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重労働介護による背部痛は、アドバイスやトレーニングでは予防できない

重量物の持ち上げ作業に従事する労働者の背部痛の予防に、仕事技術およびリフティング設備に関するアドバイスやトレーニングは効果がないことが、フィンランド労働衛生研究所(ヘルシンキ)のKari-Pekka Martimo氏らが実施した系統的レビューによって明らかとなった。このようなアドバイスやトレーニングは、背部痛リスクの管理法として広く行われているが、その効果は疑問視されていた。BMJ誌2008年2月23日号(オンライン版2008年1月31日号)掲載の報告。無作為化対照比較試験とコホート研究が解析対象研究グループは、Cochrane Back Group’s specialised registerなど9つのデータベースを検索した。1次解析では無作為化対照比較試験に、2次解析では同時対照群が設定されたコホート研究に焦点を当てた。介入は、重量物や患者の持ち上げ作業技術の修正を目的とするものとし、主要評価項目として背部痛の測定、その結果としての身体機能障害、病気休暇を含む試験を解析の対象とした。2名の研究者が別個に試験の適格性および方法の質を評価した。データを統合するために類似の介入法を比較した試験の結果を集約し、メタ解析における結果の統合にはオッズ比および効果サイズ(effect size)を用いた。最終的に、1次解析と2次解析の結果の比較を行った。1次、2次解析ともに有意差を認めず6つの無作為化試験および5つのコホート研究が選択規準を満たした。2つの無作為化試験とすべてのコホート研究は質が高いと判定された。8つの試験が重量物の持ち上げ作業や患者の搬送を、3つの試験は手荷物運搬員あるいは郵便作業員を対象としていた。対照群は、非介入あるいはトレーニング、身体運動、back beltの使用を最小限にしていた。無作為化試験(合計登録例数:1万7,720例)では介入群と対照群に有意な差は認めなかった。コホート研究(同:772例)に関する2次解析でも有意差を認めず、無作為化試験の結果を支持するものであった。Martimo氏は、「リフティング設備の有無にかかわらず、背部痛あるいはその結果としての身体機能障害の予防法として、仕事技術のアドバイスやトレーニングを支持するエビデンスは存在しない」と結論し、「この知見は、現在広く行われている正しいリフティング技術に関するアドバイスに異論を唱えるもの」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

33102.

むしろ死亡率が上昇、重症急性膵炎に対するプロバイオティクス予防投与

 急性膵炎の感染合併症に対する予防治療としてのプロバイオティクス腸内投与はむしろ死亡率を高めることが、オランダUtrecht大学医療センター外科のMarc G H Besselink氏らDutch Acute Pancreatitis Study Groupの研究によって明らかとなった。急性膵炎では感染合併症とその関連死が大きな問題となるが、プロバイオティクスは細菌の過増殖を抑制することで感染合併症を予防し、消化管のバリア機能を修復して免疫系を調整する可能性が指摘され、期待を集めていた。Lancet誌2008年2月23日号(オンライン版2008年2月14日付け)掲載の報告。多菌種混合プロバイオティクス製剤腸内投与の感染合併症予防効果を評価 本研究は、重症急性膵炎に対するプロバイオティクス予防投与の効果を評価する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。対象は、急性膵炎と診断され、重症化が予測される[Acute Physiology and Chronic Health Evaluation (APACHE II)スコア≧8、Imrie/modified Glasgowスコア≧3、C反応性蛋白>150mg/L]症例とした。 症例は発症72時間以内に、多菌種混合プロバイオティクス製剤(153例)あるいはプラセボ(145例)に無作為に割り付けられ、28日間にわたり1日2回腸内投与された。主要評価項目は、入院期間およびフォローアップ期間(90日)における複合感染合併症(感染性膵壊死、菌血症、肺炎、尿路性敗血症、感染性腹水)の発現とした。プロバイオティクス群で感染合併症が低下せず、死亡率は有意に上昇 プロバイオティクス群152例、プラセボ群144例が解析の対象となった。両群間でベースライン時の患者背景および疾患重症度に差は見られなかった。 感染合併症の発症率はプロバイオティクス群が30%(46例)、プラセボ群が28%(41例)であった(相対リスク:1.06、95%信頼区間:0.75~1.51)。死亡率はそれぞれ16%(24例)、6%(9例)とプロバイオティクス群で有意に高かった(2.53、1.22~5.25)。プロバイオティクス群の9例が腸虚血をきたし、そのうち8例が死亡したのに対し、プラセボ群では腸虚血は認めなかった(p=0.004)。 Besselink氏は、「今回用いた菌種の組み合わせによるプロバイオティクス製剤の予防投与は重症急性膵炎の感染合併症のリスクを低減させず、死亡リスクはむしろ上昇した」と結論し、「他の菌種を用いた場合は異なる結果が得られる可能性があるが、基礎的メカニズムが明らかとなるまでは使用すべきでない。最も重要な点は、もはやプロバイオティクスは経腸栄養の補助療法として無害とはいえないことだ」と考察している。

33103.

