食事と2型DMの関連、質の高いエビデンスは少ない/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/17

 

 食事と2型糖尿病の関連は広範に研究されてきたが、多くの評価項目に関して質の高いエビデンスは少なく、より包括的な検討を要することが、ドイツ・ハインリッヒ・ハイネ大学のManuela Neuenschwander氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年7月3日号に掲載された。2型糖尿病による多大な世界的健康負担や医療費を考慮すると、食事との関連に関する膨大な研究から得られた知見は重要である。その一方で、これらの関連の強度や精確度、潜在的なバイアスの影響を明確化する必要があるという。

153評価項目に関する53件のメタ解析のアンブレラレビュー
 研究グループは、食事と2型糖尿病の発生の関連に関するエビデンスを要約し、これらの関連の強度と妥当性を評価する目的で、前向き観察研究を対象とした既報の系統的レビューとメタ解析について、アンブレラレビューを行った(ドイツ連邦保健省などの助成による)。

 2018年8月の時点で、医学関連データベースに登録された論文を検索した。2型糖尿病の発生と、食事行動または食事の質の指標、食品群または単一の食品、飲料、アルコール飲料、あるいは主要栄養素や微量栄養素との関連に関する要約リスク推定値の報告が含まれる系統的レビューとメタ解析を対象とした。

 2型糖尿病の発生との関連に関する153の評価項目の調整済み要約ハザード比(HR)を報告した53件のメタ解析が選出された。

研究方法の質が「高い」は75%、エビデンスの質が「高い」は7項目のみ
 153項目の内訳は、食事行動または食事の質の指標との関連が12、食品群または単一の食品との関連が56で、飲料が10、アルコール飲料が12、主要栄養素が32、微量栄養素は31であった。

 研究の方法の質は、「高い」と判定された項目が115(75%)、「中等度」が35(23%)、「低い」は3(2%)だった。

 食事行動または食事の質の指標と、微量栄養素に関する項目には、エビデンスの質が「高い」と判定されたものはなかった。エビデンスの質が「高い」と判定されたのは、以下の7項目(食品群または単一の食品に関する項目が4、飲料、アルコール飲料、主要栄養素がそれぞれ1)であった。

 2型糖尿病の発生との逆相関に関して、エビデンスの質が「高い」と判定されたのは、全粒穀物(摂取量1日30g増加の調整済み要約HR:0.87、95%信頼区間[CI]:0.82~0.93)および穀類の食物繊維(1日10g増加、0.75、0.65~0.86)のほか、中等度のアルコール摂取(1日12~24g[1日0gとの比較]、0.75、0.67~0.83)であった。

 また、2型糖尿病の発生の増加に関して、エビデンスの質が「高い」と判定されたのは、赤肉(red meat)(摂取量1日100g増加の調整済み要約HR:1.17、95%CI:1.08~1.26)、加工肉(1日50g増加、1.37、1.22~1.54)、ベーコン(1日2枚ごと、2.07、1.40~3.05)、砂糖入り飲料(1日1サービング増加、1.26、1.11~1.43)であった。

 著者は、「メタ解析の方法の質は高かったが、エビデンスの質が高い評価項目は限られていた」とまとめ、「今後の研究では、高度な妥当性を有する食事データを入手し、エビデンスの質が低かった食事曝露や特定の食品群に重点的に取り組む必要がある。また、選択的出版バイアスを回避するために、調査が行われていない食事曝露などのデータを含む、より包括的な解析の報告が望まれる」としている。

(医学ライター 菅野 守)