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ガリレオ【システム化、共感性】 

ドラマ「ガリレオ」みなさんは、「なんであの人は気遣いができないの?」と思ったことはありませんか?特に、医療の現場では気遣いが求められる状況が多くあります。気遣いがうまくできていないスタッフを、どう考えたらよいのでしょうか?そして、どうしたらよいのでしょうか?これらの疑問を、今回、2007年と今年に放送されたドラマ「ガリレオ」の主人公をモデルに、みなさんといっしょに考えていきたいと思います。システム化―パターンを見つける能力主人公の湯川先生は、大学の准教授で、世間から天才物理学者と呼ばれています。彼の口癖は「実におもしろい」「実に興味深い」「さっぱり分からない」で、好奇心の赴くままに突き進みます。そんな彼を衝き動かしている信念は、「全ての事象には必ず理由がある」です。これは、「~すれば・・・になる」という原因と結果のパターン(因果関係)を探り出そうとする衝動でもあります。このような心の働きは、システム化と呼ばれています。知的レベルによって、同じ動きを好む傾向(常同症、こだわり)から、法則や普遍性を見いだす能力(論理的思考)までと幅広くあります。そして、話し方はとても理屈っぽくなります。共感性―気遣いする能力その一方、湯川先生は言動があまりにも風変わりで、彼の同期や研究室の学生たちから「変人ガリレオ」と呼ばれています。彼は、初対面でいきなり女性で新人の内海刑事の顔を覗き込み、まるで実験対象を見るような目つきで「知らない顔だ」とつぶやきます。人としての配慮のかけらもなく、大変に失礼です。その後も湯川先生は、毎回、内海刑事を振り回し、何度も怒らせています。そんな内海刑事は、喜怒哀楽の表情が豊かです。そして、事件当事者に感情移入しやすいです。対照的に、湯川先生はいつも無表情で無感情です。事件に協力しますが、犯行の実証性(=システム化)だけに興味があり、犯人の特定や犯人の動機には一切興味を持ちません。さらに、彼は子ども嫌いです。実際に、子どもと見つめ合ってじんましんが出るというシーンもありました。子ども嫌いの理由は、「子どもは非論理的だ」からです。そして、彼は「(非論理的であるため)人間の感情に興味はない」と断言します。確かに、人、特に子どもの感情は、微妙に揺れ動くため、法則通りにならず、簡単に予測できません。しかし、わたしたちは、その時その時の微妙な顔の表情や声のトーンから、自然に相手の気持ちを察しています。同情して、場合によってはもらい泣きをすることもあります。このように、表情やしぐさから直感的に相手の気持ちになれる心の働きは、共感性と呼ばれています。共感性は気遣いをする1つの能力とも言えます。ちょうど、先ほどのシステム化の能力や、その他の語学力(言語能力)、運動能力、絵画の能力、音楽の能力などと同じです。そして、共感性にも、高い人や低い人の個人差があることが分かります。湯川先生は共感性がとても低いようです。社会性―人とうまくやっていく能力湯川先生は、「学者は世の中の役に立ちなさい」という高圧的な女性の岸谷刑事の「説教」に対して、「僕は僕の興味の惹くものに対してのみ興味を持つ」と言い放ちます。このこだわりも、彼のシステム化の心の働きから来ています。「世の中の役に立つ」「人のために何かする」などのつながりの心理や、人とうまくやっていく能力は、社会性と呼ばれます。人が集団で生きていくためにとても必要な心の働きであり能力です。この能力は、主にシステム化の能力と共感性の能力から成り立ちます。共感性の低い湯川先生は、この社会性がとても危ういのです。しかし、彼は社会性が保たれています。その大きな理由を、2つあげてみましょう。(1)高いシステム化―低い共感性をカバーする1つ目は、高いシステム化の能力で、低い共感性をカバーしていることです。よくよく彼の言動を追うと、最低限の共感的な接し方を実践しているのです。例えば、内海刑事の「悲惨」な身の上話に同情する態度を示したり、彼女が落ち込んでいる時は、気遣いの言葉も投げかけます。事件の犯人やその動機には興味がないと言いつつも、犯人の心理をよく理解しています。