割合で示した。1997年と2011年で重度障害児の割合は減少したが発達遅延のリスクは高いまま 5,170例の早産生存児において、2歳時の生存率は、在胎期間22~26週群が51.7%(95%CI:48.6~54.7)、27~31週群が93.1%(同:92.1~94.0)、32~34週群が98.6%(同:97.8~99.2)であった。22~23週群では、生存例は1例のみであった。 脳性麻痺に関するデータは、3,599例で得られた(適格集団の81.0%)。脳性麻痺児の割合は、22~26週群6.9%(95%CI:4.7~9.6)、27~31週群4.3%(同:3.5~5.2)、32~34週群1.0%(同:0.5~1.9)であった。 ASQデータは、2,506例について得られた(適格集団の56.4%)。スコア閾値以下の児の割合は、22~26週群50.2%(95%CI:44.5~55.8)、27~31週群40.7%(同:38.3~43.2)、32~34週群36.2%(同:32.4~40.1)であった。 重度または中等度の運動/感覚器障害のない生存児の割合は、1997年と比べて2011年は増加していた。しかし、在胎期間が25~26週群では45.5%(95%CI:39.2~51.8)から62.3%(同:57.1~67.5)へ増加していたが、22~24週群では変化が観察されなかった。また、32~34週群では、統計的に有意な増加はみられなかったが(p=0.61)、脳性麻痺の生存児の割合は有意に減少していた(p=0.01)。

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アメフト選手の約9割に慢性外傷性脳症(CTE)(中川原譲二氏)-722

 アメリカンフットボール(アメフト)選手は、長期的な神経学的傷病、とくに慢性外傷性脳症(CTE)が増大するリスクに曝されている。そこで、本研究はCTEを有する元アメフト選手の神経病理学的所見と臨床像を明らかにすることを目的として行われた。対象は、研究のために脳検体が提供された202例の死亡した元アメフト選手である。神経病理学的評価とともに、選手時代のことを知る情報提供者に研究目的を知らせずに、電話による頭部外傷歴を含む臨床評価(後ろ向き)を行った。また、オンラインアンケートで競技歴および軍歴を確認した。さまざまなレベルの選手がアメフトに参加していた。202例の脳検体の神経病理診断と臨床像を調査 CTEを含む神経変性疾患の神経病理学的診断は、規定の診断基準、すなわちCTEの神経病理学的重症度(ステージI~IV、もしくは軽度[ステージI/II]または重度[ステージIII/IV]の二分)に基づいて行われ、臨床評価として、情報提供者から得られた競技歴、2014年以降の死亡例については、生前の行動障害、心的障害、認知障害、および認知症などを調べた。202例の死亡時年齢の中央値は66歳(四分位範囲:47~76)だった。選手のレベル別の内訳は、高校入学前2例、高校14例、大学53例、セミプロ14例、カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)8例、NFL 111例であった。重度CTEは、元大学・セミプロ選手で56%、元プロ選手は86% CTEは177例(87%)で神経病理学的に診断され、死亡時年齢中央値は67歳(四分位範囲:52~77)、平均選手歴年は15.1年(SD 5.2)だった。CTEは高校入学前選手では認められなかったが(0/2例)、高校選手では21%(3/14例)、大学選手では91%(48/53例)、セミプロ選手では64%(9/14例)、CFL選手では88%(7/8例)、NFL選手では99%(110/177例)で認められた。 CTEの神経病理学的重症度は、レベルの最も高い選手の側に分布し、元高校選手では3人に軽度の病理変化がみられたのに対して、元大学選手の56%(27例)、元セミプロ選手の56%(5例)、元プロ選手の86%(101例)の多数例に重度の病理変化が認められた。 また、軽度CTEと判定された27例では、26例(96%)に行動障害、心的障害のいずれかまたは両方が認められ、23例(85%)に認知障害、9例(33%)に認知症の兆候が認められた。一方、重度CTEと判定された84例では、75例(89%)に行動障害、心的障害のいずれかまたは両方が認められ、80例(95%)に認知障害、71例(85%)に認知症の兆候が認められた。 以上から、脳検体が提供された元アメフト選手の適切なサンプルにおいて、高頻度にCTEの神経病理学的所見が認められたことは、CTEが生前のアメフトへの参加に関連していることを示唆する。スポーツが原因となるCTEに対しては、社会の認知と患者の救済が課題 米国社会において、アメフトは不動の一番人気スポーツであり、プロのアメフト選手は社会の英雄である。その競技人口は900万人にも及ぶとされ、小児期から大学時代まで多くの選手がプロを目指す。このような米国社会において、本研究のインパクトは計り知れないものがあり、著者らの結論は抑制的な表現となっている。慢性外傷性脳症と引き換えに多額の報酬を得る者は一握りのプロ選手であり、多くの一般選手は、自らのグローリーデイと引き換えに慢性外傷性脳症を受容しなければならない。本研究は、華やかなスポーツの持つ過酷な側面を映し出しており、スポーツが原因となるCTEに対しては、社会の認知と患者の救済が課題となる。

2049.

エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。タッチスクリーン式の認知機能検査CANTABを用い認知機能を評価 研究グループは、FOURIER試験の患者を対象に、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い前向きに認知機能を評価した(ベースライン時、24週時、年1回、試験終了時に実施)。 主要評価項目は、実行機能の空間認識作業記憶スコア(範囲:4~28点、スコアが低いほど戦略と計画をより効率的に利用していることを示す)、副次評価項目は作業記憶スコア(範囲:0~279点、スコアが低いほど誤りが少ない)、エピソード記憶スコア(範囲:0~70点、スコアが低いほど誤りが少ない)、および精神運動速度(範囲:100~5100msec、速いほど成績良好)である。解析は、エボロクマブ群とプラセボ群で、空間認識作業記憶スコアのベースラインからの平均変化量を比較し、非劣性マージンをプラセボ群のスコアの標準偏差の20%に設定した。全認知機能評価項目、エボロクマブ併用群とプラセボ併用群で有意差なし 合計1,204例を中央値19ヵ月間追跡した結果、主要評価項目である空間認識作業記憶スコア素点のベースラインからの変化量(平均±SD)は、エボロクマブ群-0.21±2.62、プラセボ群-0.29±2.81であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.85)。 副次評価項目である作業記憶スコア(変化量:エボロクマブ群-0.52、プラセボ群-0.93)、エピソード記憶スコア(変化量:それぞれ-1.53、-1.53)、精神運動速度(変化量:それぞれ5.2msec、0.9msec)は、両群間に有意差はなかった。また、探索的解析の結果、LDL-C値と認知機能の変化との間に関連は認められなかった。 著者は、認知症あるいは軽度認知障害患者が除外されていることや追跡期間が短いことなどを研究の限界として挙げている。なお現在、EBBUNGHAUS試験に参加した患者を対象としたCANTAB評価を含むFOURIER試験の5年間継続投与試験が進行中だという。

2050.

ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

 ニーマンピック病C1型の患者に対し、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を髄腔内投与は、病状進行を遅らせる可能性があるようだ。またその安全性については、中間~高周波の聴力損失が認められたほかは、重篤な有害事象は認められなかった。米国・ワシントン大学のDaniel S. Ory氏らが行った、第I-IIa相の非盲検用量漸増試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月10日号で発表した。ニーマンピック病C1型は進行性の神経変性によって特徴づけられるライソゾーム病に含まれる先天性代謝異常症の一種。HPβCDはマウスとネコモデルを用いた前臨床試験で、小脳のプルキンエ細胞消失を顕著に遅らせ、神経症状の進行を遅らせて寿命を延伸させたことが示されていた。ニーマンピック病C1型患者14例をHPβCDの開始投与量で分類 研究グループは2013年9月21日~2015年1月19日に米国国立衛生研究所(NIH)から登録・適格基準を満たした、ニーマンピック病C1型で神経症状のある患者14例を対象に試験を行った。 被検者は、HPβCDの開始投与量が50mg/月(3例)、200mg/月(3例)、300mg/月(3例)、400mg/月(3例)、900mg/月(2例)の髄腔内投与を受ける群に非無作為に順次分類された。 HPβCD治療開始1年間で、2例がgrade 1毒性のため1回の投与(2ヵ月目)を中断したものの、被験者14例全員について、12ヵ月時点の評価を行った。12~18ヵ月では、1例が原発性肝細胞がんのため17ヵ月で投与を中止。また1例が、ケア提供者の苦痛から、2回の投与(14、15ヵ月目)について中断した。さらに1例が乳様突起炎で1回の投与(18ヵ月目)を中止した。18ヵ月時点での評価は11例について行った。 また、2013年12月~2014年6月にラッシュ大学医療センターでニーマンピック病C1型患者3例の被験者を登録して、2週ごとHPβCD投与について評価する検討を行った。被験者を非無作為に2群に分け、一方にはHPβCDの開始投与量を200mg/隔週(2例)で、もう一方には同400mg/隔週(1例)で髄腔内投与を行い、18ヵ月後に評価を行った(中断例なし)。 コレステロール値の変化の指標として、神経細胞コレステロール恒常性の指標である血漿24(S)-ヒドロコレステロール(24(S)-HC)値を測定した。症状の進行については、ニーマンピック病神経重症度スコア(NNSS)を用いて、同年代のHPβCD非投与のニーマンピック病C1型患者21例(対照群)と比較した。ニーマンピック病神経重症度スコアによる臨床症状の進行がHPβCD投与で遅延 血漿24(S)-HC値のROC曲線下面積は、HPβCDを900mgまたは1,200mg投与後に対照群と比較して有意に増加した(p=0.0063、p=0.0037)。また、3例の患者は、髄液24(S)-HC値が、HPβCDを600mgまたは900mg投与後に、約2倍に上昇した(p=0.0032)。 薬剤関連の重篤な有害事象は認められなかった。有害事象として予測されていた中間~高周波の聴力損失は全被験者で認められたが、補聴器を使うことで日常コミュニケーションに支障はなかった。 臨床症状に関する総ニーマンピック病神経重症度スコアは、対照群は年間2.92点の増加だったのに対し、HPβCDを投与した14例の増加は年間1.22点にとどまった(p=0.0002)。具体的には、歩行(p=0.0622)、認知(p=0.0040)、言語(p=0.0423)の項目で障害進行の遅延が確認された。

