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親密なパートナーからの暴力への介入、妊婦の産後QOLを改善するか/JAMA

 親密なパートナーからの暴力(intimate partner violence:IPV)は公衆衛生上の課題であり、女性や子供に重大で有害な結果をもたらす。カナダ・マックマスター大学のSusan M. Jack氏らは、初めての子供を持つ社会的および経済的な不利益を経験している妊婦への看護師による自宅訪問プログラム(nurse home visitation program)に、IPVへの包括的な介入を加えても、出産後の母親の生活の質(QOL)の改善は得られないことを示した。研究の詳細はJAMA誌2019年4月23日号に掲載された。米国の3つの無作為化試験では、看護師による自宅訪問プログラムは妊娠アウトカム、子供の健康、母親のライフコース(life-course)における成長を改善すると報告されているが、IPVが中等度~重度の母親ではこの効果は得られていない。また、他の米国とオランダの試験では、IPVへの同プログラムの効果に関して相反する知見が得られているという。IPV介入による強化の有用性を評価するクラスター無作為化試験 研究グループは、看護師による自宅訪問プログラムをIPV介入で強化することによる、母親のQOLへの影響を評価する目的で、単盲検クラスター無作為化試験を行った(米国国立傷害予防管理センター[NCIPC]などの助成による)。 2011年5月~2015年5月の期間に、米国8州の15施設で、社会的不利益を受け、2.5年間の看護師による自宅訪問プログラムに参加している16歳以上の妊娠女性492例を登録した。参加施設は、看護師による自宅訪問プログラム+IPV介入を行う強化プログラム群(7施設、229例)または看護師による自宅訪問プログラムのみを行う標準プログラム群(8施設、263例)に無作為に割り付けられた。 強化プログラム群の施設では、看護師が集中的なIPV教育を受け、IPV介入を行った。介入には、安全性計画(safety planning)、暴力の認識(violence awareness)、自己効力感(self-efficacy)、社会的支援への紹介に焦点を当てた評価や個別的ケアを支援するクリニカルパスが含まれた。標準プログラムには、暴力曝露に関する限定的な質問と、虐待を受けた女性に関する情報が含まれたが、看護師への標準化されたIPV研修は行われなかった。 主要アウトカムは、ベースラインおよび出産後から24ヵ月までの6ヵ月ごとの面談で得られたQOLとした。QOL評価にはWHOQOL-BREF(0~400点、点数が高いほどQOLが良好)を用いた。7つの副次アウトカムにも有意差なし 全体の平均年齢は20.3(SD 3.7)歳で、白人が62.8%、黒人/アフリカ系米国人が23.3%であり、高卒/職業訓練校修了が53.3%、独身/未婚が80%、被扶養/無収入が35.7%だった。421例(86%)が試験を完遂した。 WHOQOL-BREFスコアは、強化プログラム群ではベースラインの299.5(SD 54.4)点から24ヵ月後には308.2(52.6)点へ、標準プログラム群では293.6(56.4)点から316.4(57.5)点へといずれも改善し、QOLはむしろ標準プログラム群のほうで良好な傾向がみられた。マルチレベル成長曲線分析では有意な差はなかった(モデル化スコア差:-4.9、95%信頼区間[CI]:-16.5~6.7)。 7つの副次アウトカム(Composite Abuse Scale[CAS]によるIPV、SPANによる心的外傷後ストレス障害[PTSD]、Patient Health Questionnaire 9[PHQ-9]によるうつ状態、TWEAKによる飲酒問題、Drug Abuse Severity Test[DAST]による薬物問題、12-Item Short-Form Health Survey[SF-12]による心の健康および身体的健康)はいずれも、両群に有意差はみられなかった。また、有害事象の記録は両群ともになかった。 著者は、「これらの知見は、この複雑で多面的なIPVへの介入によって、看護師による自宅訪問プログラムを強化した支援を支持しない」としている。

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ABO血液型不適合腎移植は、生存・生着を改善するか/Lancet

 ABO血液型不適合腎移植(ABOi-rTx)は、脱感作プロトコルや最適化に進展がみられるものの、3年以内の死亡率や移植腎の非生着率がABO血液型適合腎移植(ABOc-rTx)を上回ることが、ドイツ・オットー・フォン・ゲーリケ大学マクデブルクのFlorian G. Scurt氏らによるメタ解析で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年4月18日号に掲載された。ABOi-rTxは、提供臓器不足の打開策としてその使用が増加しているが、早期および長期のABOc-rTxに対する非劣性のエビデンスが求められている。ABOc-rTxを対照とし追跡期間1年以上の観察研究のメタ解析 研究グループは、ABOi-rTxとABOc-rTxのアウトカムを比較した観察研究を系統的にレビューし、メタ解析を行った。2017年12月31日までに発表され、ABOc-rTxを対照として移植術後1年以上のフォローアップが行われ、移植腎および移植を受けた患者の生存に関するデータを含む論文を選出した。死体腎ABOc-rTxは除外した。 主要エンドポイントは、術後1、3、5年および8年以降の全死因死亡、および移植腎の生着率とした。メタ解析では、I2が0の場合は固定効果モデルを、I2が0以上の場合は固定効果と変量効果モデルの双方を用いた。 1998年1月~2017年9月に発表された40件(日本の12件を含む)の試験に参加した6万5,063例を解析の対象とした。ABOi-rTx群が7,098例(平均年齢:44.9歳[範囲:34~56])、ABOc-rTx群は5万7,965例(43.1歳[31~55])であった。長期的な生存、生着には差がない、組み直し腎臓提供の強化を ABOi-rTx群はABOc-rTx群に比べ、移植後の1年死亡率(オッズ比[OR]:2.17、95%信頼区間[CI]:1.63~2.90、p<0.0001、I2=37%)、3年死亡率(1.89、1.46~2.45、p<0.0001、I2=29%)および5年死亡率(1.47、1.08~2.00、p=0.010、I2=68%)が有意に高かったが、8年以降の死亡率に有意差は認めなかった(1.18、0.92~4.51、p=0.19、I2=0%)。 移植腎生着率(death-censored graft survival)については、ABOi-rTx群はABOc-rTx群に比べ、1年時(OR:2.52、95%CI:1.80~3.54、p<0.0001、I2=61%)および3年時(1.59、1.15~2.18、p=0.0040、I2=58%)は有意に低く、5年時(1.31、0.96~179、p=0.09、I2=75%)および8年以降(1.07、0.64~1.80、p=0.79、I2=66%)は有意な差がなかった。 移植腎喪失の割合は、5年時および8年以降は両群で同等であった。一方、ABOi-rTx群で敗血症の割合が高かったが、尿路感染症やサイトメガロウイルス感染症には有意な差はなかった。また、ABOi-rTx群は出血や血腫、リンパ嚢腫の頻度が高かった。拒絶反応の割合は、全体、境界領域、T細胞関連型には両群で差はなかったが、急性抗体関連型の拒絶反応はABOi-rTx群で高かった。 リツキシマブベースの脱感作プロトコルは、これを用いた場合および用いなかった場合の死亡率が、初回脱感作プロトコルの有無にかかわらず、1年時(リツキシマブ不使用[OR:2.70、95%CI:1.74~4.18、I2=27%、pheterogeneity=0.23]、リツキシマブ使用[1.97、1.14~3.42、I2=45%、pheterogeneity=0.02])および3年時(リツキシマブ不使用[2.37、1.04~5.42、I2=47%、pheterogeneity=0.11]、リツキシマブ使用[1.77、1.20~2.60、I2=11%、pheterogeneity=0.33])ともに、ABOi-rTx群がABOc-rTx群よりも高かった。 出版バイアスは検出されなかった。また、移植後5年までの結果は頑健であったが、それ以降のデータは無効または非結論的だった。 著者は、「これらの知見は、ABO血液型不適合腎移植を進めるのではなく、組み直し腎臓提供(kidney paired donation)を支持するものであり、腎臓交換プログラムのネットワークを拡大し、その活用を強化する行動を求めるものである」としている。

