サイト内検索|page:795

検索結果 合計:35656件 表示位置:15881 - 15900

15881.

COVID-19関連肺炎へのアクテムラ、第III相試験で主要評価項目達成/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は9月18日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎における有効性を評価する第III相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したことを発表した。 EMPACTA試験は、新型コロナウイス(SARS-CoV-2)感染が確認され、SpO2<94%で、非侵襲的または侵襲的な機械的換気を必要としない、18歳以上の入院患者が対象。米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーから389例が登録された。 主要評価項目は、28日目までに死亡または機械的換気が必要となった患者の累積比率。副次評価項目は、28日目までの死亡率、退院または退院準備までの期間、臨床的成功期間(死亡、機械的換気、ICU入室、脱落のいずれか早く起こった事象までの期間)とされた。 今回発表された結果は以下の通り。・アクテムラと標準治療を受けた患者は、プラセボと標準治療を受けた患者と比較して、機械的換気または死亡に至るリスクが44%低下した(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.32~0.97、ログランク検定p=0.0348)。・28日目までに人工呼吸または死亡に至った患者の累積比率は、アクテムラ群で12.2%、プラセボ群で19.3%であった。・28日目までの退院または退院準備までの期間に有意差はなかった(中央値:アクテムラ6日 vs.プラセボ7.5日、HR:1.16、95%CI:0.90~1.48、ログランク検定p=0.2456)。・28日目までの臨床状態の改善までの期間に有意差はなかった(中央値:6日vs.7日、HR:1.15、95%CI:0.90~1.47、ログランク検定p=0.2597)。・28日目までの臨床的成功期間は、プラセボ群と比較してアクテムラ群で長かった(中央値:推定不可(NE)vs. NE、HR:0.55、95%CI:0.33~0.92、ログランク検定p=0.0217)。 ただし、他の主要な副次的評価項目が満たされていないため、この差は統計的に有意であるとはみなされない。・28日目までの死亡率に統計的有意差はみられなかった(10.4% vs. 8.6%、差:2.0%[95%CI:-5.2%~7.8%]、p=0.5146)。・28日目までの感染症発生率は10% vs. 11%、深刻な感染症発生率は5.0% vs. 6.3%であった。 アクテムラ群で多くみられた有害事象は、便秘(5.6%)、不安(5.2%)、頭痛(3.2%)であった。EMPACTA試験では、アクテムラの新しい安全性信号は確認されていない。 EMPACTA試験の結果は、今後査読付きジャーナルに掲載される予定。

15882.

ダロルタミド、転移のない去勢抵抗性前立腺がんの生存率改善/NEJM

 転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者の治療において、ダロルタミドはプラセボに比べ、3年生存率が有意に高く、有害事象の発現はほぼ同程度であることが、フランス・Institut Gustave RoussyのKarim Fizazi氏らが行った「ARAMIS試験」の最終解析で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月10日号に掲載された。ダロルタミドは、独自の化学構造を持つアンドロゲン受容体阻害薬で、本試験の主解析の結果(無転移生存期間中央値:ダロルタミド群40.4ヵ月、プラセボ群18.4ヵ月、ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.34~0.50、p<0.0001)に基づき、転移のない去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、すでに米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている。主解析の時点では、全生存(OS)を解析するためのデータは不十分であり、試験期間を延長してフォローアップが継続されていた。OSを含む副次エンドポイントを評価 本研究は、転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者の治療におけるダロルタミドの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2014年9月~2018年3月の期間に患者登録が行われた(Bayer HealthCareとOrion Pharmaの助成による)。 対象は、前立腺特異抗原(PSA)≧2ng/mL、PSA倍加時間≦10ヵ月、全身状態(ECOG PS)0または1の転移のない去勢抵抗性前立腺がんの患者であった。 被験者は、ダロルタミド(600mg)を1日2回、食事とともに経口投与する群、またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。この間、アンドロゲン除去療法は継続された。 主要エンドポイント(無転移生存期間)の解析結果が肯定的であることが明らかとなった時点で、治療割り付けの盲検を中止し、プラセボ群の患者は非盲検下ダロルタミド投与へのクロスオーバーが許可された。 今回の事前に規定された最終解析では、OSを含む副次エンドポイントの評価が行われた。死亡リスク31%低下、他の副次エンドポイントにも有意差 1,509例が登録され、ダロルタミド群に955例、プラセボ群には554例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は29.0ヵ月だった。 データを非盲検とした時点でプラセボの投与を受けていた170例は、全例がダロルタミドにクロスオーバーされた。非盲検となる前にプラセボを中止していた137例は、ダロルタミド以外の1種類以上の延命治療を受けていた。 3年OS率はダロルタミド群が83%(95%CI:80~86)、プラセボ群は77%(72~81)であった。死亡リスクは、ダロルタミド群がプラセボ群に比べて31%低く、有意差が認められた(死亡のHR:0.69、95%CI:0.53~0.88、p=0.003)。 ダロルタミド群では、他の副次エンドポイントである症候性骨関連事象発現までの期間(HR:0.48、95%CI:0.29~0.82、p=0.005)、細胞傷害性化学療法開始までの期間(0.58、0.44~0.76、p<0.001)、疼痛進行までの期間(0.65、0.53~0.79、p<0.001)についても、有意な改善効果がみられた。 有害事象は、二重盲検期にはダロルタミド群85.7%、プラセボ群79.2%で発現した。有害事象による治療中止の割合は、主解析(ダロルタミド群8.9%、プラセボ群8.7%)と変わらず、二重盲検期の重篤な有害事象やGrade5の有害事象の割合も主解析と一致していた。ダロルタミド群では、疲労感が13.2%で報告され、二重盲検期に10%を超えた唯一の有害事象であった。発現率が5%を超えたその他の有害事象は、いずれも両群でほぼ同等の頻度であった。 治療曝露量で補正したとくに注意すべき有害事象(転倒、痙攣発作、高血圧、抑うつ/気分障害など)のほとんどは、両群間に頻度の差がないか、あってもわずかであった。 著者は、「この試験は規模が大きく、とくにフォローアップ期間を延長して報告したOSの解析において、頑健な統計解析が可能となった」としている。

15883.

