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やりもせん事を!【Dr. 中島の 新・徒然草】(284)

二百八十四の段 やりもせん事を!先週末、大阪医療センターの初期研修医マッチング試験がありました。私も面接試験の試験官として参加いたしました。内容を言うわけにはいかないので、周辺エピソードを少し。私はいつも面接試験の最後に、「何か聞いておきたいことがありましたら、どうぞ」と受験生に尋ねています。すると、決まったように尋ねられるのが、「研修スタートまでにしておいたほうが良いことはなんですか?」「国家試験が終わってから読んでおくべき本はありますか?」といった質問です。何かそのような「模範質問」のようなものがあるんですかね?あまりにも皆が皆、同じ事を質問するので、こちらも同じ解答をしています。学生「何かしておいたほうがいいことはありますか?」中島「英語ですね」学生「英語……ですか?」中島「そう。外国人の患者さんが無茶苦茶多いんで、英語での診療が必要なんですよ」学生「なるほど」中島「外国人に英語で診療しろって言われたら、ちょっと引くでしょ」学生「そうですね」中島「そこで『1歩、前に出る勇気』が必要なわけ」ぬぬ、思わぬ名言が出てしまった。「1歩、前に出る勇気」とは!中島「いいですか、前に出る勇気ってのは、クソ度胸のことやない」学生「はい」中島「勉強や! これ以上できへん、と思うくらいの努力を重ねて、はじめて前に踏み出すことができるんや」学生「はいっ!」また名言が出てもた!「これ以上できへん、と思うくらいの努力」か、素晴らしい。「自分がやりもせん事を偉そうに」と、いつも女房には呆れられています。しかし、自分がやろうがやるまいが、真実には違いありません。確かもう一つは本の話でしたね。端的な答えのほうが相手に刺さります。学生「何か読んでおいたほうがいい本とか、ありますか?」中島「ハリソンかな」学生「ハ、ハリソンですか」中島「当然のことやけど、英語で読むんやぞ」学生「英語で……」中島「知り合いの先生は、90歳過ぎても原書のハリソンを読んどったで」学生「頑張ります!」実は、直接の知り合いではありません。知っている先生の御父上です。中島「専門医を取るのも結構、教授を目指すのも結構。でもな、内科医を名乗っていいのはハリソンを読んでいる医者だけやろ」学生「はいっ!」名言、とどまるところを知らず。我ながら恐ろしい。といいつつ、私自身は全然ハリソンを読んでいません。すみません。リタイアしたら、読む時間ができるかも。というわけで最後に1句読まずとも 人には薦めよ ハリソンを

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第26回 化学療法時に用いられる各制吐薬の有用性をエビデンスから読み解く【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 がん化学療法では、疼痛管理や副作用の予防などさまざまな支持療法を行うため、それぞれのレジメンに特徴的な処方があります。代表的な副作用である悪心・嘔吐に関しては、日本治療学会による制吐薬適正使用ガイドラインや、ASCO、NCCN、MASCC/ESMOなどの各学会ガイドライン1)に制吐療法がまとめられていますので、概要を把握しておくと患者さんへの説明やレジメンの理解に有用です。悪心・嘔吐は大きく、化学療法から24時間以内に出現する急性悪心・嘔吐、25~120時間に出現する遅発性悪心・嘔吐、予防薬を使用しても出現する突出性悪心・嘔吐、化学療法を意識しただけでも出現する予期性悪心・嘔吐に分けられ、化学療法の催吐リスクに応じて制吐薬が決められます。今回は主な制吐薬である5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロン、NK1受容体拮抗薬のアプレピタント、MARTAのオランザピンのエビデンスを紹介します。パロノセトロンまずは、2010年に承認された第2世代5-HT3受容体拮抗薬であるパロノセトロンを紹介します。本剤は従来のグラニセトロンやオンダンセトロンとは異なる構造であり、5-HT3受容体への結合占有率、親和性、選択性が高く、半減期も約40時間と長いことから遅発性の悪心・嘔吐にも有効性が高いとされています。2018年版のNCCNガイドラインでは、パロノセトロンを指定しているレジメンもあります1)。パロノセトロンとグラニセトロンの比較試験では、CR(Coplete Response)率、すなわち悪心・嘔吐がなくレスキュー薬が不要な状態が、急性に関しては75.3% vs.73.3%と非劣性ですが、遅発性に関しては56.8% vs.44.5%(p<0.0001、NNT 9)とパロノセトロンの有効性が示されています2)。また、同薬剤によりデキサメタゾンの使用頻度を減らすことができる可能性も示唆されています3)。添付文書によると、便秘(16.5%)、頭痛(3.9%)のほか、QT延長や肝機能値上昇が比較的高頻度で報告されているため注意が必要ですが、悪心の頻度が多いと予期性の悪心・嘔吐を招きやすくなるため、体力維持や治療継続の点でも重要な薬剤です。院内の化学療法時に静注される薬剤ですので院外では見落とされることもありますが、アプレピタント+デキサメタゾンの処方があれば、5-HT3受容体拮抗薬の内容を確認するとよいでしょう。アプレピタント2009年に承認されたアプレピタントは、中枢性(脳内)の悪心・嘔吐の発現に関与するNK1受容体に選択的に結合することで、悪心・嘔吐を抑制します。一例として、NK1受容体拮抗薬を投与された計8,740例を含む17試験のメタアナリシスを紹介します4)。高度または中等度の催吐性化学療法に対して、それまで標準的だった制吐療法(5-HT3拮抗薬、副腎皮質ステロイド併用)に加えてNK1受容体拮抗薬を追加することで、CR率が全発現期において54%から72%(OR=0.51、95%信頼区間[CI]=0.46~0.57、p<0.001)に増加しています。急性/遅発性の両方で改善効果があり、なおかつ、この高い奏効率ですので、本剤が標準的に用いられるようになったのも納得です。一方で、因果関係は定かではありませんが、重度感染症が2%から6%に増えています(1,480例を含む3つのRCT:OR=3.10、95%CI=1.69~5.67、p<0.001)。また、CYP3A4の基質薬剤なので相互作用には注意です。オランザピンMARTAのオランザピンは、D2受容体拮抗作用および5-HT3受容体拮抗作用によって有意な制吐作用を示すと考えられており、2017年に制吐薬としての適応が追加されました。直近のASCOやNCCNのガイドラインの制吐レジメンにも記載があります1)。従来の5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用と、同レジメンにオランザピンまたはプラセボを上乗せして比較した第3相試験5)では、シスプラチンまたはシクロホスファミド、およびドキソルビシンで治療を受けている乳がんや肺がんなどの患者を中心に約400例が組み入れられました。併用の5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンが約75%で、次いでオンダンセトロンが24%でした。ベースの制吐薬3剤は、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬に加えて、デキサメタゾンが1日目に12mg、2~4日目は8mg経口投与でガイドラインのとおりです。エンドポイントである悪心なしの状態は0~10のビジュアルアナログスケールで0のスコアとして定義され、化学療法後0~24時間、25~120時間、0~120時間(全体)で分けて解析されました。いずれの時点においてもオランザピン併用群で悪心の発生率が低く、化学療法後24時間以内で悪心がなかった割合はオランザピン群74% vs.プラセボ群45%、25~120時間では42% vs.25%、0~120時間の5日間全体では37% vs.22%でした。嘔吐やレスキューの制吐薬を追加する頻度もオランザピン群で少なく、CR率もすべての時点で有意に改善しています。なお、忍容性は良好でした。論文内にあるグラフからは、2日目に過度の疲労感や鎮静傾向が現れていますが、服用を継続していても後日回復しています。うち5%は重度の鎮静作用でしたが、鎮静を理由として中止に至った患者はいませんでした。服用最終日およびその前日には眠気は軽快しています。以上、それぞれの試験から読み取れる制吐薬の効果や有害事象を紹介しました。特徴を把握して、患者さんへの説明にお役立ていただければ幸いです。1)Razvi Y, et al. Support Care Cancer. 2019;27:87-95.2)Saito M, et al. Lancet Oncol. 2009;10:115-124.3)Aapro M, et al. Ann Oncol. 2010;21:1083-1088.4)dos Santos LV, et al. J Natl Cancer Inst. 2012;104:1280-1292.5)Navari RM, et al. N Engl J Med. 2016;375:134-142.

