サイト内検索|page:1519

検索結果 合計:33598件 表示位置:30361 - 30380

30361.

外用局所麻酔剤「エムラクリーム」発売

佐藤製薬は7日、アストラゼネカ社とライセンス契約を締結し、開発を行ってきた外用局所麻酔剤「エムラクリーム」(製造販売承認取得日:2012年1月18日)を5月14日に発売すると発表した。エムラクリームは、国内初の「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」に用いる外用局所麻酔剤。従来の外用局所麻酔剤では皮膚への透過性が低く十分な効果が得られなかったというが、同製品は、常温では固体の局所麻酔剤リドカインとプロピトカインを混合することで融点が下がる性質(共融混合物)を利用して、正常皮膚に対する優れた薬剤の透過性と高い麻酔効果を実現したとのこと。これまで、皮膚レーザー照射による痛みを緩和するためには、注射による局所麻酔などが行われてきた。注射による局所麻酔は、十分な麻酔効果が得られるために汎用されているが、注射針穿刺時の痛みや薬液により組織が押し広げられるなどの痛みが指摘されていたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2012/120507.html

30362.

PCI対CABG、長期生存はCABGが優れる

 血行再建戦略の有効性について、多枝冠動脈疾患65歳以上患者を対象に経皮的冠動脈介入(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の長期生存について比較した結果、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者よりも、長期生存に優れることが見いだされたと結論する報告が発表された。米国心臓病学会財団(ACCF)と米国胸部外科医学会(STS)による共同研究で、研究グループの筆頭著者としてChristiana Care Health SystemのWilliam S. Weintraubが報告を行った。NEJM誌2012年4月19日号(オンライン版2012年3月27日号)掲載より。65歳以上のレジストリ多枝病変患者を4年間追跡 研究グループは、65歳以上の急性心筋梗塞がない2枝病変または3枝病変を有する冠動脈疾患患者についてPCIとCABGの効果を検討する非無作為化観察研究を行った。2004~2008年に収集された、ACCFの全米心血管データレジストリ(National Cardiovascular Data Registry)とSTSの成人心臓手術データベース(Adult Cardiac Surgery Database)を、メディケア・メディケイドの請求データとリンクさせて検討した。また、アウトカムについての比較は、治療選択バイアスを極力軽減するため、傾向スコアと逆確率加重補正を用いて行われた。死亡率、術後1年は有意差ないが、4年後はCABGのほうが低くリスク比0.79 被験者は、CABG群8万6,244例、PCI群10万3,549例で、追跡期間中央値は2.67年だった。 結果、治療後1年の補正後死亡率について、両群間に有意差は認められなかった(CABG群6.24%、PCI群6.55%、リスク比:0.95、95%信頼区間:0.90~1.00)。 しかし治療後4年では、CABG群のほうがPCI群より死亡率が低い傾向が認められた(16.4%対20.8%、リスク比:0.79、95%信頼区間:0.76~0.82)。複数のサブグループ解析や、いくつかの異なる解析方法を用いた場合でも類似の結果が示された。残存交絡については感度解析によって評価された。 これらを踏まえ研究グループは、「緊急処置を必要としない高齢の多枝冠動脈疾患患者においては、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者と比較して、長期生存に優れるることが見いだされた」と結論した。

30363.

オフポンプCABG対オンポンプCABGの30日アウトカム

冠動脈バイパス術(CABG)の施行について、心拍動下(オフポンプ)CABGの人工心肺(オンポンプ)CABGに対する相対的な有益性とリスクを検討する国際多施設共同無作為化対照試験が行われた。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏ら研究グループによるもので、血液製剤や術中出血、合併症の減少など周術期の有益性は認められる一方、血行再建術の早期再施行リスクの上昇が認められたと報告している。NEJM誌2012年4月19日号掲載報告より。30日時点の優位性を79施設で比較研究グループは2006年11月~2011年10月の間に19ヵ国79施設から、CABGが予定されていた4,752例を登録して試験を行った。被験者は81%が男性、平均年齢は68歳だった。被験者は、オフポンプCABG群(2,375例)またはオンポンプCABG群(2,377例)に無作為に割り付けられた。第1の共通主要アウトカムは、無作為化30日後の死亡、非致死性の脳卒中、非致死性の心筋梗塞、または透析を必要とする腎不全の新規発症の複合とした。血行再建術の早期再施行リスクは増加結果、オフポンプCABGとオンポンプCABGの間に、主要複合アウトカムの発生率についての有意差はみられなかった(9.8%対10.3%、オフポンプ群のハザード比:0.95、95%信頼区間:0.79~1.14、P=0.59)。個々のアウトカムについても同様だった。オフポンプCABGはオンポンプCABGと比較して、血液製剤の輸注量(50.7%対63.3%、相対リスク:0.80、95%信頼区間:0.75~0.85、P

30364.