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認知スペクトラム障害、入院患者の有病率と死亡率

 入院中の高齢者では、さまざまな認知機能障害が一般的にみられるが、これまでの研究では高度に選択された群の単一条件に焦点を当てており、アウトカムとの関連性を調査することはまれであった。英国・スターリング大学のEmma L. Reynish氏らは、65歳以上の救急入院患者を対象とした大規模で非選択的なコホート研究において、認知機能障害の有病率およびアウトカムを調査した。BMC medicine誌2017年7月27日号の報告。 対象は、2012年1月~2013年6月までに総合病院急性期病棟へ入院し、構造化された専門看護師による評価を受けた65歳以上の患者1万14例。せん妄、既知の認知症、Abbreviated Mental Test(AMT)スコア10点中8点未満の組み合わせを「認知スペクトラム障害(CSD)」と定義した。入院期間、死亡率、再入院に関するデータとアウトカムとの関連性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・CSDは、65歳以上の全入院患者の38.5%で認められ、85歳以上では半数以上であった。・内訳は、せん妄のみ16.7%、既知の認知症に併発したせん妄7.9%、既知の認知症のみ9.4%、不特定の認知機能障害(AMTスコア8点未満、せん妄なし、既知の認知症なし)4.5%であった。・認知症患者の45.8%は、せん妄を併発していた。・CSD患者は、非CSD患者と比較し、アウトカムが悪化していた(入院期間:25.0日 vs.11.8日、30日死亡率:13.6% vs.9.0%、1年死亡率:40.0% vs.26.0%、1年死亡または再入院:62.4% vs.51.5%、いずれもp<0.01)。・CSDタイプによる差は比較的小さかったが、認知症にせん妄を併発した患者では入院期間が最も長く、認知症患者の1年死亡率は最も高かった。 著者らは「CSDは高齢入院患者では一般的に認められ、アウトカムの悪化とかなり関連しており、CSDのタイプによる差はほとんどない。医療システムは、医療における緊急事態とみなされたCSD高齢患者のケア手法を体系的に検討し開発すべきであり、認知症もしくはせん妄だけといったような特定の症状にのみ焦点を当てることは避けるべきである」としている。■関連記事せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているかせん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の安全性、専門家による評価

2052.

