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低出生体重児へのフルコナゾール予防投与で真菌定着を抑制

早産児の疾病および死亡の主原因である侵襲性カンジダ感染症を回避する手法について、イタリア・トリノの聖アンナ病院のPaolo Manzoni氏らのグループは、フルコナゾールの予防投与による効果を検証した。超低出生体重児における真菌定着と感染症予防について、多施設共同での無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施。その結果、フルコナゾールの予防投与が、出生時体重1500g未満の新生児で、真菌の定着と侵襲性感染症の発病率を低下させることが明らかになったという。NEJM誌6月14日号で報告された。6mg投与群、3mg投与群とプラセボに割り付け試験方法は、イタリアにある8つの第三次新生児集中治療施設を対象に、15ヵ月の間に出生した体重1500g未満の新生児322例を、ランダムに30日間(出生時体重1000g以下の新生児は45日間)、フルコナゾール投与群(体重kg当たり6mg投与群と3mg投与群)とプラセボ群に割り付け、菌の監視培養と系統的な感受性試験を毎週実施した。真菌定着、感染症発生ともに有意に低く予防投与は有効その結果、フルコナゾール投与群における真菌の定着率は、6mg投与群が9.8%、3mg投与群は7.7%で、いずれもプラセボ投与群の29.2%と比較して有意に低いことがわかった(いずれもP

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術前の貧血、赤血球増加症は高齢者の術後死亡リスクを高める

高齢者はヘマトクリット値に異常を来すリスク、および心臓以外の手術で心血管系の合併症を来すリスクが、ともに高いとされている。米国ロードアイランド州プロビデンスにある退役軍人医療センターのWen-Chih Wu氏らのグループは、高齢者の心臓手術以外の手術において、術前の貧血と赤血球増加症が術後30日間に及ぼす影響について評価を行った。JAMA誌2007年6月13日号で報告された結果は、いずれの要因も術後30日間の死亡率、心イベント発生率の増加に関与していることが明らかになったというものだった。退役軍人約31万人の症例を分析本調査は「退役軍人省手術の質向上プログラム」のデータベースを使用した後ろ向きコホート研究で、対象者は1997年から2004年にかけて、全米132の退役軍人省所管の医療センターで心臓以外の大手術(鼠径ヘルニア、前立腺切除など)を受けた65歳以上の退役軍人31万311例。これら対象を術前ヘマトクリット値に基づき、貧血群(39.0%未満)、正常群(39.0~53.9%)、赤血球増加症群(54%以上)の3つのカテゴリーに分け、それぞれの術後30日間の心イベント発生と死亡リスクの増加について評価を行った。主要評価項目は術後30日間の死亡率、二次評価項目は死亡と心イベント(心停止またはQ波心筋梗塞)の複合エンドポイントとした。正常範囲を1%下回るごとに死亡率は1.6%ずつ増加分析の結果、ヘマトクリット値がプラスにしろマイナスにしろ正常範囲から逸脱した場合、術後30日間の死亡率と心イベント発生率はいずれも増加した。しかも、ヘマトクリット値が正常範囲を1%下回るごとに、死亡率は1.6%ずつ増加することが明らかになった。さらに付加的な分析によって、ヘマトクリット値が39%未満に減少するか、もしくは51%を上回った場合、死亡率と心イベントの調整リスクが有意に上昇し始めることが示唆された。そのためWu氏らは、たとえ軽度であっても貧血または赤血球増加症が、高齢者の術後30日間の死亡率と心イベントの増加をもたらすと結論づけた。同時に、同様の所見が他の集団でも再現されるかどうか、また、貧血や赤血球増加症を術前に治療すれば術後死亡率を減らせるかどうかを調べることが必要だとも述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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臨床研究志向のMD研究者は“絶滅危惧種”の恐れ

