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高齢者の集中力維持に最適な室温はどれくらい?

 室温は、高齢者の脳の健康に直接的な影響を与える可能性があるようだ。米マーカス加齢研究所のAmir Baniassadi氏らによる新たな研究で、65歳以上の高齢者が、「集中力を維持するのが困難だ」と報告する可能性が最も低い温度は20〜24℃であることが明らかになった。この研究の詳細は、「The Journals of Gerontology: Series A」に12月3日掲載された。 本研究の背景情報によると、人間は、加齢とともに気温の急激な変化に対応する能力が低下する。体温を調節する能力は加齢とともに低下するものだが、慢性疾患を抱えていたり、それに対する治療薬を服用していたりする場合には、その傾向がさらに強まる。研究室ベースの研究では、周囲の温度と認知機能は因果関係にあり、極端な温度の上昇が高齢者の認知機能に悪影響を与え得ることが示されている。 この研究では、室温がどの程度上昇または低下すると、高齢者の自己報告による集中力に影響が現れるのかを検討したもの。Baniassadi氏らは、研究参加者である65歳以上の高齢者47人の自宅に、温度を監視するセンサーを設置するとともに、12カ月間にわたって毎日スマートフォンを使って、「今、自分がやっていることに集中し続けるのは困難ですか?」というアンケートに答えるよう求めた。 その結果、集中力に関する調査時の室温と集中力との間にU字型の関係が確認された。参加者が「集中力の維持が困難」と報告するオッズ比は、室温が20〜24℃のときに最も低くなり、この範囲から4℃上昇または低下すると同オッズ比は2倍になることが明らかになった。 こうした結果を踏まえてBaniassadi氏は、「われわれの研究結果は、室温などの環境要因が高齢者の認知機能に与える影響を理解することの重要性を強調している」とマーカス加齢研究所のニュースリリースで述べている。 これらの研究結果が示唆する重要なことは、気候変動が多くの高齢者の脳に影響を及ぼし、認知機能低下のリスクを高める可能性があるという点だ。Baniassadi氏らは、「裕福な社会であっても、高齢者の多くは暖房や冷房のシステムを購入する経済的余裕がないか、システムがあってもそれらを適切に使用するための運動能力や認知能力が不足していることもある。そのため、家庭内の環境は重要な役割を果たす」と述べる。そして、「したがって、われわれは、高齢者が快適に過ごすことができ、健康増進につながる家庭内の温熱環境を維持できるようにするための技術的、財政的、政策的介入を検討することを推奨する。そのような介入の例としては、認知障害や身体障害のある高齢者の特定のニーズに応える自動温度制御システムの開発、彼らをエネルギー貧困から守るための財政支援、住宅改修への投資、受動的な形で将来の気候変動に対応するための住宅の耐性を高める政策などが挙げられる」と付言している。

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COVID-19パンデミック前後で医療の利用状況が大きく変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前後で、国内医療機関の利用状況が大きく変わったことが明らかになった。全国的に入院患者の減少傾向が続いているという。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの野村周平氏、東京海洋大学の田上悠太氏、東京大学のカオ・アルトン・クアン氏らの研究の結果であり、詳細は「Healthcare」に11月19日掲載された。著者らは、「入院患者数の減少は通常の状況下では医療システムの効率化の観点からポジティブに捉えられる可能性がある一方で、パンデミック期間中には超過死亡も観測されていることから、入院患者数の減少による国民の健康への潜在的な影響も排除できない」としている。 COVID-19パンデミックが世界中の医療体制に多大なインパクトを与えたことは明らかで、影響の大きさを詳細に検証した論文も既に多数報告されている。ただし、パンデミック収束後の実態に関する研究は多くない。また、日本は他の先進国と異なり、パンデミック初期には患者数が少なかったものの、オミクロン株が主流になって以降に患者数が顕著に増加するというやや特異な影響が現れた。これらを背景として野村氏らは、パンデミック以前の2012年1月から2023年11月までの厚生労働省「病院報告」の月次データを用いて、パンデミックによって国内の医療機関の利用状況がどのように変わったかを検討した。 「病院報告」では、一般病床、精神病床、感染症病床、療養病床などの病床種類別の入院患者数や利用率、在院日数などが月ごとに報告されている。これらのうち本研究では、パンデミックが医療に与えた間接的な影響(COVID-19治療以外の医療)に焦点を当てるという意図から、一般病床と精神病床のデータを解析対象とした。解析には、準ポアソン回帰モデルという手法を用いた。 まず、一般病床に関する解析結果を見ると、入院患者数はパンデミック以前から経年的に減少傾向にあった。これは、病院から地域(在宅や療養型施設)へという政策の推進によるものと考えられる。しかし、パンデミックが始まった2020年3月以降の入院患者数は、パンデミック以前の減少傾向から予測される患者数を有意に下回り、解析対象期間の最終月である2023年11月まで有意に少ない状態が続いていた。例えば、2023年の一般病床の1日平均在院患者数は62万6,450人で、パンデミック前の2017~2019年の67万9,092人と比較して、7.8%少なかった。月当たりの新規入院患者数についても、パンデミック以降は予測値より有意に少ない月が多く発生し、約10%減少していた。 病床数も2021年以降に減少傾向が見られたが、その変化は入院患者数の減少速度より緩徐であり、絶対数の減少幅は1%未満だった。病床数がわずかな減少で入院患者数は大きく減少した結果として、病床利用率は、パンデミック前の2017~2019年の平均が73.5%であるのに対して、パンデミック以降の2020~2022年は67.5%と、6パーセントポイント低下していた。 次に、精神病床について見ると、一般病床と同様、パンデミック前から入院患者数が経年的に減少傾向にあったが、パンデミック発生後には以前の減少傾向から予測される患者数を有意に下回り、解析対象期間の最終月である2023年11月まで有意に少ない状態が、ほぼ連続していた。また、新規入院患者数についても、パンデミック以降は予測値より有意に少ない月が多く発生し、約8%減少していた。病床利用率は、パンデミック前の2017~2019年が平均85.6%であったのに対し、2023年には81.3%へと5.3パーセントポイント低下していた。 これらの解析の結果として著者らは、「COVID-19パンデミックは国内の医療機関の利用状況を根本的に変え、その影響は世界保健機関(WHO)が2023年5月に緊急事態宣言を終了した後も続いている」と総括している。また、国内においてパンデミック後期にCOVID-19以外の超過死亡が報告されていたことに関連して、入院患者数の減少が国民の健康アウトカムに潜在的な影響を及ぼしていた可能性を指摘。「脱施設化や長期ケアの地域医療への移行を進める中で、政策立案者は医療提供パターンの変化を注意深くモニタリングし、適切な医療アクセスの確保に注意を払う必要がある」と付け加えている。