SAVR後の脳卒中予防、脳塞栓保護デバイスは有用か/JAMA

 外科的大動脈弁置換術(SAVR)における虚血性中枢神経系損傷の減少に対する、脳塞栓保護デバイスの有効性と安全性を検証した無作為化臨床試験の結果を、米国・Baylor Scott & White HealthのMichael J. Mack氏らが報告した。SAVR施行患者において、脳塞栓保護デバイスは標準的な大動脈カニューレと比較し、7日後の脳梗塞リスクを有意に減少するには至らなかったものの、著者は、「せん妄の減少、認知機能、症候性脳卒中に有用である可能性が示唆され、大規模臨床試験で長期追跡調査を実施するに値する」とまとめている。脳卒中はSAVRの重大な合併症で、脳塞栓保護デバイスの意義について、より厳密なデータが求められている。JAMA誌2017年8月8日号掲載の報告。吸引型デバイス/大動脈内フィルター使用と、標準的な大動脈カニューレを比較 研究グループは、2015年3月~2016年7月、北米の18施設において、SAVR施行予定の石灰化大動脈弁狭窄症患者383例(平均年齢73.9歳、女性38.4%)を、SAVR施行時、脳塞栓保護デバイス使用群(吸引型デバイス群118例、大動脈内フィルター群133例)または標準的な大動脈カニューレ使用群(対照群132例)に無作為に割り付けた(試験完遂368例[96.1%]、追跡調査終了2016年12月)。 主要エンドポイントは、術後7日(±3日)時での臨床的/画像的脳梗塞の発生、副次エンドポイントは、術後30日以内の死亡・臨床的虚血性脳卒中・急性腎障害の複合エンドポイント、せん妄、死亡、重篤な有害事象、神経認知機能などであった。 なお試験は開始当初、大動脈内フィルター群と対照群の2群であったが、開始6週後に吸引型デバイスが臨床使用可能となったことから、その後は3群に割り付けることにプロトコルが変更された。したがって、統計解析ではintention-to-treat χ2検定により、デバイス別に対照群と比較した。SAVR後7日の脳梗塞無発生率、脳塞栓保護デバイスと対照とで有意差なし 主要エンドポイントの術後7日間の臨床的/画像的脳梗塞の無発生率は、吸引型デバイス群32.0% vs.対照群33.3%(群間差:-1.3%、95%信頼区間[CI]:-13.8~11.2)、大動脈内フィルター群25.6% vs.対照群32.4%(群間差:-6.9%、95%CI:-17.9~4.2)で有意差は確認されなかった。 副次エンドポイントの術後30日以内の複合エンドポイントの発生率も、吸引型デバイス群21.4% vs.対照群24.2%(群間差:-2.8%、95%CI:-13.5~7.9)、大動脈内フィルター群33.3% vs.対照群23.7%(群間差:9.7%、95%CI:-1.2~20.5)で、いずれの比較群間とも有意差は確認されなかった。個別にみても、死亡率(吸引型デバイス群3.4% vs.対照群1.7%、大動脈内フィルター群2.3% vs.対照群1.5%)、臨床的脳卒中(吸引型デバイス群5.1% vs.対照群5.8%、大動脈内フィルター群8.3% vs.対照群6.1%)とも比較群間で有意差はなかった。 また、術後7日目のせん妄発生率は、吸引型デバイス群6.3% vs.対照群15.3%(群間差:-9.1%、95%CI:-17.1~-1.0、p=0.03)、大動脈内フィルター群8.1% vs.対照群15.6%(群間差:-7.4%、95%CI:-15.5~0.6、p=0.07)であった。 術後90日までの重篤な有害事象の発現率および死亡率は、すべての群で有意差は確認されなかったが、大動脈内フィルター群では対照群と比較し急性腎障害(14 vs.4例、p=0.02)および不整脈(57 vs.30例、p=0.004)が有意に多かった。 なお、著者は研究の限界として、術後7日の評価には術中塞栓と関連しない脳梗塞が含まれた可能性があることなどを挙げているほか、本試験は2種類の脳塞栓保護デバイスを直接比較したものではない点に留意が必要としている。

2053.

認知症患者、PPIで肺炎リスクが9割上昇

 台湾・中山医学大学のSai-Wai Ho氏らの後ろ向きコホート研究により、認知症患者においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用により肺炎発症リスクが89%上昇したことが報告された。Journal of the American Geriatrics Society誌2017年7月号に掲載。PPI使用群で肺炎の発症率が高かった 著者らは、台湾国民健康保険研究データベースを用いて、新規にPPIを使用した認知症患者786例およびこれらの患者とマッチさせた PPI使用のない認知症患者786例について肺炎の発症を調べた。肺炎リスクはCox比例ハザードモデルを用いて推定し、defined daily dosage(DDD:成人の想定平均1日用量)を用いて、PPIの累積用量-反応関係を評価した。 PPIを使用した認知症患者の肺炎の発症を調べた主な結果は以下のとおり。・肺炎の発症率はPPI使用群で高かった(調整ハザード比[HR]:1.89、95%CI:1.51~2.37)。・Coxモデル解析により、以下の因子が肺炎の独立した危険因子であることが示された。 年齢(調整HR:1.05、95%CI:1.03~1.06) 男性(調整HR:1.57、95%CI:1.25~1.98) 脳血管疾患の既往(調整HR:1.30、95%CI:1.04~1.62) 慢性呼吸器疾患(調整HR:1.39、95%CI:1.09~1.76) うっ血性心不全(調整HR:1.54、95%CI:1.11~2.13) 糖尿病(調整HR:1.54、95%CI:1.22~1.95) 抗精神病薬の使用(調整HR:1.29、95%CI:1.03~1.61)・コリンエステラーゼ阻害薬およびH2受容体拮抗薬の使用は、肺炎リスクを減少させることが示された。

2054.

