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在胎期間が短いほど成人後のリスクは増大

周産期医療の進歩によって、早産児の生存数は増加しているが、こうした早産児が成人期に必要とする能力については懸念がある。ノルウェー・ベルゲン大学のDag Moster氏らは全国民を対象とした登録制度に基づき長期追跡調査を行った結果、「早産児は成人後も、在胎期間が短いほど医学的・社会的リスクが増大する」と報告した。NEJM誌2008年7月17日号より。ノルウェーで1967~1983年出生の90万3,402例を追跡調査ノルウェーにおける全員加入の登録制度「Medical Birth Registry of Norway(MBRN)」に基づいて、1967~1983年に生まれた、在胎週の異なる小児を特定し、その後の社会的能力を示す転帰と、医学的障害について、2003年まで継続して詳細に記録し検討した。対象となったのは、先天奇形のない生産児90万3,402例(在胎23~27週1,822例、28~30週2,805例、31~33週7,424例、34~36週3万2,945例、37週以降85万8,406例)で、それぞれの在胎期間で、生存し成人期まで経過観察できた対象者の比率は17.8%、57.3%、85.7%、94.6%、96.5%だった。在胎期間は有病率、教育・収入レベルなどと関連この結果、脳性麻痺の有病率は、正期産児の0.1%に対して、在胎23~27週児では9.1%(在胎23~27週の出生相対リスク:78.9、95%信頼区間:56.5~110.0)、精神遅滞の有病率は、同0.4%に対して4.4%(相対リスク:10.3、6.2~17.2)、障害年金受給率は同1.7%に対して10.6%(相対リスク:7.5、5.5~10.0)と高かった。医学的障害がない早産児でも、在胎期間の短さは、到達した教育水準、収入、社会保障の受益率、家庭の構築と関係していた。しかし失業率や犯罪活動とは関連がない。Moster氏は「1967~1983年に生まれたノルウェー人コホートでは、成人期の医学的・社会的障害リスクは、在胎期間が短いほど増大していた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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シンバスタチンは神経線維腫症1型の認知機能障害を改善しない

神経線維腫症1型(NF1)は、学習障害(LD)の発症頻度が最も高い遺伝病の1つだが、近年、NF1マウス・モデルで、HMG-CoA還元酵素(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase)のスタチンが認識欠損を修復できることが示された。このため、オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学NF1研究チームのLianne C. Krab氏らが、NF1の小児におけるスタチン系薬剤シンバスタチンの効果を検証する無作為化試験を行ったが、結果は「認知機能障害は改善されなかった」と報告されている。JAMA誌2008年7月16日号より。62例について12週間にわたり無作為化二重盲検プラセボ対照試験オランダの大学病院で2006年1月20日~2007年2月8日に、無作為二重盲検プラセボ対照試験登録されたNF1患児114例のうち62例(54%)に、12週間にわたり1日1回、シンバスタチンまたはプラセボが投与された。主要評価項目は、Rey complex figure testによる記憶想起の遅延度、cancellation testによる記憶速度、プリズム適応、MRIによる平均脳ADC(apparent diffusion coefficient)の各スコア。副次評価項目を、cancellation testの標準偏差値、認知機能のためのStroop color word test、block design、object assembly、RCFTによる模写、Beery発達機能検査による視覚統合などのスコアとして、各スコアを基線パフォーマンスと年齢、性別で補正した。有意な改善はobject assemblyスコアのみシンバスタチン群とプラセボ群の間では、Rey complex figure test(β=0.10、95%信頼区間:-0.36~0.56)、cancellation test(β=-0.19、-0.67~0.29)、プリズム適応(オッズ比:2.0、0.55~7.37)、平均脳ADC(β=0.06、-0.07~0.20)のいずれの主要評価尺度でも、全く有意差は観察されなかった。副次評価項目では、シンバスタチン群でobject assemblyスコアのみ有意な改善が見られ(β=0.54、0.08~1.01)、その傾向は、基線パフォーマンスの貧弱な小児で特によく観察された(β=0.80、95%CI:0.29~1.30)。しかし、ほかの副次評価項目は、シンバスタチン投与による有意な効果は明らかにならなかった。Krab氏は「12週間の試験では、シンバスタチンはNF1の患児の認知機能を改善しなかった」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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子供の運動不足は10代前半で急速に進行する

