大腸がん検診への参加率は、大腸内視鏡検査より免疫学的便潜血検査(FIT)のほうが高く、大腸がん関連死亡率について、本研究で観察された参加率に基づくとFITベースのプログラムは大腸内視鏡検査ベースのプログラムに対し非劣性であることが確認された。スペイン・バルセロナ大学のAntoni Castells氏らCOLONPREV study investigatorsが、スペインの8地域における3次医療機関15施設で実施したプラグマティックな無作為化比較非劣性試験「COLONPREV試験」の結果を報告した。大腸内視鏡検査とFITは、平均的なリスク集団(大腸がんの既往歴または家族歴のない50歳以上の人々)における一般的な大腸がんスクリーニング戦略である。中間解析でも、FIT群は大腸内視鏡検査群よりスクリーニング参加率が高いことが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年3月27日号掲載の報告。
10年時大腸がん死亡率を比較検証
研究グループが適格としたのは、大腸がん、腺腫、炎症性腸疾患の既往歴、遺伝性または家族性大腸がんの家族歴(第1度近親者が2人以上大腸がんと診断、または1人が60歳未満で大腸がんと診断)、重度の合併症、あるいは結腸切除術の既往歴がない、50~69歳の健康と推定される人であった。適格者はスクリーニングへの招待前に、1回の大腸内視鏡検査群、または2年ごとのFIT群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。
主要エンドポイントは、10年時大腸がん死亡率、重要な副次エンドポイントは10年時大腸がん発生率などで、intention-to-screen集団で評価した。非劣性マージンは絶対差0.16%ポイント未満とした。
10年時大腸がん死亡率FIT群0.24%、大腸内視鏡検査群0.22%で、FITは非劣性
2009年6月1日~2021年12月31日に、5万7,404例が大腸内視鏡検査群(2万8,708例)またはFIT群(2万8,696例)に無作為化された。intention-to-screen集団は、大腸内視鏡検査群が2万6,332例、FIT群が2万6,719例であった。intention-to-screen集団における何らかのスクリーニングへの参加率は、大腸内視鏡検査群31.8%、FIT群39.9%であった(リスク比:0.79、95%信頼区間[CI]:0.77~0.82)。
10年時大腸がん死亡リスクに関して、FITの大腸内視鏡検査に対する非劣性が認められた。大腸内視鏡検査群では0.22%(死亡55例)、FIT群では0.24%(死亡60例)であり、リスク差は-0.02(95%CI:-0.10~0.06)、リスク比は0.92(95%CI:0.64~1.32)であった(非劣性のp=0.0005)。
(医学ライター 吉尾 幸恵)