これまでもアメリカ国立衛生研究所(NIH)の援助で維持されてきた若手医師臨床科学者の輩出と彼らの成果については、様々な関心が寄せられてきたが、「MD」(医学士)の資格のみを持つ研究者(MD研究者)の境遇については、これまで満足な分析が行われてこなかった。Howard B. Dickler氏らは、41年間のNIHの助成金初回応募数と傾向を分析し、その結果、MD研究者でも特に臨床研究を提案した者の助成金獲得が不利な状況にあり、このままでは「絶滅危惧種になってしまう」と警告を発した。詳細は、JAMA誌2007年6月13日号で報告されている。MD研究者の助成金獲得は上級資格者を下回る調査は、1964年から2004年の間にNIHの一般個人研究(R01)助成金を授与された初回応募者全例を、主任研究者の学位(MD、PhD、MDとPhDの両方)別、研究タイプ(臨床、非臨床)別に階層化し、縦断的比較研究で行われた。主要評価項目は、初回および2回目のNIH R01申込者数と、それぞれの学位別および研究タイプ別の数とした。MD研究者の年間初回申込者数は極めて一定しており、41年間の平均値は707例(537~983の範囲)で、年平均パーセンテージ(MAP)は28%だった。そして、PhD研究者(MAP31%)や、MD+PhD研究者(MAP34%)と比べて、資金提供を獲得した例が一貫して少なかった。MD研究者と臨床研究の将来に警鐘また、初回R01助成金を獲得したMD研究者のうち、2回目も獲得できた比率はMAP70%で、やはり一貫してPhD研究者(MAP73%)、MD+PhD研究者(MAP78%)より少なかった。さらに、MD研究者で臨床研究を提案した申込者はMAP67%で、MD+PhD研究者(MAP43%)、PhD研究者(MAP 39%)より、ずっとたくさんの臨床研究を提案していたが、実際に助成金を獲得できたのは23%で、非臨床研究を提案したMD研究者の獲得率が29%だったことに比べると相対的に低いことも明らかになった(P<0.001)。すなわち、この40年間、R01助成金を申し込むMD研究者の数はほとんど増えておらず、彼らは初回助成金は受けられても高率で減額や受給停止の憂き目に遭い、特に臨床研究提案者は助成金を受けにくい状況にあるなど、まさにMD研究者と臨床研究の将来に危機感を抱く結果が明らかになったのである。(朝田哲明:医療ライター)

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心臓マッサージは何歳児から可能か?

心肺蘇生術を学校で教える動きは、ノルウェーでの先駆的な取り組み以降広がりを見せ、イギリスではBritish Heart財団の訓練プログラム「Heartstart UK」を学校で履修することになっている。11歳時で心臓マッサージの手法を会得するが、労力を要する心マが腕力的に不可能な生徒もおり、いったい何歳から効果的な心マが可能なのかという研究報告が、BMJ誌6月9日号で紹介された。ウェールズの首都にあるカーディフ大学のIan Jones氏らによる観察研究報告。9~14歳児の心マ能力(深度、速度、部位)を評価この種の先行研究は高学年対象のものがほとんどで、推奨年齢は9~13歳と報告されている。Jones氏らは、「何歳から」という点に焦点を置いて研究を行った。対象は、カーディフの4つの学校の5年生(9~10歳)、7年生(11~12歳)、9年生(13~14歳)の生徒計159例。生徒らは一次救命処置技術を1レッスン20分間学んだ。主要評価項目は、人体模型への3分間にわたる心マ効果。学年ごとに胸部への圧迫深度、速度、部位の正確さを測り、年齢、体重、身長と照らし合わせて解析した。年齢と体重が鍵、低学年でも原則を学ぶことは可能心マは全員実行することはできたが、5年生は、ガイドラインで推奨される圧迫深度(38~51mm)まで胸部を圧縮することができなかった。7年生の19%および9年生の45%の生徒は、十分な深度を圧迫することができた。9年生については、成人とほぼ変わりない心マが可能だった。圧迫深度は、年齢、体重、身長との有意な関係を示し(P