政策評価には質の高い研究が不足、低~中所得国の医療の人的資源対策

低~中所得国の医療の人的資源に関する政策を評価するには、改善策の有効性を検討した質の高い総合的な研究が不足していることが、南アフリカ医療研究評議会(ケープタウン)医療システム研究科のMickey Chopra氏らの研究で明らかとなった。訓練された医療従事者の適切な供給と配置、そして医療サービスを提供する能力の管理は、特に低~中所得国において政策立案者が直面する喫緊の課題とされる。Lancet誌2008年2月23日号掲載の報告。人的資源に関する政策の効果を評価した研究を収集研究グループは、MedlineおよびEmbase(1979~2006年9月)、Cochrane Library、Human Resources for Health Global Resource Centerのデータベース、5つの関連専門誌10年分を検索し、専門家にも問い合わせてデータを収集した。解析対象には、医療従事者の訓練、配置、規制、経済、管理、組織、能力に影響を及ぼす政策を評価した英語の系統的レビューも含めた。2名の研究者が別個に、レビューの適格性および質を評価し、政策の有効性に関するデータを系統的に抽出した。政策の効果の公正性、スケールアップの適合性、低~中所得国への適用性について評価を行った。低~中所得国の試験は数編のみ759編の系統的レビューのうち28編が適格規準を満たしたが、このうち低~中所得国の試験は数編のみで、質の低いものも含まれた。医療の人的資源に影響を及ぼす国レベルの広範な政策に関するレビューはひとつもなかった。人的資源の組織メカニズム(個々の医療職間の代用や仕事の変更など)、役割の拡大、能力増強策(質の改善や生涯教育の戦略など)、チームワークの促進、ワークフローの変更については多くのエビデンスが認められた。Chopra氏は、「低~中所得国の政策立案者が医療の人的資源の計画・管理を目的に導入した介入策を評価したり、政策立案者の参考となる研究成果を提供するには、これらの国における人的資源の改善策の有効性を検討した質の高い総合的な研究がもっと必要なことが明らかとなった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

33104.

冠動脈バイパス術でのアプロチニン投与は死亡率を高める

アプロチニン(商品名:トラジロール、バイエル社)は、冠動脈バイパス術(CABG)において出血を抑えるために投与されるが、この治療によって死亡率が高まることを示唆するエビデンスが次々と寄せられた。バイエル社はすでに2007年11月5日、同製剤の一時販売停止を発表。日本国内でも同11月7日付けで商品名「トラジロール5万単位」が一時販売停止となっている。本論は、ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院のSebastian Schneeweiss氏らによる報告で、NEJM誌2008年2月21日号に掲載された。3タイプの解析法で死亡率を検討Schneeweiss氏らの研究は、CABG施行日にアプロチニン投与またはアミノカプロン酸投与が確認された患者を対象に行われた。対象の死亡退院者数を表数化し、3タイプの解析法を実施。1つは一次解析として「多変量ロジスティック回帰分析」を、2つ目がサブ患者コホートでの「傾向スコア分析」。サブ患者コホートには、試験薬を全量投与受けた者で、試験期間中50例以上のCABGを行った外科医により施術を受けた者、手術が入院3日目以降だったため共変量に関する10の追加情報が入手可能だった者の条件に見合った者が選択された。3つ目が「操作変数因子分析」で、担当外科医の嗜好が2つの試験薬の選択時に強くあらわれていた患者からのデータを対象としたもの。患者・外科医の特性、交絡因子補正後もアプロチニンの死亡率の高さは変わらずアプロチニン投与患者は総計33,517例、アミノカプロン酸投与患者は総計44,682例で、死亡はそれぞれ1,512例(4.5%)、1,101例(2.5%)だった。患者および病院特性41項目補正後の推定死亡リスクは、アプロチニン投与群でアミノカプロン酸投与群より64%高かった(相対リスク1.64)。また手術後7日間のアプロチニン投与群の院内死亡リスクは1.78。傾向スコア法による相対リスクは1.32だった。そして操作変数因子分析から、アプロチニンの使用は、患者100人あたり1.59件の超過死亡リスクと関連していることが判明した(95%信頼区間:0.14~3.04)。術後の血管再生と透析の施行も、アプロチニン投与群のほうがアミノカプロン酸投与群より頻度が高かった。以上からSchneeweiss氏らは、「アミノカプロン酸よりもアプロチニン投与を受けた患者のほうが死亡率は高率だった。患者あるいは外科医の特性による差異は見られず、対照群との交絡因子を調整するいかなる解析を試みた結果でも変わりはなかった」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

33105.