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長時間作用型持効性注射剤による統合失調症患者の機能アウトカムへの効果~メタ解析

 心理社会的機能障害は、統合失調症で一般的にみられる。非定型抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)は、アドヒアランスを改善することにより、心理社会的機能を改善すると考えられる。しかし、臨床試験において非定型抗精神病薬LAIが心理社会的機能に及ぼす影響を検討したシステマティックレビューは報告されていない。オーストラリア・アデレード大学のAndrew T. Olagunju氏らは、非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年4月8日号の報告。 主要データベースより、2018年までの非定型抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口抗精神病薬を比較したランダム化比較試験を言語の制限なく検索した。心理社会的機能の変化とその予測因子に関する調査結果をシステマティックにレビューした。心理社会的機能の変化に関するデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには26研究、メタ解析には19研究、8,616例(男性の割合:68.1%)が含まれた。・非定型抗精神病薬LAIは、心理社会的機能の改善において、プラセボ(標準化平均差[SMD]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.32~0.47、p<0.001、I2=0%、9研究)および経口抗精神病薬(SMD:0.16、95%CI:0.01~0.31、p=0.04、I2=77%、10研究)と比較し優れており、その優位性は、短期および長期試験においても維持されていた。・心理社会的機能の不良の予測因子は、治療期間の長さ、症状重症度、認知機能不良、病識不良であった。・機能の評価は、単一または複数の方法の組み合わせにより評価したが、ほとんどの研究において、主要アウトカムではなかった。・その他のバイアス要因としては、盲検およびランダム化不良の報告が含まれていた点であった。 著者らは「非定型抗精神病薬LAIの心理社会的機能に対する改善効果は、プラセボと比較し有益であったが、経口抗精神病薬に対する優位性は大きくなかった。ベースライン時の重度な精神症状は、心理社会的機能の不良を予測した」としている。

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HIV予防薬服用で性感染症が増加するのは悪いことなのか?(解説:岡慎一氏)-1040

 いったんHIVに感染すると、現在の治療では治癒は不可能である。つまり、一生涯におよぶ治療が必要となる。日本では、年間の医療費は約250万円/人である。30歳前後でHIVに感染し、40年間治療を受ければ1人約1億円の医療費がかかる。HIV治療の公費負担は感染者が増えれば増えるほどかさむことになる。この10年間、毎年1,500人前後の新規感染者が発見されている。残念ながら、コンドーム推進キャンペーンが有効だとはいえない状況である。 世界で唯一、新規感染者を減らす方法として有効性が確立されているのは、今回の論文に出てくるHIV Pre-Exposure Prophylaxis(PrEP)である。PrEPとは、HIV感染リスクの高い人が前もって予防薬を服用することである。この予防法は非常に有効で、しっかりと予防薬さえ飲んでいれば、コンドームなどを使わなくてもHIVに感染することはほぼゼロになる。使わなくてもよければ使わない人が増えるのは当然で、その結果として、その他の性感染症(STI)が増加することは容易に予測される。この研究でも実際にSTIが増加したことが示されている。当然PrEPを始めると定期的にSTIの検査を受けるので、より多くのSTIが見つかるはずである。したがって、この論文では、検査件数で補正している。PrEP前に比べ検査件数で補正するとSTI全体で1.12倍増えている。しかしである。たった1.1年のフォローアップ期間である。PrEPにより定期的なSTI検査と早期診断・早期治療を徹底していけば、STI自体も減ってくるはずである(そのような地域もある)。さらに、HIV感染症と他のSTI、たとえば注射一本で治る淋病との重要度は比べようもない。HIVに対するrisk compensationとして1.12倍STIが増えたとしても取るに足らないことであろう。 現在、新規HIV感染者が激減しているのは、PrEPが実施されている国や地域のみである。2016年にWHOがHIVガイドラインでPrEPを強く推奨してから、2019年4月現在、世界ではすでに44ヵ国でPrEPが承認されている。そろそろ日本もcost effectivenessの確立されたPrEPの薬事承認をすべきときに来ている。

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バイオシミラーはインフリキシマブと同等の効果を有するのか?(解説:上村直実氏)-1042