重症血友病A、BIVV001融合蛋白による第VIII因子補充療法が有効/NEJM

 重症血友病Aの男性患者の治療において、新規融合タンパク質BIVV001(rFVIIIFc-VWF-XTEN)の単回静脈内注射により、第VIII因子活性が高値で維持され、半減期は遺伝子組み換え第VIII因子の最大4倍に達し、本薬は投与間隔1週間の新規クラスの第VIII因子機能代替製剤となる可能性があることが、米国・Bloodworks NorthwestのBarbara A. Konkle氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月10日号に掲載された。第VIII因子機能代替製剤は血友病A患者の治療を改善したが、これらの製剤は半減期が短く、患者QOLの改善は十分ではないという。また、遺伝子組み換え第VIII因子の半減期は、von Willebrand因子(VWF)のシャペロン作用のため15~19時間とされる。BIVV001は、この半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高値で維持するようデザインされた新規融合蛋白である。日米の施設が参加した第I/IIa相試験 本研究は、重症血友病A患者におけるBIVV001の安全性と薬物動態の評価を目的とする第I/IIa相試験であり、米国の6施設と日本の1施設が参加した(SanofiとSobiの助成による)。 対象は、治療歴のある重症血友病A(内因性第VIII因子活性<1%)の男性患者16例(18~65歳)であった。これらの患者は、遺伝子組み換え第VIII因子の単回静脈内注射を、25 IU/kg体重で受ける群(低用量群)、または65 IU/kgで受ける群(高用量群)に連続的に割り付けられた。3日以上の休薬期間の後、患者はBIVV001の単回静脈内注射を、それぞれ遺伝子組み換え第VIII因子と同じ用量の25 IU/kgまたは65 IU/kgで受けた。 主要エンドポイントは、有害事象および臨床的に重要な検査値異常とし、インヒビターの発現、VWF活性(リストセチンコファクター活性で評価)、VWF抗原量が含まれた。副次エンドポイントは薬物動態であった。高用量群の接種後第VIII因子平均値、4日間は≧51%、7日目は17% 低用量群の7例(平均年齢33歳[範囲:19~60]、日本人1例、診断後の平均期間:29.9±8.1年)では、全例が遺伝子組み換え第VIII因子の投与を受けたが、BIVV001の投与を受けたのは6例で、1例はBIVV001の投与前に脱落したが、第VIII因子の薬物動態の評価には含まれた。高用量群の9例(44歳[32~63]、日本人1例、40.6±10.0年)は、全例が両薬剤の投与を受けた。 BIVV001注射から28日間までに、第VIII因子インヒビターは検出されず、過敏症やアナフィラキシーは報告されなかった。また、BIVV001注射以降にVWF活性やVWF抗原の臨床的に重要な変化は検出されなかった。 遺伝子組み換え第VIII因子治療期に、3例で8件の有害事象が報告された。8件中4件は低用量群の1例で発現した重篤な有害事象で、このうちの1件(自動車事故)は合併症のため、この患者はBIVV001投与前に試験から脱落した。最も頻度の高い有害事象はトロンビン・アンチトロンビンIII複合体の無症状での上昇(2例、各群1例ずつ)で、いずれも担当医により治療関連と判定された。 BIVV001治療期には、9例で18件の有害事象が報告された。重篤な有害事象として、以前の虫垂切除術の合併症に起因する小腸閉塞が1例にみられた。最も頻度の高い有害事象はトロンビン・アンチトロンビンIII複合体の無症状での上昇(2例、各群1例ずつ、いずれも遺伝子組み換え第VIII因子治療期の2例と同じ患者)と頭痛(2例、各群1例ずつ)で、前者は担当医により治療関連と判定された。 BIVV001の半減期の幾何平均値は、遺伝子組み換え第VIII因子の3~4倍であった(低用量群:37.6時間vs.9.1時間、高用量群:42.5時間vs.13.2時間)。また、製剤への曝露の曲線下面積(AUC)は、BIVV001が遺伝子組み換え第VIII因子の6~7倍だった(低用量群:4,470時間×IU/dL vs.638時間×IU/dL、高用量群:1万2,800時間×IU/dL vs 1,960時間×IU/dL)。 高用量群におけるBIVV001注射後の第VIII因子の平均値は、4日間は正常範囲内(≧51%、範囲:35~72%)で、7日目は17%(範囲:13~23%)であった。これは、1週間空けた投与の可能性を示唆する。 著者は、「BIVV001注射により、第VIII因子活性は、正常化期間を経た後高値で持続したことから、本薬は重症血友病A患者において、あらゆる種類の出血に対するより良好な防御とともに、製剤の投与間隔の延長をもたらす可能性がある」としている。

15884.

論文執筆した若手医師には超特急対応で応援だ!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第28回

第28回 論文執筆した若手医師には超特急対応で応援だ!初めて何とか英語で書いた論文原稿を、指導してくださる先輩医師に手渡した時の緊張感は今も忘れられません。論文といっても症例報告です。興味深い経過をとった担当例があり、生意気にも症例報告したいと志願したのです。先輩医師もサポートを快諾してくれました。1日に1行書くことを自らへの課題として執筆しました。英語を書くのは大変な苦労を伴います。「なるべく早く目を通しておくから」そう言って受け取ってくれました。その10分後に廊下で出会ったときには、もう修正を完了した原稿が返ってくるのではないかとドキドキしている自分がいました。その翌日の朝です。「少し手直ししておいたからね」「ありがとうございます」見事に赤ペンが入り、ことごとく修正されています。自分の書いた英語らしきものは、英語に変身していました。論旨も明確になり、何より半分近くに短くなっています。疑問点やコメントも記されています。何と、24時間もかからずに返ってきたのです。そんな短時間で完了する修正作業でないことは明白です。昨夜は遅くまで、もしかすると徹夜で読みこんで修正してくださったのかもしれません。ありがたいことです。自分もこのスピード感に応える以外にありません。翌朝には、再修正版の原稿を手渡しました。何度かのやりとりの後に、完成版ができあがり投稿です。メールが普及する前の時代ですから、国際郵便での「submission:投稿」です。ちゃんと届くいてれよ! 待つこと1ヵ月半、「revise:修正」の返事でした。この返事が届くまでの時間は、無限にも感じられました。「reject:却下」でないだけでも感謝すべき祝報なのですが、当時の自分は生意気にも、修正すべきという編集部からの返答に憤っていました。若さゆえと恥ずかしく思い起こされます。ここからの修正作業にも先輩の力添えをいただき、見事に「accept:採択」され、「publication:出版」されました。紙媒体として届いた英文の別刷を見た時の感激は言いようのないものでした。「Author:著者」としてローマ字で書かれた自分の名前が輝いているようでした。人生の紆余曲折を経て、不思議なことに若手医師から論文原稿を手渡される立場になりました。手渡しではなくメールですが、その若手の心情は痛いほど伝わってきます。自分が受けた先輩からの御恩を、次世代の医師に返さなければなりません。最優先事項として手直し作業に着手します。24時間以内は無理でも、数日内には修正したものを返却したいところです。とくに初めての英語論文の執筆者には、超特急のレスポンスが肝要です。ここで待たせるようでは、育つべき人材も芽が出ません。待たせていけません。人間は期待して待つときには時間を長く感じます。英文の医学雑誌に投稿しようとすると、要項には「impact factor」だけでなく、必ず「submission to first decision」つまり、投稿から最初の掲載可否の判断までの平均の日数が記載されています。投稿してから返事が来るまでの時間は長く感じるのです。待つことが苦手なのは洋の東西を問わないようです。世界中の医学雑誌の中でも頂点に位置するNEJM誌は、「reject:却下」の場合には1週間以内で返答があります。たとえダメでも短時間で決着するのならば挑戦してみようと、良い投稿が集中する仕組みです。膨大な投稿量の論文を読みこむ編集部の医学的な判断力は賞賛に値します。誰でも待たされることにはイライラします。病院を受診する際にイライラしながら待っている人は大勢います。部下からの報告を待ってイライラしている人もいます。論文、それも英語論文を執筆しようという者には、イライラ感を持つことが無いように応援してあげたいものです。イライラせずに待つことができる素晴らしい生き物が猫様です。いつも慌てず泰然自若としています。野生時代の猫は獲物を確実に捕まえられるように、機会をうかがってじっと待っていたそうです。飼い猫は、飼い主を待っていれば期待に応えてくれることを知っています。遊んでほしい、甘えたい、キャットフードが欲しい、いろいろの期待で一杯です。上目遣いにいじらしい姿で待つ猫には、つい優しくしてしまいます。では、猫に邪魔される前に、若手の英語論文の修正作業に取り掛かることにします。

15887.

「ゾメタ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第18回

第18回 「ゾメタ」の名称の由来は?販売名ゾメタ点滴静注 4mg/100mLゾメタ点滴静注 4mg/5mL一般名(和名[命名法])ゾレドロン酸水和物(JAN)効能又は効果○悪性腫瘍による高カルシウム血症○多発性骨髄腫による骨病変及び固形骨転移による骨病変用法及び用量ゾメタ点滴静注 4mg/100mL<悪性腫瘍による高カルシウム血症> 通常、成人には1ボトル(ゾレドロン酸として4mg)を15分以上かけて点滴静脈内投与する。なお、再投与が必要な場合には、初回投与による反応を確認するために少なくとも1週間の投与間隔をおくこと。<多発性骨髄腫による骨病変及び固形骨転移による骨病変> 通常、成人には1ボトル(ゾレドロン酸として4mg)を15分以上かけて3~4週間間隔で点滴静脈内投与する。ゾメタ点滴静注 4mg/5mL<悪性腫瘍による高カルシウム血症> 通常、成人にはゾレドロン酸として4mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液(5%)100mLに希釈し、15分以上かけて点滴静脈内投与する。なお、再投与が必要な場合には、初回投与による反応を確認するために少なくとも1週間の投与間隔をおくこと。<多発性骨髄腫による骨病変及び固形骨転移による骨病変> 通常、成人にはゾレドロン酸として4mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液(5%)100mLに希釈し、15分以上かけて3~4週間間隔で点滴静脈内投与する。警告内容とその理由警告<効能共通>1.本剤は点滴静脈内注射のみに用いること。また、投与は必ず15分間以上かけて行うこと。5分間で点滴静脈内注射した外国の臨床試験で、急性腎障害が発現した例が報告されている。<悪性腫瘍による高カルシウム血症>2.高カルシウム血症による脱水症状を是正するため、輸液過量負荷による心機能への影響を留意しつつ十分な補液治療を行った上で投与すること。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分又は他のビスホスホネート系薬剤に対し、過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性※本内容は2020年9月23日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年9月改訂(第14版)医薬品インタビューフォーム「ゾメタ®点滴静注4mg/100mL・ゾメタ®点滴静注4mg/5mL」2)ノバルティス ファーマ:DR's Net

15888.