脊椎管狭窄症をめぐる手術 vs 非手術の比較研究

Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)は、全米11州13医療施設(脊椎専門クリニック)から集まった研修者によって立ち上げられたスタディで、脊椎診療に関する多方面からの研究を行っている。本論は同研究チームからの、脊柱管狭窄症をめぐる外科的治療 vs 非外科的治療の比較研究の報告。脊椎管狭窄症手術は広く行われているが、非外科的治療との効果の検証結果はこれまで示されていなかった。NEJM誌2008年2月21日号に掲載。外科的治療対象者を無作為コホートあるいは観察コホートに割り付け2年追跡比較研究は無作為化試験にて、13の脊椎専門クリニックの患者を対象に行われた。最低でも12週にわたる症状を訴え、脊椎管狭窄症の既往歴があり、画像診断で脊椎すべり症ではないと確認され外科的治療の候補となった患者を、無作為コホートもしくは観察コホートのいずれかに登録。治療は減圧術か一般的な非外科的治療が施された。主要評価項目は、36項目からなるQOL評価票SF-36(Medical Outcomes Study 36-item Short-Form General Health Survey6)を用いて身体的疼痛スコアと身体機能スコアを、および腰痛評価法で用いられるOswestry Disability Index(ODI)にて評価。6週、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年の時点におけるスコアおよび指標が測定された。手術の治療効果が有意に高い各群の登録患者は、無作為コホート289例、観察コホート365例。2年時点において、手術群に無作為割り付けされた患者のうち、実際に手術を受けたのは67%。非外科的治療に割り付けられた患者も43%が手術を受けていた。無作為コホートの全例解析からは、対象者が割り付けられた治療を完結していない、あるいははじめから受けていないといった割合が高かったにもかかわらず、手術の治療効果が有意に高いことが示された。SF-36の身体疼痛スコアのベースラインからの変化の平均差は7.8(95%信頼区間:1.5~14.1)に上る。ただし身体機能スコアやODIに有意差はなかった。また両コホートを統合し因子を補正した上で行われたas-treated解析からは、3ヵ月時点まで、すべての主要評価項目について手術のほうが有意に優れていることが示され、その有意性は2年の時点まで保たれていた。研究チームは、「手術を受けた患者のほうが、非外科的治療患者よりすべての主要評価項目について有意な改善を示した」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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甲状腺切除後の投与はレボチロキシンのみでT3投与は必要ない

甲状腺ホルモンにはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)があり、細胞活性はT3が数倍強いが、血中を循環するのはおもにT4といわれる。また甲状腺を切除した患者ではT3の産生が望めず、その欠乏は避けられないとされ、切除患者には甲状腺ホルモン剤レボチロキシン(LT4)投与とT3投与の併用療法が行われる。しかしT3を併用投与することの効果は確認されていない。そこでジョージタウン大学医療センターのJacqueline Jonklaas氏らは、標準的なLT4療法を受けた患者のT3産生レベルが、甲状腺切除前より本当に下がるのかどうかを評価するプロスペクティブ研究を行った。JAMA誌2008年2月20日号より。血中T3レベルを全摘の前と後で比較本研究は2004年1月30日から2007年6月20日にかけて行われた。試験参加患者は18~65歳の甲状腺機能は正常だが、甲状腺腫、良性小結節、甲状腺の疑い、または診断が確定したため甲状腺全摘を予定していた50例。摘除後にLT4を投与。術後血中甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルの維持に留意し、良性の甲状腺疾患患者にはTSHレベルを正常に保つよう、甲状腺患者にはTSHレベルを抑制するよう、LT4投与量は必要に応じて調整された。主要評価項目はT4、T3、TSHの各レベルとし、術前・術後に各2回測定された。LT4による標準治療でT3レベルは維持された研究終了までにLT4を投与された患者のT3レベルは、術前と比較して、有意な低下はみられなかった(平均値:術前129.3ng/dL、術後127.2ng/dL、P=0.64)。低値を示していることが確認されたのは、血中TSH濃度が4.5mIU/Lまたはそれ以下にならなかった患者群(P<0.001)。しかし患者の94%は試験終了までに正常値の4.5mIU/Lまたはそれ以下に達している。一方T4レベルは、もともとのT4レベルと比較して有意に高いことが確認された(平均値:術前1.05ng/dL、術後1.41ng/dL、P<0.001)。これらの結果から研究グループは、甲状腺のほとんどあるいは全部を摘除した患者ではLT4投与のみの標準治療で正常なT3レベルは維持されており、このことは血中T3レベルを術前の内生レベルに維持するのにT3投与は必要でないことを示唆していると結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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入院患者の心停止からの生存率は「夜間」「週末」は低い

入院患者の心停止の発生・生存状況について、これまで時刻や曜日に着目した検討はされていなかった。Virginia Commonwealth UniversityのMary Ann Peberdy氏らは、夜間および週末では異なる発生・生存パターンがあるのではないかと仮定し、確認を試みた。JAMA誌2008年2月20日号にて掲載されている。全米86,748人の登録データを解析検討は、「夜間」および「週末」に起きた心停止後の結果が、「日/夕方」「平日」と比較して異なるかどうか、心停止から1時間ごとの生存率を調査し行われた。「日/夕方」:午前7時00分~午後10時59分、「夜間」:午後11時00分~午前6時59分、そして「週末」:金曜日午後11時00分~月曜日午前6時59分と定義。全米507医療施設からの心停止イベント記録が登録されているNational Registry of Cardiopulmonary Resuscitationから、2000年1月1日~2007年2月1日の成人86,748人のデータが解析された。主要転帰は「退院生存」、第2転帰は「生存(20分以上の自発循環回復)」「24時間生存」「神経学的転帰良好」とし、オッズ比と多変量ロジスティック回帰分析を用いて比較された。退院生存:夜間14.7% 対 日/夕方19.8%。週末格差はなし時間帯で見ると、「日/夕方」発生が58,593例(平日43,483例、週末15,110例)、「夜間」発生は28,155例だった(平日20,365例、週末7,790例)。退院生存は「夜間」14.7%に対し「日/夕方」19.8%、20分以上の自発循環回復44.7%対51.1%、24時間生存28.9%対35.4%、神経学的転帰良好11.0%対15.2%で、「夜間」のほうが「日/夕方」に比べて実質的に低かった(すべてP<0.001)。また「夜間」の発生パターンとして、不全収縮が頻繁だったこと(39.6%対33.5%、P<0.001)、心室細動が少なかったこと(19.8%対22.9%、P<0.001)が確認された。「日/夕方」発生の生存を「平日」と「週末」で比較してみると、前者のほうが高い(20.6%対17.4%、オッズ比:1.15)。ただし「夜間」発生の退院生存は、「平日」と「週末」でほとんど違いはみられなかった(14.6%対14.8%、オッズ比1.02)。以上から Peberdy氏らは、「患者、イベント、病院特性因子を調整しても、入院患者の心停止からの生存率は、夜間と週末でより低い」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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【トピック】約半数が「自分はメタボ」と自覚