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「これだ!」と言える運動指導方法は今のところなし

ウォーキングのすすめはどのように行えば最も効果的なのか。6月9日付BMJ誌で発表されたDavid Ogilvie氏らの報告によれば、これだと言えるエビデンスのある指導方法は、現時点ではなさそうだという。ウォーキング指導効果について文献レビュー手軽だが運動効果に優れていると言われるウォーキングの指導を、最も効果的に行う方法について、Ogilvie氏らは、個人レベルによるものから、職場、学校、地域など各集団レベルに対して行われた指導評価の報告を再検証した。レビュー作業は、ウォーキングの指導と効果に関する1990年以降に発表された論文を、25のデータベース、さらに言語を問わず独自にウェブサイト、文献リスト、既存のシステマティックレビューなどから検索し、また国際的な専門家グループから未発表論文を推薦してもらうなどして53,491の文献を当たって、その中から最終的に48(無作為化試験19、非無作為化試験29)を選定した。レビューは、指導によってどれぐらいウォーキングをするようになったのか、職場や学校など集団群ごとの効果の違い、また身体活動度やフィットネス、疾患リスクや健康、福祉との関連性について評価した。出無精な人の活動レベルを上げることはできるが……レビューによって明らかになったのは、指導内容は、その人が出無精なのか動機付けがされているかなど個別背景に即してアレンジすること、個人に対しては簡単なアドバイス、万歩計の使用、テレコミュニケーションを介して指導ができること、また個別マーケティングで家族を対象とする指導も可能で、より多くの人にウォーキングをすすめることはできる。しかし、持続性や普遍性、あるいは臨床効果については、はっきりしないということだった。指導の効果が最もあったと認められたのは、1週間で平均30~60分しか歩かない出不精の人へ行った場合。Ogilvie氏らはこれらの結果を受け、少なくとも極端に出無精な人の活動レベルを上げることはできるが、職場や学校、地域など集団単位で健康増進を行う手法について、現状では効果的と言える指導方法はなく、効果がありそうだとのエビデンスレベルにとどまるとまとめている。(宮下 努:医療ライター)

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女性結核患者の検出率向上に簡便な喀痰採取ガイダンスが有効

回避可能とされる成人死亡原因の26%を結核が占めるパキスタンでは、結核が疑われる女性の喀痰塗抹検査の陽性率が男性に比べて低く、女性結核患者の検出に支障をきたしているという。この男女差を生む主な原因は、痰の代わりに唾液を提出するなど女性の喀痰標本の質の低さにある。その背景には結核の喀痰検査に関する正しい知識の不足のほか、とくに人前で痰を吐くことへの抵抗感など文化的要因があると考えられる。そこで、London School of Hygiene and Tropical MedicineのMishal Sameer Khan氏らは、簡便な喀痰採取ガイダンスを用いた無作為化試験を実施。Lancet誌6月9日号に掲載された論文では、喀痰標本の質が改善され、検査陽性率が向上したと報告している。喀痰採取ガイダンスの有無で比較する無作為化試験対象は、2005年5~7月に、ラワルピンディ市(パキスタン)の結核センターを結核の疑いで受診した3,055例(女性1,494例、男性1,561例)。これらの症例が、喀痰標本の提出前に簡便な喀痰採取ガイダンスを受ける群と、特別な指導は受けずに標本を提出する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、喀痰塗抹検査陽性女性のうちガイダンスを受けない群と受けた群の比とした。ガイダンスを受けた女性は、受けない女性に比べ喀痰塗抹検査陽性率が有意に高く[リスク比:1.63(95%信頼区間:1.19-2.22)]、検査陽性例の検出率が有意に優れていた(13% vs 8%、p=0.002)。また、ガイダンスを受けた女性では唾液の提出が有意に減少し(p=0.003)、早朝に採取した標本の提出が有意に増える(p=0.02)など、標本の質的な改善も達成された。低所得国の結核対策における男女間差の解消に有効か喀痰採取ガイダンスは簡便で有効性が高く、費用効果に優れた方法である。Khan氏は、「低所得国では、結核抑制策における男女間差の解消に有効な可能性がある」と指摘している。なお、男性ではガイダンスによって検査陽性率や標本の質が改善されることはなかったという。(菅野 守:医学ライター)

