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伝統的なランダム化比較試験と脱中心型ランダム化比較試験の結果を比較したメタ分析(解説:名郷直樹氏)

 伝統的なランダム化比較試験は、大学、大病院、研究施設などの専門施設に対象患者を集めることで行われるのが大部分であるが、通院、入院可能な施設近傍の患者に対象が限られたり、遠方からの定期的な通院が困難であったり、そのために追跡が不十分になったりという問題点などがある。また参加する患者が実臨床と異なる偏った集団になりがちという問題もある。それに対する1つの解決方法として、ランダム化比較試験を限られた専門施設だけではなく、患者の生活空間で参加できるように配慮したものが、脱中心(分散)型ランダム化比較試験(decentralised randomized controlled trials:DCT)である。具体的には、研究施設に直接行かずに済むように、地元の医療機関やオンライン診療を利用し、対象患者から同意をとり、組み入れ、介入し、フォローアップし、解析する方法である。 このメタ分析では、11の薬物治療についての臨床的疑問を検討した、アウトカムがある/なしの二値データで示されるランダム化比較試験を対象とし、51のDCTと86のnon-DCTを比較し、死亡関連アウトカムに対する効果の違いと結果のばらつきを検討している。DCTには、研究施設とまったく接触しないもの、自宅をベースに行われるもの、近傍の医療施設で参加するものの3つに分類され、non-DCTでは、一部研究施設が関わらない部分を含むものと、すべて研究施設で行われるものの2つに分類されている。 結果は、両群のオッズ比の比で示されているが、1.01(95%信頼区間:0.93~1.09)というものである。信頼区間が狭く、異質性を示すI2は8.6%と低い。また中央値絶対偏差の比が1.30(四分位範囲:1.13~1.51)という指標でも評価されているが、これは各研究の治療効果の絶対差の中央値の偏差(ばらつき)の比を見たもので、DCTで結果のばらつきが大きいことを示している。四分位範囲というのは、個々の結果が50%含まれる範囲である。この2つを合わせれば、DCTとnon-DCTで効果そのものの大きさに大きな差はないが、個々の研究でみるとDCTでは研究ごとの結果のばらつきが大きく、non-DCTのほうが研究による結果の一貫性が大きいことを示しているということになる。これらの結果は対象とするDCT、non-DCTの対照が異なっていても明らかな差は認めていない。 しかし、DCTには問題点もある。DCTはより一般的な患者を含めて多くの患者をリクルートでき、フォローアップ率を高め、より現実臨床に近い環境で行うという大きなメリットがある一方、研究責任者の目の届かない部分も多く、患者の安全性の担保が不十分になるなど問題も指摘されている。 今回の検討は薬物治療に限ったものであるが、DCTには向き不向きもあることが予想され、症状や手術をアウトカムにした研究では、また異なった結果が示されるかもしれない。 しかしながら、多くの薬物治療に関してイベントのある/なしで評価できるものに関しては、DCTは選択肢の1つになりうるし、今後DCTはランダム化比較試験の1つのバリエーションとして増加していくのではないだろうか。

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第281回 インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省

<先週の動き> 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省 5.医療保険改革で高額療養費を見直し加速、負担上限を「2年ごと検証」へ/政府 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省2月6日に厚生労働省は、1月26日~2月1日の第5週に全国約3,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が1医療機関当たり30.03人となり、警報基準(30人)を超えたと発表した。前週比の約1.8倍で4週連続の増加となり、患者総数は11万4,291人に達した。今シーズンは1度警報水準を下回った後に再び増加しており、1季で2度警報レベルに達するのは少なくとも過去10シーズンで初めてとされる。都道府県別では大分県52.48人、鹿児島県49.60人、宮城県49.02人、山梨県46.97人、千葉県46.08人など22県で警報基準を上回った。その一方で、香川県8.61人、鳥取県9.45人、北海道10.33人は比較的低水準だった。ウイルス型はA型56%、B型44%で、年明け以降はB型の検出割合が増加し、流行再拡大の一因とみられている。B型は学校など集団生活で小児を中心に広がりやすく、嘔吐や下痢など消化器症状を伴う例も報告される。重症例として脳症や筋炎後の腎機能障害がまれに生じうるため注意が必要となる。休校・学級閉鎖は約6,200校に増加した。なお、新型コロナウイルス感染症の定点報告も前週比25%増の2.49人と上昇している。厚労省はマスク着用、手指衛生、換気など基本的対策の徹底を呼びかけ、今後1~2週間は患者増加が続く可能性があるとして警戒を促している。 参考 1)インフルエンザ患者数 前週の倍近くに増加 B型 半数近く占める(NHK) 2)全国インフル定点報告 前週の1.8倍に 1月26日-2月1日(CB news) 3)コロナ新規感染者 前週比25%増 1月26日-2月1日(同) 4)インフルエンザ、再び警報水準に 2度の警報は過去10シーズンで初(日経新聞) 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省厚生労働省は2026年度の診療報酬改定で、在宅医療を「量の拡大」から「必要性に見合う質と適正化」へ転換する方針を示した。1月30日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で提示された個別改定項目では、通院可能にもかかわらず頻回の訪問診療を受けるケースや、高齢者住宅に併設・隣接する訪問看護ステーションが同一建物内で短時間に多数利用者を回ることで報酬が膨らむような過度な同一建物対応に歯止めをかける。訪問診療では、在宅時医学総合管理料(在医総管)・施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の高い評価を、末期がんや要介護度の高い患者を一定割合以上診療する医療機関に限定し、医療・介護ニーズの低い患者への頻回訪問を抑制する。24時間往診体制の評価も、自院での実働体制や連携・委託の関与度に応じてメリハリを付ける。看取り実績の高い在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)の評価は「在宅医療充実体制加算」へ再編し、地域の24時間体制を面的に支える往診時医療情報連携加算の対象も拡大する。また、訪問看護では、同一建物居住者への評価を細分化し、人数が多い区分は月内訪問日数で段階化、20分未満は算定不可とする。さらに併設・隣接ステーションが高齢者住まいに頻回提供する場合、利用者数と1日当たり提供時間に応じた「包括型訪問看護療養費(1日定額)」を新設し、同日の回数増で報酬が伸びにくい仕組みとする。その一方で、情報通信技術(ICT)による情報共有を評価する訪問看護医療情報連携加算など質向上策も導入する。背景には同一建物での訪問看護急増や高収益事例への問題意識がある。運営基準では値引き誘引や紹介対価、特定施設への誘導を禁止し、安全管理と記録の正確性を求める。事業継続計画(BCP)策定や残薬管理、電子処方せん活用も要件化される。詳細は告示・通知待ちだが、契約・記録・連携体制の再点検が急務となる。 参考 1)個別改定項目について(厚労省) 2)在宅医療「もうけすぎ」にメス 診療報酬見直し、高齢者囲い込み防止(日経新聞) 3)2026年度診療報酬改定でも、「適切な形の在宅医療」が量・質の双方で拡大することを目指した対応図る(Gem Med) 4)訪問看護ステーションが隣接等の高齢者住まい居住者に行う訪問看護を「1日当たり包括」療養費で評価(同) 5)在宅医療巡り病院・診療所にBCP策定義務化へ…厚労省、災害時の地域連携促す(読売新聞) 6)高齢者住まい等への頻回訪問に包括評価を導入(日経メディカル) 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省2026年度診療報酬改定で、厚生労働省は病院の看護配置基準を「人手不足への救済」と「医療DXによる業務量削減」を前提に柔軟的な設定とする。突発的な欠員で夜勤時間などが一時的に基準から外れても、超過が1割以内で3ヵ月を超えない場合は、入院基本料などの施設基準の変更届を不要とする方向で、感染症対応の特例を人材不足にも広げ、恒久化も視野に入れる。対象は平時からハローワークや都道府県ナースセンターなどの公的紹介を活用し、求人票の提示など採用努力を行う医療機関とし、民間紹介会社の高額手数料による経営圧迫も抑えたい考え。加えて、見守り、記録作成、職員間情報共有などでICT機器を病棟で広く活用し、超過勤務が平均10時間以下で増加傾向がないこと、導入前後の業務量評価・安全配慮、調査への協力など複数の要件を満たす場合、看護要員数や看護師比率等を「基準の9割以上(最大1割減)」でも基準充足と扱い、急性期一般入院料や7対1・10対1、地域包括医療病棟、緩和ケア病棟などに適用する方針。さらに医師事務作業補助者も、生成AIによる退院サマリー・診断書・紹介状などの原案作成、音声入力、RPA、説明動画活用などを条件に、配置要件の見直し(緩和)も検討する。急性期医療機関では救急搬送・全麻手術件数を要件とする新たな入院基本料(A・B)も構想され、看護必要度は項目追加や救急応需状況の反映で基準見直しが議論されている。看護職は全体では増加傾向でも、病院就業者は減少し、求人倍率も高い。算定要件を満たせず収入が落ちる事態を避け、夜勤負担の軽減と地域医療の持続を図る狙い。看護職就業者は2023年時点で約174.6万人、需要推計は2025年約180.1万人とされ、病院就業者は約98.7万人まで減少。日本病院団体協議会は、ICT前提の緩和と一時救済を歓迎している。その一方で、患者安全と効果検証のデータ提出が求められており、今後、医療現場での投資と運用体制が鍵となる。 参考 1)病院の看護職員、必要数を緩和 人手不足の施設の経営安定後押し(日経新聞) 2)ICT利活用・適切な業務遂行等の厳格な要件を前提として「看護職員や医師事務作業補助者の柔軟配置」を認める(Gem Med) 3)ICT利活用により看護師業務負担が減少、この分の看護配置基準柔軟化は病院団体として歓迎-日病協・望月議長・神野副議長(同) 4)救急・手術件数を評価する急性期病院一般入院基本料を新設(日経メディカル) 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省厚生労働省は2月4日、医道審議会医道分科会の答申を受け、刑事事件で有罪判決を受けるなどした医師16人、歯科医師12人の計28人に対する行政処分を決定した。内訳は免許取消5人、業務停止22人(3ヵ月~2年6ヵ月)、戒告1人で、2月18日に発効する。別途10人には行政指導(厳重注意)が行われた。このうち免許取消は、児童へのわいせつ行為や健診時の盗撮、診療報酬詐欺や脱税などの事案で有罪が確定した医師3人と歯科医師2人。業務停止は収賄、詐欺、薬物関連、暴行・傷害、迷惑行為防止条例違反、道路交通法違反など理由は多岐に及ぶ。2025年12月3日の医道審議会の議事要旨では、医師16件中、免許取消1件、停止3年~3ヵ月の各処分、戒告3件とされたほか、歯科医師7件で免許取消3件、停止7~3ヵ月が答申された。また、元医師1人の再免許付与については適当とする答申は出されなかった。処分は医療への信頼確保を目的とし、医療機関には不祥事の予防とガバナンス、コンプライアンス教育の徹底が改めて求められる。さらに、健診や学校現場での診療行為における倫理遵守、金銭・契約関係の透明化、薬物・交通事案を含む私生活上の法令順守も含め、組織的な再発防止策の整備が重要となる。今回の一連の処分では、刑事有罪事案が中心であり、医師個人の資質管理に加え、採用時のバックグラウンド確認や通報体制の整備など、医療機関側のリスク管理体制の実効性が問われている。 参考 1)医道審議会医道分科会議事要旨(厚労省) 2)医師、歯科医師28人処分 免許取り消しや業務停止(共同通信) 3)厚労省、医師・歯科医師28人の処分決定 免許取り消しや業務停止(毎日新聞) 5.医療保険改革、高額療養費を「2年ごと検証」へ 患者自己負担増の時代に/政府政府が検討する医療保険改革法案で、高額療養費制度の患者負担上限を「少なくとも2年ごとに検証」する規定が新設される見通しとなった。医療費総額の抑制を目的に、上限額が定期的に引き上げられる可能性がある一方で、決定に当たっては「長期治療患者の家計影響を考慮する」と明記する。昨年末には上限を来年8月までに最大38%引き上げる方針が示され、給付抑制で保険料負担を軽くする狙いだ。併せて、出産費用の無償化(分娩費の全国一律化と保険適用)や、OTC類似薬に薬剤費25%を上乗せする新制度、75歳以上の金融所得の保険料・窓口負担への反映徹底も盛り込む。こうした「負担と給付」の再設計が進む中、がん医療では費用の見える化が始まった。日本肺学会は『肺がん診療ガイドライン(Web版)』の付録に薬物療法別の薬剤費一覧(保険適用前)を掲載した。術後補助療法では、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が月56万円×3年で約2,030万円、アレクチニブ(同:アレセンサ)は月168万円×2年で約4,032万円、アテゾリズマブ(同:テセントリク)は総額902万円、再発小細胞肺がんの二重特異性抗体タルラタマブ(同:イムデトラ)は1年で約3,184万円と示している。推奨度の根拠には用いないが、患者から費用を問われた際の説明材料とし、今後の制度変更で自己負担が増え得る現実を共有する狙いがある。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が、臨床研究の医療経済評価を基本方針化するなど、効果・安全性に加え「費用と持続可能性」を臨床判断に組み込む動きが広がっている。高額療養費は、重い疾患ほど利用頻度が高く、上限の見直しは治療継続や就労、家族介護に直結する。こうした高額な医薬品を用いた医療を提供する医師は、治療選択肢の効果・副作用に加え、想定される自己負担の幅(多数回該当、年間上限など)について患者への説明責任が一段と増す。同時に、薬価・給付の議論は選挙の争点化も進むため、現場から実データを発信しつつ、費用対効果と公平性の両立を問う姿勢が求められる。治療内容のみならず、診療費用の自己負担についての情報提供が、今後いっそう重要になる。 参考 1)高額療養自己負担、2年ごと検証(共同通信) 2)医療保険制度を維持するには 医療費削減で患者が負担? 高額療養費制度の見直しで治療を受けられない恐れも(中日新聞) 3)年収700万円の人なら約3万円の負担増!「高額療養費の見直し」再燃で、8月からどう変わる?(ダイヤモンドオンライン) 4)肺がん診療指針に薬剤費の一覧、数千万円の治療も 見える化の狙いは(朝日新聞) 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター千葉県がんセンターは2026年2月6日、60代男性患者に対し、検査結果の取り違えにより不要な前立腺全摘出手術を行った、医療事故を公表し、患者に謝罪した。事故は2025年に発生。男性は前立腺生検の結果、経過観察が妥当とされていたが、検査を担当した医師が、同日に別患者から得られた悪性度の高い前立腺がんの病理結果を、誤って当該患者の電子カルテに貼り付けた。主治医は、この誤った情報を基に高リスク前立腺がんと診断し、約3ヵ月後に前立腺全摘出および骨盤内リンパ節切除を実施した。手術後、摘出組織の病理所見がカルテ記載と大きく異なることに主治医が気付き、調査の結果、検査結果の取り違えが判明した。患者の身体には手術に起因するとみられる影響が出ているが、詳細は公表されていない。病院は賠償について協議中としている。その一方で、検査結果を誤って外された別患者には、主治医が原本確認を行っており、治療への影響はなかった。同センターでは、11年前にも乳がん検査結果の取り違えによる誤切除事故が発生しており、再発防止が課題となっていた。病院は外部委員を含む医療安全調査委員会を設置し、電子カルテへの検査結果貼付時の患者確認、主治医による原本確認の徹底など、原因究明と再発防止策を検討するとしている。 参考 1)千葉県がんセンターにおけるアクシデントの発生について(千葉県) 2)検査結果取り違え前立腺摘出 電子カルテ誤追記、千葉県がんセンター(朝日新聞) 3)千葉県がんセンター 検査結果取り違え不必要手術 患者に謝罪(NHK) 4)千葉県がんセンター、誤って前立腺摘出 60代男性を別患者と取り違え(日経新聞)