 クローン病(CD)は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国の患者数は現在約4万人で、医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。CDに対する薬物療法は、症状や炎症の程度によって、寛解導入と寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬と段階的にステップアップする薬物療法および栄養療法が行われていたが、治療抵抗性を示すケースが多かった。近年開発された抗TNF-α抗体をはじめとする生物学的製剤の登場は、治療の選択肢を大幅に広げ、CD治療の目的である活動性のコントロールとQOL向上に大きな有用性を発揮している。 一方、近年、医療費の大幅な高騰がわが国の大きな課題となっており、世界中に類をみない国民皆保険制度の存続も危惧される事態となりつつある。このような状況で、医療費の抑制に関して通常医薬品については、安価なジェネリック医薬品の使用が盛んに推奨されて一定の成果を上げている。他方、臨床現場での有用性は高いものの、非常に高価な生物学的製剤の後発品はバイオシミラーと呼ばれ、一般薬のジェネリックとは一線を画している。すなわち、分子量が大きく構造の同一性を示すことが難しい生物学的製剤の後発品であるバイオシミラーの承認条件には、通常のジェネリックには課せられていない有用性と安全性を検証するための臨床試験が義務付けられている。日本は韓国や欧米と比較して、バイオシミラーの開発分野における後進国である。臨床試験に膨大な費用が必要なのか、国民皆保険制度における通常医療が充実しているためなのか、その原因は不明であるが、今後、国を挙げての対策が必要と思われる。 今回、活動性クローン病に対する有用性と安全性の検証を目的とした国際共同RCTにおいて、インフリキシマブのバイオシミラーであるCT-P13がインフリキシマブに対して非劣性であることがLancetで報告された。抗TNF-α抗体はCDのみでなく慢性関節リウマチや強直性脊椎炎など非常に多く使用される高価な薬剤である点を考えると、信頼できるバイオシミラーの登場は、課題である高額な医療費の抑制に貢献することが期待される。

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フルベストラントとAI剤併用の意義(解説:矢形寛氏)-1044

 本試験は2つの内分泌療法薬の併用(FUL+AI)で、PFSだけでなくOSの改善までみられたという点で大変興味深いが、臨床応用においては注意が必要である。ポイントをまとめてみたい。1.AI単独群でPD後はFULの使用を無料で提供しており、半数弱が切り替えていたにもかかわらずOSの明確な改善がみられた。2.FULは250mgと通常の半量の使用であり、FUL 500mgより医療経済的にメリットが高そうである。3.現在の標準であるFUL単独(500mg)のAI剤に対する優位性はすでに示されているが(FALCON試験)、OSに関しては明確ではない(弱い間接的証拠はある[FIRST試験+CONFIRM試験])。 ・FUL+AIとFUL単独の比較をみたいところではある。 ・FUL 500mg+AIの効果を知りたいところである。4.現在、CDK4/6阻害薬の使用が可能となっており、AI単独またはFUL単独との併用が基本である。5.本邦ではFUL+AIの併用は保険上認められていない。6.さらに、あらかじめ計画されたサブグループ解析では、内分泌療法薬(TAM)使用歴があると、AI単独群と比較してFUL併用群のAbsolute benefitはなさそうである。これはFUL単独群でも同様かもしれない。 1〜3よりFUL+AIは非常に優れた治療であるが、4、5を考慮すると使用する場面は非常に少ないのが現状であろう。

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横断中の歩きスマホがもたらすリスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第138回

横断中の歩きスマホがもたらすリスクぱくたそより使用今はもう、はやっていないのかもしれませんが、一時期「ポケモンGO」がものすごく流行しましたよね。社会現象になったくらい。私は時間がもったいなかったのでプレイしませんでしたが、街中にスマホを持ってウロウロしている人がたくさんいたのを覚えています。 Chen PL, et al.Pedestrian smartphone overuse and inattentional blindness: an observational study in Taipei, Taiwan.BMC Public Health. 2018;18:1342.この台湾の研究を最初読んだとき、歩きスマホで失明するのかと勘違いしそうになったのですが、タイトルにある非注意性盲目(inattentional blindness)というのは、無意識のうちに選んだ対象に注意を向ける際、その周囲で起こっている事象が背景化してしまい、記憶に残りにくいという現象のことを指します。マジックやイリュージョンでよく使われる現象です。この研究は、台北市において、スマホにおける通話、音楽、テキストメッセージのやりとり、ゲーム、ネットサーフィンといった行動が、スマホの過剰使用と歩行者の非注意性盲目に与える影響を調べたものです。Wi-Fiカメラを用いて、歩行者が信号を横断するときにスマホを使っていたかどうかを判断しました。横断した後、個々にインタビューを行い、気が散っていたか散っていなかったかの2群に分類されました。さて、どうやってそれを判定したかというと、横断歩道の反対側からピエロがスマホを持ち、そこからそれなりの音量の国歌を流して渡っていたので、普通ならば気付くでしょう、ということです。スマホに没入していると、ピエロには気付かないですよね。また、赤信号になっている間、歩行できる残り時間が表示されるのですが、渡り切ったときに「どのくらい時間が残っていたか」についても尋ねました。写真. 台湾の歩行者用信号(小緑人)Wikipediaより引用地道な作業が続けられ、なんと合計2,556人の歩行者のデータが集まりました。このうち、横断する前の歩道を歩いていた時点からインタビューするまでの間、スマホを触っていたのは2,215人で、横断している最中も触っていたのは約半数の1,112人に上ります。恐ろしい。判明したのは、調査当時に大流行していたポケモンGOのユーザーの非注意性盲目が顕著であったことです。ロジスティック回帰モデルで非注意性盲目の関連を調べると、ほかに独立リスク因子として記載されているのは、スマホの画面が大きいこと、データ使用制限がないスマホ、学生であること、でした。音楽を聴きながら横断していたなら国歌が聴こえないのはわかりますが、ゲームに熱中してピエロが国歌を流していたことがわからない集団がいるというのも怖い話です。何を言わんとしているかというと、とくに道路を横断しているときは歩きスマホは注意しましょうということです。

