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事例48 令和8年度診療報酬改定後の生活習慣病管理料留意点【斬らレセプト シーズン4】

令和8年度の診療報酬改定の内容が通知されています。本稿では、よく質問のある項目を紹介します。生活習慣病管理料(以下「同管理料」)(I)です。「必要な血液検査等を少なくとも6月に1回以上」行い、結果を患者に説明してカルテに記載することが義務付けられました。採血予定の診察日には空腹で来院されるなどの注意事項をあらかじめ患者に伝えておくことも必要です。同管理料(II)では、同月または同日に算定できる医学管理料が増えました。改定通知をご参照ください。同管理料(I)(II)にかかる共通事項は次のとおりです。1)「糖尿病を主病とする患者に、糖尿病用剤(薬剤名は通知をご参照ください)以外の自己注射用薬剤を投与する場合、在宅自己注射指導管理料が別に算定できる」とされました。2)療養計画書の「患者署名は不要」です。計画書写しのカルテ添付と説明した旨のカルテ記載は今までどおり必要です。3)糖尿病主病の患者の重症化予防に、眼科又は歯科に紹介などの連携を行うと、それぞれ年1回「眼科又は歯科医療機関連携強化加算」が算定できます。診療情報提供書料は別に算定できます。4)外来データ提出が望ましいとされました。届出は年2回とされており、詳細は通知を参照願います。届出後は、実績に応じて3段階の「充実管理加算」いずれかが算定できます。現時点では「望ましい」ですが、次回改定以降には算定要件化を予測しています。5)患者に対して次回の来院日を伝えるとありますが、患者と調整しても受診日が定まらないときは、「受診が必要な時期」を伝えてもよいとされています。カルテに受診予定日または時期の記載は必要です。今改定は、かかりつけ対応される診療所にとってはメリットのある改定と考えられています。改定にかかる漏れや査定を少しでも減らすために、通知などをよく確認されることをおすすめします。本稿は今回で最終回となります。長らくのご愛読ありがとうございました。

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英語で「四十肩」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第61回

医学用語紹介:四十肩 adhesive capsulitis日本語の「四十肩」「五十肩」は年齢に由来する俗称ですが、英語でそのまま“40-year-old shoulder”と言っても「40歳の肩」という意味にしかならないため、相手を困惑させてしまうでしょう。一方で、正式な診断名であるadhesive capsulitis(癒着性関節包炎)だと専門的すぎて、一般の方にはまず伝わりません。では、どのように伝えるのがよいでしょうか?講師紹介

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日本人の頭蓋骨は100年で変化したか/東大

 100年という期間で日本人の頭蓋などに変化は起こるであろうか。このテーマについて、東京大学大学院理学系研究科生物科学の臼井 詩織氏らの研究グループは、112例の頭蓋骨をCTスキャンデータで比較し、検討した。その結果、現在の日本人は短頭化し、乳様突起の肥大化など、100年前と比べ長期的変化があることが明らかになった。American Journal of Biological Anthropology誌2026年4月号に掲載。現代人は100年前のヒトよりも頭が短い 研究グループは、約100年前の歴史的日本人と現代の日本人集団の頭蓋形状の3次元的な変容の詳細について、幾何学的形態測定学的解析を行った。 研究では、19世紀後半から20世紀初頭に生きた56例の歴史的日本人乾燥頭蓋骨のCTスキャンデータと、2020年代に死亡した56例の現代日本人の死後CTデータを調査した。各頭蓋骨は161のランドマークで表され、その座標は重心サイズによって正規化され、一般化プロクラステス法を用いて位置合わせを行った。その後、検体間の形状のばらつきを調査するために、主成分分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・2つの集団を比較した結果、短頭化や乳様突起の肥大化など、明確な長期的変化が明らかになった。・男性における乳様突起の肥大や外後頭隆起の突出といった特定の性的二形性が、時間とともに顕著になってきていることが示された。 この結果から研究グループは、「環境、栄養、および生活様式要因の変化の影響を受け、過去1世紀の間にヒトの頭蓋骨が著しい変化を遂げてきたことを示している。また、法医学および考古学の双方において、身元不明の骨格遺体の性別判定の精度向上に寄与する可能性がある」と示唆している。

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頻回増悪を示すCOPD、astegolimabが好酸球数によらず増悪を抑制か(ALIENTO・ARNASA併合解析)/ATS2026

 既存の維持療法によっても増悪リスクが残存する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が存在し、新たな治療選択肢が求められている。IL-33受容体であるST2を標的とするモノクローナル抗体astegolimabは、頻回増悪歴を有するCOPD患者を対象として、開発が進められている。本剤について、海外第IIb相試験「ALIENTO試験」および国際共同第III相試験「ARNASA試験」が実施されており、米国胸部学会国際会議(ATS2026 International Conference)において、2試験の併合解析結果をJadwiga A. Wedzicha氏(英国・インペリアル・カレッジ・ロンドン)が報告した。併合解析の結果、astegolimab 2週ごと投与は、ベースライン時の血中好酸球数にかかわらず、主要評価項目の中等度または重度のCOPD増悪の年間発現率をプラセボと比較して低下させ、忍容性も良好であることが示された。本解析結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2026年5月18日号に同時掲載された1)。 なお、ALIENTO試験およびARNASA試験の結果は、Lancet誌オンライン版2026年5月18日号に掲載された2)。astegolimab 2週ごと投与は、ALIENTO試験において主要評価項目を達成したが、ARNASA試験では主要評価項目を達成しなかった。 ALIENTOは海外第IIb相試験、ARNASAは国際共同第III相試験であり、いずれも頻回増悪歴を有するCOPD患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。対象は、12ヵ月間に中等度または重度のCOPD増悪を2回以上経験し、modified Medical Research Council(mMRC)グレード2以上で、最適化された維持療法を受けている患者とした。ベースライン時の血中好酸球数、慢性気管支炎の有無、喫煙歴を問わず組み入れられた。対象患者は、astegolimab 476mgを2週ごとに投与する群(Q2W群)、4週ごとに投与する群(Q4W群)、プラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1:1の割合で割り付けられ、52週間の治療を受けた。主要評価項目は、52週時点までの中等度または重度のCOPD増悪の年間発現率とした。副次評価項目は、St. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)-C合計スコアの変化、重度のCOPD増悪の年間発現率、中等度または重度増悪の初回発現までの期間、気管支拡張薬投与後1秒量(FEV1)の変化、E-RS:COPD合計スコアなどとした。なお、今回の併合解析は事前規定されたものである。 主な結果は以下のとおり。・併合解析のmodified ITT集団は、Q2W群892例、Q4W群896例、プラセボ群888例であった。患者背景は各群でおおむねバランスがとれていた。平均年齢はそれぞれ66.76歳、67.10歳、67.14歳、男性の割合は60.3%、60.2%、60.4%であった。・血中好酸球数の平均値は、Q2W群183.5/μL、Q4W群187.6/μL、プラセボ群176.5/μLであった。血中好酸球数300/μL以上の患者は、それぞれ13.9%、13.1%、11.4%であった。・52週時点までの中等度または重度のCOPD増悪の年間発現率は、Q2W群1.04、Q4W群1.07、プラセボ群1.22であった。プラセボ群に対するレート比は、Q2W群0.85(95%信頼区間[CI]:0.76~0.96、p=0.0077)、Q4W群0.88(95%CI:0.78~0.99、p=0.0265)であった。・事前規定されたサブグループ解析において、ベースライン時の血中好酸球数、喫煙歴などのほとんどのサブグループで、Q2W群の中等度または重度のCOPD増悪の減少が一貫して認められた。プラセボ群と比較したレート比は、血中好酸球数150/μL未満では0.82、150/μL以上では0.88、300/μL未満では0.87、300/μL以上では0.73であった。・重度のCOPD増悪の年間発現率は、Q2W群0.15、プラセボ群0.22で、プラセボ群に対するレート比は0.68であった(95%CI:0.52~0.87、名目上のp=0.0028)。・52週時点でSGRQ-C合計スコアがベースラインから4点以上改善した患者の割合は、Q2W群がプラセボ群より高かった(オッズ比:1.35、95%CI:1.11~1.64、名目上のp=0.0029)。・SGRQ-C総スコアのベースラインからの変化量、気管支拡張薬投与後FEV1の変化量、E-RS:COPD総スコアの変化量については、明確な群間差は示されなかった。・安全性評価集団における100人年当たりの有害事象発現率は、Q2W群365、Q4W群403、プラセボ群408であった。重篤な有害事象はそれぞれ100人年あたり39、41、48であった。 本併合解析について、Wedzicha氏は「astegolimab 2週ごと投与は、頻回増悪歴を有するCOPD患者において良好なリスク・ベネフィットプロファイルを示した」とまとめた。