オメガ3脂肪酸サプリメントは心血管疾患の二次予防に有効か?

二重盲検比較試験のメタアナリシスの結果、オメガ3脂肪酸サプリメント(エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸)を投与しても心血管疾患の二次予防に有効でないことが示された。2011年4月にPubMed、EMBASE、Cochrane Libraryを用いて検索し、その結果、条件を満たした14の無作為化二重盲検プラセボ対照試験をメタアナリシスの対象として選定した。これらの試験には計20,845例の心血管疾患既往例が含まれていた。主な結果は下記のとおり。1. オメガ3脂肪酸サプリメントの投与によって心血管イベントの  有意な減少は認められなかった  (相対リスク:0.99; 95%信頼区間:0.89-1.09)。2. 心血管死については、わずかな減少が認められた  (相対リスク:0.91; 95%信頼区間:0.84-0.99)。  しかし、試験方法に大きな問題がある試験を除外した場合、  この有効性は消失した。3. 試験実施国、内陸地域/沿岸地域、心血管疾患歴、併用薬の有無、  プラセボの種類、試験方法の質、治療期間の違い、治療を  目的とした魚油の投与、エイコサペンタエン酸および  ドコサヘキサエン酸の投与量の違いによっても有効性を  認める患者群を見出せなかった。

30365.

重症外傷患者、ヘリ搬送で生存率改善

重症外傷患者は、ヘリコプター搬送の方が地上搬送に比べ、退院生存率が約15%改善することが報告された。また、退院後にリハビリ施設に入所する割合も、ヘリコプター搬送のほうが高率だった。米国・メリーランド大学のSamuel M. Galvagno氏らが、22万人超のデータを分析して明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。死亡率はヘリコプター搬送12.6%、地上搬送11%研究グループは、米国外科学会2007-2009年版の「全米外傷データバンク」を基に、米国で15歳超の重傷外傷患者22万3,475人について、後ろ向きコホート試験を行い、ヘリコプター搬送と地上搬送のアウトカムを比較した。主要アウトカムは、退院までの生存と退院処置とした。被験者は、損傷重症度スコアは15以上で、鈍傷または穿通性損傷があり、レベルIまたはII外傷センターへの搬送を要した患者で、ヘリコプター搬送6万1,909人、地上搬送16万1,566人だった。解析の結果、死亡は、ヘリコプター搬送患者7,813人(12.6%)、地上搬送1万7,775人(11%)だった。ヘリ搬送は地上搬送に比べ生存率1.15~1.16倍傾向スコアでマッチングした重回帰分析の結果、レベルI外傷センターに搬送した人のうち、ヘリコプター搬送患者は地上搬送患者に比べ、退院生存率の有意な向上が認められた(オッズ比:1.16、95%信頼区間:1.14~1.17、p<0.001、絶対リスク低下:1.5%)。また、レベルII外傷センターに搬送した人についても、ヘリコプター搬送のほうが地上搬送よりも退院生存率が有意に向上した(同:1.15、1.13~1.17、p<0.001、1.4%)。さらに、レベルI外傷センターに搬送された人のうち、退院後、リハビリ施設に入所した人の割合についてみたところ、ヘリコプター搬送群が18.2%と、地上搬送群の12.7%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。退院後、中間ケア施設へ入所した割合も、ヘリコプター搬送群が9.3%と、地上搬送群の6.5%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。メディカルアドバイスに反したレベルII外傷センターへの搬送患者はヘリコプター搬送群のほうが少なかった(0.5%対1.0%、P<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

30366.

高齢者早期腎臓がん、腎部分切除の方が根治的腎摘出術より死亡率をおよそ半減

高齢者の早期腎臓がんは、腎部分切除のほうが根治的腎摘出術よりも生存率が高いことが示された。全死亡リスクは、腎部分切除が根治的腎摘出術に比べ、およそ半減するという。米国・ミシガン大学のHung-Jui Tan氏らが、ステージT1aの腎臓がん患者7,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。高齢者の早期腎臓がん患者を中央値62ヵ月追跡研究グループは、メディケア受給者で、1992~2007年に腎部分切除または根治的腎摘出術を行った、ステージT1aの腎臓がん患者7,138人について、後ろ向きコホート試験を行い、両者のアウトカムを比較した。主要アウトカムは、全死亡率、腎臓がん死亡率であった。被験者のうち腎部分切除を行ったのは1,925人(27.0%)、根治的腎摘出術を行ったのは5,213人(73.0%)だった。結果、追跡期間中央値62ヵ月の間に死亡したのは、腎部分切除群487人(25.3%)、根治的腎摘出術群2,164人(41.5%)だった。治療2、5、8年後の生存率予測値、腎部分切除群で5.6~15.5%ポイント高い腎臓がんによる死亡は、腎部分切除群は37人(1.9%)、根治的腎摘出術群は222人(4.3%)だった。2段階RIM(residual inclusion model)分析の結果、腎部分切除は根治的腎摘出術に比べ、全死亡リスクが約半分に減少した(ハザード比:0.54、95%信頼区間:0.34~0.85)。また、治療2、5、8年後の生存率予測値も、腎部分切除群は根治的腎摘出術群に比べ、それぞれ5.6、11.8、15.5ポイント高かった(p<0.001)。なお、腎臓がんによる生存率については、両治療群で有意差はなかった(ハザード比:0.82、95%信頼区間:0.19~3.49)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

30367.