GLP-1製剤、パーキンソン病の運動機能を改善/Lancet

 GLP-1受容体作動薬エキセナチドを中等度のパーキンソン病患者に投与すると、運動機能が改善する可能性があることが判明した。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDilan Athauda氏らが、62例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月3日号で発表した。エキセナチド2mgを48週間投与、60週後の運動機能変化を比較 Athauda氏らは2014年6月18日~2015年3月13日にかけて、25~75歳の中等度パーキンソン病の患者62例を無作為に2群に分け、通常服用している薬に加え、一方にはエキセナチド2mgを(32例)、もう一方にはプラセボを(30例)、それぞれ週1回48週にわたり皮下投与した。その後、試験薬を中止し12週間のウォッシュアウト後(60週時点)に最終評価を行った。 被験者は、Queen Square Brain Bank基準で特発性パーキンソン病の診断を受け、ドーパミン療法によるウェアリング・オフ現象を伴い、治療下の症状はホーン・ヤール重症度分類で2.5以下だった。患者および研究者は、治療割り付けについてマスキングされていた。 主要アウトカムは、実質的に非薬物治療下と定義される時点(60週)で評価したベースライン(0週)からの、国際運動障害学会が作成したパーキンソン病統一スケール「MDS-UPDRS」の運動機能サブスケール・パート3の変化値に関する両群間の補正後差だった。エキセナチド群で運動機能サブスケールは1.0ポイント改善 有効性解析には、無作為化後の追跡評価を完遂したエキセナチド群31例、プラセボ群29例が含まれた。 0~60週時のMDS-UPDRS・パート3スコアの変化値は、エキセナチド群が-1.0点(95%信頼区間[CI]:-2.6~0.7)と改善を示したのに対し、プラセボ群は2.1点(同:-0.6~4.8)と悪化が示された。両群の補正後平均差は-3.5点(同:-6.7~-0.3、p=0.0318)で有意差が認められた。 有害事象は、注射部位反応と消化器症状の発現が両群で最も頻度が高かった。重篤な有害事象は、エキセナチド群で6件、プラセボ群では2件報告されたが、いずれも試験による介入とは関連がないと判断された。 なお結果について著者は、「エキセナチドの陽性効果は、投与期間を過ぎてからも示されたが、エキセナチドがパーキンソン病の病態生理に影響を及ぼすのか、それとも単に持続的な症候性の作用が引き起こされただけなのかは不明である」と述べ、長期の検討を行い、エキセナチドの日常的な症状への効果を調べる必要があるとしている。

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認知症の根治療法研究、どの程度進んでいるか

 認知症の根治療法(disease modifying)は存在しない。また、認知症の根治療法アウトカムのコンセンサスも得られていない。英国・ロンドン大学のLucy Webster氏らは、軽度から中等度の認知症における根治療法研究の中核アウトカム測定に関する最初のエビデンスベースコンセンサスの作成を行った。PLOS ONE誌2017年6月29日号の報告。 根治療法介入は、根底にある病状を変化させることを目指す治療と定義した。軽度から中等度の認知症における根治療法の公表研究および継続中の研究について、電子データベースおよびこれまでのシステマティックレビューより調査した。参考文献2万2,918件より149件が抽出され、そのうち125件の研究から81件のアウトカム測定が得られた。試験対象者は、アルツハイマー病(AD)単独111件、ADおよび軽度認知障害8件、血管性認知症3件であった。測定された項目(認知機能、日常生活活動、生物学的マーカー、精神神経症状、QOL、全体)によりアウトカムを分類した。試験数と参加者数は、各アウトカムを用いて算出した。各アウトカムの心理測定法の特性を詳細に調査した。アルツハイマー病社会フォーカスグループを通じて、3都市における認知症者や家族介護者の意見を求めた。コンセンサス会議の出席者(認知症研究、根治治療、ハーモナイゼーション測定の専門家)は、これらの結果を用いてアウトカムのコアセットを決定した。 主な結果は以下のとおり。・推奨される中核アウトカムは、認知症の根本的欠損を認知することであり、根治療法や連続構造MRIにより示される。・認知機能は、MMSE(ミニメンタルステート検査)またはADAS-Cog(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale)で測定すべきである。・患者にとってMRIは任意である。・重要ではあるが根治療法にもかかわらず変化しない可能性のある非コアドメインを測定するための勧告を行った。・限界として、ほとんどの試験がADを対象としたものであり、特定の手段は、使用されなくなると考えられる。また、心理測定法の特性については1つのデータベースのみで検索を行っていた。 著者らは「本研究は、軽度から中等度の認知症における根治療法研究のアウトカム測定81件を特定した最初の研究である。この提言は、軽度から中等度の認知症における根治療法の設計、比較、メタ解析を容易にし、その価値を高める」としている。■関連記事1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大認知症予防に柑橘類は効果的か:東北大脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減