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外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺への細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」発売/サンバイオ

 サンバイオは2026年5月21日に、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善を効能、効果又は性能とした細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」(一般名:パンデフィテムセル、以下「アクーゴ」)の販売を開始したことを発表した。 アクーゴは、健康なドナーの骨髄液から採取した間葉系幹細胞を培養した後、神経再生能力を高めるためのヒトNotch-1細胞内ドメイン遺伝子を導入して作られる、ヒト(他家)骨髄由来加工間葉系幹細胞である。脳内の損傷した神経組織に移植することで、タンパク質の一種であるFGF-2などが放出され、損傷した神経細胞が本来持つ再生能力を促し、神経細胞の増殖・分化を促進する作用が示唆されている。 国内においては、厚生労働省より再生医療等製品として「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定され、2024年7月31日に条件及び期限付き製造販売承認を取得していた。また海外においては、米国食品医薬品局(FDA)よりRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)指定を、欧州では欧州医薬品庁(EMA)より先端医療医薬品(ATMP)の指定を受けている。 外傷性脳損傷は、交通事故や転倒などで頭部に外部から強い力が加わることで脳機能に障害をもたらす疾患であり、長期にわたり身体機能や認知機能、社会生活に影響を及ぼす慢性的な機能障害を伴うことから、大きなアンメットメディカル・ニーズが存在している。 アクーゴの有効性評価について、国際共同第II相臨床試験(TBI-01試験)の多施設共同偽手術対照無作為化二重盲検比較試験が米国、日本、ウクライナで実施された。主要評価項目である「24週目におけるFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)のベースラインからの変化量」において、各用量群を併合したSB623群(46例)では8.3±10.6、偽手術群(15例)では2.3±4.7となり、有意な改善効果が認められた(p=0.0401)1)。【製品概要】販売名:アクーゴ脳内移植用注一般名:バンデフィテムセル効能、効果又は性能:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善薬価:72,716,528円用法及び用量又は使用方法:通常、成人にはヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞として、生細胞5×106個(300μL)の細胞調製液を、専用投与機器セットを用いた定位脳手術により、損傷した組織の周辺部に移植する。頭蓋骨の小孔1箇所を通り損傷周辺部に至る3つの移植経路から、1移植経路あたり細胞懸濁液100μLを最深部から5~6mm間隔で5箇所に、1箇所あたり20μL移植する。注入速度は約10μL/minとする。移植に際しては、以下を行うこと。1.手術開始前に脳神経外科用侵襲式頭部固定具に専用投与機器セットのガイド&ストップ、スタイレットを備えたインサーターを取り付ける。2.脳内移植用細胞剤を融解し、専用調製液を用いて洗浄した後、移植濃度1.67×106個/100μLになるように専用調製液で調製し、細胞懸濁液とする。専用投与機器セットの投与カニューラを固定したマイクロシリンジを専用調製液により清浄化した後、細胞懸濁液を充填する。製造販売承認取得日:2024年7月31日発売日:2026年5月21日製造販売元:サンバイオ株式会社

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チルゼパチドで減量後の体重維持、継続vs.減量vs.中止/Lancet

 米国・University of Texas McGovern Medical SchoolのDeborah B. Horn氏らは、「SURMOUNT-MAINTAIN試験」の結果から、肥満の成人において減量後にチルゼパチド最大耐量(MTD)を継続投与することにより、体重減少および健康関連指標の改善が維持されることを示した。著者は、「チルゼパチド5mgへの減量は投与中止に代わる有用な選択肢となりうるが、治療反応にはばらつきがある可能性が示唆された。これらの知見は、長期的な肥満管理において継続的な治療が重要であることを裏付けるとともに、患者中心の個別化された肥満治療を行う根拠となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年5月12日号掲載の報告。60週間で5%以上体重が減少した参加者を対象に試験 SURMOUNT-MAINTAIN試験は、米国の20施設で実施された第IIIb相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、60週間の非盲検減量期間と52週間の二重盲検体重維持期間で構成された。 対象は、BMI値30以上、またはBMI値27以上かつ肥満に関連する併存疾患(例:高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患)を少なくとも1つ有し、減量のための食事療法に1回以上失敗している(自己申告)、18歳以上の成人であった。 チルゼパチド週1回皮下投与(2.5mgから投与を開始し、4週間間隔で10mgまたは15mgに達するまで2.5mgずつ増量)を60週間行った後、5%以上体重減少を達成し、少なくともチルゼパチド10mgに対して忍容性が認められた参加者を、チルゼパチド最大耐量(10mgまたは15mg、MTD)群、チルゼパチド5mg群、またはプラセボ群に3対3対2の割合で無作為に割り付け、52週間投与した。 主要エンドポイントは、112週時の体重のベースラインからの変化率で、試験治療の順守または他の肥満治療薬の投与開始の有無にかかわらず、無作為化試験薬を少なくとも1回投与されたすべての参加者(mITT集団)を対象とし、レスキュー治療としてのチルゼパチド投与または減量手術等を受けた場合はその前までに観察された最悪値で補完した。チルゼパチドMTD継続投与で減量効果を維持 2023年9月20日~2026年1月20日に441例が登録され、非盲検減量期間に少なくとも1回の試験薬投与を受けた。そのうち60週時に適格基準を満たした378例が無作為化され、372例が二重盲検体重維持期間に少なくとも1回の試験薬投与を受けた(チルゼパチドMTD群139例、チルゼパチド5mg群142例、プラセボ群91例)。345例(91%)が試験を完了した。 参加者の多くは白人(67%)で、女性288例(65%)、男性153例(35%)、平均年齢46.6歳(SD 13.0)、ベースラインの平均値は、体重113.8kg(SD 27.0)、BMI 40.1(SD 8.1)、HbA1c 5.64%(SD 0.4)であった。 112週時の体重のベースラインからの変化率(モデルに基づく推定値)は、チルゼパチドMTD群-21.9%(95%信頼区間[CI]:-23.5~-20.3)、チルゼパチド5mg群-16.6%(95%CI:-18.0~-15.1)に対し、プラセボ群は-9.9%(95%CI:-11.1~-8.8)であった(すべての対プラセボのp<0.0001)。 無作為化時に得られていた体重減少の50%以上の再増加を来し、チルゼパチドのレスキュー投与を受けた参加者は、チルゼパチドMTD群で8%(11/138例)、チルゼパチド5mg群で25%(35/142例)、プラセボ群で67%(60/90例)であった。 チルゼパチド投与群で最も多くみられた有害事象は胃腸障害で、その多くは軽症~中等症であり、主に用量漸増中の発現であった。