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トラックドライバーの日中の眠気とアルコール消費との関係

 商用車ドライバーの交通事故の主な原因として、日中の過度な眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)が挙げられる。アルコール消費は、睡眠に直接的な影響を及ぼし、翌日の注意力やパフォーマンスに悪影響を及ぼす。順天堂大学のRonald Filomeno氏らは、日本の商用トラックドライバーにおけるアルコール消費とEDSとの関係および、このことが公衆衛生に及ぼす影響について横断的研究を実施した。Occupational Medicine誌オンライン版2019年7月2日号の報告。 対象は、東京都および新潟県の商用車ドライバー。対象者は、年齢、BMI、アルコール消費量、エプワース眠気尺度(ESS)、タバコ消費量の詳細を含む自己管理型アンケートに回答した。対象者の酸素飽和度低下指数は、対象者が自宅に持ち帰ったパルスオキシメーターで評価された。 主な結果は以下のとおり。・全日本トラック協会に登録されている20~69歳の男性ドライバー1,422人が回答した。・43歳未満のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整オッズ比(OR)は、軽度飲酒者で0.81(95%CI:0.47~1.40)、中等度飲酒者で0.93(95%CI:0.51~1.70)、大量飲酒者で0.61(95%CI:0.21~1.79)であった。・43歳以上のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整ORは、軽度飲酒者で1.42(95%CI:0.59~3.45)、中等度飲酒者で1.53(95%CI:0.63~3.75)、大量飲酒者で3.37(95%CI:1.14~9.96)であった(P for interaction=0.05)。 著者らは「ESSとアルコール摂取との関連について、アルコール消費量の増加とともにEDSレベルが上昇することが示唆され、とくに43歳以上ではその関連がより顕著である」としている。

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妊娠中の新型インフルワクチン接種、出生児5歳までのアウトカム/BMJ

 妊娠中に受けた2009年パンデミックH1N1(pH1N1)インフルエンザワクチン接種と、出生児の5歳までの健康アウトカムについて、ほとんど関連性は認められないことが、カナダ・オタワ大学のLaura K. Walsh氏らにより報告された。10万例超の出生児を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果で、若干の関連性として、喘息の増加と消化器感染症の低下が観察されたが、著者は「これらのアウトカムは、さらなる検討で評価する必要がある」と述べている。BMJ誌2019年7月10日号掲載の報告。感染症、喘息、腫瘍、感覚障害、入院などのリスクを検証 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の住民ベースの出生レジストリと健康管理データベースを結び付けて、2009年11月~2010年10月の出生児10万4,249例について、母親が妊娠中に受けたpH1N1インフルエンザワクチン接種と、5歳までのアウトカムとの関連を検証した。 主要アウトカムは、免疫関連疾患(感染症、喘息)、免疫に関連しない疾患(腫瘍、感覚障害)、非特異的疾患アウトカム(救急または入院医療サービス利用、小児の複合的な慢性疾患)の割合だった。5歳までの死亡率についても評価を行った。 傾向スコア重み付け法を用いて交絡因子を補正し、ハザード比、罹患率比、リスク比を算出した。ほとんど関連なし、わずかに喘息リスクが1.05倍、消化器感染症が0.94倍 10万4,249例のうち、子宮内でpH1N1インフルエンザワクチンの曝露を受けたのは3万1,295例(30%)だった。 解析の結果、上気道・下気道感染、中耳炎、感染症、腫瘍、感覚障害、救急または入院医療サービス利用、小児複合慢性疾患、死亡のいずれについても、有意な関連は見つからなかった。 ただしわずかな関連性として、喘息リスクの増加(補正後ハザード比:1.05、95%信頼区間:1.02~1.09)、消化器感染症の低下(補正後罹患率比:0.94、同:0.91~0.98)が認められた。これらの関連性は、受療行動や医療サービスへのアクセスについて潜在的格差を反映して行った感度分析でも、同様に認められた。

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ART実施のHIV陽性者、同性間でコンドーム不使用でも伝播せず/Lancet

 抗レトロウイルス薬療法(ART)によりウイルス量が抑制されているHIV陽性の男性同性愛者が、HIV陰性の同性パートナーとコンドームを使用せずに性行為を行っても、陰性パートナーへのHIV伝播リスクはゼロであることが示唆されたという。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlison J. Rodger氏らが行った「PARTNER」試験の結果で、Lancet誌2019年6月15日号で発表した。これまでの試験で、異性間カップルでは同リスクがゼロであることは明らかになっていた。著者は「今回の結果は、“U=U(undetectable equals untransmittable)キャンペーン”のメッセージを支持するものであり、HIVの早期検査と治療のベネフィットを裏付けるものである」と述べている。コンドーム不使用の性行為をした同性カップルを追跡 PARTNER試験は、ヨーロッパ14ヵ国、75ヵ所の医療機関を通じて行われた前向き観察試験。2010年9月15日~2014年5月31日に行った「PARTNER1」試験では、パートナーがHIV陽性でARTを受けウイルスが抑制されている異性愛者カップルおよび男性同性愛者のカップルで、コンドーム不使用の性行為を報告したカップルを対象に追跡を行った。その後延長して行われた「PARTNER2」試験(追跡終了2018年4月30日)では、男性同性愛者カップルのみを追跡した。 追跡中の受診時に、性行為に関する質問、HIV陰性パートナーに対するHIV検査、HIV陽性パートナーに対するHIV-1ウイルス量測定検査を行った。HIV陰性パートナーに抗体陽転が見つかった場合には、匿名で系統学的検査を行い、HIV-1のpolとenvの遺伝子配列を比較してパートナーからの感染可能性を検証した。 解析対象(カップル追跡年)には、コンドーム不使用の性行為を報告したカップルで、HIV陰性パートナーから性行為前・後の予防投与の報告がなく、HIV陽性パートナーのウイルス量が抑制されていた(直近1年以内の検査で血中HIV-1 RNA<200コピー/mL)場合のみを適格として組み入れた。カップル782組を中央値2.0年追跡 2010年9月15日~2017年7月31日にかけて、972組の男性同性愛カップルが試験に登録された。カップル追跡年数は1,593(782組)カップル年、追跡期間中央値は2.0年(IQR:1.1~3.5)だった。ベースラインのHIV陽性パートナーの年齢中央値は40歳(同:33~46)、コンドーム不使用の性行為の期間中央値は1.0年(同:0.4~2.9)だった。 解析対象としたカップル追跡年における、コンドーム不使用の肛門性行為の報告回数は7万6,088回だった。また、HIV陰性男性777例のうち、288例(37%)がパートナー以外とのコンドーム不使用の性行為を報告した。 カップル追跡年において、新規HIV感染の発生は15例だった。しかし、いずれも系統学的にパートナーから伝播ではなく、ARTを受けるHIV陽性パートナーからのHIV伝播率はゼロと認められた(95%信頼区間上限値:0.23/100カップル追跡年)。

