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第10回 病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出

<先週の動き>1.病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出2.全国知事会議で病院再編の検討先送りが歓迎される3.予防医療推進についての報告書、自民党有志から政府へ提出4.合計特殊出生率1.36と4年連続で低下、自然減も50万人超1.病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出コロナの影響による受診・入院患者の急減に多くの医療機関が直面するなか、医師会や病院団体からは入院基本料・初再診料の増額などの緊急措置を求める声が出されている。全国の国立大学附属病院、国立病院、自治体病院、医療法人協会など計15団体により構成される日本病院団体協議会(以下、日病協)は、6月3日に厚生労働省の演谷 浩樹保険局長に対して、「新型コロナウイルス感染症への対応に係る診療報酬に関する要望書」を提出した。この中には「入院基本料、初再診料及び外来診療料の大幅な増額」や「新型コロナウイルス感染症患者の入院、院内感染発生や院内感染防止策として行った休床・休棟の措置等で大幅に収入が減少した病院において、前年度の医療収入を基準とした診療報酬の概算請求」など予算措置を求めるほか、「医療法・診療報酬上の医療従事者等の配置基準の緩和措置の継続」などが盛り込まれている。一方、社会保険診療報酬支払基金が6月1日に発表した2020年3月診療分の統計月報によると、確定件数は前年同月に比べると12%減、確定金額は総計で2.0%減、医療保険分で2.6%減となっている。多くの医療機関が、今年の診療報酬改定の前である3月から、すでに新型コロナ感染症のダメージを受けていることが明らかになり、予算措置などが急がれる。(参考)新型コロナウイルス感染症への対応に係る診療報酬に関する要望書(日病協)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(追加報告)(同)支払基金・3月診療分 確定件数は前年同月比12%減 花粉症で26%減(ミクスオンライン)社会保険診療報酬支払基金 統計月報(令和元年度)2.全国知事会で病院再編の検討先送りが歓迎される6月5日、医療機関に求められていた、公立・公的病院の再編など「具体的対応方針の見直し」議論について、期限を延長する方針が示された。同日オンライン開催された全国知事会において、「公立・公的病院等が新型コロナウイルス対策で中核的役割を果たしていることが正当に評価された」とし、「今後、地域の実情に即し、地域医療の最後の砦としての役割を十分踏まえた検討を望みたい」とするコメントを発表した。昨年の閣議決定で発表された「骨太方針2019」では、公立・公的病院の再編統合を伴わない場合は2019年度中、再編統合を伴う場合は遅くとも20年秋ごろまでに具体的対応方針の見直しを求めるとの期限を設けていた。(参考)公立・公的病院再編検討の先送りについて(全国知事会社会保障常任委員会)経済財政運営と改革の基本方針 2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~3.予防医療推進についての報告書、自民党有志から政府へ提出人生100年時代にすべての国民が長く健康に活躍できる「百年健幸」の国づくりを目指して、予防・健康づくりを推進するため、昨年11月に自由民主党の有志議員によって立ち上げられた「明るい社会保障改革推進議員連盟(会長:上野 賢一郎氏)」が、6月1日に報告書を公表した。この報告書では、すべての国民が自然に健康になることができる環境を整え、健康格差の解消を図るために、病気予防や健康づくりを社会全体で促進できるように求めている。科学的な効果検証と、データに基づく政策の継続的な改善を行うために、保健医療科学院の機能強化や保険者の予防・健康インセンティブの強化、遠隔健康医療相談やオンライン診療・服薬指導の推進などが含まれている。議連はこの報告書を菅官房長官、加藤厚労大臣、西村社会保障改革担当大臣に提出し、今年7月に閣議決定予定の「骨太の方針2020」に、予防医療の推進が盛り込まれるよう働きかけを行っていく方針。(参考)「予防」を社会保障の柱に 自民議連が報告書(産経新聞)報告書(明るい社会保障改革推進議員連盟)4.合計特殊出生率1.36と4年連続で低下、自然減も50万人超先週、「『希望出生率1.8』の明記、子育て支援が一段と打ち出される」との報道を紹介した直後となるが、6月5日に厚労省は2019年の人口動態統計の概数を発表した。出生数は86万5,234人と前年から5万人以上減少し、統計のある1899年以降で最少となった。また1人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す合計特殊出生率については、4年連続して低下していることが明らかとなった。さらに、死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減も51万5,864人と初めて50万人を超えた。団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降は人口の自然減がさらに増加することもあり、政府の対策が急がれる。(参考)昨年の出生率1.36、4年連続で低下…自然減は初の50万人超え(読売新聞)令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚労省)

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第26回 2群比較ではなく、3群以上の仮説検定とは?【統計のそこが知りたい!】

第26回 2群比較ではなく、3群以上の仮説検定とは?臨床研究の中で、1回だけ検定を行うのではなく、「薬剤X、薬剤Y、薬剤Zの比較」など、複数回の比較をしなければならないことがあります。今回は「多重比較法」について解説します。■多重比較とは「薬剤X、薬剤Y、薬剤Zの比較」をするとき、t検定のような2群の比較で評価するとしたら、「薬剤X、薬剤Y」で1回、「薬剤Yと薬剤Z」で1回、「薬剤Xと薬剤Z」で1回、というように3回の検定が必要となります。第23回で解説したようにαエラー(第一種の過誤)を起こす確率は1回あたり5%でした。このとき3回のうち1回でもαエラーを起こす確率はどうなるでしょうか?3回ともαエラーを起こさない確率は、1回でもαエラーを起こさない確率の3乗になりますので、「1-0.05=0.95」の3乗で0.857となりますから、「1-0.857=0.143」つまり14.3%となります。5%と比べると当たり前ですが、可能性が大きくなってしまいます。つまり、検定を繰り返せば繰り返すほど、どこかでαエラーを起こす可能性が増えていくことになります。5回の繰り返しで22.6%、10回だと40.1%、15回で53.7%と、無視できない数値になります。有意水準は、そもそも5%未満というまれなことは「起こらない」として棄却する考え方ですから、この基準をそのままにして何度も繰り返すと、αエラーを起こす確率が大きくなってしまうということです。つまり「薬剤Xと薬剤Yと薬剤Zと…薬剤Vと」いうように比較を繰り返せば、本当はまったく差がなかったとしても、どこかの組合せでは有意差が出てしまう可能性が大きくなってしまいます。このように「比較を繰り返した結果、αエラーを起こす可能性が大きくなってしまう問題」のことを多重比較といいます。比較すること自体ではなく、そのことで生ずる問題点が「多重比較」です。■多重比較法「比較を繰り返した結果、αエラーを起こす可能性が大きくなってしまう問題」のことを多重比較といいます。多重比較法は、「この多重比較の問題に対応できるような検定手法」です。多重比較法にはさまざまな方法がありますが、一番簡単な方法を紹介します。有意水準を5%にしたままで検定を繰り返すと、αエラーの可能性が大きくなります。ですから、可能性を小さいままにするために有意水準を下げればいいということになります。この下げ方を解決してくれるのが、「ボンフェローニ」です。ボンフェローニとはどんな手法であるかを一言でいうならば、「3つ以上の集団について2群間相互の母平均の差の検定を行う方法」です。■ボンフェローニの有意水準ボンフェローニの有意水準の算出方法を示します。ボンフェローニの有意水準=5%÷比較する群の組み合わせ数組み合わせ数とは群数=K 組み合わせ数=K(K-1)÷2群数が3個の場合群数=K=3組み合わせ数=3×2÷2=3群数が3個の有意水準5%÷組み合わせ数=5%÷3=1.67%このように簡単な計算式で有意水準が求められます。ボンフェローニのメリットは、このように有意水準を補正するだけなので、検定手法はそのまま使えることです。一方で、ボンフェローニ以外の他の多重比較法と比べて、少し厳しめな検定になることも示されており、有意差が出にくい方法となります。今回はまず多重比較の問題、問題を解決するための多重比較法の概念を理解していただくためにボンフェローニを紹介しました。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決!一問一答質問6 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その1)質問6(続き) 比較する群が3つ以上ある場合の母平均の差の検定方法は?(その2)

