腎細胞癌に対する自己腫瘍由来ワクチンによる術補助療法の有効性示せず

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/24

 

腎細胞癌に対する腎摘出術後の自己腫瘍由来熱ショック蛋白ワクチン(HSPPC-96、vitespen)療法は無再発生存率を改善しないことが、米国M D Anderson癌センターのChristopher Wood氏が行った無作為化第III相試験で明らかとなった。限局性腎細胞癌の標準治療は局所あるいは根治的な腎摘出術であるが、有効な補助療法がないため患者は実質的に再発のリスクに晒されているという。Lancet誌2008年7月12日号(オンライン版2008年7月3日号)掲載の報告。

術後補助療法としてのvitespen群と観察群を比較




本研究は、局所進行腎細胞癌切除後の高再発リスク例に対する補助療法としての自己腫瘍由来ワクチンvitespenの有用性を評価するもの。vitespen群に409例が、術後に治療を行わない観察群に409例が無作為に割り付けられた。

vitespenは週1回4 週間にわたって皮内投与され、その後はワクチン効果が消失するまで2週に1回投与された。主要エンドポイントは無再発生存率とした。

全体の再発率、死亡数は同等、早期ステージ群で再発率が優れる傾向




フォローアップ期間中央値1.9年における再発率はvitespen群が37.7%(136/361例)、観察群は39.8%(146/367例)であり、両群間に差は認めなかった(ハザード比:0.923、95%信頼区間:0.729~169、p=0.506)。2007年3月までフォローアップを継続したところ、vitespen群で70例が死亡し、観察群の死亡数は72例であったが(p=0.896)、全体の生存データとしてはまだ十分でなく、さらなるフォローアップを続けている。

American Joint Committee on Cancer(AJCC)のステージ分類に基づく事前に規定された探索的解析では、ステージIあるいはIIの症例の再発率はvitespen群が15.2%(19例)、観察群は27.0%(31例)であった(ハザード比:0.576、95%信頼区間:0.324~1.023、p=0.056)。

vitespen群で最も多く報告された有害事象は、注射部位の紅斑(158例)および硬化(153例)であった。重篤な有害事象としてはグレード2の自己免疫性甲状腺炎が1例で認められたが、治療に関連したグレード3/4の有害事象は見られなかった。

Wood氏は、「腎細胞癌に対する腎摘出術後のvitespenによる補助療法は、観察群との間に無再発生存率の差を認めなかった」と結論し、「vitespen群のうち早期ステージの無再発生存率の改善効果を評価するには、さらなる検証が求められる」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)