運動不足は小児肥満症の増加と重要な関係がある。米国農務省は、1日最低60分間の「中程度から強度の身体活動」(MVPA)を推奨しているが、実際に最近の子供たちがどのように運動しているかを検証した継続的研究はほとんどなかった。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部小児科のPhilip R. Nader氏らは、9~15歳の追跡調査。10代前半で運動量が急激に減少していると警告した。JAMA誌2008年7月16日号より。9歳から15歳の1,032例を追跡調査米国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health Human Development)が1991~2007年に行い、1,032例が参加した長期研究Study of Early Child Care Youth Developmentから、9歳(2000年)、11歳(2002)、12歳(2003)、15歳(2006)の各年齢におけるMVPA時間を調べた。MVPAは身体に装着した加速度計によって分単位で記録した。参加者のうち男児は517例(50.1%)、女児は515例(49.9%)で、 白人は76.6%(n=791)、低所得世帯は24.5%(n=231)だった。主要評価項目は、参加者が加速度計を4~7日間装着して計測した時間数から割り出した、1日当たりの平均MVPA時間(分)。女児13歳、男児14歳ごろ基準を下回るこの結果、MVPA時間は、 9歳児では週末も平日も1日に約3時間だった。しかしMVPA時間は年々短縮し、週末で毎年41分間、平日でも38分間ずつ減少。15歳までに、週末で平均35分間、平日で平均49分間となっていた。男児は女児より週末で平均13分間、平日で平均18分間だけ長かったが、MVPA時間の減少率は、男女とも同じだった。推奨されたMVPA時間(平日60分間)を下回ったのは、女児では13.1歳前後。男児では14.7歳前後と推定される。週末推奨時間を回ったのは、女児が12.6年、男児が13.4歳だったとみられる。この研究コホートでは、身体活動は9歳から15歳の間に有意に減少した。(朝田哲明:医療ライター)

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オリンピックレベルの選手の突然死を防ぐために

心血管異常を見つけ突然死や症状悪化を防ぐために、スポーツ選手への事前スクリーニングは有効だとされる一方、ここ数十年にわたり臨床有用性が議論されてもいる。米国心臓協会は不支持の態度を示しているが、ヨーロッパ心臓病学会と国際オリンピック委員会は、イタリアで25年以上前から行われていることに注目し、若いアスリートへの事前スクリーニングは必要であるとの態度を表明した。本論は、イタリア・フィレンツェにあるスポーツ医学研究所のデータをフローレンス大学血栓治療センターFrancesco Sofiらが分析・検討した結果で、臨床有用性はあると報告された。BMJ誌2008年7月3日号より。アスリート30,065例(男性23,570例)の5年間のデータを横断的研究本研究は、スポーツ参加者に対して事前に心血管スクリーニングを実施することの臨床有用性を、大規模コホートで検討することを目的とした30,065例(男性23,570例)のアスリートを対象とする、5年間のデータの横断的研究。主要評価項目は、12心電図の安静時と運動負荷時の結果とした。30歳以上のアスリートで運動負荷試時の異常発見とリスク増加とに有意な関連12心電図結果が異常だったアスリートは、安静時は1,812例(6%)、運動負荷時は1,459例(4.9%)。1,227例に、安静時は正常だったものの運動負荷時に異常が示された。スクリーニング結果から、競技スポーツには不適格だとみなされるアスリートは196例(0.6%)だった。心臓を理由に競技スポーツが不適格とされた159例の対象者のうち一定の割合の者について(n=126、79.2%)、安静時の12心電図では良性あるいはネガティブな所見だったが、運動負荷によって明らかな病理学的変化が示された。影響を及ぼす可能性のある交絡因子を調整後にロジスティック回帰分析を行った結果、30歳以上の者について、運動負荷試験中に不適格な心臓所見が見出されたこととリスク増加とに有意な関連が認められた。Sofi氏は、「競技スポーツに参加しようとしている選手への運動負荷試験は、心血管異常者の同定を可能とする」と結論するとともに、「スポーツマンの心血管イベント発生率を低下させるかどうかは、検査によって資格を剥奪された人々を追跡調査することによって示されるだろう」とした。