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ダコミチニブの用量調整と日本人肺がん患者の治療期間(ARCHER1050)/日本臨床腫瘍学会

 第2世代EGFR-TKIダコミチニブは、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療を評価する第III相ARCHER1050試験において、有意な無増悪生存期間(PFS)改善を示した。この改善効果は日本人サブセットでも一貫して確認されている。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、神奈川県立がんセンターの加藤 晃史氏が、ARCHER1050試験の日本人サブセットにおけるダコミチニブの投与量調整の状況とその影響について発表した。ARCHER1050 試験概要・対象患者:EGFR変異陽性のStage IIIB/IVまたは再発NSCLC患者(CNS転移患者は除外)・試験薬:ダコミチニブ 45mg/日・対照薬:ゲフィチニブ250mg/日・評価項目:[主要評価項目]独立評価委員会によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治験担当医師によるPFS、奏効率、奏効期間、治療成功期間、安全性、患者報告アウトカム。 今回の発表の主な結果は以下のとおり。・ARCHER1050 全集団452例のうち日本人集団は81例で、ダコミチニブ群は40例であった(ゲフィチニブ群は41例)。・ダコミチニブ群で減量を行った日本人症例の割合は85%(40例中34例)であり、試験全集団の66.1%(227例中150例)に比べ高かった。・ダコミチニブ減量症例34例のうち11例(27.5%)は1段階減量(45→30mg/日)、23例(57.5%)は2段階減量(45→30→15mg/日)であった。・ダコミチニブの減量状況と治療期間をみると、非減量グループが最も短く、2段階減量グループが最も長かった。 ダコミチニブは日本人患者においても一貫したPFSとDCRの改善を示している。日本人サブセットでは減量例が多いが、忍容性に合わせた用量調整はダコミチニブ継続使用の鍵である、と加藤氏は述べた。

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飽くことなき向上心(解説:今中和人氏)-1093

 全米521施設での、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)のstroke発生率の経時的推移を見た論文である。対象は2011年11月~2017年5月まで5年余の間の10万1,430例(年齢中央値83歳、女性47%)で、20%に中等度以上の弁逆流があり、三尖以外の形態の弁が10%、透析患者が4%含まれていた。塞栓防止フィルターの使用については、本文中には詳細な記述がない。 全調査期間のstroke発生率は2.3%(うち約5%が出血性梗塞)、一過性脳虚血は0.4%で、イベント発生はTAVR当日が半数、中央値は2日だった。発生率は調査期間を通じて不変で、リスク因子は、有意ではあるが年齢も84歳vs.82歳。そのほか、女性、stroke既往、PAD合併、頸動脈狭窄合併、STSスコア高値などが挙がっていて、n数が大きいので有意差はついたが、臨床の現場でselectionに資するほどの違いはない。施設ごとの経験症例数(カットオフ100例)や、いかにも関係ありそうな糖尿病や心筋梗塞既往、腎障害や心房細動の有無もstroke発生率に有意差はなかった。過日、問題となった血栓弁と抗凝固療法についても、観察期間が30日とごく短いこともあってstrokeと無関係だった。 塞栓防止フィルター関連の論文だと、MRIでの新規病変を検討したりするのでstroke発生率は10%内外となるが、臨床的に問題となるdisabling strokeについては、大抵1~2%程度である。本論文の著者らは、stroke発生頻度に目立った減少傾向がないことを「残念な現状」というニュアンスで書いているが、外科的大動脈弁置換を行う立場からすると、あんなゴリゴリに石灰化した弁を強引にへし折るようなまねをして、この程度しかstrokeが起きないことのほうが驚きであり、ご立派としか言いようがない。 外科的弁置換では石灰化病変を破砕・露出させるうえ、必ずしも健常でない大動脈に遮断鉗子をかけ、切開し、縫合する。近年は上行大動脈の性状が悪い患者が増えていることもあり、同程度にstrokeが発生する。コマゴマした破片も神経質につまみ出し、こぼれ落ちたかもしれない破片を排除すべく、祈りを込めて何度も洗浄している私たち外科医って一体何やってるんだろう、と、TAVRの2%内外という成績に技術革新の波動を体感する思いがする。TAVRという治療の荒っぽさを思えばおのずと限界はあるはずで、すでにその限界近くに到達している気もするが、2%を容認せずさらなる低下を目指す「飽くことなき向上心」をたたえ、今後の展開に期待したい。 本邦では本稿執筆時点で170弱のTAVR実施施設が認定されており、極端な施設や地域では外科的大動脈弁置換という術式がほぼ消滅したとも聞く。感染症例は言うに及ばず、二尖弁では塊状の石灰化がまれでないためかstrokeは多少増えるようだし、機械弁が適している症例も少なくないはずで、医者側も患者側も、そこまでの傾倒はいかがなものかと思う。先行する欧米もそんな状況にはなっていない。弁輪破裂などの重大事故のほか、いまだ高率な房室ブロックやリークなどの課題、デバイスがきわめて高額なこと(しかも最新鋭ではない!)など、TAVRも良いことずくめではないが、低侵襲性は議論の余地もない。急ピッチのデバイス改良が続き、今やターゲットはintermediate surgical riskからlow riskの患者へと移りつつある。スムーズな治療経過が次の症例を呼び込むわけなので、TAVRが導入されないままの循環器部門は、今後、施設集約化の波にのみ込まれてゆく可能性が高いと思われる。