洞調律の心不全患者にはワルファリンとアスピリンのどちらを投与すべきか?(5月2日掲載NEJMオンライン速報版より)

心不全では洞調律であっても、血栓塞栓イベントリスクが高く、ワルファリンやアスピリンが投与されることは少なくない。WARCEF(Warfarin vs. Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction)試験の結果、ワルファリンはアスピリンに比べ、虚血性脳卒中の発症リスクを軽減するものの、出血の発症リスクを増大させ、洞調律の心不全患者に対してワルファリン、またはアスピリンのどちらを投与すべきかという疑問に対する決定的なエビデンスは依然存在せず、個々の患者によって考慮すべきであることが、5月2日NEJM誌オンライン速報版に発表された。ワルファリン vs アスピリン:死亡・脳卒中抑制に差なしWARCEF試験に参加した、洞調律の左室駆出率が低下した心不全2,305例が、ワルファリンまたはアスピリンが投与される治療群に無作為に割り付けられた。ワルファリンはINRが2.0-3.5の範囲に収まるよう用量が調整された。患者は平均3.5年間追跡され、追跡期間内の虚血性脳卒中、脳出血、死亡のいずれかの発現を主要評価項目として2つの治療の優劣が比較された。主な結果は下記のとおり。1. 主要評価項目(虚血性脳卒中、脳出血、死亡)の発現に、  両治療間で有意な差は認められなかった。  ● ワルファリン群:7.47/100患者・年  ● アスピリン群:7.93/100患者・年  ハザード比:0.93(95%信頼区間:0.79-1.10、P=0.40)2. 時間が経過するに連れ、ワルファリン群で良好となり、  追跡4年目ではわずかではあるが、有意にワルファリンが  アスピリンを有意に上回った(P=0.046)。3. 虚血性脳卒中の発現リスクは、ワルファリン群はアスピリン群に比べ  有意に少なかった。  ● ワルファリン群:0.72/100患者・年  ● アスピリン群:1.36/100患者・年  ハザード比:0.52(95%信頼区間:0.33-0.82、P=0.005)4. 大出血の発現リスクは、ワルファリン群はアスピリン群に比べ  有意に多かった(P

30368.

