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感染症の届け出基準を一部改正、多剤耐性緑膿菌感染症を全数把握へ/厚労省

 厚生労働省は、感染症法に基づく対象の感染症の届け出について、「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」を一部改正し、これまで定点把握の対象であった「薬剤耐性緑膿菌感染症」を全数把握の対象とし、名称を「多剤耐性緑膿菌感染症」と変更した。また、同感染症の届出のために必要な検査所見などについて、判定基準値が一部変更された。同改正は令和8年4月6日より適用されている。<主な変更点(抜粋)>「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」第6について、下記のとおり改正する。・「51 薬剤耐性緑膿菌感染症」を全数把握疾患とし、名称および届出のために必要な検査所見を変更するとともに、「16 多剤耐性緑膿菌感染症」と記載位置を変更する。・上記変更後の「16 多剤耐性緑膿菌感染症」の(4)届出のために必要な検査所見の表中「アミカシンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が14mm以下」を「アミカシンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が16mm以下」とする。・上記変更後の「16 多剤耐性緑膿菌感染症」の(3)届出基準のアおよびイ中「指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、」を「医師は、」に改めた。 上記よりすべての医師が、症状や所見から多剤耐性緑膿菌感染症を疑い、下記の検査所見により多剤耐性緑膿菌感染症と診断した場合には、7日以内に届出を行わなければならない。<届け出のために必要な検査所見>※分離・同定による緑膿菌の検出、かつ、以下の3つの条件をすべて満たした場合1)イミペネムのMICが8μg/mL以上または、感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が15mm以下、もしくは、メロペネムのMICが8μg/mL以上または、KBの阻止円の直径が15mm以下2)アミカシンのMICが32μg/mL以上または、KBの阻止円の直径が16mm以下3)シプロフロキサシンのMICが2μg/mL以上または、KBの阻止円の直径が18mm以下、もしくは、レボフロキサシン のMICが4μg/mL以上または、KBの阻止円の直径が14mm以下

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緑茶は肝がんリスクを下げるのか~JACC Study

 緑茶の摂取と肝がんのリスクとの関連について、これまでの報告は一貫していない。今回、日本人成人の大規模な前向きコホート研究であるJACC Studyで、緑茶の摂取が肝がんリスクの低下と関連し、用量反応関係を示したことが報告された。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2026年4月号に掲載。 本コホート研究には、1988~90年のベースライン時点で肝がんの既往がなく、40~79歳の4万1,999人(男性1万8,205人、女性2万3,794人)が登録された。検証済みの自己記入式質問票を用いて、個人の社会人口統計学的特性、既往歴、生活習慣を評価し、2009年末まで肝がん発症状況を追跡した。1日当たり緑茶摂取頻度が1杯未満(基準)、2~4杯、5~6杯、7杯以上での肝がんのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルを用いて算出した。年齢、性別、調査地域、学歴、糖尿病・肝疾患・胆のう疾患の既往歴、BMI、飲酒状況、喫煙状況、コーヒー摂取量、運動習慣、歩行量などの潜在的交絡因子を調整した。さらに、コーヒー摂取量、飲酒状況、肝疾患既往歴などの主要な交絡因子については層別化し分析した。 主な結果は以下のとおり。・緑茶の摂取は肝がんのリスク低下傾向と関連しており、多変量解析によるHRは2~4杯で0.87(95%CI:0.61~1.23)、5~6杯で0.87(同:0.61~1.25)、7杯以上で0.61(同:0.40~0.95)となり、1杯未満と比較してリスク低下の傾向がみられた(傾向のp=0.029)。この逆相関は、男性、がん以外の肝疾患既往歴がない人、現在飲酒者で有意だった。・7杯以上の摂取に対する多変量人口寄与割合(PAF)は7.1%(95%CI:0.9~11.4)であった。

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非保護左冠動脈主幹部病変のPCI、超音波ガイドvs.造影ガイド/NEJM