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小児双極性障害の最新疫学研究~メタ解析

 小児双極性障害に関連する研究は、過去7年間で増加している。米国・ザッカーヒルサイド病院のAnna Van. Meter氏らは、2011年の小児双極性障害の有病率についてのメタ解析をアップデートし、有病率に影響を及ぼす因子について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年4月2日号の報告。 2018年、PubMedおよびPsycINFOより、英語で出版された論文を用いて文献レビューを行った。選定基準は、青少年の疫学サンプル、双極性スペクトラム障害を有する青少年の数、21歳以上と分類された青少年の有病率(両方を含む場合)とした。検索された2,400件中44件を評価し、8件を解析対象とした。各双極性障害サブタイプの有病率は、報告に沿って記録し、仮説モデレーター(研究の特徴や環境要因など)もコーディングした。 主な結果は以下のとおり。・8件の追加試験より、合計サンプル数19件が得られ、サンプルサイズは、5万6,103例(双極性障害患者1,383例)で3倍となった。・米国での研究が7件、南アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパでの研究が12件であった。・双極性スペクトラム障害の加重有病率は、3.9%(95%CI:2.6~5.8%)であった。・研究間での有意な不均一性が認められた(Q=759.82、df=32、p<0.0005)。・双極I型障害のプール率は0.6%(95%CI:0.3~1.2%)であり、これらにおいても不均一性が認められた(Q=154.27、df=13、p<0.0001)。・双極性スペクトラム障害有病率の高さの予測因子は、広義の双極性障害基準の使用(p<0.0001)、最少年齢(p=0.005)、生涯有病率(p=0.002)であった。・より新しい研究において、有病率の低さとの関連が認められた(p<0.0001)。 著者らは「最新のメタ解析では、米国の双極性スペクトラム障害有病率は、他の西欧諸国と比較し高くはなく、経時的な増加も認められないことが確認された。標準的でない診断基準は、全スペクトラムを除外した小児双極性障害の狭義の定義に焦点を当てた場合と同様に、さまざまな有病率を示すことにつながる。小児双極性障害の有病率に関する問題を解決するためには、検証済みの基準を一貫して適用することが求められる。非西欧諸国での研究は、国際的な有病率と危険因子を理解するうえで必要である」としている。■関連記事若年双極性障害への治療効果を高めるには小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬小児および青年期の重度な精神疾患発症率と薬理学的治療

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芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍にtagraxofuspが効果/NEJM

 未治療または再発の芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)成人患者において、tagraxofusp(SL-401)の投与が臨床的奏効をもたらしたことが示された。発現頻度が高かった有害事象は肝機能異常および血小板減少症であり、重篤な有害事象は毛細血管漏出症候群であった。tagraxofuspは、短縮ジフテリア毒素と遺伝子組み換えヒトインターロイキン-3(IL-3)が融合したCD123標的細胞毒素である。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのNaveen Pemmaraju氏らが、BPDCN患者11例を対象としたパイロット試験の良好な結果を受けて、tagraxofusp単独療法の安全性および有効性を検証する多施設共同非盲検第II相臨床試験を実施し、結果を報告した。BPDCNは、IL-3受容体サブユニットα(IL3RAまたはCD123)を過剰発現する形質細胞様樹状細胞の形質転換によって引き起こされる予後不良の進行性血液がん(造血器腫瘍)であり、白血病やリンパ腫に対する従来の治療法では効果がない。NEJM誌2019年4月25日号掲載の報告。tagraxofusp 7μg/kgまたは12μg/kg投与の有効性と安全性を評価 研究グループは、2014~17年に、未治療/再発BPDCNの患者47例をtagraxofusp 7μg/kg投与群および12μg/kg投与群(いずれも、1サイクル21日として1日目~5日目に静脈内投与)に割り付け、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。 主要評価項目は、未治療患者における完全奏効および臨床的完全奏効を合わせた割合、副次評価項目は奏効持続期間であった。 47例中、未治療群(初回治療としてtagraxofuspの投与を受けた)は32例、既治療群は15例、患者の年齢は中央値(範囲)で70歳(22~84)であった。奏効率は、未治療患者の高用量群で90%、既治療患者でも全体で67% 未治療群の12μg/kg投与を受けた29例において、完全奏効および臨床的完全奏効は21例(72%)で確認され、部分奏効も合わせた全奏効率は90%であった。29例中13例(45%)は、tagraxofusp治療後の寛解期に幹細胞移植を受けた。18ヵ月生存率は59%、24ヵ月生存率は52%であった。また、既治療群の15例において、全奏効率は67%、全生存期間中央値は8.5ヵ月であった。 とくに発現頻度の高かった有害事象はALT値上昇(64%)、およびAST値上昇(60%)で、次いで低アルブミン血症(55%)、末梢性浮腫(51%)、血小板減少症(49%)であった。毛細血管漏出症候群は19%の患者で報告され、各投与量群1例の死亡と関連した。 なお、本試験の結果に基づき、tagraxofuspは成人および2歳以上の小児のBPDCNに対する治療薬として2018年12月に米国で承認された。

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蠕虫感染症治療のベース、学校集団vs.地域集団/Lancet

 英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のRachel L. Pullan氏らは、土壌伝播蠕虫感染症に対する、学校集団を対象とした駆虫プログラムの代わりとなる集団治療の有効性を評価したクラスター無作為化比較試験を実施した。その結果、地域社会全体を対象に行った年1回の治療が、学校集団を対象とした同じく年1回の治療と比較して、鉤虫症の罹患率および感染強度の低下に有効であることが明らかにされた。検討では、年2回の介入も検討され、付加的利点はほとんど認められなかったことも判明した。学校集団を対象とした駆虫プログラムは、小児の土壌伝播蠕虫感染症の罹患率を低下させうるが、より広い地域社会への伝播は阻止できていなかった。今回の結果について著者は、「介入の範囲および効果の点で、地域社会全体への治療が非常に公正であることが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。学校集団(2~14歳)vs.地域集団(全年齢)、アルベンダゾール投与を比較 研究グループは、2015年3月18日~2017年5月17日の期間で、ケニア・クワレ地区(15万世帯)の120地域単位を対象に、アルベンダゾールによる治療を、2~14歳の学校集団で年1回実施する群、地域単位で全年齢を対象に年1回実施する群または年2回実施する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、反復横断調査で評価した12ヵ月および24ヵ月時点の鉤虫症の罹患率であり、副次評価項目は、回虫および鞭虫の罹患率、各土壌伝播蠕虫感染症の感染強度ならびに治療の範囲と費用とし、intention-to-treat解析で評価した。地域集団の治療で鉤虫症罹患率が41~54%の低下 24ヵ月後、鉤虫症の罹患率は年1回学校集団治療群で18.6%(95%信頼区間[CI]:13.9~23.2)から13.8%(95%CI:10.5~17.0)に、年1回地域単位治療群で17.9%(95%CI:13.7~22.1)から8.0%(95%CI:6.0~10.1)に、年2回地域単位治療群で20.6%(95%CI:15.8~25.5)から6.2%(95%CI:4.9~7.5)に変化した。 年1回学校集団治療群と比較した、年1回地域単位治療群のリスク比は0.59(95%CI:0.42~0.83、p<0.001)、年2回地域単位治療群は同0.46(95%CI:0.33~0.63、p<0.001)であった。 リスクの低下は、12ヵ月の時点でも確認されたが24ヵ月の時点よりも少なかった。24ヵ月後のリスク比は、人口統計学的および社会経済的なサブグループ間で差異はなかった。アルベンダゾールに関連した有害事象の報告はなかった。