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第228回 2022年版「健康寿命」静岡県が1位、全国平均で男性が短縮/厚労省

<先週の動き>1.2022年版「健康寿命」静岡県が1位、全国平均で男性が短縮/厚労省2.2030年までに全医療機関に標準型電子カルテ導入を/厚労省3.物価高騰で病院経営が悪化、過去最大の赤字に/病院5団体4.東京女子医大も元理事長の逮捕で、私学助成金不交付に/文科省5.社会保険診療報酬支払基金で不適切な審査 職員290人処分/厚労省6.医療脱毛クリニックが相次いで破綻、少子化と価格競争で経営悪化か/帝国データ1.2022年版「健康寿命」静岡県が1位、全国平均で男性が短縮/厚労省厚生労働省は、2022年の健康寿命推計値を公表した。2022年の健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳だった。男性は前回調査から0.11歳短くなり、女性は0.07歳延びた。平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.49年、女性で11.63年となり、調査開始以降最も短くなった。都道府県別では、男女ともに静岡県が最も健康寿命が長く、男性は73.75歳、女性は76.68歳だった。最も短かったのは、男女ともに岩手県で、男性は70.93年、女性が74.28年。今回、1位となった静岡県では、運動、食生活、社会参加の3要素を「健康長寿の3要素」と位置付け、県民の健康作りを促すための動画を新たに作成し、YouTubeや静岡駅のデジタルサイネージで配信するなど啓発活動を強化している。また、静岡県では、生活習慣病予防に向けて40~74歳の県民が受診する約75万人分の特定健診データを活用し、地域ごとの健康課題の把握につなげている。そのほか、野菜摂取量の少なさなどが全国平均より高く、脳卒中による死亡率上昇につながっていると分析し、2022年度から「野菜マシマシプロジェクト」を開始した。野菜嫌いの人でも食べやすいギョーザを開発したほか、野菜摂取量を手のひらで測る機器の貸し出しなども進めている。さらに、2021年には静岡社会健康医学大学院大学を設置し、データを活用した健康施策推進に向けた人材育成にも取り組んでいる。厚労省は、2040年までに健康寿命を男性で75.14歳以上、女性で77.79歳以上に延ばすことを目標とし、介護が必要になる前段階の「フレイル」や認知症の予防対策を進めている。参考1)健康寿命の令和4年値について(厚労省)2)健康寿命、静岡県が男女とも全国首位 ビッグデータ活用(日経新聞)3)静岡県「健康寿命」全国1位 県“さらなる延伸につなげたい”(NHK)2.2030年までに全医療機関に標準型電子カルテ導入を/厚労省厚生労働省は、1月31日に「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの標準型電子カルテ検討ワーキンググループを開催し、標準型電子カルテのモデル事業について討議を行った。この中で、厚労省側は現在開発中の標準型電子カルテα版(試行版)の第1弾を3月、第2弾を夏頃に提供開始する予定。半年以上かけて実施するモデル事業で明らかになった課題を収集し、α版を適宜改修していく。標準型電子カルテは、日常診療で使うのに最低限必要な機能を搭載したクラウド型のシステムで、低コスト化が期待されている。α版の対象となるのは、電子カルテを導入していない医科の無床診療所で、診療科によらない共通の診療行為を想定している。その一方で、病院においては、電子カルテやレセプトコンピュータ、各部門システムなどの情報システムについて、院内にサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを設置するオンプレミス型が採用されている。しかし、サイバーセキュリティ対策の確保、IT人材の確保、診療報酬改定等の制度対応などに課題があるため、病院情報システムのクラウド化を進めることになった。2025年度を目途に国がクラウド型病院システムの「標準仕様」を示し、2030年までのできる限り早い時期に「希望する病院が導入できる環境」を整備する予定。政府は、医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、標準型電子カルテの導入と病院情報システムのクラウド化を進めており、一連の取り組みは、昨年(2023年)6月に政府が取りまとめた「医療DXの推進に関する工程表」に基づいて進められている。標準型電子カルテについて、2030年にはおおむねすべての医療機関での導入を目指すことなどが具体的なスケジュールとして示されている。参考1)第3回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ(厚労省)2)標準型電子カルテ試行版 第1弾3月に提供開始 第2弾は夏ごろ モデル事業で(CB news)3)病院の電子カルテ等のクラウド化・共有化、2025年度目途に国が標準仕様示し、30年までに希望病院が導入できる環境整える-厚労省(Gem Med)3.物価高騰で病院経営が悪化、過去最大の赤字に/病院5団体病院経営が急速に悪化している現状を受け、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会などの5団体は1月に、厚生労働省に緊急的な財政支援や診療報酬の改善などを要望した。福祉医療機構の調査によれば、2023年度の一般病院の医業利益率はマイナス2.3%と、統計開始以来、過去最低を記録した。コロナ禍では、コロナ対応の補助金により、経常収支では7割ほどの病院が黒字だったが、23年度に補助金が打ち切られたことで、赤字病院は51.0%に上り、10年度以降で最多となった。