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スイッチOTC化の議論と広がる薬局の役割【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第19回

2020年(令和2年)5月18日、規制改革推進会議において、「一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大に向けた意見(案)」が示されました。序文では、「医療用医薬品から一般用医薬品への転用(スイッチOTC化)の実績は低調であることから、より一層のスイッチOTC医薬品の提供と国民の選択肢拡大を図るべく以下のとおり提言を行う」と示され、なかなか進まないスイッチOTC化についての提言がまとめられています。この中で、スイッチOTC化の促進に向けた推進体制について、「一般用医薬品の安全性・有効性の視点に加えて、セルフメディケーションの促進、医薬品産業の活性化なども含む広範な視点からスイッチOTC化の取組を推進するため、厚生労働省における部局横断的な体制を整備すべきである」などとしたうえで、PPIや緊急避妊薬、血液検体を用いた検査薬のOTC化などについても言及されています。この意見(案)の是非はおいても、今後、OTC医薬品は今まで以上に重要視されることが想定されます。新型コロナウイルス感染症の流行によって、セルフメディケーションの重要性がより認識されたということもあるでしょう。改正薬機法で、OTC医薬品販売は薬局の当然の業務にところで、調剤業務を多く扱う薬局は「調剤薬局」と呼ばれることがよくありますが、法律上では「調剤薬局」という概念はありません。現行の薬機法で、薬局は以下のように定義されています。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条12項この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。これによると、薬局とは「調剤の業務を行う場所」とされており、本来調剤を行う場所を表す「薬局」に、さらに「調剤」薬局と修飾するのは二重表現だという指摘もあります。また、「(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む)」とありますが、これは薬局の許可を取っていれば、医薬品販売業の許可がなくてもOTC医薬品の販売を行えるという意味です。「医薬品の販売業を併せ行う場合」とあるように、薬局は調剤のみを行う場所であることを原則として、例外的にOTC医薬品の販売を行えるという形態でした。しかし、上記のとおり、現在はセルフメディケーションの観点などからOTC医薬品がより重要となってきており、薬局における医薬品の一元管理や健康サポート機能などから、薬局でOTC医薬品を扱い、管理することも求められています。このような背景から、2019年の薬機法改正では、カッコ書きの部分が「(その開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む)」と改正になり、9月以降に施行されます。これによって、薬局ではOTC医薬品の販売を行うことが当然と法的にも解釈できることとなります。OTC医薬品の必要性が高まるなか、薬機法の改正においても、薬局の役割として、OTC医薬品の取り扱いと管理がより明確になりました。現在の状況に、薬局への期待も踏まえて、薬局、薬剤師においては調剤と併せてOTC医薬品への積極的な関わりを今まで以上に意識する必要があるのではないでしょうか。参考資料1)一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大に向けた意見(案)

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「体重を気にしていたのに増えてしまった」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第33回

■外来NGワード「体重を減らしなさい」(わかっているけど、できない)「食事を減らしなさい」(あいまいな食事指導)「家で何か運動しなさい」(あいまいな運動指導)■解説 緊急事態宣言の発出期間は、仕事がテレワークになったり、休日の外出ができなくなったりして、どうしても運動不足になりがちです。家に閉じこもっては気分が上がらないからと、食卓を豪華にしていた人も多いかもしれません。その結果、体重を気にしていたにもかかわらず、「以前と比べて体重が増えた」と言う患者さんがいます。中には、「免疫力を高めるために食べる」と言う人もいますが、肥満気味の人では逆効果となります。海外での報告によると、新型コロナウイルス感染症の重症化には肥満が関係しており、とくに、60歳未満ではその傾向が強いようです。体重が増えると、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群などになりやすく、そういった基礎疾患によって免疫力が低下し、感染症になりやすくなると考えられます。さらに、脂肪細胞にはACE2というタンパク質が多く発現していますが、これは、新型コロナウイルスのヒト細胞への侵入と関係しています。肥満の人は、脂肪細胞の量が多いので、新型コロナウイルスに侵入されやすいのかもしれません。ほかにも、脂肪細胞はアデノやインフルエンザなどのウイルスに感染しやすく、肺などほかの臓器にウイルスを供給している可能性があるとも考えられています。つまり、肥満自体がウイルス感染と関係しているわけです。では、どんな対策をすればよいのでしょうか。「3密」を避けることはもちろんですが、肥満を予防することが、新型コロナウイルス対策に役立つかもしれません。ただし、極端なダイエットは免疫力を低下させるので禁物です。ウィズ・コロナでも継続できる、自分に合ったダイエット法を見つけてもらいましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師なかなか外出できなかったと思いますが、体重はいかがですか?患者テレビで「免疫力をつけるためにエネルギーをしっかり摂って」と言っていたので、よく食べていたら、体重が増えてしまって…。医師なるほど。それは痩せ過ぎなどで栄養状態がよくない人に向けた話ですね。一方で、肥満の人が新型コロナに感染すると重症化しやすいとの報告がありますよ。患者えっ、そうなんですか?(驚きの声)医師まだ仮説の段階ですが、脂肪細胞には、新型コロナにかかりやすい原因となるタンパク質がたくさん発現しているようです。肥満の人は要注意ですね。それに…患者それに?医師肥満と関連する糖尿病や睡眠時無呼吸があると、免疫力が低下しやすいです。患者ほかにもあるんですね。それじゃ、痩せないといけませんね…。(気付きの言葉)医師そうですね。太り過ぎもよくないですからね。ただし、極端なダイエットは免疫力を低下させるので厳禁です。患者それなら、何を食べたらいいですか?医師まずは、朝と晩に体重を測ってください。そうすると、自分が太りやすい食べ物と痩せやすい食べ物がわかりますよ。(方法論を伝授)患者ほうほう。医師この記録用紙に、朝と晩の体重を書いてみてください。患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「肥満の人は新型コロナで重症化しやすいと報告されていますよ」「まずは、朝と晩に体重を測って、太りやすい食べ物を調べてみましょう」1)Kassir R. Obes Rev. 2020;21:e13034.2)Dietz W, et al. Obesity (Silver Spring). 2020;28:1005.3)Luzi L, et al. Acta Diabetol. 2020;57:759-764.4)Lighter J, et al. Clin Infect Dis. 2020 Apr 9. [Epub ahead of print]5)Rundle AG, et al. Obesity (Silver Spring). 2020;28:1008-1009.