厳密には、共感性は、狭い意味での共感性(=感情的要素)とシステム化の心の働きも借りた広い意味での共感性(=感情的要素+認知的要素)があります。湯川先生の共感的な接し方は、感情というよりは理屈(認知、システム化)で考えてやっていると言えます(マインドリーディング)。彼は、共感性をシステム化の心の働きでカバーしていたのです。(2)共感性のある周り―理解とサポート2つ目は、共感性のある周りの理解とサポートです。湯川先生は、栗林助手を始めとする周りの理解者に恵まれています。だからこそ彼には居場所があり、研究も思う存分にできるのです。また、彼に捜査協力をお願いする刑事たちは、彼が食い付く「ありえない」というキーワードを出して、興味を持たせようとしています。こうして、湯川先生は、物理学の研究だけでなく、警察の捜査協力までしています。彼は、自分の興味で突き進んでいる割に、結果的に、世の中の役に立ち、社会性は保たれているのです。反社会性―人を傷付けても何とも思わない湯川先生と同業のある若き研究者が登場します。なんと彼は、自分の実験のために密かに殺人を繰り返していたのです。彼は、実験のために、人を殺めても何とも思いません。とても共感性が低いことが分かります。湯川先生は、犯行のトリック解明に挑み、この若き研究者と対決します。湯川先生もこの若き研究者も、システム化が高く共感性が乏しい点では似ているのですが、決定的に違うことがあります。それは、モラルです。若き研究者が湯川先生にあきれるシーンがあります。「湯川先生がモラルに縛られるなんてがっかりですね」と。この若き研究者には、モラルが全くないのでした。モラルとは、共感性を下地にしていますが(個体因子)、その上にはやはり子どもの頃から教わる「みんなと仲良くする」「ルールを守る」という価値観から生まれるものです(環境因子)。この価値観が育まれていないと、人とうまくやっていく気がない心理から、人を傷付けても何とも思わない心理へと暴走していきます(反社会性パーソナリティ障害、サイコパス)。湯川先生は、最低限のマナーや彼なりのモラル(倫理観)を、システム化の心の働きによってよく理解し、実践しています。コミュニケーションのコツ―表1もし湯川先生が、あなたの職場で仕事をするとしたら何が起きるでしょうか?どうしたらよいでしょうか?彼のようにシステム化が高く共感性が低い人は、実際に私たちの職場にもいます。私たちは、湯川先生のキャラクターをじっくり見ることで、この気遣いがうまくできていない人へのコミュニケーションのコツを導き出すことができます。それは、大きく3つあります。(1)客観化―問題点を具体的に目に見える形にする1つ目は、問題点を具体的に目に見える形に示すことです(客観化)。共感性がお互いに高ければ、そんなに言葉にしなくても、「空気」を読んで分かり合えます。ところが、共感性が低い人には、何が問題なのかをなるべく具体的な言葉にして細かく指摘することが必要です。例えば、あなたが湯川先生に「患者さんには丁寧に接するように」と指導したとしても、「丁寧」の中身が伝わりにくいのです。この場合は、「あの時、あの場所で、あの患者に対して、あのように接したのは、こういう理由でだめです」「次からはこういう時は、こうしましょう」と言います。さらに、文字や絵・イラストにして渡すのも効果的です。仰々しいように見えるかもしれませんが、目に見える形にすること(視覚化)は、システム化の心の働きを大いに刺激します。ドラマでも、湯川先生は、閃いた時は、数式を書き出し、目に見える形にしています。視覚に訴えるのが大事なのです。(2)構造化―枠組みを作る2つ目は、枠組みを作ることです(構造化)。これは、すでに湯川先生がある程度実践していることでした。共感性の低さから、暗黙の了解や常識に気付きにくいので、システム化の心の働きを借りて、問題が起こる前にあらかじめ細かい具体的な指示を出し、パターン認識やパターン学習をさせることです。例えば、あなたが湯川先生に指示することの1つとして、目の前で患者さんが泣き出した時は、不思議がって顔を覗き込むのではなく、そっとハンカチやティッシュを渡し、見守るという行動のパターンです。