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第14回 その失神、あれが原因ではないですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)失神は突然発症だ! 心血管性失神を見逃すな!2)発症時の痛みの有無を必ずチェック!3)検査前確率を正しく見積もり、必要な検査の提出を!【症例】60歳男性。工事現場で現場監督をしていた際に、気を失った。目撃した現場職員が呼び掛けたところ、数分で意識は改善した。倦怠感、37℃台の微熱も認め救急外来を独歩受診した。●来院時のバイタルサイン意識清明血圧158/98mmHg脈拍102回/分(整)呼吸18回/分SpO297%(RA)体温37.4℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧を健康診断で指摘されたことはあるが未受診内服薬定期内服薬なし意識障害vs.意識消失意識障害と意識消失の違いは理解できているでしょうか。できていない方は過去の本連載を振り返って読んでみてください。普段の意識状態と比較するのがポイントでした(普段から認知症によって3/JCSの方が見当識障害を認めても、それは意識障害とは言えませんよね)。今回の症例では、目撃した同僚の方の話では、初めは「ぼっー」としていたものの、数分で普段どおりになったようです。意識障害というよりは意識消失、そして明らかな痙攣の目撃がなく、速やかに意識が戻っているようであれば、まずは「失神」として対応するのがよいでしょう。失神のアプローチ失神の定義は前回述べたとおりですが、具体的に失神と認識したらどのようにアプローチするべきでしょうか。私は表1の事項を意識して対応しています。詳細はこちらの本(『あなたも名医! 意識障害』(日本医事新報社)1))でぜひご確認ください。表1 失神のアプローチ画像を拡大する本稿では、(4)「前駆症状(とくに痛み)を確認する」に関して取り上げましょう。前回の症例でもそうでしたが、失神? と思ったら必ず痛みの有無を確認し、頭頸部に痛みがあればクモ膜下出血を、胸背部痛など頸部以下の痛みを伴う場合には大動脈解離を一度は考え、意識して病歴や身体所見を評価することが大切です。目の前の患者は大動脈解離なのか?大動脈解離が失神の鑑別に上がっても、そこで立ち止まってしまうことはないでしょうか。大動脈解離の来院パターンはいくつかありますが、代表的なものは胸痛などの痛みを訴えて来院、意識障害、そして今回のような失神です。大動脈解離の10%程度は失神を認めるということを頭に入れておくとよいでしょう2)(表2)。表2 発症時の症状画像を拡大する医学生のときに誰もが習う、「突然発症の胸背部痛で痛みが移動し、血圧の左右差を認める」という症例は、残念ながら病院にたどり着けないことが多いものです。実臨床では、「何らかの痛みが突然始まる」と覚えておくとよいと思います。失神→心血管性失神の可能性→発症時の痛みをチェック→大動脈解離かも? クモ膜下出血かも? こんな感じです。大動脈解離らしいか否か、確定診断するために必要な造影CT検査をオーダーするか否か、これはどれほど疑っているかに依存します。すなわち検査前確率を正しく見積もり、必要な検査をオーダーすることが大切なのです。ADD risk score(表3)を意識して「らしさ」を見積もりましょう3)。(1)基礎疾患、(2)痛みの性状、(3)身体所見、これら3項目のうちいくつの項目に該当するのかを評価します。そして、それが1項目以下の場合には可能性は低く、2項目以上に該当する場合には精査をしなければなりません(図)。表3 ADD risk score -大動脈解離は否定できるか-画像を拡大する図 大動脈解離疑い症例 -実践的アプローチ-画像を拡大するD-dimerか、造影CT検査か大動脈解離を疑った際にベッドサイドで行う検査としてエコーは必須ですが、フラップや心嚢液貯留が明らかな症例は、決して多くはありません。もしあればその時点で強く疑い、専門科へコンサルト、または造影CT検査をオーダーすることに躊躇はありませんが、実際にははっきりせず採血や画像検査を行うことになるでしょう。検査が迅速に施行できない環境であれば、突然発症の痛みや痛みに伴う失神ということのみでコンサルト、転院の打診でもまったく問題ありません。D-dimerは有用な検査ですが、ルーティンに提出するものではありません。肺血栓塞栓症を疑った際にも同様ですが、可能性が低いと思っている症例にのみ提出し、陰性をもって否定するのです。具体的には先述の図にのっとればよいでしょう。ADD risk scoreを評価し、2項目以上に該当した場合には、施行すべき検査は造影CT検査です。D-dimerを出すなというわけではありません。必要な検査をきちんとやる必要があるということです。大動脈解離の典型例を見逃すことはあまりありません。一見、軽症に見える患者の中からいかにして拾い上げるのか、それがポイントとなります。繰り返しになりますが、失神は瞬間的な意識消失発作であり突然発症です。そこに痛みの関与があれば疑いたくなりますよね。本症例のように、痛みが入り口でない場合でも、転倒の背景に失神が、そして失神の原因が心血管性失神(HEARTS)ということが決して珍しくありません。バイタルサインが安定しており、重症感がない患者だからこそ、きちんと病歴を聴取し、身体所見を根こそぎ取りましょう。1)坂本壮ほか. あなたも名医! 意識障害. 日本医事新報社;2019.2)Hagan G, et al. JAMA. 2000;283:897-903.3)Adam M, et al. Circulation. 2011;123:2213-2218.4)Nazerian P, et al. Circulation. 2018;137:250-258.

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第17回 実は脂質が多い!外食の人気メニュー【実践型!食事指導スライド】

第17回 実は脂質が多い!外食の人気メニュー医療者向けワンポイント解説外で食事をする際に、カロリー表示を気にする方は多くいますが、脂質や三大栄養素の配分について考えている方はほとんどいません。「肉だから大丈夫」「野菜が入っているからバランスが良い」そう考えていても、実は脂質の割合が多い外食メニューはたくさんあります。今回は代表的な脂質の多いメニュー3品を、タンパク質量が多く、脂質の少ないヒレステーキと比較しました。●ハンバーグファミレスをはじめ、ステーキの専門店などでもハンバーグを注文する方は多くいます。ハンバーグを割った際のじゅわっとあふれる汁を「旨味成分の肉汁」と考えている方も多いようですが、「溶けた脂質」がほとんどです。脂質なので、旨味成分としては正解ですが、脂質量やカロリーは過多になります。ハンバーグの原材料であるひき肉は、赤身と脂肪を一定の割合で混ぜて作ります。つまり、純粋な赤身肉部分だけよりも脂質の割合が高くなっているわけです。<参考>デニーズ:All Beefハンバーグ~デミグラスソース(デミグラスソースハンバーグ)556Kcal、タンパク質29.5g、脂質38.1g、炭水化物24g●カレーカレールゥの原材料表示を見ると、どのメーカーも小麦粉と食用油脂(牛脂、豚脂、牛脂豚脂混合油、パーム油など)のどちらかが必ず1番目と2番目にきます。この食用油脂のメインは動物性脂質です。つまり、カレールゥは「スパイスのかたまり」ではなく、「小麦粉と動物性脂質のかたまり」にスパイスを加えたものということです。あまり具材の入っていないカレーを食べる場合、栄養バランスはご飯(炭水化物)にルゥ(脂質)をかけて食べるというイメージになります。具材が多く含まれるカレーを選ぶことが大切です。<参考>CoCo壱番屋:ポークカレールゥ(ポークカレーからライス300gを抜いて計算)251kcal、タンパク質4g、脂質19.1g、炭水化物15.2g*ポークカレーは755kcal、タンパク質11.5g、脂質20g、炭水化物126.5g●牛丼牛丼チェーン店の牛肉は、やわらかく旨味のあるバラ肉を使用しています。牛肉がたくさんのっていると考えている方も多いですが、脂肪部分が半分程度を占めるため脂質の割合が高くなります。脂質だけではなく、糖分や塩分も高くなりがちなメニューです。<参考>吉野家:牛丼(並盛)アタマ(ご飯230gを抜いて計算)266kcal、タンパク質14.4g、脂質19.7g、炭水化物7.5g*牛丼(並盛)は652kcal、タンパク質20.2g、脂質20.4g、炭水化物92.8g●比較対象のヒレステーキ300kcal分ヒレ部分は肉の中でも脂質が少ない部位です。また、ステーキは調味料で焼くだけのシンプルな調理法です。外食でタンパク質を摂取しよう、脂質を低くしようと考える場合、ヒレや赤身、胸肉、ささみなどの低脂肪な部位をシンプルに調理したメニューを意識すると、脂質が減り、タンパク質を摂取できるので良いでしょう。<参考>牛ヒレ(輸入牛)ステーキ250gエネルギー333kcal、タンパク質51.3g、脂質12g、炭水化物0.8g

