ラルテグラビルは、未治療HIV-1感染患者の1次治療の併用薬として有用

ラルテグラビル(商品名:アイセントレス)ベースの併用療法は、未治療のHIV-1感染患者において迅速かつ高い抗レトロウイルス活性を示し、その有効性はエファビレンツ(同:ストックリン)に劣らないことが、アメリカEmory大学のJeffrey L Lennox氏らが実施した無作為化対照比較試験で判明した。すでに、最適な基礎療法のもとでのラルテグラビルの併用は、既治療の多剤耐性HIV-1感染患者に有効で、耐用性も良好であることが示されている。Lancet誌2009年9月5日号(オンライン版2009年8月3日号)掲載の報告。
ラルテグラビルのエファビレンツに対する非劣性試験
研究グループは、未治療例に対する併用抗ウイルス療法としてのラルテグラビルとエファビレンツの安全性および有効性を比較する多施設共同二重盲検無作為化対照比較試験を行った。
対象は、血漿ウイルスRNAコピー数>5,000/mLのHIV-1感染者で、ベースライン時にエファビレンツ、テノホビル(同:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)に耐性のない症例とした。これらの患者が、テノホビル+エムトリシタビンとの併用療法として、ラルテグラビル400mgを1日2回経口投与する群あるいはエファビレンツ600mgを1日1回経口投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。
有効性に関する主要評価項目は、48週における血漿ウイルスRNAコピー数<50/mLとした。per protocol解析を行い、非劣性の境界基準は12%とした。
ウイルス抑制効果は同等、有害事象は有意に低減
2006年9月~2008年6月までに5ヵ国67施設から登録された566例のうち、実際に治療を受けたのはラルテグラビル群が281例、エファビレンツ群は282例であり、3例は治療を受けなかった。ベースライン時に、297例(53%)が血漿ウイルスRNAコピー数>100,000/mLで、267例(47%)がCD4細胞数≦200/μLであった。
48週における血漿ウイルスRNAコピー数<50/mLの達成率は、ラルテグラビル群が86.1%、エファビレンツ群は81.9%であった(群間差:4.2%)。ウイルス抑制の達成までの期間は、ラルテグラビル群がエファビレンツ群よりも有意に短かった(log-rank検定:p<0.0001)。
薬剤関連の臨床的な有害事象の発現率は、ラルテグラビル群が44.1%であり、エファビレンツ群の77.0%に比べ有意に少なかった(群間差:-32.8%、p<0.0001)。重篤な薬剤関連有害事象の頻度は両群とも2%未満であった。
著者は、「ラルテグラビルベースの併用療法は迅速かつ高い抗レトロウイルス活性を示し、投与48週における効果はエファビレンツに劣らない。未治療例に対する抗HIV-1併用レジメンとして、ラルテグラビルはエファビレンツに代わる良好な耐用性を有する」と結論している。
また、この知見を踏まえ、「ラルテグラビルは、未治療例の1次治療においてエファビレンツと代替可能であり、テノホビル+エムトリシタビンとの併用薬として考慮すべきである」と指摘している。
(菅野守:医学ライター)
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