病院5団体は、物価や人件費の上昇に対し、診療報酬が十分に引き上げられていないことが経営悪化の要因だと指摘している。24年度の診療報酬改定では、医療者の人件費などに回る部分はプラス0.88%に止まり、病院5団体は「非常に低い」と訴えるとともに、物価上昇に連動した診療報酬の仕組みの導入や、消費税負担の軽減などを求めている。さらに、電子カルテの更新や医療DX導入の費用負担も経営を圧迫しているとの指摘もある。病院経営の悪化は、医療の質低下や医療崩壊につながる可能性があり、早急な対策が求められている。石破 茂首相は27日の衆議院本会議で、医療機関への支援について「適切に対応していく」と述べており、2024年度の補正予算では、物価高騰への対応として「重点支援地方交付金」を積み増し、医療機関の賃上げ支援や診療所の承継、開業支援などを盛り込んでいるが、一層の経営支援が求められている。参考1)病院経営は破綻寸前 地域医療崩壊の危機(病院5団体)2)「民間病院は絶滅してしまう」 過去最大の病院赤字、見えない解決策(朝日新聞)3)病院経営は危機に瀕しており、「緊急的な財政支援」「物価・賃金上昇に対応できる診療報酬」などを実施せよ-5病院団体(Gem Med)4)医療機関支援「経営状況を把握し適切に」石破首相(MEDIFAX)4.東京女子医大も元理事長の逮捕で、私学助成金不交付に/文科省文部科学省の外郭団体の日本私立学校振興・共済事業団は30日、日本大学と東京女子医科大学に対する2024年度の私学助成金を全額不交付とすることを決定した。日本大学は、元理事長の脱税事件やアメリカンフットボール部の薬物事件などを受け、4年連続の全額不交付となる。東京女子医科大学は、1月に元理事長が背任容疑で逮捕された事件や、同窓会組織をめぐる不透明な資金問題、推薦入試での寄付金考慮問題などが問題視され、初の全額不交付となった。両大学とも、ガバナンス不全や不祥事が相次いでおり、事業団は改善状況を厳しく注視していた。私学助成金は、私立大学の経営を支援するために国が交付するもので、大学側には法令違反や著しい定員超過などがないことなどが交付の条件となっている。不交付になると翌年度も原則として不交付となり、改善が認められれば翌々年度から段階的に引き上げ、最短で5年後に満額に戻る。女子医大は、2023年度は約20億円の交付を受けており、今回の決定は大学経営に大きな影響を与える可能性がある。大学側は、決定を厳粛に受け止め、改善計画を確実に実行し、ガバナンス体制の再構築や推薦入試の適正化に取り組むとしている。参考1)日大と東京女子医大、私学助成が全額不交付に 日大は4年連続(朝日新聞)2)東京女子医大への補助金 国は今年度 全額交付しないと決定(NHK)3)東京女子医科大学、助成金不交付に 再建への道険しく(日経新聞)5.社会保険診療報酬支払基金で不適切な審査 職員290人処分/厚労省厚生労働省所管の社会保険診療報酬支払基金は、医療費の請求書を審査する際に、不適切な手順で審査を行っていたとして、職員290人を処分した。処分対象となったのは、審査業務の効率化を目的としたシステムツールを不正に使用していた職員で、使用したツールは医療機関が提出したレセプト(診療報酬明細書)を審査する際に、一定の秒数が経過すると自動的に画面上の書類のページをめくるもので、一部の職員が作成し、共有フォルダーで他の職員が使えるようにしていた。支払基金は、年間約13億件のレセプトを審査しており、そのうち1割程度は職員が目視で確認している。しかし、ツールの使用により、職員が目視で確認していないレセプトが確認済みとして処理されていた可能性がある。支払基金は、ツールの使用が不適切だったと陳謝し、外部ソフトを無断で導入した職員を停職処分、ツールの作成者を戒告処分、使用者を文書注意処分とした。また、再発防止策として、USBメモリーの使用禁止や情報セキュリティ研修の実施などを挙げている。その一方、厚労省は、支払基金の名称を「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に変更し、医療DXを担う組織に変更する方針を明らかにした。2025年の通常国会に関連法の改正案を提出する予定。参考1)医療費請求書、ずさん審査 厚労省所管団体、職員290人を処分(日経新聞)2)社会保険支払基金、名称変更へ 医療DXへ組織改正(同)3)不適切な手順で医療費審査 厚労省外郭団体 職員25人を懲戒処分(朝日新聞)6.医療脱毛クリニックが相次いで破綻、少子化と価格競争で経営悪化か/帝国データ医療脱毛クリニック「トイトイトイクリニック」を経営する医療法人社団雪焔会が1月31日までに事業を停止し、自己破産を申請する意向であることが明らかになった。同クリニックは、2018年8月に設立され、東京都内に原宿院、新宿院、池袋院の3院を展開していた。2023年2月期には年収入高約13億3,500万円を計上していた。報道によると、近年、少子化や脱毛業界の競争激化、昨年の医療脱毛の大手「アリシアクリニック」の破綻による顧客の流出などが影響し、同法人の2024年2月期の年収入高は約12億8,000万円にまで減少、最終利益も100万円以下に落ち込み、資金繰りが悪化。2024年下半期にはノンバンクが債権譲渡登記を設定するなど、一部で資金繰りへの注目が高まっていた。クリニックは、1月31日に休業のお知らせを各院に掲示し、同日付で従業員も解雇された。負債額は2024年2月期末時点で約3億9,785万円。参考1)「脱毛サロン」の倒産動向(2024年1-11月)(帝国データバンク)2)医療脱毛「トイトイトイクリニック」を経営する雪焔会が事業停止(同)3)医療脱毛「トイトイトイクリニック」の医療法人社団雪焔会が営業停止(東京商工リサーチ)