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筋力アップが死亡率低下に結びつく

慢性疾患予防や健康増進に有効であるとしてフィットネスが推奨されている。筋力と全死亡率の負の相関はこれまでにも報告されていたが、男性における、筋力と全死因・心血管疾患・の死亡率に関する大規模な前向きコホート研究が行われ、筋力と全死因・の死亡率は独立した負の相関関係にあることが、BMJ誌2008年7月1日号で公表された。スウェーデン王立カロリンスカ研究所のJonatan R Ruiz氏らによる報告。男性20歳~80歳8,762例を18.9年追跡アメリカ・テキサス州ダラスにあるCooper Clinicのエアロビクスセンターに、1980年~1989年の間に登録された男性(20歳~80歳)8,762例について追跡調査が行われた。主要評価項目は、2003年12月31日までの全死因死亡率、筋力、心肺フィットネス(トレッドミル運動負荷試験による)。筋力は、反復跳び、ベンチ・プレスの結果を、年齢特異的に三分位(Lower、Middle、Upper)に分類した。平均追跡調査期間は18.9年。死亡は503例(心血管疾患145、199含む)。筋力と死亡率は負の相関死亡率/1万人年は、全死因はLower:38.9、Middle:5.9、Upper:26.6、心血管疾患はLower:12.1、Middle:7.6、Upper:6.6、はLower:6.1、Middle:4.9、Upper:4.2だった(P

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手術の世界的な年間施行数はどれくらい?

 世界全体では毎年、膨大な数の手術が行われ、大手術(major surgery)の手技に起因する高い死亡率および合併症発生率ゆえに、いまや手術の安全性は国際的な公衆衛生学の実質的な懸案事項とすべきことが、「WHO患者安全プログラム」の一環として実施された調査で明らかとなった。手術のニーズは工業化に伴う疾病パターンの転換に伴って医療資源の多寡にかかわらず急激に増加した。この、いわゆる「疫学的な過渡期」ゆえに公衆衛生における手術の役割も増大してきたが、その安全性の改善やサービスの不足を補うためにも、手術的介入の総数、配分状況を把握する必要があるという。米国Harvard大学公衆衛生学部のThomas G Weiser氏がLancet誌2008年7月12日号(オンライン版2008年6月24日号)で報告した。WHO加盟192ヵ国を対象に手術の総量を計算 研究グループは、世界で施行されている大手術の数を推定してその配分状況を記述し、公衆衛生学の国際的な施策における手術の重要度を評価するための検討を行った。 WHO加盟192ヵ国の人口、健康、経済データを収集。手術施行率のデータは、政府機関、統計や疫学の研究機関、既報の研究、手術に関する施策を主導する個人などに当たることで集めた。また、2004年に行われた解析から、国民一人当たりの医療費データを入手した。 大手術は、「病院の手術室で行われる切開、切除、操作、組織の縫合からなる介入で、一般に局所あるいは全身麻酔もしくは鎮静を要するもの」と定義した。データがない国の大手術の施行率を推計するモデルを作成し、人口学的な情報を使用して世界的な手術の総数を計算した。世界的な大手術の年間施行数は2億3,420万件、医療費の高低で格差が 手術データは56ヵ国(29%)から得られた。世界では毎年、2億3,420万件(95%信頼区間:1億8,720~2億8,120万件)の大手術が実施されていると推算された。10万人当たりの大手術の年間平均施行率は、一人当たりの医療費が100ドル以下の国(47ヵ国)では295件(SE 53)であったのに対し、1,000ドル以上の国(38ヵ国)では平均1万1,110件(SE 1,300)であった(p<0.0001)。 2004年の手術件数は、人口が世界の30.2%に当たる医療費が平均点な国(401~1,000ドル)と高額な国(1,000ドル以上)が1億7,230万件(73.6%)を占めたのに対し、人口が34.8%に相当する低額の国(100ドル以下)は810万件(3.5%)にすぎなかった。 Weiser氏は、「世界では毎年、膨大な数の手術が行われており、その安全性は国際的な公衆衛生学の実質的な懸案事項とすべき」と結論し、「低収入国における手術へのアクセス機会の過度な不足が示唆するのは、対策が講じられていない世界的な疾病負担の大きさである。手術に対する公衆衛生学的な戦略の確立は最優先事項である」と指摘している。

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腎細胞に対する自己腫瘍由来ワクチンによる術補助療法の有効性示せず

