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デング熱媒介蚊コントロール戦略、幼虫よりも成虫標的のほうが費用対効果に優れる

都市部におけるデング熱の媒介蚊(ベクター)コントロール戦略では、高い駆除効果を有する殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールが、費用対効果に優れる介入と考えられることが、米国・エール大学のPaula Mendes Luz氏らの検討で示された。世界で推定25億人がデング熱罹患リスクにさらされ、とくに医療資源に制約のある国で罹患率が高い。毎年約5,000万人が感染し、ベクターと人口の密度上昇により特に都市部で増加している。デング熱コントロールは、主にベクターの幼虫あるいは成虫を標的とした殺虫剤散布に依存するが、殺虫剤抵抗性の進化によりコントロール・プログラムが失敗に終わる可能性があるという。Lancet誌2011年5月14日号(オンライン版2011年5月3日号)掲載の報告。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略の費用対効果を評価研究グループは、デング熱ベクターのコントロール戦略について疫学的および経済的評価を行った。ヒトにおけるデング熱感染抑制の進化的、免疫学的な長期効果を評価する動的モデルを開発した。デング熱による健康負担を障害調整生存年数(disability-adjusted life-years; DALY)の損失で評価した。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略(成虫または幼虫を標的とした戦略など)について、駆除効果(高:駆除率90%、中:同60%、低:同30%)および年間殺虫剤散布回数(1~6回)に基づいて費用対効果分析を行った。得られた結果に対するパラメータ不確実性の影響を評価するために、確率的感度分析および閾値分析を行った。幼虫を標的とするコントロールは逆効果を招く可能性もすべての介入において、集団免疫の喪失に伴って、将来的なデング熱流行の強度を増強すると考えられる殺虫剤抵抗性の発現がみられた。モデル分析では、高駆除効果の殺虫剤を年1回以上散布する幼虫コントロールによってデング熱による健康負担が最高で2年まで低下した。これに対し、高駆除効果殺虫剤の年3回以上散布による成虫コントロールでは健康負担が最高4年間低下した。高駆除効果殺虫剤の年2回散布による成虫コントロール戦略の増分費用対効果比は615米ドル/DALYの節減となり、年6回散布による成虫コントロールでは1,267米ドル/DALYが節減された。感度分析では、成虫コントロールの費用が幼虫コントロールの8.2倍以上に達すると、成虫コントロールに基づくすべての戦略が優位になることが示された。著者は、「高駆除効果殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールはWHOの基準を満たす費用対効果比を示し、それゆえ費用対効果に優れた介入と考えられる。幼虫コントロールは、殺虫剤抵抗性の進化や集団免疫の喪失によって後年のデング熱流行に悪影響を及ぼし、逆効果を招く可能性がある」と結論し、幼虫に限定したベクター・コントロール対策の再評価を提言している。(菅野守:医学ライター)

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転移性膵臓がんに対するFOLFIRINOXレジメンvs. ゲムシタビン

転移性膵臓がんに対する第一選択治療としての併用化学療法レジメンFOLFIRINOXの有効性と安全性について、ゲムシタビン単剤療法と比較した初の検討結果が示された。フランス・ナンシー大学腫瘍学部門のThierry Conroy氏らによる。FOLFIRINOXは、オキサリプラチン+イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリンの4剤併用のレジメンで、ゲムシタビン併用レジメンの検討で示唆された細胞傷害性を参考に編み出された。全身状態良好な進行性膵臓がんを対象とした第1相、第2相試験で有効であることを試験成績が示され、第2-3相試験として転移性膵臓がんに対する第一選択治療としてのゲムシタビンとの比較検討が行われた。NEJM誌2011年5月12日号掲載より。全身状態良好な転移性膵臓がん患者342例を対象に無作為化試験試験は2005年12月~2009年10月の間、フランス国内48施設から集められた、全身状態の指標であるECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)スコア(0~5、スコアが高いほど重症度が高い)が0もしくは1の患者342例を対象に行われた。被験者は無作為にFOLFIRINOXレジメンかゲムシタビン単剤を投与する群に割り付けられた。FOLFIRINOXレジメンは、2週間を1サイクルとして、オキサリプラチン85mg/m2を2時間静注、直後にロイコボリン400mg/m2を2時間静注、ロイコボリン投与開始遅れること30分後にイリノテカン180mg/m2静注を開始し90分間、直後にフルオロウラシルを400mg/m2ボーラス投与後2,400mg/m2を46時間持続点滴静注であった。一方、ゲムシタビン投与は1,000mg/m2の週1回30分間静注を7週間投与し、1週間休薬後、4週間のうち3週間投与というスケジュールだった。両群とも反応がみられた患者で、6ヵ月間の化学療法が推奨された。主要エンドポイントは、全生存期間。最終データの解析が行われたのは2010年4月だった。FOLFIRINOX群の死亡ハザード比0.57、有害事象の発生はより多い結果、全生存期間中央値は、ゲムシタビン群6.8ヵ月に対しFOLFIRINOX群は11.1ヵ月で、FOLFIRINOX群の死亡ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.45~0.73、P<0.001)だった。無増悪生存期間中央値は、FOLFIRINOX群6.4ヵ月、ゲムシタビン群3.3ヵ月で、FOLFIRINOX群の疾患進行ハザード比は0.47(同:0.37~0.59、P<0.001)だった。客観的奏効率は、ゲムシタビン群9.4%に対し、FOLFIRINOX群は31.6%であった(P<0.001)。有害事象の発生は、FOLFIRINOX群のほうが多かった。またFOLFIRINOX群で発熱性好中球減少症を呈した患者は5.4%であった。6ヵ月時点の定義評価でQOL低下が認められた患者は、FOLFIRINOX群31%に対し、ゲムシタビン群66%に上った(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.30~0.70、P<0.001)。以上からConroy氏は、「FOLFIRINOXレジメンはゲムシタビン単剤療法と比べて、生存利益があることが認められた。毒性はより強かった」とまとめたうえで、「FOLFIRINOXレジメンは、転移性膵臓がんで全身状態が良好な患者の治療選択肢の一つとなる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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女性の重大健康問題、骨盤臓器脱には、メッシュキット修復術か膣壁形成術か