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事例41 胃腸炎への抗生物質製剤の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説事例の診療所では、風邪から派生したと考えられる胃腸炎であっても、必要があれば経口用セフェム系製剤を投与していました。今回、C事由(医学的理由による不適当)にて査定となりました。査定理由を調べるためにカルテを参照しました。咽頭に発赤がある旨と下痢が複数回あったとの記録がありました。医師は、単なる感冒はウイルス性疾患であり、いわゆる抗生物質製剤は有効ではなく、他に必要性があると判断した場合に投与できることを承知されていました。添付文書を調べてみたところ適応に「咽頭・喉頭炎」と類似の病名がありました。事例には「咽頭・喉頭炎」が表示されていないために査定となったものと考えましたが、類似と考えられる「感冒性」が表示されているので適応があると考えられたのではないかと推測しました。しかしながら、支払基金の審査基準である「審査の一般的取り扱い」に、「支払基金・国保統一事例651(令和7年8月29日)」として、「感冒性胃腸炎」には「抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】の算定は、原則として認められない」とあります。この基準に基づき査定となったものと推測できます。他には、感冒、小児のインフルエンザ、小児の気管支喘息、感冒性胃腸炎、感冒性腸炎、慢性上気道炎、慢性咽喉頭炎のみの病名では抗生物質製剤または合成抗菌薬の算定が認められない病名として列記されていました。医師には、この基準を伝えて、抗生物質製剤または合成抗菌薬を投与する場合は、医学的必要性がわかる病名を付与していただくようにお願いして査定対策としています。

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英語で「脱水症」って?インバウンド客にも多い訴え【患者と医療者で!使い分け★英単語】第49回

医学用語紹介:脱水(脱水症)dehydration救急外来に来る外国人の患者さんの中には、旅行中に「脱水(脱水症)」になって搬送されるケースも多いのではないでしょうか。脱水症を表す医学用語はdehydrationですが、ほかにどのように説明できるでしょうか?講師紹介

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「白湯は健康によい?」「バリウム検査は受けるべき?」…患者によく聞かれる質問に解答

 CareNet.comの人気連載「NYから木曜日」「使い分け★英単語」をはじめ、多くのメディアで健康・医療情報を発信する米国・マウントサイナイ医科大学 老年医学科の山田 悠史氏。医学専門書はもとより、健康などのテーマで一般向け書籍も多く執筆する山田氏の最新作が『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)だ。 本書は、しばしば話題になる「健康についての疑問」を、健康診断/医療・食事・健康・運動・睡眠などのジャンルごとに100問集め、最新のエビデンスを踏まえたうえで「正しいか・正しくないか」を提示し、解説する構成になっている。 100問の中から、いくつかを紹介する。1)がん検診の胃のバリウム検査は受けたほうがいい?2)コーヒーを適量飲めば、病気のリスクが減るのは本当?3)白湯は本当に健康にいい?4)プロテインは筋トレしてなくても飲んだほうがいい?5)日光浴は睡眠にいい? 書籍内で紹介された解答と解説は以下のとおり。1)×現時点では、無症状の人へのバリウム検査がリスク減少に寄与するというエビデンスは限定的で、検診目的であれば内視鏡検査がより有効とされる。特定の症状がある人の検査目的なら有用。2)○毎年多くの研究結果が報告されるコーヒーと健康の関係について、1日3~5杯の摂取で、病気リスクが低下傾向になることが報告されている。一方で、飲み過ぎは不眠・動悸の原因にもなり、妊娠中なども摂取量に注意が必要。3)×現時点では、「白湯だけ」がもたらす特別な効果は証明されていない。水分摂取で大切なのは温度より「量」と「継続」であり、好きな温度で続ければよい。4)×食事でタンパク質摂取ができていれば、プロテイン摂取は不要。筋トレをしていない人が飲んでも筋力が付くわけではない。プロテインはあくまで補助食品であり、適切な栄養摂取はまず食事の見直しから始めるべき。5)○日光を浴びることで体内時計が整えられる。メラトニンの分泌を促し、睡眠の質を改善する。日光浴の時間は1日5~30分程度でOK。山田氏に今回の執筆の経緯などを聞いた。 ――今回は一般書なので、まずは読者の方に関心を持ってもらおうと、「よくある健康関連の疑問に対し、○×で答えを提示する」という目を引く構成にしました。診察室でも、患者さんから「はっきりとは答えにくい質問」を受けることがよくあります。「テレビで見たんですけど、本当ですか?」「SNSで話題なんですけど、どうなんですか?」といったように。それに対し、「私ならどう答えるか」とシミュレーションする気持ちで執筆しました。 とはいえ、医師の方であればご存じのとおり、医療・健康に関する情報は「完全に正しい=白」でも「完全に間違い=黒」でもなく、その間のグレーゾーンにあることが大半です。でも、「はっきりとはわかっていません」と言い続けるだけでは、強い主張をするSNSなどの誤情報に負けてしまうことがある。なので、現時点におけるエビデンスを調べ尽くしたうえで、「あえて言うならこちら」と解答を提示し、本文でフォローしています。論拠とした論文はすべて巻末に掲載しているので、関心のあるテーマを深掘りしたり、患者さんとの対話の中で役立てたりしていただければと思います。 本書でとくに印象に残っているのは、「健康にいいおやつは、ドライフルーツよりナッツって本当?」という疑問です。当然ながら、両者を直接比較した試験はなく、私自身もこれまで似た質問を受けたとき、「はっきりとはわかっていません」と答えていました。でも、「白黒を付ける」という本書の方針のもと、ドライフルーツとナッツそれぞれの研究結果を踏まえ、「あえて言えば、ナッツのほうが健康によい」と判断して「○」としました。 100の疑問は、編集の方が出してきたものをそのまま採用しています。私が修正や追加したものはなく、完全に一般の方の「生の声」です。「ネギを首に巻くと風邪は治る?」「こんにゃくをお腹にのせると腹痛が治る?」といった、民間療法に類する質問も入れました。私からすれば診察室でもなかなか聞くことのない、「そこを疑問に思うんだ!」と驚くような質問にも出会え、執筆自体が大きな学びとなりました。 今回の書籍のターゲットは、30~40代のビジネスパーソンです。 私の専門は老年医学なので、普段は高齢の患者さんと接することが多い。健康を失った高齢の方と話していると、若い時期にした小さな「選択ミス」が傷口となり、だんだんとその差が広がり、ついに病気になってしまった、と感じるケースが多くあります。高齢では間に合わないことも、中年から改善すれば間に合うのです。自分の30~40年後を見据え、健康を守るために正しい知識を得て、より良い選択を積み重ねてほしいと思います。書籍紹介『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』

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心不全の予後予測に有用、フレイル指標FI-labとCFSの併用評価