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高齢者NSCLCにおけるペムブロリズマブの成績/ELCC2019

 ペムブロリズマブの3つ無作為化比較試験KEYNOTE-010、024、042のプール解析の結果、高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、ペムブロリズマブでの全生存期間が化学療法を有意に上回った。この研究は3件の臨床試験の高齢(75歳以上)患者264例と75歳未満の患者2,292例の結果を比較したもので、九州がんセンターの野崎 要氏らが欧州肺学会(European Lung Cancer Congress 2019)で発表した。対象患者はPD-L1(TPS)1%以上であり、高齢患者の半数はPD-L1(TPS)50%以上であった。 主な結果は以下のとおり。・PD-L1(TPS)1%以上の高齢患者における化学療法群と比較したペムブロリズマブ群の全生存期間(OS)のHRは0.76(95%CI:0.56~1.02)であった。 ・PD-L1(TPS)50%以上の高齢者のOSにおいてもペムブロリズマブ群が化学療法群に比べ改善した(HR:0.41、95%CI:0.23~0.73)。・高齢患者と若年者を比較した1年OS率は、PD-L1 (TPS)1%で53.7%対54.9%、PD-L1 (TPS)50%以上で61.7%対61.7%と、共に同程度であった。・ペムブロリズマブ群高齢患者の治療関連有害事象(TRAE)の頻度は、化学療法群に比べ少なかった(68%対94%)。Grade3~5のTRAEも、ペムブロリズマブ群で少なかった(24%対61%)。・高齢患者における免疫関連有害事象およびインフュージョンリアクションはペムブロリズマブ群で多くみられた(25%対7%)ものの、その頻度は若年者と同様であった(25%)。

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乳がんのリンパ浮腫が一過性から持続性になるリスク因子

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast-cancer-related lymphedema、以下BCRL)には一過性と持続性があるが、持続性への移行のリスク因子が明らかにされた。台湾・Koo-Foundation Sun Yat-Sen Cancer CenterのI-Wen Penn氏らによる5年間のコホート研究の結果、対象患者342例のうち3分の2が持続性で、「リンパ節転移が多い」「体重増加がある」「上腕周囲径の差(circumferential difference、以下CD)が大きい」患者ほど、持続性の尤度が高いことが示されたという。Supportive Care in Cancer誌2019年3月号掲載の報告。 研究グループは、(1)BCRLを有する全患者において、持続性リンパ浮腫(persistent lymphedema、以下PLE)のリスク因子を特定すること、(2)PLE発症の予測モデルを確立することを目的とし、BCRLを有する患者342例を、腫脹発症から中央値5年間追跡し解析を行った。 PLEの定義は、皮下組織の硬化、上腕CDまたは追跡期間中の腫脹再燃とした。 多重ロジスティック回帰法にて、PLEリスク因子(腫脹、治療、患者関連因子など)を特定した。モデルの予測精度は、ROC曲線下面積(AUC)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・BCRL342例のうち、229例(67%)がPLEであった。・多重ロジスティック回帰分析により、リンパ節転移の数(p=0.012)、初回腫脹時の最大上腕CD(p<0.001)、追跡期間中の同差の最大値(p<0.001)が、PLEの有意な予測因子であることが明らかにされた。AUCは0.908であった。・体重増加(p=0.008)と、追跡期間最終時の最大CD(p=0.002)を含めると、分析精度はさらに上昇することが示された(AUC=0.920)。

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リファンピシン耐性結核の治療期間短縮トライアル(解説:吉田敦氏)-1038

 多剤耐性結核(キードラッグであるイソニアジド[INH]とリファンピシン[RIF]の両者に耐性)の治療は非常に難しい。薬剤数が多く、期間も長くなり、副作用も多く経験する。WHOは2011年のガイドラインにおいて、遺伝子検査を含む早期の耐性検査の実施、フルオロキノロン薬の使い分け、初期に行われるintensive phaseの治療期間の延長と合計18ヵ月以上の治療を推奨しているが、一方でそれよりも短期間の治療レジメンで良好な成績を収めた報告(例:バングラデシュ研究1))も存在する。今回は、RIF耐性結核例(ただし、フルオロキノロンとアミノグリコシドは感性)を対象とし、バングラデシュ研究で多剤耐性結核に対して用いられたレジメンと同様の9~11ヵ月の短期療法と、WHOのガイドラインに従った20ヵ月の長期療法の2法について、第III相ランダム化比較試験が実施された(実施国はエチオピア、モンゴル、南アフリカ共和国、ベトナム)。 有効性の判定で「良好」という基準は、132週の時点で経過が良く、培養陰性である(または陰性のままである)ことと定めた。患者の33%はHIV陽性であり、77%は肺に空洞を有していたが、治療レジメンについて十分なアドヒアランスが確保できたのは、短期療法群で75%、長期療法群で43%であった。そして上記の基準を満足した割合は、両群で差はなかった。Grade3以上の副作用出現率にも差はなかったが、「良好」の基準を満たさない患者での結核菌再検出率、心電図上のQT延長、ALT上昇、120週までの死亡、フルオロキノロン・アミノグリコシドの耐性出現は短期療法群でやや多かった。 使用された抗結核薬の内訳をみると、短期療法では最初の16週はintensive phaseとしてカナマイシン、イソニアジド、プロチオナミド、モキシフロキサシン(高用量)、クロファジミン、エサンブトール、ピラジナミドを投与、その後のcontinuation phaseではカナマイシン、イソニアジド、プロチオナミドを除いた4剤を、開始から40週以上投与していた。一方で長期療法は国によって用いる薬剤が異なっており、intensive phaseは5剤以上で6ヵ月以上、continuation phaseも4剤となっていた。つまり短期療法は、モキシフロキサシンを重視し、薬剤数を多くした(しかし短めの)intensive phaseを採用することで、長期療法との違いを打ち出していることになる。 総じて、短期療法は治療期間の短縮と、アドヒアランスの維持には貢献するが、不整脈を含む心臓への副作用の増加と突然死・死因不明死、肝障害に関連しているようで、実際に主に短期療法群でQT延長を確認後、モキシフロキサシンを減量したり、レボフロキサシンに変更した例が存在した。短期療法でみられたこのような副作用・デメリットが、モキシフロキサシンによるのか、その用量によるのか、あるいは他剤との相互作用によるのか、具体的な情報はない。HIV重複感染率が高かったため、その影響が事象を複雑にもしている。なおバングラデシュ研究ではモキシフロキサシンでなくガチフロキサシンが用いられていたが、ガチフロキサシンは低血糖などの理由で、本邦・米国等では発売が中止となっている。また本邦ではシタフロキサシンが抗酸菌感染症に用いられることがあるが、本検討にはシタフロキサシンは含まれていない。 WHOは2018年末に多剤耐性結核およびRIF耐性結核のガイドラインを改訂した2)。この中で短期療法の章が新たに設けられ、本試験を含む臨床試験の結果を考慮した短期療法と適応についてのスタンスが述べられている。2011年に比べ大きな進歩があったが、必須な薬剤の絞り込み、耐性に関する遺伝子検査のさらなる導入、副作用の早期発見と対処・代替薬剤の変更など、課題はまだまだ多い。条件を設定した短期治療は、標準化、個別化それぞれへの一歩といえるだろうが、最終的に個々の治療をさらに向上させるには、今後も多大な努力が求められるであろう。■参考1)Van Deun A, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2010;182:684-692.2)WHO updates its treatment guidelines for multidrug- and rifampicin-resistant tuberculosis.