 非保護の左冠動脈主幹部病変を有する患者に対する冠動脈血行再建術では、近年、解剖学的な複雑性が軽度~中等度の場合は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が、冠動脈バイパス術(CABG)の許容可能な代替法として確立しているが、ステントの適切な拡張、血管壁への圧着、病変の被覆など長期的な転帰に影響を及ぼす可能性のある技術的な課題が残されているという。イタリア・IRCCS Policlinico San DonatoのLuca Testa氏らは「OPTIMAL試験」において、血管内超音波(IVUS)ガイド下PCIは従来の血管造影ガイド下PCIと比較して、良好な臨床アウトカムをもたらすかについて評価した。NEJM誌オンライン版2026年3月30日号掲載の報告。欧州3ヵ国の研究者主導型無作為化優越性試験 OPTIMAL試験は、イタリア、スペイン、英国の28施設で実施した研究者主導型の非盲検無作為化優越性試験(Philips Image Guided Therapy DevicesとBoston Scientificの助成を受けた)。 2020年7月~2023年6月に、年齢18歳以上、50%以上の狭窄を伴う非保護の左冠動脈主幹部病変を有し、PCIの適応とされ、中等度~重度の虚血とともに、ガイドラインに基づく内科的治療を行っても症状を認める患者を登録した。 被験者を、診断目的の冠動脈血管造影で適格性を確認した後、ガイドワイヤー挿入前に、IVUSガイド下PCIまたは血管造影ガイド下PCIを受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、最長の追跡期間における脳卒中、心筋梗塞、血行再建術、全死因死亡から成る患者指向型の複合エンドポイントとした。患者指向型の主要複合エンドポイント、33.7%vs.30.9%で有意差なし 806例(平均[±SD]年齢71.4[±10.7]歳、男性78.4%、糖尿病34.7%)を登録し、IVUSガイド下PCI群に401例、血管造影ガイド下PCI群に405例を割り付けた。原疾患の発生率の内訳は、非ST上昇型心筋梗塞が39.1%、不安定狭心症が10.1%、慢性冠症候群が50.8%であり、平均SYNTAXスコアは29.7(±12.6)点(中等度~高度の解剖学的複雑性)だった。 追跡期間中央値2.9年の時点において、患者指向型複合エンドポイントのイベントは、IVUSガイド下PCI群で135例(33.7%)、血管造影ガイド下PCI群で125例(30.9%)に発生し、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.11、95%信頼区間[CI]:0.87~1.42、p=0.40)。 また、デバイス関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、臨床的に必要と判断された標的病変の再血行再建術)(IVUSガイド下PCI群22.4%vs.血管造影ガイド下PCI群20.5%、HR:1.10、95%CI:0.82~1.49)、血管関連複合エンドポイント(心血管死、標的血管心筋梗塞、標的血管再血行再建術)(24.2%vs.21.5%、1.14、0.85~1.52)、全死因死亡(15.7%vs.15.1%、1.06、0.74~1.50)は、いずれも両群間に有意差がみられなかった。手技関連・安全性イベントにも差はない 心筋梗塞(IVUSガイド下PCI群11.2%vs.血管造影ガイド下PCI群10.9%、HR:1.04、95%CI:0.68~1.57)、再血行再建術(12.0%vs.11.1%、1.10、0.73~1.65)の発生率も両群で同程度であり、ステント血栓症(definite:0.7%vs.0.2%、3.07、0.32~29.53/probable/definite:2.0%vs.0.7%、2.73、0.72~10.27)の頻度にも有意な差はなかった。 手技関連イベントや全般的な安全性イベント、重篤な有害事象の発生についても、両群間に有意差を認めなかった。熟練施術者に血管内画像は不要の可能性 著者は、「1件の先行試験では、IVUSは施術者の経験が少ないほうが有益性は高いことが示されているが、本試験の参加施設の施術者は豊富な専門知識を持ち、左冠動脈主幹部PCI施行中は、もとよりIVUSに基づいて確立された血管造影アルゴリズムを順守するとともに、厳格な手技基準と最新のステントプラットホームを用いたことが、両群間のアウトカムの潜在的な差異を縮小した可能性がある」としている。 また、「本試験の結果は、左冠動脈主幹部の狭窄にPCIを行う際は、常に冠動脈内の画像によるガイドを使用すべきとの要件に異議を唱えるものであり、症例数の多い施設で熟練のIVUS施術者が処置を行う場合は、血管造影単独でも十分に適切である可能性を示唆する」と指摘している。

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日本における多剤併用の診療報酬改定が睡眠薬の長期処方に及ぼした影響

 神戸大学の木村 丈司氏らは、日本における多剤併用に関する診療報酬改定が高齢患者の睡眠薬の長期処方に及ぼす影響を評価するため、本研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年2月号の報告。 対象は、50歳以上の外来および入院患者。JMDC医療機関データベースを用いて分析を行った。対象とした睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)、Z薬、ラメルテオンおよびオレキシン受容体拮抗薬(ラメルテオン/ORA)。2015~22年の各月における、外来および入院患者1万人当たりの睡眠薬新規処方率(4週間以上)を算出した。診療報酬改定が行われた2020年4月を介入点として、中断時系列分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・2015~22年までのデータベースにおける外来および入院の平均患者数は、1ヵ月当たり82万8,510例であった。・2015年1月から2022年12月にかけて、BZDとZ薬の処方率は、それぞれ210から125、111から78.6へと徐々に減少していた。しかし、ラメルテオン/ORAの処方率は、7.41から54.4へと増加していた。・介入時点では、BZDの処方率は1.08倍(95%信頼区間[CI]:1.02~1.13)、Z薬の処方率は1.12倍(95%CI:1.08~1.16)の有意な増加を認めた。しかし、介入後には傾斜の変化に有意な減少が認められた(BZD:0.990倍[95%CI:0.988~0.992]、Z薬:0.994倍[95%CI:0.993~0.996])。・ラメルテオン/ORAは、増加傾向にあった傾斜の変化が、介入後に有意な減弱を認めた(0.991倍[95%CI:0.986~0.995])。 著者らは「多剤併用に関連する診療報酬改定は、BZD、Z薬、およびラメルテオン/ORAの長期的な処方傾向を有意に減少する方向へと転換させていた」としている。