 民間のネットリサーチ会社のディムスドライブが行った「特定健康診査・特定保健指導」に関するアンケートによると、半数の人が「自分はメタボリックシンドローム・予備群だと思う」という結果が出た。調査は2008年1月23日~1月31日にかけて行い、10代から60代以上まで全国のモニター9,863人から回答を得たもので、「メタボリックシンドロームだと思う」は16.0%、「メタボリックシンドロームの予備群だと思う」は32.6%、その合計は48.6%に及んだ。 特に40代男性で多く、65.8%に上った。また50代男性も65.2%あった。 あくまでも本人の意識であり、適正な診断を受けたものではないが、メタボに対する意識は高いようである。

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PTSD発症率は非派遣兵の3倍、戦闘に曝露したイラク/アフガニスタン帰還兵

米軍のイラク/アフガニスタン帰還兵のうち実際に戦闘に曝露した兵士の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症率は非派遣兵の約3倍にも達することが、BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月15日号)に掲載された米国海軍健康研究所(サンディエゴ)のTyler C Smith氏らの研究結果で明らかとなった。最近の報告では帰還兵の10%にPTSDの症状が見られるとされるため、同氏らは大規模な米軍コホートにおいて自己報告によるPTSDの実態調査を行った。約5万人の兵士のデータを解析本試験は、イラク/アフガニスタン戦争に先立つ2001年7月~2003年6月に7万7,047人の米軍兵士および予備兵/州兵を登録したミレニアムコホートのデータを用いたプロスペクティブな大規模コホート研究。2004年6月~2006年2月に実施されたフォローアップにより、5万184人から健康関連のアウトカムに関するデータが収集された。主要評価項目は自己報告によるPTSD発症率とし、PTSDチェックリストとして“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders”第4版の一般向け判定規準を用いた。派兵そのものよりも戦闘への曝露が重大な影響2001~2006年にミレニアムコホートの40%以上が派兵され、ベースラインとフォローアップの間に初めての派兵としてイラク/アフガニスタン戦争の支援に赴任したのは24%であった。ミレニアムコホートのうち、1,000人年当たりのPTSDの新規発症率は10~13人であった。自己報告によるPTSDの症状発現率あるいは診断率は、戦闘に曝露したと報告した兵士が7.6~8.7%、戦闘に曝露しなかったと報告した兵士が1.4~2.1%、派遣されなかった兵士は2.3~3.0%であった。ベースライン時にPTSDの症状を報告した兵士においては、派兵が症状の持続に影響を及ぼすことはなかった。また、全般に女性兵士、離婚経験者、下士官兵、およびベースライン時に喫煙あるいはアルコール依存を報告した兵士で新たにPTSDの症状を訴えるリスクが高かった。Smith氏は、「ベースライン時の背景因子で補正したところ、派兵されて戦闘に曝露した兵士における自己報告によるPTSDの新規症状発現/診断率は、非派遣兵の約3倍にものぼった」と結論している。また、「これらの知見は、戦闘曝露兵におけるPTSDの重要性を明確化し、派兵後のPTSDの発症には派兵そのものもよりも特定の戦闘への曝露が有意な影響を及ぼすことを強調するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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所得だけでなく死亡率にも格差か、構造・経済改革後のニュージーランド

