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第45回 製薬企業からの奨学寄付金が賄賂に、三重大元教授再逮捕の衝撃

三重大事件、多くの医師が改めて肝を冷やすような展開にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。2月13日夜の地震には驚きました。東日本大震災から10年経ってこれほど大きな余震が来るとは…。私自身、大きな地震には数回遭遇しています。1978年の宮城県沖地震の発生時には仙台にいました。東日本大震災の翌月、2011年4月に起きた大きな余震の時は気仙沼での取材に向かう途中でした。大きな揺れにはそれなりに慣れているつもりですが、13日のようなあのジワーッと長く続く揺れは、いつ経験してもとても嫌なものです。どこかで大きな災害が起きているのでは、と心配になるからです。近々、大震災10年の取材で再び東北を訪れる予定ですが、東北新幹線の復旧に時間がかかりそうで、どうなることか。今回の余震の被害も拡大しないことを願うばかりです。さて、今回はまた三重大学病院臨床部の事件を取り上げます。「もう三重大事件は飽きたよ」と言われそうですが、製薬企業から奨学寄附金をもらっている多くの医師たちが改めて肝を冷やすような展開になってきたので、情報提供の意味合いも含め、書いておきたいと思います。三重大病院臨床麻酔部元教授、第三者供賄の疑いで再逮捕津地方検察庁は1月27日、小野薬品工業(大阪)が製造・販売する薬剤「オノアクト(ランジオロール塩酸塩)」を多数発注する見返りに、大学の口座に現金200万円を振り込ませたとして、54歳の三重大病院臨床麻酔部元教授を第三者供賄の疑いで再逮捕しました。贈賄の疑いで小野薬品工業の社員2人も逮捕しました。元教授は1月6日、愛知、三重の両県警に第三者供賄の疑いで既に逮捕され、1月27日に津地検に起訴されています。こちらの容疑は2019年8月、病院で用いる生体情報モニターを日本光電製に順次入れ替えるよう取り計らう見返りに、自身が代表理事を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた疑いです。三重大病院臨床麻酔部についてはこの連載でも、「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」でランジオロール塩酸塩の不正請求が発覚し、医局崩壊が再び始まるであろうことについて、「第36回 元准教授逮捕の三重大・臨床麻酔部不正請求事件 法律上の罪より重い麻酔科崩壊の罪」では、48歳の元准教授の男が公電磁的記録不正作出・同供用の疑いで津地方検察庁に逮捕されたことについて、「第40回 三重大元教授逮捕で感じた医師の『プロフェッショナル・オートノミー』の脆弱さ」で、本丸の元教授が医療機器の納入絡みで逮捕されたことについて書きました(再逮捕の容疑、「第三者供賄」については第40回を参照ください)。今回の再逮捕によって、一連の事件の発端となった昨年9月のオノアクトのカルテ改ざん・不正請求の事案についても、第三者供賄の可能性があるとされたわけです。元教授の製薬企業や医療機器会社への資金援助要求の強引さが改めて浮き彫りになるとともに、製薬企業の奨学寄附金のあり方にも一石投じる結果となりました。オノアクトの積極使用を部下に指示報道等によると、容疑者の元教授の再逮捕容疑は、2018年3月、オノアクトを多数発注する見返りに三重大の口座に200万円を振り込ませた疑いです。うち約160万円は研究活動の一環として民間企業への業務委託費として支出されていたとのことです。元教授は小野薬品から200万円を得られるとの見通しを示した上で、オノアクトの積極使用を部下に指示。小野薬品は200万円を送金し、直後からオノアクトの使用実績は急増したとのことです。再逮捕後の続報では、「オノアクトの使用量全国トップを目指したい」「(薬剤の使用を)目立たないように増やしていきたい」といった積極使用を勧めるメールを臨床麻酔部の部下らに送っていたことや、小野薬品の担当者が元教授に対し、薬剤の目標使用量を示していた疑いがあること、同社が推奨していない「予防投与」の実施を求めていたとみられることも報じられています。ところで、オノアクトの不正請求事件では、48歳の臨床麻酔部准教授(当時)が既に公電磁的記録不正作出・同供用罪で起訴され、1月27日に詐欺罪で追起訴されています。当初、元教授は、部下の元准教授が起こしたとされるカルテ改ざんについて、大学の調査に対し「(不正を)知っていれば改善させていた」と改ざんへの関与を否定していました。また、「オノアクト」を積極的に使うよう指示したことは認めたものの、「使われていない薬剤が大量にあるとは思っていなかった」とも主張していました。ところが、捜査が進むにつれ、元准教らの証言などで、オノアクトの廃棄を元教授に報告していたことや、病院内のミーティングで大量廃棄が問題となったことを元教授が把握していたことが明らかとなりました。津地検はこうした証言や積極使用の指示の証拠などから、オノアクトに関しても第三者供賄が成立すると考えたと見られます。研究医療機関の寄付集めや製薬企業の営業にも影響か今回の再逮捕で注目されるのは、小野薬品が振り込んだのは、同社の正規の手続きを経た「奨学寄付金」だった、という点です。報道等では、小野薬品は奨学寄附金として2018年3月に200万円、19年11月に150万円を拠出しているとのことです。奨学寄付金は本来、学術研究の振興や研究助成を目的としており、贈収賄には該当しないとされてきました。その決定は、製薬企業においては営業本部から切り離された部門が、薬剤の使用量、購入量とは関係なく行っているからです。また、奨学寄付金は大学の口座に入金されるため、本来であれば教授も自由に使うことはできないはずです。元教授は自ら設立した一般社団法人にうまく還流させていたのかもしれません。小野薬品についても、奨学寄付金の決定部門と現場の営業の間に何らかの情報のやり取りがあった可能性も考えられます。その辺りの詳細な経緯は、これから徐々に明らかになっていくと思いますが、いずれにせよ、奨学寄付金が第三者供賄という形で賄賂と判断されたことは、今後、大学病院をはじめとした研究医療機関の寄付金集めや、製薬会社の営業活動に大きな影響を及ぼすでしょう。またまたパワハラ事件勃発今回の話はここで終わってもいいのですが、三重大については別件の続報が入りましたので、それについても触れておきます。2月1日のCBCテレビは、「三重大病院…不祥事で麻酔科医一斉退職 背景にパワハラ『今辞めたら共犯者』」というタイトルで、昨年以降、不祥事が続いた三重大病院臨床麻酔部で一斉退職が起こった背景に、パワーハラスメントがあったことを報じました。それによれば、三重大臨床麻酔部は、去年9月のカルテ改ざん事件を受けて、臨床麻酔部を新たに率いる立場になった60代の男性医師が、部下の麻酔科医たちに対して次のような発言をした、とのことです。「皆さんの親・兄弟・配偶者、すべての人に伝わるよう叫び続けます。日本中に言います。三重大学を倒そうとしている人たちは、この人たちだと」。「この人たち」とは自分たちのことだと、複数の部下は受け取ったとのことです。男性医師は去年9月、カルテ改ざん事件に触れた上で、部下の医師らに、「いま病院を辞めたら、共犯者とみられてもしょうがない」などと辞職を阻止するような発言もしたとのことです。こういった言動について複数の医師が大学側にパワハラだと訴えました。三重大は、男性医師の発言はパワハラだと認め、この男性医師に厳重注意をしたということです。現在、臨床麻酔部は医師3人が逮捕された不祥事を受けて退職者が急増し、現在は18人から4人まで減ったとのことです。この男性医師が原因で辞めた医師もいるようです。私はこのニュースを読んで、「おいおいまたパワハラかよ」と思ったのですが、調べてみると、病院長から任され臨床麻酔部を新たに率いることになったこの男性医師というのは、「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」でも書いた、2018年に助教からパワハラで訴えられた元教授(今回再逮捕された元教授の前任。2018年パワハラの民事訴訟で大学に賠償命令。その後定年退官)だったのです。いったい三重大病院と臨床麻酔部は何をやっているのでしょう。パワハラで問題となった医師を呼び戻さなければならないほど、麻酔科の指導者は払底しているのでしょうか。それとも、医師にとっての三重大病院の環境がいろいろな意味で悪過ぎるのでしょうか。旭川医大、三重大と国立大学病院の不祥事、ドタバタが続きます。このコロナ禍の中、地域医療を無視したガバナンスの緩み具合は、本当にやれやれとしか言いようがないです。