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2日間のオートミール食で悪玉コレステロールが低下

 果物をトッピングするか、ピーナッツバターで風味をつけるかにかかわらず、オートミールを中心とした食事はコレステロール値の低下に役立つ可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この試験では、メタボリックシンドロームの人が48時間にわたって厳格なオーツ麦ベースの食事プランを実践したところ、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)が約10%低下し、その改善効果は6週間後も確認されたという。ボン大学(ドイツ)栄養・食品科学研究所のMarie-Christine Simon氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に1月14日掲載された。 メタボリックシンドロームとは、過体重、高血圧、高血糖、脂質異常などの健康問題が組み合わさった状態であり、心臓病や2型糖尿病のリスクを高める。 今回の研究では、メタボリックシンドロームを有する68人の参加者を対象に短期試験と6週間の試験の2つのランダム化比較試験を実施し、オーツ麦を含む食事が脂質代謝や腸内細菌叢に与える影響が検討された。短期間の試験では、34人の参加者のうちの半数が1日300gのオートミールを3食に分けて2日間摂取した。添加できるのは少量の果物や野菜のみで、摂取カロリーは、通常の食事の約半分に制限された。対照群も同様にカロリー制限を行ったが、オートミールは摂取しなかった。2日間の食事介入を完了したのは、オートミール群17人、対照群15人の計32人であった。一方、6週間わたる食事介入では、介入群は通常の食生活を維持したまま3食の食事のうちの1食のみを80gのオートミールに置き換えた。対照群は通常の食生活を維持し、オートミールは摂取しなかった。 その結果、オートミール群ではわずか2日のオートミール食により、LDL-Cが介入前の168.94mg/dLから介入後には151.53mg/dLへと約10%低下した。対照群と比較すると、オートミール群ではLDL-Cが−16.26mg/dL、総コレステロール(TC)が−15.61mg/dL有意に低かった。この効果は、オートミール群が通常食に戻った後も持続し、6週間後でもLDL-Cはベースラインより低い傾向が認められた。一方、6週間にわたって3食のうちの1食のみをオートミールに差し替えた場合では、対照群との間にコレステロール値に有意な差は認められなかった。 さらに、オートミール群では、試験期間にかかわらず、特定の腸内細菌叢が増加したことも確認された。腸内細菌は食物の分解を助け、健康に影響する物質を生成する。今回の研究では、オートミールが細菌によるフェノール化合物の産生を促進することが分かった。論文の筆頭著者である同研究所のLinda Klumpen氏は、「フェノール化合物の1つであるフェルラ酸は、動物実験において正常なコレステロール値の維持に寄与することが示されている」と説明している。 Simon氏は、「オートミール群では、LDL-Cに約10%の低下が認められた。この減少は相当なレベルではあるが、最新の薬剤の効果と完全に同等とは言えない。そのため、この方法はここ数十年、注目されてこなかった」と話す。同氏は、「短期間のオーツ麦ベースの食事を定期的に行うことは、コレステロール値を正常範囲に維持し、糖尿病を予防するための、忍容性の高い方法となり得る」と述べている。 なお、本研究はドイツの複数の研究機関および食品業界団体の資金援助を受けて実施された。

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マルチビタミン・ミネラルが生物学的老化の進行をわずかに抑制か