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肺高血圧症治療のセレキシパグ、高用量製剤が発売/日本新薬

 2026年5月20日、日本新薬は肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療剤のセレキシパグ(商品名:ウプトラビ錠0.8mg)を発売した。 本剤は、プロスタサイクリン受容体(IP受容体)に対して選択的かつ持続的に作用する経口のIP受容体作動薬。血管平滑筋細胞のIP受容体に結合してcAMP産生を増加させ、血管拡張作用および血管平滑筋増殖抑制作用を介して肺動脈圧を低下させる。国内において本剤の0.2mgおよび0.4mgがすでに販売されているが、本治療は患者の状態に応じて、段階的に用量調整を進める治療設計がなされることから、患者の服薬コンプライアンス向上のために高用量製剤0.8mg錠が追加された。【製品概要】商品名:ウプトラビ錠0.8mg一般名:セレキシパグ効能、効果又は性能:肺動脈性肺高血圧症、外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症用法及び用量又は使用方法:<肺動脈性肺高血圧症>通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。通常、2歳以上の幼児又は小児には、セレキシパグとして下表の開始用量を1日2回食後に経口投与する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で、下記の増量幅で最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、下記の最高用量は超えないこととし、いずれの用量においても1日2回食後に経口投与する。◯体重9kg以上25kg未満…開始用量(1回量)0.1mg、増量幅(1回量)0.1mg、最高用量(1回量)0.8mg◯体重25kg以上50kg未満…同0.15mg、同0.15mg、同1.2mg◯体重50kg以上…同0.2mg、同0.2mg、同1.6mg<外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症>通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。薬価:6,272.20円/錠製造販売承認取得日:2026年2月13日薬価基準収載日:2026年5月20日発売年月日:2026年5月20日製造販売元:日本新薬株式会社

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タブネオスの肝機能障害にブルーレター発出/厚労省

 2026年5月21日、厚生労働省は選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、添付文書の「警告」を新設し、「重要な基本的注意」などを改訂するとともに、「安全性速報(ブルーレター)」により医療関係者などに対して速やかに注意喚起を行うようキッセイ薬品工業に対し指示した。 アバコパンは顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症に対する治療薬で、承認申請時に提出された臨床試験成績を踏まえ、2021年9月の承認当初から、添付文書において重大な副作用として肝機能障害に関する注意喚起がなされていた。2022年6月の発売開始以降、本剤を服用した患者で「胆管消失症候群」を含む重篤な肝機能障害が発現した症例が報告されており、死亡に至った症例が国内で20例報告*されたという。なお、2025年2月~2026年1月の国内の年間推定使用患者数は8,503例に上る。*2026年4月27日時点、キッセイ薬品工業の安全性データベースの集計(本剤との因果関係が不明なものを含む) 添付文書の追記は以下のとおり。【警告】(新設)胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。【重要な基本的注意】(下線部が追加)肝機能障害があらわれることがあるので、以下の点について十分注意すること。多くの場合、これらの事象は投与開始後3ヵ月以内に発現している。 本剤の投与開始前、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後の3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、その後も投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。 本剤投与中に基準値上限の3倍を超えるALT又はASTの上昇が認められた場合には、本剤の投与を中断し、速やかに患者の状態を評価すること。また、以下に該当する場合は本剤の投与を中止すること。・ALT又はASTが基準値上限の8倍を超える場合・ALT又はASTが基準値上限の5倍を超える状態が2週間を超えて持続した場合・総ビリルビンが基準値上限の2倍を超える場合・ALPが基準値上限の2倍以上の場合・黄疸やそう痒等の肝機能障害の徴候又は症状が認められる場合なお、胆管消失症候群が疑われる場合には、速やかに本剤の投与を中止すること。  なお、今回発出されたブルーレターでは、胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害の早期発見や重症化防止のため、肝機能検査の実施タイミングや頻度、投与中止基準などが明記。医療関係者に対して、以下のような注意喚起が示された。―――■胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害にご注意ください。■多くの場合、投与開始後3ヵ月以内に発現しています。肝機能障害の早期発見や重症化防止のため、以下の点に十分ご注意ください。○以下のタイミングで、肝機能検査を実施ください。・投与開始前・投与開始後3ヵ月間:少なくとも2週間に1回・その後3ヵ月間:少なくとも4週間に1回・6ヵ月目以降:定期的○以下の所見が見られた場合は、適切な対応をお願いいたします。なお、胆管消失症候群が疑われる場合には、速やかに本剤の投与を中止してください。・基準値上限の3倍を超えるALT又はASTの上昇が認められた場合 →本剤の投与を中断し、速やかに患者の状態を評価ください・ALT又はASTが基準値上限の8倍を超える場合・ALT又はASTが基準値上限の5倍を超える状態が2週間を超えて持続した場合・総ビリルビンが基準値上限の2倍を超える場合・ALPが基準値上限の2倍以上の場合・黄疸やそう痒等の肝機能障害の徴候又は症状が認められる場合 →本剤の投与を中止してください■患者の状態を十分に観察し、自他覚症状の発現に注意してください。異常が認められた場合はただちに医師・薬剤師に相談するよう、患者に対してご指導ください。―――

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長鎖脂肪酸代謝異常症に初の治療薬、トリヘプタノイン発売/ウルトラジェニクス ジャパン