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ロケルマ:45年ぶりに誕生した高カリウム血症改善薬

2020年5月20日、高カリウム血症改善薬ロケルマ懸濁用散分包5gおよび10g(一般名:ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)(以下、ロケルマ)がアストラゼネカ株式会社より発売された。ロケルマは、同疾患改善薬としては45年ぶりの新有効成分含有薬となる。アンメットニーズが高い高カリウム血症高カリウム血症は、CKD例や心不全例に高頻度に合併し、日本の300床超の病院にて治療中の患者では、全例、CKD例、心不全例、RA系抑制薬服用例のうち、6.8、22.8、13.4、14.2%に合併していると報告されている1)。そして、血清カリウムが異常高値になると致死性不整脈や心停止を引き起こしうる臨床上重大な疾患である。しかし、現在の主な治療法(食事制限、原因薬剤の減量・休止、利尿薬、陽イオン交換樹脂)では、効果発現までの時間や忍容性の問題から期待した効果が得られないこともある。ロケルマは速やかな血清カリウム値の低下を実現ロケルマは、非ポリマー無機陽イオン交換化合物の経口剤である。消化管内でカリウムイオンを選択的に捕捉し、初回投与開始後1時間から血清カリウム値の低下を示し、水分による膨潤をしないという特徴を有している。透析例および非透析例への試験結果から効果発現、持続性、安全性に期待ロケルマは、2つの国内試験(第II/III相試験、長期投与試験)および2つの国際共同試験(HARMONIZE Global試験、DIALIZE試験)の結果に基づき承認された。HARMONIZE Global試験は、高カリウム血症患者267例(うち日本人68例)を対象に、ロケルマ10gを48時間投与し、正常カリウム値に達した患者に同剤10g、同剤5gまたはプラセボのいずれかを1日1回28日間投与した試験である。補正期において、投与24および48時間後に正常カリウム値に達した患者の割合は、それぞれ63.3%および89.1%であった。主要評価項目である22日間の血清カリウム値の最小二乗幾何平均は、同剤10g群、5g群およびプラセボ群それぞれ4.4、4.8、5.3mmol/Lであり、プラセボ群と比較していずれも有意に低値となった(いずれもp<0.001)。DIALIZE試験は、血液透析患者196例(うち日本人56例)を対象に、最大透析間隔(血液透析日以外の2日間)後の血液透析前のカリウム値を4.0~5.0mmol/Lに維持するよう、ロケルマを4週間、適宜増減投与し、その後用量を変更せずさらに4週間投与した。ロケルマ群はプラセボ群と比較して奏効例(後半4週間における最大透析間隔後の4回中3回で透析前血清カリウム値が4.0~5.0mmol/Lで、レスキュー治療を受けなかった患者の割合)が有意に高かった(41.2% vs1.0%、p<0.001)。副作用としては、両試験ともに浮腫、便秘、低カリウム血症が認められている。高カリウム血症治療の指針策定を期待させる新薬高カリウム血症に45年ぶりに新有効成分含有薬が登場し、CKD例や心不全例の高カリウム血症の是正による不整脈や突然死の抑制はもちろん、ARB/ACEIの減量や厳しい食事制限の負担軽減が可能となるケースも考えられ、今後、高カリウム血症治療が変貌することは想像に難くない。一方、45年間新有効成分含有薬が出なかったということは、それだけ治療に大きな進歩がなかったことの裏返しでもある。はたして、高カリウム血症は治療開始カリウム値、目標値の明確な指針が示されておらず、医師個人個人の判断によって治療が行われている。学会から新たに高カリウム血症の治療指針が示されるかもしれない。そのような期待を抱かせる新薬が誕生した。1)Kashihara N, et al. Kidney Int Rep. 2019;4:1248-1260.

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新型コロナ抗体検査が日本でも始動、米国での調査結果は?/JAMA

 第2波が懸念される新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。日本では厚生労働省主導のもと、6月より3都府県(人口10万人あたりのCOVID-19累積感染者数の多い東京都・大阪府、少ない宮城県)において、性別、年齢を母集団分布と等しくなるよう層別化し、無作為抽出により選ばれた一般住民約3,000人(全体で約1万人)を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査が開始した。 抗体保有者の割合を調べ、今後の感染拡大に役立てる予定だ。海外の検査結果状況 海外では、米国などで既に抗体検査が実施されている。米国・南カルフォルニア大学のNeeraj Sood氏らは2020年4月10~11日、カリフォルニア州ロサンゼルスの成人を対象にSARS-CoV-2の特異的抗体を測定し保有率を調査、SARS-CoV-2感染の累積発生率を推定した。その結果、この地域のSARS-CoV-2に対する抗体保有率は4.65%であることが明らかになった。 また、この結果により、約36万7,000人の成人がSARS-CoV-2抗体を保有していたと示唆されることから、累積感染者数は4月10日にロサンゼルスで確認されていた8,430人を大幅に上回っていたとも推定された。研究者らは本研究において、キットの精度や調査地域に限界があったものの、他地域で同様の調査を行うことは流行追跡に必要である、とJAMA誌オンライン版5月18日号リサーチレターへ報告した。 この研究ではSARS-CoV-2抗体検出にラテラルフローイムノアッセイ(IgG/IgMを検出)を使用。 対象者はカリフォルニア州ロサンゼルスの住民で、2020年4月10~14日に検査会場への来場もしくは自宅にて検査が行われた。検査キットの感度は82.7%(95%信頼区間[95%CI]:76.0~88.4%)、特異度は99.5%(95%CI:99.2~99.7%)。分析には二項分布、ブートストラップ法が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・検査対象者1,952人中1,702人(87.2%)が同意、うち865人(50.9%)が検査を受けた。また、このうち2例の結果はキットの欠陥により分析から除外された。・863人のうち60%が女性、55%が35〜54歳、58%が白人、43%が年間世帯収入10万ドル超だった。・症状は、咳を伴う発熱(13%)、息切れを伴う発熱(9%)、においや味の喪失(6%)が挙げられた。・検査実施者のうち、35人(4.06%)が抗体陽性を示した(二項比率の信頼区間:0.84~5.60)。・陽性者(保有者)の割合は、人種/民族、性別、収入で異なっており、加重調整すると4.31%だった(ブートストラップ信頼区間:2.59〜6.24)。 ・感度と特異度を調整後、SARS-CoV-2抗体の非加重および加重した際の抗体保有率は、それぞれ4.34%(ブートストラップ信頼区間:2.76~6.07)および4.65%(同:2.52~7.07)だった。日本で使用される抗体検査キットや今後の状況 日本では、アボット社をはじめロシュ社やモコバイオ社の検査試薬・測定機器を使用して調査が行われる。たとえば、アボット社のSARS-CoV-2抗体検査は、ウイルスの感染後期に体内で産生される血液中のIgG抗体を特異的に検出する。現在、この抗体検査試薬は研究用試薬として提供されており、日本全国の病院や検査室で導入されている全自動分析装置で使用できる。上述の研究で使用されていたラテラルフローイムノアッセイなどは、日本国内において性能への指摘があっため、これを踏まえ、今回導入する抗体検査試薬の採用にあたっては、米国食品医薬品局(FDA)での緊急使用許可取得などが考慮された。 なお、抗体保有調査概要の結果は、まとまり次第、厚生労働省のホームページに公表される予定である。