 毎日マルチビタミン・ミネラル(MVM)を摂取することで得られる健康への効果は、老化の進み方にも及ぶ可能性があるようだ。新たな研究において、MVMを2年間摂取した高齢者では、生物学的老化における「wear and tear(体や遺伝子に蓄積していく摩耗や損耗)」の進行が遅くなる傾向が認められた。この効果は、研究開始時点ですでに老化が加速していた高齢者において顕著だったという。米マス・ジェネラル・ブリガムで予防医学部門副部長を務めるHoward Sesso氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に3月9日掲載された。 Sesso氏は、「現在、人々の関心は、単に長生きすることだけではなく、より良く生きることにも向けられている。MVMの摂取に生物学的老化の指標と関連する利益があることを示した本研究結果は、非常に興味深い。また、より健康で質の高い老化に寄与する、身近で安全な介入法をさらに探るための扉を開く結果でもある」とニュースリリースで述べた。 生物学的老化の検査では、日常生活による体の「wear and tear」が遺伝子、特にDNAメチル化に及ぼす影響を評価し、それに基づき生物学的年齢を推定する。生物学的年齢は、体の状態が暦年齢より若いか老いているかを示す指標である。 今回の研究では、958人(平均年齢70.2歳、女性50.3%)を対象に、MVMまたはココアから抽出されたフラバノール(500mg/日、以下、フラバノール)の摂取がDNAメチル化に基づく生物学的老化指標へ与える影響を検討した。対象者は、1)フラバノールとMVM、2)フラバノールとMVMプラセボ、3)フラバノールプラセボとMVM、4)フラバノールプラセボとMVMプラセボを摂取する群にランダムに割り付けられた。2年に及ぶ試験期間中に、研究グループは5種類のエピジェネティッククロックを用いて生物学的年齢を繰り返し評価した。 その結果、MVMの摂取は、第2世代のエピジェネティッククロック(PCPhenoAge、PCGrimAge)で、生物学的老化の進行を有意に抑制した。この効果は、試験開始時に生物学的老化が加速していた人で、より大きかった。第1世代の老化指標(PCHorvath、PCHannum)や老化速度を示すDunedinPACEでは、プラセボ群と比べて生物学的老化の進行速度を抑制する傾向は認められたものの、統計学的な有意差は認められなかった。一方、フラバノールの摂取は、いずれの生物学的老化指標にも影響を及ぼさなかった。 論文の共著者である米オーガスタ大学ジョージア医科大学内ジョージア予防研究所所長のYanbin Dong氏は、「今回検討された5種類のエピジェネティッククロックに加え、今後追加される指標を用いても、同様の生物学的老化の遅延が試験終了後も持続するのかを明らかにするため、追跡研究を計画している」と述べている。 また研究グループは、MVMがなぜ老化の進行を遅らせ得るのかについて解明するためにさらなる研究が必要だとしている。Sesso氏は、「多くの人が、必ずしも具体的な利益を理解しないままMVMを摂取している。したがって、その潜在的な健康効果に関する知見は、できるだけ多く得られることが望ましい」と語っている。

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不妊治療経験者のがん罹患率は一般女性とほぼ同程度

 不妊治療を受けても女性のがんリスクは高まらないとする新たな研究結果が報告された。研究によると、medically assisted reproduction(MAR、医療的に補助された生殖)を受けた女性での浸潤がんの罹患率は、一般女性と比べて高くないことが明らかになった。ただし、がんの種類によっては若干の違いが見られ、罹患率がやや高いものと低いものがあったという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のビッグデータ健康研究センターのAdrian Walker氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に3月10日掲載された。 Walker氏は、今回の結果は不妊治療を受けている女性にとって安心材料になると述べた上で、「MARを受けた女性は、対象となるがん検診プログラムに引き続き参加するべきだ。また、自分のがんリスクについて医師と相談し、リスクを下げるためにできることを理解することも重要だ」とニュースリリースの中で語った。 今回の研究では、1991年から2018年までの間に生殖補助医療(ART)、排卵刺激および人工授精(IUI/OS)、クロミフェン単独排卵誘発を受けたオーストラリア人女性約41万7,984人の医療記録が解析された。このうち27万4,676人(65.7%、年齢中央値34歳、追跡期間中央値9.42年)はARTを、12万739人(28.9%、年齢中央値34歳、追跡期間中央値11.67年)はIUI/OSを、17万5,510人(42.0%、年齢中央値32歳、追跡期間中央値9.42年)はクロミフェン単独排卵誘発を受けた経験があった。 解析の結果、ART群およびIUI/OS群の浸潤がん全体の罹患率は一般女性とほぼ同等であり、標準化罹患比(SIR)はART群で1.00(95%信頼区間0.98〜1.02)、IUI/OS群で0.99(同0.97〜1.02)であった。クロミフェン単独排卵誘発経験者では、罹患率がわずかに高かった(SIR 1.04、95%信頼区間1.00〜1.07)。がん種別に見ると、子宮がんの罹患率は全ての治療群で一般女性より高く、SIRはART群で1.23、IUI/OSで1.32、クロミフェン単独排卵誘発で1.83であった。さらに、上皮内および浸潤性メラノーマの発生もわずかに高く、SIRは1.07〜1.15の範囲であった。一方、子宮頸がんや気管・気管支・肺のがんの罹患率も低く、SIRは子宮頸がんで0.52〜0.61で、気管・気管支・肺のがんで0.62〜0.70であった。 Walker氏は、「特定の集団で一般集団とは少し異なるがんの発生パターンが見られるのは珍しいことではない。しかし、今回の結果が示すように、それは必ずしも全体的な罹患率の上昇を意味するものではない」と説明している。また、論文の筆頭著者である同研究所のClaire Vajdic氏は、「ほとんどの医療行為は何らかのリスクを伴うものの、今回観察されたがん発生率の増加は非常に小さいものだった」と述べている。 ただし、今回の結果の解釈には注意が必要だと研究グループは強調している。Vajdic氏は、「この研究は、異なる集団間のがん罹患率を比較したものであり、MARとがん発症との因果関係を調べたものではない。そのため、結果を解釈する際には、対象集団がもともと持っているがんリスクも考慮する必要がある」と述べている。 研究グループによると、MARを受けた女性で特定のがんが多く見られた理由には、さまざまな要因が考えられるという。Vajdic氏は、「MARが必要になる女性が有する特徴そのものが、がんの発症に関係している可能性がある」と話す。例えば、子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、不妊の原因となる疾患の中には、子宮がんや卵巣がんのリスクを高めることが知られているものもある。さらに、不妊治療を受ける女性には、都市部に住んでいる、経済的に余裕がある、肌の色が明るい、喫煙率が低いなどの特徴があり、これらも今回の研究で認められたがんの発生パターンに影響している可能性も考えられるという。 研究グループは、今回の対象者を今後も追跡し、長期的なデータからさらに詳しい知見を得たいとしている。