第2回 因果関係:不作為と患者の死亡

■今回のテーマのポイント1.因果関係とは、「経験則に照らして総合的に検討した結果、8、9割以上の確率で特定の事実が特定の結果発生を招来したといえること」である2.このことは、過失の態様が作為であれ、不作為であれ同じである3.不作為の過失における因果関係の有無は、当該過失がなければ「その時点」で死亡していないといえれば足る事件の概要アルコール性肝硬変と診断され、肝臓病を専門とする医師Yが開設するA消化器科医院を紹介されたXに対し、医師Yは、3年弱に渡り、肝庇護剤を投与していました。しかし、その間一度も腫瘍マーカーの測定や腹部超音波検査を行わなかったところ、Xが多発性肝細胞、肝細胞破裂により死亡したという事案です。死亡後Xの妻と子らが、Yに対し、適切な検査を行わなかった結果、Xが肝細胞の治療を受けられず死亡したとして損害賠償を請求して争われました。原審(高裁)では、Y側(医師)の注意義務違反を認めたものの、どの程度延命できたか不明であるとして、死亡との因果関係を認めませんでした。これに対し、最高裁は、原審を破棄し、死亡との因果関係を認めた上で、高裁に差し戻しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過原告の父(X)は、昭和58年10月にB病院にてアルコール性肝硬変と診断され、肝臓病を専門とする医師Yが開設するA消化器科医院を紹介されました。Yは、Xに対し週3回程度肝庇護剤の投与を行い、1カ月から2カ月に一度触診等診察を行っていましたが、紹介受診した昭和58年11月から昭和61年7月までの間に一度も腫瘍マーカーの測定や腹部超音波検査を行っていませんでした。Yが、昭和61年7月5日にAFP(腫瘍マーカー)の検査をしたところ、110ng/ml(正常値20ng/ml以下)と高値を示しましたが、Xに対し「肝細胞の検査は陰性であった」と伝えました。同年7月17日夜、Xは、腹部膨隆、右季肋部痛等が出現したため、翌18日朝にA消化器科医院を受診しました。Yより筋肉痛と診断され鎮痛剤の注射を受けましたが、翌19日には全身状態が悪化。C病院を受診したところ、多発性肝細胞、肝細胞破裂と診断されました。なお、肝細胞は大きいものが3つ(7×7cm、5cm大、2.6×2.5cm)ある他、転移巣と考えられる小病変が複数あり、門脈腫瘍塞栓も認められました。その後、Xは、同年同月27日に肝細胞及び肝不全により死亡しました。事件の判決訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)。右は、医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と患者の死亡との間の因果関係の存否の判断においても異なるところはなく、経験則に照らして統計資料その他の医学的知見に関するものを含む全証拠を総合的に検討し、医師の右不作為が患者の当該時点における死亡を招来したこと、換言すると、医師が注意義務を尽くして診療行為を行っていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを是認し得る高度の蓋然性が証明されれば、医師の右不作為と患者の死亡との間の因果関係は肯定されるものと解すべきである。患者が右時点の後いかほどの期間生存し得たかは、主に得べかりし利益その他の損害の額の算定に当たって考慮されるべき事由であり、前記因果関係の存否に関する判断を直ちに左右するものではない(最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁)。ポイント解説民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。すなわち、不法行為が成立するためには、生じた損害が故意又は過失行為によって生じたこと(因果関係)が必要なのです。どんなに悪意をもった行為を行ったとしても、それによって何も損害が発生していなければ、因果関係がないため賠償する義務はないのです。当たり前の事だと思われるでしょうが、これを医療過誤に当てはめると途端に問題が複雑になります。なぜならば、患者は疾病を抱えているからこそ病院に来ているのであり、結果として死亡した場合であっても、当該死亡の原因が、医療過誤によるものなのか、疾病そのものによるものなのか判断がつかない場合が、しばしば生じるからです。特に、本件のように不作為(適切な医療行為をしなかった)を問題としている場合には、現実として、疾病(本件では肝細胞)により死亡しているのであり、さらにのような重篤な疾患の場合、たとえ適切な治療を行っていたとしても転帰に変わりがない可能性が高いことから、因果関係の立証は一層難しくなります。医療過誤事件における因果関係の立証についての判例は、「東大ルンバール事件※」(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)が先例であり、本判決でも引用している通り、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである」とされています。具体的には、「十中八、九」が目安といわれ、経験則に照らして8、9割以上の確率で結果が生じたと立証できれば足りるとされています。この判例の意義は、「確かに医療過誤があったかもしれないが、診療経過とはまったく脈絡もなく心室細動が発症した可能性がある」とか「くも膜下出血が生じた可能性がある」等の主張が病院側弁護士よりなされた場合において、原告側が心室細動やくも膜下出血が起きた可能性がないことなどあらゆる可能性を排斥しない限り、因果関係が認められないということではないということにあります。それを踏まえたうえで、本判例が示した重要な点は次の2点ということとなります。(1)作為の場合であっても、因果関係の立証の程度は変わらないということ(2)因果関係の有無を考えるにあたっては、不作為による過失がなければ「その時点」で死亡することがなかったことが立証されれば足りるのであり、により早晩死亡したであろうということは、因果関係(すなわち不法行為が成立するか否か)において検討することではなく、(不法行為が成立した上で)生じた損害の額を検討するにあたって考慮すべきことである※東大ルンバール事件概要:泣き叫ぶ3歳の化膿性髄膜炎の患児に腰椎穿刺を施行した約15分後に、嘔吐・けいれん発作等が出現し、結果として右半身麻痺等の後遺症が残った症例において、これらの症状が、化膿性髄膜炎によるものか、腰椎穿刺の結果脳出血となったものかが争われた事案裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁

30369.

【速報】「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」はここが変わる!