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線形回帰(重回帰)分析 その2【「実践的」臨床研究入門】第51回

直線回帰一方の連続変数x(説明変数)が大きくなると、他方の連続変数y(目的変数)が直線的に増加する、もしくは減少するような関係を直線回帰(linear regression)といいます。すなわち、説明変数xと目的変数yの関係がy=a+bx の式で表されます。これは中学校の数学で勉強する1次方程式です。bは回帰直線の傾き(回帰係数)で、xの値が1増加すると、yがどの程度増加するかを表しています。aは切片でxが0の時のyの値であり、回帰直線がy軸と交差する点のyの値に相当します。この式を用いてデータに最もよく合う1次方程式を求める、言い換えると、最も適当なa、bの値を決める、ということを考えます。前回、「2つの連続変数間の直線的な関係」を表す散布図を描き、最小二乗法を用いた回帰直線を描く手順を示しました(連載第50回参照)。今回は、前回描いた回帰直線の切片aと回帰係数bの求め方と結果の解釈について解説します。まず、以下の手順で仮想データ・セットをEZR(Eazy R)に取り込みます。仮想データ・セットをダウンロードする※ダウンロードできない場合は、右クリックして「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください。「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」次に「統計解析」→「連続変数の解析」→「線形回帰(単回帰、重回帰)」を選択、ポップアップウィンドウ(下図)のとおり、目的変数は「diff_eGFR5」を、説明変数は「age」を指定します。※「diff_eGFR5」は、われわれのResearch Question(RQ)のセカンダリO(アウトカム)に設定されている、ベースラインから5年後の糸球体濾過量(GFR)変化量「OK」をクリックすると。EZRの出力ウィンドウに下図の結果が表示されます。画像を拡大する“Intercept”は切片であり、y=a+bxにおける“a”の値です。“Intercept”の推定値は-12.6(以下、可読性を高めるために数値はすべて有効数字3桁で丸めます)とありますが、これは説明変数xが0の場合の目的変数yの推定値です。説明変数「age」の目的変数「diff_eGFR5」に対する回帰係数推定値は-0.038と表されています。これは説明変数「age」が1単位(1歳)増加した時の目的変数「diff_eGFR5」の変化量を示しており、回帰係数が負の値であるので、説明変数と目的変数は負の相関関係にあることを意味します。95%信頼区間(95%confidence interval:95%CI)の上限〜下限は-0.007〜-0.069で0をまたいでいません。またp値は1.57e-02と表記されています。この表記法は科学的記数法と呼ばれるもので、"e-02"は10の-2乗(0.01)を表しており、1.57×0.01=0.0157となり有意水準0.05を下回っています。ここのp値は回帰係数が0であるという帰無仮説が棄却される確率です(連載第44回参照)。p値が0.05未満であるので、説明変数「age」は目的変数「diff_eGFR5」に対して統計学的に有意な影響を与えていると判断されます。結果の解釈をまとめると下記のようになります。切片:-12.6⇒年齢が0の場合のベースラインから5年後の糸球体濾過量(GFR)変化量「diff_eGFR5」の推定値です。回帰係数:-0.038⇒年齢が1歳増加すると、「diff_eGFR5」は-0.038減少すると推定されます(p<0.05)。

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髄膜播種の症状は難しい【非専門医のための緩和ケアTips】第93回

髄膜播種の症状は難しい緩和ケアではたまに出合う難しい症状があるのですが、そのうちの1つが「髄膜播種」に関連した症状です。脳や脊髄の周りを流れている「脳脊髄液(CSF)」にがん細胞が入り込み、それが髄膜全体に広がってしまうことで起こります。病態の解決は難しいのですが、その難しさを理解し、少しでも患者さんにできることを考えてみましょう。今回の質問訪問診療で診ていたがん患者が頭痛を訴えたため、薬物療法を試してみたものの効果がなく、嘔気も出てきて基幹病院に入院となりました。その後、原疾患の髄膜播種だったとの報告をもらったのですが、疑うことができなかったと反省しています。どうすれば気付けたのでしょうか?がん患者を担当していると、まれに経験するのが髄膜播種です。今回の質問のように診断が難しく、気付かれないケースも多いと感じます。前提として原疾患の進行があり、予後が限られた状態で生じることが多いため、さらに診断を難しくします。ましてや在宅診療であれば、適切なタイミングでの診断はなかなか難しいのが現実でしょう。髄膜播種の症状としては、頭痛と嘔気が代表的です。ただ、ここに神経症状が加わるため、症状が多彩になります。意識障害、認知機能の低下はまだわかりやすいのですが、視覚・聴覚障害という局所的な神経症状があることがさらに診断を難しくします。私自身、担当するがん患者さんが難聴を訴え、調べていくと髄膜播種を併発していた、という経験を何度かしています。ほかにも下肢の感覚異常や尿閉なども髄膜播種の一症状であることがあります。典型症状だけに捉われていると、見逃しやすい病態なのです。髄膜播種の診断には、髄液検査やMRIを用います。ただし、これらは血液検査のように手軽にできるものではないため、検査前確率が高いことが求められます。進行がん患者で新規の神経症状があった際には、まずは髄膜播種を疑うことから始めましょう。髄膜播種の症状緩和はなかなか難しいのですが、一般的なオピオイドなどの疼痛緩和に加え、ステロイドの投与を考慮します。頭痛は頭蓋内圧亢進が症状を悪化させると考えられており、ステロイドによりこれらの改善が見込まれるためです。加えて、化学療法や放射線治療は原疾患への治療効果だけでなく、症状緩和の観点からも有効とされています。ただし、これは予想される予後などを含め、がん治療医の判断によることになるでしょう。私は進行した患者さんを担当することが多く、髄膜播種併発例に侵襲的な治療が適応となることは少ない印象です。最後に、こういった中枢神経に影響が及ぶ状況になると、痙攣が生じる可能性に留意する必要があります。入院していれば、抗けいれん薬をすぐに投与できるでしょうが、在宅であれば備えが必要です。在宅での痙攣の対応については次回にまとめますが、まずはベンゾジアゼピンの注射薬や坐薬を常備することを覚えておきましょう。以上、診断だけでなく、対応も難しい髄膜播種についてお話ししました。多彩で難治の症状に悩まされることも多いですが、丁寧にアセスメントをしながら対応してみてください。今回のTips今回のTips多彩な症状を特徴とする髄膜播種、まずは「疑う」ことが大切。

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2月3日 不眠の日【今日は何の日?】

【2月3日 不眠の日】〔由来〕「不眠」について、記念日を通して不眠の改善の適切な情報発信を行うことを目的に「ふ(2)み(3)ん」(不眠)と読む語呂合わせから治療薬などの販売を行うエスエス製薬が制定した。また、同じ語呂合わせから毎月23日も「不眠の日」と制定。関連コンテンツ睡眠で認知症予防、良質な睡眠を誘う音楽とは?【外来で役立つ!認知症Topics】高齢者の睡眠時間の目安は?【患者説明用スライド】小児期の睡眠障害、若年期の精神病リスクにつながる可能性バス運転手の危険運転に対する不眠症の影響睡眠が認知症発症に及ぼす影響