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術前化学療法で非小細胞肺の5年生存率が5%上昇

1990年代半ばに2つの小規模な試験が有望な成績を報告して以来、非小細胞肺(NSCLC)に対する術前補助化学療法(neo-adjuvant chemotherapy; NAC)の検討が活発に進められている。6月9日付Lancet誌に掲載されたヨーロッパのIntergroupによる多施設共同無作為化試験の結果は、NACは手術単独に比べ全生存率を改善したものの有意差はなかった。しかし、この最新データを加えたNACの無作為化試験全体の解析によれば、今回の成績は5年生存率を5%引き上げるものだという。英国Addenbrooke’s HospitalのDavid Gilligan氏の報告。NAC完遂率75%、奏効率49%、病変のdown-stagingは 31%切除可能なNSCLCが、手術単独群とプラチナ製剤ベースの化学療法を3コース施行後に手術を受けるNAC群に無作為に割り付けられた。NACは、無作為化の前に6つのレジメンの中から主治医が選択した。1997年7月~2005年7月の間に、ヨーロッパの70施設から519例が登録され、そのうち261例が手術単独群に、258例がNAC群に割り付けられた。stageは Iが61%、IIが31%、IIIが7%であった。NACの完遂率は75%であり、feasibleとみなされた。また、奏効率は49%と良好であり、病変進行は2%にすぎなかった。31%の症例で病変のdown-stagingが得られた。全生存率の差はないが、最新のエビデンスに強い影響を及ぼす成果完全切除率は手術単独群80%、NAC群82%と両群間に差はみられなかった。NAC群で術後の合併症が増加することはなく、QOLの低下も認めなかった。また、両群間に全生存率の差はなかった(ハザード比:1.02、95%信頼区間: 0.80-1.31、p=0.86)。生存期間中央値(MST)および5年生存率の推計値は、手術群がそれぞれ55か月、45%、NAC群が54か月、44%であった。Gilligan氏は、「今回の成績をこれまでのNACの無作為化試験のデータに統合して解析したところ、NACにより12%の相対的な生存ベネフィットが得られ、これは5年生存率の5%の上昇に相当する」と考察を加え、「全生存率に有意差はなかったとはいえ、本試験の成績は最新のエビデンスに強い影響を及ぼすものと思われる」としている。(菅野 守:医学ライター)

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ロシグリタゾンの心血管リスク増加について「断定はできない」

最近のメタ解析の結果に懸念が示されている2型糖尿病治療薬のロシグリタゾンの心血管系へのリスクについて、RECORD研究グループが中間解析を発表した。心不全に対する有意なリスク増加が認められたものの、今回の解析結果からは、心筋梗塞のリスク増加に関係していると言い切れるだけの十分なデータが得られなかったと報告している。本論文の詳細はNEJMオンライン版6月5日号に掲載された。RECORDの4,447例対象に中間解析ロシグリタゾンの心血管系への影響については、市販後の安全性に関する非劣性試験で、オープンラベルの大規模無作為化試験RECORD(Rosiglitazone Evaluated for Cardiac Outcomes and Regulation of Glycaemia in Diabetes)が現在進行中である。その研究グループが中間解析を行った。解析対象は、メトホルミンあるいはSU剤での血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者4,447例。ロシグリタゾン追加投与群(2,220例)と、メトホルミン+SU剤併用群(対照群:2,227例)に割り付け、主要エンドポイントは、心血管系に起因する入院または死亡である。心不全リスク増加を確認するも心筋梗塞リスク増加断定にはデータ不十分解析は、平均追跡期間3.75年で統計的な検出力を限定して行われた。その結果、ロシグリタゾン群(217例)と対照群(202例)の主要エンドポイントのハザード比は1.08(95%信頼区間0.89-1.31)で、両群に統計学的な有意差は見られなかった。ただ、心不全を呈する患者がロシグリタゾン群に多く存在していたことが確認された(ハザード比2.15;95%信頼区間1.30-3.57)。しかし研究グループは今回の解析からは、ロシグリタゾンが心血管系に起因する入院・死亡リスクに関係しているとは断言できないと結論。死亡増加の要因が心血管系に起因するかどうか、ロシグリタゾンが心筋梗塞のリスク増加と関係していたか断定するだけのデータは得られなかったと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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エプロディセートはAAアミロイドーシスでの腎機能低下を遅らせる効果がある

