コラゲナーゼ注射はデュプイトラン病関節拘縮を有意に改善

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/16

 



デュプイトラン病は、手指機能が制限されQOL低下を招くばかりか、最終的には手の機能を失う可能性がある疾患である。標準治療は外科的手術とハンドセラピーとされるが、重い合併症を伴う可能性が捨てきれない。同疾患の新しい治療薬として開発されたヒストリチクム菌由来のコラゲナーゼ注射薬は、デュプイトラン病による関節拘縮を改善する、診察室で施行可能な非外科的治療選択肢としての可能性が期待されている。本論は、同剤に関するニューヨーク州立大学のLawrence C. Hurst氏らによるphase 3の臨床試験CODE1からの報告で、NEJM誌2009年9月3日号にて掲載された。

拘縮0~5度の完全伸展まで改善するかを評価




研究グループは、無作為化二重盲検プラセボ対照多施設前向き試験において、関節拘縮が20度以上の患者308例を登録し検討した。患者の主要な中手指節関節または近位指節間関節に、ヒストリチクム菌由来コラゲナーゼ注射薬(1回0.58mg)またはプラセボ注射薬を、収縮した膠原腱に30日間隔で最高3回まで接種するようランダムに割り付け、注射の翌日にハンドセラピーを施行した。

主要エンドポイントは、最後の注射の30日後に、拘縮0~5度の完全伸展まで改善することとした。26項目に及ぶ副次エンドポイントも評価対象とされ、有害事象に関するデータが集められた。

コラゲナーゼ注射はデュプイトラン病関節拘縮を有意に改善




コラゲナーゼ注射を受けた群の転帰は、有意に改善された。コラゲナーゼ注射群の腱はプラセボ群の腱より、より多数例が主要エンドポイントを満たし(64.0%対6.8%、P<0.001)、副次エンドポイントのすべての項目も同様に勝っていた(P≦0.002)。

関節可動域も総じて、コラゲナーゼ注射群はプラセボ群と比較して有意に改善されていた(43.9度から80.7度対45.3度から49.5度、P<0.001)。

有害事象に関しては、最も多かったのは限局性の腫脹、疼痛、挫傷、そう痒、一時的な局所リンパ節の腫脹および圧痛だった。

治療関連の重篤な有害事象は3例報告された(腱断裂が2例、複合性の局所疼痛症候群1例)。屈曲と握力に有意な変化はみられず、全身アレルギー反応、神経損傷も観察されなかった。

これらの結果から研究グループは、ヒストリチクム菌由来コラゲナーゼ注射薬は、進行性デュプイトラン病に冒された関節の拘縮を有意に改善するとともに、関節可動域を拡大すると結論づけている。

(医療ライター:朝田哲明)