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13価肺炎球菌ワクチン、接種対象者を拡大/ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は2020年5月29日、プレベナー13(R)水性懸濁注(一般名:沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)の新たな適応として、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に対する「肺炎球菌(血清型:1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F および23F)による感染症の予防」の製造販売承認事項一部変更承認を取得した。今回の適応追加により、小児並びに高齢者に限らず、肺炎球菌(血清型:同)による疾患に罹患するリスクが高い方にも接種が可能となる。 肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者は、以下のような状態の者を指す。●慢性的な心疾患、肺疾患、肝疾患又は腎疾患●糖尿病●基礎疾患若しくは治療により免疫不全状態である又はその状態が疑われる者●先天的又は後天的無脾症(無脾症候群、脾臓摘出術を受けた者)●鎌状赤血球症又はその他の異常ヘモグロビン症●人工内耳の装用、慢性髄液漏等の解剖学的要因により生体防御機能が低下した者●上記以外で医師が本剤の接種を必要と認めた者 本剤は、生後2ヵ月齢から6歳未満の小児、65歳以上の高齢者に対する肺炎球菌(血清型:同上)による侵襲性感染症を予防するワクチンとして、定期接種の対象である。なお、2019年1月現在、本剤は米国や欧州をはじめとする80ヵ国以上で生後6週から18歳未満の青年並びに全年齢の成人に対する接種が既に承認されているが、日本では6~65歳未満に対する接種への適応がなかった。2017年5月に厚生労働省へ要望書「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの接種対象者拡大に関する要望」が提出され、2018年に国内第III相試験の実施を経て、今回の承認に至った。

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EGFR陽性肺がん、ベバシズマブとエルロチニブの併用療法はOSを改善したか(NEJ026試験)/ASCO2020

 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのベバシズマブ(商品名:アバスチン)とエルロチニブ(同:タルセバ)の併用療法と、エルロチニブ単独療法との比較試験(NEJ026試験)の全生存期間(OS)に関する最終解析の結果報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で岩手医科大学の前門戸 任氏より発表された。NEJ026試験のOS最終解析で両群間に差見られず NEJ026試験は、日本の臨床試験グループ(North East Japan Study Group)により実施されたオープンラベルの多施設共同の第III相比較試験である。無増悪生存期間(PFS)に関してはASCO2018で良好な結果が報告されており、今回はそのOSに関する最終解析結果である。・対象:非扁平上皮EGFR変異陽性のNSCLC。化学療法による治療歴のないStage IIIB/IV症例、または術後再発例。無症候性の脳転移有り症例も登録可能とした。・試験群:ベバシズマブとエルロチニブの併用投与群(BE群)・対照群:エルロチニブ単剤群(E群)・主要評価項目:独立評価委員会によるPFS・副次評価項目:OS、奏効率、奏効期間、安全性など・探索的評価項目:2次治療後までを含めたPFS(PFS2)、バイオマーカー検索など NEJ026試験のOSに関する最終解析の主な結果は以下のとおり。・2015年6月~2016年8月の期間にBE群114例、E群114例が登録され、そのうちBE群112例、E群112例が有効性の解析に用いられた。今回のOS解析のためのデータカットオフは2019年11月で、観察期間中央値は39.2ヵ月であった。・OS最終解析の結果は、中央値がBE群50.7ヵ月、E群46.2ヵ月、ハザード比(HR)は1.007(95%CI:0.681~1.490)で、p=0.973であった。EGFR変異のサブタイプ(Exon19 delとExon21 L858R)や性別、喫煙歴、脳転移の有無などのサブグループにおいても、両群間に差は見られなかった。 ただし、NEJ026試験のサンプルサイズは、OSの差を検証するには十分ではなかった。・2次治療は、BE群で76%、E群で83%に施行され、その内訳はプラチナ+ペメトレキセド(PP)がBE群29.5%、E群16.1%、PP+ベバシズマブがBE群4.5%、E群28.6%、オシメルチニブがBE群25.9%、E群25.0%であった。・2次治療としてのオシメルチニブの投与の有無で、両群のOSを検討したところ、両群ともに2次治療でオシメルチニブを投与された症例のほうがOSの延長がみられた。BE群ではオシメルチニブ投与有り50.7ヵ月、投与無し37.6ヵ月で、HRは0.63(95%CI:0.33~1.20)、E群ではオシメルチニブ投与有りが未到達、投与無しで40.1ヵ月で、HRは0.65(95%CI:0.33~1.28)であった。

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HR+/HER2-乳がんへのパルボシクリブ併用、フルベストラント vs.レトロゾール(PARSIFAL)/ASCO2020

 内分泌療法感受性のホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対する1次治療として、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ+アロマターゼ阻害薬レトロゾールの併用療法が標準治療として使われている(PALOMA-1、PALOMA-2試験)。一方、抗エストロゲン薬フルベストラントは、同患者に対しアナストロゾールに優れることが確認されている(FALCON試験)。また、内分泌療法後に進行した患者に対して、パルボシクリブ+フルベストラント併用が生存にベネフィットをもたらしている(PALOMA-3試験)。これらを受け、同患者に対するパルボシクリブ併用療法において、フルベストラントとレトロゾールを比較する第II相PARSIFAL試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)でスペイン・University Hospital Arnau de VilanovaのAntonio Llombart-Cussac氏が発表した。・対象:進行乳がんに対する全身治療歴のない、閉経後/閉経前、内分泌療法感受性(内分泌療法歴なし、または内分泌療法終了後12ヵ月以上での再発)のHR+/HER2-進行乳がん患者 486例・試験群:パルボシクリブ(125mg/日を3週経口投与、1週休薬)+フルベストラント(500mg/日を1、14、29日目に筋肉内投与、その後は1月おきに投与)243例・対照群:パルボシクリブ+レトロゾール(2.5mg/日を経口投与)243例・評価項目:[主要評価項目]治験責任医師の評価による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]PFSの事前に規定されたサブグループ解析、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2020年3月9日までに、256例のPFSイベントが発生した。・ベースライン特性は両群でバランスが取れており、年齢中央値は63歳(範囲:25~90)、56.6%がECOG PS 0、40.7%が「de novo」転移を有し、47.9%が内臓転移、43.6%が3臓器以上に転移を有していた。・追跡期間中央値32ヵ月におけるPFS中央値は、フルベストラント群27.9ヵ月に対し、レトロゾール群32.8ヵ月(ハザード比[HR]:1.13、95%信頼区間[CI]:0.89~1.45、p=0.321)で有意差は認められず、優越性は示されなかった。また、あらかじめ設定された非劣性マージン1.21が95%CIに含まれ(0.89<1.21<1.45)、非劣性も示されなかった。・内臓転移を有する患者におけるPFS中央値は、フルベストラント群17.9ヵ月 vs. レトロゾール群25.6ヵ月(HR:1.27、95%CI:0.91~1.77、p=0.143)。内臓転移のない患者におけるPFS中央値は、36.6ヵ月 vs.35.9ヵ月(HR:0.97、95%CI:0.67~1.40、p = 0.871)となり、有意差はみられなかった(交互作用のp=0.275)。・再発患者におけるPFS中央値は、27.7ヵ月 vs.32.9ヵ月(HR:1.14、95%CI:0.82~1.56、p=0.425)。「de novo」転移を有する患者におけるPFS中央値は、28.1ヵ月 vs.31.6ヵ月(HR:1.13、95%CI:0.77~1.75、p = 0.53)となり、有意差はみられなかった(交互作用のp=0.979)。・3年OS率は79.4% vs.77.1%(HR:1、95%CI:0.68~1.48、p=0.986)。・ORRは46.5% vs.50.2%(p= 0.414)、CBRは70.8% vs.69.1%(p=0.692)とともに差はみられなかった。・Grade 3以上の有害事象の発現は両群で類似しており、好中球減少症と白血球減少症が最も多かった。 研究者らは、パルボシクリブとの併用において、フルベストラントとレトロゾールの間に差はみられず、最終的な治療法の決定は、患者と医師が、その優先事項やその後の治療戦略のバランスをとって決めていく必要があるとまとめている。