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とくに注意すべき血液検査のパニック値とは?死亡事例の分析と提言~医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、血液検査パニック値が関与していた死亡事例の分析を実施し、事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第20号)を公表した(2024年12月)1)。パニック値とは「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値」とされ、緊急異常値や緊急報告検査値などとも呼ばれる。今回、死亡に至った過程で血液検査パニック値が関与していた12事例が分析対象とされ、分析を基に5つの提言が示された。 今回の提言では、医療事故調査・支援センターに届けられた医療事故報告(2015年10月~2023年8月)のうち院内調査結果報告書2,432件の中から、死亡に至った過程で血液検査パニック値が関与していた17例を抽出。パニック値は検査項目や閾値が医療機関により異なるため、今回の分析では、日本臨床検査医学会『臨床検査「パニック値」運用に関する提言書(2024年改定版)』2)で示された“パニック値の例”(今回の提言書では資料1として掲載、32の検査項目のパニック値の例が示されている)に該当した9例と、医療機関内で設定されていたパニック値に該当していた事例3例の計12例を対象としている。その他の5例は化学療法前の検査値に関連した2例と、パニック値の項目として取り扱うか議論があるD-dimerに関連する3例で、今回の分析では参考事例とされている。 12例中、カリウム(K)がパニック値として検出された事例は5例あり、4例で致死的な不整脈の出現を認めた。また、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)がパニック値であった事例は2例あり、脳出血に至っていた。 5つの提言は以下の通り。提言1(パニック値の項目と閾値の設定):医療機関は、診療状況に応じてパニック値の項目(グルコース[Glu]、K、ヘモグロビン[Hb]、血小板[Plt]、PT-INRなど)と閾値を検討し、設定する。※今回の提言書では、日本臨床検査医学会『臨床検査「パニック値」運用に関する提言書(2024年改定版)』2)からパニック値の例を示しており、上記とくに優先して設定することが望ましいとした5項目については、以下の数値が例示されている。Glu:低値50mg/dL、高値350mg/dL(外来)・500mg/dL(入院)K:低値1.5mmol/L、高値7.0mmol/LHb:低値5g/dL、高値20g/dLPlt:低値3万/μL、高値100万/μLINR:高値2.0(ワルファリン治療時は4.0)提言2(パニック値の報告):パニック値は、臨床検査技師から検査をオーダーした医師へ直接報告することを原則とする。また、臨床検査部門は報告漏れを防ぐため報告したことの履歴を残す。提言3(パニック値への対応):パニック値を報告された医師は、速やかにパニック値への対応を行い、記録する。また、医師がパニック値へ対応したことを組織として確認する方策を検討することが望まれる。提言4(パニック値の表示):パニック値の見落としを防ぐため、臨床検査情報システム・電子カルテ・検査結果報告書において、一目で「パニック値」であることがわかる表示を検討する。提言5(パニック値に関する院内の体制整備):パニック値に関する院内の運用を検討する担当者や担当部署の役割を明確にし、定期的に運用ルールを評価する体制を整備する。さらに、決定した運用ルールを院内で周知する。 提言書では、各事例の概要やパニック値検出時の対応フローのほか、D-dimerをパニック値項目として扱う際の課題などについてもまとめられている。

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T-DXd治療後のHER2発現の変化

 転移のある乳がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の治療後のHER2発現状況の変化について、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMohamed A. Gouda氏らが後ろ向きに検討したところ、約半数の患者でHER2の消失や低下がみられたという。Clinical Cancer Research誌オンライン版2025年1月22日号に掲載。 本研究では、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでT-DXd治療を受けた転移乳がん患者を後ろ向きに検討した。T-DXd治療の前後で生検を実施しIHC染色を用いてHER2発現を評価した患者を対象とした。 本研究の結果、対象患者41例のうち、T-DXdによる治療後に11例(治療前にIHCスコアが1+、2+、3+だった34例のうち32.4%)でHER2の消失がみられた。さらに、10例(34例中29.4%)でHER2スコアの減少がみられた。 著者らは「T-DXdによる治療を受けている転移乳がん患者において、HER2の消失および低下が多く見られる。T-DXdの治療後にHER2過剰発現が必要なHER2標的療法を実施する際は、HER2の再評価を考慮すべき」としている。

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自閉スペクトラム症の易怒性に対するメトホルミン補助療法の有用性

 糖尿病治療薬は、自閉スペクトラム症(ASD)の症状緩和に有効であることが示唆されている。しかし、メトホルミンがASDに伴う易怒性に及ぼす影響についての臨床研究は、不十分である。イラン・テヘラン医科大学のZahra Bazrafshan氏らは、小児ASD患者の易怒性に対するリスペリドン+メトホルミン補助療法の有効性および安全性を評価するため、10週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年12月15日号の報告。 本研究は、2024年3〜5月にイラン・Roozbeh Hospitalの小児自閉症外来で実施した。対象患者は、リスペリドン+メトホルミン(500mg/日)群またはリスペリドン+プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、易怒性とした。aberrant behavior checklist-community scale(ABC-C)を用いて、ベースライン、5週目、10週目に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、55例を含めた。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、易怒性の有意な減少が認められた(p=0.008)。・ABC-Cの4つのサブスケールのうち、多動性/ノンコンプライアンススコアは、ベースラインから5週目までに有意な低下を示した(p=0.021)。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから5週目までの不適切な発言スコアの有意な減少が認められた(p=0.045)。・無気力/社会的引きこもり、常同行動スコアについては、統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「メトホルミン補助療法は、ASD患者の易怒性軽減に有効であり、この結果は以前の研究と一致していたが、実臨床で推奨するためには、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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切除可能食道腺がん、FLOTによる周術期化学療法が有効/NEJM