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うつ病に対するインターネットベースの認知行動療法~メタ解析

 患者自身に適した個別化された治療法を選択することで、うつ病に対するインターネットベースの認知行動療法(iCBT)の有効性を高めることができるかもしれない。スイス・ベルン大学のEirini Karyotaki氏らは、患者レベルのデータを使用して、うつ病に対するガイド付きまたはガイドなしのiCBTの短期および長期有効性を評価した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年1月20日号の報告。 PubMed、Embase、PsycInfo、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を抽出した。ガイド付きまたはガイドなしのiCBTを相互またはうつ病患者と対照群との比較を行ったRCTを選択した。選択基準を満たしたすべての研究より、利用可能な患者レベルのデータを収集した。うつ症状の重症度評価は、介入後、ランダム化6および12ヵ月後に評価した。さまざまな患者特性と相対的な治療効果との関連を評価するため、システマティックレビューおよび患者レベルのデータを用いたネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究42件のうち、39件(うつ病患者:9,751例)をネットワークメタ解析に含めた。そのうち、8,107例分の患者データを統合した。・ガイド付き、ガイドなしのiCBTは、対照群と比較し、短期および長期有効性が高かった。・ガイド付きiCBTは、ガイドなしiCBTと比較し、介入後の有効性は有意に高かったが(PHQ-9スコア平均差[MD]:-0.8、95%信頼区間[CI]:-1.4~-0.2)、ランダム化6および12ヵ月後の差を示すエビデンスは見つからなかった。・ガイド付きiCBTとガイドなしiCBTの有効性の相対的な関連性に最も影響を及ぼす因子は、ベースライン時のうつ症状であった。・ベースライン時のPHQ-9スコアが5~9の閾値下うつ病患者では、ガイド付きiCBTとガイドなしiCBTの有効性の差は小さかった。一方、PHQ-9スコアが9超の患者では、ガイド付きiCBTは、良好なアウトカムとの関連が認められた。 著者らは「うつ病患者に対するガイド付きiCBTは、ガイドなしiCBTと比較し、有効性が高く、中等度~重度のうつ病患者では、その差はより顕著であった。軽度または閾値下うつ病患者では、ガイドなしiCBTでも同様の効果が期待できるようである。うつ病に対する治療リソースを最適化するために、個別化された治療方法を選択する必要がある」としている。

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前立腺がん・膵がんでオラパリブをどう使うか、遺伝子検査の位置付けは?

 前立腺がん、膵がん、卵巣がんに対し、PARP阻害薬オラパリブ(商品名:リムパーザ)が2020年12月25日に追加承認を取得した。同薬が初めて承認された前立腺がん、膵がんにおける治療の実際について、1月20日オンラインメディアセミナー(共催:アストラゼネカ、MSD)が開催され、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室)、池田 公史氏(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)が登壇。各領域におけるオラパリブの使い方、遺伝子検査の位置付けについて講演した。オラパリブの適応取得の根拠となった第III相試験の結果 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、診断後の生存期間は約3年程度とされ、予後不良な病態である。さらに、CRPCになると治療への抵抗性に関係してさまざまな遺伝子変異が発生することが知られ、なかでもDNAの修復に関わるBRCA遺伝子に変異があると、さらに予後が不良となる。進行前立腺がんでは、5~6人に1人程度の割合(18%)で、BRCA1/2遺伝子に変異が生じているとされ、遺伝によるもの(生殖細胞系列変異)と後天的に生じたもの(体細胞変異)がそれぞれ約半数ずつ含まれると報告されている1)。 今回オラパリブが適応となったのは、「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」。オラパリブの適応取得の根拠となった第III相PROfound試験では、アンドロゲン受容体標的薬(ARAT)が無効となったBRCA遺伝子変異陽性の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん患者(160例)において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値を、エンザルタミドまたはアビラテロン(ARAT)投与群3.0ヵ月に対しオラパリブ投与群では9.8ヵ月と延長した(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.15~0.32)。全生存期間(OS)中央値についても、ARAT投与群14.4ヵ月に対しオラパリブ投与群20.1ヵ月と延長している(HR:0.63、95%CI:0.42~0.95)。 同試験でのオラパリブ投与群の主な有害事象は、貧血、悪心、食欲減退、疲労、下痢など。大家氏は「副作用は非常に穏やかな印象」とし、経口薬でもあり、適応の患者さんには確実に届けていきたいと話した。ただし、適切な対処と定期的なモニタリングが必要な副作用として、貧血、血小板減少、リンパ球減少、白血球減少、間質性肺疾患を挙げた。オラパリブの適応を判断する2つの検査法 オラパリブの適応を判断するコンパニオン診断としては、体細胞変異と生殖細胞系列変異を検出するFoundationOne CDx、生殖細胞系列変異を検出するBRACAnalysisの2つの検査法が承認されている。体細胞変異と生殖細胞系列変異が約半数ずつとされる前立腺がんでは両方を検査したいところだが、FoundationOne CDxを使った場合、コンパニオン診断として使用しただけでは、医療機関の持ち出し分が発生してしまう。オラパリブを含めた標準治療終了(見込み)後にエキスパートパネルを開催し、患者への結果説明まで行うと持ち出し分は発生しない。このため大家氏は、「事務系含め病院内でのコンセンサスを得たうえで、患者さんを長くフォローできるようシステムを構築しておく必要がある」と述べた。 また遺伝子検査を行うタイミングについて、日本泌尿器科学会では見解書2)をホームページに掲出している。「ARAT1剤が抵抗性になった時点で行うというのが学会としての見解」と同氏。学会からは厚生労働省へ要望書も提出しているという。「医療機関側の持ち出しが発生するような形ではなくFoundationOne CDxが活用可能となるよう、注力していきたい」と話した。膵がんに対するオラパリブの適応取得の根拠 膵がん患者の5年生存割合は10%未満と報告されており3)、がんの中で最も予後が悪い。今回承認された、膵がんに対するオラパリブの適応は、「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法」。プラチナ製剤を含む化学療法(16週以上)後に病勢進行が認められていない (CR、PR、SD)患者に対する維持療法として使用できる。なお、固形がんにおけるBRCA遺伝子変異陽性割合をがん種ごとに調べた研究では、膵がん患者の5.2%が陽性であったと報告されている4)。膵がんでは、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(gBRCA)のみを対象として承認されている。 オラパリブの適応取得の根拠となった第III相POLO試験は、gBRCA遺伝子変異陽性で、プラチナ製剤を含む一次化学療法後に疾患進行が認められていない、遠隔転移を有する膵腺がん患者(154例)が対象。主要評価項目であるPFS中央値を、プラセボ群3.8ヵ月に対しオラパリブ投与群では7.4ヵ月と有意に延長した(HR:0.531、95%CI:0.346~0.815)。OS中央値については、中間解析時点では、プラセボ群18.1ヵ月に対しオラパリブ投与群18.9ヵ月と両群間で有意な差は得られていない(HR:0.906、95%CI:0.563~1.457)。ただし、オラパリブ群で生存曲線が後半になるにつれ若干伸びてきている傾向がみられ、1月開催のASCO GIで発表されたアップデートデータでは、よりオラパリブ群で良好な傾向が報告されている。 同試験でのオラパリブ投与群でみられた主な有害事象は、疲労、悪心、腹痛、下痢、貧血、食欲減退、便秘。しかしGrade3以上の有害事象は少なく、「忍容性は高いと考えられる」と池田氏はコメントした。膵がん患者でのオラパリブの適応を判断する検査結果がでるまでの治療は? 膵がん患者におけるオラパリブの適応を判断するコンパニオン診断には、生殖細胞系列変異を検出するBRACAnalysisを用いる。ここで課題となるのが、検査結果が出るまでにかかる約3週間という期間だ。「膵がんの患者さんにとって、3週間は貴重な時間」と同氏。ゲムシタビン(Gem)+ナブパクリタキセル(nab-PTX)による治療を開始しておいて、もし検査結果が陽性であればプラチナ製剤に切り替えるというのが1つの考え方とした。「Gem+ nab-PTXが効いていれば継続するという考え方もあるが、個人的には、積極的にプラチナ製剤に切り替えていっていいのではないかと考えている」と話し、その理由として、BRCA遺伝子変異陽性患者におけるプラチナ製剤の有効性が示されていること、進行してプラチナ製剤が使えなくなると治療法が限られてしまうことを挙げた。