骨盤臓器脱の修復法として近年急速に広がった、標準化されたトロカールガイド下ポリプロピレン製メッシュキットを用いた経膣的修復術について、従来の膣壁形成術と比較検討した結果、短期的な治療成功率は高かったが、手術合併症および術後の有害事象発生率も高いことが明らかにされた。スウェーデン・Danderyd病院産婦人科のDaniel Altman氏らによる多施設共同並行群無作為化試験による。骨盤臓器脱は女性を悩ます健康問題の一つとして世界的に重大視されるようになっている。米国では年間30万件以上の前膣壁形成術が行われているが再発リスクが40%以上に上り、革新的な術式への関心が高まっていた。そのような中で急速に広がったのが、従来の手法とは全く異なる、メッシュキットで膣壁を吊り上げるという術式だが、これまで無作為化試験による両者のアウトカム検討のデータがなかったという。NEJM誌2011年5月12日号掲載より。主要アウトカムはメッシュキット修復群60.8%、従来群34.5%試験は2007年12月~2008年12月、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの53病院から被験者を募り行われた。1,685例がスクリーニングを受け、前膣壁脱(膀胱瘤)を有する389例が無作為に、メッシュキット修復群(200例)か従来の膣壁形成術群(189例)に割り付けられた。主要アウトカムは、術後12ヵ月時点の、骨盤臓器脱を定量化したPOP-Qシステムによる客観的解剖学的所見がステージ0(脱なし)または1(前膣壁の位置が処女膜より上1cm超)と、膣膨隆症状の主観的な消失との複合とされた。結果、1年時点の主要アウトカム発生は、メッシュキット修復群60.8%、従来群34.5%で、メッシュキット修復群のほうが有意に多かった(絶対差:26.3ポイント、95%信頼区間:15.6~37.0)。メッシュキット修復群は手術時間が長く、術中出血多く、術後新たな腹圧性尿失禁発生も一方で、メッシュキット修復群のほうが、手術時間が長く(P<0.001)、手術時の出血の割合も高かった(P<0.001)。膀胱穿孔率は、メッシュキット修復群3.5%、従来群0.5%だった(P=0.07)。術後に新たに発生した腹圧性尿失禁の割合はそれぞれ12.3%、6.3%だった(P=0.05)。また追跡期間中、メッシュキット修復群186例のうち3.2%で、メッシュの露出を修正するための外科的処置が行われた。(武藤まき:医療ライター)

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浸潤性乳がん患者へのタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法後の生存率の予測モデルを開発

米国Nuvera Biosciences社のChristos Hatzis氏らは、浸潤性乳がん患者へのタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法に対する反応性を、遺伝子発現様式で予測するモデルを開発した。同モデルとエストロゲン受容体(ER)の陽性・陰性を組み合わせることで、生存率について8~9割の確率で予測することができたという。JAMA誌2011年5月11日号で発表した。浸潤性乳がん310人を基にモデル開発、198人を対象に検証研究グループは、2000年6月~2010年3月にかけて、多施設共同前向き試験を行った。被験者は、新たに浸潤性乳がんの診断を受けたERBB2(HER2またはHER2/neu)陰性の患者で、タキサン系+アントラサイクリン系ベースの化学療法の治療を受けた310人だった。ER陽性の場合には、化学療法と併せて内分泌療法を行った。被験者グループを基に、遺伝子発現様式によるタキサン系+アントラサイクリン系ベース化学療法感受性の予測モデルを作り、独立評価群(198人)で生存率や病理学的反応などについての予測能を検証した。なお、独立評価群の99%が臨床ステージ2または3だった。治療感受性群の遠隔無再発生存率は92%結果、独立評価群のうち、同モデルで治療感受性と予測された人は28%で、そのうち病理学的反応が非常に良好である確率は56%(95%信頼区間:31~78)、遠隔無再発生存率は92%(同:85~100)、絶対リスク減少は18%(同:6~28)だった。被験者でER陽性のうち同モデルで治療感受性と予測されたのは30%で、遠隔無再発生存率は97%(同:91~100)、絶対リスク減少は11%(同:0.1~21)だった。一方ER陰性のうち治療感受性と予測されたのは26%で、遠隔無再発生存率は83%(同:68~100)、絶対リスク減少は26%(同:4~48)だった。また、化学療法への反応性が予測された患者は、その他の遺伝子予測因子によって逆説的に生存率が悪いことが示された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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安定狭心症患者へのPCI前と退院時の至適薬物治療実施率、COURAGE試験発表後も微増にとどまる

COURAGE試験では、安定狭心症患者に対する、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施前の至適薬物治療(OMT)の妥当性を示したが、同試験発表前後のPCI前・退院時のOMT実施率を比べた結果、微増にとどまっていたことが明らかになった。米国・コーネル大学Weill Cornell医学校のWilliam B. Borden氏らが、47万人弱の安定冠動脈疾患患者を対象に行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年5月11日号で発表した。被験者全体のPCI前OMT実施率は44.2%、退院時実施率は65.0%同研究グループは、2005年9月から2009年6月にかけて、PCIを実施した安定冠動脈疾患患者、46万7,211人について観察研究を行った。主要評価項目は、COURAGE(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation)試験発表前後の、PCI前と退院時のOMT実施率だった。なおCOURAGE試験は、安定冠動脈疾患患者を対象に、OMTのみと、OMTとPCIの併用について、その臨床アウトカムを比較した無作為化試験。同試験の結果から、生存率や心筋梗塞発症率に両群で有意差が認められず、すなわちPCI前の積極的なOMTの妥当性が示されていた。今回のBorden氏らによる試験の結果、被験者全体でPCI前のOMT実施率は44.2%(95%信頼区間:44.1~44.4)、退院時のOMT実施率は65.0%(同:64.9~65.2)だった(p<0.001)。PCI前OMT実施率は1.2ポイント増、退院時実施率は2.5ポイント増COURAGE試験の前後で比較してみると、同試験発表前の被験者17万3,416人のうち、PCI前にOMTを実施していたのは7万5,381人(43.5%、同:43.2~43.7)だったのに対し、同試験発表後の被験者29万3,795人中では13万1,188人(44.7%、同:44.5~44.8)であり、1.2ポイント増だった(p<0.001)。またPCI後の退院時OMT実施率も、COURAGE試験前63.5%(同:63.3~63.7)に対し、同試験後は66.0%(同:65.8~66.1)で、2.5ポイント増(p<0.001)と変化は微増だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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医学論文の適格基準は、プロトコールを正しく反映しない

医学誌で公表された論文の多くは、患者を選定する適格基準(eligibility criteria)が、プロトコールで事前に規定された被験者集団の正確な定義を反映していないことが、ドイツ・フライブルグ大学医療センターのAnette Blumle氏らの調査で示された。これまでに、結果の記載に欠落がある無作為化試験の報告や、試験方法(無作為化の仕方など)に関する重要情報を欠く論文もあることが指摘されている。一方、被験者の正確な情報は、その試験結果が適用可能な同様の病態の患者を知りたいと考える読者にとって重要だが、試験参加者を選択する適格基準の記載状況についてはあまり知られていないという。BMJ誌2011年5月7日号(オンライン版2011年4月5日号)掲載の報告。プロトコールと論文の適格基準の一致、欠落、変更、追加を検討研究グループは、ドイツの大学医学部の倫理委員会に申請された無作為化試験のプロトコールで事前に規定された参加者の適格基準が、その後、関連論文でどのように報告されたかを検討するコホート試験を実施した。2000~2006年までに公表された52件の試験プロトコールと、これに基づく78編の論文の間の適格基準の一致、欠落、変更、新たな追加について評価した。全プロトコールで、論文での適格基準情報の欠落を確認52試験のすべてで、プロトコールとこれに基づく論文の間に差異がみられた。すなわち、論文における適格基準情報の欠落が52件のプロトコールのすべてで確認され(100%、95%信頼区間:93~100%)、変更は44件(85%、同:72~93%)、新たな追加は21件(41%、同:27~55%)で認められた。各試験における適格基準の平均項目数は25(7~43)であった。プロトコールで事前に規定された1,248項目の適格基準のうち、論文と一致したのは606項目(49%、同:46~51%)で、欠落が479項目(38%、同:36~41%)、変更は163項目(13%、同:11~15%)であった。プロトコールにない51項目が、論文で新たに追加されていた。適格基準の多くが併存疾患(42%、95%信頼区間:39~45%)、治療(20%、同:18~22%)、疾患のタイプや重症度(17%、同:15~19%)に関するものであった。欠落していた適格基準の96%(同:94~97%)および変更された基準の54%(同:46~62%)が被験者集団の範囲をさらに広げるために行われ、新たな追加の86%(同:74~94%)は、これをより限定するために行われたことが示唆された。著者は、「試験情報の利用者の多くは、公表された雑誌論文を信頼しているが、これらの論文は全般にプロトコールで事前に規定された被験者集団の正確な定義を反映していない」と結論づけ、「適格基準の不完全で不正確な報告は、試験結果の適用性の正確な評価を阻害する」と警告する。(菅野守:医学ライター)