第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?

国立大学病院で不正請求が発覚こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。東京は先週末あたりから一気に涼しくなってきました。この連休、奥多摩の雲取山から、奥秩父の雁坂峠までテント山行で挑戦してみました。雲取山は10回以上登っていますが、その先、奥秩父までは未知のルートでした。山深く人が少ないのはよかったのですが、小雨の中の1日10時間を超える行軍には難儀しました。やはり登山は晴れの日に限りますね。さて、三重大医学部附属病院(三重県津市)は9月8日、同病院の医師が、実際には投与していない一部の薬剤を手術中に投与したかのように電子カルテを改ざんし、診療報酬を不正請求した事案が発覚した、と発表しました。改ざんが疑われるのは約2,200件で、不正請求額は2,800万円を超える見込みとのことです。この時の各紙報道によれば、不正は3月末に発覚。手術の際に心拍を安定させる「ランジオロール塩酸塩」が電子カルテ上は投与されたことになっていましたが、実際は投与されていなかったとのこと。三重大は外部委員でつくる第三者委員会を設置して調査を進めており、結果は近く公表すると報道各社に伝えました。度々世間を騒がせてきた“有名”医局9月8日のこの第1報を聞いて、医療関係者の多くは「???」と思ったのではないでしょうか。この時点の報道では、改ざんの「動機」がまったく見えてこなかったからです。民間の病院や診療所の経営者が診療報酬の不正請求をする動機は、単純に「お金」です。しかし、国立大学法人が経営する病院で不正請求をする意味がわかりません。報酬は医師の手元に直接入ってこないからです。いったいなんのための不正請求なのか。動機がまず最大のナゾでした。もう一つの「?」は「また三重大の麻酔科?」の「?」です。当初の各紙報道では、不正を起こしたのが臨床麻酔部の医師とは書かれていませんでした。ただ、手術の際に「ランジオロール塩酸塩(商品名:オノアクト)」を使用するのは一般的に麻酔科なので、医療関係者は麻酔科の事件と予想はできたようです。最終的に、三重大病院の麻酔科(正式名称は臨床麻酔部)で起こった事件と明らかになったのは、11日に開かれた三重大病院の記者会見後の新聞報道によってでした。実は、三重大病院臨床麻酔部は、これまでも度々世間を騒がせてきた“有名”医局です。三重大病院では、2000年代初めに麻酔科医の大量退職(教授以外)が問題となりました。その影響で、2004年に麻酔管理と臨床実習に業務を特化した臨床麻酔部がつくられました。2009年には大学医学部の講座(臨床麻酔学講座)も設けられましたが、2018年には同講座の助教が教授をパワハラで訴えた民事訴訟があり、大学に賠償命令が下されています。今回の事件で不正請求に関係した、とされる麻酔科医の1人は、パワハラ事件のときに准教授だった人物で、前教授が事件を機に退官した後に教授に選出されています。つまり、三重大病院臨床麻酔部(臨床麻酔学講座)は、2代続けて教授が事件を起こした医局、ということになるのです。調査結果の概要を公表三重大病院は11日記者会見を開き、第三者調査委員会による調査結果の一部を明らかしました。報道陣に配布された資料から、主要部分を抜き出してみます。1.本件の概要当院の医師が医療に関する記録を複数回にわたり改ざんし、実際には手術で投与されていない薬剤の費用が診療報酬として不正に請求されていました。改ざんされた疑いがある件数は症例数約2,200症例、これに対する不正が疑われる当該薬剤の請求総額は2,800万円超となっています。2.本件の経緯令和元年12月頃、当院の医師が、薬剤の使用履歴に虚偽の入力がなされていることがあると疑い、自身が担当した症例について手術直後の記録をプリントアウトして保管し、同症例の数日後の記録と比較すると、ランジオロール塩酸塩(以下、「当該薬剤」)の使用履歴が追加入力されている症例が複数あることが分かり、本年3月末に当院にその旨が報告されました。第三者調査委員会の調査の結果、当該薬剤を実際には手術中に投与していないにもかかわらず投与したような虚偽記載がなされ、診療報酬の不正請求が疑われる事案があることが判明しました。また、虚偽記載を行っていたのは当院のA医師であることが分かっています。3.本件の動機A医師の上司であるB医師は、当該薬剤の積極使用を勧めています。A医師としてはB医師の方針に基づいて当該薬剤の使用量を増加させたいものの、臨床の現場では思うように使用実績が上がらないという状況であったことがわかっており、このことがA医師の行為の背景にあると考えられます。また、B医師のA医師に対する当該方針の伝達や担当医らに対する指導方法にも不適切又は不十分な点があったものと考えられます。なお、A医師又はB医師と当該薬剤の製造会社との間の関係については、第三者調査委員会の報告においても不適切な関係があったとの認定はされておりません。4.ガバナンス等の問題点1)部内で不正が行われていることについては、当該部の管理者によって発見は可能な状況であったが、それを発見できておらず、部内のコミュニケーションや管理体制に問題がありました。2)手術に関係する複数の職種で定期的に行われているミーティングで不自然な点があることが指摘されているにもかかわらず、適切な周知や報告が行われていませんでした。3)院内にはより早期に不正に気付いた者もおりましたが、本学に設置されている内部通報窓口等を用いて大学に不正の報告がなされることがありませんでした。これらのことからして、部内のガバナンス及びコミュニケーションが不十分であり、また、当院におけるコンプライアンス教育や情報セキュリティに関する内部不正対策も不十分であったと考えられます。麻酔の担当医に「必要なら使うよう」依頼以上が報道陣に配布された資料の主要部分です。全体的に第三者委員会の調査の甘さが気になります。そして、これを読んでもまだいくつかの「?」が残ります。ちなみにA医師とは40代の准教授、B医師は先にも紹介した50代の臨床麻酔部の教授を指しています。各紙の報道等によると、准教授が実際に関わった手術は少なく、手術の前日に患者の術式をみて事前に薬剤を用意、当日の朝、麻酔の担当医に「必要なら使うよう」依頼していたとのことです。手術時に必要がなければ使わないので、その場合廃棄として登録されるべきところ、後日准教授が電子カルテを改ざん、使用履歴を追加入力していたわけです。使わなかった分は薬剤部には戻されず、何らかの方法で捨てられていたようです。ランジオロール塩酸塩は、麻酔中や手術中になんらかの原因で頻脈になったときに使われるβ1選択性の高いβブロッカーです。そのため、いつも使えるように準備しておくという考え方もできますし、極端な話、手術中の心血管イベント減少のために頻脈がなくても手術中にずっと点滴しておく、という考え方もできます(厳密にはこれも不正請求になりますが…)。ただ、薬価がとても高い(オノアクト点滴静注用50mgが 4,730円)ため、「易易とは使えない」という声も聞きます。准教授は、とにかくランジオロール塩酸塩が使われそうな手術には同薬を準備、運を天(他の麻酔科医の判断)に任せて、使用されなかった場合は使用したようにカルテ上見せかけていたわけです。「関わった手術は少なく」とされていますが、逆に関わった手術では要不要関係なく同薬剤を使っていたのではないでしょうか。それも大きな問題ですが、この点については11日の記者会見では言及されていません。なお、「ガバナンス等の問題点」でも指摘されているように、「手術に関係する複数の職種」、たとえば薬剤部では実際の薬剤の在庫とカルテの使用記録が一致しないことが早い段階からわかっていたようです(不一致をなくすために術後のカルテ改ざんを始めたと准教授は話しているとのことです)。しかし、医局員の内部通報があるまで、病院が調査に動くことはありませんでした。「教授の意向を汲んで」が本当に動機なのか?「教授の意向を汲んで、ランジオロール塩酸塩の使用量を増やしたかった」という動機についても疑問符が付きます。新聞報道等によれば、臨床麻酔部の教授が同病院に赴任してきた2016年ころから、学術研究を助成する「奨学給付金」が「オノアクト」の製造販売元、小野薬品から同病院に支払われるようになったとのことです。 仮に奨学給付金が薬剤売上と関連するものとするなら、薬価の高い「オノアクト」は売上を上げるために“使いやすい”薬だったとは言えるでしょう。 准教授は第三者委員会に対し「この薬を積極的に使うよう部内に周知していた教授の方針に従うことで、よく思われたかった」と話したとのことですが、一方の教授は「自分の指導で薬剤がたくさん使われているとは分かっていたが、廃棄されていたとは知らなかった」と不正への関与を否定しているとのことです。不正の背景に製薬会社の関与があったかどうかについては、大学病院は「不正な金銭の授受があったという事実は把握していない」としています。それにしても、医局(教授)の奨学給付金のために、すぐにバレそうな電子カルテの改ざんまで行うものでしょうか。それも、教授から「よくやった」と褒められるだけのために…。「次は君が教授だ」といったニンジンでもぶら下げられていたのかもしれません。いずれにせよ、三重大の第三者委員会が明らかにしていない、もっと別の裏事情がありそうな気もします。三重大臨床麻酔部、再び崩壊か?3月末に不正が発覚した後、教授と准教授の2人は4月7日から自宅待機となっているそうです。今回の調査結果を受け、2人の処分について大学の審査委員会で検討するとしています。カルテの改ざんは公電磁的記録不正作出などの疑いがあるため、准教授の刑事告訴も検討する、とのことです。今回の事件発覚は、同じ臨床麻酔部の医局員の告発によるものですが、医局内の派閥争いなども関係している、との噂も一部には流れているようです。この事件によって、三重大病院の臨床麻酔部は、再び機能停止に陥る恐れがあります。そういえば、このコラムの第2回(「全国の麻酔科教室が肝を冷やしただろう事件」)で旭川医大病院の元麻酔科教授の麻酔科医派遣に関するセコい不正事件について書きました。ひょっとしたら、手術を受ける患者や、地域医療のことをまったく考えない麻酔科医が各地で増えているのかもしれません。ある意味、それが一番のナゾと言えます。