これらのパターンをたくさん蓄積し、引き出しを持っていれば、ある程度のコミュニケーションはスムーズに行うことができるようになります。(3)限界設定―限界を示す3つ目は、限界を示すことです(限界設定)。湯川先生なら、高いシステム化の能力で、共感性をカバーしつつ、病棟業務を行うことができるでしょう。しかし、私たちの身近にいる気遣いができない人は、彼ほどシステム化の能力が高くないかもしれません。また、わがまま、思い上がり、ひねくれなどの性格(パーソナリティ)の問題が重なっている場合もありえます。その場合は、やるべきこと(到達目標)をはっきりさせて(客観化)、試験的な期間(1年以内)を経て、それでもうまく行かない場合はその職場には向いていないことを、本人も職場の上司も納得する形に持っていくことです。また、周りのサポートも大事ですが、どこまで助けるかの線引きもあらかじめ決めておくことです(限界設定)。もちろん、その人を職場が抱え込むことを皆が良しとするなら、それは職場組織の1つのあり方(企業文化)です。しかし、情にほだされたり、とにかく何とかしなければという義務感からの上司の個人的な抱え込みは、本人も上司もお互いを不幸にしてしまうと言えます。例客観化何が問題なのかをなるべく具体的な言葉にして細かく指摘する文字や絵・イラストにして渡す構造化パターン認識やパターン学習をさせる行動パターンの蓄積をさせる構造化試験的な期間の期限を設けるどこまで助けるかの線引きもあらかじめ決めておくジョブマッチング―何に向いている?―表2それでは、気遣いがうまくいかない人、つまりシステム化が高くて共感性が低い人に向いている職種は、具体的に何があるのでしょうか?一般職については、まさに、湯川先生が携わっている研究職(専門職)です。研究は、システム化が発揮できて、共感性はあまり求められません。また、私たちが携わっている医療職については、システム化も共感性も両方必要ですが、科によってそのバランスは変わってきます。このように、その人その人の向き不向き(適性)を見極めていく必要があります(ジョブマッチング)。システム化が強い共感性が高いモデル湯川先生男性に多い内海刑事、栗林助手女性に多い特徴こだわり(職人気質)対物的気回し(商人気質)対人的例一般職専門職(研究者、学者)、製造業、事務職サービス業(営業、接客、窓口)医療職急性疾患、救命救急、手術室慢性疾患、精神疾患、リハビリテーション性差―原始の時代は?男性はシステム化が高く共感性が低い傾向があり、女性はシステム化が低く共感性が高い傾向にあります。もちろん、男性でも共感的な人はいますし、女性でもシステム化的な人はいます。これはあくまで傾向です。この性差はなぜあるのでしょうか?答えは、進化心理学的に考えることができます。それは、原始の時代から男女で性役割がはっきりしていたことです。(1)男性―システム化―自閉症スペクトラム男性は、狩猟のための追跡や自然環境を通してパターンを見つけ出し、より多くの獲物を捕まえ、住まいを居心地良くするシステム化の能力が進化していきました。そこから、外界を支配したいという闘争的で攻撃的な心理も進化したようです。その分、共感性は女性ほど進化しませんでした。さらに、システム化が高く共感性が低いこの遺伝子が、日常生活で支障を来たすほどに際立って発現する場合があります。それが、自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)です。最近の研究では、胎児期の男性ホルモン(テストステロン)の過剰分泌が、原因として指摘されています。湯川先生は、大学准教授として、社会生活をむしろ華麗に送っています。医療機関にかかるような障害のレベルには至っていませんが、「障害」が付かない「自閉症スペクトラム」に入っている可能性は高いです。(2)女性―共感性―共依存、情緒不安定一方、女性は家にいて、子育てや近所付き合いなどを通して、人間関係をスムーズにする共感性の能力が進化しました。そこから、母性、感受性も進化したようです。その分、システム化は男性ほど進化しませんでした。さらに、システム化が低く共感性が高いこの遺伝子が、日常生活で支障を来たすほどに際立って発現する場合があります。