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鉄剤と葉酸の漫然投与を見抜き中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第2回

 処方提案をする際には、副作用や相互作用による影響を検討するだけでなく、患者さんの希望を聞き取り、前向きに治療を受けられるようにすることも重要です。今回は、多剤併用に悲観的な患者さんに漫然投与されていた薬剤の中止提案を行った症例を紹介します。患者情報施設入居、70歳、女性、身長:140cm、体重:50kg現病歴:関節リウマチ、高血圧、骨粗鬆症処方内容アムロジピン錠2.5mg 1錠 朝食後エソメプラゾールカプセル20mg 1カプセル 朝食後クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 2錠 朝食後アルファカルシドール錠0.5μg 2錠 朝食後センナ・センナ実顆粒1g 朝夕食後葉酸錠5mg 2錠 朝夕食後アレンドロン酸錠35mg 1錠 起床時・木曜日症例のポイントこの患者さんは、「処方される薬が多いのは自分が重い病気だからであり、これ以上楽になることはない」と考え、悲観的になっていました。多剤併用が苦痛だったようです。上記の薬剤を継続することによって、心理的負荷の増加、鉄剤継続に伴う便秘や肝機能障害、胃腸障害などの懸念もありました。そこで、薬剤の削減ができないか見直しました。関節リウマチなどの炎症性疾患の患者さんでは貧血が比較的多くみられますが、それらによる二次性貧血の場合は原疾患の治療の見直しが必要になることがあります。また、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠が長期間投与されていますが、メトトレキサートの副作用予防のための葉酸というわけでもないため患者さん自身はあまりメリットを感じておらず、投与量の見直しも行われていないようです。そこで、鉄欠乏性貧血もしくはリウマチに伴う二次性貧血の見極めの必要性、そして葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の漫然投与の可能性を考え、血液検査からのアプローチを行いました。鉄欠乏性貧血は、貯蔵鉄が枯渇することでHb(ヘモグロビン)合成材料の血清鉄が不足して起こる。鉄の貯蔵と血清鉄の維持を行うフェリチンは鉄の貯蔵状態を反映しており、鉄剤治療を行う際の重要なモニタリング項目となる。貯蔵鉄を運搬するTIBC(トランスフェリン)は鉄欠乏の状態で増加することから、TIBCの増加は鉄の全体量としての不足を意味する。本来、鉄欠乏性貧血は、Hb:男性12g/dL未満・女性11g/dL未満、フェリチン:12ng/dL未満、TIBC:360μg/dL以上が治療対象となる。処方提案と経過往診同行の際に、医師に葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の評価を提案しました。葉酸錠については葉酸、クエン酸第一鉄ナトリウム錠についてはフェリチンとTIBCの検査オーダーを依頼し、下記の血液検査結果(1)の結果が得られました。TIBCが正常であり、葉酸は充足過剰かつフェリチンが十分であることからリウマチの二次性貧血が疑われますが、めまい・ふらつき・倦怠感などの自覚症状もないことから、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の処方中止を医師に提案し、中止となりました。血液検査結果(1)(介入時提案)MCV:97、Hb:9.9g/dL(↓)、Alb:3.0g/dL、AST:13U/L、ALT:4U/LBUN:14.0mg/dL、Scr:0.61mg/dL、Na:139mEq/L、K:3.5mEq/L、Ca:9.1mg/dLFe:35μg/dL(↓)、TIBC:420μg/dL、フェリチン:203.5ng/mL、葉酸:706.0ng/mL(↑)両剤を中止後、自覚症状の出現や増悪などもなく2週間が経過し、服用錠数が減ったことで気持ちも楽になったことを患者さんより聞き取りました。フォロー中の血液検査結果(2)でも血清鉄こそ基準値に満たないものの、フェリチンは充足しており、自覚症状の出現もなく安定した体調を維持しています。本症例は、関節リウマチによる二次性貧血の可能性が高く、原疾患の治療コントロールを目標に現在もフォローを継続しています。血液検査結果(2)(処方変更3ヵ月後の検査結果)MCV:96、Hb:11.6g/dL、Alb:3.7g/dL、AST:16U/L、ALT:5U/L、BUN:16.2mg/dL、Scr:0.55mg/dL、Na:137mEq/L、K:4.0mEq/L、Ca:9.0mg/dLFe:30μg/dL(↓)、TIBC:385μg/dL、フェリチン:192.5ng/mL、葉酸:4.7ng/mL日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会 編. 鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第3版. 響文社;2015.

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精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサント1週間投与のオープンラベル試験

 精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサントの有効性および安全性に関する報告は、これまで行われていなかった。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、精神疾患患者を対象に、不眠症に対するスボレキサントの1週間プロスペクティブ臨床試験を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。 試験開始の前週に不眠症状(総睡眠時間[TST]6時間未満、入眠時間[TSO]30分以上、入眠後2回以上の中途覚醒エピソードのいずれか)を4夜以上経験した精神疾患患者57例を対象に、スボレキサント固定用量による1週間の単一群プロスペクティブ臨床試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は49.4±17.3歳、女性の割合は54.4%、うつ病患者49.1%、試験完了率77.2%であった。・スボレキサント投与は、ベースラインスコア(試験開始前2日間の平均スコア)と比較し、1週目のTST、TSO、中途覚醒、患者睡眠満足度の有意な改善と関連が認められた。・有害事象が発現した患者は43.9%であった。主な有害事象は、眠気(28.8%)、疲労感(11.5%)、悪夢(5.8%)、頭痛(3.8%)、めまい(3.8%)、嘔吐(1.9%)であった。 著者らは「スボレキサントは、精神疾患患者の不眠症治療に有用な薬剤である。しかし、本研究は短期間であり、対象患者数も少数であったことから、より大規模な長期試験が必要とされる」としている。