腎細胞に対する腎摘出術後の自己腫瘍由来熱ショック蛋白ワクチン(HSPPC-96、vitespen)療法は無再発生存率を改善しないことが、米国M D AndersonセンターのChristopher Wood氏が行った無作為化第III相試験で明らかとなった。限局性腎細胞の標準治療は局所あるいは根治的な腎摘出術であるが、有効な補助療法がないため患者は実質的に再発のリスクに晒されているという。Lancet誌2008年7月12日号(オンライン版2008年7月3日号)掲載の報告。術後補助療法としてのvitespen群と観察群を比較本研究は、局所進行腎細胞切除後の高再発リスク例に対する補助療法としての自己腫瘍由来ワクチンvitespenの有用性を評価するもの。vitespen群に409例が、術後に治療を行わない観察群に409例が無作為に割り付けられた。vitespenは週1回4 週間にわたって皮内投与され、その後はワクチン効果が消失するまで2週に1回投与された。主要エンドポイントは無再発生存率とした。全体の再発率、死亡数は同等、早期ステージ群で再発率が優れる傾向フォローアップ期間中央値1.9年における再発率はvitespen群が37.7%(136/361例)、観察群は39.8%(146/367例)であり、両群間に差は認めなかった(ハザード比:0.923、95%信頼区間:0.729~169、p=0.506)。2007年3月までフォローアップを継続したところ、vitespen群で70例が死亡し、観察群の死亡数は72例であったが(p=0.896)、全体の生存データとしてはまだ十分でなく、さらなるフォローアップを続けている。American Joint Committee on Cancer(AJCC)のステージ分類に基づく事前に規定された探索的解析では、ステージIあるいはIIの症例の再発率はvitespen群が15.2%(19例)、観察群は27.0%(31例)であった(ハザード比:0.576、95%信頼区間:0.324~1.023、p=0.056)。vitespen群で最も多く報告された有害事象は、注射部位の紅斑(158例)および硬化(153例)であった。重篤な有害事象としてはグレード2の自己免疫性甲状腺炎が1例で認められたが、治療に関連したグレード3/4の有害事象は見られなかった。Wood氏は、「腎細胞に対する腎摘出術後のvitespenによる補助療法は、観察群との間に無再発生存率の差を認めなかった」と結論し、「vitespen群のうち早期ステージの無再発生存率の改善効果を評価するには、さらなる検証が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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HIV-1の母乳感染減少に抗レトロウイルス薬の長期予防的投与が効果的

授乳によるヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の母子感染を減らす効果的な対策が、貧困国で緊急に求められている。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のNewton I. Kumwenda氏らは、乳児に対する抗レトロウイルス薬の予防的投与の効果を検証した結果、ネビラピン(商品名:ビラミューン)またはネビラピン+ジドブジン(商品名:コンビビル、レトロビルカプセル)の長期投与によって、乳児のHIV-1感染症を有意に減らすことができると報告した。NEJM誌2008年7月10日号(オンライン版2008年6月4日号)より。マラウイ共和国のHIV 感染女性の乳児で比較試験世界最貧国の一つであるアフリカのマラウイ共和国で、同国最大の都市Blantyreに居住し、子供を母乳で育てるHIV-1感染女性を無作為第III相試験に登録。乳児は出生した時点で下記3つの投薬計画の1つに無作為に割り付けた。  (1)ネビラピン単回投与と1週のジドブジン投与(対照群)(2)(1)に加えて、ネビラピン連日予防的投与を14週間に延長(長期ネビラピン群)(3)(2)に加えてジドブジンの連日予防的投与も14週間に延長(長期二重予防群)対象児は出生時、DNAポリメラーゼ連鎖反応法でHIV-1陰性だった者。その後のHIV-1感染症のリスクをKaplan-Meier分析によって評価した。対象児は3,016例。主要エンドポイントは9ヵ月時点におけるHIV-1推定感染率。長期予防投与でHIV-1推定感染率はほぼ半減対照群は、生後18ヵ月~6週間のHIV-1感染率が一貫して高かった。9ヵ月時点推定感染率は、対照群10.6%、長期ネビラピン群5.2%(P