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COVID-19へのヒドロキシクロロキン、死亡・心室性不整脈が増加か/Lancet

※本論文は6月4日に撤回されました。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者へのヒドロキシクロロキンまたはクロロキン±第2世代マクロライド系抗菌薬による治療は、院内アウトカムに関して有益性をもたらさず、むしろ院内死亡や心室性不整脈のリスクを高める可能性があることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らの調査で示された。研究の成果は2020年5月22日、Lancet誌オンライン版に掲載された。抗マラリア薬クロロキンと、そのアナログで主に自己免疫疾患の治療薬として使用されるヒドロキシクロロキンは、多くの場合、第2世代マクロライド系抗菌薬との併用でCOVID-19治療に広く用いられているが、その有益性を示す確固たるエビデンスはない。また、これまでの研究で、このレジメンは心血管有害作用としてQT間隔延長をもたらし、QT間隔延長は心室性不整脈のリスクを高める可能性が指摘されている。6大陸671病院の入院患者の多国間レジストリ解析 研究グループは、COVID-19治療におけるヒドロキシクロロキンまたはクロロキン±第2世代マクロライド系抗菌薬の有益性を評価する目的で多国間レジストリ解析を行った(ブリガム&ウィメンズ病院の助成による)。 レジストリ(Surgical Outcomes Collaborative)には6大陸671ヵ所の病院のデータが含まれた。対象は、2019年12月20日~2020年4月14日の期間に入院し、検査で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が陽性のCOVID-19患者であった。 診断から48時間以内に次の4つの治療のうち1つを受けた患者と、これらの治療を受けていない対照群を解析に含めた。(1)ヒドロキシクロロキン、(2)ヒドロキシクロロキン+マクロライド系抗菌薬、(3)クロロキン、(4)クロロキン+マクロライド系抗菌薬。マクロライド系抗菌薬はクラリスロマイシンとアジスロマイシンに限定された。 診断後48時間を超えてから治療が開始された患者や、機械的換気およびレムデシビルの投与を受けた患者は除外された。 主要アウトカムは、院内死亡と新規心室性不整脈(非持続性・持続性の心室頻拍および心室細動)とした。4レジメンすべてで、死亡と心室性不整脈が増加 試験期間中にCOVID-19患者96,032例(平均年齢53.8歳、女性46.3%)が入院し、適格基準を満たした。このうち、1万4,888例が治療群(ヒドロキシクロロキン群3,016例、ヒドロキシクロロキン+マクロライド系抗菌薬群6,221例、クロロキン群1,868例、クロロキン+マクロライド系抗菌薬群3,783例)で、8万1,144例は対照群であった。1万698例(11.1%)が院内で死亡した。 交絡因子(年齢、性別、人種または民族、BMI、心血管系の基礎疾患とそのリスク因子、糖尿病、肺の基礎疾患、喫煙、免疫不全疾患、ベースラインの疾患重症度)を調整し、対照群の院内死亡率(9.3%)と比較したところ、4つの治療群のいずれにおいても院内死亡リスクが増加していた。各群の院内死亡率およびハザード比(HR)は、ヒドロキシクロロキン群18.0%(HR:1.335、95%信頼区間[CI]:1.223~1.457)、ヒドロキシクロロキン+マクロライド系抗菌薬群23.8%(1.447、1.368~1.531)、クロロキン群16.4%(1.365、1.218~1.531)、クロロキン+マクロライド系抗菌薬群22.2%(1.368、1.273~1.469)であった。 また、入院中の新規心室性不整脈のリスクは、対照群(発生率0.3%)と比較して、4つの治療群のすべてで増加していた。各群の発生率とHRは、ヒドロキシクロロキン群6.1%(HR:2.369、95%CI:1.935~2.900)、ヒドロキシクロロキン+マクロライド系抗菌薬群8.1%(5.106、4.106~5.983)、クロロキン群4.3%(3.561、2.760~4.596)、クロロキン+マクロライド系抗菌薬群6.5%(4.011、3.344~4.812)。 著者は、「これらの薬剤の有用性を示唆するエビデンスは、少数の事例研究や小規模の非盲検無作為化試験に基づいているが、今回の研究は複数の地域の多数の患者を対象としており、現時点で最も頑健な実臨床(real-world)のエビデンスをもたらすものである」とし、「これらの知見は、4つの治療レジメンは臨床試験以外では使用すべきでないことを示唆しており、無作為化臨床試験により早急に確認する必要がある」と指摘している。 なお、本論文のオンライン版は、掲載後に、使用したデータベースに問題があることが判明し、修正のうえ2020年5月29日付で再掲されている。修正の前後で結論は変わらないとされるが(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31249-6/fulltext)、同じデータベースを用いた他の論文を含め調査が進められており、今後、さらに修正が加えられる可能性もある。

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腎移植者への細胞治療、免疫抑制による感染症を抑制/Lancet