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糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。 糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものである。 本研究では、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」を用いて、2015年度に糖尿病薬の定期処方を受けている外来患者(約415万例)が、『糖尿病治療ガイド』(日本糖尿病学会 編・著)などで推奨されている糖尿病関連の検査を受けている割合を糖尿病診療の質指標として測定した。同時に、都道府県別、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別の指標も計算し、さらに施設単位の指標のばらつきを観察した。網膜症検査と尿検査の実施割合の低さが顕著 主な結果は以下のとおり。・血糖コントロール指標(HbA1c またはグリコアルブミン)を測定したのは96.7%・網膜症検査を受けたのは46.5%(都道府県別範囲:37.5−51.0%、認定有無別:44.8%(認定無し)対59.8%(認定有り))・尿定性検査を受けたのは67.3%(都道府県別範囲:54.1−81.9%、認定有無別:66.8%対92.8%)・尿アルブミンまたは蛋白の定量検査を受けたのは19.4%(都道府県別範囲:10.8−31.6%、認定有無別:18.7%対54.8%) 以上から血糖コントロール指標の測定は良好ではあるものの、網膜症検査と尿検査の実施割合が低く、また詳細な解析においては都道府県別・施設別のばらつきが課題であることが判明した。着実な検査の実施が糖尿病診療の質の向上に寄与 研究グループでは、新しい検査・治療の開発などにより、取るべき指標や指標の定義も変わることもあるとしながらも、「これらの数値は糖尿病診療の質指標と捉えることができ、医療従事者が着実な検査実施に注意を払うことで、今後の糖尿病診療の質が向上することが期待されるとともに、都道府県が医療計画などを立案する際や診療報酬改定に関して議論を行う際の資料になるなど、エビデンスに基づいた政策立案を推進することが考えられる」と展望を述べている。

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抗凝固療法終了後のVTE、10年で3分の1以上が再発/BMJ

 非誘発性の静脈血栓塞栓症(VTE)の初回エピソードを発症し、3ヵ月を超える抗凝固療法を終了した患者における累積VTE再発率は、2年で16%、5年で25%、10年では36%に達することが、カナダ・オタワ大学のFaizan Khan氏らMARVELOUS共同研究グループの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年7月24日号に掲載された。抗凝固療法は、非誘発性VTEの初回エピソード後のVTE再発リスクの抑制において高い効果を発揮するが、この臨床的な有益性は抗凝固療法を中止すると維持されなくなる。抗凝固療法を無期限に中止または継続すべきかの判断には、中止した場合のVTE再発と、継続した場合の大出血という長期的なリスクとのバランスの考慮が求められるが、中止後のVTE再発の長期的なリスクは明確でないという。中止後の長期のVTE再発率をメタ解析で評価 研究グループは、非誘発性VTEの初回エピソード例において、抗凝固療法中止後のVTE再発を評価し、最長10年の累積VTE再発率を検討する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 2019年3月15日までに、医学データベースに登録された文献を検索した。対象は、非誘発性VTEの初回イベントを発症し、3ヵ月以上の抗凝固療法を終了した患者において、治療中止後の症候性VTEの再発について報告した、無作為化対照比較試験または前向きコホート研究とした。 2人の研究者が独立的に試験選出・データ抽出を行い、バイアスリスクを評価。適格と判定された試験のデータについて、各論文執筆者に確認を求めた。個々の研究の抗凝固療法中止後のVTE再発イベントの発生率および追跡期間の人年を算出し、変量効果メタ解析でデータを統合した。男性で再発率が高い傾向、再発による死亡は4% 18件の研究(7,515例)が解析に含まれた。4件が前向き観察コホート研究、14件は無作為化対照比較試験であった。すべての研究が、Newcastle-Ottawaスケールで「質が高い」と判定された。 抗凝固療法中止後100人年当たりのVTE再発率は、1年時が10.3件(95%信頼区間[CI]:8.6~12.1)、2年時が6.3件(5.1~7.7)、3~5年が3.8件/年(3.2~4.5)、6~10年は3.1件/年(1.7~4.9)であった。また、累積VTE再発率は、2年時が16%(13~19)、5年時が25%(21~29)、10年時は36%(28~45)であった。 男女別の抗凝固療法中止後1年の100人年当たりのVTE再発率は、男性が11.9件(95%CI:9.6~14.4)、女性は8.9件(6.8~11.3)であり、10年時の累積再発率はそれぞれ41%(28~56)および29%(20~38)であった。 VTE再発率は、孤立性肺塞栓症患者と比較して、近位深部静脈血栓症患者(率比:1.4、95%CI:1.1~1.7)および肺塞栓症+深部静脈血栓症患者(1.5、1.1~1.9)で高かった。また、遠位深部静脈血栓症患者における中止後1年時の100人年当たりのVTE再発率は1.9件(95%CI:0.5~4.3)であった。VTE再発による死亡率は4%(2~6)だった。 著者は、「これらのデータは、非誘発性VTEの診療ガイドラインの策定に役立ち、患者に予後を説明する際の信頼度を高め、長期のマネジメントに関する意思決定の支援に有用と考えられる」としている。

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Dr.林の笑劇的救急問答14

第5回 頭痛1 Red Flagを見逃すな第6回 頭痛2 疑わなければ始まらない!第7回 頭痛3 ブンブン振ってもわからない第8回 頭痛4 おとなしいのか騒がしいのかそれが問題だ 大人気!Dr.林の笑劇的救急問答シリーズも14年目!今シーズンは「意識障害」と「頭痛」がテーマ。下巻では「頭痛」を取り上げます。頭痛はレベルや痛みの違い、症状の出方などさまざまな状態で来院・搬送されてきます。そのうえ、その原因となる疾患も多岐にわたります。まずは患者さんの状態と緊急性を見極めること。それから原因を突き止めるためにやるべきこと、診るべきことは何か。そして、その治療は?Dr.林がしっかりとお教えします。第5回 頭痛1 Red Flagを見逃すな今回より頭痛編がスタート!頭痛の原因はさまざま。痛みの強さ、部位、持続時間など、症状の出方も人によって異なります。その中でも緊急性の高い頭痛を見落とさないために、しっかりと病歴を聴取し、Red Flagに気づけるようになりましょう!チェックすべき項目は多岐にわたり、覚えるのが大変!いえいえ、「Dr.林の4S Headache」や「病歴聴取のSNOOPY」など、Dr.林ならではのわかりやすい講義で、聞いたらすぐに覚えられること間違いなし。ちょっとずつぅでも覚えていきましょう。第6回 頭痛2 疑わなければ始まらない!頭痛はよくある症候ですが、その原因の1~5%は非常に怖い疾患。今回は、その中の椎骨動脈解離を中心に解離や血栓症からの頭痛を取り上げ、解説します。椎骨動脈解離は比較的若年で雷鳴頭痛があるのはたった20%しかありません。この疾患を見つけるコツは「疑うこと」。それでは疑うポイントはどこなのか?見逃さないためのコツをしっかりとお教えします。第7回 頭痛3 ブンブン振ってもわからない雷鳴頭痛と言えば、くも膜下出血の専売特許のように思われがちですが、実はほかにも鑑別がいろいろとあります。今回はその中からPRES、PCVSについて詳しく解説します。どこで鑑別を行うのか、そのポイントをしっかりと覚えておきましょう。そして、激しい頭痛+発熱で疑うべきは髄膜炎。Jolt accentuation testで髄膜炎を除外に使っていませんか?その方法は本当に大丈夫なのか?最近のスタディでの評価を基に、Dr.林が見逃さないための方法をしっかりとお教えします。第8回 頭痛4 おとなしいのか騒がしいのかそれが問題だ今回は一次性頭痛で最も多い片頭痛とまれではあるけれど知っておくべき群発性頭痛を中心に解説します。頭痛の診断はもちろん、目の前で頭痛に苦しむ患者を救う戦い方を裏技も交えてお教えします。