 名古屋大学医学部附属病院循環器内科の水野 智章氏、平岩 宏章氏の研究グループは、急性心不全(HF)患者の血液検査に基づく新たなフレイル指標(Frailty Index based on laboratory tests:FI-lab)が、「退院後1年の予後予測に有用であること」「臨床フレイルスケール(Clinical Frailty Scale:CFS)と独立した予後予測因子であること」「FI-labとCFSを組み合わせることで、急性HFの予後層別化が可能になること」を明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2025年12月16日号掲載の報告。 近年、高齢HF患者におけるフレイルの合併が死亡率や心不全再入院に強く関与している背景があり、患者一人ひとりのフレイル重症度の把握は心不全の予後予測として非常に重要である。一般的なフレイルの評価方法として、現在はCFS*1が用いられているが、血液検査結果を用いた新たな指標としてFI-lab*2の有用性が示唆されている。*1:日常生活動作などの機能の評価に基づき、フレイル度を1~9の9段階で評価(9が最重症)。4点以下は自立可能、5点以上は介護を要し、自立困難と判断される(主観的評価)*2:血液検査結果のうち基準範囲外となった項目の割合を示し、0から1の間の値として算出。値が大きいほど重症のフレイルと評価(客観的指標) そこで、本研究者らはPOPEYE-AHF registry*3に登録された患者のFI-labおよびCFSを調査し、予後との関連を明らかにするために事後解析を実施。退院患者975例のFI-labデータと637例のCFSデータを利用した。なお、FI-labは退院時に実施した21項目の血液検査所見のうち、異常値を示した項目数の割合を用いて算出した。主要評価項目は全死亡、HF入院、両者の複合であった。*3:HFにおける急性期薬物治療の実態と予後に関する多施設共同前向き観察研究 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの年齢中央値は80歳、FI-labデータのある患者の45%が女性であった。・FI-labの中央値は0.48、CFSの中央値は4であった。・FI-lab高値グループは、高齢、BMI低値、心不全の重症度(NYHA分類)が高く、心不全入院歴が多い傾向であった。・多変量Cox比例ハザード回帰分析の結果、測定されたFI-labは、完全調整後もいずれのアウトカムとも関連しており、全死亡のハザード比[HR]は1.38(95%信頼区間[CI]:1.15~1.67、p=0.001)、心不全再入院は1.15(95%CI:1.00~1.32、p=0.044)、複合アウトカムは1.21(95%CI:1.08~1.37、p=0.002)であった。・また、FI-lab低値/高値とCFSの低値/高値をそれぞれ組み合わせ、4群に分けてCoxハザード解析を実施した結果、FI-lab高値/CFS高値群は、全死亡と関連していた(HR:2.62、[95%CI:1.38~4.99、p=0.003])。ただし、心不全再入院および複合アウトカムについては有意差を認めなかった。 研究者らは「主観的指標のCFSと、計算の自動化も可能な客観的指標のFI-labの2つを組み合わせることで、個々の患者に応じた介入が行いやすくなる可能性がある。とくに高リスクの患者に対しては、(1)外来フォロー間隔を短くする、(2)体重や症状変化のセルフモニタリングをより丁寧に指導する、(3)多職種による介入(リハビリ、栄養指導など)を早期に検討するといった対応につなげる補助的な情報、ツールとして活用できると考えている」とし、「ただし、FI-labを用いた心不全患者のフレイル評価に関する報告はまだ少ないため、今後さらなる研究が期待される」と結んだ。

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アリピプラゾールLAIへの切り替えは患者満足度を向上させるのか?

 統合失調症は、治療アドヒアランスの低さを特徴とする慢性精神疾患であり、再発や機能低下につながることが少なくない。アリピプラゾール月1回投与(AOM)などの長期作用型注射剤(LAI)は、アドヒアランスを改善し、再発率を低下させることで、潜在的な解決策となる可能性がある。イタリア・University of ChietiのGianluca Mancusi氏らは、6ヵ月かけて標準治療の経口非定型抗精神病薬からAOMに切り替えた統合失調症患者における臨床的有効性、安全性、忍容性、患者満足度を評価した。Frontiers in Psychiatry誌2025年12月3日号の報告。 本研究は、非盲検単群ミラーイメージ試験として実施した。対象は、経口抗精神病薬による治療で少なくとも2ヵ月間症状が安定していた統合失調症成人患者40例。6ヵ月間の経口抗精神病薬治療期間をレトロスペクティブに評価した後、AOMへの切り替え後6ヵ月間、プロスペクティブにフォローアップ調査を実施した。臨床評価には、Investigator's Assessment Questionnaire(IAQ)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)、治療満足度アンケート(TSQM 1.4)を用いた。副作用は、自己申告および医師による評価ツールを用いてモニタリングした。 主な結果は以下のとおり。・最初のフォローアップ診察を完了した患者は25例。・IAQスコアは、経時的に統計的に有意な改善が認められ、全般的な臨床効果の向上が示された(6ヵ月時点:p=0.010)。・CGI-Sスコアも有意な低下が認められ、疾患重症度の低下を示した(6ヵ月時点:p<0.001)。・TSQMで測定した患者満足度は、3ヵ月および6ヵ月時点で有意な増加が認められた(p<0.001)。・AOMは忍容性が良好であり、体重増加、錐体外路症状、プロラクチン値に軽微な変化がみられたが、統計学的に有意な差は認められなかった。・とくに、陰性症状スコアの統計的に有意な改善が認められた(p=0.032)。・有害事象を報告した患者は5例(18%)であり、その多くが中等度で、治療中止には至らなかった。 著者らは「統合失調症患者における経口抗精神病薬からAOMへの切り替えは、臨床転帰、症状の重症度、治療満足度の有意な改善と関連しており、良好な安全性および忍容性プロファイルを示した。これらの知見は、早期統合失調症におけるAOMの使用を支持しており、長期的な服薬順守と機能回復を促進する可能性を示唆している。これらのベネフィットの持続性、再発予防、生活の質への影響を評価するには、さらに長期にわたる研究が求められる」としている。

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HR+/HER2+進行乳がん、導入療法後の維持療法にパルボシクリブ追加でPFS延長(PATINA)/NEJM

 ホルモン受容体陽性、HER2陽性の進行乳がんの1次治療では、標準的な導入療法で病勢の進行を認めなかった患者の維持療法において、標準療法単独と比較して標準療法+パルボシクリブ(サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬)は、無増悪生存期間(PFS)が有意に1年超長く、奏効率や奏効例の奏効期間も良好だが、Grade3/4の有害事象の頻度が2倍超であることが、米国・Harvard Medical SchoolのOtto Metzger氏らが実施した「PATINA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年1月29日号に掲載された。8ヵ国の無作為化第III相試験 PATINA試験は、8ヵ国123施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2021年7月に参加者を登録した(Pfizerなどの助成を受けた)。 年齢18歳以上のホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体陽性、HER2陽性の進行乳がんで、1次治療における導入療法として化学療法(タキサン系薬剤)+HER2標的療法(トラスツズマブ+ペルツズマブまたはトラスツズマブ単剤)の投与を4~8サイクル受け、病勢の進行を認めなかった患者(完全奏効、部分奏効、安定)を対象とした。 被験者を、導入療法の最終投与日から12週以内に、維持療法としてHER2標的療法(トラスツズマブ+ペルツズマブまたはトラスツズマブ単剤)+内分泌療法(アロマターゼ阻害薬またはフルベストラント)の投与を開始する群(標準療法群)、または標準療法に加えパルボシクリブの投与を開始する群(パルボシクリブ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、担当医評価によるPFS。副次評価項目は、奏効率、臨床的ベネフィット、安全性および全生存期間などであった。PFS中央値は44.3ヵ月vs.29.1ヵ月 518例(年齢中央値53.4歳、男性3例[0.6%]、白人401例[77.4%]、閉経後女性320例[61.8%])を登録し、パルボシクリブ群に261例、標準療法群に257例を割り付けた。無作為化前の導入療法のサイクル数中央値は6であり、導入療法終了時に70.1%が完全奏効・部分奏効、29.3%が安定であった。維持療法では、94.0%が2剤併用抗HER2療法、90.7%がアロマターゼ阻害薬の投与を受けた。 追跡期間中央値53.5ヵ月の時点におけるPFSは、標準療法群が29.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:23.3~38.6)であったのに対し、パルボシクリブ群は44.3ヵ月(32.4~56.8)と有意に延長した(ハザード比:0.75、95%CI:0.59~0.96、両側非層別log-rank検定のp=0.02)。 また、12、24、48ヵ月時のPFS率は、パルボシクリブ群がそれぞれ84.9%、65.2%、46.5%、標準療法群は73.2%、55.3%、38.3%だった。 確定された奏効率(導入療法による完全奏効例を除外し、少なくとも2回の連続した評価で完全奏効または部分奏効が持続していた患者の割合)は、パルボシクリブ群が32.9%(95%CI:26.9~39.4)、標準療法群は24.8%(19.3~30.0)であった。 確定された奏効期間中央値は、パルボシクリブ群が44.9ヵ月(95%CI:27.1~51.6)、標準療法群は30.8ヵ月(26.0~評価不能)だった。Grade3の有害事象が79.7%、Grade4は10.0% Grade3の有害事象は、パルボシクリブ群で79.7%と、標準療法群の30.6%の2倍超の頻度で発現し、主に好中球減少(55.9%vs.2.0%)と白血球減少(15.7%vs.0.8%)であった。Grade4の有害事象は、それぞれ10.0%および3.6%に見られた。 Grade5の有害事象(試験薬以外の原因による致死的イベント)は、パルボシクリブ群で3.8%、標準療法群で4.4%に認めたが、担当医判定による試験薬関連の死亡の報告はなかった。重篤な有害事象は、それぞれ28.7%および21.8%で発現した。 また、パルボシクリブ群では、57.7%で減量を要し(27.7%が1回、30.0%が2回の減量)、18%で投与中止の原因となった有害事象が見られた。 著者は、「本試験では、導入療法中に病勢が進行した患者を除外したため、病変の生物学的特性がより良好な患者を試験集団に集積した可能性がある」「44ヵ月を超える無増悪生存期間の達成は臨床的に意義のある進展を示すもの」「早期死亡はまれで、6ヵ月全生存率は両群とも99%を超えており、これは導入療法を完了して維持療法の段階に移行した患者の良好なアウトカムを反映するものである」としている。

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泌尿器科ロボット支援手術、遠隔手術が現地手術に非劣性/BMJ

 泌尿器科領域のロボット支援手術(根治的前立腺全摘除術、腎部分切除術)では、遠隔手術は現地手術に対し成功率に関して非劣性であり、遠隔手術システムは1,000~2,800kmの距離で安定して稼働し、合併症や早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担などにも有意差を認めないことが、中国・Chinese PLA General HospitalのYe Wang氏らTeleS Research Groupが実施した「TeleS研究」で示された。研究の成果は、BMJ誌2026年1月28日号で報告された。中国の無作為化対照比較非劣性試験 TeleS研究は、2023年12月~2024年6月に、中国の5施設で実施した単盲検無作為化対照比較非劣性試験(中国・国家自然科学基金などの助成を受けた)。北京と他の4つの地域(ウルムチ[北京とのおおよその距離2,800km]、杭州[1,300km]、ハルビン[1,250km]、合肥[1,000km])の施設の間に遠隔手術システムを構築した。 ロボット手術による根治的前立腺全摘除術および腎部分切除術を予定している患者72例(ITT集団)を対象とした。これらの患者を、北京からの遠隔手術を受ける群(36例、年齢中央値61.0歳[四分位範囲[IQR]:57.5~68.0])または各地域で現地手術を受ける群(36例、65.0歳[IQR:56.5~70.0])に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、手術成功率(医療チームが事前に設定した基準で判定)。手術および早期回復に関連した13の臨床的副次アウトカム、医療チームの作業負担に関連した1つの副次アウトカムなどを評価した。また、手術システムに関する4つの技術的副次アウトカム(ネットワーク通信の遅延、表示の遅延、遠隔手術中のフレームロス、システム故障)も探索的に評価した。副次アウトカムの回復と合併症について、被験者は術後4週間および6週間に追跡評価された。ITT、PP集団とも高確率で非劣性を示す 遠隔手術群の32例(根治的前立腺全摘除術17例、腎部分切除術15例)および現地手術群の31例(16例、15例)が実際に手術を受け(per protocol[PP]集団)、それぞれ31例および28例が6週間の追跡調査を完了した。 ITT集団における手術成功率は、遠隔手術群が100%(36/36例)、現地手術群は94.44%(34/36例)であり、PP集団ではそれぞれ100%(32/32例)および96.77%(30/31例)であった。 ベイズの混合効果ロジスティック回帰分析では、ITT集団の手術成功率の推定群間差は0.02(95%信用区間[CrI]:-0.03~0.15、非劣性の事後確率:0.99)であり、PP集団は0.003(95%CrI:-0.001~0.03、非劣性の事後確率:>0.99)であった。 いずれの集団でも、95%CrIの下限値が事前に規定された非劣性マージン(-0.1)を上回り、非劣性の事後確率が0.98を超えていることから、高い確率で遠隔手術の現地手術に対する非劣性が示された。さまざまな問題の実現可能な解決策となる可能性 遠隔手術システムは、北京と4地域の1,000~2,800kmの距離で安定しており、ネットワークの平均往復遅延時間は20.1~47.5ミリ秒、フレーム損失は1回の遠隔手術当たり0~1.5フレームであった。その他の副次アウトカム(手術基本データ、合併症、早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担など)は、両群間で有意差を認めなかった。 著者は、「本研究は、遠隔手術分野における初の無作為化対照比較試験として、その信頼性が従来の現地手術に劣らないことを立証した」「この知見は、今後の大規模臨床試験のデザインや実施に向けた基本的なエビデンスの基盤を提供する」「中国では、質の高い医療資源が大都市に集中するため、病床待ち時間の長期化、長距離移動、地方の総医療費の増加などの問題が生じ、同時に国際社会は高齢化とがんの早期発症傾向という二重の圧力に直面している。遠隔手術は、これらの問題に対する実現可能な解決策となるだろう」としている。