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光免疫療法 抗体薬物複合体アキャルックス、約20施設から順次拡大/楽天メディカルジャパン

 楽天メディカルジャパンは、2021年2月8日、光免疫療法の抗体薬物複合体であるセツキシマブ サロタロカンナトリウム(商品名:アキャルックス)、および同医薬品と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」を日本において2021年1月1日(レーザ機器本体は2020年12月14日)に販売を開始したと発表。また、同医薬品および医療機器による治療を開始または予定している医療機関についても、あわせて明らかにした。治療開始施設・愛知県がんセンター病院・国立がん研究センター東病院・東京医科大学病院治療開始予定施設・大阪国際がんセンター・大阪大学医学部附属病院・岡山大学病院・関西医科大学附属病院・九州大学病院・京都大学医学部附属病院・久留米大学病院・神戸大学医学部附属病院・埼玉医科大学国際医療センター・東京医科歯科大学医学部附属病院・鳥取大学医学部附属病院・広島大学病院・北海道大学病院・宮城県立がんセンター・横浜市立大学附属病院

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強力ステロイドの外用の継続使用、骨粗鬆症と関連

 作用が強力なステロイド外用薬の継続的使用は、用量依存的に骨粗鬆症や骨粗鬆症性骨折のリスクを増大するとの研究結果が示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らが、2003~17年に強力もしくは非常に強力なステロイド外用薬治療を受けたデンマーク成人患者72万3,251例について後ろ向きに解析し、明らかにした。これまで内服もしくは吸入コルチコステロイドについては、継続的使用や大量使用において骨粗鬆症や骨粗鬆症性骨折リスクとの関連性があることが示唆されていたが、外用薬については大規模な検討は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。 研究グループは、強力な、もしくは非常に強力な局所コルチコステロイド(TCS)の累積曝露と主要な骨粗鬆症性骨折(MOF)リスクとの関連を調べるため、全国的な後ろ向きコホート研究を実施した。対象は、2003年1月1日~2017年12月31日に強力もしくは非常に強力なTCS治療を受けたデンマーク成人とした。 データはデンマーク全国レジストリから入手し、記入済みの処方データをモメタゾンフランカルボン酸エステル(1mg/g)に等価用量変換して評価した。患者は、モメタゾンを等価用量で累積500g以上処方されていた場合に曝露群とし、200~499gの患者を参照群とした。 主要アウトカムは、骨粗鬆症またはMOFの診断とした。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、年齢・性別・社会経済的状態・使用薬・併存疾患で補正後にハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)値とともに算出して評価した。データ解析は2019年6月1日~8月31日に行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析には、等価用量200g以上のモメタゾン治療を受けていた、計72万3,251例の成人患者が含まれた(女性52.8%、平均年齢52.8[SD 19.2]歳)。・強力もしくは非常に強力なTCSの使用増大と、骨粗鬆症およびMOFリスクとの間に用量依存の関連が認められた。・たとえば、MOFのHRは、500~999g曝露群では1.01(95%CI:0.99~1.03)、1,000~1,999g曝露群は1.05(1.02~1.08)、2,000~9,999g曝露群は1.10(1.07~1.13)、1万g以上曝露群は1.27(1.19~1.35)であった。・骨粗鬆症およびMOFの相対リスクは、いずれもTCSの累積用量が倍増するごとに3%増大した(いずれもHR:1.03[95%CI:1.02~1.04])。・全体的な集団寄与リスクは、骨粗鬆症が4.3%(95%CI:2.7~5.8)、MOFが2.7%(1.7~3.8)であった。・危害を受ける患者が1人増えるのに要した最低曝露(454人年)は、MOFを呈した1万g以上曝露群で観察された。

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コロナワクチン「コミナティ」使用時の具体的な注意点

 「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果として2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、同日、本剤の使用に当たっての具体的な留意事項の通知が、厚生労働省から都道府県などの各衛生主管部(局)長宛に発出された。 本通知には、薬剤調製、接種時の具体的な注意点が記載されており、以下に一部抜粋する。■解凍方法・冷蔵庫(2~8℃)で解凍する場合は、解凍および希釈を5日以内に行う・室温で解凍する場合は、解凍および希釈を2時間以内に行う・解凍後は再冷凍しない■希釈方法・希釈前に室温に戻しておく・本剤のバイアルに日局生理食塩液1.8mLを加え、白色の均一な液になるまでゆっくりと転倒混和する。振り混ぜない・希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針または注射筒を使用した場合、6回分を採取することができる。標準的な注射針および注射筒等を使用した場合、6回目の接種分を採取できないことがある。1回0.3mLを採取できない場合、残量は廃棄する・希釈後の液は2~30℃で保存し、希釈後6時間以内に使用する。希釈後6時間以内に使用しなかった液は廃棄する■薬剤接種時の注意・通常、三角筋に筋肉内接種する。静脈内、皮内、皮下への接種は行わない また本剤の適正使用として、本剤の成分に対して重度の過敏症の既往歴のある者等は予防接種を受けることが適当でないとし、本剤の成分を示している。・トジナメラン(有効成分)・[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)・2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド・1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン・コレステロール・精製白糖・塩化ナトリウム・塩化カリウム・リン酸水素ナトリウム二水和物・リン酸二水素カリウム そのほか、注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射としてあらわれる失神への対処、妊婦または妊娠している可能性のある女性への接種の考え方なども記載されている。