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関節リウマチに対する3剤目の経口JAK阻害薬「スマイラフ錠50mg/100mg」【下平博士のDIノート】第30回

関節リウマチに対する3剤目の経口JAK阻害薬「スマイラフ錠50mg/100mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「ペフィシチニブ臭化水素酸塩(商品名:スマイラフ錠50mg/100mg)」を紹介します。本剤は、1日1回の服用でJAKファミリーの各酵素(JAK1/2/3、チロシンキナーゼ2[TYK2])を阻害し、関節リウマチによる関節の炎症や破壊を抑制します。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)の適応で、2019年3月26日に承認され、2019年7月10日より発売されています。なお、過去の治療において、メトトレキサート(MTX)をはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬などによる適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与します。<用法・用量>通常、成人はペフィシチニブとして150mg(状態に応じて100mg)を1日1回食後に投与します。なお、中等度の肝機能障害がある場合は、50mg/日を投与します。<副作用>後期第II相試験、第III相臨床試験2件および継続投与試験の4試験における安全性併合解析において、本剤が投与された患者1,052例中810例(77.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、上咽頭炎296例(28.1%)、帯状疱疹136例(12.9%)、血中CK増加98例(9.3%)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、帯状疱疹(12.9%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎などを含む)(4.7%)、敗血症(0.2%)などの重篤な感染症、好中球減少症(0.5%)、リンパ球減少症(5.9%)、ヘモグロビン減少(2.7%)、消化管穿孔(0.3%)、AST(0.6%)・ALT(0.8%)の上昇などを伴う肝機能障害、黄疸(5.0%)、間質性肺炎(0.3%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ヤヌスキナーゼという酵素を阻害することにより、関節の炎症や腫れ、痛みなどの関節リウマチによる症状を軽減します。2.持続する発熱やのどの痛み、息切れ、咳、倦怠感などの症状が現れた場合はすぐにご連絡ください。3.痛みを伴う発疹や皮膚の違和感、局所の激しい痛み、神経痛などが現れた場合は速やかに受診してください。4.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合には主治医に相談してください。5.(妊娠可能年齢の女性の場合)この薬を服用中および服用終了後少なくとも1月経周期は、適切な避妊を行ってください。6.本剤を服用中の授乳は避けてください。<Shimo's eyes>関節リウマチの薬物療法は近年大きく進展しています。関節破壊の進行抑制を含めた病態コントロールのため、発症初期にはMTXをはじめとする従来型疾患修飾性抗リウマチ薬(cDMARDs)が使用されます。MTXなどを十分量で用いても効果不十分な場合には、生物学的製剤であるTNF阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど)やIL-6阻害薬(トシリズマブなど)、T細胞活性抑制薬(アバタセプト)、もしくは低分子標的薬であるJAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ)が使用されます。本剤は、関節リウマチに用いる3剤目のJAK阻害薬で、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2を阻害し、関節の炎症や破壊を抑制します。生物学的製剤は点滴または皮下注射での投与となりますが、しばしば発疹などの投与時反応や注射部位疼痛が問題となることがあります。JAK阻害薬は経口投与のため、非侵襲性の治療を望む患者さんや自己注射が困難な患者さんであっても、好みや生活環境に合わせた治療を選択することができると期待されています。また、本剤は相互作用も少なく、1日1回投与であるため、高齢者でも使用しやすいと考えられます。留意点としては、中等度の肝機能障害を有する患者については投与量の制限があることが挙げられます。また、本剤は免疫反応に関与するJAK経路の阻害により、結核、肺炎、敗血症などの感染症リスクが増大する懸念があることから、既存のJAK阻害薬2剤と同様に、生物学的製剤や他のJAK阻害薬などの免疫を抑制する薬剤との併用はできません。承認時の臨床試験では、副作用として12.9%で帯状疱疹が報告されているので、とくに高齢の患者さんでは、使用前に帯状疱疹ワクチン接種の有無などについて確認し、服用後に帯状疱疹が現れる可能性について注意喚起をしておく必要があるでしょう。

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亜鉛不足が脱毛の原因に!50歳以上は要注意

 亜鉛は1,000の酵素反応、2万以上の転写反応に必要な必須微量元素であり、発生、分化、増殖といった幅広い生体活動に関与する。しかし、その役割の多くは明らかされていない。2019年7月13~14日、日本men’s health医学会のスポンサードシンポジウム3において、小川 陽一氏(山梨大学皮膚科学部内講師)が「亜鉛と皮膚疾患」について講演した(ノーベルファーマ株式会社共催)。亜鉛が欠乏すると脱毛などの症状が出現 亜鉛はすべての生物に不可欠であり、継続的に欠乏すると死に至る。必須微量元素としての生体内含有量は鉄に次いで2番目に多く、体内で常時2~3gに維持されている。しかし、「亜鉛欠乏患者は発展途上国を中心に世界で13億人も存在し、全世界人口の17%に相当する」と小川氏はコメント。亜鉛が欠乏すると、味覚異常をはじめ、皮膚炎や口内炎のほか、脱毛や傷が治りにくいなどの症状が出現する。また、亜鉛濃度は日内変動と加齢変化を起こすことから、後者により50歳以上で潜在的な亜鉛欠乏に陥っている可能性が高い1)。欠乏の可能性がある場合は、亜鉛欠乏症の診断基準に該当すれば治療が必要となる。 2017年3月、酢酸亜鉛水和物製剤(商品名:ノベルジン錠)が低亜鉛血症治療剤としての効能追加一部変更承認を取得した。これまで治療に難渋していた例についても「既存薬と比較し、この製剤は血清亜鉛濃度が早く上昇する」と有用性について解説した。難渋する皮膚炎や脱毛は亜鉛欠乏かも 亜鉛不足による皮膚疾患として、ペラグラやビオチン欠乏症などが挙げられるが、同氏は「一次刺激性接触性皮膚炎」と「脱毛」それぞれに着目した研究結果を報告。はじめに、前者の研究結果として、亜鉛トランスポーターの遺伝子ZIP4の異常による疾患、腸性肢端性皮膚炎(AE)を提示。AE表皮ではランゲルハンス細胞が消失していることを踏まえ、亜鉛欠乏モデルマウスの実験において、AEは外界物質との接触が頻繁に起きる部位に分布していることを仮説立て、ヒト亜鉛欠乏性皮膚炎の本態が“一次刺激性接触性皮膚炎”であることを立証した。さらに、このモデルマウス実験より、亜鉛が継続的に欠乏することでAE患者の表皮内ランゲルハンス細胞が消失し、炎症が増強することも明らかにした。このことから、肛門周囲や陰部、口や眼の周辺など刺激物質にさらされる部位が頑固な皮膚炎の場合、「真菌感染症の否定を行ったうえで亜鉛欠乏を疑う」など、臨床応用時のポイントを説明した。 また、亜鉛欠乏マウスの実験により、亜鉛欠乏による脱毛は、真皮乳頭が萎縮し毛包幹細胞が減少することで毛周期・再生の異常をきたすことが原因であることを明らかにし、この臨床応用として、11歳女児の症例を報告。脱毛の原因として、トリコチロマニア(抜毛癖)や膠原病、甲状腺機能低下症などを否定し、亜鉛濃度が69 μg/dLであったことから酢酸亜鉛水和物製剤を開始した結果、良好な結果が得られた。 最後に同氏は「亜鉛欠乏は思っているよりもcommonな疾患・状態である。血清亜鉛が80 μg/dL以下であれば酢酸亜鉛水和物製剤の投与を推奨する。また、採血のタイミングは早朝空腹時の測定が望ましいが、朝ごはんを食べたとしても午前中に採血できれば問題ない」と述べた。