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ストレス解消目的のオンラインショッピング、実は逆効果かも

 ストレス解消のために、オンラインショッピングをしていないだろうか。新たな研究で、その行為は見当違いである可能性が示唆された。オンラインショッピングは、ニュースを読むことやメールチェックなどよりもストレスとの関連が強いことが明らかになったという。アールト大学(フィンランド)のMohammad Belal氏らによるこの研究結果は、「Journal of Medical Internet Research」に1月9日掲載された。 Belal氏は、「この研究から、ソーシャルメディアやオンラインショッピングの利用時間が増えるほど自己申告によるストレスも増加することが、複数の利用者層やデバイスに共通して確認された」とニュースリリースで述べている。 研究グループは、ドイツ在住の18歳以上の1,490人を7カ月間追跡し、URLレベルでどのサイトをどのくらいの時間見たかを記録できるプログラムを用いてインターネットの利用状況を分析した。また、対象者の社会人口統計学的データを集め、月ごとにストレスレベルを測定した。7カ月間でウェブページ訪問は4,710万701件(ドメインは23万6,955)に上り、モバイルアプリの利用は1,355万3,645件記録された。 解析の結果、インターネットの利用とストレスの間には状況によって異なる複数の関連が認められ、ソーシャルメディア、オンラインショッピング、ゲームは、利用時間が長くなるほどストレスレベルも高くなっていた。例えば、モバイル端末でのオンラインショッピングはストレスレベルの上昇と有意な関連を示した。デスクトップパソコンを使ったオンラインショッピングでもストレスレベルは上昇したが、統計学的に有意ではなかった。一方、生産性に関わるウェブサイトやニュースサイトなどの閲覧時間は、ストレスレベルの低下と関連していた。さらに、高ストレス者がモバイル端末でソーシャルメディアやゲーム、インターネット全般を多く使うと、さらにストレスが増加する傾向も認められた。 Belal氏は、「やや意外なことだが、ニュースサイトの利用時間が長い人ほど、ストレスが低いことが分かった。一方、もともとストレスレベルが高い人は、ニュースをあまり読まない傾向がある。これは、ストレスがニュース消費を減らすという過去の研究結果とも一致する」と話している。 ただし研究グループは、因果関係の方向は不明だとしている。これは、ストレス解消のためにオンラインショッピングをしているのか、それともオンラインショッピングがストレスを増やしているのかは、現時点では不明だということである。 論文の上席著者であるアールト大学のJuhi Kulshrestha氏は、「オンラインショッピングやソーシャルメディアの利用がストレスを生んでいるのか、それともそれらが辛い時期に重要な支えとなっているのか、この『鶏と卵』の問題を解くにはさらなる研究が不可欠だ。特定のインターネットの利用を一律に制限しても、問題解決にならないどころか、苦しんでいる人から重要な支えを奪ってしまう可能性もある」と述べている。 研究グループは今後、ニュースの内容の違いがストレスやウェルビーイングにどう影響するかなど、より詳しい分析を行う予定だとしている。Kulshrestha氏は、「人々のインターネット利用をより正確に把握できるようになれば、閲覧行動を調整し、ウェルビーイングを高める新たなツールの開発も可能になるだろう」と述べている。

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デジタルピアサポートアプリ介入が歩数目標達成率と歩数に与える影響──前糖尿病・早期2型糖尿病での非ランダム化比較試験

 前糖尿病や早期2型糖尿病では、血糖コントロールのために運動習慣を身につけることが重要とされている。しかし現実には、運動を「始める」よりも「続ける」ことのほうが難しい。こうした課題に対し、オンライン上で仲間とつながり、互いに励ましあいながら目標行動の維持を支えるデジタルピアサポートに注目した研究が行われた。前糖尿病および早期2型糖尿病を対象とした本研究では、アプリを用いた介入によって、日々の歩数目標の達成率および平均歩数が高まることが示された。研究は、北里大学大学院医療研究科の吉原翔太氏らによるもので、詳細は12月15日付で「JMIR Formative Research」に掲載された。 2型糖尿病は世界的な公衆衛生課題であり、運動不足などの生活習慣が発症に関与している。運動療法の中でも歩行は、日常生活に取り入れやすく、運動に伴うリスクが小さいとされ、前糖尿病や2型糖尿病において血糖改善と関連することが報告されている。一方で、前糖尿病や2型糖尿病患者の運動習慣を支援する対面型ピアサポートは、人的・時間的資源を要するため、広く継続的に提供することが難しい。そこで本研究は、前糖尿病および早期2型糖尿病を有する者を対象に、オンライン上で仲間とつながりながら相互に支援し合うデジタルピアサポートアプリが、歩数目標達成率および平均歩数に与える影響を検証した。 本研究は、「神奈川ME-BYOリビングラボ」プログラムの一環として、2019年10~12月に実施された前向きの非ランダム化比較試験である。参加者は、神奈川県在住または県内企業に勤務する40~79歳の成人38人で、HbA1c値が5.6~7.0%の前糖尿病または早期2型糖尿病に該当する者とした。参加者は、デジタルピアサポートアプリ(「みんチャレ」、A10Lab Inc.)群と対照群に分けられた。デジタルピアサポートアプリ群では、日々の歩数をアプリで記録し、その進捗を少人数(最大5人)のピアグループ内で共有するとともに、リアルタイムのフィードバックや支援を受けた。対照群では、万歩計を用いて各自が個別に歩数を記録した。主要評価項目は、3ヵ月間における1日平均歩数目標の達成率とした。副次評価項目として、期間中の1日平均歩数、BMI、HbA1c、血圧、および自己申告による生活習慣を評価した。 本研究を完遂した参加者は計32人であり、内訳はデジタルピアサポートアプリ群18人、対照群14人であった。参加者のベースライン特性は2群間で有意な差は認められなかった。 デジタルピアサポートアプリ群では、対照群と比較して、1日歩数目標の達成率の中央値が有意に高く(57.2%〔四分位範囲:32.2~90%〕 vs 26.7%〔10~64.4%〕、P=0.04)、1日歩数の中央値も有意に多かった(6854歩〔4846~10,388歩〕 vs 3946歩〔3176~6832歩〕、P=0.03)。線形混合効果モデルによる解析では、歩数の経時的変化は群間で異なり、デジタルピアサポートアプリ群では時間経過に伴う有意な低下は認められなかった一方、対照群では時間とともに有意に減少した(P<0.001)。 一方、HbA1c値、血圧、生活習慣行動の変化については、両群間で有意差は認められなかったが、BMIの介入前後の変化については、デジタルピアサポートアプリ群のみで改善傾向がみられた(P=0.07)。 著者らは、「前糖尿病および早期2型糖尿病を対象に、デジタルピアサポートアプリは歩数目標達成率と平均歩数を維持し、歩数の低下抑制に寄与した可能性がある。リアルタイムのフィードバックや仲間からの承認が動機づけに関与した可能性があり血糖改善は短期間では限定的だったが、行動変容を促す有効な手段と示唆された」と述べている。 なお今後の研究課題として、デジタルピアサポートが行動変容の「きっかけ」として機能するのか、あるいは継続利用によって運動習慣そのものを支える仕組みとなるのかについて、さらなる検証が必要とされている。

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相手の顔が「悪魔」に見える疾患【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第299回

相手の顔が「悪魔」に見える疾患図. prosopometamorphopsiaが見た人の顔(生成AIにて作成)他人の顔がまるで「悪魔」のように見える疾患をご存じでしょうか。2024年にLancet誌に掲載されたため、ご存じの読者も多いかもしれません。顔貌変形視(prosopometamorphopsia)という疾患があります。顔の形状、質感、位置、あるいは色が歪んで知覚される視覚障害であり、世界的にも報告例が限られています。Mello A, et al. Visualising facial distortions in prosopometamorphopsia. Lancet. 2024 Mar 23;403(10432):1176.患者は58歳の男性です。31ヵ月にわたり「人の顔が歪んで見える」という症状が持続しており、精査目的で受診されました。患者の訴えは非常に具体的でした。顔の各パーツが強く引き伸ばされ、額・頬・顎に深い溝が刻まれるように見えるというのです。本人はこの見え方を「悪魔のような顔」と表現しました。この歪みは、患者が出会うすべての人の顔に認められました。家族であろうと、友人であろうと、初対面の人であろうと、例外なく顔が歪んで見えるのです。興味深いことに、この歪みには明確な選択性がありました。家や車などの物体を見たときには、歪みを自覚しないというのです。つまり、この知覚異常は顔に特異的であり、物体認識には影響を及ぼしていませんでした。さらに注目すべき点があります。患者は、顔が歪んで見えていても、相手が誰であるかは認識できたと述べています。これは、顔の同一性認識(誰の顔であるかを判断する機能)が比較的保たれていたことを示唆しています。相貌失認(prosopagnosia)では顔の同一性認識そのものが障害されますが、本症例ではそうではありませんでした。また、「歪んで見える人物が実は別人である」といった妄想的な症状も伴っていませんでした。そして、本症例の最も特異な点は、画面上あるいは紙面上の顔画像を見た場合には歪みが生じないということでした。目の前にいる人の顔は悪魔のように歪んで見えるのに、その同じ人をスマートフォンで撮影した写真を見ると、正常に見えるのです。患者の既往歴を確認すると、双極性障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)がありました。さらに重要な既往として、43歳時に入院を要する重度の頭部外傷がありました。また、55歳時には一酸化炭素中毒の可能性があり、これは顔の歪み症状が出現する4ヵ月前のことでした。受診時点で処方薬の内服はなく、違法薬物の使用も否定されました。頭部外傷と一酸化炭素中毒という二つの脳への侵襲が、本症例の病因として関与している可能性が考えられました。脳のT1強調およびT2強調MRIでは、興味深い所見が認められました。円形の病変が確認され、T1強調像で低信号、T2強調像で高信号を呈していました。最大径は約1cmでした。左海馬頭部の上方に位置しており、左海馬を約3mm下方へ圧排していました。ただし、左海馬の内部構造自体は保たれていました。神経内科医の評価では、この病変はクモ膜嚢胞である可能性が高いとされました。前述のとおり、患者は「画面上や紙面上の顔画像では歪みが起こらない」と述べていました。この特異な現象学を利用して、研究チームは独創的なアプローチを試みました。まず、同一室内で同一の照明条件下に顔写真を撮影しました。そして患者に、その場で直接見る顔(対面の顔)と、コンピュータ画面上に表示された顔写真を交互に観察するよう依頼しました。これにより、顔貌変形視は本当に「悪魔の顔に見える」ことが示されたと言えます。実際の画像は著作権的に提示できませんが、生成AIで作成した冒頭の図のように、目・口・耳などが横長に伸びて見えるらしいです。

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第299回 いよいよ明後日投票日、今回の各党の医療・社会保障政策は?~野党各党編