腎組織におけるアミロイド沈着は腎機能障害を進行させ、慢性炎症性疾患に続くアミロイドA(AA)アミロイドーシスを合併する。エプロディセートは、アミロイド形成蛋白とグリコサミノグリカンとの相互作用に干渉し、アミロイド原線維の重合と組織への沈着を阻害するようデザインされた新しい化合物。その有効性と安全性を検証した結果、腎機能低下の遅延効果が認められたとする報告が、NEJM誌6月7日号で発表された。二重盲検プラセボ対照試験で安全性とともに確認AAアミロイドーシスは、血清アミロイドA蛋白(SAA)の蛋白分解物の断片がアミロイド原線維として組織に沈着し発現する慢性炎症性疾患の合併症である。Laura M. Demberらエプロディセート検証グループは、AAアミロイドーシスを有する患者を対象に、エプロディセートの有効性と安全性を評価する多施設での無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。27の医療センターから183例を選び、24ヵ月間、エプロディセートまたはプラセボが投与されるよう割り付け、主要な複合エンドポイントは、腎機能の評価または死亡。なお、(1)血清クレアチニン濃度の倍加、(2)クレアチニンクリアランスの50%以上の低下、(3)末期腎疾患への進行または死亡、のいずれかが起こった場合は、疾患の悪化に分類した。疾患悪化のハザード比は0.58324ヵ月間で疾患の悪化がみられたのは、プラセボ投与群94例中38例(40%)に対し、エプロディセート投与群89例中24例(27%)(P=0.06)。研究グループは、エプロディセート投与群の疾患悪化のハザード比は0.58(95%信頼区間0.37-0.93, P = 0.02)であり、また、クレアチニンクリアランスの年平均の低下率が、体表面積1.73m2につき毎分、プラセボ群15.6 mLに対しエプロディセート群10.9 mL(P = 0.02)で、腎機能低下の遅延効果が確認されたと報告した。なお、末期腎不全への進行および死亡リスクに対しては有意な効果が示されなかった。副作用発生率は、投与群とプラセボ群で同程度だった。(武藤まき:医療ライター)

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葉酸サプリは結腸直腸腺腫予防の効果なく、むしろリスク増大について調査が必要

結腸直腸腺腫予防のための葉酸サプリ摂取の有効性と安全性を評価するため実施した無作為化臨床試験の結果が、JAMA誌6月6日号で発表された。葉酸サプリメントが大腸における抗腫瘍性効果を発揮する可能性が各種実験や疫学的調査によって示唆されているが、米国ダートマス・ヒチコック医療センターのBernard F. Cole氏らのポリープ予防研究グループは、1mg/日の葉酸を摂取しても結腸直腸腺腫のリスクは減少せず、反対にリスク増大の可能性についてのさらなる調査が必要だと報告した。葉酸1mg/日とアスピリン低・高用量を無作為二重盲検法で1994年7月から2004年10月にかけて、ダートマス・ヒチコック医療センターなど米国とカナダの9施設での、フェイズ3の無作為化二重盲検プラセボ対照試験。結腸直腸腺腫の病歴はあるが大腸の既往のない男女1,021人が参加した。参加者は1mg/日の葉酸摂取群(n=516)とプラセボ群(n=505)に割り当てられ、さらに、低用量で結腸直腸腺腫の予防効果が報告されているアスピリン摂取群とプラセボ群に割り当てられ、2度にわたる結腸鏡検査(最初は3年後、2回目は3年または5年後)で評価が行われた。主要評価項目は1つ以上の結腸直腸腺腫の発生で、第二評価項目は1 cm以上または浸潤性のと多発性腺腫の発生とされた。効果は見られず、むしろ直腸結腸組織の異常増殖に関与の疑い3年の時点で987人(96.7%)が結腸鏡検査の追跡調査を受け、1つ以上の結腸直腸腺腫の発生率は葉酸摂取群(n=221)が44.1%、プラセボ群(n=206)が42.4%。進行病変の発生率は、葉酸摂取群(n=57)が11.4%、プラセボ群(n=42)が8.6%だった。2回目は607人(59.5%)が追跡調査を受け、1つ以上の結腸直腸腺腫の発生率は葉酸摂取群(n=127)が41.9%、プラセボ群(n=113)が37.2%だった。さらに、進行病変の発生率は葉酸摂取群(n=35)が11.6%、プラセボ群(n=21)が6.9%であり、葉酸摂取群はさらに3つ以上の腺腫を伴う高い危険性、あるいは非結腸直腸の発生に関与していた。研究グループはこの結果から、葉酸サプリの摂取は結腸直腸腺腫の予防に効果がなく、むしろリスクを増大させる可能性について、さらなる調査が必要だと報告した。(朝田哲明:医療ライター)