 ウルトラジェニクス ジャパンは、2026年3月23日付で「医薬品の条件付き承認制度」のもと製造販売承認を取得した長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬トリヘプタノイン(商品名:ドジョルビ内用液100%)を、2026年5月21日に発売したことを発表した。トリヘプタノインはLC-FAODに対して国内で初めて承認された治療薬となる。 LC-FAODは、ミトコンドリアにおける長鎖脂肪酸のエネルギー変換に関与する酵素をコードする遺伝子の両アレルに疾患原因変異を有する、6つの常染色体劣性遺伝性疾患の総称。とくに、心臓、骨格筋、肝臓に影響を及ぼし、主な症状は低ケトン性低血糖、心筋症、筋肉症状で、横紋筋融解症、代謝性アシドーシス、高アンモニア血症などの重篤な合併症を引き起こすことがある。これまで国内で承認された具体的な治療法はなく、長い空腹を避け、脂肪摂取を制限する食事療法や中鎖中性脂肪酸(MCT)の補充、減少した脂肪酸の輸送酵素をサポートするL-カルニチンの投与などが行われていた。 トリヘプタノインは、炭素数7のヘプタン酸3分子がグリセロールで結合した合成中性脂肪で、LC-FAODに対して迅速かつ効率的なエネルギー源となる。経口摂取後に腸管内より吸収・代謝されたヘプタン酸は、長鎖脂肪酸とは異なり直接ミトコンドリア内に拡散移動し、生体エネルギー産生回路であるTCAサイクルの基質であるアセチルCoAとTCAサイクルの中間体であるスクシニルCoAを生成する。その後、速やかにTCAサイクルに入ることで脂肪酸代謝の改善およびエネルギー産生の向上が期待される。2026年3月1日時点で、米国(2020年)、カナダ(2021年)、ブラジル(2021年)、メキシコ(2022年)、クウェート(2025年)で承認されている。<製品概要>商品名:ドジョルビ内用液100%一般名:トリヘプタノイン剤形・含量:1g中にトリヘプタノイン1gを含有する経口液剤効能、効果又は性能:長鎖脂肪酸代謝異常症用法及び用量又は使用方法:通常、以下の計算式を用いて算出した本剤の1日総投与量を4回に分けて経口又は経管投与する。計算式における「DCIに対する本剤の割合」は、10%から開始し、2~3日毎に約5%ずつ増加させる。目標値は25~35%とするが、患者の状態に応じて適宜増減する。1日総投与量(mL)=1日あたりのカロリー摂取量(DCI)(kcal)×DCIに対する本剤の割合/8.3(kcal/mL)薬価:734,770.00円/100%500mL 1瓶承認取得日:2026年3月23日薬価基準収載日:2026年5月20日発売日:2026年5月21日

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抗うつ薬治療期間と心臓突然死リスク

 抗うつ薬は、世界で最も使用されている薬剤の1つである。これまでの研究において、抗うつ薬の使用と心血管系有害事象との関連が示唆されている。しかし、抗うつ薬の治療期間や治療開始時期が心臓突然死リスクに及ぼす影響は明らかになっておらず、臨床的なリスク層別化ができていなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJasmin Mujkanovic氏らは、抗うつ薬治療の累積期間と開始時期が心臓突然死リスクと関連しているかどうか、また、その関連性が薬剤クラスによって異なるかどうかを調査するため本研究を実施した。Heart Rhythm誌オンライン版2026年3月12日号の報告。 2010年にデンマーク在住で18~90歳の430万人を対象とした全国コホート研究を実施した。抗うつ薬の使用状況は、同国の処方箋レジストリ(1999~2009年)で確認した。死亡は、心臓突然死、それ以外に分類した。ハザード比(HR)の推定には、多変量Cox回帰モデルを用いた。抗うつ薬の使用は、1年間で2回以上の処方を受けた場合と定義し、累積使用期間(1~5年vs.6年以上)と開始時期(過去、最近、現在)で分類した。主な結果は以下のとおり。・心臓突然死は6,002件で発生した。そのうち1,907件(32%)が抗うつ薬使用患者であった。・調整HRは、使用期間1~5年で1.41(95%信頼区間[CI]:1.31~1.51)、使用期間6年以上で1.74(95%CI:1.59~1.90)であった。・時間経過に伴うリスクの勾配が認められた。抗うつ薬を現在使用していた患者は、最近および過去に使用していた患者と比較し、最もリスクが高かった。(現在)HR:1.71、95%CI:1.59~1.83(最近)HR:1.24、95%CI:1.09~1.42(過去)HR:1.11、95%CI:0.97~1.27・この関連性は、薬剤クラス間で一貫していた。選択的セロトニン再取り込み阻害薬:(1~5年間)HR:1.38、95%CI:1.28~1.49(6年以上)HR:1.57、95%CI:1.42~1.75三環系抗うつ薬:(1~5年間)HR:1.24、95%CI:1.09~1.42(6年以上)HR:1.40、95%CI:1.15~1.71 著者らは「長期にわたる抗うつ薬治療は、主な薬剤クラス全体において、治療期間および治療開始時期に依存して心臓突然死リスクの増加と関連していた。因果関係を断定することはできないものの、これらの結果は、長期にわたる抗うつ薬治療を受けている患者が心血管リスクの高い集団であることを示しており、さらなる研究が必要であることを示唆している」としている。

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40歳以上の一般住民における未診断の肝線維症発症頻度は推定1.6%;ヨーロッパ9ヵ国の国際前向きコホート研究(解説:相澤良夫氏)

 この大規模な前向きコホート研究では、40歳以上の一般住民を対象に未診断の肝線維症の頻度および肝線維症と代謝因子(肥満、2型糖尿病、脂質異常、高血圧)やアルコール摂取との関連性について検討した。肝線維症は主にフィブロスキャン(VCTE)での肝硬度(LSM)上昇(8kPa以上)によりスクリーニングされ、肝臓専門医によって確定診断がなされた。その結果、肝線維症の推定有病率は1.6%(3万199人中477人)で、肝硬度の上昇は肥満、2型糖尿病、過度の飲酒と強く関連し、その93%は脂肪性肝疾患であった。 この結果からヨーロッパ各地では未診断の肝線維症が一般的に認められることが判明した。このような未診断の肝線維症を早期に発見しその要因を解析することにより、それぞれの症例に即した個別化治療介入が可能となるため、このような取り組みは、無症状の慢性肝疾患の肝硬変への進展を防止し、肝硬変に伴う重篤な合併症の発生を阻止するうえできわめて重要と考えられる。 わが国では代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)など、慢性肝疾患の病因別患者数は推計されているが、実際に一般住民を対象としたこのような大規模前向き研究により未診断の肝線維症の頻度やその要因を明らかにした報告は知られていない。 従来、わが国ではHBVやHCVによる慢性ウイルス肝炎が慢性肝疾患の大多数を占めていたが、近年の抗ウイルス療法の急速な進歩により激減し、とくにHCVはわが国から撲滅される日が近いと思われている。代わりに、わが国でもこの論文に示された代謝因子やアルコール過剰摂取に関連した慢性肝疾患の重要性が強調されているが、いまだに無症状のまま経過し肝硬変や肝がんで発見される症例も少なくない。 したがって、わが国においても未診断の肝線維症を早期に診断し、その病因に即した治療を行うことは、肝疾患による重篤な合併症を未然に防止するうえで公衆衛生上の観点からもきわめて重要な課題と考えられる。未診断の肝線維症をいかに効率的に拾い上げ早期に治療できるか、その標準的スクリーニング法についてわが国の実情に即した方策を真剣に検討する必要がある。