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精製穀物の摂取量と死亡・心血管リスクが相関/BMJ

 精製した穀物の取り過ぎは、死亡および主要心血管イベントのリスク増加と関連することが、低・中所得国を含む世界21ヵ国で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」の結果、明らかとなった。インド・St John's Research InstituteのSumathi Swaminathan氏らが報告した。これまで、全粒穀物について、摂取量が多いほど死亡および心血管疾患のリスクは低下することが知られていたが、精製穀物との明確な関連は観察されていなかった。著者は今回の結果から、「世界的に、精製穀物の消費量減少を検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2021年2月3日号掲載の報告。PURE研究の21ヵ国約15万人について解析 研究グループは、精製穀物、全粒穀物および白米の摂取量と、心血管疾患、全死亡、血中脂質および血圧との関連を評価する目的で、PURE研究のうち、北米、欧州、南米、アフリカ、中東、南アジア、東南アジアおよび中国を含む21ヵ国のデータを用いて評価した。 解析には、2003年1月から登録され2019年7月まで追跡された14万8,858人が含まれた。追跡期間中央値は9.5年。 摂取量算出は、各国で検証済みの食物摂取頻度調査票が用いられた。 主要評価項目は、死亡または心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、脳卒中、心不全)の複合エンドポイントで、穀物摂取量とこれらの関連について多変量Cox frailtyモデルを用いてハザード比を算出して評価した。精製穀物摂取量350g/日以上、50g/日未満と比較して約1.3倍 解析対象は、ベースラインで心血管疾患を有する参加者を除外した13万7,130人であった。このうち、追跡期間中に9.2%(1万2,668人)で複合エンドポイントのイベントが発生した。 精製穀物の摂取量が最も多い群(1日350g以上)は最も少ない群(1日50g未満)と比較して、全死因死亡(ハザード比[HR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.11~1.46、傾向のp=0.004)、主要心血管イベント(HR:1.33、95%CI:1.16~1.52、傾向のp<0.001)、および複合エンドポイント(HR:1.28、95%CI:1.15~1.42、傾向のp<0.001)のリスクが有意に増加した。 また、精製穀物の摂取量が多いほど収縮期/拡張期血圧が高かったが、全粒穀物または白米の摂取量と健康状態との間に有意な関連は認められなかった。

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COVID-19関連小児多系統炎症性症候群、IVIG+ステロイドが有効/JAMA

 小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の初期治療は、免疫グロブリン静注療法(IVIG)とメチルプレドニゾロンの併用療法がIVIG単独と比較し有効であることが、フランス国内のサーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果で明らかとなった。同国・パリ大学のNaim Ouldali氏らが報告した。MIS-Cは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染に関連する最も重症の小児疾患で、死に至る可能性もあるが、最適な治療戦略はわかっていない。JAMA誌オンライン版2021年2月1日号掲載の報告。フランス全例調査、IVIG+メチルプレドニゾロン併用療法vs.IVIG単独の有効性を比較 2020年4月に欧州と米国で小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と関連すると思われるMIS-Cが報告されて以降、フランスではMIS-Cが疑われる症例はすべて同国の公衆衛生局に報告された。 研究グループは、このサーベイランスシステムのデータを用い、MIS-Cの初期治療としてのIVIG+メチルプレドニゾロン併用療法とIVIG単独の有効性について、傾向スコアマッチング法により後ろ向きに解析した。研究期間は2020年4月1日~2021年1月6日。 主要評価項目は、初期治療開始2日後の発熱持続、または7日以内の発熱再発で、これらを治療失敗と定義した。副次評価項目は、2次治療、血行動態補助、初期治療後の急性左心室機能不全および小児集中治療室在室期間であった。併用療法群で治療失敗リスクが有意に低い MIS-Cが疑われる小児患者は181例で、このうち111例が世界保健機関(WHO)の定義を満たした(女児58例[52%]、年齢中央値8.6歳[四分位範囲:4.7~12.1])。111例中5例は、併用療法およびIVIG単独療法のいずれも受けていなかった。 治療失敗は、併用療法群34例中3例(9%)、IVIG単独群72例中37例(51%)に認められた。併用療法群はIVIG単独群と比較して、治療失敗のリスク低下と関連していた(絶対リスク差:-0.28[95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.08]、オッズ比[OR]:0.25[95%CI:0.09~0.70、p=0.008])。 併用療法群はIVIG単独群と比較して、2次治療実施のリスクも有意に低下した(絶対リスク差:-0.22[95%CI:-0.40~-0.04]、OR:0.19[95%CI:0.06~0.61、p=0.004])。また、血行動態補助(同:-0.17[-0.34~-0.004]、0.21[0.06~0.76])、初期治療後の急性左心室機能不全(-0.18[-0.35~-0.01]、0.20[0.06~0.66])、および小児集中治療室在室期間(中央値4日vs.6日、群間日数差:-2.4、95%CI:-4.0~-0.7)についても同様であった。

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頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第68回

頬粘膜投与でてんかん重積発作を抑える「ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg」今回は、抗けいれん薬「ミダゾラム(商品名:ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg、製造販売元:武田薬品工業)」を紹介します。本剤を使用することで、医療機関外であっても18歳未満のてんかん重積状態患者の発作を速やかに抑えることができます。<効能・効果>本剤は、てんかん重積状態の適応で、2020年9月25日に承認され、2020年12月10日より発売されています。<用法・用量>通常、ミダゾラムとして、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には1回10mgを頬粘膜投与します。シリンジ液剤の全量を片側の頬粘膜に緩徐に投与しますが、体格の小さい患者や用量が多い場合は、必要に応じて両側の頬粘膜に半量ずつ投与することができます。なお、18歳以上の患者に対する有効性および安全性は確立されていません。<安全性>国内第III相試験(SHP615-301試験、SHP615-302試験)において、副作用は25例中5例(20.0%)で報告されており、主なものは、鎮静、傾眠、悪心、嘔吐、下痢各1例(いずれも4.0%)でした。なお、重大な副作用として、呼吸抑制が1例(4.0%)で報告されており、無呼吸、呼吸困難、呼吸停止などが注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、歯ぐきと頬の間に投与することで、脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん重積状態の発作を抑えます。2.発作が開始してすぐに本剤を投与せず、自然に発作がおさまるかどうか観察し、投与判断の目安は医師の指示に従ってください。患者さんに嘔吐やよだれがある場合は、投与前に拭き取ってください。3.投与する際は、片側の頬をつまみ広げ、シリンジの先端を下の歯ぐきと頬の間に入れ、ゆっくりと全量を注入します。体格が小さい場合や使用量が多い場合は、医師の指示によって両側の頬に半量ずつ注入することもできます。4.この薬は頬粘膜から吸収されるため、可能な限り飲み込まないように注意してください。5.投与後は、原則救急搬送の手配を行い、医療者がこの薬の使用状況を確認できるように使用済みのシリンジを提示してください。6.保管時は、プラスチックチューブに封入された状態でふた側を上向きにして立てた状態にしてください。ふた側を下向きまたは水平にして保管すると、含量が低下する恐れがあります。<Shimo's eyes>通常、てんかん発作の多くは1~2分でおさまりますが、30分以上持続すると脳への長期的な後遺障害に至る可能性が高くなります。そのため、発作が5分以上持続する場合はてんかん重積状態と判断して、治療を始めることが国内外のガイドラインで推奨されています。2020年2月時点で、ミダゾラム口腔用液は欧州を中心に世界33ヵ国で承認されていますが、わが国で発売されているのは注射製剤(商品名:ミダフレッサ)のみで、ほかの小児を含む早期てんかん重積状態の第1選択薬として推奨されている薬剤もジアゼパムやロラゼパムの注射製剤でした。注射製剤は医療機関で投与されますが、救急搬送に時間を要して治療開始までに30分以上経過してしまう例が多く、患者団体や関連学会から非静脈経路で利便性および即効性の高い薬剤の開発が要望されていました。本剤は、国内初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与用のプレフィルドシリンジ製剤で、医療機関外でも家族や介護者などによって投与することができます。第III相臨床試験では、5分以内に64%、10分以内に84%で持続性発作が消失するという速やかな効果が認められました。適応があるのは18歳未満の患者さんで、年齢別に4種類の投与量のシリンジがあり、ラベルで色分けされています。主成分であるミダゾラムはCYP3A4の基質であり、本剤はCYP3A4を阻害あるいは誘導する薬剤との併用は禁忌です。副作用として呼吸抑制および徐脈などが現れる恐れがあるため、本剤の投与時は患者さんの呼吸や脈拍数に異常がないかなどを注意深く観察するとともに、救急車の手配も並行して行うなど冷静な対応が求められます。近年、アナフィラキシーに対するアドレナリン注射液(同:エピペン)に加え、糖尿病の低血糖状態に対する点鼻グルカゴン製剤(同:バクスミー点鼻粉末剤)、そして本剤など、患者さんの緊急時に身近な人が対応できる製剤が増えてきました。薬局では、患者さんや家族・介護者がいざというときに正しく安全に使えるよう、使用方法について理解度の確認が重要です。※2022年7月より、学校・保育所等で児童がてんかんを発症した場合、教職員が当該児童生徒等に代わって投与可能となりました。参考1)PMDA 添付文書 ブコラム口腔用液2.5mg/ブコラム口腔用液5mg/ブコラム口腔用液7.5mg/ブコラム口腔用液10mg