2056.

脊髄性筋萎縮症患児の命を救う新薬登場

 バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注)のわが国での承認に寄せ、2017年7月19日、都内でメディアセミナーを開催した。 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患で、筋萎縮や筋無力を引き起こす希少疾病である。とくに乳児の重症型では1歳まで生きることができないとされる。 セミナーでは、本症診療の概要とヌシネルセンナトリウムの特徴について解説が行われた。型で異なるSMAの臨床像 はじめに齋藤 加代子氏(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター 所長・特任教授)が「脊髄性筋萎縮症の臨床・病態・治療」をテーマに講演を行った。 SMAは、脊髄前角細胞変性による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする下位運動ニューロン病であり、I~IV型の4型に分類される。・I型(重症型)は、生後6ヵ月までに発症し、生涯呼吸器の補助が必要となる。臨床像としては、体が柔らかく、手・足・首がダランと垂れたり筋肉が萎縮する。成長後の最高到達運動機能では座位ができない。・II型(中間型)は、生後1歳6ヵ月までに発症し、生涯車椅子が必要となる。臨床像としては、痩せや食事ができない。筋肉の萎縮や背骨が曲がるなどがあるが、知性には問題はないとされる。成長後の最高到達運動機能では立位ができない。・III型(軽症型)は、生後1歳6ヵ月以降で発症し、次第に歩行が難しくなり思春期のころには車椅子が必要となる。臨床像としては、足がX脚で、閉じると不安定になる。体幹の筋肉が弱く、立位ではお腹を突き出す姿となる。成長後の最高到達運動機能では単独での立ち上がりや歩行ができない。・IV型(成人型)は、20歳以降で発症する。SMAの早期の診断で命を救う治療へ SMAの診断では、厚生労働省特定疾患調査研究班による診断基準が使用され、下位運動ニューロン症候、腱反射減弱から消失などの臨床所見、血清CK値が正常上限の10倍以下、筋電図で神経原性所見の認知などの検査所見、筋萎縮性側索硬化症などとの鑑別診断、SMN1遺伝子の欠失などの遺伝学的検査の4項目の総合的見地から診断される(難病や小児慢性疾患の認定でも使用される)。 治療としては、呼吸の維持・管理や栄養状態の管理、可動域の維持のための理学療法、脊柱固定術などの外科手術といった対症療法が行われる。とくに乳幼児では、排痰ができないために肺炎になりやすく、気管切開や人工呼吸器設置を含め呼吸管理は重要だという。 今回承認されたヌシネルセンナトリウムは、乳幼児型SMAに対して適応があり、完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことで筋萎縮などの症状を抑えるものである。治療は、主に小児専門医(とくに小児神経専門医)が担うことになり、髄注という高度な手技が要求される治療薬であるが、髄液検査に習熟した医師であれば、手技は問題ないという。 最後に齋藤氏は、「本症の診断は比較的つきやすく、早く治療介入すれば、患児の生命を救うことができる。医師が早く本症を診断できることに期待したい」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。ヌシネルセンナトリウムは髄注で投与 続いて、飛田公理氏(同社メディカル本部 希少疾患領域 部長)が、ヌシネルセンナトリウムの特徴を説明した。 本剤は、SMN2mRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドで、完全長の機能性SMNタンパク質を増加させる特性を持つ。投与法は、腰椎穿刺により髄腔内の脳脊髄液に直接投与する。初回投与後、2週、4週、9週で投与し、以降は4ヵ月間隔で投与を継続する。国際共同第III相臨床試験(ENDEAR試験)では、乳児型SMA患児121例(うち日本人3例)で実施され、運動発達の目標(たとえば転がる、這う、立つなど)達成は対照群0%と比べ51%であった。また、生存率についても対照群61%に比べ84%と有意な臨床効果を有していたという。副作用については、11.3%に発現があったが重篤なものはなく、発熱、頻脈、貧血母斑などが報告されていた。 本剤の保険収載は、8月末ごろの予定。現在遅発型SMAについても申請に向け作業を進めている。■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)