ニュージーランドでは、1980年代から90年代に実施された大規模な構造・経済改革によって所得格差が拡大したが、これにともなって所得額別の死亡率にも格差が生じた可能性があることが、Otago大学(ウェリントン)健康格差研究プログラムのTony Blakely氏らの検討で明らかとなった。同氏らは、これらの死亡格差に寄与した疾患についても解析を行った。BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月24日号)掲載の報告。人口調査と死亡データを解析する繰り返しコホート研究本試験は、1981、1986、1991、1996、2001年の人口調査と死亡データを解析する繰り返しコホート研究であり、対象は1~74歳のニュージーランドの全人口であった。家計所得額別のコホートごとに、年齢および人種で標準化した死亡率を算出した。また、絶対スケールおよび相対スケールの双方で所得と死亡率の格差を評価するために、標準化死亡率の差および比、さらに格差のslope index(SII)およびrelative index(RII)を算出した。相対的死亡格差が拡大、絶対的な格差拡大は確認できず性別、年齢、所得額で層別化した各群の全原因死亡率は、25年の試験期間を通じて25~44歳の低所得層では男女ともに変化はなく改善が見られなかったが、それ以外のすべての群は低減しており改善が認められた。すべての年齢群において、1981~84年から1996~99年にかけて所得額により相対的死亡格差が拡大(RIIが男性で1.85から2.54に、女性で1.54から2.12に増加)したが、2001~2004年には安定化(それぞれ2.60、2.18)した。絶対的死亡格差の経時的変化は安定しており、1996~99年から2001~04年にかけてはわずかながら格差が縮小していた。所得による死亡格差に最も寄与した疾患要因は心血管疾患であるが、男性では1981~84年の45%から2001~2004年の33%へと低下し、女性でも50%から29%へと低下した。これは、の寄与が男性で16%から22%へ、女性では12%から25%へと増大したことと関連すると考えられる。Blakely氏は、「経済再編中および再編後のニュージーランドにおける所得額別の死亡格差は相対的に拡大したが、絶対的な格差拡大は確認されなかったことから、構造改革との因果関係を断定することは困難」と結論し、「死亡格差に対する個々の死因の寄与には経年変化が見られることから、健康関連政策の優先順位を再考する必要が示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

33111.

ノルバスクOD錠の承認を取得

2月25日、ファイザーはCa拮抗薬ノルバスクOD錠(アムロジピンベシル酸塩)の承認を取得したと発表した。口腔内で速やかに崩壊し溶けるように設計された「口腔内崩壊錠」。製造は、同成分のアムロジンOD錠(アムロジピンベシル酸塩)を持つ大日本住友製薬が行う。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_02_25.html

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自己注射可能なイミグランキット皮下注を発売

2月25日、グラクソ・スミスクラインは片頭痛・群発頭痛治療薬イミグランキット皮下注3mg(スマトリプタンコハク酸塩)を発売した。片頭痛および群発頭痛を効能・効果とした在宅での自己注射が可能な日本初の「皮下注射キット製剤」。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_01/P1000462.html

33113.

やっぱりメタボはになりやすい!?

体重超過(過体重:BMI 25~29.9kg/m2および肥満:BMI≧30 kg/m2)は、食道、膵、結腸・直腸、閉経後乳などの一般的に見られるの発症と関連することが示されている。今回、英国Manchester大学研究部門外科のAndrew G Renehan氏らが行った28万例を超える患者を対象としたメタ解析により、比較的まれなもBMIの増加と関連しており、性差や人種差が見られるも存在することが明らかとなった。Lancet誌2008年2月16日号掲載の報告。体重との関連を検討した28万2,137例のデータを解析研究グループは、2007年11月までにMedlineおよびEmbaseに登録された文献から体重と15部位20種のの関連についてプロスペクティブに検討した研究を系統的に検索した。BMIの5 kg/m2増加と発リスクの関連を評価するために、変量効果(random-effect)のメタ解析およびメタ回帰分析を用いた。141論文の221のデータセットが抽出され、解析対象は28万2,137例(男性:15万4,333例、女性:12万7,804例)、フォローアップは1億3,300万人年以上に達した。部位別の平均フォローアップ期間は、8.4年(乳)~14.4年(多発性骨髄腫)であった。生物学的メカニズムの研究に有益な情報を提供BMIの5 kg/m2増加と強い相関を示した腫瘍として、男性では食道(リスク比:1.52、p<0.0001)、甲状腺(1.33、p=0.02)、結腸(1.24、p<0.0001)、腎(1.24、p<0.0001)が、女性では子宮内膜(1.59、p<0.0001)、胆嚢(1.59、p=0.04)、食道(1.51、p<0.0001)、腎(1.34、p<0.0001)が確認された。BMIの増加と弱い相関(リスク比<1.20)を示した腫瘍として、男性では直腸、悪性メラノーマが、女性では閉経後乳、膵、甲状腺、結腸が確認された。また、白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫は、男女ともに弱い相関が見られた。結腸とBMI増加の関連は女性よりも男性で有意に強かった(p<0.0001)。北米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア太平洋地域の試験において、BMIの増加と特定の腫瘍の関連性は全般に類似していたが、アジア太平洋地域では他の地域に比べBMI増加と閉経前乳に強い相関を認め(p=0.009)、閉経後乳にも相関の傾向が見られた(p=0.06)。Renehan氏は、「BMIの増加は一般的なだけでなく、比較的まれなとも相関し、いくつかのではBMI増加との関連に性差や人種差が認められた」と結論し、「これらの疫学的観察データは、肥満が発と関連する生物学的メカニズムの探索的研究に有益な情報を提供するものである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

33114.