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急性心原性肺水腫への非侵襲的換気療法、死亡率は改善せず

急性心原性肺水腫患者に対して、気管切開・挿管によらない非侵襲的換気療法(持続気道陽圧換気療法:CPAP、または非侵襲的間欠陽圧換気療法:NIPPV)は有効で、死亡率を低下させる可能性があるとされる。そこで、英国エジンバラ王立病院のAlasdair Gray氏らThree Interventions in Cardiogenic Pulmonary Oedema:3CPOの研究グループは、気管挿管による標準酸素療法とCPAP、NIPPVを比較検討した。NEJM誌2008年7月10日号より。患者1,069例を3療法に割り付け7日間の転帰を比較非侵襲的換気療法が死亡率を低下させるかどうか、CPAPとNIPPVの転帰に重大な違いがあるかどうかを見極めるため、多施設共同公開前向き無作為化試験を行った。患者合計1,069例(平均年齢±SD:77.7±9.7歳、女性56.9%)を、標準酸素療法367例、CPAP(5~15cm H2O)346例、NIPPV(吸気圧:8~20cm H2O、呼気圧:4~10cm H2O)356例に、それぞれ割り付けた。非侵襲的換気療法と標準酸素療法を比較する主要エンドポイントは処置後7日以内の死亡。NIPPVとCPAPを比較する主要エンドポイントは同7日以内の死亡または挿管実施とした。呼吸困難と代謝障害は急速に改善するが7日後の死亡率では、標準酸素療法群(9.8%)と非侵襲的換気療法群(9.5%)に有意差はなかった(P=0.87)。非侵襲的換気療法の7日以内の死亡または挿管実施の複合エンドポイントは、CPAP(11.7%)とNIPPV(11.1%)の間に有意差はなかった(P=0.81)。非侵襲的換気療法は標準酸素療法と比較して、患者自身の申告による呼吸困難(療法差:1~10の視覚アナログスケールで0.7、95%信頼区間:0.2~1.3、P=0.008)、心拍数(療法差:毎分4拍、95%信頼区間:1~6、P=0.004)、アシドーシス(療法差:pH 0.03、95%信頼区間:0.02~0.04、P

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アンドロゲン枯渇療法は局所前立腺の生存率を改善しない

データが不十分にもかかわらず、手術や放射線、従来治療に替わる局所前立腺の治療として、一次的アンドロゲン枯渇療法(PADT)を受ける患者が増えている。ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学(米国ニュージャージー州)のGrace L. Lu-Yao氏らには、局所前立腺の高齢男性におけるPADTと生存率との関連を評価。「従来治療と比べ生存率を改善しない」と報告した。JAMA誌2008年7月9日号より。66歳以上メディケア受給者約2万例を追跡調査臨床病期T1‐T2の前立腺で、限定的な局所治療を受けなかった66歳以上のメディケア受給者1万9,271人を対象としたコホート研究。対象者は、あらかじめ設定した米国内の地域に居住している者で、1992~2002年に前立腺と診断され、前立腺の特異的死亡率(~2004年12月31日)、全死因死亡率(~2006年12月31日)を追跡調査された。主要評価項目は、前立腺の特異的生存率と全生存率。未分化患者の生存率は改善されたが局所前立腺を有する患者(年齢中央値77歳)のうち、7,867例(41%)がPADTを、残る11,404例はPADTを含まない従来治療の対象だった。追跡調査期間中の全死因死亡は1万1,045例。うち1,560例が前立腺。前立腺の特異的10年生存率(PADT vs. 従来治療)は、80.1% vs. 82.6%(ハザード比:1.17、95%信頼区間:1.03~1.33)、10年全生存率は30.2% vs. 30.3%(HR:1.00; 95%CI:0.96~1.05)で、PADTの有意性を示す結果は得られなかった。ただし未分化の患者に限定してみた場合は、特異的10年生存率が59.8% vs. 54.3%(HR:0.84、95%信頼区間:0.70~1.00、P=0.049)、全生存率は17.3% vs. 15.3%(0.92、0.84~1.01)で、PADTによる改善がみられた。以上からLu-Yao氏らは、「PADTが在来治療と比較して、局所前立腺を有する大部分の高齢男性の生存率を改善はしない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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ABIは心血管イベントリスク予測にFraminghamリスクスコアより有効

健常者の心血管疾患のハイリスクを識別する予測モデルの精度は限られている。英国のABI共同研究チーム(Ankle Brachial Index Collaboration)は、アテローム性動脈硬化症の指標とされる足関節上腕血圧比(ABI)をFraminghamリスクスコア(FRS)と組み合わせることで、心血管疾患のリスク予測を改善できる可能性があると報告した。JAMA誌2008年7月9日号より。男女約4万9千例を追跡調査しメタ解析試験は、データベースのMEDLINE(1950年~2008年2月)、EMBASE(1980年~2008年2月)から、ABIに関してヒットした論文を選定し、前向きコホートをデザインし行われた。一般集団(非疾患グループ)に属する参加者のABIはベースラインで測定し、全死因死亡と心血管原因死亡を見いだすために追跡。コホート研究の対象は16集団。虚血性心疾患の既往歴がない参加者についてメタ解析された。男性2万4,955例と女性2万3,339例(期間中延べ48万325例)を追跡調査した結果、ABIと死亡リスクの関係は、ABI正常値(1.11~1.40)を低リスクとして逆J字形の分布を示した。10年死亡率、冠動脈イベント発生率ともFRSの2倍男性の10年死亡率(心血管疾原因)は、ABI低値(0.90)18.7%(95%信頼区間:13.3~24.1%)、ABI正常値(1.11~1.40)4.4%(3.2~5.7%)。同様に女性は、ABI低値では12.6%(6.2~19.0%)、ABI正常値では4.1%(2.2~6.1%)だった。ハザード比は男性4.2(95%信頼区間:3.3~5.4)、女性3.5(2.4~5.1)。FRSで補正後も、男性2.9(95%信頼区間:2.3~3.7)、女性3.0(92.0~4.4)と高いままだった。ABI低値(0.90)で、10年全死因死亡率、心血管原因死亡率、主要冠動脈イベント発生率のカテゴリー別にFRSの数値と比較すると、ほぼ2倍を示していた。FRSによる心血管リスクの階層化にABIを包含させると、リスクカテゴリー再分類と、男性の約19%、女性の約36%に対する推奨治療を変更することになった。この結果を踏まえ「ABI測定は、FRS以上に心血管リスク予測の精度を改善する可能性がある」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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加齢黄斑変性症治療剤「マクジェン」、製造販売承認を取得