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高齢患者におけるレボチロキシン用量と骨折リスクとの関連

甲状腺ホルモン製剤レボチロキシン(商品名:レボチロキシンナトリウム、チラーヂン)で治療中の高齢患者は、以前に使用経験のある患者よりも骨折リスクが高く、高~中用量群の患者は低用量群に比べてリスクが上昇していることが、カナダ・トロント大学のMarci R Turner氏らの調査で示された。甲状腺機能低下症で長期にレボチロキシン投与中の高齢患者の中には、過剰治療の状態にある者がおり、これらの患者は医原性の甲状腺機能亢進症を来す可能性があるという。また、高用量のレボチロキシンや無症候性甲状腺機能亢進症によって骨密度が低下し、転倒や骨折のリスクが上昇することが示唆されている。BMJ誌2011年5月7日号(オンライン版2011年4月28日号)掲載の報告。レボチロキシン使用による骨折リスクを評価するコホート内症例対照試験研究グループは、レボチロキシンの用量が高齢者の骨折リスクに及ぼす影響を評価するコホート内症例対照試験(nested case-control study)を実施した。2002年4月1日~2007年3月31日までにレボチロキシンを処方された70歳以上の高齢患者について、2008年3月31日まで骨折のフォローアップが行われた。この間に骨折で入院した患者コホートを、骨折を起こしていないコホートから選ばれた最大5人の対照とマッチさせた。主要評価項目は、レボチロキシン使用(現在使用中、最近まで使用、以前に使用)による骨折(手首/前腕、肩/上腕、胸椎、腰椎/骨盤、股関節/大腿骨、下肢/足関節)とした。レボチロキシン使用中の群は、骨折前年の用量(高[>0.093mg/日]、中[0.044~0.093mg/日]、低[<0.044mg/日])で比較した。高~中用量群の骨折リスクは低用量群の2~3倍にレボチロキシン使用者21万3,511人(平均年齢82歳)のうち、平均フォローアップ期間3.8年の時点で2万2,236人(10.4%)が骨折を起こし、そのうち1万8,108人(88%)が女性であった。現在使用中の患者は2万514人(92.3%)で、このうち高用量群が6,521人(31.8%)、中用量群が1万907人(53.2%)、低用量群は3,071人(15.0%)であった。多数のリスク因子で調整しても、以前に使用経験のある者に比べ、最近まで使用していた者は骨折リスクが有意に高かった(調整オッズ比:1.88、95%信頼区間:1.71~2.05)。現在使用中の患者では、高用量および中用量の群は、低用量群に比べ骨折リスクが有意に上昇していた(それぞれ、調整オッズ比:3.45、95%信頼区間:3.27~3.65、同:2.62、2.50~2.76)。著者は、「現在レボチロキシン治療中の70歳以上の高齢患者では、強い用量-反応関係をもって骨折リスクが上昇していた」と結論し、「過剰治療を回避するには、治療中の用量のモニタリングが重要」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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膵体尾部切除術後のステープル創閉鎖、膵液瘻の予防効果を改善せず:DISPACT試験

膵体尾部切除術後の創閉鎖にステープルを用いても、縫合糸による閉鎖に比べて膵液瘻の発生率は減少しないことが、ドイツ・ハイデルベルク大学のMarkus K Diener氏らの検討で明らかとなった。膵体尾部切除術後の膵液瘻の形成は、主な術後合併症の原因となっており(13~64%)、腹腔内膿瘍、創感染、敗血症、吸収不良、出血などの、さらなる合併症を引き起こすことが、系統的レビューによって示されている。手術手技や施術医の技能が膵液瘻のリスク因子とされ、切除や残存膵閉鎖の手技によって瘻孔形成に差があることが報告されているが、最適な膵断端閉鎖法は確立されていないという。Lancet誌2011年4月30日号(オンライン版2011年4月27日号)掲載の報告。ステープル閉鎖と縫合糸閉鎖を比較する無作為化対照比較試験DISPACT試験の研究グループは、膵体尾部切除術後の膵液瘻の予防における、標準化されたステープルによる創閉鎖と縫合糸による閉鎖の有効性を比較する、多施設共同無作為化対照比較試験を行った。ヨーロッパの21施設から、膵体部および尾部の疾患で膵体尾部切除術の適応とされた患者が登録され、ステープル閉鎖を行う群あるいは縫合糸閉鎖を行う群に無作為化に割り付けられた。主要評価項目は、術後7日までの膵液瘻または死亡の発生率の複合エンドポイントとし、患者および予後評価者には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目:32% vs. 28%2006年11月16日~2009年7月3日までに450例(ステープル閉鎖群:221例、縫合糸閉鎖群:229例)が登録され、そのうち352例(それぞれ177例[女性92例、男性85例、平均年齢59.8歳]、175例[女性99例、男性76例、年齢59.8歳])が評価可能であった。術後7日までの膵液瘻または死亡の発生率は、ステープル閉鎖群が32%(56/177例)、縫合糸閉鎖群は28%(49/175例)であり、両群間に差を認めなかった(オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.53~1.33、p=0.56)。縫合糸閉鎖群の1例が術後7日以内に死亡したが、ステープル閉鎖群には死亡例は認めなかった(p=0.31)。重篤な有害事象の発生率は両群に差はなかった(膵液瘻:ステープル閉鎖群20% vs. 縫合糸群22%、膿瘍/膵液貯留:16% vs. 9%、出血:7% vs. 9%、創感染:2% vs. 7%など、p=0.25)。重篤な有害事象による死亡率も同等であった(13% vs. 15%、p=0.69)。著者は、「ステープル閉鎖は、縫合糸閉鎖に比べ膵体尾部切除術後の膵液瘻の発生率を低下させなかった」と結論し、「膵体尾部切除術に伴う有害なアウトカムを抑制するには、革新的な手術手技など新たな治療戦略の開発が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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急性虫垂炎に対する抗生物質治療 vs. 切除術