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札幌医科大学 内科学講座腫瘍内科学分野【大学医局紹介~がん診療編】

高田 弘一 氏(教授)岡川 泰 氏(講師)在原 洋平 氏(助教)鈴木 慎人 氏(大学院生)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴私たちは“Dedicated to patients,dedicated to discovery”を理念に掲げ、常に患者さんを中心に据えた医療を実践しています。がん患者さんに最先端の集学的治療を提供するため、日々アップデートされるエビデンスを臨床に迅速に還元し、臨床と研究をシームレスに結びつけています。当教室の最大の特徴は、その“守備範囲の広さ”です。消化器がんにとどまらず、頭頸部がん、骨軟部腫瘍、原発不明がん、造血器腫瘍まで幅広い薬物療法を担っています。さらに、最先端の内視鏡治療も実践しており、診断から治療まで一貫して携わることができる点も、私たちの強みです。医師の育成方針当教室ではprecision oncologyの臨床実装を推し進めています。教育においては“Precision Education”を掲げています。一人ひとりの価値観、志向性、将来像に合わせたオーダーメイドのキャリア支援を行い、それぞれが思い描く医師像の実現を全力でバックアップします。内科専門医取得後に、がん薬物療法専門医を主軸とし、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医、血液専門医さらには臨床遺伝専門医まで――“がん”を多角的に診ることができる“がん専門医”育成を目指しています。力を入れている治療/研究テーマ私は、消化管がんを中心とした診療および研究に力を入れています。腫瘍内科医として薬物療法を担当する一方、これまで消化管内視鏡治療を専門としてきた経験を生かし、ESDを中心とした早期消化管がんの治療にも積極的に取り組んでいます。研究面では、近年増加傾向の若年大腸がんを主要テーマとし、その臨床的・分子生物学的特徴の解明を目的とした研究を進めております。医局の雰囲気、魅力当科は、ベテラン・中堅・若手がバランスよく在籍しており、診療や研究について気軽に相談できる風通しの良い雰囲気があります。薬物療法に加え、消化管・胆膵領域の内視鏡診断・治療にも力を入れており、幅広い視点から総合的ながん診療に携わることができます。医学生/初期研修医へのメッセージ北海道という広大な地域特性から、腫瘍内科医の役割と需要は今後ますます高まっていきます。当科では薬物療法の習得に加え、内視鏡手技のトレーニングも可能です。希望に応じて大学院進学や国内・海外留学も可能ですので、少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一度見学にお越しください。力を入れている治療/研究テーマ私は、頭頸部がん、乳がん、肉腫、希少がんを含む幅広いがん診療に加え、がんゲノム医療にも積極的に取り組んでいます。研究面では、免疫細胞療法におけるリンパ球の動態解析や、抗体薬物複合体による個別化医療の推進に向けた、腫瘍局所タンパク質プロファイリング手法の研究などに興味を持っています。また、新規抗がん剤の薬物療法開発にも興味があり、臨床試験・治験の実施にも積極的に関わっています。医局の雰囲気、魅力医局は明るく風通しが良く、若手の挑戦を尊重する文化があります。専門医・学位取得に加え、国内外留学も積極的に支援しており、臨床と研究の両立を志す方に最適な環境です。私も3年間の海外留学(Massachusetts General Hospital、Dana-Farber Cancer Institute)および、2年間の国内留学(がん研究会有明病院)をさせていただきました。がん診療を通じて成長したい医学生・研修医の皆さんを心より歓迎します。力を入れている治療/研究テーマ私は胆膵チームに所属し、主に胆膵領域の診療として胆膵内視鏡や薬物療法の研鑽を積んでいます。胆道がん・膵がんは診断から治療、マネジメントまでさまざまな専門性が求められる領域であり、内視鏡診断・治療と薬物療法の双方を学べることに大きな魅力を感じています。一方、大学院生としてSWI/SNF複合体の機能解明をテーマとした基礎研究に取り組んでおります。がんの生物学的理解を深めることで新たな治療開発につながる知見を得ることを目指しています。医局の雰囲気、魅力臨床から研究、薬物療法から内視鏡診療と、幅広い分野に横断的に関わることができる点が魅力と考えています。各分野の専門医が在籍し、フィードバックを受けながら楽しい雰囲気の中で成長できると感じております。医学生/初期研修医へのメッセージがん診療に興味のある医学生・初期研修医の皆さんにとっては、まずさまざまな分野に触れながら自分の関心を広げることができ、将来の方向性を探索できる環境だと思います。ぜひ一度見学に来ていただければ嬉しいです。札幌医科大学 内科学講座腫瘍内科学分野住所〒060-8543 札幌市中央区南1条西16丁目問い合わせ先sapmedim4@gmail.com医局ホームページ札幌医科大学医学部 内科学講座腫瘍内科学分野専門医取得実績のある学会日本内科学会 内科専門医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本消化器病学会 消化器病専門医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医日本肝臓学会 肝臓専門医日本血液学会 血液専門医日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医研修プログラムの特徴(1)がん種横断的な診療とがん薬物療法専門医の取得臓器横断的な薬物治療を軸に、幅広いがん診療を体系的に学ぶことができます。消化管・肝胆膵・造血器・呼吸器・乳腺領域に加え、頭頸部・骨軟部腫瘍など多彩な症例を経験でき、がん薬物療法専門医取得に必要な症例を当科で完結して経験できる点が大きな特徴です。(2)消化器疾患に対する高い専門性と内視鏡診療の充実消化器疾患・内視鏡診療のエキスパートが多数在籍し、手厚い指導体制のもとで研修が可能です。消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医の取得を目指すことができ、希望に応じて消化管内視鏡や胆膵内視鏡を専門的に深めるキャリア形成も支援しています。(3)がんゲノム医療・precision oncologyの実践がん遺伝子パネル検査の結果を実臨床に反映し、precision oncologyを日常診療として学ぶことができます。専攻医には、がんゲノム外来やエキスパートパネルへの参加機会を設け、次世代のがん医療を担う臨床力と研究志向を兼ね備えた人材の育成を目指しています。