ファイザー株式会社は、7月16日(水)、加齢黄斑変性症治療剤「マクジェン硝子体内注射用キット0.3mg」(ペガプタニブナトリウム)の製造販売承認を取得したと発表した。マクジェンは、加齢などが原因で物がゆがんだり、視野の中心が欠けて見えるなどの症状を起こす滲出型(しんしゅつがた)の加齢黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration:AMD)の治療薬。病的な血管の成長や血液などの漏出をひき起こす原因となる体内の物質の働きを抑え、病的な血管の成長を遅らせることで、視力が低下する速度をゆるやかにする。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_07_17_02.html

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抗酸菌症治療薬「ミコブティン」、製造販売承認を取得

ファイザー株式会社は、7月16日(水)、抗酸菌症治療薬「ミコブティンカプセル150mg」(リファブチン)の製造販売承認を取得したと発表した。ミコブティンはリファマイシン系抗酸菌症治療薬で、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害しRNA合成を抑制することにより抗菌作用を示すと考えられている。結核や非結核性抗酸菌(NTM:Non-Tuberculous Mycobacteria)症の治療、さらにHIVに感染している患者が発症しやすい抗酸菌症であるマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制に効果がある。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_07_17.html

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下痢型過敏性腸症候群治療剤「イリボー錠」、製造販売承認を取得

アステラス製薬株式会社は、下痢型過敏性腸症候群治療剤「イリポー錠(ラモセトロン塩酸塩)について、「男性における下痢型過敏性腸症候群」を効能・効果として、製造販売承認を取得したと発表した。「イリボー綻」は、5-HT3受容体を選択的に阻害することで、消化管運動充進に伴う便通異常(下痢・排便宜進)を改善するとともに、大腸痛覚伝達を抑制し、腹痛及び内臓知覚過敏を改善する。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.astellas.com/jp/company/news/2008/pdf/080717_1.pdf

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「子どもとママの紫外線対策」意識調査-「日焼け止め」は8割の子どもが使用、でも塗る基準は日ざしの強弱?

ロート製薬株式会社が関東圏、関西圏の1歳~9歳の子どもを持つママ300人に対して行った調査によると、9割以上のママが子どもに紫外線対策を行い、内容としては「帽子をかぶる」(約9割)と同じように「日焼け止めを塗る」が8割となり、紫外線対策のスタンダードになっていることが明らかになった。一方で多くのママが紫外線に対する豊富な知識を持っているにもかかわらず、紫外線対策の開始・終了は日ざしの強弱で判断しているという現状がわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.rohto.co.jp/comp/news/?n=r080717_2

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抗悪性腫瘍剤「アービタックス」、製造販売を承認

ブリストル・マイヤーズ株式会社は、メルクセローノ株式会社およびイムクロン社(NASDAQ:IMCL)と共同開発を行ってきたアービタックス注射液100mg(セツキシマブ製剤)が、7月16日(水)、厚生労働省より「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸」の治療薬として、製造販売承認されたと発表した。アービタックスは、EGFR(ヒト上皮細胞増殖因子受容体)と特異的に結合するヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体で、腫瘍細胞のEGFRを介したシグナル伝達経路を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する抗悪性腫瘍剤。詳細はプレスリリースへhttp://www.bms.co.jp/news/2008/0716.html

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ネガティブ感情は心疾患イベントに関連:Whitehall IIスタディ