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攻めの予防医療、産業医はどう関わる?【実践!産業医のしごと】

産業医の役割を、もう一度「予防」から考える少子高齢化と人手不足が進む中で、従業員の健康は、福利厚生というよりも事業の継続にも関わるテーマになってきました。そこで政府が掲げているのが「攻めの予防医療」です1)。データヘルスや保険者機能の強化、健康経営に取り組む企業への支援、がん検診・歯科健診の推進などを通じて、病気になってから対応するのではなく、リスクを早めにつかみ、受診や重症化予防につなげる考え方です。ただし、企業の現場で考えるなら、内閣官房の有識者資料として古井 祐司先生が示した整理2)が、より実務に近い示唆を与えてくれます。「『攻めの予防医療』:人的資本を基盤に国力を最大化する国家戦略」と題された資料では、攻めの予防医療を単なる医療費抑制策ではなく、健康を人的資本の中核と捉え、ウェルビーイングと企業価値をともに高める枠組みとして位置付けています。この流れは、本来、産業医と非常に相性がよいはずです。産業医の仕事は、もともと予防に軸足があります。健康管理、作業環境管理、作業管理は、いずれも病気や労災が起きる前に手を打つための枠組みです。にもかかわらず、現場では復職判定、不調者対応、健診後措置など、問題が起きた後に呼ばれることが多く、職場の健康課題を早い段階で考える場面には十分に関与できていない状況があります。予防に関わりにくい背景を整理する産業医が予防に関わりにくい背景には、いくつかの構造的な要因があります。まず、産業医に声が掛かるのは、不調者が出た後、休職が発生した後、復職判定が必要になった後であることが少なくありません。そのため、予防の設計よりも「起きた問題への対応」を求められやすいのです。また、健康課題が企業の中で、経営課題や職場づくりの課題として見えにくいこともあります。高血圧、糖尿病、睡眠不足、メンタル不調などは、欠勤、休職、生産性低下につながります。しかし現場では、「本人の健康管理の問題」として受け止められやすく、働き方や受診しやすさ、管理職の関わり方と結び付けて考えられにくい面があります。さらに、保険者が持つ健診・レセプトデータと、企業が持つ労働時間、ストレスチェック、休職・復職などの職場データが分かれていることも、課題を見えにくくしています。これらがつながって、集団としての健康課題が見えてきます。総じて、予防の成果は評価されにくく、企業の意思決定の中に、まだ「予防をどう設計するか」という問いが十分に組み込まれていないのが現状です。産データ連携時代に求められる産業医の関わり方「攻めの予防医療」を進めるうえで、カギになるのは保険者と企業の連携です。保険者と企業が連携し、集団としての健康課題を可視化するうえで、産業医に求められる役割は、大きく3つあります。図1 保険者・企業連携と産業医の関与画像を拡大する1)データから見えてきた課題を読み解く未治療の高血圧が多い、精密検査の受診率が低い、睡眠課題が多いといった結果を、単に本人の意識の問題で終わらせず、年齢構成、勤務形態、長時間労働、受診しにくさ、職場のストレスなど、背景まで含めて解釈することが重要です。2)課題を職場で動く施策に翻訳する受診勧奨や健診後フォローだけでなく、職場環境改善、治療と仕事の両立支援、安全衛生委員会での議題化など、データを職場づくりの題材として扱う視点が求められます。3)経営や意思決定者に届く形で、予防につながる職場施策を提言する攻めの予防医療は、健診で異常が出た人に受診を促すだけではありません。長時間労働、過度な業務負荷、相談しにくい職場風土など、健康リスクを高める要因に早い段階で目を向けることが重要です。産業医には、組織の施策を決定する権限があるわけではありません。だからこそ、課題に医学的な意味付けを行い、経営層や人事などの意思決定者が判断できる形で伝えることが求められます。意思決定者を巻き込み、職場全体の取り組みとして位置付けていく必要があります。働く人のQOLと企業価値を同時に高める仕事を、予防の側から組み立てていく。そこに、これからの産業医の本領があります。攻めの予防医療は、産業医が本来持っている予防の力を、企業の中でより生かしていくための機会だと思います。 参考 1) 社会保障分野における経済・財政一体改革の検討事項等について/厚生労働省 2) 内閣官房 第3回 副大臣等会議 古井祐司氏提出資料

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小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第6回