 生体腎移植患者の免疫抑制療法において、制御性細胞療法は施行可能かつ安全であり、標準的な免疫抑制薬による治療と比較して感染性合併症が少なく、1年目の拒絶反応の発生率はほぼ同等であることが、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBirgit Sawitzki氏らの検討「The ONE Study」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年5月23日号に掲載された。免疫抑制薬は臓器移植の適応を拡大したが、副作用や慢性拒絶反応のため、この10年、生着期間は横ばいだという。長期の免疫抑制薬の使用は合併症や医療費の増加をもたらすため、拒絶反応の予防においては、免疫抑制薬への依存度を低減する新たな戦略が求められている。細胞由来医薬品(cell-based medicinal product:CBMP)は、臓器移植における免疫抑制薬の削減に寄与する最先端のアプローチとして期待を集めている。同一デザインの7つの非無作為化単群試験 本研究は、5ヵ国(フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国)の8つの病院が参加した、同一のデザインを共有する7つの医師主導の単群試験であり、2012年12月11日~2018年11月14日の期間に実施された(第7次欧州連合フレームワークプログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の生体腎移植患者であった。また、追跡期間は60週だった。 7つの試験のうち1つは参照群試験(RGT)であり、8病院で標準的な免疫抑制薬による治療(バシリキシマブ、ステロイド漸減、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス)が行われた。 RGTへの患者登録が終了した後、6つの非無作為化第I/IIa相試験として、細胞療法群(CTG)の試験が7病院で実施された。これらの試験では、各病院で6つのCBMPのうち1つが投与され、患者データをプールして解析が行われた。バシリキシマブによる導入療法をCBMPで代替し、ミコフェノール酸モフェチルの漸減療法を可としたものを除き、患者選択や免疫抑制療法はRGTと同様だった。 6つのCBMPは、2つの多クローン性制御性T細胞(pTreg-1、pTreg-2)、2つのドナー抗原反応性Treg(darTreg-CSB、darTreg-sBC)、自家免疫寛容誘導性樹状細胞(ATDC)、制御性マクロファージ細胞(Mreg)であった。 主要エンドポイントは、移植後60週以内に生検で確定された急性拒絶反応(BCAR)とした。BCAR発生率:12% vs.16%、感染症はRGTで約6倍 130例が登録され、治療を受けた104例が解析に含まれた。RGTで治療を受けた66例の年齢中央値は47歳、73%が男性であった。6つのCTG試験で治療を受けた38例は、それぞれ45歳および71%だった。 RGTの標準的免疫療法を受けた移植患者における60週時のBCAR発生率は12%(8/66例)であり、予測範囲内(3.2~18.0%)であった。また、6つのCTG試験のBCAR率は16%(6/38例)で、これも予測の範囲内だった。また、初発BCARの重症度別(Banff分類スコア)の患者分布は、RGTとCTG試験で類似していた。 CBMPの投与を受けた患者38例のうち15例(40%)はミコフェノール酸モフェチルからの離脱に成功し、試験終了時にはタクロリムス単剤による維持療法に移行していた。これに対し、RGTの患者では、98%(60/61例)が2剤以上の免疫抑制薬の併用療法を続けていた。 CTG試験の有害事象の統合データおよびBCARエピソードからは、RGTと比較して安全性に関する懸念は示されなかった。 治療関連の重篤な有害事象の発生状況は、感染症を除き全般にRGTとCTG試験で類似していた。治療関連の重篤な感染症エピソードの発生率は、RGTがCTG試験の約6倍であった。また、すべての感染症の発生率もCTG試験で低く、このパターンは6つの試験で共通しており、腎移植後の観察期間全体を通じて一貫して認められた。 著者は、「免疫細胞療法は、一般的な免疫抑制薬の負担を最小化し、腎移植患者における有用な治療アプローチとなる可能性がある」としている。

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唾液によるPCR検査開始、対応可能な医療機関の要件は?/日本医師会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査検体として、6月2日、新たに唾液が保険適用された。これを受け、6月3日の日本医師会定例記者会見において、釜萢 敏常任理事が同時に発出・改訂された通知や検体採取マニュアルなどについて紹介し、今後幅広い医療機関で活用されるようになることに期待感を示した。「症状発症から9日以内」であれば、唾液を用いたPCR検査が可能 COVID-19と診断され自衛隊中央病院に入院した患者の凍結唾液検体(発症後14日以内に採取された88症例)の分析を行い、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査結果との一致率を検証した厚生労働科学研究(研究代表:国際医療福祉大学成田病院・加藤 康幸氏)において、発症から9日以内の症例では、鼻咽頭ぬぐい液と唾液との結果に高い一致率が認められた1)。この結果を受け、厚生労働省では6月2日に、「症状発症から9日以内の者について、唾液を用いたPCR検査を可能とする」として、検査実施にかかるマニュアルの改定やPCR検査キットの一部変更承認・保険適用を実施した2)。 検査キットについては、鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査キットとして薬事承認されているものに加え、国立感染症研究所により同等の精度があると予備的に確認され現在使われている商品も対象(島津製作所やタカラバイオなど)。「これまで認められているすべてのキットについて、唾液検体を用いたPCR検査が可能になるという整理」と釜萢氏は説明した。唾液検体の採取のみを行う医療機関も? 要件を整理 同氏は、唾液検体のメリットとして、これまでの咽頭ぬぐい液を採取することに比べて感染リスクが少ないことを挙げた。また、PCR検査がこれまで広がらなかった原因として、感染防護具が不足していたことに加えて、検査をするに当たって、都道府県と医療機関が契約を締結しなければならなかったことがあるとし、「今回、その解決策として、都道府県医師会が間に入って、集合契約を結ぶことも可能となっているので、契約もしやすくなり、検査の実施数も増やすことができるのではないか」と述べた。また、すべての医療機関で一様に実施できるというものではないが、感染リスクを抑えられることから、より多くの医療機関で、唾液検体採取のみを担うといった役割も果たすことができるようになるのではないかと期待感を示した。 厚生労働省が2日に発出した通知では、感染症指定医療機関や感染症法に基づき患者が入院している医療機関以外の医療機関で、唾液検体採取を行う場合の要件を以下のようにまとめている3): 次のア~ウのすべてを満たすこと。ア 疑い例が新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者と接触しないよう、可能な限り動線を分けられている(少なくとも診察室は分けることが望ましい)こと。イ 必要な検査体制が確保されていること。ウ 医療従事者の十分な感染対策を行うなどの適切な感染対策が講じられていること。具体的には、以下のような要件を満たすことであり、詳細は、「新型コロナウイルス感染症が疑われる者等の診療に関する留意点について(その2)」(令和2年6月2日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部事務連絡)4)を参照すること。・標準予防策に加えて、飛沫予防策及び接触予防策を実施すること。 ・採取された唾液検体を回収する際には、サージカルマスク及び手袋を着用すること。検体採取・輸送マニュアルも更新 国立感染症研究所ホームページ上で公開されている「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」も6月2日に更新版を公開5)。唾液検体の取り扱いについて追記されている。唾液検体採取時の留意点としては、下記のようにまとめられている: 唾液…滅菌容器(50mL遠沈管等)に1~2mL程度の唾液を患者に自己採取してもらう(5~10分間かけると1~2mL採取できる)。唾液は粘性が高いため検体取扱時のピペット操作が困難なことがある。その際、検査にあたっては、唾液に対して容量で1~3倍量(唾液により粘性が異なるので、適宜、容量を変更)のPBSを加えボルテックスミキサーおよび激しい転倒混和により懸濁し、遠心後、上清を用いて核酸抽出を行う。  釜萢氏は検体をすみやかに、安全に検査実施機関に搬送するためのシステム作りが急務とし、この問題についても早急に解決していきたいと話した。

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双極性障害患者の精神疾患合併症の調査

 双極性障害(BD)患者では、ほかの精神疾患を合併することが少なくない。いくつかの研究では、BD発症前後でみられる精神疾患の発症について、システマティックに調査が行われている。モナコ・Hospital Princesse GraceのJ. Loftus氏らは、成人BD患者における精神疾患の合併率と発症年齢について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月15日号の報告。 寛解期のフランス人BD患者739例を対象に、アルコールや大麻乱用、自殺企図、不安症、摂食障害の既往例および発症年齢について、構造化された臨床面接により収集した。性別またはサブタイプ別に層別化されたBD群における精神疾患の合併率と発症年齢の統計学的に有意な関連は、回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルコールや大麻の乱用歴は、男性およびBD-Iとの関連が認められた。・不安症や摂食障害の多くは、女性との関連が認められた。・パニック症、広場恐怖症、アルコール乱用を除くほとんどの合併した精神疾患の発症年齢は、BD発症前に認められた。・合併症の発症年齢は、サブタイプ間で差が認められなかった。・なお、本研究はレトロスペクティブでの評価であり、合併率の推定や一部の合併症の正確な発症年齢については、想起バイアスリスクの可能性がある。 著者らは「BD患者の性別やBDサブタイプは、精神疾患の合併率の差と関連していたが、合併症の発症年齢の差は、あまり認められなかった。BD患者の合併症の時系列的なシークエンスにより、BD発症後の合併症の発症は少ないことが実証された。これらの疾患は、早期2次予防を目的とした介入の影響を受けやすいため、注意が必要である」としている。