INDEX国民民主党日本共産党れいわ新選組減税日本・ゆうこく連合参政党日本保守党社民党チームみらいさて2026年2月8日投開票の衆院選に関連し、前回は与党の自民党、日本維新の会、最大野党の中道改革連合が掲げる医療・社会保障政策を取り上げた。今回は残る野党各党を取り上げる。国民民主党まずは昨今、議席増を続け野党内でも台風の目になりつつある同党は、5つの大きな政策を掲げ、そのもとで中項目(<>内)、さらに小項目(数字項目)を置き、小項目の下にさらにナンバリングした政策各論を提示している。その中身は以下に要約・列挙した。詳細は以下のとおり1.手取りを増やす<1.令和の所得倍増計画>1「消費」の拡大(1)介護職員、看護師、保育士等の給料倍増(介護職員、看護師、保育士等の給料、10年で倍増。処遇改善加算等を対象者に直接給付)(4)社会保険料軽減策の導入(社会保険料還付制度の導入、130万円の壁突破助成金の創設、社会保険料に上乗せされる「子ども・子育て支援金」の廃止)2「中小企業・非正規賃上げ応援10策」1)社会保険料負担軽減(中小・中堅企業の新規正規雇用の増加に伴う社会保険料の事業主負担の半分相当を助成)3.「人づくり」こそ国づくり<5.出産・子育て支援策の拡充と所得制限撤廃>8妊娠・出産に係る公費支援(不妊治療への公的支援やノンメディカルな卵子凍結の助成拡充、小児、若年性がん治療薬の妊孕性温存療法[精子・卵子保存]を保険適用、安全な無痛分娩を受けられる体制整備)9日本型ネウボラの創設(保健師・医師などによる妊娠時から高校卒業までの「伴走型支援」を制度化)<6.子どもの安全と福祉の確保>2子どもの死亡検証(チャイルドデスレビュー)の導入3ヤングケアラー対策(ヤングケアラー支援法の施行状況の検証、実態調査の定期的実施、実態調査に基づく効果的な支援の方法の調査研究)11介護と仕事の両立支援(ビジネスケアラー対策)12ダブルケアラー対策(ダブルケアラー支援法の制定)<10.現役世代と次世代の負担適正化と医療・介護の質向上を両立させる社会保障制度の確立>1年齢ではなく能力に応じた負担(後期高齢者の医療費自己負担の原則2割化、現役並所得者3割。現役並所得の判断基準での金融所得、金融資産等の保有状況を反映)2高齢者医療制度への公費投入増3科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直し(OTC類似薬の医療保険対象見直し、保険外併用療養費制度の弾力化)4ヘルスリテラシー教育の推進5セルフメディケーションの推進(医療用成分のスイッチOTC化推進、検査薬OTC化、リフィル処方箋普及)6中間年薬価改定の廃止(経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールの策定、中央社会保険医療協議会への医薬品関連業種の代表者の追加)7予防医療・リハビリテーション(認知症・フレイルの予防、リハビリテーションの充実による健康寿命の延伸)8医療提供体制の充実、医療の質と効率の改善(1)医療従事者の負担軽減と働き方改革(医師・看護師・薬剤師等が実施可能な行為や役割の見直し、女性医療従事者の就業継続・再就職支援)(2)地域医療体制の見直しと機能強化(医師の地域偏在や診療科偏在の是正に資する診療報酬評価、かかりつけ医[日本版GP]・かかりつけ薬局[日本版CPCF]制度の導入、人頭払制度、薬剤師の職能活用、地域フォーミュラリー[医薬品の使用指針]の推進)(3)医療DXの推進(オンライン診療、標準型電子カルテ、電子処方箋の普及の推進、「全国医療情報プラットフォーム」の整備を通じた医療情報の共有化)9終末期医療の見直し10介護サービス・認知症対策の充実(訪問介護の基本報酬を引き上げ、全介護職員の賃金を引き上げ、介護福祉士の上位資格「地域包括ケア士(仮称)」の制度化)11介護研修費用の一部補助12介護福祉士国家試験に外国人人材向けの母国語併記13ケアマネジャー研修の負担の軽減(ケアマネジャー研修内容・体制の全国一律化)<12.ジェンダー後進国脱却、多様性社会実現>1生理、更年期障害政策(「生理の貧困」に対応した生理用品の無償配布)4.自分の国は「自分で守る」<1.防災・減災対策強化>4熱中症対策(公共施設、商業施設等の冷房設備を備えた「クーリングシェルター」の指定促進と周知、熱中症警戒アラートのわかりやすい発信と高齢者などへの周知)<3.「総合的な経済安全保障」の強化>1国内調達の拡充(1)国民の命と生活を守る医薬品や医療機器の安定供給確保(革新的新薬へのアクセス確保とドラッグラグ・ドラッグロス改善のため、欧米と比較して相対的に低い新薬収載時の価格算定方式を見直し、特許期間中の薬価維持制度、市場拡大再算定制度の市販後にイノベーションを再評価できる仕組みへ、共連れルール廃止、供給不安に陥っている医薬品について増産支援、不採算に陥ることのない薬価下支え制度、急激な物価高騰に対応できる制度の構築、医薬品メーカーの生産・在庫・出荷状況等を一元管理するデータベース構築)(2)イノベーション創出環境の整備(医薬品や医療機器での「社会課題(公的医療介護費、生産性損失)の解決につながるイノベーション」や「世界に先駆けて生み出されたイノベーション」、「医療の質の向上や医療の効率化に資するイノベーション」を積極的に評価、創薬エコシステム・イノベーション拠点を構築、医薬品や医療機器のイノベーションを促進に向けた各種法規制の国際的調和の推進、質の高い効率的な医療の提供と医薬品や医療機器の研究開発の効率化に向けた「仮名加工医療情報」の二次利用にかかる法整備、臨床試験等に活用しうるデータの標準化と信頼性確保等の推進、フェムテック関連医療機器や医薬部外品の届出、認証の円滑化) 以前から指摘していることだが、同党の医療・社会保障政策は与野党すべてを見回しても、もっとも充実していると言っていい。そして今回の内容は昨年の参院選時のものとまったく同じである。まあ、作り込んでいるがゆえに今さら変更の必要はないということなのだろう。日本共産党現存する日本最古の政党(1922年結党)である同党だが、今回公表された医療・社会保障政策は、かなり数が多い。以下に列挙する(歯科は除く)。詳細は以下のとおり患者負担増や保険料の負担増を起こさないための国費投入・国庫負担の引き上げを行い、診療報酬のさらなる増額・改善を進め、医療従事者の賃上げを実現「地域医療構想」による病床削減、強引な病院統廃合の阻止医師養成数の削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続するなど医師の計画的増員を推進病院の勤務医などの時間外労働上限を引き下げ看護師の計画的な増員を推進OTC類似薬の「特別料金」徴収の阻止70歳以上の窓口負担を一律1割に引き下げ、軽減・無料化を推進1兆円の公費投入増で国保料を協会けんぽの保険料並みへ保険料の「均等割」「平等割」を廃止。「所得割」の保険料率の引き下げ、低所得世帯に重い「資産割」改善生活困窮者の国保料を免除し国庫で補填「国保の都道府県化」による国保料引き上げに反対保険料滞納者への支援なしの10割負担(特別療養費の支給)の中止保険料滞納者の生活相談による収納活動へ転換保険料・窓口負担の軽減障害者、高齢者などの医療費無料化(現物給付)を行う自治体への国保の国庫負担を減額制度の中止国保法第44条の規定にもとづく、生活困窮者の窓口負担(一部負担金)の減免を積極的に推進国保組合が行う独自給付への国庫補助削減を止めて拡充へ18歳までの医療費無料化現役世代の窓口負担の2割への引き下げ高額療養費制度の改善・拡充後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げを中止。制度を廃止高齢者医療への国庫負担を増額し、現役世代の支援金負担、高齢者の保険料負担を軽減マイナ保険証の強制をやめて健康保険証を存続資格確認書はマイナ保険証の有無に関係なく国民全員に交付不具合続出のマイナカードによるオンライン資格確認の中止・見直し「子ども・子育て納付金」の廃止高額療養費制度の患者負担増案の“復活”を許さず、制度の改善高額療養費制度の負担限度額の上限を引き下げ、「1%」の定率部分を廃止高額療養費限度額の設定を“月ごと”から“治療ごと”に変更世帯の所得区分ごとに年間を通じた高額療養費負担上限額を設定3疾患(血友病、HIV、人工透析の腎臓病)限定の「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」を拡大し、療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養費給付制度(仮称)」を創設新型コロナ感染症の抗ウイルス薬などに公費補助の仕組みを設定し、患者の自己負担を、インフルエンザのタミフル並みに新型コロナワクチン接種の経済負担軽減の仕組みを創設新型コロナワクチン接種後の有害事象の原因を徹底究明と接種と症状との因果関係の認定に至らなかった事例も含めた幅広い補償・救済コロナ感染者や疑いのある人に対する十分な検査と治療の体制整備(救急・入院の拡充など「コロナ以外」の医療の逼迫が起こらないようにする体制の強化、高齢者・障害者施設、医療機関などにおける検査等の防護措置の実施を国が支援)国の負担で肺・心臓の長期的障害や筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)など、「コロナ後遺症」の治療・研究、患者への生活支援を推進コロナ危機の教訓を踏まえ感染症病床の2倍化、保健所の箇所・職員数の大幅増、集中治療室(ICU)設置を支援する制度の創設ワクチンや治療薬の研究・開発に対する財政支援、水際・検疫体制の抜本的な強化新興・再興感染症の発生・拡大に備える検査・医療体制を拡充し、体制・人員・資器材等を確保教育・保健の連携による性に関わる正しい知識の普及と予防法の周知、検査体制の強化、一般医療機関への情報提供による性感染症の予防・早期発見・治療の実現安全性・有効性が確認されたワクチンの公費接種事業を推進。ワクチン接種後に有害事象が起こった事例の原因の徹底究明と調査、被害者の治療・補償・救済を、国の責任で推進。医療費適正化計画の撤廃混合診療、保険外治療の拡大の阻止差額ベッド料などの自費負担を廃止株式会社による医療経営解禁を阻止協会けんぽへの国庫補助を法定上限の「20%」に引き上げ、労働者・中小企業の負担軽減にむけた、国の支援を強化国民の健診データ・情報の営利企業に引き渡しに反対薬価構造を根本的に見直し新薬などの高薬価是正で得られた財源を医療の充実や医療従事者の処遇改善などへ必須医薬品の安定供給を確保するため、後発品(長期収載品)の薬価を採算のとれる水準にするよう見直し。同時にメーカーに責任を課し、委託生産の規制強化や、原薬の国産化を推進無料低額診療への支援を強化し、薬剤費への制度適用を目指す医薬品・医療機器に偏った報酬評価のあり方を見直し、医療従事者の労働を適正に評価する診療報酬に改革「包括払い(定額制)」の導入・拡大に反対初・再診料、入院基本料の引き上げ標準算定日数を超えたリハビリを「保険外併用療養」とする制限を廃止人工透析「夜間・休日加算」を患者負担の軽減とともに適切な水準へ引き上げ出産一時金のさらなる増額と出産費用の無償化助産師の養成数を増やし、助産院へ公的支援助産院を地域の周産期医療ネットワークに位置付け、助産師と産科医の連携を国の責任で推進通常分娩の保険適用・窓口無料化の実現時は助産師による出産、妊産婦へのケアや各種指導なども産科医療機関との連携など安全確保を前提に保険適用医療事故の検証を行う調査機関に関する制度の改善産科医療補償制度の抜本的見直しを進めつつ、無過失補償制度を創設患者の権利を明記し、医療行政全般に患者の声を反映する仕組みをつくる「医療基本法」の制定現行の「診療明細書の発行」を見直し国の責任で、がんの専門医の配置や専門医療機関の設置を推進未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進保険診療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税を還付社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置、医療機関の概算控除の特例の継続・存続救急・救命体制への国の補助を2倍化。新しい国の補助制度をつくり、ICU病床(HCUを含む)の2倍化救急隊員の抜本増、ドクターヘリの充実、地域医療の再生とあわせた救急・搬送体制の整備・拡充国の責任で小児救急体制を整備し、新生児特定集中治療室(NICU)の増設はり・きゅうの保険適用の改善・拡充在宅医療・介護における駐車問題の解決 いやはや、今回の同党の政策の多いこと多いこと。ただし、率直に言えば既存政策への「反対」「撤廃」「中止」などの文言が多く、実現の可能性について、私個人は相当疑問符が付く。もっとも、どの政党も提案していない新型コロナワクチンの定期接種に関する接種費用補助は目を引く。この辺は他党に見習ってもらいたいものである。れいわ新選組ご存じ山本 太郎氏を代表とする同党だが、山本氏が「多発性骨髄腫の一歩手前」と公表し議員辞職。そして最近は共同代表の大石 あきこ氏が代わりにメディアに登場している。