 4月26日(木)、日内会館(東京・本郷)にて「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」の発行に関するプレスセミナーが行われ、本ガイドラインの主な改訂点が発表された。主な改訂点は以下の通り。●絶対リスクの評価による層別化 これまでのガイドラインでは、健常者に対する相対的リスクで評価がなされてきたが、個々を絶対リスクで評価できないことは課題とされてきた。しかしながら、NIPPON DATA80をもとにリスク評価チャートが発表され、個々のリスクを絶対評価で表現することが可能となった。これにより、個人が有する危険因子を総合的に評価でき、性差や加齢の影響も解消できると期待されている。●動脈硬化性疾患の包括的管理 多くの患者は生活習慣病を併せもっており、常に包括的な判断が求められてきた。今回初めて、それぞれのガイドラインのエッセンスを織り込み、動脈硬化性疾患予防のための各種疾患(脂質異常症、高血圧、糖尿病、その他)の包括的なリスク管理チャートが加わった。●診断基準境界域の設定 これまで脂質異常症における治療エビデンスはリスクの高い患者を対象とした試験が多かった。このため、あくまで絶対リスクが高い場合に限り、治療を勧めるものであり、診断基準がそのまま治療対象となるわけではないことを認識する必要がある。このことから、診断基準では「スクリーニングのための」という記載が加えられている。 その一方で、糖尿病や脳梗塞のような危険度の高い一次予防については、早期の治療介入が予後を改善させるという多くのエビデンスがある。このため、リスクの高さに応じて判断できる境界域が設定され、治療介入が可能な領域についても提案されている。●高リスク病態 近年、CKDに伴う脂質異常とCVDリスクの関係などの報告から、新たに慢性腎臓病(CKD)が高リスク病態として扱われることとなった。 また、強力なスタチンの登場により、家族性高コレステロール血症(FH)は認識されずに治療されていることも多く、かつ、そのリスクは高いことから「原発性高脂血症」とは別項目として取り扱われている。これまで検討されてきたLDL-C100mg/dL未満よりもさらに厳しい目標値(very high riskグループ)設定の是非については、日本人でのエビデンスがないことから継続的な検討課題とされた。●non HDL-Cの導入 non HDL-CとCVDの関係を示すエビデンスの報告から、non HDL-Cがリスク区分別脂質管理目標値に加えられた。高TG血症、低HDL-C血症ではLDL-C値に加えて、non HDL-C値を加えることにより、リスク予測力が高まるとされている。 また、TCとHDL-Cから簡便に計算でき、食後採血でも使用できる点やFriedewald式が適用できない高TG血症にも使用できる点などは利点といえる。 本ガイドラインは2012年5月末の発行を予定しており、その詳細内容については2012年の7月に福岡で行われる「第44回日本動脈硬化学会総会」にて紹介される予定となっている。

30370.

未成年2型糖尿病患者の最適な治療は?(4月29日掲載NEJMオンライン速報版より)

メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な10-17歳の2型糖尿病患者に対する次の治療選択肢として、チアゾリジン薬の追加併用療法が、メトホルミン単独療法を継続するより有意に血糖を管理できることが、無作為化比較試験The Treatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth (TODAY) 試験の結果より明らかになった。この結果は4月29日、NEJM誌オンライン速報版に発表された。メトホルミン単独療法でHbA1c≧8%の未成年2型糖尿病患者を無作為化割り付け研究グループは、1日2回のメトホルミン(1,000mg/日)投与においても、HbA1c値が8%未満にコントロールできなかった10-17歳の2型糖尿病患者699例を、 1) メトホルミン単独療法群 2) メトホルミン+チアゾリジン薬(ロシグリタゾン)併用療法群 3) メトホルミン+減量を重要視した生活習慣改善強化群の3群に無作為に割り付けし、主要評価項目を「血糖コントロールの喪失」とし、各治療法を比較検証した。「血糖コントロールの喪失」は、6ヵ月にわたるHbA1c値8%以上の持続またはインスリン治療の必要な持続的な代謝不全と定義された。主な結果は下記のとおり。 1. 平均追跡期間は3.86年 2. 「血糖コントロールの喪失」と判定された症例は319例(45.6%)   1) メトホルミン単独療法群:51.7% (232例中120例)   2) チアゾリジン薬併用療法群:38.6% (233例中90例)   3) 生活習慣改善強化群:46.6% (234例中109例) 3. チアゾリジン薬併用療法群は、メトホルミン単独療法群に比べ、   有意に血糖コントロール喪失が少なかった(P = 0.006)。 4. 生活習慣改善強化群は、メトホルミン単独療法群、   チアゾリジン薬併用療法群のいずれの治療法とも有意な差がなかった。 5. チアゾリジン薬併用療法は、非ヒスパニック系黒人で効果が弱く、   少女で効果が強かった。

30371.

「医薬品・医療機器等安全性情報」更新 ~医薬品による重篤な皮膚障害の早期発見について~

平成24年4月25日付でPMDA(医薬品医療機器総合機構)より、医薬品・医療機器等安全性情報が更新されました。そのうち、「医薬品による重篤な皮膚障害の早期発見について」として、皮膚障害への注意喚起がなされています。主な内容として、・スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)、中毒性表皮壊死症について・平成21年8月1日から平成24年1月31日までの副作用報告について・主な症例について (発見・対応が遅れ、重篤な皮膚障害(Stevens-Johnson症候群)を発現した症例)などについて報告されています。 詳細はこちらからご覧ください。http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/file/PMDSI290.pdf#page=9 【「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」はこちら】http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/tekisei_pmda_09.pdf ≪内容≫●重篤な皮膚障害の早期発見のために・重篤な皮膚障害に関する患者さんへの説明・発熱(38℃以上)、眼の充血などの初期症状が認められた場合、可能性を考慮・早い段階での皮膚科専門医への相談・紹介●報告の多い医薬品●発見・対応が遅れ、重篤な皮膚障害を発現した症例 【医薬品医療機器情報提供ホームページ】http://www.info.pmda.go.jp

30372.