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冬はビタミンD不足【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第27回

「北ドイツの冬は寒いんじゃないの?」とよく聞かれますが、近年は温暖化の影響もあって、そこまで酷い寒さに悩まされることはありません。実はドイツは南にアルプス山脈があるため、どちらかと言うとむしろ南ドイツの方が寒くなりやすい傾向があるそうです。それよりも問題になるのは日照時間です。北ドイツは冬季の間、日照時間が極めて短くなります。冬至のときで大体昼が6時間くらいです。真っ暗なうちに家を出て、真っ暗になってから家に帰ります。ドイツの冬は日中も曇りが多いので、回診中に晴れ間が少しでもみえたら、一時中断して談話室にいってしばらく日光浴をしたりします。私自身は夜型インドア派ですので、さほど困るわけではありませんが、それでも季節がうつろい日照時間が少しずつでも伸びてくれると、多少なりともホッとする感じを受けます。夏も冬も極端に昼夜が長いヨーロッパ北部の気候ドイツに限らずヨーロッパ全体で言えることですが、この時期はどうしてもうつ傾向になっちゃう人がたくさん出てきます。そこで大抵の人はビタミンDのサプリメントを摂取することになります。実際にスーパーにいくと、それは沢山の製品が販売されていて、どれを買えばいいやら…。錠剤タイプや液体タイプ、週に1回飲むだけでいいタイプも販売されています。もちろん逆に夏は日照時間が長くなります。夜の11時ごろでもまだ空がほんのり明るかったりします。ちょうど夏の時期にイスラム教のラマダン(断食)が行われるのですが、たとえドイツであっても、ムスリムの同僚たちは日没まで飲まず食わずで働いています。そのため夕方くらいになると、低血糖でフラフラしています。呼びかけても返事が弱々しい感じです。日没と同時に一気にドカ食いして次の日に備えようとしている姿は本当に大変そうです。日照時間の激しい変化に対応するのは、生物的にも文化的にもいろいろと大変なのです。

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第47回 COVID-19伝播の阻止や変異株への抗体反応をワクチンが助け、抗原検査が検診を一変しうる

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンを接種すればたとえ感染しても抑えが効いてウイルスは他人を感染させるほどには増え難いらしく、他人を感染させうる人のみを見分ける抗原検査はその感染(COVID-19)の検診の有り様を一変させるかもしれません。また、2社のmRNAワクチンは変異株に対抗する中和抗体をどうやら底上げするようです。PfizerのCOVID-19ワクチンはウイルス量を抑えて感染伝播を減らしうるイスラエルでPfizer/BioNTechのCOVID-19ワクチンBNT162b2接種済みの人と非接種の人の感染の程度を比較したところ1回目接種後12~28日のウイルス量はワクチン非接種の人の4分の1ほどに抑えられており、同ワクチンはすでに裏付けられている発症予防に加えて他人を感染させ難くする効果もあると示唆されました1,2)。ウイルス量が多い人ほど他人を感染させやすいことはLancet Infectious Diseases誌に最近掲載された別の試験で示されています。SARS-CoV-2に感染した282人とそれらと密接に接触した753人を調べたその試験の結果、他人を感染させたのは3人に1人(90人;32%)のみで、ウイルス量が多い人ほど他人を感染させていました3,4)。また、咳がある人とない人の他人への感染伝播に差はありませんでした。ということはウイルス量が多い感染者に接触した人の追跡がとくに重要なようであり4)、次に紹介する試験ではウイルス量が多くて他人を感染させやすい人の同定に抗原検査が重宝しうることが示唆されています。BD社の抗原検査はCOVID-19を移しうる有症者の検出でPCR検査に勝るようだCOVID-19を他人に感染させうる患者の検出を比較した試験でベクトン・ディッキンソン(BD)社のわずか15分ほどで済む抗原検査(製品名Veritor)がウイルスのRNAを検出するPCR検査を凌ぐと示唆され5,6)、抗原検査はCOVID-19検診の有り様をやがて一変させるかもしれません7)。試験にはCOVID-19発症患者251人が参加し、気道検体の抗原検査とPCR検査が培養検査の結果とどれだけ一致するかが調べられました。培養検査は増殖しうるウイルスが採取検体に存在するかどうかを調べます5)。培養細胞でウイルスが増えれば検体に生きているウイルスが存在することを意味し、感染可能なウイルスがいたことを示唆します。一方、培養細胞でウイルス増殖がなかった検体の患者には他人に移って感染しうるほどの生存ウイルスは恐らく存在しません。試験の被験者251人のうち培養検査で陽性だったのは28人でした。PCR検査では培養検査陽性28人とその他10人を含む38人が陽性でした。PCR検査では陽性で培養検査では陽性でなかったその差し引き10人は検体採取時点で他人を感染させる心配は恐らくなかったようです。PCR検査はそれら10人の検体のウイルスRNA断片か無欠だが少量のSARS-CoV-2を検出したのしょう。PCR検査とは対照的にBD社の抗原検査の陽性判定は培養検査とより一致していました。抗原検査で陽性の27人は培養検査でも陽性で、抗原検査と培養検査の陽性判定が食い違っていたのは1人のみでした。目下のCOVID-19流行下での検査の主な目標の1つは他人を感染させうる人を同定して暫く出歩かないようにしてもらうことです5)。安価でより多くに届けうる抗原検査は日々の暮らしでのCOVID-19伝播を封じることに大いに貢献すると今回の試験主導医師の1人Charles Cooper氏は言っています5)。今回の試験と同様にPCR検査が他人を感染させそうにない人を無闇に検出してしまうことは先立つ幾つかの試験でも示唆されています8-11)。それらの試験によると発症後8日の検体のほとんどは、PCR検査ではウイルスRNAが検出されたのとは対照的に感染可能ウイルスを有していませんでした。PCR検査のように感染可能なウイルスが存在しない人を無闇に陽性判定しない抗原検査を使うことで感染者の隔離期間をより短縮できるかどうかの検討が必要と今回の試験の著者は言っています6)。また、今回の試験は有症者が対象でしたが、無症状の人の抗原検査の性能を調べる試験をBD社はすでに進めています7)。Pfizer/BioNTech やModernaのワクチンで新型コロナウイルス変異株阻止抗体を底上げしうる南アフリカで見つかって広まる心配なSARS-CoV-2変異株B.1.351(南ア変異株)に対抗する中和抗体反応をPfizer/BioNTech やModernaのワクチン1回の接種で強力に底上げしうることが感染を経た人へのそれらワクチン接種前後の血液検体比較で示されました12,13)。米国・ワシントン州シアトルのがん研究センターFred Hutchinson Cancer Research CenterのAndrew McGuire氏のチームはCOVID-19を経た10人から血液を採取し、続いてPfizer/BioNTech かModernaのワクチンの1回目接種後に再び血液を採取しました。Pfizer/BioNTech とModernaのワクチンはどちらも中国の武漢市で見つかったSARS-CoV-2元祖株(Wuhan-Hu-1)スパイクタンパク質を作るmRNAでできています。採取した血液を使ってその元祖株と南ア変異株の細胞感染を阻止する中和抗体活性を調べたところ、ワクチン接種前の時点で元祖株への中和抗体活性は弱いながらもほとんど(10人中9人)が有しており、南ア変異株への中和抗体活性を有していたのは半数の5人のみでした。ワクチン接種後には元祖株と南ア変異株への中和抗体がどちらもおよそ1,000倍上昇していました。すでに感染を経ている人へのPfizer/BioNTech やModernaのmRNAワクチン接種はたとえ1回でも有意義であり、スパイクタンパク質に対してすでに備わる抗体反応を底上げすればワクチンが目当てとするウイルスのみならず新たに出現する変異株への中和抗体も有意に増強できそうです13)。参考1)Pfizer’s COVID-19 Vaccine Reduces Viral Load: Study / TheScientist2)Decreased SARS-CoV-2 viral load following vaccination. medRxiv. February 08, 20213)What makes a person with COVID more contagious? Hint: not a cough / Nature4)Marks M,et al. Lancet Infect Dis. 2021 Feb 2:S1473-3099,30985-3. [Epub ahead of print]5)New Clinical Data Shows BD Antigen Test May Be More Selective In Detecting Infectious COVID-19 Patients Than Molecular Tests / PRNewswire6)Pekosz A, et al. Clin Infect Dis. 2021 Jan 20:ciaa1706. [Epub ahead of print]7)Antigen tests could change Covid-19 screening culture / Evaluate8)Wolfel R, et al. Nature. 2020 May;581:465-469.9)La Scola B, et al. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020 Jun;39:1059-1061.10)Bullard J, et al. Clin Infect Dis. 2020 May 22:ciaa638. [Epub ahead of print]11)Repeat COVID-19 Molecular Testing: Correlation with Recovery of Infectious Virus, Molecular Assay Cycle Thresholds, and Analytical Sensitivity. medRxiv. August 06, 2020. 12)Vaccines spur antibody surge against a COVID variant / Nature13)Antibodies elicited by SARS-CoV-2 infection and boosted by vaccination neutralize an emerging variant and SARS-CoV-1. medRxiv. February 08, 2021