単純性急性虫垂炎の治療におけるアモキシシリン+クラブラン酸による抗生物質治療の効果は、緊急虫垂切除術よりも劣っており、現在でもgold standardは虫垂切除術であることが、フランス・アントワーヌ・ベクレール病院のCorinne Vons氏らの検討で明らかとなった。急性虫垂炎は、急性の腹痛で入院した患者の中で手術を要する頻度が最も高い疾患だという。4つの無作為化試験をはじめいくつかの検討で、単純性急性虫垂炎は抗生物質治療で治癒が可能であり、1次治療となる可能性もあることが示唆されている。Lancet誌2011年5月7日号掲載の報告。抗生物質治療の虫垂切除術に対する非劣性試験研究グループは、単純性急性虫垂炎の治療における抗生物質治療(アモキシシリン+クラブラン酸)の緊急虫垂切除術に対する非劣性を検証する非盲検無作為化試験を実施した。2004年3月11日~2007年1月16日までに、フランスの6つの大学病院からCT検査で診断された18~68歳の単純性急性虫垂炎患者が登録された。これらの患者が、アモキシシリン+クラブラン酸(体重90kg未満:3g/日、90kg以上:4g/日)を8~15日間投与する群あるいは緊急虫垂切除術を施行する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、介入後30日以内の腹膜炎の発生率とした。主要評価項目:8% vs. 2%243例が登録され、123例が抗生物質治療群に、120例は虫垂切除術群に割り付けられた。介入前に早期脱落した4例を除外した239例(抗生物質治療群120例、虫垂切除術群119例)がintention-to-treat解析の対象となった。30日以内の腹膜炎の発生率は、抗生物質治療群が8%(9/120例)と、虫垂切除術群の2%(2/119例)に比べ有意に高かった(治療群間差:5.8例、95%信頼区間:0.3~12.1)。虫垂切除術群では、事前にCT検査による評価を行ったにもかかわらず、予想外にも手術時に119例中21例(18%)が腹膜炎を伴う複雑性虫垂炎であることが判明した。抗生物質治療群120例のうち14例(12%、95%信頼区間:7.1~18.6)が30日以内に虫垂切除術を施行され、この14例と30日以内に追跡を中止した4例を除く102例のうち30例(29%、同:21.4~38.9)が30日~1年までの間に虫垂切除術を受けた。前者のうち急性虫垂炎であったのは13例(再発率:11%、同:6.4~17.7)、後者では26例であった(同:25%、18.0~34.7)。著者は、「急性虫垂炎の治療におけるアモキシシリン+クラブラン酸による抗生物質治療の緊急虫垂切除術に対する非劣性は確認されなかった。現在でも、緊急虫垂切除術は単純性急性虫垂炎の治療のgold standardである」と結論し、「CT検査に関する予測マーカーが同定されれば、抗生物質治療が有効な患者の選出が可能になるかもしれない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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かかりつけ医下の患者における、LTRAの喘息治療第一選択薬、追加薬としての有効性

ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の有効性について、臨床実態の反映を企図したプラグマティックな無作為化試験の結果が報告された。英国・アバディーン大学プライマリ・ケアセンターのDavid Price氏らが、「これまでほとんどの喘息治療の試験は、“理想的な条件下にある特定の患者”を対象に行われてきた」として、英国医療技術評価プログラム(U.K. Health Technology Assessment Programme)からの委託を受け行ったもの。第一選択薬試験と追加薬試験の2つを並行で多施設共同にて行い、2年間の結果がNEJM誌2011年5月5日号に掲載された。12~80歳の喘息関連QOLが低くコントロール不十分な患者を対象に第1の試験は、LTRAの長期管理の第一選択薬としての有効性を吸入グルココルチコイド薬と比較した試験(第一選択薬試験)、第2の試験は吸入グルココルチコイド療法を受けている喘息患者への追加薬としての有効性を長時間作用性β2刺激薬(LABA)と比較した試験(追加薬試験)だった。被験者は、12~80歳の、喘息関連QOLが低く[簡易喘息QOL質問票(MiniAQLQ)スコアが6以下)、喘息コントロールが不十分[喘息管理質問票(ACQ)スコアが1以上)の、かかりつけ医のもとで治療を受けている患者が選ばれた。研究グループは患者を、かかりつけ医の管理下に置いたまま、2年間の非盲検試験に無作為に割り付けた。内訳は、第一選択薬試験にLTRA群148例、グルココルチコイド療法群158例、追加薬試験にLTRA群170例、LABA群182例だった。2ヵ月時点同等、2年時点ほぼ同等、とはいえ試験特性からのバイアスに留意を平均MiniAQLQスコアは、両試験とも2年間において0.8~1.0ポイント上昇した。2ヵ月時点の、各治療群間のMiniAQLQスコアの差は、同等性の定義(補正後平均群間差の95%信頼区間:-0.3~0.3)を満たした。第一選択薬試験での治療間の補正後平均群間差は-0.02(95%信頼区間:-0.24~0.20)、追加薬試験では-0.10(同:-0.29~0.10)だった。2年時点における平均MiniAQLQスコアについては、ほぼ同等に達していた。第一選択薬試験は-0.11(95%信頼区間:-0.35~0.13)、追加薬試験は-0.11(同:-0.32~0.11)だった。増悪率とACQスコアは、両群間で有意差が認められなかった。研究グループは、「2ヵ月時点の試験結果は、LTRAは多様なプライマリ・ケア患者のための長期管理の第一選択薬として、吸入グルココルチコイドと同等であること、また追加薬としてLABAと同等であることを示した。2年時点の同等性は証明されなかった」とまとめたうえで、「プラグマティック試験の結果は、治療群間のクロスオーバーとプラセボ群の欠如という点で制限があることを踏まえたうえで解釈すべき」と結論。「QOLの観点からの臨床的有効性について治療群間の差はわずかであることが示されたが、それがプラグマティック試験ならではの同等性へのバイアスであることを認識することが重要である。臨床での治療選択の意思決定は、プラグマティック試験と同時に従来の無作為化試験の結果をみることによってベストな選択肢を導き出せる」と述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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非保護左冠動脈主幹部狭窄症患者に対するPCI vs. CABG

 韓国・峨山病院心臓研究所のSeung-Jung Park氏らによる、非保護左冠動脈主幹部狭窄症患者を対象とした無作為化試験の結果、シロリムス溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の重大心臓・脳血管イベント発生に関して、冠動脈バイパス術(CABG)に対する非劣性が証明されたとの報告が発表された。ただし「設定した非劣性マージンが広く、臨床への指示的な結果とみなすことはできないものである」と補足している。本試験「PRECOMBAT」は、非保護左冠動脈主幹部狭窄症へのPCIが徐々に増えているが、CABGも治療の選択肢とみなされるのではないかとして行われた。NEJM誌2011年5月5日号(オンライン版2011年4月4日)掲載より。600例の被験者を無作為化、PCIの非劣性マージンは絶対差7ポイントと設定 PRECOMBAT試験は、韓国厚生省委託のもと13施設で行われた前向き非盲検無作為化試験。18歳以上の安定狭心症、不安定狭心症、無症候性心筋虚血または非ST上昇型心筋梗塞の診断を受け、新規に50%以上の非保護左冠動脈主幹部狭窄症が認められた患者が適格とされた。 2004年4月~2009年8月の間に登録された1,454例のうち600例の被験者が無作為に、シロリムス溶出ステントを用いたPCI群(300例)かCABG群(300例)に割り付けられた。 主要エンドポイントは、1年時点の重大有害心臓・脳血管イベントの複合(全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中と虚血性標的血管血行再建)とし、副次エンドポイントは、主要エンドポイント項目(死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合)とステント血栓症とした。 非劣性マージンは、1年時点の重大有害心臓・脳血管イベントのCABG群発生は13%とみなし絶対差7ポイントまでとした。 解析は、1年時点のイベント発生率が予想を下回ったので2年時点の比較も行われた。1年時点絶対差2.0ポイント、2年時点でもPCIの非劣性が認められたが…… 結果、主要エンドポイントは、PCI群26例(累積発生率8.7%)、CABG群(6.7%)でリスクの絶対差は2.0ポイント(95%信頼区間:-1.6~5.6、非劣性P=0.01)だった。 2年時点の主要エンドポイント発生は、PCI群36例(12.2%)、CABG群24例(8.1%)で、PCI群のハザード比は1.50(95%信頼区間:0.90~2.52、P=0.12)だった。また、2年時点の死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合発生は、PCI群13例(4.4%)、CABG群14例(4.7%)、PCI群のハザード比は0.92(95%信頼区間:0.43~1.96、P=0.83)であり、虚血性標的血管血行再建は、PCI群26例(9.0%)、CABG群12例(4.2%)、PCI群のハザード比2.18(95%信頼区間:1.10~4.32、P=0.02)だった。 Park氏は「PCIのCABGに対する非劣性が示された。しかし非劣性マージンが広く、臨床への指示的な結果とみなすことはできない」と結論している。