服毒に対する活性炭投与は死亡率を抑制しない

開発途上の農業国では、意図的な自己服毒に毒性の強い農薬や植物を用いるため、先進国に比べ致死率が10~50倍も高いという。今回、スリランカで実施された無作為化試験により、腸血管や腸肝循環の一時的な遮断を目的に自己服毒患者に対しルーチンに施行されている活性炭の投与は死亡率を抑制しないことが明らかとなった。英国Oxford大学熱帯医学研究所のMichael Eddleston氏らがLancet誌2008年2月16日号で報告した。活性炭1回投与、6回投与、非投与を比較する無作為化試験本研究は、活性炭50gの1回投与、同6回投与(4時間ごと)、非投与の3群を比較する無作為化対照比較試験である。2002年3月~2004年10月の間にスリランカの3つの病院に4,632例が登録され、非投与群に1,554例、6回投与群に1,533例、1回投与群に1,545例が無作為に割り付けられた。アウトカムが評価可能であったのは4,629例(1回投与群の1例、6回投与群の2例がフォローアップ不可)。そのうち2,338例(51%)が農薬を、1,647例(36%)が黄花夾竹桃(キバナキョウチクトウ、yellow oleander、Thevetia peruviana)の種子を摂取していた。主要評価項目は死亡率。死亡率は3群とも試験期間中に311例が死亡し、全体の死亡率は6.7%であった。そのうち非投与群が105例(6.8%)であったのに対し、6回投与群は97例(6.3%)(補正オッズ比:0.96、95%信頼区間:0.70~1.33)、1回投与群は109例(7.1%)(1.11、0.82~1.52)といずれも有意差を認めず、両投与群間(0.87、0.64~1.18)にも差は見られなかった。農薬の摂取者、黄花夾竹桃種子の摂取者はともに、入院時の重症度および服毒から治療までの時間と活性炭投与との間に明確な関連は見られなかった。Eddleston氏は、「活性炭の早期投与が有用で経済的に無理のない治療法か否かについてはさらなる検討を要するが、アジア太平洋地域の農業国では自己服毒患者に対する活性炭のルーチン投与は推奨されない」と結論したうえで、「不必要な死を防止する効果的な治療法および新たな治療介入法を見つけ出すための臨床試験を実施することが喫緊の課題である」と訴えている。(菅野守:医学ライター)

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下肢血管形成術でパクリタキセル・コーティング・バルーン使用は再狭窄を有意に減少

薬剤溶出ステントは冠動脈の再狭窄を減少させるものの、末梢動脈での有効性は臨床試験では証明されていなかった。そのため下肢血管形成術における、パクリタキセルでコーティングされた血管形成術用バルーンと、血管造影剤に溶解したパクリタキセルの効用について調査が、エーベルハルト・カール大学(ドイツ)Gunnar Tepe氏らによって行われた。NEJM誌2008年2月14日号より。大腿膝下動脈で遠隔期損失径を比較調査は、大腿膝窩動脈の狭窄、または閉塞を伴う患者154例を、パクリタキセルでコーティングされた標準的バルーンカテーテルによる治療群、コーティングなしのバルーン+造影剤に溶解したパクリタキセル治療群、コーティング・バルーンも含有造影剤もなしの群(対照群)にランダムに割り付け、小規模の多施設共同試験を行った。主要評価項目は6ヵ月後の遠隔期損失径。患者の平均年齢(±SD)は68歳(±8)、喫煙者が24%、そして糖尿病が49%だった。病変の27%は完全閉塞、36%は再狭窄であった。平均の病変長は7.4±6.5 cmで、治療群間のベースライン特性には有意差がなかった。パクリタキセル・コーティングに起因する有害事象は認められなかった。パクリタキセル・コーティング・バルーンで有意な効果6ヵ月後の対照群の遠隔期損失径の平均値は1.7±1.8mm、一方、パクリタキセル・コーティング・バルーンによる治療群は0.4±1.2mm(P

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超早期産児への経鼻的持続的陽圧呼吸法で気胸は増えるが換気日数は減少

早期産児の死亡と疾患の主因である気管支肺形成異常は、人工換気と酸素療法に関係している。オーストラリア・メルボルン市Royal Women's Hospital のColin J. Morley氏らは、出生直後の超早期産児に対して、経鼻的な持続的陽圧呼吸法(CPAP)と挿管による人工換気の比較研究を行った。CPAPは挿管法と比べて、死亡率や気管支肺形成異常に有意差はなく、気胸の発病率は逆に高まったが、酸素療法を受ける児は減り、人工換気日数も減少するという結果を得ている。NEJM誌2008年2月14日号より。25~28週で出生した未熟児610例を調査在胎25~28週で生まれた早期産児610例を、出生後5分で、経鼻的CPAPを行う群と挿管による人工換気を行う群に無作為に割り付け、生後28日目、在胎期間で36週目、および退院前の各時点で転帰を評価した。死亡率と気管支肺形成異常に有意差は認められず28日目時点での死亡リスクまたは酸素療法の必要性は、CPAP群のほうが挿管法群より低かった(オッズ比0.63、95%信頼区間:0.46~0.88、P=0.006)。在胎期間で36週の時点では、死亡するか気管支肺形成異常が発見されたのは、CPAP群が307例中33.9%だったのに比べて、挿管法群は303例中38.9%だった(同0.80、58~1.12、P=0.19)。全体の死亡率にはほとんど違いはなかった。CPAP群の未熟児は、生後5日間で46%に挿管が行われたが、サーファクタントの補充量は半分ですんだ。気胸の発生率は、CPAP群は9%だったが挿管法群は3%(P

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脊椎疾患にかかる医療費は増大しているが健康状態改善には寄与していない?