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認知症の有無によるせん妄の影響

 せん妄エピソード後の機能や認知機能の低下および死亡率に対し、認知症の有無が影響を及ぼすかについて、オランダ・Meander Medical CentreのSofie van Roessel氏らが、レビューを行った。Maturitas誌2019年7月号の報告。 認知症およびせん妄について、MEDLINE、EMBASEよりシステマティックに検索を行った。研究結果をスクリーニングした後、関連性および妥当性を評価し、データを抽出した。認知機能低下は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの低下と定義した。機能低下は、バーセル尺度(BI)、手段的日常生活動作(IADL)スコアの低下または施設入所と定義した。 主な結果は以下のとおり。・潜在的に関連する研究5,092件より、8研究がレビューに含まれた。・1年死亡率は、認知症患者で11~45%、非認知症患者で22~44%、全体絶対率は34%(95%CI:0.32~0.36)であった。・プールされたデータに、グループ間で有意な差は認められなかった。・MMSEスコアとBIは、6ヵ月後に両群において改善が認められたが、IADLスコアの減少が認められた。・しかし、認知症患者は非認知症患者と比較し、すべての時点におけるスコアが有意に低かった。・さらに、せん妄発症後の施設入所リスクは、非認知症患者が20%であったのに対し、認知症患者は33%であった(95%CI:0.06~0.20)。 著者らは「せん妄後の1年死亡率は34%と高く、これは認知症の有無にかかわらず有意な差が認められなかった。認知症患者では、機能や認知機能のスコアが有意に低く、せん妄後の施設入所リスクが高かった。患者および介護者は、この情報を共有すべきであり、事前のケア計画にも役立つ可能性がある」としている。

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子供の体脂肪量測定、正確で簡便な方法を開発/BMJ

 身長、体重、年齢、性別、民族という5つの因子に基づき、子供の体脂肪量をBMIより正確に測定する可能性のある新たなモデルが開発された。英国・ロンドン大学のMohammed T. Hudda氏らが、BMJ誌2019年7月24日号で報告した。体重に基づく尺度として、BMIは非脂肪量(lean mass)と脂肪量(fat mass)を判別せず、既定のBMIの集団でも脂肪量に大きなばらつきがあり、心血管代謝疾患のリスクとの関連にも違いが生じる可能性があるという。子供の体脂肪量の評価を改善するために、日常的に利用しやすい測定値に基づく、より正確で簡便な方法が求められている。4つの横断研究をメタ解析で統合し、モデルを導出 研究グループは、複雑な評価形式を要さず、身長や体重などの人口統計学的な情報を使用した子供の体脂肪量の予測モデルを開発し、妥当性を検証する目的で、個人レベルのデータを用いたメタ解析を行った(英国心臓財団などの助成による)。 予測モデルの開発には、英国の4つの横断研究に参加した4~15歳の多民族で構成される2,375例(男児1,136例[47.8%])のデータを用いた。外的妥当性の検証には、11~12歳176例の形態測定値と重水希釈法による体脂肪量のデータを使用した。 内的妥当性の評価では、optimism(モデルの過大評価)を推算し、bootstrap法(1,000サンプル)を用いてこの過大評価を調整することで予測能を修正した。 身長、体重、年齢、性別、民族の予測変数を含む最終モデルは、きわめて高い予測能(optimismの調整R2:94.8%、95%信頼区間[CI]:94.4~95.2)を示すとともに、実測値と予測値の優れた較正(calibration)が達成され、過大評価の最小化と良好なモデルの一般化可能性がもたらされた。 外的妥当性の検討では、体脂肪量の実測値と予測値の良好な較正(較正slope:1.02、95%CI:0.97~1.07)とともに、モデルの有望な一般化可能性(R2:90.0%、95%CI:87.2~92.8)が示された。体脂肪量の実測値と予測値の平均差は-1.29kg(95%CI:-1.62~-0.96)だった。BMIに比べ、正確性が改善する可能性 4~15歳の子供の体脂肪量推定値の予測計算式は以下のとおり。 体脂肪量=weight-exp[0.3073×height2-10.0155×weight-1+0.004571×weight+0.01408×BA-0.06509×SA-0.02624×AO-0.01745×other-0.9180×ln(age)+0.6488×age0.5+0.04723×male+2.8055] ・exp:指数関数、ln:自然対数変換 ・子供が黒人(BA)、南アジア系(SA)、他のアジア系(AO)、その他の民族(other)の場合の数値は1、これら以外の場合の数値は0とする。 ・子供の民族が不明の場合は白人として扱う。 ・身長はメートル(m)、体重はキログラム(kg)、年齢は歳(years)、体脂肪量はキログラム(kg)。 たとえば、12歳の身長1.6m、体重42kgの黒人少女の体脂肪量は、42−exp[0.3073×1.62-10.0155×42-1+0.004571×42+0.01408×1-0.06509×0-0.02624×0-0.01745×0-0.9180×ln(12)+0.6488×120.5+0.04723×0+2.8055]=42−exp[3.5262]=42-33.9929=8.01kgとなる。 著者は「この予測モデルは、肥満の効果的な調査や予防、マネジメントにおいて、子供の体脂肪量の評価の正確性を、BMIと比較して改善する可能性がある。また、このモデルを国際的に適用するには、さまざまな集団におけるさらなる妥当性の検証を要する」としている。

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