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小児てんかん患者のアドヒアランスは42%、最初の1ヵ月でパターン化

新たに診断を受けた小児てんかん患者の、抗てんかん薬服用指示に対する遵守の程度(アドヒアランス)について、「重度早期非アドヒアランス」など5パターンが同定できたこと、パターン化は家庭の社会経済的状態と有意に相関していることが明らかになった。米国・シンシナティ小児病院のAvani C. Modi氏らが、124人の新規てんかん児について調査し明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月27日号で発表した。成人てんかん患者における発作や治療の厳格さ、抗てんかん薬の安全な服用、非アドヒアランスがもたらす疾患への影響などを明らかにするため、小児における非アドヒアランスの割合やパターン、予測因子の同定が急がれているが、これまで研究は進んでいなかった。治療開始6ヵ月間、58%でアドヒアランス不良研究グループは、2006年4月~2009年3月にかけて、シンシナティ小児病院で新たにてんかんの診断を受けた2~12歳124人について、前向き縦断観察研究を行った。最終データの収集は2009年9月であった。結果、被験者の58%で、服薬開始後6ヵ月間、持続的なアドヒアランスの不良が認められた。トラジェクトリ・モデルを用いて分析したところ、アドヒアランスは5つのパターンに分類することができた。すなわち遵守の程度が低いほうから、(1)重度早期非アドヒアランス(13%、95%信頼区間:8~20)、(2)重度遅延型非アドヒアランス(7%、同:3~12)、(3)中等度非アドヒアランス(13%、同:8~20)、(4)軽度非アドヒアランス(26%、同:19~34)、(5)アドヒアランスがほぼ完全(42%、同:33~50)。家庭の社会的経済状態がパターン化の唯一の独立予測因子こうしたアドヒアランスのパターンは、ほとんどの患者で、治療開始の最初の月に確立していた。また、同パターンの唯一の独立予測因子は、家庭の社会的経済状態で(p<0.001)、社会的経済状態が低いほどアドヒアランスは不良であることが認められた。なお、患者の年齢、性別、親の結婚歴、痙攣発作の頻度などは、同パターンの予測因子ではなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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STEMI患者、エビデンス治療の導入率増加に伴い死亡率低下

1996~2007年にかけて、ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者に対するエビデンスに基づく治療の導入率が上がるに従い、院内死亡率や30日・1年死亡率が低下していたことが明らかにされた。スウェーデン・カロリンスカ大学病院循環器部門のTomas Jernberg氏らが、同期間にSTEMIの診断を受け治療・転帰などを追跡された「RIKS-HIA」研究登録患者6万人超について調査し明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月27日号で発表した。エビデンスベースやガイドライン推奨の新しい治療の実施状況や実生活レベルへの回復生存との関連についての情報は限られている。再灌流、PCI、血行再建術の実施率、いずれも増大研究グループは、1つの国で12年間以上追跡された連続患者の新しい治療導入率と短期・長期生存との関連を明らかにすることを目的に、1996~2007年にかけて、スウェーデンの病院で初めてSTEMIの診断を受け、基線特徴、治療、アウトカムについて記録された「RIKS-HIA(Register of Information and Knowledge about Swedish Heart Intensive Care Admission)」の参加者6万1,238人について、薬物療法、侵襲性処置、死亡の割合を推定し評価した。被験者の年齢中央値は、1996~1997年の71歳から、2006~2007年の69歳へと徐々に若年化していた。男女比は試験期間中を通じて有意な変化はなく、女性が34~35%であった。エビデンスベースの治療導入率は、再灌流が66%から79%へ、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が12%から61%へ、血行再建術は10%から84%へと、いずれも有意に増加した(いずれもp<0.001)。スタチンやACEなどの薬剤投与率も増大、死亡率は院内・30日・1年ともに低下薬剤投与についても、アスピリン、クロピドグレル、β遮断薬、スタチン、ACE阻害薬の投与率がいずれも増加していた。具体的には、クロピドグレルは0%から82%へ、スタチンは23%から83%へ、ACE阻害薬もしくはARBは39%から69%へと、それぞれ投与率が増加した(いずれもp<0.001)。同期間の推定死亡率についてみてみると、院内死亡率は12.5%から7.2%へ、30日死亡率は15.0%から8.6%へ、1年死亡率は21.0%から13.3%へと、それぞれ有意な低下が認められた(いずれもp<0.001)。補正後、長期にわたる標準死亡率の一貫した低下傾向も認められ、12年生存解析の結果、死亡率は経年的に低下していることが確認された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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3年ごとの前立腺がん検診、前立腺がん死を抑制せず:スウェーデンの20年追跡調査