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SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用がRAS抑制薬以来初めて示される:実臨床にどう生かす?(解説:栗山哲氏)-1039

オリジナルニュースSGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会(2019/04/17掲載)本研究の概要 SGLT2阻害薬の腎保護作用を明らかにしたCREDENCE研究結果がNEJM誌に掲載された。この内容は、本年4月15日(メルボルン時間)にオーストラリアでの国際腎臓学会(ISN-WCN 2019)において発表された。これまでにSGLT2阻害薬の心血管イベントに対する有効性や副次的解析による腎保護作用は、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58の3つの大規模研究で示されてきた。本試験は、顕性腎症を有する糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Disease:DKD)の症例に対して腎アウトカムを主要評価項目とし、その有効性を明らかにした大規模研究である。 対象としたDKD患者背景は67%が白人で、平均年齢は63.0歳、平均HbA1c 8.3%、平均BMI 31%、平均eGFR 56.2mL/min/1.73m2、また尿アルブミン・クレアチニン比(UACR)の中央値は927mg/gCrの顕性腎症を呈するDKD例であった。併用薬は、99.9%にRAS抑制薬、69%にスタチンが投与されていた。対象の4,401例はカナグリフロジン100mg/日群(2,202例)とプラセボ群(2,199例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された。主要評価項目は「末期腎不全・血清クレアチニン(Cr)倍増・腎/心血管系死亡」の腎・心イベントである。2018年7月、中間解析の結果、主要評価項目発生数が事前に設定された基準に達したため、試験は早期中止となった。その結果、追跡期間中央値は2.62年(0.02~4.53年)である。主要評価項目発生率は、カナグリフロジン群:43.2/1,000例・年、プラセボ群:61.2/1,000例・年となり、カナグリフロジン群におけるハザード比(HR)は、0.70(95%信頼区間[CI]:0.59~0.82)の有意低値となった。カナグリフロジン群における主要評価項目抑制作用は、「年齢」、「性別」、「人種」に有意な影響を受けず、また試験開始時の「BMI」、「HbA1c」、「収縮期血圧」の高低にも影響は受けていなかった。「糖尿病罹患期間の長短」、「CV疾患」や「心不全既往」の有無も同様だった。副次評価項目の1つである腎イベントのみに限った「末期腎不全・血清Cr倍増・腎死」も、カナグリフロジン群における発生率は27.0/1,000例・年であり、40.4/1,000例・年のプラセボ群に比べ、HRは0.66の有意低値だった(95%CI:0.53~0.81)。また、サブグループ別解析では、HRはeGFRの低い群(30 to <60mL/min/1.73m2、全体の59%)、尿ACRの多い群(>1,000、全体の46%)であり、進展したDKDでリスクが低値であった(Forest plotで有意差はなし)。同様に副次評価項目の1つである「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」(CVイベント)も、カナグリフロジン群におけるHRは0.80(95%CI:0.67~0.95)となり、プラセボ群よりも有意に低かった。なお、総死亡、あるいはCV死亡のリスクは、両群間に有意差を認めなかった。 有害事象のリスクに関しても、プラセボ群と比較した「全有害事象」のHRは0.87(95%CI:0.82~0.93)であり、「重篤な有害事象」に限っても、0.87(95%CI:0.79~0.97)とカナグリフロジン群で有意に低かった。また、「下肢切断」のリスクに関しては、発生率はカナグリフロジン群:12.3/1,000例・年で、プラセボ群:11.2/1,000例・年との間に有意なリスク差は認めなかった(HR:1.11、95%CI:0.79~1.56)。また、「骨折」の発生リスクにも、両群間に有意差はなかった。CREDENCE:何が新しいか? SGLT2阻害薬が心血管イベントを減少させるだけではなく、腎保護作用があることは、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58においても、すでに明らかにされている。本試験の新規性は、「中等度に腎機能低下した顕性腎症を呈するDKD患者においてもSGLT2阻害薬の腎保護が確認された」との点に集約される。たとえば、EMPA-REG OUTCOME試験においてはeGFRが60mL/min/1.73m2以下の症例は26%でRAS抑制薬は81%に使用されていたが、CREDENCEにおいては59%の症例がeGFR 60mL/min/1.73m2と腎機能低下例が多い背景であった。従来、SGLT2阻害薬は、eGFRを急激に低下させるため腎機能悪化に注意する、eGFR低下例では尿糖排泄も減少するため使用の意義は低い、とされてきた。CREDENCEの結果は、DKDで腎機能が中等度に低下し慢性腎不全と診断される症例において早めにSGLT2阻害薬を開始すると長期予後改善が期待される、と解釈される。CREDENCEの結果を実臨床にどう生かす SGLT2阻害薬が登場する前には、腎保護作用のエビデンスが知られる唯一の薬剤は、RAS抑制薬であるACE阻害薬(Lewis研究)とARB(RENAAL研究とIDNT研究)であった。CREDENCEの結果から、糖尿病治療薬では初めてSGLT2阻害薬が腎機能低下例においても腎機能保護作用が期待されることが示唆された。 SGLT2阻害薬の薬理学的作用機序は、腎尿細管のSGLT2輸送系の抑制によるNa利尿と尿糖排泄である。本剤は、DKDに対してのTubulo-glomerular Feedback改善作用や腎間質うっ血の改善効果は、他の糖尿病薬や利尿薬とはまったく異質のものであり、Glomerulopathy(糸球体障害)のみならずTubulopathy(尿細管障害)やVasculopathy(血管障害)の改善などで複合的に腎保護に寄与すると考えられる。 さて、CREDENCEの結果を受け、実臨床において、腎機能が低下したDKDにおいてSGLT2阻害薬を使用する医家が増えるものと予想される。しかし、現状では腎機能低下例での安全性が完全に払拭されているわけではない。本研究の患者背景は、大多数が60代、白人優位、高度肥満者、腎機能は約半数でeGFRが60mL/min/1.73m2以上に保たれている患者での成績であり、中等度以上の腎機能低下例や高齢者ではやはり十分な配慮が必要となる。一般に、SGLT2阻害薬有効例は、食塩感受性やインスリン感受性の高い患者群と想定される。わが国に多い2型糖尿病患者群は、中高年、肥満傾向、比較的良好な腎機能、食塩摂取過剰、などの傾向があることから、本剤に対する効果は大いに期待される。一方、現時点ではCREDENCEの結果をDKD患者に普遍的に適応するのは、いまだ議論が必要である。日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2016年)においては、同剤の適正使用に対して慎重になるべきとの警鐘を鳴らしている。とくに75歳以上の高齢者においては、脱水、腎機能悪化、血圧低下、低血糖、尿路感染、また、利尿薬併用例、ケトアシドーシス、シックデイ、などに注意して慎重に薬剤選択することが肝要であるとしている。結局、本邦においてSGLT2阻害薬の腎機能低下例における今後の評価は、各医家の実臨床における経験に裏付けされることが必要と思われる。