 切除可能な食道腺がん患者の治療において、術前化学放射線療法と比較してフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)による周術期化学療法は、3年の時点での全生存率を有意に改善し、3年無増悪生存率も良好で、術後合併症の発現は同程度であることが、ドイツ・Bielefeld大学のJens Hoeppner氏らが実施した「ESOPEC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年1月23日号に掲載された。ドイツの医師主導型無為化第III相試験 ESOPEC試験は、切除可能食道がんの治療におけるFLOTによる周術期化学療法の有用性の評価を目的とする医師主導の非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2016年2月~2020年4月にドイツの25の施設で患者を登録した(ドイツ研究振興協会の助成を受けた)。 年齢18歳以上、組織学的に食道の腺がんが確認され、食道の腫瘍または食道胃接合部の原発巣から食道へ進展した腫瘍を有し、原発巣のUICC病期分類がcT1 cN+、cT2-4a cN+、cT2-4a cN0のいずれかで、遠隔転移がなく、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)のスコアが0、1、2点の患者を対象とした。 被験者を、FLOTによる周術期化学療法+手術を受ける群、または術前化学放射線療法+手術を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。FLOT群では、術前に2週を1サイクルとする化学療法(FLOT)を4サイクル施行し、術後に同様の化学療法を4サイクル(退院から4~6週後に開始)行った。術前化学放射線療法群では、カルボプラチン+パクリタキセル(週1回[1、8、15、22、29日目]、静脈内投与)と放射線治療(総線量41.4Gy:23分割、1.8Gy/日)を施行した後に手術を行った。 主要エンドポイントは全生存とした。全生存期間は66ヵ月vs.37ヵ月 438例を登録し、FLOT群に221例(年齢中央値63歳[範囲:37~86]、男性89.1%)、術前化学放射線療法群に217例(63歳[30~80]、89.4%)を割り付けた。FLOT群の193例、術前化学放射線療法群の181例が手術を受けた。全体の追跡期間中央値は55ヵ月だった。 3年の時点での全生存率は、術前化学放射線療法群が50.7%(95%信頼区間[CI]:43.5~57.5)であったのに対し、FLOT群は57.4%(50.1~64.0)と有意に高い値を示した(死亡のハザード比[HR]:0.70、95%CI:0.53~0.92、p=0.01)。全生存期間中央値は、FLOT群が66ヵ月(36~評価不能)、術前化学放射線療法群は37ヵ月(28~43)だった。 また、3年時の無増悪生存率は、FLOT群が51.6%(95%CI:44.3~58.4)、術前化学放射線療法群は35.0%(28.4~41.7)であった(病勢進行または死亡のHR:0.66、95%CI:0.51~0.85)。術後の病理学的完全奏効は16.7% vs.10.1% 完全切除(R0)は、FLOT群の193例中182例(94.3%)、術前化学放射線療法群の181例中172例(95.0%)で達成した。術後の病理学的完全奏効(ypT0/ypN0:切除された原発巣およびリンパ節に浸潤がんの遺残がない)は、それぞれ192例中32例(16.7%)および179例中18例(10.1%)で得られた。 Grade3以上の有害事象は、FLOT群で207例中120例(58.0%)、術前化学放射線療法群で196例中98例(50.0%)に発現した。重篤な有害事象は、それぞれ207例中98例(47.3%)および196例中82例(41.8%)にみられた。手術を受けた患者における術後の手術部位および手術部位以外の合併症の頻度は両群で同程度であり、術後90日の時点での死亡はそれぞれ6例(3.1%)および10例(5.6%)であった。 著者は、「病理学的完全奏効の解析は、各試験を通じて標準化するのが困難な因子に依存するため、先行試験との比較では慎重に解釈する必要がある」「併存症のためFLOTが施行できない患者やFLOT関連有害事象を呈する患者では、2剤併用化学療法へのde-escalationや術前化学放射線療法への切り換えが望ましいアプローチであるかは、本試験では回答できない問題である」としている。

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世界初の週1回皮下投与のインスリン イコデクが発売/ノボ

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ、以下、イコデク)を1月30日に発売した。イコデクは、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として世界で初めてとなる週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間で、長時間作用が持続する。皮下投与後、イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離し、インスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。 Basalインスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病を有する患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となる。イコデクは週1回皮下注射製剤のため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減により生活の質や治療実施率の向上が期待される。 本剤の承認は、イコデクの第III相試験プログラムである「ONWARDS試験」の結果に基づいている。ONWARDS試験は、成人の1型または2型糖尿病の患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第III相臨床試験で構成され、そのうち4つの試験(ONWARDS1、2、4および6)に日本人400例以上が参加している。ONWARDS試験はいずれも、イコデクの有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。これらの試験を通じて、週1回投与のイコデクでは、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較し非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験において、イコデクの投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかった。 同社では「週1回の投与であれば、Basalインスリン製剤の注射回数は少なくとも1年間に365回から約52回に減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できる。イコデクは、糖尿病治療における有用な新しいオプションになると考えている」と期待を寄せている。【製品概要】一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え)販売名:アウィクリ注フレックスタッチ 総量300単位効能または効果:インスリン療法が適応となる糖尿病用法および用量:通常、成人では1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。薬価:アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位:2081円/キット製造販売承認:2024年6月24日薬価収載日:2024年11月13日発売日:2025年1月30日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ

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COPD、多遺伝子リスクスコア併用で診断能改善/JAMA

 医師による慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断を受けたことがない成人において、従来の修正肺機能質問票(mLFQ)スコアにCOPD多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)を併用すると、mLFQのみによるアプローチと比較して、中等症~重症のCOPDの診断能が改善することが米国・Boston University Chobanian & Avedisian School of MedicineのJingzhou Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年1月22日号で報告された。米国の2つの観察研究データを解析 研究グループは、COPDが未診断の集団において、従来のリスク因子や呼吸器症状に関する質問票にCOPD PRSを加えると、COPDの同定が改善されるかを検証する目的で横断的なコホート研究を行った。 解析には、米国の2つの観察研究(フラミンガム心臓研究[FHS]、COPD-enriched Genetic Epidemiology of COPD[COPDGene])のデータを用いた。対象は、35歳以上のCOPDの診断歴がない集団であった。mLFQスコア単独とmLFQスコア+COPD PRSのCOPD診断能を比較した。 主要アウトカムは、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPD(1秒量[FEV1]/努力肺活量[FVC]<0.7、FEV1[予測値に対する割合]<80%)とした。FHS、COPDGeneともAUCが有意に改善 COPDの診断歴がない、FHS参加者3,385例(年齢中央値52.0歳、男性45.9%)とCOPDGene参加者4,095例(56.8歳、55.5%)を解析の対象とした。このうち、それぞれ160例(4.7%)および775例(18.9%)が、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPDであった。 FHSでは、中等症~重症COPD検出の曲線下面積(AUC)が、mLFQスコア単独の0.78からmLFQスコア+COPD PRSで0.84へと有意に改善した(p<0.001)。また、COPD PRSを併用することで、COPDGeneでは非ヒスパニック系のアフリカ系アメリカ人でAUCが0.69から0.72(p=0.04)へ、非ヒスパニック系白人で0.75から0.78(p<0.001)へと、いずれも有意に改善した。 再分類能に関してスパイロメトリーに基づくリスク閾値を10%とすると、mLFQスコアにCOPD PRSを併用することで、FHSにおけるCOPDへの再分類の割合は13.8%(22/160例、95%信頼区間:6.6~21.0)となった。一方で、COPDGeneではこのような改善は得られなかった。 著者は、「COPD PRSがCOPDの診断とアウトカムに与える影響を評価するには、さらなる研究が必要である」としている。