ミサワホームグループと北海道薬科大学、薬剤師業務で連携へ

ミサワホームは26日、同社グループ会社のマザアスと北海道薬科大学が在宅医療を中心とした薬剤師業務に関わる教育・研究・研修および調剤業務における連携協定を締結したと発表した。今回の協定では、マザアスが運営するサービス付き高齢者向け住宅「マザアス札幌」で北海道薬科大学の学生のインターンシップを受け入れるほか、「マザアス札幌」の入居者向けに北海道薬科大学附属薬局が訪問薬剤管理指導を行うことにより、薬剤師の育成や地域医療の充実を推進するとのこと。その他、マザアス社員向けの服薬基礎知識研修を実施しサービス向上も目指すという。詳細はプレスリリースへhttp://www.misawa.co.jp/misawa/news_release/misawa/pop-up/release-pages/2012_04_26/index.html

30373.

団体・企業のうつ病対策の資材になる小冊子 GSKがデータ版提供中

グラクソ・スミスクラインは25日、同社が2011年夏に実施した「うつ病の私や家族を支えてくれた“ことばの贈りもの”」に寄せられたお便りの一部をまとめた小冊子の内容をPDFファイルに収めた「ことばの贈りもの」データ版を作成、同日より希望者に提供を開始した。データ版は、6月29日(金)までの期間中に申し込んだ団体や企業向けに配布するという。「ことばの贈りもの」は、うつ病の患者や家族が病気と向き合う中で、周囲からもらって支えとなった「ことば」とエピソードを募集する企画で、2011年7月19日から約2ヵ月間エピソードを募集し、計315通のお便りが全国から寄せられた。なお、2011年度に寄せられたお便りは同社Webサイト(http://utsu.jp/kotoba/)にて公開中だ。データ版の主な内容は、『ご家族からもらった「ことば」(10通)』『ご友人からもらった「ことば」(2通)』『医療従事者からもらった「ことば」(6通)』『職場でもらった「ことば」(2通)』など。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2012_01/P1000731.html

30374.

抗血栓薬を服薬している脳卒中における至適血圧レベルは?

抗血栓薬を服薬している一過性脳虚血発作または脳卒中既往例において、降圧治療によって頭蓋内出血が有意に減少し、頭蓋内出血の発症は治療中の収縮期血圧レベルが低いほど少ないことが、4月24日にStroke誌オンライン速報版に発表された。この研究結果は国立循環器病研究センター 有馬久富氏らによってまとめられた。抗血栓薬服薬脳卒中既往例⇒血圧が最も低い群で頭蓋内出血発症リスクが最少ACE阻害薬による降圧療法が脳卒中の二次予防に有用かを検証したプラセボ対照二重盲検無作為化比較試験Perindopril Protection against Recurrent Stroke Study(PROGRESS)に登録された一過性脳虚血発作または脳卒中既往例6,105例のうち、抗血栓薬を服薬していた患者における頭蓋内出血および頭蓋外出血の発症リスクが分析された。主な結果は下記のとおり。1. ベースライン時、4,876例(80%)の患者が抗血栓薬を服薬していた  (アスピリン3,632例、他の抗血小板薬1,021例、抗凝固薬566例)。2. 平均3.9年間の観察期間中、119例の頭蓋内出血、123例の頭蓋外出血が  認められた。3. 抗血栓薬服薬例において降圧療法によって頭蓋内出血は有意に低下。  ○降圧治療群では8.9/4.0mmHg降圧し、頭蓋内出血のリスクを    46%(95%信頼区間:7%-69%)抑制した。  ○プラセボ群では9.3/3.8mmHg降圧し、頭蓋内出血のリスクを    70%(95%信頼区間:39%-85%)抑制した。4. 抗血栓薬服薬例における頭蓋外出血(主に消化管出血)は、  血圧レベルとは関係がなかった。5. 抗血栓薬服薬例において、治療中の収縮期血圧レベルが最も低かった群  (中央値113mmHg)で、頭蓋内出血の発症が少なかった。

30375.

太っていると高血圧になりやすいのか?-茨城県健康研究より-

40歳以上の日本人においてBMIが25kg/㎡の人は、19kg/㎡の人に比べ、高血圧発症のリスクが1.29~1.47倍高くなることが茨城県健康研究(Ibaraki Prefectural Health Study:IPHS)の結果より明らかにされた。筑波大学大学院人間総合科学研究科の辻本氏らは、1993年に茨城県の健康診断を受診した住民のうち、高血圧でなかった68,205名を2006年まで追跡し、ベースライン時のBMIと高血圧症の発症を検証した。追跡期間中の体重変化の影響を除外するために、時間依存性共変量Cox比例ハザードモデルを用いた。高血圧の発症は、140/90mmHg以上 and/or 降圧薬の服用と定義された。主な結果は下記のとおり。1) 平均観察期間3.9年において、30,982名(45.2%)が高血圧症を発症した。2) BMIが25kg/㎡の人の高血圧発症リスク(対照:BMI<19kg/㎡の人)   40-59歳男性:1.42倍(95%信頼区間:1.17-1.73)   60-79歳男性:1.34倍(95%信頼区間:1.19-1.51)   40-59歳女性:1.47倍(95%信頼区間:1.33-1.62)   60-79歳女性:1.29倍(95%信頼区間:1.18-1.41)

30376.