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ニボルマブ+カボザンチニブの進行腎がん1次治療、持続的な効果示す(CheckMate-9ER)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブとExelixisは、2021年2月8日、ピボタルな第III相CheckMate-9ER試験の新たな解析の結果を発表した。同解析では、進行腎細胞がん(RCC)の1次治療において、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とカボザンチニブ(商品名:カボメティクス)の併用療法が、スニチニブと比較して、臨床的に意義のある持続的な有効性ベネフィットおよび生活の質の改善を示した。これらのデータは米国臨床腫瘍学会(ASCO)2021年泌尿器がんシンポジウムにおいて発表された。 中央値2年間(23.5ヵ月)の追跡調査において、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法は、スニチニブと比較して引き続き良好な無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)および全生存期間(OS)を示し、投与の中止につながる治療に関連する有害事象(TRAE)の発現率は低かった。追跡調査において、新たな安全性シグナルは認められなかった。全患者集団の結果は以下のとおり。・試験の主要評価項目であるPFS中央値は併用療法群17.0ヵ月、スニチニブ群8.3ヵ月であった(HR:0.52、95%I:0.43~0.64)。・ORRは併用療法54.8%、スニチニブ群 28.4%であった。・併用療法はスニチニブと比較し引き続きOSの改善を示した(HR:0.66、95%CI:0.50 ~0.87)。・病勢コントロール率は、併用療法群88.2%、スニチニブ群69.9%であった。・TRAEによる投与中止率は、併用療法群6.6%、ニボルマブのみで9.7%、カボザンチニブのみで7.2%であった。・肉腫様型の患者75例の探索的サブグループ解析において、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法は、スニチニブと比較して死亡リスクを64%低減し(HR:0.36、95%CI:0.17~0.79)、良好なPFS(10.3ヵ月 vs.4.2ヵ月)およびORR(55.9% vs.22.0%)を示した。

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妊娠および授乳中の女性に対する抗CGRPモノクローナル抗体の安全性プロファイル

 妊娠および授乳中の女性に対する抗CGRPモノクローナル抗体(erenumab、ガルカネズマブ、fremanezumab)の安全性プロファイルについて、スイス・Institute of Pharmacological Sciences of Southern SwitzerlandのRoberta Noseda氏らが、評価を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年1月12日号の報告。 個別症例の安全性報告を集積したWHOのグローバルデータベースであるVigiBaseより2019年12月31日時点のデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・安全性報告件数は94件であった。薬剤ごとの安全性報告件数は、erenumabが50件、ガルカネズマブが31件、fremanezumabが13件であった。・妊娠期や授乳期別の安全性報告件数は、以下のとおりであった。 ●妊娠前の薬剤使用時:5件 ●妊娠中の薬剤使用時:85件 ●授乳中の薬剤使用時:1件 ●父親の薬剤使用:1件 ●不明:2件・薬剤使用時のみの安全性報告は51件であった。・薬剤使用後の安全性報告43件において報告された47件の副作用は、以下のとおりであった。 ●母体毒性:18件 ●母乳不足:1件 ●自然流産:23件 ●早産、未熟児:3件 ●先天性欠損:2件・完全なデータベースと比較し、自然流産の不均衡な報告の兆候は認められなかった(報告オッズ比[ROR]:1.46、95%信頼区間[CI]:0.97~2.20)。・トリプタンを比較対照薬とした場合、抗CGRPモノクローナル抗体(erenumab、ガルカネズマブ、fremanezumab)では、自然流産の不均衡な報告の兆候が認められたが(ROR:1.86、95%CI:1.12~3.13)、交絡安全性報告を除外した後、統計学的に有意な差は消失した(ROR:1.21、95%CI:0.67~2.21)。 著者らは「妊娠および授乳中の女性に対する抗CGRPモノクローナル抗体の使用では、特定の母体毒性、先天性欠損、自然流産の報告増加は認められなかった。しかし、報告された副作用件数は限られており、長期的な安全性データが不足していることから、抗CGRPモノクローナル抗体を妊娠および授乳中の女性に使用する場合には、継続的なモニタリングを行う必要がある」としている。

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若年成人におけるノモフォビア(スマホ依存症)と不眠症や食物依存症との関連