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巨細胞性動脈炎の寛解維持にトシリズマブが有用/NEJM

 巨細胞性動脈炎患者において、26週間のprednisone漸減中にトシリズマブを毎週または隔週で投与した群は、26週間または52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較して、糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていたことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、糖質コルチコイド漸減中にインターロイキン-6受容体α阻害薬トシリズマブを投与することで、糖質コルチコイドなしで高率の寛解維持が可能かについて検討した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の1年間の結果で、NEJM誌2017年7月27日号で発表された。巨細胞性動脈炎の寛解維持に糖質コルチコイドは有用だが、長期に使用すると副作用が伴う。しかし、漸減すると再燃が生じるため糖質コルチコイド中断後も寛解維持可能な治療の登場が待たれている。26週間または52週間で漸減しプラセボ投与と比較 試験は50歳以上の巨細胞性動脈炎患者251例を、次の4群に2対1対1対1の割合で無作為に割り付けて行われた。26週間のprednisone漸減中に、(1)トシリズマブ(1回162mg)を毎週皮下投与する群、(2)同隔週皮下投与する群、(3)プラセボを投与する群、(4)52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与する群。 主要アウトカムは、26週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の52週時点の糖質コルチコイドなしでの寛解維持率とした。また、52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の寛解維持率を、主な副次アウトカムとした。 トシリズマブ隔週投与群に割り付けた1例が、試験薬の投与を受けなかったため、intention-to-treat集団および安全性集団には250例が包含された。52週間の試験を完遂したのは216例(86%)であった。毎週または隔週投与群ともプラセボ投与群より有意に寛解維持に優れる 52週時点の寛解維持率は、トシリズマブ毎週投与群56%、同隔週投与群53%であったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は14%(主要アウトカム、p<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は18%であった(主な副次アウトカム、p<0.001)。 52週間のprednisoneの累積用量中央値は、両トシリズマブ群が1,862mgであったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,296mg(両群間比較のp<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,818mg(両群間比較のp<0.001)であった。 重篤な有害事象の発生頻度は、トシリズマブ毎週投与群で15%、同隔週投与群で14%、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群22%、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は25%であった。なお、トシリズマブ隔週投与群の1例で前部虚血性視神経症の発症が報告された。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査を行い、トシリズマブによる寛解の持続性と安全性を確定する必要がある」とまとめている。

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中年期のBMIと認知症リスク~59万人のメタ解析

 スイス・ジュネーブ大学のEmiliano Albanese氏らが、中年期のBMIと認知症との関連について、相反する19研究における約59万人のメタ解析を行った結果、中年期の肥満が認知症リスクを増加させることが示された。一方、低体重と認知症との関連性は依然として議論の余地があるとしている。Alzheimer's & dementia誌2017年6月20日号に掲載。 本研究では、標準的なデータベースを検索し、中年期の低体重・過体重・肥満と認知症リスクに関する集団ベースの前向き研究を特定した。ランダム効果メタ解析および調整相対リスク(RR)推定値のメタ回帰を行い、研究間の異質性を調査した。 主な結果は以下のとおり。・19研究において最大42年間追跡調査された58万9,649人の参加者(2,040人が認知症を発症)を評価した。・中年期(35~65歳)の肥満(BMI≧30)が晩年の認知症と関連していた(RR:1.33、95%CI:1.08~1.63)が、過体重(25<BMI<30)は関連していなかった(RR:1.07、95%CI:0.96~1.20)。・中年期の低体重との関連(RR:1.39、95%CI:1.13~1.70)は、残存交絡(メタ回帰によるp=0.004)、選択バイアス(p=0.046)、情報バイアス(p=0.007)により引き起こされた可能性がある。