同党のマニフェストでは5つの大項目を掲げ、その下に具体的な政策を標榜している。以下、要約・列挙する。詳細は以下のとおり03.社会保険料は国のお金で引き下げる後期高齢者医療制度は廃止し、全額国費負担介護保険の国負担割合を50%以上に引き上げ04.生きててよかったと思える国~今すぐできる少子高齢化対策~介護・保育の月給10万円アップ民間事業者が少ない地域で介護士を公務員化し「公務員ヘルパー」を復活介護保険の利用者負担を一律1割。低所得者の利用料免除・減免を制度化要支援1、2のホームヘルプ、デイサービス利用の保険給付復活介護保険サービスを趣味など生活の充実にも利用可能に 上記以外にも「国立病院、公立病院の統廃合、病床の削減(地域医療構想)の中止」「マイナンバーカード廃止」「健康保険証の復活」などがあるが、基本的に同党も2025年の参院選と政策に変更はない。減税日本・ゆうこく連合衆院解散直前の立憲民主党と公明党の新党結成に反発した立憲民主党の原口 一博氏(元総務相)と、日本保守党を離党し、衆院内会派で「減税保守こども」を結成していた河村 たかし氏(元名古屋市長)、竹上 裕子氏、平岩 征樹氏、参政党を離党した鈴木 敦氏が参加して、原口・河村両氏が共同代表で結成した。当初5人の国会議員がいることで、政党要件を満たしたが、最終的には鈴木氏が出馬を見送ったため、現状は4人。今回は4つの大きなスローガンを公約として発表している。その中の1つ「三、日本救世【命・安全・教育】国民の命を利権から守り抜き、次世代へ豊かな国土を引き継ぎます」の項で以下のような公約を掲げている。詳細は以下のとおり命を守る決断:新型コロナワクチン(遺伝子製剤)の接種を直ちに中止し、被害の実態解明と全ての被害者の救済を最優先医療・福祉の最適化:ICTを活用した「かかりつけ医制度」の導入により、過剰医療や医療過誤を是正。難病・障害者基本法の改正により合理的配慮を徹底 2番目はまだしも、1番目ははっきり言っていただけない。ご存じのように共同代表の原口氏は、mRNAワクチンについて、かなり出所不明な情報を発信するワクチン懐疑派。このためmRNAワクチンの製造・販売元の1社であるMeiji Seikaファルマから、名誉棄損による損害賠償請求訴訟を起こされている。参政党さて、前回の参議院選も含め昨今の選挙では、国民民主党とともに議席を伸ばしている同党。以前も取り上げたように、失礼ながらややトンデモ政策が多いのだが、今回はどうだろう?今回は3つの柱と9の政策(<>内)を掲げ、9つの政策の下に詳細な説明も加わっているほか、分野別の詳細政策も掲げている。詳細は以下のとおり1の柱 日本人を豊かにする~経済・産業・移民~<政策1“集めて配る”より、まず減税>消費税減税と社会保険料軽減で国民負担率上限35%実現2の柱 日本人を守り抜く〜食と健康・一次産業〜<政策6 安心医療で健康国家>診療・介護・障害福祉報酬を抜本的に引き上げ、基礎年金の受給額の底上げ医療・介護・福祉従事者の賃金アップと過重労働の改善健康維持・重症化予防に取り組む人へのインセンティブ付与新型コロナ対応を検証し、実効的な感染症対策を再構築以下は「健康・医療」の分野別政策守る医療、正す医療。現場を救い、制度を持続させる仕組みを再構築診療・介護・障害福祉報酬(各サービスの公定価格)を抜本的に引き上げ、医療・介護・福祉従事者の賃金をアップし、過重労働を改善不必要な重複検査や過剰な治療・投薬等については、医学的妥当性を重視し、適正化かかりつけ医機能を重視し、継続的な健康管理や相談に取り組む医療機関を評価する報酬体系を検討OTC医薬品で対応可能な軽症疾患はセルフケアを基本とし、安易な処方を抑制(重症化や合併症のリスクが高い疾病での必要な治療・投薬を妨げるものではない)フリーアクセスで、いつでも何回でもどの医療機関でも受診ができる仕組みを見直す医療DXを活用し、業務効率化や研究開発に繋げる予防医療の推進により、医療費適正化と地域経済活性化を両立科学的根拠が確立した予防医療・重症化予防を段階的に保険対象へ生活習慣病、フレイル、認知症等について、予防・再発防止に取り組んだ医療機関を評価する制度を導入健康診断、重症化予防、生活習慣改善等により、医療費適正化に貢献した方を評価する仕組みを導入。評価に応じて、国内旅行クーポンや地域消費につながるインセンティブ制度を検討。新型コロナ対応とmRNAワクチン施策の検証~次なる感染症に備えるための、責任ある再構築政府で新型コロナ対応およびmRNAワクチン施策全体について、独立性・透明性を確保した検証実施を求め、検証結果を国民に分かりやすく公表mRNAワクチンは短期的な効果だけでなく、中長期的影響を見据えた安全性評価と治験・調査を徹底新型コロナウイルスを含む新興感染症でウイルスの発生経緯・拡大要因・対応について、政府が専門的かつ独立性の高い検証を実施WHOなど国際機関の情報や勧告などは、日本の実情に即して妥当性を科学的に評価し、主体的に判断できる体制を整備。国際機関の判断が日本の状況に適さないと合理的に判断される場合は、国内専門機関の評価を優先できる制度設計高リスク病原体を扱う国内研究施設について、立地、管理、運用に関する安全基準を厳格化し、事故・流出リスクを最小化科学的根拠の明確な提示と、国民一人ひとりの自己決定権を最優先とするワクチン政策ワクチン接種は、年齢・基礎疾患・重症化リスクを踏まえた任意接種を原則効果と副反応などのリスクについて、国民に分かりやすく情報提供接種後の健康影響について、中長期的な追跡調査と結果の公表を実施医師による副反応報告と健康被害救済制度への協力体制を強化がん・難病の“治療と生活”を国の責任でしっかり守る総合支援がん・難病に関し、国の責任で「治療と生活」を守る。診断の遅れ、手続きの壁、医療格差、地域格差をゼロへがん・難病の患者が抱える就労・学業・介護・移動・家族負担を含む「生活困難」に対し、医療にとどまらず、福祉・労働・教育・地域政策を束ねて一体で実装治療法の確立と新薬開発支援を拡充し、実用化までの期間短縮。そのための研究投資とデータ基盤整備を推進有効性が確認されたがん検診の費用補助等により、受診率を全国的に引き上げ老老介護やヤングケアラーを地域全体で支える仕組みを構築介護を社会の基盤へ:地域包括ケア強化と年金改革で老後不安を解消「65歳以上を高齢者」の定義の見直し介護報酬を引き上げ老老介護や介護離職を防ぎ、制度と地域で支える仕組み作り加算の申請手続きなど、行政が現場に要求する過剰な負荷を減らし、DX化も推進介護・医療・住まい等を包括的に捉えて、地域で密に連携する仕組み作りフレイル・認知症予防への積極的取組、地域の居場所・見守りを国が支援本人が望んでいない終末期における過度な延命治療を見直す本人の意思を尊重し、医師の法的リスクを回避するための尊厳死法制を整備人生会議(ACP)、事前指示書、生命維持治療に関する医師の指示書(POLST)の普及と制度的位置づけの明確化緩和ケア、在宅看取り、ホスピス等、尊厳を保持した医療の拡充終末期の延命措置医療費の負担の在り方の見直し さてざっと見まわすと、以前に本連載で批判的に捉えた予防医療のインセンティブ(Go Toトラベル)やすべてのワクチンを任意接種にするなど、まるで米国・保健福祉長官ケネディ氏のような政策が目につく。一方、がん・難病でのデータ基盤整備や介護での加算申請手続きの軽減などは玄人的な政策がある点も目を引く。誰かが入れ知恵したのだろうか?日本保守党移民反対を前面に打ち出す同党の医療・社会保障政策は結党以来、まったく変更はなく以下の2点である。詳細は以下のとおり移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ健康保険法・年金法改正(外国人の健康保険・年金を別立てに)教育と福祉出産育児一時金の引き上げ(国籍条項をつける) そもそもシングルイシューの政党と言ってもよく、有体に言えば、少なくとも現時点では社会保障政策自体にそれほど強い関心はないのだろう。社民党旧日本社会党を源流とし、社会民主党、社民党と名称を変えてきた同党だが、最盛期の日本社会党時代に衆院で166議席も有していた議席は今やゼロ。参院で2議席のみである。今回は「社民党8つの提言」の中で「最低保障年金制度の樹立で老後の安心を!介護と医療の負担を軽減!」を掲げ、以下のような政策を提唱している。詳細は以下のとおり介護報酬を引き上げ、介護従事者の待遇を改善して人手不足を解消。混合介護と自由診療を規制高額医療費や一般用医薬品(OTC)医薬品の自己負担増に反対マイナ保険証の取得強制に反対し、紙の健康保険証を継続国公立病院の統廃合を認めない 今回唱えている政策は、ほとんどが前回の参院選時に掲げていたもの。唯一異なる点があるとするならば、「混合介護」と表現している介護の保険外サービス利用と自由診療の規制の点である。チームみらいAI研究者だった安野 貴博氏が創設した新党で、昨年の参院選では安野氏自身が比例で1議席を獲得して政党要件を満たした。2024年東京都知事選挙に立候補した時に本連載でも本人に取材し、安野氏の政策はアジャイルな設計で、有権者からの意見を受け付け柔軟に変化することがわかった。そのため、ここに記述したものも投票日までに変更されている可能性がある。政策は大きく3つの大項目で構成され、その下にテーマ(<>内)、さらに個別政策という構成。以下、要約・抜粋する。詳細は以下のとおり(2)「今」の生活をしっかり支援<経済財政・社会保障>現役世代の社会保険料負担を軽減し、フェアな税・社会保障制度を目指す「税収」(1)現役世代の過度な負担を回避し、国民全体で支えられる方法を検討(2)入国税や非居住外国人に対する固定資産税の引上げ、外国人旅行者の消費税免税制度の見直しなど日本の生活者に影響の小さい歳入源の拡充も検討「支出」影響が大きい方への配慮を行いながら、医療費の自己負担割合の一律3割を目指す。 加えて、「医療」パートに示す制度改革に取り組む<医療>1.医療の有効性・重要度に応じたきめ細やかな自己負担へ高額医療費制度の上限の拙速な引き上げを見直し中長期的に診療行為のエビデンス、費用対効果や重症度に基づく自己負担割合の複数段階化を検討電子レセプトに連携し窓口で即時に自己負担額が算出できるAI、システムの開発を支援。医療DXを推進する支援の枠組みも整備2.治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入「どれだけ診療が行われたか」だけでなく、「どれだけ良くなったか」にも報いる医療制度への転換を目指し、成果連動型の診療報酬制度を導入(治療の効果が高い医療機関に対しての報酬加算、患者に対しての還元を設計し、医療機関・患者の双方に動機づけを行う)診療データを匿名化し、全国医療データベース(NDB)で一元管理。AIを活用した公平で迅速な評価を行う仕組みを整備(電子カルテの標準化、相互運用性の確保を推進。診療記録や検査結果をデータ化して治療成果を判定、成果加算が自動的に反映される仕組みを設計。アウトカム評価指標の提出、確認が行われることで医療機関の負担が増えないよう、民間企業と連携した電子カルテの解析システムの開発を促進)3.オンライン診療/処方受け取り方法を充実し、通院のない受診を実現オンライン診療普及のための診療報酬、インセンティブの設計(オンライン診療を普及促進の診療報酬の加算を検討)安全性を担保するためのガイドライン整備(本人確認、重症化時のバックアップ体制など、オンライン診療を安全に行い、標準的なサービスを担保するための規定を整備)薬の受け取りまでオンラインで完結するための枠組みの整備(自動運転やドローンでの配送物流コストの診療報酬での手当を検討)4.画像診断AIで見逃しリスクと医師不足の解消を同時にシステム導入費の補助による画像解析システムの導入診断AIへの加算を制定し継続利用を促進。AI画像解析の成果について評価を実施人とAIが協働する医療のルール整備<福祉>5.福祉・介護従事者の処遇改善・テクノロジーによる業務負担軽減を推進障害福祉・介護従事者の給与水準を全産業平均に近づける賃上げ方策の検討テクノロジー活用推進、福祉・介護従事者の待遇改善を目的とした基本報酬改定の検討生産性向上推進体制加算の拡充とテクノロジー活用を標準とした新たな報酬類型を創設施設類型を中心に進められている生産性向上推進体制加算の適用を在宅系サービスへ拡大福祉・介護職員等処遇改善加算による賃上げ効果を向上のため、テクノロジー活用と経営改善による利益を福祉・介護職員へ還元する制度の改定 さて比較的AIに懐疑的な人は、これらを見て「テクノロジーで解決できるほど医療は簡単ではない」と言うかもしれない。ただ、ここで提言されている政策をよく読めば、実はテクノロジー一辺倒ではないことがわかるのではないだろうか?たとえば、医療者が嫌うであろう診療報酬のアウトカム評価も何を行ったかの実績評価との併用で語っている。また、ここでは私が要約したが、実はチームみらいのホームページに行くと、それぞれの政策を掲げるテーマの背景まで深く分析している。私見を言えば、既存政党は長らく政治に関わりながら、こうした背景分析をきちんとしているだろうか?ここまで超長文、かつかなり駆け足で各党の政策を紹介した。このように駆け足になったのはひとえに戦後最短の選挙期間というのが最大の理由であるため、ご容赦願いたい。さて8日の投開票結果はいかに?