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急性心筋梗塞治療にP4Pの効果なし

医療の質を向上させるツールとして促進された「治療成績に応じた医療費の支払い(Pay for Performance:P4P)」だが、急性心筋梗塞の治療プロセスとアウトカムの質向上に、P4Pの影響は見られなかったとの報告が、米国デューク大学Center for Clinical and Genetic EconomicsのSeth W. Glickmanらの研究グループによって報告された。本論文の詳細は、JAMA誌6月6日号に掲載されている。治療プロセスとアウトカム向上を判定メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は2003年に、急性心筋梗塞治療の指標づくりを視野に入れた、米国で最大級のパイロット版P4Pプロジェクトに着手している。Glickmanらは、P4Pが急性心筋梗塞の治療プロセスとアウトカムの向上に結びつくかどうかを判定した。対象は、米国心臓学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)のガイドライン「CRUSADE」で登録された、ST非上昇型心筋梗塞患者10万5,383人。2003年7月から2006年6月にかけて治療を受けた者を、P4Pプロジェクトに参加する54病院(P4P参加病院群)あるいは参加していない446の対照病院に分け、重症度分析と観察的手法を用いて分析した。主要評価項目は、(1)ACC/AHAが推奨するクラスIの治療ガイドラインの順守、(2)院内死亡率、の2つが用いられた。P4P参加病院とそれ以外で有意差は認められずP4Pプロジェクトでは6つの療法にインセンティブをつけている。そのうち、退院患者のアスピリン服用コンプライアンスと、禁煙カウンセリングの2つについて、P4P参加病院群の改善率がわずかに高かったものの、有意差は認められなかった。インセンティブ対象外の療法においても改善率に有意差は認められず、院内死亡率の改善割合についても、P4P参加病院群が対照病院と比べて有意に高いとの証拠は得られなかった(オッズ比0.91 vs 0.97, P=0.21)。研究グループは、医療の質向上のプロジェクトに自発的に参加した病院において、P4Pプログラムと急性心筋梗塞の治療プロセスまたはアウトカムの質の向上に明らかな相関は見られず、逆相関があるという証拠も見つからなかったと報告し、プロジェクトにおけるP4Pの役割を規定するには、さらなる研究が必要と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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テロや紛争起因のPTSDに認知療法は効果的