心疾患イベントのリスク増加に心理的因子(不安、敵意/怒り、うつ)が関わっていることを示す研究がいくつかあるが、ポジティブな感情、ネガティブな感情それぞれを独立因子とし、二次的な冠動脈性心疾患イベントとの関連(影響およびリスク)を検討する研究が報告された。イギリスでのWhitehall IIスタディからの報告。同スタディは1985年にセットされ追跡調査されている、健康と疾患の社会経済的傾向を探るための経時的研究である。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。1万308人を12年以上追跡調査追跡期間12年以上の前向きコホート研究としてデザインされた試験には、ロンドンに本部事務所を置く20の行政機関に属する1万308人(1985年登録時35~55歳)が参加した。主要転帰項目は、致死性冠動脈性心疾患、非致死性心筋梗塞、狭心症(n=619、追跡期間12.5年)。年齢、性、民族性、社会経済的位置づけで調整したコックス回帰分析の結果、ポジティブ感情と、バランスがとれた感情(バランス・スコアに着目した指標で評価した感情)は、冠動脈性心疾患との関連は見出せなかった。ハザード比はそれぞれ1.01(95%信頼区間:0.82~1.24)、0.89(0.73~1.09)。ポジティブ感情、バランスのとれた感情との関連は見られなかったがさらに行動のリスク因子(喫煙、飲酒、1日の果物と野菜摂取量、運動、BMI)、生物学的リスク因子(高血圧、血中コレステロール、糖尿病)、仕事による精神的ストレスの因子で補正をしても、結果は変わらなかった。しかし、ネガティブ感情を有する区分に分類された参加者には、冠動脈性心疾患イベント増が見られた(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.09~1.60)。この相関は、複数の交絡因子の調整後も変わらなかった。この結果を踏まえ、「ポジティブ感情と、バランスのとれた感情は、男女ともスタディ加入時に冠動脈性心疾患と診断されなかった場合、将来的な発症を予測する因子とはならないようだ。ネガティブ感情には弱い相関が見られる。さらなるスタディで確認する必要があるだろう」と結論している。

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複数ワクチン接種と健康不良は無関係

1991年の湾岸戦争時も話題になった、複数ワクチン接種と健康不良との関連。本報告は、2003年以降イラク戦争に従軍したイギリス軍兵士を対象にしたもので、ロンドン大学Dominic Murphy氏らによるもの。複数のワクチン接種と健康不良との関係を、ワクチン接種の事実に関する自己申告群と、診療録で確認できた群とで、それぞれ検証した。結果、複数ワクチン接種は健康不良とは無関係と報告している。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。ワクチン接種と健康不良の関係を自己申告群と記録確認群で検証試験参加者は、2003年以降イラクに展開し1日に複数ワクチンを受けたと回答した軍人から無作為に選択された4,882例。陸軍68%、海軍14%、空軍16%で、将校が16%、女性は8%。平均32.2歳。このうち、ワクチン接種の記録を確認することができた378例をサブセットグループとし検証対照とした。378人のうち、303人は自己申告と診療録の記録が一致していた。主要転帰項目は、心理的苦痛、疲労、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状、健康を自覚、および多発性身体症状。思い出しバイアスで混乱を来した?1日で2種以上のワクチン接種を受けたと自己申告した人は、疲労(調整後リスク比:1.17、95%信頼区間1.05~1.30)、共通した精神障害(1.31、1.13~1.53)、多発性身体症状(1.32、1.08~1.60)を呈する傾向があった。しかし、診療録でワクチン接種が確認できたサブセットグループで検証した結果、1種だった場合と2種以上だった場合とで、健康結果に有意な差は見られなかった。Murphy氏は、「イラク戦争に従軍した英軍兵士の、複数ワクチン接種と有害な健康結果とは無関係。有害な健康結果は、あくまで自己申告した場合に関連が示されており、“思い出しバイアス”(記憶が定かでなく回答に誤りがある等)がかかっていると解釈される」と結論。「湾岸戦争時の検証では、自己申告に基づく検証しか行われなかった。同様のバイアスがあったかもしれない」とまとめている。

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rivaroxaban長期投与が有効、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防