臨床において背部・頸部の疾患は最もよくみられる。しかし、これら疾患に費やされる医療費の傾向および健康状態評価との関連はこれまで調査されていない。ワシントン大学のBrook I. Martin氏らのグループは、1997年から2005年までの米国内の背部・頸部疾患による入院、外来受診、救急受診、薬局関連の医療費を推計するとともに、それらと健康状態評価との関連について調査を行った。JAMA誌2008年2月13日号より。背部・頸部疾患を自己申告した患者をサンプリングこの研究では、1997~2005年の米国医療支出パネル調査(MEPS:医療費の全国推計を示すための世帯調査)の結果を性・年齢補正した後、重回帰分析法を用いて解析を行った。回答者は17歳以上の成人で、MEPS、ICD-9で定義された「脊椎疾患」に該当する背部・頸部疾患を自己申告した者。主要評価項目は、脊椎疾患関連で保健サービスの利用にかかったインフレ率調整後の医療費と、自己申告に基づく健康状態の年次調査の結果とした。全国推計は、1997年から2005年までの調査回答者で、脊椎疾患があると答えた者とそうでない者の年次サンプルをベースとした。1997年には合計23,045人の回答者がサンプリングされ、3,139例が脊椎疾患を申告。2005年は22,258人の回答者のうち、3,187例が脊椎疾患を申告した。医療費は増加したが身体・精神面の改善はうかがえず1997年の、平均年齢・性補正後の脊椎疾患がある者の1人当たり医療費は4,695ドル(95%信頼区間:4,181~5,209ドル)。一方、脊椎疾患のない者の医療費は2,731ドル(同2,557~2,904ドル)だった。これが2005年には同条件で、脊椎疾患がある者の医療費は6,096ドル(同5,670~6,522ドル)、疾患のない者の医療費は3,516ドル(同3,266~3,765ドル)だった(1997年と2005年との比較に際しインフレ率で調整済)。脊椎疾患を持つ回答者の推算総医療費は、1997年から2005年までの間にインフレ率調整後で65%上昇しており、全体の医療費より急速に増大していることが明らかになった。また背部・頸部に疾患のある者のうち、身体機能の制限を自己申告した者は、1997年の20.7%(95%信頼区間:19.9%~21.4%)から、2005年には24.7%(同23.7%~25.6%)に増えていた。さらに脊椎疾患がある者の心の健康、身体機能、労働・修学制限、社会的制約に関する性・年齢調整後の申告に基づく障害度は、1997年より2005年で悪化していた。これらから研究グループは、「背部・頸部疾患は、保健医療費のかなりの部分を占めることがわかった。また脊椎関連医療費は1997年から2005年にかけて増大したが、だからといって健康状態の改善に寄与したとの証拠は得られていない」と結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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組織レベルの潜在的な利益相反には継続して注意が必要

医学研究は、組織レベルの利益相反に影響される可能性があるが、これまでアメリカの医科大学が、組織レベルの利益相反(ICOI)を伴う課題にどう対処してきたかに関する全国的なデータはなかった。そこで米国医科大学協会(AAMC)のSusan H. Ehringhaus氏らが全国調査を実施。「潜在的な利益相反について倫理委員会(IRB)に報告する制度に不備がある」として、医学界は継続的に注意を払う必要性を強調している。JAMA誌2008年2月13日号より。全米125医科大学の学部長が調査対象米国の医科大学は、2つの国立高等教育機関と研究機関が基準として推奨するICOI対処方針と実践を採用しているが、Ehringhaus氏らはその現状を評価する調査を実施した。調査対象は、米国における公認された「西洋医学」(逆症療法)の大学125施設で、2006年2月~12月在職の学部長。各大学が自らの組織と職員に適用しているICOI対処方針の範囲、隠された実態や役割の有無、経済的関係への対処方針の範囲、 ICOIを回避する手段として推奨された組織の存在、ICOIに対する倫理委員会(IRB)との組織的連携を評価した。潜在的ICOIに関する倫理委員会への報告制度に不備調査には125医科大学のうち86施設(69%)から回答があった。施設として経済的利益に適用するICOI方針を採用していたのは30施設(38%)だけだが、職員個人の経済的利益に適用するICOI方針を採用していたのは、上級職員対象が55施設(71%)、中級職員対象が55施設(69%)、倫理調査委員会メンバー対象が62施設(81%)、取締役会メンバー対象が51施設(66%)あった。また43施設(78%)は、研究スポンサーと研究担当職員間、43施設(78%)は研究目的の成果物と研究担当職員間の利害関係を潜在的ICOIとして扱っていた。大部分の施設は、研究責任を投資的経営と技術移転義務から分離する組織があったが、Ehringhaus氏らは、「審査中の研究プロジェクトにおける潜在的ICOIについて、倫理委員会に報告する制度に不備がある」として、「より包括的なICOIがもたらす課題に対処するために、純粋に学問的な医学的立場からの継続的な注意が必要」と強調している。(朝田哲明:医療ライター)