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ネグレクトは子どもの発達にダメージを与え得る

 ネグレクトは身体的虐待や性的虐待、感情的虐待と同様に子どもの社会的発達にダメージを与え得ることを示した研究結果が明らかになった。基本的な欲求が満たされない子どもは、友人関係や恋愛関係を築く能力が生涯にわたって損なわれる可能性があるという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校社会学分野のChristina Kamis氏と米ノートルダム大学社会学分野のMolly Copeland氏による研究で、詳細は「Child Abuse and Neglect」2024年12月号に掲載された。 Kamis氏らは、思春期の子どもの健康状態を成人期まで追跡調査している米連邦政府の長期研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)調査参加者9,154人のデータを分析し、マルトリートメント(ネグレクトや虐待などの不適切な養育)が参加者の社会性や仲間からの人気度、社会と強固なつながりを築く能力に及ぼす影響について調べた。参加者は、7~12年生時(1994〜1995年)に初回の調査を受け、その後、第3次調査(2001〜2002年)および第4次調査(2008〜2009年)も受けていた。 参加者の40.86%が12歳あるいは6年生(12歳)になるまでに、身体的虐待や性的虐待など何らかのマルトリートメントを受けた経験があると報告していた。そのうちの10.29%は、養育者が住居、食事、衣服、教育、医療へのアクセスや精神的サポートを与えないことで子どもを危険な状態に置くことを意味する身体的ネグレクトであった。参加者には、在学時に実施した調査で、参加者に最も親しい男女の友人を5人まで挙げるよう求めた。社会性は当時の友人の数に基づき測定した。一方、人気度は、その参加者の名前を友人の1人として挙げた仲間の数に基づき測定した。社会的つながりの強さは友人グループのネットワークに基づき測定した。 子どもが友人として挙げた仲間の数は平均で4.49人であり、1人につき平均4.54人がその子どもを友人として挙げていた。しかし、虐待やネグレクトを経験した子どもは、友人として挙げる仲間の数や、その子どもを友人として挙げる仲間の数が統計学的に有意に少ないことが示された。また、種類にかかわらず、マルトリートメントは子どもの社会性の発達に有害な影響を与えることも示された。例えば、性的虐待の経験は子どもを仲間から孤立させやすくする。一方、感情的虐待や身体的虐待の経験は、子どもの人気度を低下させたり、社会的なつながりを弱めたりする可能性のあることが明らかになった。ただし、これら3つの要素の全てに支障をもたらすのは身体的ネグレクトのみであった。 Kamis氏は、「マルトリートメントを受けた子どもは、しばしば羞恥心を感じ、それが自尊心や帰属意識を低下させ、結果的に仲間から孤立しやすくなる可能性がある。また、そうした経験から、仲間から拒絶されたり危害を加えられたりするのではないかと考えるようになり、他者との関わりを持とうとしなくなる可能性も考えられる」とイリノイ大学のニュースリリースの中で述べている。 Kamis氏らは、ネグレクトの経験がある子どもを友人として挙げる仲間が少ないという事実は、同級生がそうした子どもを避けたがっていたことを示唆していると考察している。Kamis氏は、「マルトリートメントそのものが偏見の対象となり、その経験の痕跡が目に見える形で残っていたり仲間に知られたりすると、仲間はその子どもを避けるようになる可能性がある」と説明している。また同氏は、「マルトリートメントによって感情のコントロールが難しくなったり、攻撃性が増したり、社会性に乏しい行動が見られたりすることで、友人としての望ましさを損なう行動が多くなる可能性もある」と述べている。 こうしたことを踏まえてKamis氏は、医師や教師が子どもに虐待やネグレクトの兆候がないか注意を払い、子どもたちにサポートを提供する準備をしておくことを勧めている。同氏は、「こうした子どもにとって、学校は厳しい場所となっている可能性がある。子どもが友人関係を築き、仲間との間の壁を取り払うためには、さらなるサポートが必要であることを認識することが重要だ」と結論付けている。

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第247回 フジテレビ問題は医療界と無縁ではない?その理由とは