小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~これまで解説してきた葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)は、いずれも感冒の初期に使うものでした。言い換えると、これらの薬は感冒を患ってから5~6日経った時に使うものではないということです。では、時間が少し経った感冒には何を使えばいいかというのが、今回のお話です。導入として、西洋医学の話をさせてください。感冒に対して西洋医学では、どんな時でも症状に合わせてアセトアミノフェンやデキストロメトルファンなどを使うと思います。つまり、西洋医学では一見すると感冒初期とそれ以降とをそんなに区別していないわけです。しかし、COVID-19の場合はちょっと違いますね。罹患初期には抗ウイルス薬、たとえばレムデシビルなどを使って、ウイルス量を減らしにいきます。少し時間が経ってからは、ウイルスそのものよりも炎症反応によって肺炎が悪化していくため、それを抑えるためにステロイドが重要になってきます。このような感じで、COVID-19では感冒初期とそれ以降を区別します。じつは、漢方薬の考え方もこれにちょっと似ています。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯の解説をしている時に、やたら汗の話が出てきたのを覚えているでしょうか(図1)。じつは、感冒初期ではこれらの漢方薬を使うことで発汗を調整して、汗とともに悪いものを体表から体外へと追い出すイメージを昔の人は考えていたんです。図1 感冒初期に対する漢方薬の選び方画像を拡大する一方で、発症してから時間が経ってくると「悪いもの」、要はウイルスのことですね。それが体表や喉のあたりから肺、胃といった横隔膜レベルの臓器まで侵入してしまい、そこでも炎症を起こしてくるわけです。そこまで侵入されると、汗とともに追い出すことができなくなります。そこで、肺や胃のあたりの炎症を鎮静化するために、漢方では柴胡(さいこ)を含む漢方薬を使うことになるわけです。いわゆる柴胡剤。「東洋のステロイド」のイメージです(図2)。図2 COVID-19治療イメージ:西洋医学と漢方医学の比較画像を拡大する柴胡剤柴胡を含む漢方薬を柴胡剤と呼んでいて、その代表格が小柴胡湯(しょうさいことう)です。これを「こしば」なんとかと読まなくなったら、漢方の初心者卒業かなと勝手に思っています。冗談はさておき、小柴胡湯は、柴胡、半夏(はんげ)、黄芩(おうごん)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7種類の生薬で構成されます。大棗と生姜は以前紹介したように、胃腸に優しい生薬ですが、半夏と黄芩は胃のむくみや熱を除いてくれて、人参も胃を温めて支える生薬のため、構成生薬の作用点が胃に集中しているのが特徴的です。また、感冒初期の漢方薬には桂皮(けいひ)が必ずといっていいほど入っていましたが、小柴胡湯ではなくなりました(図3)。桂皮は気逆といって頭のほうに向かう症状を抑えてくれる生薬です。要は頭痛です。感冒初期では頭痛が症状として出やすいですが、少し時間が経つと頭痛はあまり目立たなくなってきますよね。そのため桂皮は要らなくなるのです。図3 小柴胡湯の構成生薬画像を拡大する小柴胡湯は虚実中間の患者に使う漢方薬です。結構幅広い体力の患者さんに使うことができます。一方で、世の中には実証の患者も虚証の患者もいて、その両極に対応する形で柴胡剤の派生処方が存在します。たとえば、実証であれば、便秘を目安に使う大柴胡湯(だいさいことう)、イライラを目安に使う柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)があります。虚証であれば、寒がっているのを目安に使う柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が該当します。また、症状から桂枝湯と小柴胡湯の中間、つまり過渡期に位置する患者には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)という漢方薬もあります(図4)。たくさん薬が出てきましたが、ここは無理に覚えず、軽く流しておきましょう。図4 柴胡剤の派生処方画像を拡大する胸脇苦満と往来寒熱ここまで柴胡剤というもの紹介しましたが、これらの共通点として「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」というお腹の所見を覚えてください。これは、肋骨弓の下に手を差し入れようとすると強い抵抗がある状態で、柴胡剤を使う目安として重要です(図5)。現代人はストレスを抱えて胃に負担をかけているので、この胸脇苦満が出ている人が結構多いです。ご自身の体に手を入れて確認してみてください。図5 胸脇苦満画像を拡大する日本漢方ではお腹の所見が大事で、個人的には再現性もあるため、学び始めの段階から勉強する価値があると思っています。たとえば、前回まで桂枝湯、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、建中湯(けんちゅうとう)の話をしましたが、こういった「芍薬が要になる漢方薬」が効く人のお腹は腹直筋が張っています。これを「腹直筋攣急(ふくちょくきんれんきゅう)」と呼ぶのですが、昔の人は「お腹に2本の棒を触れる」と表現しています(図6)。図6 腹直筋攣急画像を拡大する最後に、古典で小柴胡湯の話を締めておきましょう。こちらの条文は、長いですね(図7)。図7 小柴胡湯の古典条文画像を拡大する胸脇苦満はさっき出てきましたね。ここで注目してほしいのが「往来寒熱(おうらいかんねつ)」という言葉で、これは潮の満ち引きのように、熱が1日のなかで出たり引いたりすることを指しています。ときどきいませんか? かぜをひいてしばらくたった後に「夜だけ熱が出る」といって受診する方。医者目線だと少し説明に困るものです。これこそが往来寒熱ですね。そういう方は、倦怠感や食欲不振も訴えてくることが多いため、この条文通りの症状になってくるんです。また、この条文にはないですが「口の中が苦い」というのも柴胡剤を使うヒントになります。胃が悪いと舌苔が分厚くなってきて、舌の見た目もちょっと変わってきます。まとめ漢方の世界では感冒初期とそれ以降を区別します。治療のコンセプトも薬の選択肢も異なります。感冒初期が終わってからは、東洋のステロイドこと柴胡剤の出番です。ここでは、小柴胡湯を覚えておきましょう。使用にあたっては、胸脇苦満の存在を確認しておくと、勝率が上がってくると思います。胸脇苦満以外にも往来寒熱という言葉を覚えました。こういう独特の用語を知っていると、漢方の上達が早くなるため、もし余裕があれば、こちらも覚えていってください。次回は、これまでの内容をもう少し俯瞰的におさらいして、漢方の世界ならではの病気の捉え方を一緒にみていきましょう。それでは、お楽しみに!

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第314回 17回目のエボラ流行、ワクチンが使えない明確な理由