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令和最初の大失敗【Dr. 中島の 新・徒然草】(271)

二百七十一の段 令和最初の大失敗ゴールデンウイークの10連休を皆さんはどのようにお過ごしになったでしょうか?私は出勤日が2日あったほかは、どこかに出かけることもなく、掃除、書類仕事、原稿作成、スライド準備などをしていました。たまっている懸案の片付けをすると心がスッキリして気持ちも良くなります。さて、大失敗というのは、ほかでもない連休中に起こったことです。実は、令和早々に亡くなった患者さんがおられ、私が死亡診断書を作成することになりました。中島「新しい元号になったから用心しないと。うっかり平成31年と書くようでは素人だな」慎重に死亡診断書を書いてご遺族に確認すると…遺族「ここはレイワでんな」中島「えっ?」遺族「先生はエイワと書いてはりますけど」中島「ほ、ほんまや!」なんと、「令和元年」と書くべきところを「永和元年」と書いていたのです。永和といえば14世紀の元号で、東大阪市にある駅の名前でもあります。アホ過ぎる!それにしても、よく遺族に確認したもんだ。名前や性別を間違って書いてしまうことがあるので、私は必ず発行する前に死亡診断書をご遺族にお見せするのですが、今回ほど確認して良かったと思ったことはありません。危うく600年以上前の日付で死亡診断書を出してしまうところでした。何事も用心しておくべきですね。令和になってしばらくは混乱があるかと思いますが、読者の皆様も、くれぐれもお気を付けください。最後に1句令和きて 最初の失敗 回避せり

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がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。 2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。米国に引けを取らないがん遺伝子検査 従来のがん薬物療法は、がん種を診断した後、そのがんに承認されている薬を使っていく形式だが、将来的には治療前に遺伝子診断を行うことで、患者さんにとって最もメリットの高い治療が効率的に選ばれる時代になることが期待されている。 ヒトゲノムの解析コストは、次世代シーケンサーの登場とともに劇的に低下しているが、全ゲノムシークエンスを実臨床に用いるには、解析結果から変異を抽出する作業やクオリティコントロールに高いコストがかかるため、もう少し時間がかかると言われている。検査の効率化を目指して、任意のゲノムを選択的に読み取るターゲットシークエンスや全エクソンシークエンスなども並行して開発が進んでおり、治療の選択に必要なバイオマーカーの研究も進展している。 「“日本のゲノム医療は米国と比較して遅れている”と言われる傾向にあるが、米国が承認したがん関連遺伝子検査は日本でも1年以内に承認されており、現在わが国で全国的に使えるものに関しては、日米でそれほど大きな差はない」と土原氏は説明した。整備されるがんゲノム医療の実施体制 わが国におけるがんゲノム医療の実施体制は整えられつつあり、2019年4月現在、全国に「がんゲノム医療中核拠点病院」が11ヵ所、「がんゲノム医療連携病院」が156ヵ所設置されている。中核拠点病院は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関として、連携病院は、中核拠点病院と連携して遺伝子検査結果を踏まえた医療を実施する医療機関として、国が指定した。 これにより、均てん化されたがんゲノム医療の提供が可能になり、質の高い遺伝子検査や公的保険の整備、説明・同意手順の標準化による患者保護などの、がんゲノム医療のベストプラクティスが目指されている。また、「がんゲノム情報管理センター」が国立がん研究センター内に設置され、中核拠点病院などから得られたゲノム情報や臨床情報をデータベースとして集約し、今後の診療や研究開発に役立てることが目標とされている。がんゲノム医療は拡大しつつあるが、まずは安全性が第一 従来から、エビデンスに基づいた承認薬によるがんゲノム医療は全国の保険医療機関で実施されており、最近は「遺伝子プロファイル検査」の導入も検討されるようになった。これは、中核拠点病院などで実施された患者の遺伝子検査結果などをもとに、専門家会議で総合的に判断し、医学的に効果が期待できる未承認薬を臨床試験や適応外使用として考慮するというもので、今後の適応拡大への足掛かりとして位置付けられている。 がん治療において、結果的に治療薬の効果が得られなかった場合、身体への侵襲性やコストなどを考えると、患者にとって非常にデメリットが大きい。医療経済的な側面を考えても、今後そういったミスマッチを減らしていくのは大きなポイントだという。 同氏は「新しい薬を使う際、その薬が効くか効かないかより、安全性が担保されているのか、予期せぬ副作用への対処法が確立されているのかをまず確認しなければならない。新しい薬の使い方は、わが国の医療全体で確立していくべき。これは、ゲノム解析だけでは解決できない」と慎重な姿勢を示した。がんゲノム医療の情報を医療機関で制御することも必要 1回の検査で複数の変異遺伝子を調査できる「がん遺伝子パネル検査」は、現在薬事承認の段階で、今年度中の保険適用が目指されている。2017年には日本臨床腫瘍学会・日本治療学会・日本学会が合同で『次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス(第1.0版)』を発刊した。しかし、本ガイダンスは遺伝子パネル検査が先進医療として認められる前に発刊されたため、現場での経験などを踏まえ、より使いやすいよう今年度に改訂予定だという。 「現在は、最先端医療を支えるための体制として、まず仕組みを作った段階。ゲノム医療についてTVなどで報道されると、医療現場にはさまざまな質問が寄せられる。患者が情報に溺れないよう、医療者側は正しい認識を持ち、患者に方向性を示すことも必要」と呼びかけた。がんゲノム医療の今後の課題はすでに見えてきている 遺伝子異常の“臨床的意義付け”に関する情報は日々更新されており、3ヵ月前の情報はすでに古くなっている可能性がある。診断をする際、最新の情報にどうアクセスするか、さらに、検査結果を伝えた後の患者などに、その情報をどう伝えていくかなどの方法を今後検討していく必要がある。 より確実な治療効果を予測するためには、多数例のゲノム情報と治療効果を含む臨床情報の集積が求められる。新しい技術をどれだけ早くコストをかけずに実現するのかはがんゲノム医療の当面の課題だが、研究と臨床のインターバルは短くなってきており、現在研究中の技術が実臨床に移るのはそう遠くない未来と考えられている。 同氏は「保険診療などの堅牢な規制と先進医療などの柔らかな規制を組み合わせて、より柔軟な枠組みが必要。新しい技術については、費用対効果の検証をどれだけ早く系統的に行うかなど、課題はひとつひとつ解決していかなくてはならないが、現段階においては安全性が最優先であることを念頭に置いてほしい。また、患者にはゲノム医療がすべての人に効果があるわけではないことをあらかじめ理解してもらう必要がある。医療者側は常に最新情報のアップデートをしていってほしい」と講演を締めくくった。