メディアという存在は報道以外でも常にさまざまな人に影響を与えている。週刊誌を発行する出版社は、漫画・小説などのコンテンツも常時世に送り出しているし、テレビもドラマをはじめとするエンターテイメント番組を放送している。その意味で医療界に一定の影響を与えているコンテンツの1つに医療ドラマがあることに異論がある人はいないのではないだろうか?公益財団法人 川野小児医学奨学財団が2023年3月に行った「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」によると、「なぜ医学部に入りたいと思ったのですか?」(複数回答)との問いに、「映画やドラマ、本などを通じて興味を持ったから」との回答が19.9%で5番手に入っている。また、個人的な経験でも看護学部卒の知人から、ドクターヘリで活躍する医師をテーマにしたドラマ「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」に憧れてフライトナースになろうと思ったことがあるとの話を聞かされている。ちなみに医療ドラマというと、少なからぬ医療者からは「現実離れして荒唐無稽」との評価を受けることもあるが、昨今は医療監修も厳格化しているため、私が子供の頃、1970年代後半くらいに目にした「天地がひっくり返ってもあり得ない医療シーン」が登場することはほぼないと言ってよい。このように医療者を目指すきっかけになるほど影響を与える医療ドラマは、テレビ局内でどのような評価を受けているのか? あるテレビ局勤務の知人に聞いてみると、「やはり内容によりますが、基本的に数字(視聴率)は取れます。とくに水戸黄門みたいな医療ドラマだと数字が取れますね」とのこと。「水戸黄門」と言われ、「???」と思ったが、要は“悪い奴らを懲らしめる”という構図が加わると、視聴率に好影響なのだという。確かに医療ドラマではこの手の構図が多い。一例を挙げると、アメリカ帰りのナース・プラクティショナーの資格を有する看護師が主人公の「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)は、経営最優先の院長や自分たちが最上位の医療者と自負する医師に看護師が立ち向かう設定である。また、このテレビ局勤務の知人は私見と断りながらも「病院は多くの人にとって身近な存在にもかかわらず、一般人ではわからない独特の世界感があること、患者さんという圧倒的弱者がいることも興味を引きやすいと思います」と語る。ちなみに知人は報道畑の人なのだが、「実は報道でも医療現場の映像やニュースは視聴率が下ブレしにくいコンテンツ」と教えてくれた。実際、ビデオリサーチの調べによる2024年連続ドラマ平均世帯視聴率(関東地区)のトップ3のうち、第1位は若手外科医を描いた「ブラックペアン シリーズ2」(TBS系)、第2位が前述の「ザ・トラベルナース2」だ。こうしたドラマの制作には一般人が考えるよりも多くの制作費が使われている。ざっと1話当たり3,000万円前後。通常の連続ドラマは、テレビ局のワンシーズン(3ヵ月)で完結することが多く、最大で約12話。つまり1つの連続ドラマで3億円以上の制作費を要する。医療ドラマが医療者の輩出にも貢献さて、私がなぜこんなことをつらつらと書いたかというと、2000年以降に放映された医療ドラマの一覧を眺め、何となく集計していたら興味深いことがわかったからだ。この中から「獣医ドリトル」を除くすべての放映キー局を集計すると、トップはフジテレビが28番組、以下は順にTBSが23番組、日本テレビとテレビ朝日がそれぞれ14番組、テレビ東京が5番組、NHKが2番組となった。いま話題の渦中のフジテレビが断トツのトップなのである。前述のコード・ブルーもまさにフジテレビ系であり、これ以外にも「Dr.コトー診療所」「チーム・バチスタ」など、多くの視聴者に影響を与えたであろう、極めて視聴率の高い著名医療ドラマが多い。だが、ご存じのように今のフジテレビは、引退を表明したタレントの中居 正広氏を巡る問題でCM差し止めを決定した企業は、判明しているだけで80社に迫ろうとしている。先日の10時間超にもおよんだ記者会見時(実は私はノンストップで見ていたが)に、財務的な影響についてはフジテレビ側は精査中として明らかにしなかったが、一部報道では最大数百億円規模にのぼる可能性も指摘されている。フジテレビの財務状況は、フジ・メディア・ホールディングスの決算説明資料を見ると、2024年3月期決算の単体の売上高は2,382億円で、このうちCM収入は1,473億円である。このうち数百億円が吹っ飛ぶとなれば、その影響は甚大である。当然ながら、若い医療者の輩出に貢献していた医療ドラマの“雄”の制作にも影響が及ぶだろう。その意味ではフジテレビの再生は医療業界にまったく無縁とは言えない。もっとも会見で明らかになったフジテレビの対応は、どこをどう突いてもいただけない。ここ数日はこの件に対する同社社員の関与を報じた週刊文春の記事が誤報だったことが話題の中心になっているが、少なくとも私個人は、その点は問題の枝葉だと思う。むしろ問題の中核は、フジテレビの仕事を通じなければ出会わなかったであろう被害女性と出演者という同社のステークホルダー間で起き、かつ被害申告まであった問題について、企業として主体的に解決に導けず、結果として当事者間の示談で終わらせてしまった事実上の不作為にあると考えている。

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アルコール摂取と因果関係のあるがん種

アルコール摂取と因果関係のある7つのがんとそのメカニズムがんのリスクは少量の飲酒でも増加すること、アルコール摂取と因果関係のあるがん種について、米国・保健福祉省公衆衛生局の長官が2025年1月に勧告しました。アルコール摂取と因果関係のあるがん種・乳がん(女性) ・大腸がん ・食道がん・口腔がん・肝臓がん・咽頭がん ・喉頭がんアルコールによる「がん」を引き起こす4つのメカニズム1. アセトアルデヒドによるDNAやタンパク質の損傷アルコールはアセトアルデヒドに分解され、それがさまざまな方法でDNAに損傷を与え、がんのリスクを高めます。2. 酸化ストレスアルコールは酸化ストレスを引き起こしてDNAタンパク質や細胞を損傷し、炎症を増加させることでがんのリスクを高めます。3. ホルモンの変化アルコールはエストロゲンを含むさまざまなホルモン値を変化させ、乳がんリスクを高めます。4. 発がん性物質を吸着するアルコールは発がん性物質の吸収を促進します。たとえば、アルコールはタバコの煙のような発がん性物質の溶媒として作用します。これにより、有害な粒子が身体に浸透しやすくなり、DNA損傷を引き起こし、とくに口腔がんなどのリスクを高めます。出典:Alcohol and Cancer Risk 2025(The U.S. Surgeon General’s Advisory)https://www.hhs.gov/surgeongeneral/priorities/alcohol-cancer/index.htmlCopyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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rabies(狂犬病)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第19回

言葉の由来「狂犬病」は英語で“rabies”といいます。この病名は、ラテン語の“rabies”に由来し、これは「狂気」や「激怒」を意味します。さらにさかのぼると、ラテン語の“rabere”(激怒する)という動詞に関連しており、これは狂犬病に感染した動物や人間が示す過度の攻撃性や不安定な行動を反映して付けられたとされています。また、古代ギリシャでは、この病気を“lyssa”または“lytta”と呼んでいました。これは「狂乱」や「狂気」を意味する言葉で、狂犬病ウイルスの属名である“Lyssavirus”はこのギリシャ語に由来しています。歴史的には、紀元前5世紀ごろのギリシャの哲学者デモクリトスが狂犬病について記述しており、同時代のヒポクラテスも「狂乱状態の人々は水をほとんど飲まず、不安になり、最小の物音にも震え、痙攣を起こす」と記録しています。狂犬病は致死率がきわめて高く、長年にわたって恐れられていた病気ですが、19世紀後半にフランスの化学者ルイ・パスツールによって狂犬病ワクチンが開発され、予防可能な感染症になりました。併せて覚えよう! 周辺単語神経症状neurological symptoms恐水病hydrophobia予防接種vaccination興奮状態agitationこの病気、英語で説明できますか?Rabies is a viral disease that causes inflammation of the brain in humans and other mammals. It is typically transmitted through the bite of an infected animal. Early symptoms often include fever, headache, and a tingling at the site of exposure. As the disease progresses, symptoms can include violent movements, uncontrolled agitation, fear of water, and inability to move parts of the body.講師紹介

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