INDEX今回の発生経緯“世界で最も過酷な国の1つ”と言われる由縁どうやって開発しろと?今回の発生経緯世界は一難去って、また一難ということか? ハンタウイルス騒動が鳴りを潜めた(正確には下船した乗員・乗客は経過観察期間中)と思ったら、今度はアフリカのコンゴ民主共和国(DRC、以下コンゴ)でエボラウイルスのアウトブレイクである。世界保健機関(WHO)の5月16日付発表によると、5月5日付でコンゴ東部のイツリ州で、医療従事者の死者を含む原因不明の致死率の高い疾病のアウトブレイク発生の第1報が入ったとのこと。5月15日までに同州から採取された13血液検体のうち8検体からエボラウイルスの一種であるブンディブギョ株が確認された。これを受けてコンゴ保健省は同日に同国で17回目となるエボラ出血熱のアウトブレイクを正式に宣言した。また、同日に隣国ウガンダの保健省は、コンゴから入国し、5月14日に死亡したコンゴ人からブンディブギョ株が分離されたと発表し、翌5月16日には首都カンパラでコンゴから帰国したウガンダ人からもブンディブギョ株が検出された。その結果、5月16日、WHO事務局長のテドロス・アダノム氏は、今回のアウトブレイクが国際保健規則(IHR)の規定で定義されている「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当するとの判断を公表した。PHEICは国境を超えた感染拡大が懸念される時に発令されるが、テドロス氏は20日の記者会見で、国内および地域レベルでの感染リスクは高く、世界レベルでは低いとの評価を示している。これはアウトブレイクが確認されたコンゴのイツリ州と北キブ州がウガンダ、南スーダン、ルワンダと国境を接していることから、この範囲内で国境をまたいだ感染拡大が起こる可能性を念頭に置いていると考えられる。WHOの20日の記者会見で明らかにされた実態は、感染の疑いによる死亡139例、感染疑い症例600例であり、5日前の発表からはともに約2倍に拡大している。5月15日時点のWHO発表によると、今回のアウトブレイクで現在までに確認されている最初の疑い例は、4月24日に発熱、出血、嘔吐、激しい倦怠感などの症状が現れた医療者(後に死亡)だという。WHOがコンゴ当局から通報を受けたのは前出のように5月5日、ブンディブギョ株の検出が確認されたのは5月15日で翌日には公式発表があったわけだが、これについて「対応が遅い」との批判が噴出している。この代表格は、すでに報じられている米国のマルコ・ルビオ国務長官による批判だ。“世界で最も過酷な国の1つ”と言われる由縁しかし、私見ではあるが、これはトランプ政権特有の歴史や地域事情を考慮しない的外れな指摘だと考えている。その最大の理由はコンゴという国家の特徴に起因する。同国はもともとアフリカ大陸唯一のベルギー植民地で、1960年に独立して60年以上が経過しているが、この間の国家元首はわずか5人しかいない。独立直後は大統領と首相が対立し、これに乗じて大統領側に立った軍事クーデターが勃発、首相は公衆の面前で処刑されるという憂き目にあった。この時、軍事クーデターを起こした軍参謀総長のモブツ・セセ・セコは後に初代大統領を自宅軟禁下に置いて自ら大統領に就任し、1965~97年まで実に30年以上も独裁体制を敷いた。ところが1997年、同国東部を拠点に隣国のブルンジ、ウガンダ、ルワンダの支援を受けた反政府勢力のコンゴ・ザイール解放民主勢力連合(AFDL)を率いるローラン・カビラ氏が反乱を主導し、モブツ政権は崩壊。カビラ氏が第3代大統領に就任したが、4年後の2001年には護衛によって暗殺され、その息子であるジョセフ・カビラ氏が第4代大統領に世襲で就任した。ジョセフ氏は後に民主化を行い、同国初の民選大統領として再選もされるものの、2016年の任期切れ時に一方的に大統領選を延期し、これにより国内では暴動が多発。2018年の大統領選挙で野党のフェリックス・チセケディ氏が当選し、現在に至っている。ちなみにチセケディ大統領就任後にジョセフ氏は戦争犯罪で起訴され、欠席裁判で死刑判決が言い渡されているが、本人はいまだ行方不明である。しかも、この間、同国内では東部を中心に武装勢力が乱立し、常に内戦状態である。この背景には国内では数えられるだけで250以上もの民族集団が存在すること、またアフリカ大陸内でも有数の天然資源に恵まれた国であるため、こうした利権を巡った争いが絶えないのだ。2022年に国連人道問題調整事務所は、今回のアウトブレイクが発生しているイツリ州、北キブ州に加え、南キブ州も含めたコンゴ東部で活動する反政府組織は約120組織と報告している。失礼ながら、こうした組織の大半は政治思想で固まっているわけではなく、半ば武装強盗のような組織である。この結果、現地では地域住民の虐殺や女性に対する性暴力が横行している。はっきり言ってしまえば、コンゴは日本人が考えるような国家の体をおよそ成していないのである。そこでWHOの対応の遅れを指摘してもまったく意味がない。むしろ責められるべきはコンゴ保健省だが、とにもかくにも中央政府は全土を掌握しきれていないのである。どうやって開発しろと?さて、的外れと言えば、こうした時によく出てくるのがワクチン問題である。エボラウイルスに関しては、米国・メルク社がザイール株に対するワクチン「rVSV-ZEBOV(商品名:Ervebo)」を開発済みだ。しかし、ザイール株とブンディブギョ株は全ゲノム解析によると、塩基配列が30%前後も異なり、結果として細胞侵入の足がかりになるウイルス表面の糖タンパクもかなり異なることが知られている。これではErveboはほぼ効かないか、よくて弱い重症化予防効果があるか、ぐらいだろう。ブンディブギョ株に対するワクチンは現時点では存在しないわけだが、こうした時に日本のワイドショー的な報道では「製薬企業は儲けがないからワクチンを開発しようとしない」という言説が登場しがちだ。これは完全に間違いではないが、「当たらずとも遠からず」である。そもそも、これまでに公式に確認されているブンディブギョ株のアウトブレイクは、ウガンダ西部のブンディブギョ州(これがウイルス株の命名起源)で2007年11月に初めて確認された131例(同年2月に終息宣言)と、2012年8月にコンゴ北東部のオリエンタル州(現・高ウエレ州)で発生した59例(同年11月に終息宣言)しかない。このたかだか3ヵ月で終息してしまう少数例のアウトブレイクのウイルス株に対して、どのようにワクチン開発しろというのだろうか? 試験デザインすら困難だろう。こんなこともあり、「なぜ対応が遅れた?」「なぜワクチンがない?」という言説には、個人的にはかなりイラっとしてしまうのである。

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糖尿病患者の下痢・便秘に有効なビフィズス菌の種類は?

 2型糖尿病患者の下痢・便秘といった消化器症状にプロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ビフィダムG9-1(BBG9-1)が有効であることをマキノ病院の小林 玄樹氏らが明らかにした。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年4月22日号掲載の報告。 研究者らは、下痢または便秘を伴う2型糖尿病患者100例を対象に12週間の非盲検ランダム化比較試験を実施。対照群またはBBG9-1群に1対1に無作為に割り付け、BBG9-1群にはビフィズス菌を1日12mg投与した。主要評価項目は全解析対象者(BBG9-1群43例、対照群51例)の消化器症状評価尺度(Gastrointestinal Symptom Rating Scale:GSRS)の変化。 主な結果は以下のとおり。・BBG9-1摂取群のGSRS全体スコアは、対照群(2.08±0.67~2.06±0.63)と比較して有意に改善した(2.22±0.67~1.83±0.62、群間差-0.34[95%信頼区間:-0.55~-0.14、p=0.001])。・サブグループ解析では、女性、便秘を有する、65歳以上、BMI25kg/m2未満の患者において、GSRS全体スコアの改善がより大きいことが示された。・GSRSサブスケールの中で、BBG9-1は対照群と比較して便秘スコアの平均減少が有意に高かった(-0.79±1.38 vs.-0.13±1.04、p=0.013)。・下痢スコアの平均変化には有意差がなかったものの(-0.42±1.14 vs.-0.06±1.08、p=0.14)、追跡調査による下痢スコアはBBG9-1群で有意に低かった(2.04±1.00 vs.2.58±1.44、p=0.049)。・腸内細菌叢を解析した結果、BBG9-1群でPhocaeicola属の相対存在量が有意に増加した(BBG9-1群:15.98±13.75%から19.56±14.79%、対照群:18.14±14.17%から18.21±13.58%)。・糞便中の短鎖脂肪酸(SCFA)の評価では、BBG9-1投与に関連した有意な変化は認められなかった。・両群間で有害事象の発生率は同程度であった。

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MCIからアルツハイマー病への進行率は? スクリーニングツールの精度は?