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COVID-19に対するレムデシビルによる治療速報―米中のCOVID-19に対する治療薬・ワクチンの開発競争(解説:浦島充佳氏)-1238

 COVID-19に対して各国で治療薬・ワクチンの開発が進められている1)。エイズの治療薬であるカレトラは期待が持たれたが、ランダム化臨床試験でその効果を否定された2)。4月29日、レムデシビルは武漢のランダム化臨床試験で、明らかに治療薬群で有害事象による薬剤中止例が多く、途中で中止された。したがって十分な症例数ではないが、レムデシビル群の死亡率は14%、プラセボ群のそれは13%であり治療効果を確認することはできなかった3)。ところが同日、米国国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士は同じくランダム化臨床試験[NCT04280705]の結果、レムデシビルを投与された患者の回復期間の中央値は11日で、プラセボを投与された患者(15日)よりも31%短かったことにより、「レムデシビルには、回復までの期間を短縮させる効果がある」と発表した。通常、記者会見は論文が誌上で公表された直後に行われる。トップジャーナルでは、たとえば「○月○日の東部時間○時に誌上発表になる。それ以前よりメディアと打ち合わせして、ニュースをどのように構成するかを相談してもよいが、記者会見はそれ以降とすること」などと厳しく規定される。記者会見の場にはトランプ大統領も同席し、腕を組んでファウチ博士のことをにらみつけていたのが印象的であった。これを受けて米国はレムデシビルをCOVID-19の治療薬として認可し、日本政府も続いて承認手続きに入った。 しかしながら、この米国の臨床試験では、途中で研究計画上の変更が行われている。患者受け入れ期間を20日間延長し、研究対象の範囲も中~重症を酸素投与が不必要な軽症入院事例まで拡大し、対象人数も394人から1,063人に増やし、プラセボを途中から生理食塩水に変更し、効果判定項目も重症度の改善から酸素不要あるいは退院(在宅酸素を含む)に変更している。これは通常の治験あるいは臨床試験ではあり得ない変更だ。たとえば、プラセボが生理食塩水に切り替わったことにより、主治医は目の前の患者がレムデシビル群かプラセボ群かどちらに振り分けられたのかを知りえるかもしれない。主治医がレムデシビルに強い期待を持つことにより、意図的にレムデシビル群で早く酸素を中止したり、早めに退院を誘導し在宅酸素療法に切り替えたりする、逆に生理食塩水の群に含まれた患者で主治医がこの逆をすれば、本当はレムデシビルにCOVID-19患者の症状を改善する効果がないのに、「効果がある」という誤った結論を導く可能性がある。 この治験の詳細な結果は5月22日のNEJM誌に速報として掲載された。内容を精査すると、中等症から軽症の患者には有効であるが、人工呼吸器やECMO を使用するような重症例では効果を認めていない。今後のエビデンスに期待したいが、少なくとも現時点でレムデシビルは致死的COVID-19 に対して有効であるとはいえない。 これは私の考え過ぎかもしれないが、レムデシビルは米国の製薬会社、ギリアド社の開発した薬剤であり、中国はこれを否定し、米国がこれを是が非でも肯定したいという政府の思惑に見えてしまう。1)Borba MGS, et al. JAMA Netw Open. 2020;3:e208857.2)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020;382:1787-1799.3)Wang Y, et al. Lancet. 2020;395:1569-1578.

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第9回 黒人差別とアフターコロナの「マスク着用」励行は同罪か