 スマートフォンや携帯電話などの端末を使用することができないことに対して恐怖を抱く状態をノモフォビアという。バーレーン・Arabian Gulf UniversityのHaitham Jahrami氏らは、ノモフォビアと食物依存症および不眠症状との関連について調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年1月15日号の報告。 対象は、18~35歳のバーレーン若年成人654人(男性:304人、女性350人[女性の割合:54%])。基本的な人口統計学的および身体測定の特徴、ノモフォビア質問票(NMP-Q)、不眠症重症度質問票(ISI)、Yale食物依存症尺度(YFAS)を含む自己評価型の構造化されたオンライン質問票を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・重度のノモフォビア、中等度~重度の不眠症状、食物依存症は、個別または合併ともに、女性では一般的に認められた。しかし、統計学的な有意性は認められなかった。・重度のノモフォビアの有症率は、女性で21.7%(76例)、男性で18.8%(57例)であった(p=0.9)。・中等度~重度の不眠症状の有症率は、女性で16%(56例)、男性で11.84%(36例)であった(p=0.1)。・食物依存症の有病率は、女性で20.29%(71例)、男性で17.43%(53例)であった(p=0.3)。・ノモフォビアと不眠症状との間に統計学的に有意な関連が認められた(r=0.60、p<0.001)。・ノモフォビアと食物依存症との関連は認められなかった。 著者らは「ノモフォビアは若年成人、とくに女性において頻度が高かった。ノモフォビアは、不眠症状との関連が認められたが、食物依存症との関連は認められなかった」としている。

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コロナ禍の花粉症対策にも有用、「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」

 今年の花粉症シーズンはコロナ禍ということもあり、耳鼻咽喉科医だけではなく、多くの非専門医にも花粉症について再認識してもらうことが重要ではないだろうか。そこで、2020年7月に改訂第9版として発刊された『鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版』の作成委員長を務めた岡野 光博氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学 教授)に鼻アレルギー診療ガイドライン2020の改訂内容やコロナ禍で注意すべき点を伺った。小児・若年層の花粉症有病率が増加、その背景とは 近年、有病率が増加傾向のアレルギー性鼻炎。その原因は未だに不明な点も多いが、日本人の生活様式の変化(マンションなど気密性の高い住居など)によるダニや昆虫の増殖、ペットの屋内飼育、花粉症産生能力が高い樹齢スギの増加などが原因で抗原量が増えているためと考えられている。 アレルギー性鼻炎のなかでも有病率の高いスギ花粉症は、「とくに20歳未満での早期発見・早期治療が重要」だと岡野は強調した。というのも、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした疫学調査(1998年・2008年・2019年に調査)結果から、10~19歳の約半数がスギ花粉症をすでに発症していたことが明らかになり、また、経時的に見た場合にも5~9歳の小児や若年層のスギ花粉症有病率割合が増えていたからである(第2章 疫学の図2、3参照)。「鼻アレルギー診療ガイドライン2020内のグラフをみると30歳以降のスギ花粉有病率も増加しているが、増加率は若年層で著しい。とくに5~9歳の約3割は10年後にスギ花粉症を新規に発症することが確認された」と同氏は説明した。 また、同氏は「アレルギー性鼻炎は50歳まで発症させないことが重要である。小児の段階でしっかり治療を行い、発症を抑えることができれば将来的にも身体への負担が少なくなる。一方で50歳以上は新規にアレルギー性鼻炎を発症しづらいことが今回の疫学調査で確認できた」とも話した。コロナと花粉症、どちらの対策にも“鼻閉”を見逃すな 風邪とアレルギー性鼻炎との鑑別には、“鼻漏時の鼻の痒み”有無の確認が有用であるが、「新型コロナとの鑑別にも有用」だという。また、問診の際には「鼻閉症状に注意することは意義がある」とも同氏は話し、「鼻閉は口呼吸につながり、口が乾燥することで新型コロナに感染しやすい環境が整ってしまう。鼻アレルギー診療ガイドライン2020の『第4章 検査・診断』(表9.アレルギー性鼻炎症状の重症度分類)にも示されているように、鼻閉の強さを口呼吸の時間で分類しているため、この症状に注目することも肝心」と解説した。口腔アレルギー症候群も視野に診断を 食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群(OAS:Oral allergy syndrome)は花粉症患者に合併することが多い疾患で、主にフルーツや野菜などの食物の摂取時に口腔・咽頭粘膜を中心に生じる即時型食物アレルギーである。このなかでもシラカンバの花粉症患者がリンゴやサクランボなどのバラ科食物に交差反応してアレルギー症状を示すのは有名な話である。しかし、「小児の場合は、親御さんがこの交差反応に関する知識を持っていないと、食わず嫌いと勘違いしてしまうため、親御さんからのヒアリングに十分注意してもらいたい」とコメントした。 このほか、鼻アレルギー診療ガイドライン2020の第4章の検査・診断の項には、日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票が、第5章の治療の項にはアレルギー性鼻炎の問診票や鼻アレルギー日記のテンプレートが掲載されており、日常診療に役立つツールをたくさん備えたガイドラインに仕上がっている。

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移動式脳卒中ユニット、3ヵ月後の全般的障害を改善/JAMA

 急性期虚血性脳卒中患者の救急搬送では、移動式脳卒中ユニット(MSU)の出動は従来の救急車と比較して、修正Rankinスケール(mRS)で評価した3ヵ月後の全般的障害の状態が有意に良好であることが、ドイツ・シャリテ大学病院ベルリンのMartin Ebinger氏らが実施したB_PROUD試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年2月2日号に掲載された。急性期虚血性脳卒中における血栓溶解療法の効果は時間依存的であることが知られている。MSUは、CTスキャナーを装備し、病院到着前に血栓溶解療法が行えるよう設計された救急車であり、治療開始までの時間を短縮し、血栓溶解療法の施行率を増加させ、入院前のトリアージを改善すると報告されているが、脳卒中発症後の機能的アウトカムに及ぼすMSUの潜在的な効果は明らかではないという。ベルリン市の前向き非無作為化対照比較試験 本研究は、MSUの出動が急性期虚血性脳卒中患者の臨床アウトカムを改善するかの検証を目的とする前向き非無作為化対照比較試験であり、2017年2月1日~2019年10月30日の期間に、ドイツ・ベルリン市で行われた(ドイツ研究振興協会[DFG]などの助成による)。 緊急通話で脳卒中が疑われた場合に、従来型の救急車とMSUの双方(利用可能な場合)が出動した。急性脳虚血の最終診断を受け、血栓溶解療法または血栓回収療法の対象となった患者の機能的アウトカムを、初回出動(MSUと従来型救急車、または従来型救急車のみ)に基づき比較した。 MSUには、血管造影が可能なCTスキャナー、臨床現場即時検査(国際標準化比[INR]、血球数、血糖値、クレアチニン、電解質の測定が可能)、血栓溶解療法が可能な装備が搭載され、救急救命士、緊急時の訓練を受けた放射線技師、救急医療の訓練を受けた神経科医が配置された。従来型救急車には、患者を安定させて病院に搬送する訓練を受けた救急救命士と救急隊員が乗務した。 主要アウトカムは、3ヵ月の時点でのmRSスコア(0[神経学的症状なし]~6[死亡]点)とした。複合主要アウトカムは3ヵ月後の3段階障害スケール(障害なし~中等度障害、重度障害、死亡)であり、mRSスコアがある場合はmRSが0~3点、ない場合は自宅で生活していれば、障害なし~中等度障害と判定され、mRSが4~5点または入院しているか介護施設に入居していれば重度障害と判定された。血栓溶解療法施行率や治療開始までの時間も良好 1,543例(平均年齢74歳、723例[47%]が女性)が登録され、MSU出動群は749例、従来型救急車群は794例であった。このうち1,337例(87%)でmRSスコア(主要アウトカム)が得られ、1,506例(98%)で3段階障害スケール評価(複合主要アウトカム)のデータが得られた。 3ヵ月の時点におけるmRS中央値は、MSU出動群が1点(IQR:0~3)と、従来型救急車群の2点(0~3)に比べ有意に低かった(絶対差:-1点、95%信頼区間[CI]:-3~-0.5、mRS上昇[悪化]の補正後共通オッズ比[OR]:0.71、95%CI:0.58~0.86、p<0.001)。 同様に、MSU出動群は、3ヵ月時の障害なし~中等度障害の患者が586例(80.3%)、重度障害が92例(12.6%)、死亡が52例(7.1%)で、従来型救急車群はそれぞれ605例(78.0%)、103例(13.3%)、68例(8.8%)であり、複合主要アウトカムもMSU出動群で有意に良好であった(機能的アウトカム悪化の補正後共通OR:0.73、95%CI:0.54~0.99、p=0.04)。 血栓溶解療法(tPA)は、MSU出動群が451例(60.2%)、従来型救急車群は382例(48.1%)で施行された(補正後共通OR:1.62、95%CI:1.32~2.00、p<0.001)。出動から血栓溶解療法開始までの時間中央値は、それぞれ50分および70分だった(対数変換値に基づく割合の平均群間差:-27%、95%CI:-31%~-22%)。 自宅退院の割合はMSU出動群で良好であった(453例[60.5%]vs.445例[56.0%]、補正後共通OR:1.42、95%CI:1.12~1.81、p=0.004)が、症候性2次性頭蓋内出血(24例[3.2%]vs.22例[2.8%]、1.20、0.66~2.19、p=0.56)や7日以内の死亡率(13例[1.7%]vs.24例[3.0%]、0.54、0.26~1.12、p=0.10)には差は認められなかった。 著者は、「他の地域での同様の臨床試験が必要である」としている。