 軽度認知障害(MCI)は、正常な脳老化と病的な脳老化の中間段階であり、30~50%が3~5年以内に認知症へと進行するといわれている。進行リスクの高い患者を早期に特定することは、公衆衛生戦略においてきわめて重要である。イタリア・Italian National Institute of HealthのFlavia L. Lombardo氏らは、MCIからアルツハイマー病への進行リスクを評価した。Alzheimer's & Dementia誌2026年4月号の報告。 MCI患者398例を対象に、INTERCEPTORプロジェクトを実施した。社会人口統計学的、臨床的、神経心理学的、遺伝学的(アポリポタンパク質E)、脳脊髄液(アミロイドβ、タウ)、脳波(脳接続性)、MRI(海馬体積測定)、FDG-PETについて、統一された手順を用いて、ベースライン評価を行った。MCI患者351例を対象に、ベースライン調査とフォローアップ調査を実施し、3年間、6ヵ月ごとに神経心理学的検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知症を発症した患者は104例(29.6%)。そのうち85例(22.4%)はアルツハイマー型認知症の可能性が高い、または可能性のある中核的な臨床基準を満たしていた。・臨床データと社会人口統計学的データを組み合わせたCox比例ハザードモデルでは、一致指数は72%であった。・さらに、神経心理学的検査とバイオマーカーを追加すると、一致指数は82%に上昇した。 著者らは「INTERCEPTORノモグラムは、認知症進行リスクを予測するためのツールであり、リスク評価のためのスクリーニングや革新的な治療法におけるリスク/ベネフィット比の評価など、公衆衛生戦略を支援するものである」としている。

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肥大型心筋症の長期予後予測、心臓MRIとNT-proBNPが有用/JAMA

 肥大型心筋症(HCM)患者のリスク評価に、心臓MRIおよびNT-proBNPの組み入れが有用であることが示された。米国・University of Virginia HealthのChristopher M. Kramer氏らHCMR Investigatorsが、米国国立心肺血液研究所(NHLBI)主導の大規模前向き登録研究「NHLBI HCM Registry」の結果を報告した。HCMに関する現在のリスク予測ガイドラインは心臓突然死のみを予測するものであり、そのため回避可能であったはずの死亡や、不必要であったはずの植込み型除細動器装着という事態を招いているとされる。JAMA誌オンライン版2026年5月11日号掲載の報告。欧米6ヵ国の44施設で2,750例のデータを登録 研究グループは、2014年4月1日~2017年4月7日に、欧米6ヵ国の44施設において、HCM患者2,750例を前向きに登録した。 患者の健康歴についてアンケート調査を行い、臨床心エコー検査報告書を含む臨床データを収集し、バイオマーカーおよび遺伝子検査のための採血、造影剤を用いた心臓MRI検査を実施した。イベントの確認のため、電話および診療記録により毎年追跡調査を行った。 主要エンドポイントは、HCMに関連する心血管死、電気的除細動または除細動を要する非致死的持続性心室性不整脈(VA)、および左室補助装置(LVAD)埋設または心臓移植の複合、副次エンドポイントは心臓突然死および非致死的VAイベントの複合とすることが事前に規定された。エラスティックネット法を用いて最も重要な予測因子を特定し、Cox比例ハザード回帰分析を用いて最終モデルを推定した。心臓MRIとNT-proBNPをリスク評価に組み込むことが有用 前向きに登録された2,750例のうち、HCMの表現型類似疾患と診断された9例、および同意撤回または追跡データがない43例を除外した2,698例(98%)が解析対象となった。1,919例(71%)が男性で、平均(±標準偏差)年齢は50±11歳、423例(16%)が少数民族グループに属していた。 平均追跡期間6.9±2.1年において、104例(3.9%)に117件の主要エンドポイントのイベントが認められた。 主要イベント初回発生に関するモデルには、ガドリニウム遅延造影による左室心筋重量に対する左室瘢痕の割合(LGE%、ハザード比[HR]:1.86、95%信頼区間[CI]:1.58~2.20、p<0.001)、左室心筋重量係数(HR:1.09、95%CI:1.01~1.17、p=0.03)、ならびに左室収縮末期容積係数(HR:1.28、95%CI:1.12~1.46、p<0.001)(いずれも10単位増加当たりのHR)、研究開始時の心不全既往歴(HR:2.89、95%CI:1.75~4.77、p<0.001)、およびNT-proBNPのlog変換値(log単位当たりHR:1.41、95%CI:1.17~1.70、p<0.001)が含まれた(全体のC統計量0.77)。 左室心筋重量に対するLGE%が9%以上の場合、主要エンドポイントの複合イベント発生率が著明に増加した(p=0.001)。 副次エンドポイントの心臓突然死およびVAのリスク因子モデル(69例)には、LGE%、左室心筋重量係数、左室駆出率、およびNT-proBNPのlog変換値が含まれた(C統計量0.76)。

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COVID-19患者の同居家族、エンシトレルビルで発症予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状発現後72時間以内に、患者の同居家族に対してエンシトレルビルを投与することにより、接触者のCOVID-19発症を抑制できることが示された。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らSCORPIO-PEP(Stopping Covid-19 Progression with Early Protease Inhibitor Treatment for Post-Exposure Prophylaxis) Study Teamが、日本を含む5ヵ国共同で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験「第III相SCORPIO-PEP試験」の結果を報告した。エンシトレルビルは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)3CLプロテアーゼの経口阻害薬であり、本邦においては軽症~中等症COVID-19の治療薬として承認されている。これまで、COVID-19患者の同居家族に対する曝露後予防薬として承認された抗ウイルス薬はなかった。NEJM誌2026年5月14・21日合併号掲載の報告。COVID-19発症後72時間以内に、家庭内接触者を無作為化 研究グループは、COVID-19患者(指標患者)の同居家族で試験実施機関においてSARS-CoV-2陰性が確認された12歳以上の家庭内接触者を、指標患者の症状発現後72時間以内にエンシトレルビル(1日目に375mg、2~5日目に125mgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、修正ITT集団(mITT集団:無作為化され、中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2のRT-PCR検査が陰性、かつ試験薬を少なくとも1回投与されたすべての参加者)における、試験薬投与後10日以内のCOVID-19発症(中央検査機関でRT-PCR検査が陽性、かつ事前に規定された14のCOVID-19の症状のうち少なくとも1つが48時間以上持続と定義)とした。エンシトレルビル群はプラセボ群と比較しCOVID-19発症リスク67%減 試験は、2023年6月~2024年9月中旬に、米国、アルゼンチン、日本、南アフリカ共和国、ベトナムで行われた。 計2,387例の家庭内接触者が無作為化され(エンシトレルビル群1,194例、プラセボ群1,193例)、このうち中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2陰性が確認されたエンシトレルビル群1,030例、プラセボ群1,011例が有効性解析対象集団(mITT集団)となった。 試験参加者の平均年齢は42.4歳で、71.1%は指標患者の症状発現後48時間以内に無作為化され、37.0%は重症COVID-19の危険因子(肥満、喫煙、65歳以上など)を少なくとも1つ有していた。 mITT集団における10日目までのCOVID-19発症率は、エンシトレルビル群2.9%、プラセボ群9.0%であり、エンシトレルビル群で有意に低かった(リスク比:0.33、95%信頼区間:0.22~0.49、p<0.001)。 試験中の有害事象の発現割合は両群で類似しており(エンシトレルビル群15.1%、プラセボ群15.5%)、主な有害事象は頭痛、下痢、鼻咽頭炎、咳、疲労、およびインフルエンザであった。重篤な有害事象の発現割合も同じで(各群0.2%)、COVID-19に関連する入院や死亡は報告されなかった。 なお、著者らは、家庭内感染の可能性には世帯の規模、マスク着用習慣、社会的距離の確保など複数の要因が影響する可能性があるが、これらのデータを収集できなかった点で結果は限定的だとしている。

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