新たな経口第Xa因子阻害薬rivaroxabanの長期投与は、人工股関節全置換術(THA)を施行後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防において低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の短期投与よりも有効なことが、21ヵ国が参加した大規模臨床試験(RECORD 2)で確認された。周術期のヘパリンベースの血栓予防療法は致死的肺塞栓症を減少させるが、THA後のVTEのリスクは退院後も持続するため、簡便な長期的抗血栓療法の探索が進められてきた。イギリスBarts and the London医科歯科大学のAjay K Kakkar氏が、Lancet誌2008年7月5日号(オンライン版2008年6月24日号)で報告した。21ヵ国、2,509例が参加した二重盲検ダブルダミー無作為化試験RECORD 2(REgulation of Coagulation in ORthopaedic surgery to prevent Deep-vein thrombosis and pulmonary embolism 2)は、THA施行例を対象にrivaroxaban(10mg/日、1日1回、経口)を31~39日投与する群(プラセボ静注、10~14日)と、エノキサパリン(40mg/日、1日1回、皮下注)を10~14日投与後プラセボを投与する群(31~39日)を比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。2006年2月~2007年4月に21ヵ国123施設から登録された2,509例が、rivaroxaban群(1,252例)あるいはエノキサパリン群(1,257例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、深部静脈血栓(両側静脈造影で検出された症候性あるいは無症候性の病変)、非致死的肺塞栓症、30~42日までの全死亡の複合エンドポイントとした。主要評価項目が有意に改善、出血の頻度は同等主要評価項目の解析対象となったのは、rivaroxaban群864例、エノキサパリン群869例。複合エンドポイントの発現率は、エノキサパリン群の9.3%(81/869例)に対し、rivaroxaban群は2.0%(17/864例)と有意に低下した(絶対リスク低下率:7.3%、95%信頼区間:5.2~9.4%、p<0.0001)。安全性評価の対象はrivaroxaban群1,228例、エノキサパリン群1,229例。治療期間中の出血の発現率は、rivaroxaban群6.6%(81/1,228例)、エノキサパリン群5.5%(68/1,229例)と両群で同等であった(p=0.25)。Kakkar氏は、「THA後の症候性のイベントを含むVTEの予防において、rivaroxaban長期投与はエノキサパリン短期投与よりも有意に高い有効性を示した」と結論し、「長期的血栓予防療法をさらに確実なものにするには、THAの予後に影響を及ぼす可能性のある出血や他の有害事象について、高リスク群に重点を置いた評価を行うべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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患者の大うつ病管理に有効な介入法が開発された

“Depression Care for People with Cancer”と呼ばれる複合的な介入法は、専門的な医療サービスを受けている患者における大うつ病管理のモデルとなることが、スコットランドで実施された無作為化試験(SMaRT oncology 1)で示された。大うつ病はなどの疾患に罹患した患者のQOLを著しく損なうが、その管理の指針となるエビデンスは少ないという。イギリスEdinburgh大学研究センターのVanessa Strong氏がLancet誌2008年7月5日号で報告した。通常ケアと通常ケア+看護師による介入を比較研究グループは、大うつ病の体系的なスクリーニング法と複合的な介入法を併用し、うつ病の管理とがん治療を統合した治療システムを開発した。SMaRT(Symptom Management Research Trials)oncology 1は、患者の大うつ病の治療法としてデザインされた介入法である“Depression Care for People with Cancer”の効果を評価する無作為化試験。2003年10月~2005年12月に、スコットランドの地域センターに6ヵ月以上の生存が見込まれ、大うつ病に罹患した200例の外来患者が登録された。平均年齢は56.6歳、141例(71%)が女性であった。99例が通常ケア群に、101例が通常ケア+介入群に無作為に割り付けられた。介入は平均7つのセッションからなり、センターで専門看護師によって施行された。主要評価項目は、無作為化後3ヵ月の時点における自己報告によるSymptom Checklist-20(SCL-20)のうつ病スケール(0~4)の平均スコアの差とした。介入群でSCL-20うつ病スコアが有意に低下データが欠失した4例を除く196例について解析を行った。3ヵ月後における補正後のSCL-20うつ病スコアは、介入を行った群で0.34低下し有意差が認められた(95%信頼区間:0.13~0.55、p=0.002)。治療効果は、6および12ヵ月の時点でも持続していた。介入により不安および疲労感の改善が見られたが、疼痛や身体機能の改善効果は認めなかった。質調整生存年(QALY)の1年の延長ごとに、新たに£5,278(US$1万556)のコストが発生した。Strong氏は、「“Depression Care for People with Cancer”は、専門的な医療サービスに参加しているをはじめとする疾患の患者における大うつ病管理のモデルとなることが示された」と結論し、「今後、SMaRT oncology 2、3において本介入法の費用対効果や、予後不良例にもベネフィットをもたらすか否かを評価する予定である」としている。(菅野守:医学ライター)

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