テロや紛争に起因するPTSD症状に悩まされる人々に対し、認知療法が有効であるとの報告が、英国ウルスター大学Michael Duffy氏らの研究グループによって寄せられた。宗教対立から長年にわたり無差別テロなどが日常化してきた北アイルランドで行われた無作為化臨床試験で、認知療法を行った患者群に大幅な改善が見られた結果を受けての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。北アイルランドのNICTT基点に行われた無作為化臨床試験テロに起因する精神的外傷(トラウマ)に対する効果的な治療法はほとんど報告されていない。Duffy氏らは、テロや紛争を背景要因とするPTSD症状に苦しむ住民の多い北アイルランドで、PTSDに対する認知療法の有効性を無作為化臨床試験で検証した。対象者は、PTSDに苦しむ人々に、認知療法のプログラムを提供することを目的に設立されたNICTT(The Northern Ireland Centre for Trauma and Transformation)に紹介されてきた患者の中から、主としてテロや紛争に起因する慢性PTSDの患者58人(中央値5.2年、3ヵ月から32年)を選定し、ただちに認知療法を行う群と12週待ちの待機群に振り分けた。治療群には平均5.9セッション、必要に応じてさらに2セッションの治療プログラムが行われた。患者スコア、エフェクトサイズとも大幅改善示す主要評価項目はPTSDスケールおよびベック抑うつ評価尺度を用い、副次評価項目にSDS(Sheehan disability scale)の労働・社会生活面(労働障害、社会生活障害、家庭生活障害)を用いてスコアを判定。12週間後に行った判定では、治療群と待機群では、PTSDスコアでは平均差9.6(95%信頼区間3.6-15.6)、ベック抑うつ評価尺度では同10.1(同4.8-15.3)、自己申告による労働・社会生活面への影響については同1.3(同0.3-2.5)といずれも大幅な改善が認められた。また、治療前後のエフェクトサイズについても、PTSD1.25、抑うつ1.05、労働・社会生活面1.17と、あらかじめ設定した「large」(0.8以上)に該当する変化が見られた。対照群にはまったく変化が見られなかったこと、さらに追跡調査の結果などとも合わせて、認知療法はテロや紛争に起因するPTSDに効果的な治療法であると結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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予防教育とサーベイランスが重篤なスポーツ外傷を防止する

スポーツ外傷防止には、予防教育とサーベイランスシステムが有益かつ必要であるとの報告を、オーストラリアラグビー協会のKenneth L Quarrie氏らが行った。同協会が2001年より導入した「RugbySmartプログラム」以後、プレー中のスクラムに起因する脊髄損傷が大幅に減少しているとのデータを踏まえての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。ニュージーランドで全国的に導入された「RugbySmartプログラム」テロに起因する精神的外傷(トラウマ)に対する効果的な治療法はほとんど報告されていない。Duffy氏らは、テロや紛争を背景要因とするPTSD症状に苦しむ住民の多い北アイルランドで、PTSDに対する認知療法の有効性を無作為化臨床試験で検証した。オーストラリアラグビー協会では2001年より、「RugbySmartプログラム」を全国的に導入している。同プログラムは、ニュージーランドのすべてのラグビー・コーチおよびレフェリーが受講することを義務づけられており、ラフプレーでのフィジカルコンディショニング、外傷マネジメント、安全テクニックについて、プレーヤーに教育する手法を教授するものである。Quarrie氏らはプログラムの効果を、重篤な脊髄損傷の頻度に着目して、ニュージーランドラグビー協会傘下の全プレーヤーを対象に検証した。重篤な脊損は事前予測18.9に対し8件にプログラム導入以降の2001~2005年の5年の間に報告された、身体障害帰結の重篤な脊髄損傷発生件数は8件。1976以降5年ごとに見た発生件数と比べると大幅に減少しており、従前のデータから予測された18.9の値も大きく下回っていた。また8件のうち、スクラムに起因するのは1件のみ。予測値は9.0で明らかに少なかったとしている。スクラム起因の脊髄損傷は、1976~2000年には48%(33/69)を占めていたが、プログラム導入以後の5年では12.5%(1/8)だった。7件については、スクラム以外のプレー(タックル、ラック、モール)起因で、予測値は9.0だった。Quarrie氏らは、プログラム導入と脊髄損傷の減少時期とが一致しており、その要因はスクラム起因の脊髄損傷が減ったこと、プログラムがスクラム以外のプレーにどの程度影響があったのかは不明としながらも、本研究は、スポーツ外傷の予防教育プログラムの有益性、およびその効果を評価する包括的なサーベイランスシステムの必要性を例示するものだと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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生体吸収ステントの短期的有用性は示されたが、再狭窄予防作用は疑問