特に、幼少期の家族関係が不安定であったなど、偏った生い立ちによる刺激(環境因子)が加わった場合です。女の子の方が男の子よりも、人間関係の不安定さにより敏感なため、より研ぎ澄まされていきます。それが共依存や情緒不安定などの性格(パーソナリティ)の問題です。共感とは、相手の気持ちになることですが、そこからすぐに相手の言うことに揺さ振られ感化されてしまったり(同調、感応)、感情的に流されやすくなったり(依存)、自分のことのように一生懸命になって心理的な距離が保てなくなったりするなど(共依存)、抱え込みや巻き込みの問題をはらんでいます。また、感受性の豊かさは、裏を返せば、情緒の不安定さでもあります(情緒不安定)。よって、高すぎる共感性も、システム化である程度カバーする必要があります。例えば、「これ以上はやりすぎ」「これ以上は近付きすぎ」という限界設定です。「水を得た魚」―その「水」とは?もちろん、みなさんは、システム化も共感性も両方とも高ければ良いと思うでしょう。しかし、どうやら人間の脳はそう簡単に欲張ることをさせてくれないようです。それは、人間の頭がい骨の大きさによって、脳の容量の限界がすでに決まっているからです。そして、そのために人間の能力自体にもトータルでは限界があるからです。人間の個性は様々です。まれに勉強もスポーツも両方とも際立って優れている人もいますが、たいていはどちらかが得意でどちらかが苦手なものです。これと同じように、システム化が高い人は共感性が低く(マインド・ブラインド)、共感性が高い人はシステム化が低いようです(システム・ブラインド)。能力を足したら一定なわけですから、あとは一方が高ければもう一方が低くなるという理屈です(ゼロサム説)。ドラマに登場する栗林助手は、共感性が高いためかシステム化はさっぱりのようで、研究者としてのうだつが上がらないようです。システム化と共感性のバランスがとれている人は、管理職などの集団のリーダーに向いているでしょう。部下たちの心を読みつつ(=共感性)、こうあるべきというビジョン(=システム化)を示し、帳尻を合わせるバランス感覚が必要だからです。そして、まれにシステム化と共感性が両方とも高い人がいます。そのような人は人の話をよく聞きそして話がうまいので、きっとカリスマ性のあるリーダーになるでしょう。大事なのは、本人が自分の良さ(適性)、つまりシステム化や共感性の能力がどれくらいあるのかを知り、自分の能力をなるべく発揮できる職種、つまり「水を得た魚」のその「水」を見つけることです。そして、周りはその見極めや方向付けをしてあげることであると言えるのではないでしょうか。1)サイモン・バロン=コーエン:共感する女脳、システム化する男脳、NHK出版、20052)北村英哉・大坪康介:進化と感情から解き明かす社会心理学、有斐閣アルマ、2012

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柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会

東京大学高齢社会総合研究機構が開発した研修教材に基づき、松戸市医師会の主催で2012年12月1-2日に開催された、『在宅医療推進のための地域における多職種研修会』の模様をお届けします。柏市で従事する多職種の医療職の方が一同に会し、在宅医療総論、地域資源の活用、診療報酬・制度などの在宅医療導入時に気になる点から、認知症・がん緩和ケアにおける診療やIPW連携など、より地域に密着した、実践的な、ワークショップ主体のプログラムです。対象者は、開業医、病院医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、病院看護師、介護支援専門員、病院ソーシャルワーカー等です。2日目 番組一覧 【全9回】番組8 挨拶番組9 在宅医療の導入番組10 認知症の基本的理解とマネジメント番組11 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(前半)番組12 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(後半)番組13 在宅ケアにおいて何故IPW(専門職連携協働)が必要なのか?