携帯電話網を睡眠時無呼吸症候群の治療に活用

帝人ファーマは24日、携帯電話網を活用することにより睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療・指導を容易にするシステム「ネムリンク」を開発したと発表した。ネムリンクは、携帯電話網を活用する通信端末を通じて、機器の稼働状況をはじめとする様々なデータをサーバに自動送信・解析し、医療機関でのデータを活用したシステム。送信されたデータは自動的に解析されるため、医療機関のデータ解析時間や手間を削減することができ、さらに解析結果をわかりやすく加工した形で確認できることから、睡眠専門の医療機関でなくとも、データに基づいた診療を行うことが可能になるという。また、患者向けのレポートを出力する機能や、過去の指導記録、コールセンター応対履歴などの記録・閲覧機能も備わっている。SASの治療方法として最も一般的であるCPAP療法は継続的な治療が非常に重要だが、治療に伴う不快感や多忙な生活の中で通院できないなどの理由から、治療の継続を断念する患者もおり、SAS治療においては治療継続率の向上が大きな課題となっていた。治療継続率の向上には、SAS治療機器に記録される睡眠中の機器稼働状況など、データに基づく豊富な診療情報を活用することが有効だが、そのためには患者宅の機器からダウンロードしたデータを入手し、医療機関でそのデータを解析する必要があるため、医療機関にとって大きな負担となっている。そのため、診療時にデータを活用している医療機関は、SAS診療を行っている医療機関の30%程度とされており、治療継続率が低迷する一因となっていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.teijin-pharma.co.jp/information/120424.html

30377.

腎性貧血治療剤OMONTYS 米国で販売開始

 米国Affymax社と武田薬品工業は25日、腎性貧血治療剤OMONTYS(一般名:peginesatide)について、武田薬品の100%子会社である武田ファーマシューティカルズUSAが米国で販売開始したことを発表した。同剤は、米国食品医薬品局(FDA)より2012年3月27日(米国時間)に販売許可を取得している。 OMONTYSは、成人の透析期患者を対象としたESA(Erythropoiesis Stimulating Agent:赤血球造血刺激因子製剤)製剤として、米国において初めて使用可能となる1ヵ月製剤で、静脈注射または皮下注射によって投与される。 また、同剤は初めてのPEG化された合成ペプチド製剤のため、ヒトエリスロポエチンに対して配列相同性がない、すなわちアミノ酸の配列が異なるという。本年2月には、武田薬品の100%子会社である武田グローバル研究開発センター(欧州)が欧州医薬品庁(EMA)にも販売許可申請を提出し、当該申請が受理された旨を公表している。

30378.

健康リテラシーが低い高齢者は死亡率が高い:イギリス

イギリスの高齢者の約3分の1は健康リテラシーが十分でなく基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、理解力が低いほど死亡率が高くなることが、英国・ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのSophie Bostock氏らの調査で明らかとなった。健康リテラシー(基本的な健康関連情報を読解する能力)の低さが、有害な健康アウトカムと関連することが示されている。アメリカの2つの試験が、低い健康リテラシーにより高齢者の死亡率が上昇することを報告しているが、イギリスでは高齢者の健康リテラシーの問題は検討されていなかったという。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月16日号)掲載の報告。高齢者の死亡と健康リテラシーとの関連を縦断的コホート試験で評価研究グループは、イギリスの高齢者の死亡と健康リテラシーとの関連を評価する地域住民ベースの縦断的コホート試験を実施した。対象は、「イギリスにおける高齢化の縦断的研究(English Longitudinal Study of Ageing)」の第2次調査(2004~2005年)に参加し、面接後12ヵ月以上生存した52歳以上の7,857人。参加者は、健康リテラシーに関する簡単な4項目のテスト(アスピリンの服用に関する書面での指示の理解力を評価)を受けた。全問正解の場合に健康リテラシーが高いと判定し、不正解が1問の場合は中等度、不正解が2問以上の場合は低いと判定した。主要評価項目は、2009年10月の時点における全死因に基づく死亡までの期間とした。読解が困難な中・低健康リテラシー群が32.8%健康リテラシーが「高」と判定された者は67.2%、「中」が20.3%、「低」が12.5%であった。平均フォローアップ期間5.3年の間に621人が死亡し、そのうち高健康リテラシー群が321人(6.1%)、中健康リテラシー群は143人(9.0%)、低健康リテラシー群は157人(16.0%)だった。背景因子、社会経済的地位、ベースラインの健康状態、保健行動で調整後の全死因死亡率のハザード比(高健康リテラシー群との比較)は、低健康リテラシー群が1.40(95%信頼区間:1.15~1.72)、中健康リテラシー群は1.15(同:0.94~1.41)であった。さらに認知機能での調整を加えると、低健康リテラシー群のハザード比は1.26(同:1.02~1.55)に低下した。著者は、「イギリスの高齢者の約3分の1(=中・低健康リテラシー群)は基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、理解力が低いほど死亡率が高かった」とまとめ、「これらの知見は、イギリスにおける高齢者の健康関連サービスの計画や提供の仕方に影響を及ぼすと考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

30379.