3年ごとに4回の前立腺がん検診を行い、20年に及ぶ長期のフォローアップを実施した結果、検診群の前立腺がん死亡率は対照群と差がないことが、スウェーデンKarolinska研究所のGabriel Sandblom氏らの調査で明らかとなった。北欧では、最近、前立腺がん治療においては待機療法(watchful waiting)よりも根治的前立腺全摘除術の予後が良好なことが示され、特に前立腺特異抗原(PSA)検査による早期発見に関する議論が活発化している。早期発見を目的とする検診の短期的なベネフィットについては、前立腺がん死の抑制効果が示唆される一方で、過剰診断や過剰治療のリスクが増大するなど、これを疑問視する知見が得られているが、長期的なフォローアップを行った試験はないという。BMJ誌2011年4月23日号(オンライン版2011年3月31日号)掲載の報告。1987年に50~69歳の約1,500人を3年ごとに4回スクリーニング、2008年まで追跡研究グループは、前立腺がんの対策型検診(population-based screening)による前立腺がん死の抑制効果を検討する地域住民ベースの無作為化対照比較試験を実施した。対象は、1987年にスウェーデンのノーショーピング市に居住していた50~69歳の男性9,026人。このうち生年月日リストから6人ごとに選ばれた1,494人が検診群に割り付けられ、1987~1996年まで3年ごとに前立腺がん検診を受けるよう勧められた。残りの7,532人は非検診群(対照群)としてフォローアップが行われた。試験開始時はPSA検査導入前であったため、2回目の検診までは直腸指診のみが行われ、1993年以降はPSA検査が併用された(カットオフ値:4μg/L)。4回目の検診(1996年)は、この時点で69歳以下の男性(1927~37年生まれ)のみが受診を勧められた。スウェーデン南東地域の前立腺がん登録から腫瘍の病期、悪性度、治療のデータを収集し、2008年12月31日までの前立腺がんによる死亡率を算出した。前立腺がん診断率:5.7% vs. 3.9%、前立腺がん特異的死亡率:35% vs. 45%1987~1996年の4回の検診受診率は、第1回(1987年)が78%(1,161/1,492人)、第2回(1990年)が70%(957/1,363人)、第3回(1993年)が74%(895/1,210人)、第4回(1996年)は74%(446/606人)であった。前立腺がんと診断されたのは、検診群が5.7%(85/1,494人)、対照群は3.9%(292/7,532人)であった。検診群の前立腺がん患者のうち、検診で発見されたのは43人(2.9%)、検診と検診の間にみつかった中間期がん(interval cancer)は42人(2.58%)であった。前立腺がん診断例の前立腺がん特異的死亡率は検診群が35%(30/85人)、対照群は45%(130/292人)であり、前立腺がん死以外の死亡も含む全体の死亡率はそれぞれ81%(69/85人)、86%(252/292人)であった。前立腺がん特異的生存期間は、検診群201ヵ月、対照群133ヵ月であった。前立腺がん死のリスク比は1.16(95%信頼区間:0.78~1.73)であり、有意な差は認めなかった。Kaplan-Meier法による解析では、前立腺がん診断例の前立腺がん特異的死亡率および全体の死亡率は、検診群と対照群で同等であった(log-rank検定:それぞれ、p=0.065、p=0.14)。Cox比例ハザード解析によるハザード比は1.23(同:0.94~1.62、p=0.13)であり有意差はみられなかったが、試験開始時年齢で調整したハザード比は1.58(同:1.06~2.36、p=0.024)と有意な差が認められた。著者は、「フォローアップ期間20年における検診群と対照群の男性の前立腺がんによる死亡率に有意な差は認めなかった」と結論し、「任意型検診(opportunistic screening)がほとんど行われていない集団を対象とした無作為化対照比較試験において、検診群で前立腺がんが多くみつかり、患者は両群とも同じ施設で管理されたにもかかわらず、前立腺がん死亡率に差を認めなかったことは、検診によって、死亡率に影響を及ぼさない進行の遅い腫瘍が多く発見されたと考えられ、過剰診断や過剰治療の可能性が示唆される」「本試験は、明確な結論を提示するには集団の規模が十分とはいえないが、前立腺がん特異的死亡率の差を示すには十分な検出能を持つと考えられる」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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妊娠高血圧腎症の検出モデルの検出能は中等度

イギリス・キングス・カレッジ・ロンドンのRobyn A North氏らによって開発された臨床的リスク因子に基づく妊娠高血圧腎症の検出モデルの検出能は中等度であり、今後、さらなる検討が必要なことが、同氏が行った検証試験で示された。妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に高血圧に蛋白尿を伴って発症し、母体のみならず胎児にも重大な影響を及ぼす多臓器合併症であり、炎症性反応および血管内皮機能障害による子宮胎盤循環障害で特徴づけられる。多くの臨床的なリスク因子が確認されているが、複合的なリスク因子を有する未経産婦における発症リスクはほとんど知られておらず、健康な未経産婦のリスクを正確に評価する方法は確立されていないという。BMJ誌2011年4月23日号(オンライン版2011年4月7日号)掲載の報告。検出モデルの開発、高リスク例の同定を目的とするコホート試験研究グループは、未経産婦を対象に、臨床的リスク因子に基づく妊娠高血圧腎症の検出モデルを開発し、専門医への紹介の必要性が示唆される高リスクのサブグループを同定するためのプロスペクティブな多施設共同コホート試験を実施した。2004年11月~2008年8月までに、4ヵ国(ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、アイルランド)の5施設から単胎妊娠の健康な未経産婦3,572人が登録され、このうち3,529人(99%)から妊娠の転帰に関するデータを入手した。妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降から陣痛発現前まで、あるいは産後に、2回以上の測定(各測定の間隔を4時間以上開ける)で収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHgのいずれか一方、あるいは両方を満たし、蛋白尿(24時間尿:尿中蛋白≧300mg/日、随時尿:蛋白/クレアチニン比≧30mg/mmolクレアチニン、試験紙法≧2+)あるいは多臓器合併症を伴う場合と定義した。妊娠期間37週未満で出産した場合は、早産性妊娠高血圧腎症とした。9%が専門医への紹介を要し、そのうち21%が妊娠高血圧腎症を発症すると予測妊娠高血圧腎症の発生率は5.3%(186/3,529人)、早産をきたした妊娠高血圧腎症は1.3%(47/3,529人)であった。妊娠期間14~16週における臨床的リスク因子として、年齢、平均動脈血圧、BMI、妊娠高血圧腎症の家族歴、冠動脈心疾患の家族歴、出産時の妊婦体重、5日以上持続する性器出血が検出された。リスクを軽減する因子としては、妊娠10週以内の流産(1回、同一パートナー)の既往、妊娠に要した期間≧12ヵ月、頻回の果物摂取(≧3回/日)、喫煙、妊娠1~3ヵ月における飲酒が確認された。受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)は0.71であった。子宮動脈のドップラー検査の指標を追加しても、検出能は改善されなかった(AUC:0.71)。単一のリスク因子を有する妊婦のサブグループにおける子宮動脈ドップラー検査の異常値のモデルで予測された妊娠高血圧腎症の可能性に基づいて、専門医紹介のフレームワークを構築した。その結果、未経産婦の9%が専門医への紹介を要し、そのうち21%が妊娠高血圧腎症を発症すると考えられた。標準治療との比較における専門医へ紹介した場合の疾患発症の相対リスクは、妊娠高血圧腎症が5.5、早産性妊娠高血圧腎症は12.2であった。著者は、「健康な未経産婦における臨床的表現型を用いたモデルによる妊娠高血圧腎症の検出能は中等度であり、今後、別の集団における検証が求められる」と結論し、「このモデルの妥当性が確認された場合は、さらにバイオマーカーを加えて個別化された臨床的リスク・プロフィールが得られる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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急性冠症候群に対する冠動脈造影、橈骨動脈経由のほうが血管合併症少ない:RIVAL試験