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第308回 致死率の高いマダニ感染症、生存者を苦しめる後遺症とは

INDEX今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か生存者にどんな後遺症が残るのか今年、マダニによる国内SFTS発生率が更新か昨年、報告数が過去最高の191例(速報値)にのぼったダニ媒介感染症の重症熱性血小板減少症候群(略称・SFTS)。国立健康危機管理研究機構が発表する感染症発生動向調査週報の最新データ(2026年第13週[3月23~29日])1)時点でも、すでに全国7県で各1例、合計7例が報告されている。前年の同週までが2例だったことから比べれば、ハイペースである。そして報道によると、この第13週後に熊本県天草市では90代・女性の死亡後のSFTS感染が確認されたという。正直、今年も嫌な予感しかない。生存者にどんな後遺症が残るのかSFTSについては過去の本連載(第286回)でも取り上げたが、国内で確認される感染症の中でも致死率が10~30%と極めて高いのが特徴だ。しかも、病名にある検査値での顕著な血小板減少(10万/mm3未満)以外は、初期症状が発熱、倦怠感、頭痛など非特異的なものであるため、確定診断が必ずしも容易ではない点も厄介である。そして救命できたとしても、その後もしばらく後遺症が続くという研究結果2)が最近明らかにされている。これは中国・河南省信陽市にある中国融通医療健康グループの第154病院の研究チームが、2025年8月のPLOS Neglected Tropical Diseases誌に発表したSFTSサバイバーの前向きコホート研究である。同研究は2010~24年にかけて確認されたSFTSサバイバー1,197例(以下、サバイバー群)の後遺症の有無を発症後6ヵ月おきに24ヵ月目まで追跡したもので、性別・年齢をマッチングさせたSFTS陰性発熱患者188例の対照群を置いて比較したもの。ちなみにサバイバーのうち294例は11年間も追跡調査を行っている。これによると、まず何らかの後遺症が確認された割合は、サバイバー群が62.57%、対照群が51.60%であり、サバイバー群が有意に高い割合だった(p<0.05)。症状別の発症率をサバイバー群と対照群でみると、記憶障害は33.50% vs.22.87%(p=0.005)、関節痛は33.08% vs.22.87%(p=0.008)、脱毛は32.25% vs.25.00%(p=0.066)、視力低下は31.08% vs.22.34%(p=0.019)であり、脱毛を除き、サバイバー群で有意に高い割合を示した。全体として有意差が認められなかった脱毛だが、発症後6ヵ月時点では、サバイバー群33.33% vs.対照群13.75%(調整オッズ比[OR]:4.01、95%信頼区間[CI]:2.01~8.66)、12ヵ月時点では29.37% vs.8.57%(OR:3.13、95%CI:1.10~11.33)と有意差が認められている(p<0.05)。一方、全体での検査値異常については、好酸球減少が9.44% vs.3.72%(p=0.011)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)低下が6.02% vs.1.60%(p=0.018)、LDH上昇が19.38% vs.12.77%(p=0.038)となり、いずれも有意差が認められている。逆にSFTSで典型的な血小板減少は長期的には改善し、両群間で有意差は認められていない。(表)症状別発症率画像を拡大するそしてリスク因子別で見ると、サバイバー群で脳炎を発症した場合は記憶障害と血小板減少、出血症状を発症した場合は、記憶障害、視力低下、MCH低下の発症頻度が対照群と比べ有意に高く、ウイルス量(≧106コピー/mL)が高値だった場合は、多くの症状や検査異常の発症率が対照群に比べ有意に高いこともわかった。つまるところ、SFTS発症時の高ウイルス量を筆頭に、急性期の神経・出血症状の有無が重要な予後指標となるということだ。ちなみに最長で11年間の長期追跡例があることは前出の通りだが、これらの症例では、一部で視力障害や血小板数異常が残っていた事例があったという。つまりSFTSウイルスは神経向性ウイルスの性質が強いとも解釈できる。このような結果を見ると、致死率の高さだけに止まらないこのウイルスの恐ろしさを改めて実感させられる。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報一覧2)Cui N, et al. PLoS Negl Trop Dis. 2025;19:e0013276.