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心不全の新たな治療戦略:次の10年を見据えて【心不全診療Up to Date 2】第6回

心不全の新たな治療戦略:次の10年を見据えてKey PointsHFpEF治療は「SGLT2阻害薬+MRAを基盤」とする新パラダイムが確立され、治療戦略は“症候改善のみ”から“イベント抑制”の時代へ心臓指向性AAVベクター(AB-1002)を用いた遺伝子治療が安全性と有効性のシグナルを示し、心不全治療に新しい地平を拓きつつあるIL-6を標的とした抗炎症療法や、CCMなどのデバイス治療が、GDMT抵抗性の心不全患者に対する新たな選択肢として開発が進むはじめに本連載では1年間にわたり、心不全診療の最新トピックスを取り上げてきた。最終回となる本稿では、現在臨床試験段階にある新規治療や将来有望な治療戦略について考えていきたい。HFrEF治療ではβ遮断薬、RAS阻害薬/ARNI、MRA、SGLT2阻害薬の「4本柱」が確立し、HFrEF患者の予後は著しく改善した。一方、高齢化の進展とともに増加する左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)、そしてGDMT(guideline-directed medical therapy)に抵抗性を示す患者に対しては、さらなる治療選択肢が求められている。本稿では、(1)HFpEF治療の新展開、(2)遺伝子治療、(3)抗炎症療法、(4)デバイス治療の4領域について、最新のエビデンスと今後の展望を述べる。HFpEF治療の新展開:フィネレノンの登場第4回で述べたように、HFpEF治療においてSGLT2阻害薬が不動の地位を確立した。これに加え、2025年7月、米国・FDAは非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nsMRA)であるフィネレノン(商品名:ケレンディア)を、左室駆出率(LVEF)≧40%の心不全患者に対する適応で承認した。本邦でも、2025年12月22日、慢性心不全への適応追加が承認された。この承認の根拠となったFINEARTS-HF試験では、HFpEF/HFmrEF患者6,001例(左室駆出率(LVEF)≧40%、NYHA II~IV度)を対象に、標準治療へのフィネレノン上乗せ効果が検証された1)。中央値2.7年の追跡期間において、主要評価項目である心血管死および心不全イベント総数(初発および再発の心不全入院、緊急心不全受診)の複合は、フィネレノン群でプラセボ群と比較して16%有意に減少した。また、フィネレノンは従来のステロイド性MRA(商品名:スピロノラクトン、エプレレノン)と比較してMRへの選択性が高く、性ホルモン関連の副作用(女性化乳房など)が少ないことが特徴である2)。なお、本試験ではプラセボと比較して高カリウム血症の頻度は増加したが、従来のステロイド性MRAと比較して高カリウム血症リスクが低い可能性が示唆されてきた点や、忍容性の観点から実臨床での使いやすさが期待される薬剤と位置付けられる。フィネレノンの登場により、HFpEF/HFmrEFにおいても「SGLT2阻害薬+MRAを基盤とした治療」が現実的な標準治療戦略となりつつある。とくにCKDや糖尿病を併存する症例では、心不全イベント抑制とともに心腎双方のアウトカム改善を期待できる点で臨床的意義は大きい。第4回で述べた「SGLT2阻害薬を基盤とし、表現型に応じた治療を追加する」というHFpEF治療の新パラダイムにおいて、フィネレノンが加わることで、「SGLT2阻害薬+MRAを基盤とした治療」へと進化したといえる。なお、ステロイド性MRAのHFpEF患者に対する有効性は、TOPCAT試験の結果を受け※、SPIRRIT試験(NCT02901184)、SPIRIT-HF試験(NCT04727073)にて改めて検証中である。今後、nsMRAとステロイド性MRAの位置付けや使い分けが、HFpEF/HFmrEF領域における重要な論点となるだろう。※TOPCAT試験にて、HFpEFに対するMRAの有効性が検証されたが、結果は、心血管死、蘇生できた心停止、心不全入院の主要複合エンドポイントの有意な低下は認めなかったが…続きはこちら副次エンドポイントの1つである心不全入院については有意な低下を認めた(HR:0.83、95%信頼区間[CI]:0.69~0.99、p=0.043)。心不全入院は、本試験の主要複合エンドポイントの中で最も高頻度に発生したイベントでもあり、心不全入院率低下、それによるQOL改善効果については有用性が期待できる結果であったといえる。また、本試験は事後解析でHFpEFに対するMRAの有効性に関する興味深いデータが多く報告されていることでも有名な試験である。その1つとして、本試験は、12ヵ月以内の心不全(各施設の診断)の入院歴(第1層)、またはこれを満たさない場合、60日以内のナトリウム利尿ペプチド上昇(BNP≧100pg/mLあるいはNT-proBNP≧360pg/mL)(第2層)をエントリー条件とした試験であるが、その第2層でエントリーされたサブグループにおいては、主要エンドポイントの低下が認められた4)。また、本試験は米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジルというグループと、ロシア、グルジアというグループの間に心不全の重症度や試験開始後の収縮期血圧4)、イベント発生に大きな差があっただけでなく、前者のグループでは1次エンドポイントに有意差が認められた5)。さらには、スピロノラクトンを内服していれば血中に認めるはずの代謝産物が、ロシアの症例では認めない症例の割合が30%とかなり多かったという報告があり(米国やカナダの症例では3%のみ)、ロシアの症例ではアドヒアランスがかなり悪かった(スピロノラクトン群であるにもかかわらずスピロノラクトンがしっかり内服されていなかった)可能性も指摘されている6)。心不全に対する遺伝子治療の進歩心不全に対する遺伝子治療は、これまでSERCA2a(筋小胞体Ca2+-ATPase)を標的としたCUPID試験シリーズが先駆的に行われてきた。CUPID第I/II相試験では、AAV1ベクターを用いたSERCA2a遺伝子の冠動脈内投与が安全に実施され、予備的な有効性シグナルが観察された7-9)。しかし、続く第IIb相試験(CUPID2)では主要評価項目を達成できなかった。その原因として、AAV1ベクターの心臓向性(cardiotropism)の限界、投与量の不足、既存の中和抗体の影響などが指摘されている。2025年、Nature Medicine誌に新たな遺伝子治療AB-1002のfirst-in-human第I相試験結果が報告され、心不全遺伝子治療に再び期待が高まっている10)。AB-1002は、心臓向性を強化したキメラAAVベクター(AAV2i8)を用いて、恒常活性型プロテインホスファターゼ1阻害因子(I-1c)を心筋細胞に導入する治療法である。心不全患者では、プロテインホスファターゼ1(PP1)の活性が亢進し、ホスホランバン(phospholamban:PLN)の脱リン酸化が進行してSERCA2a活性が低下する。I-1cはPLNの脱リン酸化を抑制することでSERCA2a活性を回復させ、カルシウムサイクリングを正常化する。すなわち、CUPID試験がSERCA2aの「発現量増加」を目指したのに対し、AB-1002は「活性回復」という異なるアプローチを採用している。本試験では、非虚血性心筋症によるNYHA III度心不全患者11例(LVEF 15~35%)を対象に、冠動脈内投与によるAB-1002の単回投与が実施された10)。低用量群と高用量群の2コホートで検討され、12ヵ月の追跡が行われた。主要評価項目である安全性について、治療に起因する重篤な有害事象は認められず、1例の死亡(治療との関連なしと判定)を除き、有害事象は軽度から中等度であった。高用量群で一過性の肝酵素上昇が観察されたが、自然軽快している。有効性評価では、両群でNYHAクラスの改善、LVEFの改善、peak VO2や6分間歩行距離の改善傾向が観察された。もちろん、長期有効性、安全性、費用対効果といった課題は残されている。しかしAB-1002は、「心不全を遺伝子レベルで修飾する時代」が現実味を帯びてきたことを示す重要な一歩であり、現在進行中の第II相GenePHIT試験(NCT05598333)を含め、今後の大規模試験の結果が強く待たれる。(表1)AAVベクターを用いた心不全遺伝子治療の臨床開発の歩み画像を拡大する炎症を標的とした新規治療心不全の病態生理において炎症が重要な役割を果たすことは古くから知られていたが、初期の抗炎症療法は期待された結果を示せなかった。TNF-α阻害薬を用いたATTACH試験およびRENEWAL試験は、いずれも有効性を示すことができず、むしろ高用量群では有害事象の増加が観察された11-13)。これらの失敗は、心不全における炎症制御の複雑さを示すとともに、より選択的な標的の必要性を浮き彫りにした。近年、インターロイキン(IL)シグナルを標的とした治療戦略に注目が集まっている。IL-1βに対するモノクローナル抗体カナキヌマブ(商品名:イラリス)を用いたCANTOS試験では、心筋梗塞の既往歴がある高感度C反応性蛋白(hsCRP)値2mg/L以上の患者において主要心血管イベントの有意な減少が示され、さらに心不全入院リスクの低下も観察された14)。この結果を受けて、心不全患者を対象としたIL-1阻害薬anakinra(国内未承認)の複数の第II相試験が実施され、運動耐容能や炎症マーカーの改善が報告されている15)。TNF-α阻害薬が失敗に終わった一方で、IL-1βやIL-6が注目されている背景には、これらのサイトカインが動脈硬化・心不全リモデリングにおける慢性炎症ネットワークの”ハブ”として機能しているという病態理解の進展がある。すなわち、全体の炎症反応を無差別に抑え込むのではなく、病態の中核となるシグナルを選択的に制御する方向に戦略がシフトしているといえる。さらに、IL-6を直接標的とした大規模臨床試験が複数進行中である。IL-6リガンド阻害薬ziltivekimabは、動脈硬化性心血管疾患の既往を有するCKD患者(hsCRP≧2mg/L)を対象としたZEUS試験(NCT05021835)、HFpEF/HFmrEF患者(hsCRP≧2mg/L)を対象としたHERMES試験(NCT05636176)、急性心筋梗塞入院患者を対象としたARTEMIS試験(NCT06118281)などで検証中である。2025年に発表されたACC Scientific Statementは、心血管疾患における炎症の役割を包括的にまとめ、今後の抗炎症療法の方向性を示している16)。IL-6阻害薬の心不全に対する大規模試験結果は2026年後半から2027年にかけて報告される見込みであり、心不全治療における炎症制御の意義が明らかになることが期待される。デバイス治療の新たな展開:心臓収縮力調節療法心臓収縮力調節(Cardiac Contractility Modulation:CCM)療法は、心臓の絶対不応期に非興奮性電気刺激を与えることで心筋収縮力を増強する植込み型デバイス治療である。心臓再同期療法(CRT)の適応とならないQRS幅正常(<130ms)の症候性心不全患者に対する新たな治療選択肢として注目されている17)。CCM療法の作用機序は、非興奮性電気刺激により細胞内カルシウムハンドリングが改善され、心筋収縮力が増強されることに加え、心不全で異常発現している複数の遺伝子発現を正常化することにあるとされる18)。興味深いことに、このカルシウムハンドリングの改善という点で、前述の遺伝子治療AB-1002と共通する機序を有している。FIX-HF-5C試験およびFIX-HF-5C2試験の結果から、CCM療法はLVEF 25~45%の症候性心不全患者において、運動耐容能(peak VO2)とQOL(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire)を有意に改善することが示されている19)。また現在、HFpEF/HFmrEF患者(LVEF 40~70%)を対象としたAIM HIGHer試験(NCT05064709)が進行中であり、GDMT抵抗性のHFpEF/HFmrEF患者に対するCCM療法の有効性が検証されている。第4回で述べたように、HFpEF/HFmrEFにおいても収縮障害が潜在している可能性があり、CCM療法による収縮力増強が有効であるかどうか結果が楽しみである20,21)。また、HFrEF患者を対象としたCCM療法とICDを組み合わせたCCM-Dシステムの第III相INTEGRA-D試験(NCT05855135)も2025年に組み入れを完了しており、心不全症状の軽減と突然死予防の両立を目指した新たなデバイス戦略として期待されている。おわりに:次の10年に向けて1年間の連載を通じて、心不全診療が近年急速に進歩していることをお伝えしてきた。HFrEFに対する「4本柱」の確立、HFpEFに対するSGLT2阻害薬とフィネレノンの登場、インクレチン製剤による肥満合併HFpEFへの新たなアプローチ、そして特定の心筋症に対する分子標的治療(例:マバカムテン、ブトリシラン、アコラミディス)など、治療選択肢は着実に広がっている。今後の10年を展望すると、本稿で紹介した遺伝子治療や抗炎症療法といった病態修飾治療の実用化、精密医療(Precision Medicine)の進展、そしてデバイス治療のさらなる進化が期待される。とくに、心不全の表現型(phenotype)に基づいた個別化治療戦略の確立は、治療反応性を最大化し、非反応者を最小化するために不可欠である。画像を拡大する心不全治療は今も進化の途上にあり、その最前線はこれからも更新され続けるだろう。本連載が、その変化を少しでも臨床現場につなぐ一助となっていたなら望外の喜びである。最後に、本連載を1年間ご愛読いただいた先生方に心より感謝申し上げる。心不全診療は依然として多くの課題を抱えているが、エビデンスに基づいた最適な治療を患者一人ひとりに提供することで、予後改善とQOL向上を実現できると確信している。読者の先生方とともに、今後も心不全診療のさらなる発展に貢献していきたい。 1) Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2024;391:1475-1485. 2) Agarwal R, et al. Eur Heart J. 2021;42:152-161. 3) Pitt B, et al. N Engl J Med. 2014;370:1383-1392. 4) Shah AM, et al. Circulation. 2015;132:402-414. 5) Rossignol P, et al. Circulation. 2015;131:7-10. 6) de Denus S, et al. N Engl J Med. 2017;376:1690-1692. 7) Hajjar RJ, et al. J Card Fail. 2008.;14:355-367. 8) Jessup M, et al. Circulation. 2011;124:304-313. 9) Zsebo K, et al. Circ Res. 2014;114:101-108. 10) Henry TD, et al. Nat Med. 2025;31:3845-3852. 11) Chung ES, et al. Circulation. 2003;107:3133-3140. 12) Mann DL, et al. Circulation. 2004;109:1594-1602. 13) Lincoff AM, et al. JAMA. 2003;289:853-863. 14) Ridker PM, et al. N Engl J Med. 2017;377:1119-1131. 15) Hartrampf N, et al. Science. 2020;368:980-987. 16) Mensah GA, et al. J Am Coll Cardiol. 2025;S0735-1097:07555-2. 17) Pipilas DC, et al. J Soc Cardiovasc Angiogr Interv. 2023;2(6Part B):101176. 18) Butter C, et al. J Am Coll Cardiol. 2008;51:1784-1789. 19) Abraham WT, et al. 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不思議の国のアリス症候群、特定の薬剤が関連か