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題を眺め、かつ医療ジャーナリストとして記事を執筆していながら、とりわけ扱いが難しい、伝わりにくいと感じるテーマがある。それはマスク着用に関してだ。ご存じのようにマスク着用によるウイルス感染予防効果に関して、数少ない研究では予防できないとの結果がほとんどだ。有症状者やウイルスキャリアによる感染拡散を減らすという報告はある。つまるところ、マスクは第一義的に感染者が非感染者へと拡散させないための道具である。私も記事を執筆する際にはそのこととともにマスク着用以前に手洗いを徹底すべきと繰り返し記述してきた。ところが市中で見かけるマスク着用者はたぶんほとんどが感染を予防するためと考えているのではないだろうか?実は自分のfacebookのタイムラインでも時々このマスク問題が話題になることがある。そうなるとコメント欄はマスク着用を巡る賛否でやや荒れ模様となる。中にはそれなりに自分で情報をキャッチして「政府の専門家会議が推奨している」「自分がもしかして感染者だったらと考えて着用すべき」との声もある。新しい生活様式、論文や生活の優先順位を反映せずまず政府の新型コロナウイルス感染症専門家会議が提唱した「新しい生活様式」の実践例では確かに「感染防止の3つの基本」として(1)身体的距離の確保、(2)マスクの着用、(3)手洗い、とし、マスクについては「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」と記述している。しかし、この記述について個人的には相当異論がある。まず3つの基本の順番である。もしかしたら専門家会議、それを受けて内容を公表した官僚たちは、その辺は何も意識せずに並列で記述したのかもしれないが、一般人は素直に(1)から順に重要なことと受け取る。その意味では感染を予防するために(1)が最優先なのは異論がない。しかし、重要度が順番通りならば(2)と(3)は逆であるべきだ。過去の研究でもマスクが予防に有効とされた研究は手洗いの励行との併用の場合である。そもそも、マスクを着用すれば、必然的に顔を触る回数が増えるので手洗いの励行がなければ逆に感染の危険性は増す。実際、世界保健機関(WHO)のホームページでもマスクの着用に際しては、マスクを触る前後で手洗いを推奨している。日常に置き換えた場合、1日喋らない生活と1日手を使わない生活のどちらが難易度が高いかといえば後者なはず。よって、手を介した接触感染のリスクはどんな人でもそこそこ以上に高いはずである。また、「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」と記述もやや難ありだ。正確に文脈を読み解くことができる人ならば、これは「外出中に屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」との意味であることは分かるはずだ。そうでないならば、自宅に一人でいる時もマスクをしなければならないことになる。実際、この記述の仕方では反射的に「外出時も屋内にいる時も会話の時も」と解釈する人もいる。そもそも、この新しい生活様式の実践例は、食事に際して「対面ではなく横並びで座ろう」「料理に集中、おしゃべりは控えめに」など衝撃的過ぎる大きなお世話な内容が満載されているので、そちらのほうが印象に残り、こうした微細な表現はスルーされがちだ。本来、屋外ではアーケード商店街などを除き、多くの人が自然とソーシャルディスタンスを取っており、この初夏の炎天下が始まった屋外で誰かと会話せずに歩行するならば、感染予防でのマスク着用はほぼ不要と考えられる。ところが今現在、爽快な青空の下、そこここで繰り広げられているのは、リチャード・プレストン著によるエボラ出血熱のドキュメント「ホット・ゾーン」のドラマ化の撮影シーンかと思うようなマスクマン大行進の光景である。一方、感染者の約8割が無症候・軽症で発症前に感染力のピークがあるこのウイルスの性質を考えれば、自分が感染者である前提でマスクを着用するという考え方は筋が通っているとも言える。しかし、この理論も今後の行く末を考えると、どうしても引っ掛かりを感じてしまう。こうした考えの人はおそらくCOVID-19に対するワクチンが上市され、多くの人がそれを接種完了した際にマスクなしの日常を送れると考えているだろう。しかし、私はこの考えはかなり見通しが甘いと思っている。マスク着用のマナー化を懸念する理由COVID-19の原因となっているSARS-CoV-2は変異しやすいRNAウイルスである。ワクチンが開発できたとしても、その効果は季節性インフルエンザワクチンのように、一定頻度は接種者でも感染が起こりうるものになる可能性はあるだろう。となると、他人に感染させないためにマスクを着用する理論に従えば、症状発症後に感染力のピークがあるインフルエンザとは異なるSARS-CoV-2の感染拡散を防止するため、ワクチン登場後も自宅外では生涯マスク着用の生活を強いられることになる。このように書くと、「揚げ足取り」と言われかねないかもしれないが、私が最も危惧するのは、マスク着用にリスクがある人が着用を強いられるような空気を懸念するからである。たとえば、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイダンスでは、「2歳以下の幼児」「呼吸機能に問題がある人」「装着に介助が必要な人」はマスクをすべきではないと注意を促している。さらにマスク装着でソーシャルディスタンスの代用はできないとも強調している。また、これから暑くなる時期に心疾患患者などではマスク着用が逆にリスクとなる人もいるはずである。しかも、こうした人たちは外見では判断できない。ところがマスク着用を「マナー」化してしまうと、こうした人たちは無用な差別に晒されることになる。マスクだってタダではない。しかも、手洗いに要する石けんや水と違って比較的ごく当たり前に一般家庭にあるものではなく、今回多くの人が思い知ったように供給状態は不安定で、かつてと比べ価格は高騰している。低所得家計ではマスク購入が家計を圧迫するケースがあってもおかしくはない。実際、こうした空気が影響したのだろう。感覚過敏のためマスク着用ができない人向けの意思表示カードなるものまで登場した。いわゆるヘルプマークのようなもので、これが一定の効果を生むかもしれない。しかし、どんな疾患に罹患しているかは究極の個人情報であり、そのことを進んで公にしたい人はそう多くないはずだ。むしろ、こうした人たちに結果としてここまでさせた私たちのほうが恥じ入らねばならない。どう見てもマスクを着用していない人の中には、リスクのある人とは思えない人が混じっている、と考える人もいるだろう。だが、そうした人には次の問いに答えて欲しい。「ある部屋で財布がなくなりました。被害者を除き、2人がいます。1人が白人、もう1人は黒人です。さて犯人はどちらでしょう?」この問いに根拠もなく黒人と答える人が一定数いることこそが、今ニュースで話題になっているアメリカでのカオスを生み出す。そうである以上、リスクがあってマスクを着用できない人に、何の考えもなしにマスク着用しない人、リスクはなくとも考えがあって着用しない人という誤差範囲も含め、着用できない人と社会全体が考えて接する以外に解決方法はないように思える。今回この意思表示カードを目にし、私自身はやっぱり「蟷螂之斧(とうろうのおの)」だとしても、機会をとらえてマスクについて繰り返し言及していこうという意を新たにしている。

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産後うつ病と食事との関係~メタ解析

 一般集団において、食事パターンがうつ病や抑うつ症状の発症に影響を及ぼすことが、観察研究によるエビデンスで示唆されている。しかし、出産後の女性における食事と産後うつ病(PPD)との関係を検討した研究はほとんどない。オーストラリア・ディーキン大学のRachelle S. Opie氏らは、出産後の女性の食事とPPD症状との関連を調査するため、既存の公表済みの研究よりデータを統合し検討を行った。Maternal and Child Health Journal誌オンライン版2020年5月4日号の報告。 1835年~2020年4月に公開された関連文献を、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PubMed、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・特定された研究931件より、適格基準を満たした6件が解析に含まれた。・横断研究4件、コホート研究2件であった。・1件を除くその他すべての研究において、産後の健康的な食事に対するアドヒアランスの高さがPPD症状の少なさと関連しているといった、1つ以上の逆相関が認められた。・さらなる縦断研究や介入研究で確認された場合、果物、野菜、魚、穀物、豆類、ハーブに重点を置いたバランスの取れた食事は、PPD発症率を低下させることに役立つ可能性がある。 著者らは「出産後の女性における食事は、PPD症状に影響を及ぼす可能性があり、さらなる長期的な介入研究が求められる」としている。

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間質性肺疾患にオフェブが適応追加承認/日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤ニンテダニブ(商品名:オフェブ)につき、2020年5月29日付で、進行性線維化を伴う間質性肺疾患の効能・効果で国内における製造販売承認を取得した。 今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(INBUILD試験)1)に基づくもので、ニンテダニブはわが国で初めて進行性線維化を伴う間質性肺疾患を適応として承認された治療薬となる。ニンテダニブに「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」の適応追加 間質性肺疾患(Intersticial lung disease:ILD)は、200を超える肺疾患を包含し、進行性の肺の線維化を来すという共通の特徴がみられる疾患。とくに特発性肺線維症(IPF)は、間質性肺疾患の代表的疾患として知られ、IPF以外のILDでも、IPFに類似した臨床経過、すなわち肺の線維化、肺機能の低下および生活の質(QOL)の悪化を引き起こし、早期死亡につながる。 ILD患者の18~32%に進行性の線維化がみられるとの報告があり2)、ILDでは関節リウマチ関連ILD、全身性強皮症に伴うILD、混合性結合組織病に伴うILDなどの自己免疫性ILD、ならびに特発性非特異性間質性肺炎、分類不能型特発性間質性肺炎(Unclassifiable IIP)などのIIPs、過敏性肺炎、じん肺などの職業環境性ILD、サルコイドーシスなど幅広い疾患が挙げられる。 これらの疾患は、重篤にもかかわらず、効果的な治療選択肢がないというアンメットメディカルニーズの高い疾患であり、ながらく治療薬の開発が望まれていた。今回、INBUILD試験において、進行性線維化を伴うILD患者に対するニンテダニブの有効性が検証され、安全性が確認されたため適応追加承認がなされた。2015年の発売以来ニンテダニブは2015年の発売以降、適応を拡大 ニンテダニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、β、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2、3および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害剤。わが国では、2015年7月に「特発性肺線維症」を効能・効果として、製造販売承認を取得し、2019年12月に「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」に対して追加適応を取得、使用されている。ニンテダニブはIPFの疾患進行を遅らせることが検証されている抗線維化薬2剤のうちの1剤であり3)、抗線維化薬による治療は国際ガイドラインによってIPF患者への使用が承認・推奨されている薬物治療となっている3)。参考線維化を伴う間質性肺疾患に対する適応追加の承認取得IPFに関する一般の方・患者向けの疾患情報サイト

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