15889.

最終回 薬剤師ってオワコン?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説最後に狭間先生がチョイスしたのは「薬剤師ってなくなっちゃうの?」という噂です。IoT化が進んで薬の配送も説明もロボットが行う未来がやってくるかもしれません。一方でそれは薬剤師が今よりもっと医療に近づけるチャンスでもあります。共に6年制大学で人助けを目指した医師と薬剤師、がっしりとタッグを組んで新しい医療を作っていきたい!狭間先生から最後のエールです!

15890.

早期乳がん/DCISへの寡分割照射による乳房硬結リスク(DBCG HYPO試験)/JCO

 Danish Breast Cancer Group(DBCG)では、1982年以来、早期乳がんに対する放射線療法の標準レジメンは50Gy/25回である。今回、デンマーク・Aarhus University HospitalのBirgitte V. Offersen氏らは、リンパ節転移陰性乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線療法において、40Gy/15回の寡分割照射が標準の50Gy/25回に比べて3年の乳房硬結が増加しないかどうかを検討するDBCG HYPO試験(無作為化第III相試験)を実施した。その結果、乳房硬結は増加せず、9年局所領域再発リスクは低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月10日号に掲載。 本試験の対象は、リンパ節転移陰性乳がんまたはDCISで乳房温存手術を受けた40歳超の1,882例で、50Gy/25回または40Gy/15回の放射線療法に無作為に割り付けた。主要評価項目は、局所領域再発に関して非劣性と仮定して、3年のGrade2〜3の乳房硬結とした。 主な結果は以下のとおり。・2009〜14年に、8施設から1,854例(50 Gy群:937例、40 Gy群:917例)が登録された(リンパ節転移陰性乳がん:1,608例、DCIS:246例)。・3年乳房硬結率は、50Gy群で11.8%(95%CI:9.7〜14.1%)、40Gy群で9.0%(95%CI:7.2〜11.1%)で、硬結リスクは増加しなかった(リスク差:-2.7%、95%CI:-5.6〜0.2%、p=0.07)。・毛細血管拡張、色素脱失、瘢痕、乳房浮腫、痛みの発現率は低く、美容上のアウトカムと乳房外観における患者満足度はどちらの群も同様に高いか、40Gy群で50Gy群より良かった。・9年局所領域再発リスクは、50Gy群で3.3%(95%CI:2.0〜5.0%)、40Gy群で3.0%(95%CI:1.9〜4.5%)であった(リスク差:-0.3%、95%CI:-2.3〜1.7%)。・9年全生存率は、50Gy群で93.4%(95%CI:91.1〜95.1%)、40Gy群で93.4%(95%CI:91.0〜95.2%)と同等であった。・放射線治療による心臓および肺疾患はまれであり、分割療法による影響はなかった。

15891.

高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。 2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・各データベースより抽出された1,855件から重複を削除し、1,250件の評価を行った。・メタ解析には、以下の25件のランダム化比較研究が含まれた。 ●抗てんかん薬(1件、697例) ●抗炎症薬(2件、615例) ●抗精神病薬(4件、1,193例) ●コリンエステラーゼ阻害薬(2件、87例) ●催眠鎮静薬(13件、2,909例) ●オピオイド(1件、52例) ●向精神薬・認知機能改善薬(1件、81例) ●抑肝散(1件、186例)・プラセボや通常ケアと比較し、せん妄の発生率を減少させた薬剤は、以下のとおりであった。 ●オランザピン(RR:0.36、95%CI:0.24~0.52、k=1、400例) ●リバスチグミン(RR:0.36、95%CI:0.15~0.87、k=1、62例) ●デクスメデトミジン(RR:0.52、95%CI:0.38~0.71、I2=55%、k=6、2,084例) ●ラメルテオン(RR:0.09、95%CI:0.01~0.64、k=1、65例)・デクスメデトミジンのみが、せん妄期間の短縮(0.70日短縮)、抗精神病薬の使用量低下(48%)と関連が認められた。・死亡率、有害事象、尿路感染症、術後合併症への影響は認められなかった。 著者らは「本メタ解析では、デクスメデトミジンが入院中の高齢患者におけるせん妄の発生率減少と期間短縮に有用であることが示唆された。各研究において、ラメルテオン、オランザピン、リバスチグミンの効果が報告されているが、確固たる結論を導き出すにはエビデンスが不十分である」としている。

15892.

日本人超高齢の心房細動、エドキサバン15mgは有益/NEJM

 標準用量の経口抗凝固薬投与が適切ではない、非弁膜症性心房細動(AF)の日本人超高齢患者において、1日1回15mg量のエドキサバンは、脳卒中または全身性塞栓症の予防効果がプラセボより優れており、大出血の発生頻度はプラセボよりも高率ではあるが有意差はなかったことが示された。済生会熊本病院循環器内科最高技術顧問の奥村 謙氏らが、超高齢AF患者に対する低用量エドキサバンの投与について検討した第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年8月30日号で発表された。超高齢AF患者の脳卒中予防のための経口抗凝固薬投与は、出血への懸念から困難と判断されることが少なくない。エドキサバン15mgを標準用量が懸念される超高齢AF患者で試験 試験は、非弁膜症性AFを有する日本人超高齢患者(80歳以上)で、いずれも脳卒中予防のために承認用量での経口抗凝固療法について適切ではないと見なされる患者であった。 被験者を1対1の割合で無作為に割り付け、エドキサバン15mgを1日1回またはプラセボを投与し追跡した。 主要有効性エンドポイントは、脳卒中・全身性塞栓症の複合とし、主要安全性エンドポイントは、国際血栓止血学会の定義に基づく大出血とした。エドキサバン15mgが脳卒中・全身性塞栓症を有意に抑制 2016年8月5日~2019年11月5日に984例の患者が無作為化を受け、エドキサバン1日1回15mg(492例)、またはプラセボ(492例)を投与された。被験者の平均年齢は86.6±4.2歳、低体重(平均50.6±11.0kg)、腎機能は低下(平均クレアチニンクリアランス36.3±14.4mL/分)、40.9%の被験者がフレイルに分類された。最終フォローアップは2019年12月27日。試験期間中央値は466.0日(IQR:293.5~708.0)であった。 681例が試験を完了し、303例は試験を中止した(158例が中止、135例が死亡、10例がその他の理由による)。試験を中止した患者数は2群で同等であった。 脳卒中または全身性塞栓症の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群2.3%/年、プラセボ群6.7%/年(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.19~0.61、p<0.001)であった。また、大出血の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群3.3%/年、プラセボ群1.8%/年(1.87、0.90~3.89、p=0.09)であった。 エドキサバン15mg群はプラセボ群に比べて、消化管出血イベントが有意に多かった。あらゆる原因による死亡については、両群間で実質的な違いはみられなかった(エドキサバン15mg群9.9%、プラセボ群10.2%、HR:0.97、95%CI:0.69~1.36)。

15893.