 不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome:AIWS)は、物体や人の大きさが変わって見える、体が宙に浮くような感覚、時間の歪みなどの視覚的・知覚的歪みを伴う神経疾患である。従来から片頭痛やてんかん発作との関連が指摘され、その後、腫瘍や感染症、さらには薬物との関連も報告されている。フランス・ニース大学病院のDiane A. Merino氏らによる研究グループは、世界保健機関(WHO)の医薬品安全性データベースを解析した結果、モンテルカストやアリピプラゾールなどの特定の薬剤がAIWSの発現に関与している可能性を明らかにした。Psychiatry Research誌2026年2月号に掲載。 本研究では、1967年~2024年12月15日までにWHO医薬品安全性データベースVigiBaseに登録されたAIWS症例を抽出し、小児(0〜17歳)と成人(18歳以上)に分けて不均衡分析を実施した。AIWSと薬剤の関連性は、シグナル指標としてInformation Component(IC)と95%信頼区間(CI)を算出し、95%CIの下限値(IC025)が正の値を示す場合をシグナルが検出されたとみなした。 主な結果は以下のとおり。・抽出されたAIWS 87例のうち、小児は26例(29.9%)で平均年齢7.1歳(標準偏差[SD] 4.0)、成人は45例(51.7%)で40.6歳(SD 13.0)であった。・56例(64.4%)が重篤と判断された。転帰が判明している症例のうち43例(79.6%)が回復または回復中であることが確認された。・小児群では、喘息・アレルギー治療薬のモンテルカスト(IC:3.2、95%CI:1.7~4.2)および注意欠如・多動症(ADHD)治療薬のメチルフェニデート(IC:2.3、95%CI:0.3~3.5)において有意なシグナルが検出された。・成人群では、抗うつ薬のセルトラリン(IC:3.4、95%CI:2.1~4.4)、抗てんかん薬のトピラマート(IC:3.1、95%CI:1.3~4.2)、抗精神病薬のアリピプラゾール(IC:3.6、95%CI:2.5~4.4)、およびモンテルカスト(IC:2.7、95%CI:0.7~3.9)に有意な関連が認められた。・新型コロナウイルスワクチンも頻繁に報告されていたが(17例、19.5%)、統計的に有意なシグナルは検出されなかった(IC:0.63、95%CI:-0.26~1.31)。一方で、髄膜炎菌ワクチンについては有意なシグナルが認められた(IC:2.7、95%CI:1.2~3.7)。 本研究により、メチルフェニデートやモンテルカストといった特定の薬剤が年齢層に応じてAIWSを引き起こすトリガーとなる可能性が示唆された。著者らは、AIWSは通常、薬剤の投与中止により回復するが、視覚的・知覚的歪みの症状が患者に混乱をもたらす可能性があるため、慎重なリスク・ベネフィット評価が必要であり、本研究は自発報告データベースに基づくため、今後さらに大規模な集団ベースの調査が必要だとまとめている。

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双極症におけるベネフィットを最大化させるアリピプラゾールLAI使用のタイミングは?

 双極症I型(BP-I)は、慢性かつ再発性の精神疾患であり、躁/軽躁状態およびうつ状態の両極端の気分スペクトルを交互に呈する特徴を有している。2015年、米国におけるBP-Iの推定年間総コストは2,000億ドルを超え、一般人口の約2.5倍に達した。これは主に急性期医療サービスの利用増加によるものであった。アリピプラゾールなどの長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が開発されたことにより、経口剤と比較して、治療順守に関する患者の負担を大幅に軽減し、一貫した投与量および治療成績の向上が可能となった。これまでのリアルワールドエビデンス研究では、統合失調症患者において、アリピプラゾール月1回注射剤(AOM)を早期に開始することによるベネフィットが示されている。しかし、BP-I患者集団における早期AOM開始の有効性は、いまだ不明であった。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのShivanshu Awasthi氏らは、MarketScanメディケイドデータベースの請求データを用いたレトロスペクティブ解析により、リアルワールドにおけるBP-I成人患者に対するAOM 400mg(AOM 400)の有効性を診断後早期開始(180日未満)と遅延開始(365日超)の場合で比較した。Journal of Managed Care & Specialty Pharmacy誌2026年1月号の報告。 アウトカムは、1年間における救急外来、入院、外来、薬局の受診回数と関連コストとした。遅延開始者対照群として、早期、中期、遅延治療開始者における年間コストの比較には、一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・BP-I患者866例(年齢中央値:36歳)のうち、早期開始群は161例、後期開始群は591例であった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、救急外来受診(発症率比:0.76、95%信頼区間[CI]:0.61〜0.94)、外来薬局受診(発症率比:0.82、95%CI:0.73〜0.93)のリスクが有意に低かった。・早期開始群は、後期開始群と比較し、薬局受診コスト(1万8,787ドルvs.2万3,503ドル、p=0.03)および医療コスト(1万3,898ドルvs.1万8,277ドル、p=0.01)も低かった。・全体として、フォローアップ期間中の総医療コストは、早期開始群が後期開始群よりも大幅に低かった(3万1,086ドルvs.4万599ドル、p<0.001)。・早期開始群は、中期開始群と比較し、総医療コストが有意に低かった(3万1,086ドルvs.4万892ドル、p=0.01)。 著者らは「BP-I患者におけるAOM 400の早期開始は、後期開始と比較し、医療資源利用と関連コストの低減という大きなベネフィットをもたらす可能性がある」と結論付けている。

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乳がん後の心筋梗塞と脳卒中リスク

 乳がんと診断された女性におけるその後の心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析したところ、心筋梗塞は20%、脳卒中は58%のリスク増加が示唆された。イタリア・トリノ大学のFulvio Ricceri氏らが、イタリア北西部の130万人の女性を対象とした大規模集団研究で分析した結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌2026年1月29日号で報告した。 乳がんの生存期間は検診の普及と治療法の進歩により延長したが、同時に他疾患のリスクも増加している。原因としては、遺伝的要因、共通のリスク因子、治療による副作用などが挙げられる。そこで本研究では、治療の潜在的な副作用を考慮しつつ、乳がん患者における心筋梗塞と脳卒中のリスクを分析した。対象集団は、国勢調査データと複数の医療行政データベースをリンクさせた行政コホート研究であるピエモンテ縦断研究(PLS)の30~75歳の女性で、ベースライン時点で心筋梗塞または脳卒中の既往があった女性は除外した。原因別比例ハザードモデルを用いた競合リスク分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・30~75歳の134万2,333人のうち1万9,203人が乳がんと診断され、そのうち206人(1.1%)が心筋梗塞、203人(1.1%)が脳卒中を発症した。・乳がん患者では心筋梗塞(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.05~1.38)および脳卒中(HR:1.58、95%CI:1.38~1.82)のリスク増加が認められた。・心筋梗塞については化学療法が主要な危険因子であったが、脳卒中については治療法による違いは認められなかった。

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