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BZP系薬剤抵抗性の小児けいれんてんかん重積、2次治療は?/Lancet

 ベンゾジアゼピン系薬剤抵抗性のけいれん性てんかん重積状態の小児における第2選択薬について、レベチラセタムはフェニトインに対し優越性は示されなかった。ニュージーランド・Starship Children's HospitalのStuart R. Dalziel氏らによる233例を対象とした非盲検多施設共同無作為化比較試験「ConSEPT」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年4月17日号で発表した。本症の小児における第2選択薬は、フェニトインが現行では標準薬とされているが、効果があるのは60%に過ぎず、副作用が多く認められるという。レベチラセタムは新しい抗けいれん薬で、急速投与が可能であり、潜在的により有効であること、副作用プロファイルへの許容もより大きいことが示唆されている。レベチラセタムvs.フェニトイン、てんかん発作臨床的消失率を比較 ConSEPTは、レベチラセタムまたはフェニトインのいずれが、ベンゾジアゼピン系薬剤抵抗性のけいれん性てんかん重積状態の小児における第2選択薬として優れているかを明らかにすることを目的とした試験。2015年3月19日~2017年11月29日にかけて、オーストラリアとニュージーランドの13ヵ所の救急救命部門(ER)を通じて、けいれん性てんかん重積状態で、ベンゾジアゼピン系薬による1次治療で効果が得られなかった、生後3ヵ月~16歳の患者を対象に行われた。 研究グループは被験者を5歳以下と5歳超に層別化し、無作為に2群に分け、一方にはフェニトイン(20mg/kg、20分で静脈または骨髄内輸液)を、もう一方にはレベチラセタム(40mg/kg、5分で静脈または骨髄内輸液)を投与した。 主要アウトカムは、試験薬投与終了5分後のてんかん発作の臨床的消失で、intention-to-treat解析で評価した。投与終了5分後のてんかん発作の臨床的消失率、50~60%で同等 試験期間中に639例のけいれん性てんかん重積状態の小児がERを受診していた。そのうち127例は見逃され、278例は適格基準を満たしていなかった。また、1例は保護者の同意を得られず、ITT集団には残る233例(フェニトイン群114例、レベチラセタム群119例)が含まれた。 試験薬投与終了5分後にてんかん発作の臨床的消失が認められたのは、フェニトイン群60%(68例)、レベチラセタム群50%(60例)であった(リスク差:-9.2%、95%信頼区間[CI]:-21.9~3.5、p=0.16)。 フェニトイン群の1例が27日時点で出血性脳炎のため死亡したが、試験薬との関連はないと判断された。そのほかの重篤な有害事象は認められなかった。

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進行性多巣性白質脳症、ペムブロリズマブで臨床的改善/NEJM

 進行性多巣性白質脳症(PML)の患者に対し、PD-1阻害薬ペムブロリズマブ投与により8例中5例で脳脊髄液(CSF)中のJCウイルス量が減少し、臨床的改善や安定化につながったことが示された。米国・国立神経疾患・脳卒中研究所のIrene Cortese氏らによる試験の結果で、著者は「PML治療における免疫チェックポイント阻害薬のさらなる研究の根拠が得られた」とまとめている。NEJM誌2019年4月25日号掲載の報告。ペムブロリズマブ2mg/kgを4~6週間ごと、1~3回投与 PMLは、JCウイルスが原因の脳の日和見感染症で、免疫機能が回復できなければ通常は致死的である。PD-1は、ウイルスクリアランスの障害に寄与する可能性がある免疫応答の制御因子であることが知られている。しかし、PD-1阻害薬ペムブロリズマブがPML患者において、抗JCウイルス免疫活性を再活性化しうるかは明らかになっていなかった。 研究グループは、「ペムブロリズマブはJCウイルス量を低下し、CD4陽性細胞およびCD8陽性細胞の抗JCウイルス活性を上昇させる」との仮説を立て試験を行った。 PMLの成人患者8例に対し、ペムブロリズマブ2mg/kgを4~6週間ごとに、1~3回投与した。被験者には、それぞれ異なる基礎疾患が認められた。in vitroでCD4陽性、CD8陽性の抗JCウイルス活性の上昇も確認 被験者はいずれも、少なくとも1回の投与を受け、3回超の投与は受けなかった。 全8例で、ペムブロリズマブによる末梢血中とCSF中のリンパ球におけるPD-1発現の下方制御が認められた。 5例については、PMLの臨床的改善や安定化が認められ、CSF中のJCウイルス量の減少と、in vitroのCD4陽性細胞およびCD8陽性細胞の抗JCウイルス活性の上昇も認められた。 一方で残りの3例については、ウイルス量や、抗ウイルス細胞性免疫応答の程度について、意味のある変化はみられず、臨床的改善も認められなかった。

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