急性冠症候群(ACS)患者への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の冠動脈造影では、橈骨動脈と大腿動脈を経由するアプローチはいずれも安全で有効だが、局所血管合併症の頻度は橈骨動脈経由のほうが低いことが、カナダMcMaster大学のSanjit S Jolly氏らが進めているRIVAL試験で示された。PCIでは、アクセスする血管部位の大出血によって死亡や虚血性イベントの再発リスクが増加するため、出血の防止と管理は重要な課題とされる。橈骨動脈経由のPCIは、大腿動脈経由でアクセスするPCIよりも血管合併症や出血のリスクが低いことが小規模な臨床試験で示唆されているが、メタ解析では大出血や死亡、心筋梗塞、脳卒中を減らす一方でPCIの失敗が増加する可能性も示されているという。Lancet誌2011年4月23日号(オンライン版2011年4月4日号)掲載の報告。橈骨動脈経由と大腿動脈経由の冠動脈造影の臨床転帰を比較RIVAL試験の研究グループは、ACS患者に冠動脈造影を施行する際の、橈骨動脈経由と大腿動脈経由のアプローチの臨床転帰を比較する多施設共同並行群間無作為化試験を実施した。2006年6月6日~2010年11月3日までに、32ヵ国158施設から冠動脈造影検査が予定されているACS患者が登録され、橈骨動脈経由の検査を行う群あるいは大腿動脈経由でアクセスする群に、1:1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは4つの評価項目[30日以内の死亡/心筋梗塞/脳卒中/冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない大出血]の複合イベントの発生とし、副次的アウトカムは30日以内の死亡/心筋梗塞/脳卒中の複合イベント、あるいは30日以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中、CABGに関連しない大出血の個々のイベント発生とした。主要アウトカム:3.7 vs. 4.0%(p=0.50)、大血腫:1.2 vs. 3.0(p<0.0001)、仮性動脈瘤:0.2 vs. 0.6%(p=0.006)7,021例のACS患者が登録され、橈骨動脈経由群に3,507例が、大腿動脈経由群には3,514例が割り付けられた。主要アウトカムのイベント発生率は、橈骨動脈経由群が3.7%(128/3507例)、大腿動脈経由群は4.0%(139/3,514例)であり、両群間に有意な差は認めなかった(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.72~1.17、p=0.50)。30日以内の死亡/心筋梗塞/脳卒中の複合イベント発生率は橈骨動脈経由群が3.2%(112/3,507例)、大腿動脈経由群も3.2%(114/3,514例)であり(ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.76~1.28、p=0.90)、30日以内のCABGに関連しない大出血のイベント発生率はそれぞれ0.7%(24/3,507例)、0.9%(33/3,514例)と、いずれも有意差はみられなかった。事前に規定されたサブグループ(年齢:<75 vs. ≧75歳、性別:女性 vs. 男性、BMI:<25 vs. 25~35 vs. >35kg/m2、PCI:非施行 vs. 施行、施術医の橈骨動脈経由PCIの年間実施件数の三分位群:≦70 vs. 71~142 vs. >142件/年、各施設の施術医当たりの橈骨動脈経由PCI年間実施件数中央値の三分位群:≦60 vs. 61~146 vs. >146件/年、臨床診断:非ST上昇心筋梗塞 vs. ST上昇心筋梗塞)のうち、2つで主要アウトカムのイベント発生率に有意な差が認められた。すなわち、施術医当たりの橈骨動脈経由PCI年間施行件数中央値が>146件の施設では、主要アウトカムの発生率は橈骨動脈経由群が1.6%と大腿動脈経由群の3.2%に比べ有意に低く(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.28~0.87、p=0.015、交互作用検定:p=0.021)、ST上昇心筋梗塞患者では橈骨動脈経由群が3.1%と大腿動脈経由群の5.2%に比べ有意に低かった(同:0.60、0.38~0.94、p=0.026、交互作用検定:p=0.025)。30日以内の大血腫の発生率は、橈骨動脈経由群が1.2%(42/3,507例)と、大腿動脈経由群の3.0%(106/3,514例)に比べ有意に低かった(ハザード比:0.40、95%信頼区間:0.28~0.57、p<0.0001)。閉鎖を要する仮性動脈瘤の発生率は、橈骨動脈経由群が0.2%(7/3,507例)であり、大腿動脈経由群の0.6%(23/3,514例)に比し有意に低値を示した(同:0.30、0.13~0.71、p=0.006)。著者は、「PCI施行時の冠動脈造影では、橈骨動脈と大腿動脈を経由するアプローチはいずれも安全で有効だが、局所血管合併症の頻度は橈骨動脈経由のほうが低いと考えられる」と結論し、「橈骨動脈経由PCIの有効性は施術医の技量や施術件数と関連する可能性がある」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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医療監視下違法薬物注射施設は薬物使用者の多い地域に:バンクーバー市の調査

注射薬物使用者(injecting drug user:IDU)が、事前に入手した非合法薬物を持参して医療従事者の監視下に注射する施設(supervised injecting facilities:SIF)の開設が世界的に進んでいるが、このような施設は薬物使用者が多く居住する地域に設置するほうが高い死亡抑制効果が期待できることが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のBrandon D L Marshall氏らがバンクーバー市で行った調査で示された。IDUの主な死因は偶発的な薬物過量摂取であり、北米における若年死の主な原因ともなっている。1990年代に過量摂取による高い死亡率が確認されたバンクーバー市は、2003年、北米で初のSIFを開設。薬物使用の助長を懸念する声もある中、SIFは現在、世界に65施設以上が存在し、薬物使用の害を抑制する種々の戦略の一翼を担っているという。Lancet誌2011年4月23日号(オンライン版2011年4月18日号)掲載の報告。SIF開設の前後、半径500m圏の内外の死亡率を比較研究グループは、カナダ・バンクーバー市のSIF開設による違法薬物過量摂取死への影響を評価するレトロスペクティブな地域住民ベースの調査を実施した。SIF開設前(2001年1月1日~2003年9月20日)と開設後(2003年9月21日~2005年12月31日)における薬物過量摂取による死亡率を調査した。死亡場所は州検視官記録で確認した。SIFから半径500m圏内と圏外の市街地における過量摂取死亡率を比較した。設置前後で圏内の死亡率が35.0%低下、圏外は9.3%低下2001年1月1日~2005年12月31日までに、バンクーバー市内で290人が違法薬物の過量摂取で死亡した(1.1人/週、半径500m圏内:開設前56人、後33人、圏外:開設前113人、後88人)。そのうち229人(79.0%)が男性で、死亡時の年齢中央値は40歳(IQR:32~48歳)であった。死亡の約3分の1(89/290人、30.7%)が、SIFから半径500m圏内の市街地で発生した。SIFから半径500m圏内の過量摂取死亡率は、SIF開設前の10万人・年当たり253.8人から開設後は165.1人へと、35.0%有意に低下した(p=0.048)。これに対し、同時期のSIFから半径500m圏外市街地の過量摂取死亡率は、10万人・年当たり7.6人から6.9人へと、9.3%の低下にとどまった(p=0.490)。これらの死亡率の差には有意な交互作用が認められた(Breslow-Day検定:p=0.049)。著者は、「SIF開設により、その近隣地域で違法薬物の過量摂取による死亡率が低下した。開設に伴う薬物注射の増加はみられず、このような施設は安全で有効な保健医療的介入と考えられる。施設から半径500m圏外では有意な死亡率低下は示されなかったが、これはSIF頻回利用者の70%以上が近隣居住者であることから驚くには当たらない」「現時点では、近隣に居住する薬物使用者約5,000人に対し注射設備が12席しかなく、1日の平均注射回数は500強にすぎない。待ち時間の長さと施設までの距離の遠さがSIF利用の障壁であることが示されており、さらなる死亡率低下のためにはSIFの担当地域の拡大が求められよう」とし、「SIFは、薬物注射、特に過量の薬物摂取の頻度の高い地域に設置すべきと考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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重症びまん性外傷性脳損傷に対する早期減圧開頭術の有効性は?