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アメフト経験者の約9割に慢性外傷性脳症/JAMA

 あらゆるプレーレベルの経験者を含む、亡くなった元アメリカンフットボール選手の脳検体202例を調べたところ、その87%で慢性外傷性脳症(CTE)の神経病理学的所見が確認されたことが報告された。とくに元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手の脳検体111例では99%にCTEが認められたという。米国・ボストン大学のJesse Mez氏らによる報告で、JAMA誌2017年7月25日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「CTEがフットボールを経験したことに関係していることが示唆された」と述べている。頭部外傷歴や臨床症状についても聞き取り調査 研究グループは、202例の死亡した元アメリカンフットボール選手から提供された脳検体を用いた症例集積研究を行った。神経病理学的評価を行うとともに、選手時代のことを知る情報提供者に、研究目的を知らせずに電話で聞き取り調査を行い、頭部外傷歴などの臨床的評価も行った。また、オンラインアンケートで競技歴および軍歴を確認した。被験者は、様々なプレーレベルの元選手を含んでいた。 CTEなどの神経変性疾患の病理学的診断、および情報提供者から得られた競技歴、2014年以降の死亡例については、生前の行動学的症状、心的症状、認知症状、および認知症など臨床的症状を調べた。CTEは規定の診断基準に基づき、神経病理学的重症度(ステージI~IV、もしくは軽度[ステージI/II]または重度[ステージIII/IV]の二分)の評価を行った。重度CTEは元大学・セミプロ選手で56%、元プロ選手は86% 被験者202例の死亡時年齢の中央値は66歳(四分位範囲:47~76)だった。プレーレベル別の内訳は、高校入学前2例、高校14例、大学53例、セミプロ14例、カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)8例、NFL 111例。 神経病理学的にCTEが認められたのは177例(87%)で、死亡時年齢中央値は67歳(四分位範囲:52~77)、平均選手歴年は15.1年(SD 5.2)だった。また、177例のうち元NFL選手は110例で認められ、調査対象の元NFL選手被験者111例の99%を占めた。元高校入学前選手ではCTEが認められなかったが(0例)、元高校選手では21%(3例)、元大学選手は91%(48例)、元セミプロ選手64%(9例)、元CFL選手88%(7例)でそれぞれ認められた。 CTEの神経病理学的重症度について、元大学選手56%(27例)、元セミプロ選手56%(5例)、元プロ選手86%(101例)で重度と判定された。 また、軽度CTEと判定された27例のうち、行動学的症状、心的症状のいずれかまたは両方が認められたのは96%(26例)、認知症状は85%(23例)で、また認知症の兆候が認められたのは33%(9例)だった。一方、重度CTEと判定された84例のうち、行動学的症状、心的症状のいずれかまたは両方があったのは89%(75例)、認知症状は95%(80例)で、認知症の兆候が認められたのは85%(71例)だった。

2060.

悪性黒色腫とパーキンソン病、相互に発症リスク高

 米国・メイヨークリニックのLauren A. Dalvin氏らは、ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester Epidemiology Project:REP)のデータを解析し、悪性黒色腫(皮膚および結膜、ブドウ膜)患者はパーキンソン病(PD)の、PD患者は悪性黒色腫の発症リスクが高く、両者に関連があることを明らかにした。著者は、「さらなる研究が必要であるが、今回の結果に基づき医師は、悪性黒色腫患者にはPDのリスクについてカウンセリングを行い、PD患者に対しては皮膚および眼の悪性黒色腫についてサーベイランスを行うことを検討すべきだろう」とまとめている。Mayo Clinic Proceedings誌2017年7月号掲載の報告。 研究グループは、REPのデータを用いて次の2つの解析(フェーズ1、フェーズ2)を行った。 フェーズ1は、1976年1月1日~2013年12月31日におけるミネソタ州オルムステッド郡のPD患者、および同患者1例当たりのマッチング対照3例を特定し、JMP統計ソフトウェアを用いたロジスティック回帰分析により、先行して悪性黒色腫を有するリスクをPD患者と対照とで比較した。 フェーズ2は、1976年1月1日~2014年12月31日におけるすべての悪性黒色腫患者と、同患者1例当たりのマッチング対照1例を特定し、Cox比例ハザードモデルにてインデックス日以降のPD発症リスクについて対照と比較するとともに、カプランマイヤー法によりPDの35年累積発症リスクを算出した。さらに、Cox比例ハザードモデルを用い、悪性黒色腫患者における転移性悪性黒色腫による死亡のリスクを、PDの有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・フェーズ1解析において、PD患者は対照と比較し、先行して悪性黒色腫を有するリスクが3.8倍高かった(95%信頼区間[CI]:2.1~6.8、p<0.001)。・フェーズ2解析において、悪性黒色腫患者は、PDの発症リスクが4.2倍高かった(95%CI:2.0~8.8、p<0.001)。・カプランマイヤー法によるPDの35年累積発症率は、悪性黒色腫患者11.8%、対照2.6%で、悪性黒色腫患者で高かった(p<0.001)。・転移性悪性黒色腫による死亡の相対リスクは、PDを有していない悪性黒色腫患者が、PDを有する悪性黒色腫患者と比較して10.5倍高かった(95%CI:1.5~72.2、p=0.02)。

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