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コーラなどのソフトドリンクは男性の痛風リスクを高める

砂糖で甘味を加えたソフトドリンク(コーラ、その他の炭酸飲料など)に多く含まれる果糖は血清尿酸値を上昇させることが知られているが、これらの飲み物や果糖と、痛風リスクの関連は明らかにされていない。カナダBritish Columbia大学バンクーバー総合病院のHyon K. Choi氏らは、大規模なコホート研究によってこれらの飲料が男性の痛風リスクを増大させることを確認、BMJ誌2008年2月9日号(オンライン版1月31日号)で報告した。4万6,393人の男性医療従事者を対象とした12年に及ぶ研究本試験は、進行中の医療従事者追跡研究(health professionals follow-up study)に登録された5万1,529人の男性医療従事者(歯科医、検眼師、整骨医、薬剤師、足治療医、獣医)のうち、ベースライン時に痛風の既往歴がなかった4万6,393人を対象とした12年に及ぶプロスペクティブなコホート研究。登録者の91%が白人で、年齢は1986年時に40~75歳であった。ソフトドリンクおよび果糖の摂取に関する情報は検証食物頻度質問票(validated food frequency questionnaires)を用いて収集した。主要評価項目は、米国リウマチ学会の判定規準を満たす痛風の発生率とした。フルーツジュース、リンゴ、オレンジもリスクを増大12年の追跡期間中に755人が痛風を発症した。砂糖で甘味を加えたソフトドリンクの摂取の増加にともなって痛風のリスクが増大した。ソフトドリンクの摂取が月に1杯未満の群に比べ、週に5~6杯の群の多変量相対リスクは1.29、日に1杯の群では1.45、日に2杯以上の場合は1.85であった(傾向性のp=0.002)。ダイエット用のソフトドリンク(低カロリーのコーラなど)は痛風リスクを増大させなかった(傾向性のp=0.99)。果糖の摂取量を5つの段階に分け、最も少ない群の痛風の多変量相対リスクを1.00とした場合、摂取量が増えるに従って相対リスクは1.29、1.41、1.84、2.02と上昇した(傾向性のp<0.001)。また、果糖の摂取を高めるフルーツジュースや果糖が豊富な果物(リンゴ、オレンジ)も、痛風リスクを増大させた(傾向性のp<0.05)。Choi氏は、「砂糖で甘味を加えたソフトドリンク、フルーツジュース、果糖が豊富な果物は男性の痛風リスクを著明に増大させたが、ダイエット用のソフトドリンクは増大させなかった」と結論したうえで、「従来の痛風予防の食事療法はプリン体の摂取制限に焦点を当てているが、低プリン体食は炭水化物を多く含み、果糖が豊富な食べ物が多いため、全体としてはかえって痛風発作のリスクを高める可能性がある」と注意を促している。(菅野守:医学ライター)

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医療サービス開発への患者の参画は、質の改善をもたらすか

医療サービスの開発に患者や地域社会が参画すれば、よりよいサービスがもたらされアウトカムが改善すると考えられているが、サービスの質や有効性に対する患者参画の効果を示すエビデンスは少ないという。今回、ロンドン市で実施された脳卒中医療サービスの近代化プログラムにおける検討で、医療サービスの開発に患者が参画しただけではサービスの質は改善しないことが示された。英国King’s College LondonのNina Fudge氏がBMJ誌2008年2月9日号(オンライン版1月29日号)で報告した。日常診療への患者の参画に影響を及ぼす因子を同定する本試験は、患者参画の施策が医療サービス機関にどう受け止められるかを把握し、日常診療への患者の参画に影響を及ぼす因子の同定を目的とした民族誌的研究である。対象は、ロンドン市の2つの特別区における脳卒中医療サービスの改善を目的とした近代化プログラムに参画した医療サービスの利用者(患者)、国民保険サービス(NHS)のマネージャーおよび医師であった。調査は、参加者との協議、インタビュー、記録文書に基づいて行われた。医療従事者と患者は異なる方法で患者参画を理解し、実践している患者のプログラムへの参画は医療従事者が先導しており、患者が参画するサービス改善の領域も医療従事者が決めていた。患者同士が提供し合うサポートに関する満足度調査では、広範な活動領域で「患者の参画」が期待されていた。参画が最も活発であったのは、技術的な要素が少ない領域および医師からの指示がほとんどない領域という傾向がみられた。これを説明しうる因子として以下が確認された。1)組織構成、2)患者参画という概念のあいまいさ、3)患者の経験的知識に対する高い評価、4)参画に対する医療従事者と患者の理解および意欲のばらつき。参画の利益を医療サービスに及ぼす影響の観点から確認するのは困難であったが、参画によって得られる個人的な利益は明確だった。すなわち、医療従事者に話を聞いてもらうことで得られる満足感、同様の境遇にいる他者と会う機会、脳卒中および利用可能なサービスに関する知識の増加などである。以上の結果をふまえ、Fudge氏は「患者の参画によって自動的に医療サービスの質が改善されるわけではない。医療従事者と患者は、個人的なイデオロギー、生活環境、必要性に従い異なる方法で患者参画を理解し、実践している」と結論する。また、「医療サービス開発への患者参画の取り組みにおける開発の手がかり(resource implications)を考慮すれば、それを求めるに足るベネフィットに関するより優れたエビデンスだけでなく、参画の目的に関しても批判的な議論を行う必要がある」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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