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HPVワクチン接種と33の重篤な有害事象に関連なし、韓国/BMJ

 韓国のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を受けた11~14歳の女子において、コホート分析では33種の重篤な有害事象のうち片頭痛との関連が示唆されたものの、コホート分析と自己対照リスク間隔分析(self-controlled risk interval[SCRI] analysis)の双方でワクチン接種との関連が認められた有害事象はないことが、同国・成均館大学校のDongwon Yoon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年1月29日号に掲載された。HPVワクチン接種後の重篤な有害事象は、このワクチンの接種に対する大きな懸念と障壁の1つとなっている。HPVワクチンの安全性に関する実臨床のエビデンスは、西欧では確立しているが、アジアのエビデンスは十分ではないという。韓国の大規模データベースを用いたコホート研究 研究グループは、韓国の思春期女子におけるHPVワクチン接種と重篤な有害事象の関連を評価する目的で、コホート研究を実施した(韓国Government-wide R&D Fund project for infectious disease research[GFID]などの助成による)。 韓国予防接種登録情報システムと国立保健情報データベースのデータを統合し、2017年に11~14歳だった女子の同年1月~2019年12月の大規模データベースを構築した。 44万1,399人のデータが解析に含まれた。このうち、38万2,020人が42万9,377回のHPVワクチン接種を受け(HPVワクチン接種群)、残りの5万9,379人はHPVワクチン接種を受けず、8万7,099回の日本脳炎ワクチンまたは破傷風・ジフテリア・無細胞性百日咳混合ワクチンの接種を受けた(HPVワクチン非接種群)。 主要アウトカムは、33種の重篤な有害事象とした。重篤な有害事象には、内分泌(グレーブス病、橋本甲状腺炎など)、消化器(クローン病、潰瘍性大腸炎など)、心血管(レイノー病、静脈血栓塞栓症など)、筋骨格・全身性(強直性脊椎炎、ベーチェット症候群など)、血液(特発性血小板減少性紫斑病、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)、皮膚(結節性紅斑、乾癬)、神経系(ベル麻痺、てんかんなど)の疾患が含まれた。 主解析はコホートデザインで行い、SCRI分析を用いて2次解析を実施した。4価ワクチン接種者で片頭痛が増加 ワクチン接種時の平均年齢は、HPVワクチン接種群が12.42(SD 0.82)歳、HPVワクチン非接種群は11.84(0.56)歳であった。接種群のうち38.7%は1回、61.3%は2回のHPVワクチン接種を受け、29万5,365人が4価、8万6,655人は2価ワクチンの接種を受けた。合計51万6,476回のHPVワクチン接種が行われた。 コホート分析では、たとえば橋本甲状腺炎(10万人年当たりの発生率:接種群52.7 vs.非接種群36.3、補正後率比[RR]:1.24、95%信頼区間[CI]:0.78~1.94)や、関節リウマチ(168.1 vs.145.4、0.99、0.79~1.25)などではHPVワクチン接種との関連はみられず、唯一の例外として片頭痛(1,235.0 vs.920.9、1.11、1.02~1.22)で関連が認められた。 SCRI分析による2次解析では、片頭痛(補正後相対リスク:0.67、95%CI:0.58~0.78)を含め、HPVワクチン接種と重篤な有害事象には関連がないことが確かめられた。 フォローアップ期間の違いやHPVワクチンの種類別でも、結果の頑健性は高かった。また、2価ワクチン接種者では、片頭痛の有意な増加はみられなかった(補正後RR:1.07、0.96~1.20)が、4価ワクチン接種者では非接種者に比べ片頭痛が有意に増加していた(1.13、1.03~1.24)。 著者は、「これらの結果は、西欧の集団でHPVワクチン接種の安全性を示した試験と一致する」とまとめ、「片頭痛に関する矛盾した知見については、その病態生理と関心対象の集団を考慮して慎重に解釈すべきである」と指摘している。

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新型コロナウイルスワクチンを特例承認/厚生労働省・ファイザー

 厚生労働省は、2月14日にファイザー株式会社から製造販売承認が申請されていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第14 条の3に基づく特例承認を行った。 特例承認とは同法の規定に基づき、「(1)疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、(2)当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、(3)海外で販売等が認められている」という要件を満たす医薬品につき、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良いなどとして特例的な承認をする制度。 本ワクチンの特例承認では、主要な国際共同第II/III相試験のデータと、本剤の日本人における安全性、忍容性および免疫原性を評価した国内第I/II相試験の主要なデータを含む包括的な科学的エビデンスに基づいている。 国際共同第II/III相試験では、2回目接種7日後から評価したSARS-CoV-2感染歴のない参加者の集団(1つ目の主要評価項目)、SARS-CoV-2感染歴のある参加者と感染歴のない参加者を含む集団(2つ目の主要評価項目)の両方において、本剤の発症予防効果は95%だった。また、国内第I/II相試験では、海外試験結果と同様の安全性および免疫原性が示された。本試験は継続中であり、安全性については最終接種から12ヵ月後まで収集し、試験結果は今後査読のある論文などで公表する予定としている。 これによりわが国でも医療従事者からCOVID-19ワクチンの接種が本格的に開始される。コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン概要販売名:コミナティ筋注一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)効能または効果:SARS-CoV-2による感染症の予防効能または効果に関連する注意:本剤の予防効果の持続期間は確立していない。用法および用量:日局生理食塩液1.8mLにて希釈し、1回0.3mLを合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。用法および用量に関連する注意:・接種対象者:本剤の接種は16歳以上の者に行う。・接種間隔:1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施すること。製造販売承認取得日:2021年2月14日製造販売元:ファイザー株式会社技術提携:BIONTECH

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