経口可逆的DPP-1阻害薬brensocatibが気管支拡張症の増悪を抑制/NEJM

 気管支拡張症患者において、brensocatib投与による好中球セリンプロテアーゼ活性の低下は気管支拡張症の臨床アウトカムを改善することが、英国・Ninewells Hospital and Medical SchoolのJames D. Chalmers氏らが行った、投与期間24週の第II相無作為化プラセボ対照用量範囲試験で示された。気管支拡張症患者は、好中球性炎症に関連すると考えられる増悪を頻繁に起こす。好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼの活性と数量は、ベースラインで気管支拡張症患者の喀痰中で増加し、さらに増悪によって増大することが知られる。brensocatib(INS1007)は、開発中の経口可逆的ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)阻害薬で、DPP-1は好中球セリンプロテアーゼの活性に関与する酵素である。NEJM誌オンライン版2020年9月7日号掲載の報告。brensocatib治療群とプラセボ投与群で初回増悪までの期間を評価 試験は14ヵ国116施設で行われ、被験者は、前年に少なくとも2回の増悪を呈した18~85歳の気管支拡張症患者であった。 研究グループは被験者を、プラセボ投与群、brensocatib 10mg群、brensocatib 25mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回、24週間投与した。 初回増悪までの期間(主要エンドポイント)、増悪頻度(副次エンドポイント)、喀痰中の好中球エラスターゼ活性、および安全性を評価した。brensocatib治療群は初回増悪までの期間を有意に延長した 256例が無作為化を受け、87例がプラセボを、82例がbrensocatib 10mgを、87例が同25 mgをそれぞれ投与された。 初回増悪までの期間の25パーセンタイル値は、プラセボ群67日、brensocatib 10mg群134日、同25mg群96日であった。brensocatib治療群は、プラセボ群と比較して初回増悪までの期間が有意に延長した(10mg群対プラセボのp=0.03、25mg群対プラセボのp=0.04)。 brensocatib群とプラセボ群を比較した増悪に関する補正後ハザード比は、10mg群で0.58(95%信頼区間[CI]:0.35~0.95、p=0.03)、25mg群で0.62(95%CI:0.38~0.99、p=0.046)であった。プラセボ群と比較した発生率比は、10mg群0.64(95%CI:0.42~0.98、p=0.04)、25mg群0.75(95%CI:0.50~1.13、p=0.17)であった。 24週の治療期間中、brensocatib群はいずれの用量群とも喀痰中の好中球エラスターゼ活性のベースラインからの低下が認められた。なお、とくに注目される歯および皮膚の有害事象の発生は、プラセボと比べてbrensocatibの両用量群で高かった。

15894.

イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 1

今回のキーワード幸福感(主観的ウェルビーイング)ポジティブ率セットポイント代償(トレードオフ)ミニマリスト幸福感学習性楽観学習性無力感マインドフルネス【前編】では、ポジティブさもネガティブさも、それぞれメリットとデメリットがあることが分かりました。幸せかどうかという視点に立つと、ネガティブ過ぎれば、明らかに幸福感は低くなります。実際に、幸福度における日本の世界順位は概ね50位圏外で、中・下位です。一方、ポジティブ過ぎれば、一見、幸福感は高まりそうです。しかし、そうではないようです。実際に、幸福度におけるアメリカの世界順位は20位程度で、最上位とは言えないです。つまり、ポジティブ過ぎても幸福感は高まらないと言えます。そもそも、幸せを感じるとはどういうことでしょうか? そして、日本人が幸せを感じるにはどうすれば良いでしょうか? これらの答えを探るために、今回も、映画「イエスマン」を取り上げます。この映画を通して、幸福感を行動遺伝学的にも解き明かします。そして、日本人ならではの幸福感について一緒に考えてみましょう。 幸せを感じるとは?-幸福感を左右する心理それでは、幸せを感じること、つまり幸福感(主観的ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する心理を3つ挙げてみましょう。(1)良いことより悪いことは強い-ネガティビティ優勢性1つ目は、良いことより悪いことは強く感じることです。これは、ポジティブな体験よりも、ネガティブな体験はインパクトが強く影響を受けやすい心理です(ネガティビティ優勢性)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな体験がドパミンによる報酬である一方、ネガティブな体験はノルアドレナリンによる恐怖だからです。たとえば、ドパミンによる学習効果(ほめ)は即効性がなく繰り返す必要がありますが、ノルアドレナリンによる学習効果(叱り)は即効性があることが分かっています。この詳細については、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、報酬は1回なくてもすぐに飢え死にすることはないですが、恐怖は1回だけでも死につながります。この点で、哺乳類の記憶学習のメカニズムである夢やフラッシュバックが基本的にネガティブなものであることも納得が行くでしょう。また、人が、良い噂よりも悪い噂に敏感であることや、良い印象よりも悪い印象を覆しにくいこと(印象形成のバイアス)にも納得するでしょう。つまり、ネガティブな体験のインパクト(質)が強いからこそ、人はポジティブな感情や行動の数(量)で対抗してバランスをとる心理を生存戦略として身に付けたと言えます。言い換えれば、人は、不幸がいきなりやって来るから、それを乗り越えるために、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。実際に、ポジティブ心理学の研究(フレドリクソン)によると、ポジティブな感情とネガティブな感情の比の黄金比は3対1(ポジティブ率75%)であるという結果が出ています。また、カップルなどの親密な関係における研究(ゴッドマン)によると、ポジティブな行動とネガティブな行動の「魔法の比率」は5対1(ポジティブ率83%)であるという結果が出ています。なお、この記事のポジティブ率とは、ポジティブな感情の頻度(P)を、ポジティブな感情の頻度(P)とネガティブな感情の頻度(N)で割った値(P/P+N)とします。(2)良いことも悪いこともなければマシ-ポジティビティ補正2つ目は、良いことも悪いこともなければ、自分はマシ(まだ良い)と感じることです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験もない時は、人はポジティブな感情を軽く抱く心理です(ポジティビティ補正)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな感情は、ドパミンによる報酬(社会的報酬を含む)だけでなく、オキシトシンによる愛着・絆によるものでもあることが考えられます。オキシトシンは、それ自体に学習効果は(行動変容)ないですが、見守られている自尊心からポジティブな感情を維持できます。この詳細についても、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、人は、原始の時代から、愛着・絆によって、ネガティブな感情よりもポジティブな感情を少しだけでも保つ心理を生存戦略として身に付けたのでしょう。つまり、人はもともと軽く幸せであると言えます(ポジティブ率50%+α)。ちなみに、このマシと思う心理は、自分は人と比べてもマシという心理(平均以上効果)や、何となくうまくいく気がするという心理(ポジティブバイアス)につながります。 (3)良いことも悪いことも長続きしない-感情減衰バイアス3つ目は、良いことも悪いことも長く感じ続けることはないことです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験も、時間とともにそのインパクトが目減りする心理です(感情減衰バイアス)。この訳は、脳科学的に言えば、一般的な記憶のメカニズムで説明できます。たとえば、受験に合格した時や失恋した時の感情の経過を想像すれば分かりやすいでしょう。進化心理学的に言えば、快感が持続してしまったら、食べる快感やセックスする快感を得るための行動づけや動機づけが行われなくなり、生存や生殖をしなくなるからです。つまり、人は、幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。どんなに恵まれた環境であっても、 慣れて飽きてくるというわけです。これは、下りのエレベータを上り続けている状況に例えられます(ヘドニックトレッドミル現象)。また、これは「楽あれば苦あり」「禍福はあざなえる縄のごとし」という日本のことわざに通じます。残念ながら、人は幸せになるように遺伝的にプログラムされていないということです。遺伝的にプログラムされているのは、人が幸せを追い続けることです。なお、つらいことも時間が経てば笑い話になるとよく言われます。これは、深刻さのインパクトが時間の経過によって失われるからであると説明できるでしょう。また、「昔は良かった」「古き良き時代」「最近の若者は」という言い回しは、ネガティブ体験のインパクトが失われた過去とまだインパクトが失われていない現在を比べた時の心理状態と考えると納得がいくでしょう(記憶の楽観性)。実は幸福感は遺伝的に決まっている!?幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する3つの心理から、人は、もともと軽く幸せですが、不幸がいきなりやって来るから、そして幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていることが分かりました。では、「もともと幸せ」ということは、幸福感は、実は最初から決まっているのでしょうか? ここから、この答えを3つのポイントに分けて、行動遺伝学的に考えてみましょう。なお、幸福感の起源については、末尾の関連記事3をご覧ください。 (1)個人差双子研究から、幸福感の遺伝率は約50%であることが分かっています。言い換えれば、幸福感の半分の要素は、やはりもともと遺伝的に決まっています。これは、セットポイントと呼ばれます。ここで、幸福感を「体温」に例えてみましょう。すると、このセットポイントは「基礎体温」です。ネガティブな体験は「吹雪」、ポジティブな体験は「マッサージ」です。もし「吹雪」に1回襲われたら、「体温」が下がります。よって、「体温」を保つために、「マッサージ」を繰り返しやるのです。愛着・絆は、「基礎体温」を安定させる「防寒具」です。もちろん「防寒具」があれば、その分「吹雪」に耐えられます。逆に、家族との死別や離婚などによって「防寒具」が薄くなったら、その分「吹雪」に耐えられなくなります。ただし、「防寒具」に頼り過ぎると、「マッサージ」をするのを怠り、その「防寒具」が分厚くなる共依存やひきこもりのリスクがあります。なお、「マッサージ」と「防寒具」は体温を下げない点では同じですが、「マッサージ」が断続的であるのに対して「防寒具」は持続的であるとイメージすると分かりやすいでしょう。1つ目は、個人差です。人によって「基礎体温」がそれぞれ違うように、幸福感のセットポイントはそれぞれ違うと言えます。たとえば、基礎体温が35℃台の「寒がり」の人や37℃近い「暑がり」の人がいるように、幸福感を左右するポジティブ率が50%台のネガティブな人や70%近いポジティブな人がもともといると言えます。(2)年齢差幸福感の遺伝率は、対象期間が長くなればなるほど高まり、最終的には80%になることが分かっています。つまり、幸福感は、高齢になるとセットポイントに回帰して行くということです。よくよく考えると、若い頃は、活力に満ち溢れ、チャレンジ精神で革新的になります。その分、ポジティブ率は高いです。確かに、そのままうまく行けば、幸福感も高まるでしょう。ただし、チャレンジに失敗したら、ネガティブな体験を味わうので、結果的に幸福感は下がってしまいます。このように、若年期は、幸福感の振れ幅が大きくなります。これは、ポジティブ率が高過ぎることによる代償(トレードオフ)です。一方、歳を重ねると、活力が枯れしぼみ、これまで自分が得た家族や財産(リソース)を守ろうと保守的になります。すると、その分のポジティブ率が上がりません。もちろん、リスクを踏まないので、ネガティブな体験もありません。こうして、その人のもともとの幸福感が露わになっていくというわけです。例えるなら、先ほどの「体温」に影響する「吹雪」も「マッサージ」もなくなり、「体温」が「基礎体温」と同じになるということです。2つ目は、年齢差です。年齢によって「体温」がそれぞれ違うように、同じ人でも年齢によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。高齢者の心理として見れば、猜疑的になる人と多幸的になる人がそれぞれいるのは、このセットポイントへの回帰が示唆されます(パーソナリティの先鋭化)。(3)人種差(文化差)ものごとを自分で判断できるという状況は、アメリカ人にとってはポジティブな体験です。しかし、日本人にとっては必ずしもそうではありません。なぜなら、日本人は、もともとの不安な気質から指示待ちすること好み、逆に自分で判断することがストレスになりうるからです。しかも、自分で判断したら、周りから「出しゃばり」「調子に乗っている」と思われ、ネガティブな体験をするリスクもあります。逆に、何もしなかったり変わらないことで、周りとの調和を生み出して、ポジティブな体験をすることもあります(ミニマリスト幸福感、協調的幸福感)。また、日本人の平均寿命の世界順位が最上位であることは、身体的な健康として誇るべきことです。つまり、幸福感の物差しは1つではないということです。この点で先ほど紹介した幸福感をランキングすることには、その評価基準に限界があるでしょう。一方で、アメリカ人はポジティブ率がとても高いのに、実際にはアメリカはストレス大国と言われています。このストレスは、先ほどの年齢差の説明でも登場したポジティブになることの代償(トレードオフ)です。例えるなら、日本人はもともと「基礎体温」が低い「寒がり」です。そして「心の風邪」であるうつ病になりやすいです。かと言って、「マッサージ」を無理にすることは、もっと「吹雪」を招くおそれがあるため、そう簡単に「暑がり」にはなれないと言えます。一方、アメリカ人はもともと「基礎体温」が高い「暑がり」です。その代償として、「心の肥大」である肥満や浪費の問題が起きやすくなると言えます。3つ目は、人種差(文化差)です。人種や文化によって「寒がり」だったり「暑がり」だったりするように、相互作用を起こす人種(遺伝)と文化(環境)によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。たとえば、もともと「基礎体温」が35℃後半(ポジティブ率50%後半)の文化圏の人が、先ほどの理想とされるポジティブ率75%や83%にまで達する必要は必ずしもないと言えるでしょう。次のページへ >>

15895.

イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 2

日本人が幸福感を再び取り戻すには?幸福感(主観的ウェルビーイング)は、ある程度遺伝的に決まっており、個人差、年齢差、人種差(文化差)があることが分かりました。それでは、日本人の幸福感はこのままで良いのでしょうか?答えは、江戸時代までなら良かったと言えます。なぜなら、日本人の幸福感は、資源の少ない江戸時代までの集団主義によって最適化されてきたからです。しかし、現代では、このままの幸福感はもはや決して良くはないでしょう。 理由は2つ挙げられます。1つ目は、現代の社会は、文明の進歩によって物質的には豊かで安全になっており、飢餓に不安を感じてネガティブになる必要がなくなったからです。もう1つは、世界基準による個人主義化によって、自己主張してポジティブになる必要が出てきたからです。つまり、幸福感を評価するには、時代(環境)の変化を考える必要があります。これは、4つ目の時代差とも言えます。実際に、うつ病やひきこもりによって精神的な健康が損なわれています。また、貧困(格差)、非婚、出生率の低下、超高齢化によって社会的な健康も危うくなっています。例えるなら、ストレスである「吹雪」(コロナ渦という「大吹雪」も含めて)がますます増えた一方で、愛着・絆である「防寒具」がますます薄くなってしまっています。つまり、時代の変化によって、日本人の幸福感はますます失われています。日本人は、幸福感を再び取り戻すために、もう少しポジティブになる時が来ています。それでは、具体的にどうすれば良いでしょうか? 大きく2つに分けてみましょう。(1)ルール化してポジティブになる映画の後半で、カールは、カリスマ主催者に再会した時、「無理にイエスと言うだけですよね?」と尋ねます。すると、カリスマ主催者は「最初はそうだが、それは馴らすためだ」「その後に自然とイエスが出るようになる」「義務だからじゃなく、心から言えるようになる」「誓いを破ったら災いなんて最初からない。ただの出まかせだ」と種明かしをします。1つ目は、ルール化してポジティブになることです。これは、ポジティブ心理学では、学習性楽観と呼ばれています。ポジティブな行動を繰り返すと、ポジティブな思考パターン(認知)を学習していくという認知行動療法です。ちなみに、その逆が、学習性無力感です。これは、犬に電気ショック(罰)を与え続けると、最初は逃げるのに、やがて逃げられないことが分かると、逃げるのをあきらめて無力感を学習することです。しかも、その後に逃げられる状況になっても、その無力感から逃げなくなることです。日本の文化においては、ポジティブになろうとしても、相手からネガティブに思われるかと不安になったり、相手のポジティブなリアクションがなくて不公平に思ったり、慣れなくて長続きしないおそれがあります。だからこそ、最初からルール化して割り切ることです。そして、自分だけでなく、相手もポジティブになる必要性を理解できるようになることです。例えるなら、ポジティブな体験である「マッサージ」の練習をし続けることです。(2)研ぎ澄ましてニュートラルになる2つ目は、研ぎ澄ましてニュートラルになることです。この心のあり方を、心理学ではマインドフルネスと言います。この詳細については、末尾の関連記事4をご参照ください。端的に言うと、どんな体験に対しても、ポジティブかネガティブかと価値判断せずに、さまざまな面を俯瞰して眺め、想像することで、人それぞれが一生懸命に生きている、自分も生かされていることに気付くようになることです。そこから、どんな状況や相手にもありがたみ(感謝)、思いやり(慈愛)、さらには許し(寛容)の気持ちが沸いてきて、受け入れるようになります(受容)。この受容は、ポジティブさとネガティブさを包括したニュートラルな心のあり方です。これは、関連記事1で紹介した概念化にも通じます。精神医学では、サリエンス(際立ち)とも言います。例えるなら、「防寒具」や「マッサージ」の存在の大きさに気付くことです。ちなみに、マインドフルネスは、森田療法や内観療法などの日本古来のセラピーにもつながります。ニュートラルになることは、白黒付けずに調和することです。これは、もともと日本人をはじめとする東洋人のメンタリティでもあります。なお、感謝、慈愛、寛容などの受容は、ポジティブ心理学では、ポジティブであること(ポジティビティ)に含まれています。確かに、受容(サリエンス)は、快感と同じドパミンとの関係が指摘されています。ただし、快感と受容の混同を避けるために、この記事では、ニュートラルになることとして分けて説明しています。 イエスマンとは?幸せになるとは、ポジティブな心とネガティブな心のバランスであり、それらを包括的に受け止めるニュートラルな心のあり方であると言えます。そして、幸せであるとは、幸せのゴールに着くことではなく、小さな幸せを感じる日々のスタートの積み重ねであり、ゴールに向かうプロセスそのものでしょう。カールは、最後に「義務じゃなくて、自然にイエスと言えるようになっている」と納得して、喜びます。私たち日本人が、もっとポジティブになり、再び幸福感を取り戻すためには、カールのように自然とイエスと言えるようになることであり、自分の人生にイエスと言って納得し受容することであるとも言えるでしょう。そうなれることこそが、イエスマンと言えるのではないでしょうか? ■関連記事2.Mother(後編)【家族機能】3.恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】4.「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】1)実践 ポジティブ心理学:前野隆司、PHP新書、20172)ポジティブなこころの科学:堀毛一也、サイエンス社、20193)ポジティブ病の国、アメリカ:バーバラ・エーレンライク、河出書房新書、2010<< 前のページへ

15896.

「患者フォロー義務化」のメリット示す調査結果が公表【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第54回

2020年9月1日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が施行され、服薬期間中の患者さんの状態を確認する「患者フォローアップ」が義務化されました。個人的には、一連の改正の中で、患者さんに一番影響が大きい項目だと思っています。実際にこの「患者フォローアップ」はどれほど効果があるのでしょうか。成果を収集検証した調査結果が公表されましたので紹介します。日本保険薬局協会は9月10日の定例会見で、改正医薬品医療機器法によって義務化された患者への「服用期間中フォローアップ」について、成果を収集検証した調査結果を公表した。それによると、会員企業20社282薬局から集めた525事例では、51%にあたる268事例で「処方内容に変更」があり、さらに85事例で「薬剤の中止」に結びついたと報告した。首藤正一会長は「これほど、大きな成果が出るとは思わなかった」と指摘し、薬剤中止を含めた「用法用量の減量」や「残薬調整」などの129事例によって、1ヵ月換算の医療費削減効果が109万円になることを強調した。(2020年9月11日付 RISFAX)調査は2020年7月14日~8月31日に行われ、20社282薬局から報告された525事例が検証されています。その結果、フォローアップ後に処方医への情報提供や連携につながった事例は384件(73%)で、処方変更や経過改善などの成果につながった事例は497件(95%)と報告されています。95%が成果につながったというのは驚くべき割合ですね。その成果につながった497事例のうち、処方内容の変更がみられたのが268件(51%)、服薬状況や副作用の確認など処方変更以外の成果につながったのが342件(65%)、服薬状況や体調、副作用で改善がみられたのが434件(83%)でした。処方内容の変更があった268事例のうち、薬剤の中止は85件、他剤への変更は65件、減量が37件で、医療費の削減効果は処方換算で1ヵ月109万円だったとあります。一方、処方追加が40件、増量が11件で、患者さんの症状をよく聞き取って必要な薬剤や投与量を判断して提案していることがわかります。処方変更となった医薬品は「血圧降下薬」がもっとも多く24件で、続いて「下痢・浣腸剤」が22件、神経障害性疼痛の治療薬など「中枢神経系用薬」が20件でした。抗がん剤も11件報告されています。処方変更以外の成果につながった342件の内訳は、「服薬状況の確認」が152件、「副作用の確認」が128件、「体調変化の確認」が76件、「副作用の発見」が46件、「服薬に関する再指導」が31件でした。また、フォローアップをきっかけに、かかりつけ薬剤師の新規契約に至ったケースも19件あったとのことです。これらの成果は、積極的なフォローアップの取り組みを後押しするものになるのではないでしょうか。フォローアップは特別な取り組みではない義務化に先立ち、2020年7月に日本薬剤師会より「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」が出されています。フォローアップのやり方については、まだ模索中という方も多いと思いますので、ぜひ一読されることをお勧めします。日々の服薬指導の振り返りやブラッシュアップにも、この手引きは活用できると思います。これらの取り組みを患者さん本人にお伝えし、何かフォローしてほしいことはないか、不安なことはないかと積極的に尋ねてもいいかもしれません。今回の薬機法改正は、「これまで進めてきた医薬分業の成果と課題を踏まえ、患者の多くが医薬分業のメリットを実感できるような取り組みを進める」ということが課題とされています。日本保険薬局協会の調査結果をみると、患者フォローアップによって本来の薬局の役割が果たせていることに加えて、患者さんや医療費にまで貢献できたという結果が出ています。薬局全体で取り組むモチベーションになるのではないでしょうか。「薬局でお薬をもらってよかった」「お薬で不安なことは薬剤師に相談しよう」と、1人でも多くの患者さんが医薬分業のメリットを感じられるようになることを願います。

15897.