重症びまん性外傷性脳損傷で治療抵抗性頭蓋内圧亢進を伴う成人患者に対し、早期に両前頭側頭頭頂骨減圧開頭術を行うことは、頭蓋内圧の低下およびICU入室期間を短縮するが、転帰はより不良であることが示された。これまで同治療戦略の有効性については不明であったが、オーストラリア・アルフレッド病院集中治療部のD. James Cooper氏らが多施設共同無作為化試験「DECRA」の結果、明らかにした。NEJM誌2011年4月21日号(オンライン版2011年3月25日号)掲載より。155例を早期減圧開頭術か標準治療を受ける群に無作為化試験は2002年12月から2010年4月にかけて、重症びまん性外傷性脳損傷で頭蓋内圧亢進を有し、初期治療が有効ではなかった155例を対象とし、無作為に、両前頭側頭頭頂骨減圧開頭術を受ける群か、標準治療を受ける群に割り付け追跡した。当初主要転帰(original primary outcome)は転帰不良(死亡・植物状態・高度障害の複合)で、術後6ヵ月時点で拡張グラスゴー転帰スケールにより評価した。最終主要転帰(final primary outcome)は、6ヵ月時点での拡張グラスゴー転帰スケールのスコアとした。早期減圧開頭術群、頭蓋内圧低下およびICU入室期間短縮も、転帰不良が倍増結果、早期減圧開頭術群の患者は、標準治療群と比較して、頭蓋内圧が治療閾値を上まわった時間が短く(P<0.001)、頭蓋内圧亢進に対する介入が少なく(すべての比較のP<0.02)、ICU入室日数が短かった(P<0.001)。しかし、早期減圧開頭術群の患者の拡張グラスゴー転帰スケールのスコアは、標準治療群の患者と比べて悪く(オッズ比:1.84、95%信頼区間:1.05~3.24、P=0.03)、転帰不良のリスクが大きかった(オッズ比:2.21、95%信頼区間:1.14~4.26、P=0.02)。なお6ヵ月時点の死亡率は、早期減圧開頭術群(19%)と標準治療群(18%)で同程度だった。(武藤まき:医療ライター)

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中国で報告された原因不明のSFTSは新種ウイルスによるものと発表

2009年3月後半から7月中旬にかけて中国中部の湖北省や河南省の農村地帯からの報告に端を発した新興感染症の原因を調査していたXue-Jie Yu氏ら中国疾患管理予防センター(CDC)の調査グループは、「SFTSブニヤウイルス」と命名した新種のフレボウイルスが同定されたことを報告した。同報告患者には、原因不明の血小板減少を伴う重度の発熱症候群(SFTS)がみられ、発生初期の致死率が30%と非常に高いことが特徴だった。同年6月に、その臨床症状からAnaplasma phagocytophilum感染が原因ではないかとして血液サンプル調査が行われたが、病原体は検出されず、代わりに未知なるウイルスがみつかっていた。2010年3月以降になると、同様の病状を呈する報告例が中国中部から北東部の入院患者からも報告され、サーベイランスを強化し、6省で原因の特定と疫学的特性の調査を行った結果、今回の報告に至っている。NEJM誌2011年4月21日号(オンライン版2011年3月16日号)掲載より。6省でSFTS様患者の血液サンプルを調査6省での調査は、SFTSの症例定義に当てはまった患者から血液サンプルを入手し、細胞培養による原因病原体の分離と、PCR法によるウイルスRNAの検出を行った。病原体の特性は、電子顕微鏡法と核酸塩基配列決定法を用いて調べ、患者の血清サンプルのウイルス特異的抗体の濃度を、ELISA法、間接免疫蛍光法、中和検査を用いて分析した。新種のウイルスを分離、「SFTSブニヤウイルス」と命名結果、発熱、血小板減少、白血球減少、多臓器不全を呈した患者から新種のウイルスを分離。調査グループは「SFTSブニヤウイルス」と命名した。このウイルスは、RNA配列解析から、新しいブニヤウイルス科フレボウイルス属のウイルスであることが確認され、電子顕微鏡検査から、ビリオン(ウイルス粒子)はブニヤウイルスの形態的特徴を有することが認められた。6省のSFTSを有した患者において、ウイルスRNAの検出および/またはウイルス特異的抗体の検出によりウイルスの存在が認められたのは171例だった。また血清学的検査の結果、急性期および回復期の患者から得た血清サンプル35組すべてで、ウイルス特異的免疫応答が示された。(武藤まき:医療ライター)

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CKDの死亡・末期腎不全リスク、クレアチニンにシスタチンCとACRの追加で予測能向上

慢性腎臓病(CKD)患者の死亡・末期腎不全リスクの予測について、クレアチニン値にシスタチンCと尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)の測定値を加えることで、より精度が向上することが明らかになった。米国・サンフランシスコ退役軍人医療センターのCarmen A. Peralta氏らが、2万6,000人超を対象に行った前向きコホート試験「REGARDS」から明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月20日号(オンライン版2011年4月11日号)で発表した。3種バイオマーカーで、被験者を8群に分類「REGARDS」試験(Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)は、2003年1月~2010年6月にかけて、45歳以上の2万6,643人が参加し行われた。研究グループは被験者を、クレアチニン値による推定糸球体濾過量(eGFR、カットオフ値:60mL/分/1.73m2)、シスタチンC値によるeGFR(カットオフ値:60mL/分/1.73m2)、ACR値(カットオフ値:30mg/g)によって、8群のCKD診断群(いずれのマーカーでもCKDと認められない、クレアチニン値のみでCKDと診断、クレアチニン値とACR値でCKDと診断など)に分類し検討した。主要アウトカムは、総死亡率と末期腎不全発症率。被験者の平均年齢は65歳、うち黒人が40%、54%が女性で、追跡期間の中央値は4.6年だった。追跡期間中の死亡は1,940人、末期腎不全と診断された人は177人だった。3種の値で診断された群はクレアチニン値単独での診断に比べ、死亡リスク5.6倍死亡リスクについて各群の比較を行った結果、クレアチニン値のみによってCKDと診断された群との比較で、クレアチニン値とACR値によって同診断を受けた人のハザード比は3.3(95%信頼区間:2.0~5.6)、クレアチニン値とシスタチンC値により同診断を受けた群のハザード比は3.2(同:2.2~4.7)、クレアチニン値、シスタチンC値、ACR値のすべてにより診断された群は5.6(同:3.9~8.2)だった。クレアチニン値単独ではCKDと診断されなかった人のうち、3,863人(16%)は、シスタチンC値またはACR値によりCKDであることが認められた。いずれのバイオマーカーでもCKDにあてはまらなかった人との比較で、ACR値単独でCKDと認められた人のハザード比は1.7(同:1.4~1.9)、シスタチンC値単独では2.2(同:1.9~2.7)、シスタチンC値とACR値の両方では3.0(同:2.4~3.7)だった。末期腎不全の発症リスクは、クレアチニン値のみでCKDと診断された群では0.33/1000人・年だったのに対し、すべてのバイオマーカーで診断された群では34.1/1000人・年だった。リスクが2番目に高かったのは、クレアチニン値では見逃されたがシスタチンC値とACR値の両方で診断された人だった(6.4/1000人・年、95%信頼区間:3.6~11.3)。クレアチニンとACR値補正後モデルにシスタチンC値を加えた後のネット再分類改善率(NRI)は、死亡13.3%(p<0.001)、末期腎不全6.4%(p<0.001)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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