臨床試験のサブグループ解析は信頼できるか?

臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張が強力な場合でも一般に低いことが、米国・Kaiser Permanente Northwest(ポートランド市)のXin Sun氏らの検討で示された。臨床試験のサブグループ解析では、サブグループに関する仮説が事前に規定されていなかったり、統計学的な検証が適切に行われない場合があるという。近年、無作為化比較試験におけるサブグループ解析の限界や、予測されるサブグループ効果の信頼性の評価基準の検討が進められてきた。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月15日号)掲載の報告。サブグループ効果の信頼性を系統的なレビューで評価研究グループは、最近出版された無作為化比較試験の代表的な論文を対象に、著者が主張するサブグループ効果の信頼性を評価する系統的なレビューを行った。2007年に、臨床系の主要医学ジャーナルに発表された無作為化比較試験の論文を抽出した。経験豊富なレビューアのチームが、事前に規定された判定基準を用いて、著者が主張するサブグループ効果およびその主張の強度(「強い」「可能性あり」「可能性を示唆」の3段階に分類)の評価を行った。個々の試験の主張は、既存の基準を参考に事前に定義された10の判定基準で評価した。判定基準を満たさない主張には慎重に対処すべきサブグループ解析の報告を行っていた207の無作為化比較試験のうち、64試験(31%)が主要アウトカムに関するサブグループ効果を主張していた。そのうち20試験の主張の強度は「強い」と判定、28試験の主張は「可能性あり」、16試験は「可能性を示唆」と判定された。10の判定基準を満たした試験の結果は以下のとおり。試験デザインに関する基準:1)ベースライン時に測定した患者背景因子をサブグループ解析の変量としている;60試験(94%)、2)無作為割り付け時の層別化因子をサブグループ解析の変量としている;13試験(20%)、3)サブグループに関する仮説を事前に明確に規定している;26試験(41%)、4)当該サブグループ解析は、検証された少数(≦5)の仮説のうちの1つである;28試験(44%)。解析法に関する基準:5)統計学的有意性を検証する交互作用検定を行っている;6試験(9%)、6)複数のサブグループ効果を主張している場合(19試験)、交互作用の独立性を検証している;1試験(5%)。論文内容に関する基準:7)サブグループ効果の方向性を事前に正確に規定している;4試験(6%)、8)過去の関連試験のエビデンスと一致するサブグループ効果が示されている;21試験(33%)、9)関連アウトカム間で一貫性のあるサブグループ効果を同定している;19試験(30%)、10)明確なサブグループ効果を支持する説得力のある間接的なエビデンス(生物学的根拠、動物実験など)を提示している;14試験(22%)。64試験中54試験(84%)が、10の判定基準のうち4つ以下しか満たさなかった。「強い」主張のうち、50%以上が判定基準を1つも満たさず、5つ以上の判定基準を満たしたのは3つ(15%)の主張だけだった。著者は、「臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張の強度が強い場合でも一般に低い」と結論し、「論文の情報を利用する場合、判定基準を満たさない主張には疑いをもって慎重に対処すべきである。研究者はサブグループ解析の詳細を報告すべきであり、サブグループ効果を主張したり、効果の可能性を示唆する場合は十分なエビデンスを示すべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

30380.

「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」更新情報

平成24年4月25日付でPMDA(医薬品医療機器総合機構)より、医薬品・医療機器等安全性情報が更新されました。ぜひ、ご注意ください。【目次】1.輸血用血液製剤の遡及調査について2.医薬品による重篤な皮膚障害について3.重要な副作用等に関する情報4.使用上の注意の改訂について(その235)  ピオグリタゾン塩酸塩・メトホルミン塩酸塩他(14件)5.市販直後調査の対象品目一覧(参考資料) 「妊娠と薬情報センター」事業における協力病院の拡大について ↓↓詳細はこちら↓↓http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/anzen2012.html ↓↓「医薬品・医療機器等安全性情報 No.290」PDFはこちら↓↓http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/file/PMDSI290.pdf 【医薬品医療機器情報提供ホームページ】http://www.info.pmda.go.jp

検索結果 合計:33598件 表示位置:30361 - 30380