番組14 在宅医が知っておくべき報酬や制度番組15 グループ討論:在宅医療を推進する上での課題とその解決策番組16 目標設定:在宅医療の実践に向けて1日目 番組一覧 【全7回】番組1 開会挨拶/趣旨説明/来賓挨拶番組2 在宅医療が果たすべき役割番組3 在宅療養を支える医療・介護資源番組4 グループ作業:医療介護資源マップの作成番組5 がんの症状緩和に必要な知識番組6 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(前半)番組7 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(後半)講師

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分子標的薬による皮膚障害対策~皮膚科とがん治療専門科との連携

がん治療における分子標的薬は、高い治療効果が得られる一方、皮膚障害への対応が必要となる薬剤が少なくない。分子標的薬による皮膚障害は治療効果に相関することから、皮膚障害をコントロールしながら治療を継続することが重要である。そのため、皮膚科とがん治療専門科との連携が求められるが、その取り組みはまだ手探り状態といえる。第112回日本皮膚科学会総会(2013年6月14~16日、横浜)では、「皮膚科と腫瘍内科、最良の連携体制を模索する」と題した皮膚科と腫瘍内科のジョイントセミナーが開催された(共催:第112回日本皮膚科学会総会/特定非営利活動法人JASMIN、後援:日本臨床腫瘍学会)。座長は東京女子医科大学皮膚科学教授 川島 眞氏と和歌山県立医科大学第三内科学教授 山本信之氏で、皮膚科医、腫瘍内科医、看護師によるパネルディスカッション形式で行われた。その内容をレポートする。分子標的薬の登場により皮膚障害のマネージメントとチーム医療が重要に座長の川島氏は、ケアネット会員の皮膚科医を対象に行ったインターネットによるアンケート調査の結果から、「第一線の皮膚科医は限られた情報のなかで分子標的薬による皮膚障害の診療に日常的に取り組んでおり、分子標的薬の皮膚障害に対し主体的に取り組もうとする意識の高さもうかがえる」と考察した。さらに、「今後、診療科間あるいは病診連携などの課題を解決しながら、分子標的薬を用いたがん治療を支えるために皮膚科医の果たすべき役割は大きい」と述べ、その役割の提示やこれらの治療に携わる皮膚科医が必要と指摘した。同じく座長の山本氏は、腫瘍内科医として、まず、皮膚科医に向けてがんのチーム医療へのより積極的な参画を呼びかけた。山本氏が専門とする肺がん治療においては、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)はいまや欠かせないキードラッグとなっているが、その一般的な有害事象に皮疹がある。従来は薬剤による皮疹は中毒疹であり、その時点で治療を中断することになるが、EGFR-TKIは皮疹が強いほどがんに対する治療効果が高いため、皮疹を上手にマネージメントしながら治療を継続することが、治療効果を高める一番の方策である。さらに、わが国でも承認申請が予定されている第2世代EGFR-TKIのアファチニブでは、グレード3以上の皮疹の発現率が第1世代EGFR-TKIより高く、さらに、日中韓で実施した臨床試験において日本における重症の皮疹の発現率がとりわけ高かったことから、今まで以上に皮疹のマネージメントが重要になってくる。そのためにも、がんのチーム医療、とくに分子標的薬による治療に関しては皮膚科医の積極的な参画が必要であると、山本氏は強調した。がん治療専門施設での皮膚障害に対する取り組みパネリストからは、まず、国立病院機構四国がんセンター消化器内科医長 仁科智裕氏から、大腸がん治療においても分子標的薬をうまく使いこなすことが予後の改善につながること、抗EGFR抗体による皮膚障害は治療効果と相関するため、治療継続には皮膚障害のコントロールが重要であることが提示された。仁科氏らが実施している小規模なチームカンファレンスは、消化器内科医、形成外科医、皮膚科医、薬剤師、看護師、病理科、医療ソーシャルワーカーで構成している。