留置後、一定の時間が経過すると消失する「生体吸収ステント」を63例に用いた追跡研究PROGRESS-AMIが、Lancet6月2日号に掲載された。薬物溶出ステントの遠隔期ステント内血栓が問題となって以来期待されている生体吸収ステントだが、リコイル抑制ならびに生体内からの消失には成功したものの、POBA(ステントを留置せずバルーン拡張のみ)と同等の高い再狭窄率には、早くも疑問の声が上がっている。ドイツWest-German Heart Center EssenのRaimund Erbel氏らによる報告を紹介する。ステント内血栓はないが高い再狭窄率Erbel氏らは今回、生体吸収マグネシウムステント冠動脈留置の、有効性と安全性を評価した。対象となったのは、無症候性の冠動脈疾患のde novo病変である。参照血管径は3.0~3.5mm、狭窄度は50~99%、病変長は13mm以内とされた。その結果、63例に71のステントが、前拡張の後、留置された。第一評価項目とされた、留置4カ月後の「心臓死、非致死性心筋梗塞、標的病変血行再建が必要な心筋虚血」の発生率は、23.8%(15例/63例)だった(内訳はすべて「血行再建が必要な心筋虚血」)。ステント内血栓や心筋梗塞、心臓死は留置後1年間、1例も認めなかった。一方、4カ月後までに標的病変血行再建再施行(TLR)が必要となっていたのは41.3%(26例/63例)、1年後には45%に上った。同様にステント領域における血管径狭窄度は49.66%だった。同号のEditorialは上記TLR施行率を、POBAと「同等かそれ以上だ」と評している。ステントの消失には成功し、4カ月後までには血管内エコー法(IVUS)でもステントは描出されなくなっていた。しかし現在、再狭窄予防のため、消失遅延と薬物溶出が試みられているという。また、今回の患者を対象としたさらに長期にわたる追跡の必要性も、上述のEditorialは指摘している。(宇津貴史:医学レポーター)

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葉酸サプリは脳卒中初発を抑制する

脳心血管系リスクとして近年注目されているホモシステインだが、「葉酸サプリメント」を「長期」に摂取し、「血中ホモシステイン濃度」が低下すれば、脳卒中初発のリスクが有意に減少する可能性がある──。このような示唆を含むメタ解析が、Lancet6月2日号に掲載された。米国Northwestern University Feinberg School of MedicineのXiaobin Wang氏らによる報告である。8試験、1万5千例超でメタ解析メタ解析の対象となったのは、「葉酸サプリと心血管系疾患」の相関を少なくとも6カ月間検討した無作為化試験。1996年から2006年の間に公表されたものに限定した。その結果、8試験、16,841例が解析の対象となった。追跡期間は24~72カ月にわたった。その結果、葉酸サプリ群(8,949例)における全脳卒中発症率は4.2%で、5.1%だった対照群(7,892例)に比べ相対リスクは18%有意(p=0.045)に低下していた。8試験における葉酸摂取量は0.5mg/日から15mg/日まで多岐にわたり、また対照群もプラセボや低用量葉酸サプリなど多様だったが、葉酸サプリ群における脳卒中減少に関し、試験間に有意なバラツキはなかった。「20%以上」のホモシステイン濃度低下が必要つぎに層別解析を行うと、葉酸サプリ摂取期間が「36ヵ月以下」では脳卒中発症リスクは対照群と同等だった。同様に、「ホモシステイン低下率が20%未満」、「脳卒中既往あり」でも有意なリスク減少とはならなかった。また、試験前から葉酸強化食を常食している集団でも、葉酸サプリによる有意な脳卒中の減少(アドオン)は認められなかった。葉酸サプリによる脳卒中予防を確認するにはさらなる研究が必要としながらも筆者らは、葉酸強化食を摂取する習慣のない集団では、葉酸サプリが有用ではないかとスペキュレートしている。(宇津貴史:医学レポーター)

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