第26回 悪玉細菌を減らす常在細菌ロゼオモナスの塗布でアトピー性皮膚炎が改善

プラセボ群なしの非盲検第I/II相試験の結果、健康なヒトの皮膚に備わっていることが多いグラム陰性細菌・Roseomonas mucosa(以下、ロゼオモナス)を塗布した軽度~重度のアトピー性皮膚炎小児20人中18人が病状指標EASIの半減(EASI-50)を達成しました1~3)。中等~重度の小児に限ると9人全員(100%)がEASI-50に至りました。Science Translational Medicine誌に掲載された今回の総ざらい報告に先立ち、2年前の2018年には途中結果が報告されています4,5)。2年前の報告では、健康なヒトの皮膚から集めたロゼオモナスを塗布した9~14歳の小児5人と成人10人のアトピー性皮膚炎改善効果が認められました。また、ロゼオモナスはアトピー性皮膚炎の進展に寄与するらしい黄色ブドウ球菌を減らしました。その後小児15人がさらに加わり、3~16歳の小児全部で20人にロゼオモナスが投与された最終結果が今回報告され、2018年の発表と同様に病状は改善し、効果は投与を終えてから長ければ8ヵ月後の観察時点まで持続しました。皮膚の黄色ブドウ球菌の減少も確認されました。また、ロゼオモナスが作る脂質がどうやらアトピー性皮膚炎治療効果に寄与していることが新たに判明しています。ロゼオモナス治療の権利は米国カリフォルニア州拠点のForte Biosciences社に付与され、同社はFB-401という名称でその治療の開発を進めています。間もなく今月中には軽~中等度のアトピー性皮膚炎を患う2歳以上の小児や成人が参加するプラセボ対照第II相試験がいよいよ始まります1)。ロゼオモナスの効果はアトピー性皮膚炎のみに限定されるわけではなさそうで、他の皮膚疾患へのFB-401の試験もやがて実施されるかもしれません。たとえば、顔の皮膚の炎症を特徴とする酒さの患者の皮膚のロゼオモナスもアトピー性皮膚炎患者と同様に乏しいことが最近の試験6)で確認されており、FB-401を試してみる価値がありそうです。アトピー性皮膚炎の治療効果を担いうる細菌は他にもあり、スタフィロコッカス ホミニス(S. homini)はロゼオモナスと同様にアトピー性皮膚炎患者皮膚の黄色ブドウ球菌を強力に抑制しうることが確認されています7)。それらの有益と思しき細菌を減らす恐れがある環境要因の検討によると、スキンケア製品におなじみの防腐剤パラベンは健康な皮膚のロゼオモナスを増えにくくします4)。また、保湿剤はアトピー性皮膚炎に使うことが一般的に推奨されていますが、それらの幾つかも健康な皮膚のロゼオモナスの増殖をより阻害しました。それらの製品はアトピー性皮膚炎の悪化を招いたりロゼオモナスなどの微生物塗布治療の効果を妨げてしまうかもしれません5)。実際、パラベンとアトピー性皮膚炎の関連が東京の国立成育医療研究センターの小児患者138人を調べた研究で示されています8)。ほとんどの小児(85%;117/138人)はパラベン含有製品を使っており、それら製品の使用とアトピー性皮膚炎が関連し、アトピー性皮膚炎小児の尿中にはパラベンがより多く含まれていました。これまでの前臨床実験や臨床試験成績を総括するに黄色ブドウ球菌を減らすロゼオモナスやS. hominiなどの常在細菌によるアトピー性皮膚炎治療の検討の価値は大いにあり9)、Forte社が今月中に始めるプラセボ対照試験はアトピー性皮膚炎の細菌治療の力量を示すひとまずの試金石となるでしょう。参考1)Forte Biosciences, Inc. Announces Full Publication of Phase 1/2 Data in Science Translational Medicine / BUSINESS WIRE2)Probiotic skin therapy improves eczema in children, NIH study suggests / Eurekalert3)Myles IA,et al. Sci Transl Med. 2020 Sep 9;12 [Epub ahead of print]4)Myles IA,et al.JCI Insight. 2018 May 3;3. [Epub ahead of print]5)Bacteria Therapy for Eczema Shows Promise in NIH Study6)Rainer BM, et al. Am J Clin Dermatol. 2020 Feb;21:139-147. 7)Nakatsuji T, et al. Sci Transl Med. 2017 Feb 22;9: [Epub ahead of print]8)Mitsui-Iwama M, et al. Asia Pac Allergy. 2019 Jan 21;9:e5. [Epub ahead of print]9)Paller AS, et al. J Allergy Clin Immunol. 2019 Jan;143:26-35.

15898.

精神病性うつ病患者の再発に対するベンゾジアゼピンの影響

 ベンゾジアゼピンの長期投与は、依存、転倒、認知障害、死亡リスクを含む有害事象が懸念され、不安以外の症状に対する有効性のエビデンスが欠如していることから、うつ病治療には推奨されていない。しかし、多くのうつ病患者において、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用が行われている。東京医科歯科大学の塩飽 裕紀氏らは、ベンゾジアゼピン使用がうつ病患者の再発または再燃リスクを低下させるか調査し、リスク低下の患者の特徴について検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2020年6月21日号の報告。 対象は、入院中に寛解を達成したうつ病患者108例。うつ病の再発および再燃を定量化するため、カプラン・マイヤー生存分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・対象患者のうち、26例は重度の精神病性うつ病と診断されていた。・すべての患者をまとめて分析したところ、ベンゾジアゼピン使用患者と非使用患者の再発または再燃の割合に、有意な差は認められなかった。・精神病性うつ病患者の再発率は、ベンゾジアゼピン使用患者で21.2%、非使用患者で75.0%であった(log rank p=0.0040)。・カプラン・マイヤー生存分析では、効果は用量依存的であることが示唆された。 著者らは「ベンゾジアゼピンの補助療法は、重度の精神病性うつ病患者の再発または再燃の減少に有用である可能性がある」としている。

15899.

初期AFへの早期リズムコントロール、心血管リスクを低減/NEJM

 初期の心房細動(AF)で心血管症状を呈する患者において、早期リズムコントロール療法は、通常ケアよりも心血管アウトカムのリスクを低下させることが、ドイツ・University Heart and Vascular CenterのPaulus Kirchhof氏らによる検討で示された。AF治療は改善されてはいるが、心血管合併症のリスクは高いままである。一方で、早期リズムコントロール療法が同リスクを低減するかは不明であり、研究グループは、国際共同治験担当医主導の並行群間比較による非盲検割付のアウトカム盲検化評価試験で同療法の検討を行った。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。通常ケアと比較し、有効性と安全性を評価 研究グループは、初期のAF(診断が試験登録前1年以内)で心血管症状を有する患者を無作為に2群に割り付け、一方には早期リズムコントロール療法を、もう一方には通常ケアを行った。早期リズムコントロール療法群には、無作為化後に抗不整脈薬の投与またはAFアブレーション治療が行われた。通常ケア群には、AF関連症状の管理に対して限定的にリズムコントロール療法が行われた。 有効性の主要アウトカムは、心血管死・脳卒中・心不全または急性冠症候群(ACS)の増悪による入院の複合。副次アウトカムは、年当たりの病院宿泊日数(number of nights spent)とした。 また、安全性の主要アウトカムは、死亡・脳卒中・リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の複合。副次アウトカムは症状および左室機能などを評価した。追跡期間中央値5.1年後に試験中止、有効性のハザード比0.79で有意差 135の医療センターで登録された初期のAF患者2,789例(診断後の期間中央値36日)が無作為化を受けた。試験は、患者1人当たりの追跡期間中央値5.1年後に行われた3回目の中間解析で、有効性が確認されたとして中止となった。 主要有効性アウトカムのイベント発生は、早期リズムコントロール療法群249例(3.9/100人年)、通常ケア群316例(5.0/100人年)であった(ハザード比[HR]:0.79、96%信頼区間[CI]:0.66~0.94、p=0.005)。また、平均(±SD)病院宿泊日数は群間で有意差はなかった(5.8±21.9 vs.5.1±15.5日/年、p=0.23)。 主要安全性アウトカムのイベントを有した患者の割合は、群間で有意差はなかった。リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の発生は、早期リズムコントロール療法群4.9%、通常ケア群1.4%であった。また、2年時点の症状および左室機能についても群間で有意差はなかった。

15900.

バリシチニブ、レムデシビルと併用でCOVID-19回復期間を有意に短縮/米・リリー

 米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは9月14日、同社の成人関節リウマチ治療薬バリシチニブとレムデシビル(ギリアド・サイエンシズ、商品名:ベクルリー点滴静注液)の併用により、COVID-19の入院患者の回復期間が、レムデシビル単独と比べ中央値で約1日短縮されたと発表した。これは、米国・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導で5月8日から始まったCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)から得られた最初のデータとなる。バリシチニブとレムデシビルの併用療法の有効性および安全性を比較 ACTT-2試験は、COVID-19の入院患者1,000例超を組み入れ、バリシチニブ4mg 1日1回とレムデシビルの併用療法の有効性および安全性をレムデシビル単独療法と比較評価するもので、主要評価項目は回復までの期間短縮。本試験では、投与開始から29日時点で退院するのに十分な健康状態である(入院中でも酸素投与や継続した治療が不要、もしくは29日時点で退院している)ことを回復の定義とした。 その結果、バリシチニブとレムデシビル併用療法群ではレムデシビル単独療法群と比較して、回復までの期間の中央値が約1日短縮し、統計学的にも有意な差が認められた。また、投与開始から15日時点における転帰について、「完全な回復」から「死亡」までを8段階で評価するスケールで比較した副次的評価項目も達成した。 バリシチニブは、イーライリリーがインサイト社からライセンス供与され、「オルミエント」の商品名で販売するJAK1/2阻害剤で、中等度~高度疾患活動性の成人関節リウマチ治療薬として70ヵ国以上が承認、日本では「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として承認されている。

検索結果 合計:35656件 表示位置:15881 - 15900