しかしながら、四国がんセンターには皮膚科がないため、愛媛大学の皮膚科医師に週1回(現在は2週に1回)参加してもらい、皮膚障害の悪化時に対処を依頼しているという。愛媛県は、通院のための交通の利便性が悪く、患者さんが皮膚障害でつらい場合でも受診が難しい。仁科氏は、患者さんのために皮膚科とがん治療専門施設が連携し、よりよいがん治療を患者さんに提供できる環境が必要と指摘した。副作用メモを作成し、症状をマネージメント副作用のマネージメントには、両科の医師間のみならず看護師など医療スタッフとの連携も重要となる。静岡県立静岡がんセンター通院治療センターの看護師である小又美重子氏は、自施設で行っている副作用に対する取り組みについて紹介した。小又氏らは、消化器内科医、皮膚科医、薬剤師、看護師でチームを組み、大腸がんにおける抗EGFR抗体による副作用に対して、それぞれの重症度を具体的な症状で表現した副作用メモを作成している。患者さんの症状に合わせた薬剤を選択して症状をコントロールしているが、症状が治まったあとも再燃の可能性があるため、毎回、症状を丁寧に見ることを意識しているという。また、皮膚障害が悪化し、腫瘍内科医だけでは対応できない場合には皮膚科医に協力を依頼しているが、看護師に症状がつらいとの訴えがあったときには、直接、看護師から皮膚科医に連絡をとり症状マネージメントができる体制をとっていることも紹介した。皮膚科医間、腫瘍内科医、看護師らとの情報交換・役割分担が重要当初は皮疹の原因となっている薬剤名すらわからず、治療に苦慮した経験を持つ岡山大学大学院医歯薬学研究科皮膚科学助教 白藤宜紀氏は、自身の皮膚障害に対する取り組みや自院における経験から、役割分担の重要性を指摘した。分子標的薬が上市された当初、抗がん剤メーカーから皮膚科医に対して十分な説明がなく治療開始時に知識が不足していたため、白藤氏は積極的に文献を収集し、できるだけ多くの患者さんを診察して経験を積んだという。その結果、白藤氏自身は治療選択に迷うことが少なくなったが、他の皮膚科医の診療経験の機会を減少させることになり、皮膚科医の間で治療にバラツキが出てしまった。そのため、皮膚科医間で積極的に情報を共有するようにしたとのこと。また、腫瘍内科(外科)医、看護師、皮膚科医における情報交換や、院内の治療マニュアルやスキンケアマニュアルの作成により、軽症の皮膚障害の対処は看護師や腫瘍内科医で行えるようになり、現在は、比較的重症な場合のみ皮膚科で対処するようになったとのことである。これらの経験から、白藤氏は、皮膚科医が分子標的薬治療に積極的に関わるためには、多数の患者さんの治療に積極的に関わることも重要だが、皮膚科医間、腫瘍内科医、看護師らと情報交換を行い役割分担することが重要と述べた。さらに、「抗がん剤メーカーに対して、がん治療専門医だけでなく皮膚科医にも院内導入前に情報を十分提供するように訴えていくことが必要」とコメントした。皮膚科は腫瘍内科から何を期待されているか?旭川医科大学皮膚科学教授 飯塚 一氏は、同大で分子標的薬による治療が開始された当初、腫瘍内科と連携し皮膚障害のほとんどの症例においてコンサルテーションを行っていた。飯塚氏は、皮膚科が腫瘍内科から期待されていることとして、治療中に出現した皮疹の評価と対処、さらに、特異疹の診断、抗腫瘍薬の血管外漏出への対処があるという。皮膚科では、分子標的薬による皮膚障害以外に、スティーブンス・ジョンソン症候群などの重症薬疹、特徴的薬疹、特徴的皮疹、悪性黒色腫などの皮膚の悪性腫瘍、膠原病、乾癬治療(生物学的製剤投与)による副作用など、診るべき皮膚疾患や症状は数多いという現状を説明しつつ、分子標的薬による皮膚障害への対応も当然のこととした。腫瘍内科医と皮膚科医から同じ説明を受けることで患者は納得ディスカッションにおいて、飯塚氏は、患者さんへの説明に関して、「皮膚障害について腫瘍内科医と皮膚科医から同じ説明をされると患者さんの納得度が違う。同じ内容を両者から説明することは大事ではないか」と指摘した。川島氏も「皮膚科医が腫瘍内科医と異なる説明を行うことは不信感につながる」と述べ、さらに「分子標的薬による皮膚障害の診療経験がない皮膚科医は、分子標的薬を中止させていることもあるのではないか。実地医家の皮膚科医に広く対処方法などの情報が届けられていないことが問題だが、どうすれば情報伝達できるか」と課題を提起し、「皮膚科学会としても対策を検討する必要がある。今後、日本臨床腫瘍学会と連携してこの課題に対応していきたい」と結んだ。

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抗菌薬適正使用推進プログラム、広域抗菌薬の適応外使用を改善/JAMA

 小児プライマリ・ケア外来への抗菌薬適正使用推進プログラム(antimicrobial stewardship program)の導入により、細菌性急性気道感染症(ARTI)の診療ガイドライン遵守状況が改善されることが、米国・フィラデルフィア小児病院のJeffrey S. Gerber氏らの検討で示された。米国では小児に処方される薬剤の多くが抗菌薬で、そのほとんどが外来患者であり、約75%がARTIに対するものだという。ウイルス性ARTIへの抗菌薬の不必要な処方は減少しつつあるが、細菌性ARTIでは、とくに狭域抗菌薬が適応の感染症に対する広域抗菌薬の不適切な使用が多いとされる。JAMA誌2013年6月12日号掲載の報告。プライマリ・ケアでのプログラムによる介入の効果を評価 研究グループは、小児プライマリ・ケア医による外来患者への抗菌薬処方における、抗菌薬適正使用推進プログラムに基づく介入の効果を評価するクラスター無作為化試験を行った。 ペンシルベニア州とニュージャージー州の25の小児プライマリ・ケア施設のネットワークから18施設(医師162人)が参加し、介入群に9施設(医師81人)、対照群に9施設(医師81人)が割り付けられた。 介入群の医師は、プログラムに基づき2010年6月に1時間の研修を1回受講し、その後1年間にわたり3ヵ月に1回、細菌性およびウイルス性ARTIに対する処方への監査とフィードバックが行われた。対照群の医師は通常診療を実施した。 主要評価項目は、介入の20ヵ月前から介入後12ヵ月(2008年10月~2011年6月)までの、細菌性ARTIに対する広域抗菌薬の処方(ガイドライン規定外)およびウイルス性ARTIに対する抗菌薬の処方の変化とした。広域抗菌薬処方率が6.7%低下 広域抗菌薬の処方率は、介入群では介入前の26.8%から介入後に14.3%まで低下し(絶対差:12.5%)、対照群は28.4%から22.6%へ低下した(同:5.8%)。両群の絶対差の差(difference of differences:DOD)は6.7%で、介入による処方率の有意な抑制効果が認められた(p=0.01)。 肺炎の小児への広域抗菌薬処方率は、介入群が15.7%から4.2%へ、対照群は17.1%から16.3%へ低下し、介入による有意な抑制効果がみられた(DOD:10.7%、p<0.001)。一方、急性副鼻腔炎への処方率はそれぞれ38.9%から18.8%へ、40.0%から33.9%へと低下した(DOD:14.0%、p=0.12)。 A群レンサ球菌咽頭炎では、ベースラインの広域抗菌薬処方率が低く、介入による変化はほとんどみられなかった(介入群:4.4%から3.4%へ低下、対照群:5.6%から3.5%へ低下、DOD:−1.1%、p=0.82)。ウイルス感染症への抗菌薬処方にも同様の傾向が認められた(介入群:7.9%から7.7%へ低下、対照群:6.4%から4.5%へ低下、DOD:-1.7%、p=0.93)。 著者は、「プライマリ・ケア医の研修と、処方の監査、フィードバックを組み合わせた抗菌薬適正使用推進プログラムにより、小児に一般的な細菌性ARTIの診療ガイドラインの遵守状況が、通常診療に比べて改善された。一方、ウイルス感染症への抗菌薬処方については、介入の影響は認めなかった」とまとめ、「今後、外来における抗菌薬適正使用推進プログラムの有効性の促進要因や、一般化可能性、持続可能性、臨床アウトカムの検証を行う必要がある」と指摘している。

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