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肺がんのICIの投与のベストタイミングは午前か午後か(i-TIMES)/ELCC2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与タイミングについてスイス・ローザンヌ大学のSolange Peters氏が欧州肺がん学会(ELCC2026)で発表。午後投与は午前投与に対する非劣性を示した。 ICIの治療効果に、概日リズム(サーカディアンリズム)が与える影響については、長年議論されてきた。近年、ICIの抗腫瘍効果について、遅時間帯投与に比べ早時間帯投与で 臨床結果 が改善するという研究が、後ろ向き研究やメタアナリシスで示されている1-3)。しかし、現時点では、ほとんどのエビデンスは後方視的研究である。肺がんにおいては、第III相無作為化試験で早時間帯投与による生存改善が示された4)。しかし、同研究はプロトコールの不一致が指摘されるなど、さらなる検証が必要とされているという。 そのような背景から、ETOP(欧州胸部腫瘍プラットフォーム)とロシュによる共同研究であるi-TIMES試験が行われた。 同研究は、個々の患者データ(IPD)を用いた後方視的なマッチド・コホート患者レベル・メタ解析で、目的は午前投与に対する午後投与の非劣性評価である。解析対象となった試験は、ICI(アテゾリズマブ)対化学療法を無作為で比較したロシュ提供の第II/III相無作為化臨床試験(計8試験)である。マッチングされた患者は、ICIの投与タイミングによって、午前投与群と午後投与群に分類された。主要評価項目は全生存期間である。午前投与に対する午後投与の非劣性の限界値として、ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限を1.18に設定した。 主な結果は以下のとおり。・ 8つの試験から3,060例を分析、最終的なマッチング解析コホートは1,550例となった。・全体の32%が午後投与、41%が午前投与、28%は午前と午後が混在していた。解析には午前投与と午後投与だけが用いられている。・主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、午前投与群で17.3ヵ月、午後投与群では16.0ヵ月あった。午前投与に対する午後投与のOSのHRは1.039、95%CIは0.925~1.168であった。95%CIの上限は、事前に設定された非劣性限界1.18を下回り、午後投与の非劣性が示されている。・非マッチングの解析によるOS中央値では、午前投与18.5ヵ月、午後投与15.7ヵ月。HRは1.088で95%CIは0.982~1.207と、午後投与の非劣性は示されなかった。 Peters氏は「i-TIMES試験では、ICIの投与タイミングが治療効果の重要な決定要因となる可能性は低いという結果を示した。これにより、各施設の状況に応じた柔軟で実用的な治療スケジュールの設定によって、臨床アウトカムを損なうことなく治療が可能であることを示唆している」と結んだ。

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慢性片頭痛に対するオナボツリヌス毒素A+抗CGRP抗体~メタ解析

 オナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体による二重標的療法は、単剤療法で効果が不十分な慢性片頭痛患者に対する潜在的な治療選択肢として浮上している。個々の観察研究報告からのエビデンスにおいて有益性が示唆されているが、利用可能な研究の規模、一貫性、方法論的な質については依然として不明である。イラン・テヘラン医科大学のAbbas Sarvari Soltani氏らは、慢性片頭痛におけるオナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体の併用療法の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Journal of Medical Research誌オンライン版2026年2月20日号の報告。 オナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体の併用療法を評価した観察研究をシステマティックに検索した。選択基準を満たした研究10件のうち6件の研究から抽出可能な定量データが得られた。アウトカムには、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、50%以上および75%以上の治療反応率、頭痛関連機能障害(MIDAS、HIT-6)、急性期の薬物使用を含めた。ランダム効果モデルを適用し、異質性、サブグループパターン、出版バイアスを評価した。適格基準を満たした10件の研究のうち、併用療法に関する抽出可能な定量データを提供し、プール解析に含められたのは6件のみであった。 主な結果は以下のとおり。・併用療法によりMHDは、プール平均で7.9日短縮した(95%信頼区間[CI]:-10.2~-5.7)。・プール平均における50%以上の治療反応率は0.51(95%CI:0.37~0.66)、75%以上の治療反応率は0.19(95%CI:0.10~0.34)であった。・障害指標の改善が認められ、MIDASの減少は47.4ポイント(95%CI:-65.7~-29.1)、HIT-6の減少は8.2ポイント(95%CI:-10.9~-5.5)であった。・急性期の薬剤使用は、1ヵ月当たり4.3日減少した(95%CI:-6.1~-2.5)。・アウトカム間の異質性は中等度から高度であった。・年齢と性別によるサブグループ解析では、おおむね一貫した方向性が示された。・Funnel plotの検査とEgger検定では、顕著な出版バイアスは認められなかった。 著者らは「オナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体の併用療法は、観察コホート全体において、頭痛頻度、障害、急性期の薬剤使用において臨床的に意義のある減少を示した。異質性が高く、対照比較デザインが存在せず、サブグループデータが限られていることを踏まえ、解釈には慎重さが求められる。複数の研究で分散指標が補完されているため、統計的精度が過大評価されている可能性があり、効果量は決定的なものではなく概算値として解釈すべきである。患者選択、利益の持続性、費用対効果、アクセスの公平性を明らかにするためには、より大規模なプロスペクティブ研究が必要である」としている。

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少量〜中等量でも死亡リスクが高まるお酒の種類は?/ACC

 過度な飲酒は健康に悪影響を及ぼすが、少量~中等量の飲酒と死亡率との関連については、飲料の種類によってリスク構造が大きく異なることがUKバイオバンクのデータを用いた大規模調査で明らかになった。本研究は米国心臓学会議(ACC2026、3月28~30日)のPoster Contributionsにおいて、中国・中南大学湘雅第二病院のZhangling Chen氏が発表し、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2026年4月7日号(第87巻第13号増刊号)に掲載された。 本研究は、アルコールの総摂取量ならびに種類別摂取量と、全死亡および原因別死亡率との関連を明らかにするため、2006〜22年にUKバイオバンクに参加した34万924人を解析。各参加者を1日および1週間あたりの純アルコール摂取量(g)に基づいて4つのカテゴリーに分類し、Cox回帰分析した。(1)Never/Occasional(飲まない/たまに飲む)…男女共20g/週(2)Low(少量)…男性:20g/週かつ20g/日、女性:20g/週かつ10g/日(3)Moderate(中等量)…男性:20~40g/日、女性:10~20g/日(4)High(多量)…男性:40g/日超、女性:20g/日超純アルコール約14gは、ビール350mL、ワイン150mL、蒸留酒45mLに相当 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間13.4年に2万2,381例の死亡が記録された(心血管疾患[CVD]:4,288例、がん:1万1,063例、そのほか:7,030例)。・総アルコール摂取量の多量群は飲まない/たまに飲む群と比較して全死亡が24%上昇(ハザード比[HR]:1.24、 95%信頼区間[CI]:1.17~1.31)、CVDによる死亡は14%(95%CI:1.01~1.28)、がんによる死亡は36%(同:1.26~1.47)、そのほかの原因別死亡は12%(同:1.02~1.22)高かった。・中等量群でもがんによる死亡が11%上昇した(同:1.03~1.20)。・アルコールの種類によるリスクの違いは、少量~中等量群で顕著で、蒸留酒、ビール、シードルの摂取が全死亡の有意な上昇と関連していた(HR:1.07〜1.83)。・一方でワインの場合は、少量~中等量群では全死亡ならびに原因別死亡の低下と関連し(HR:0.79〜0.92)、多量群はがんによる死亡の上昇と関連していた(HR:1.10、95%CI:1.02~1.20)。・多量群は、ビール、シードル、蒸留酒、ワインと種類を問わず、部位別がん死亡*の上昇と関連していた。*頭頸部、呼吸器、消化器、肝臓/胆嚢、神経系、血液、生殖器、女性乳がん 研究者らは、「赤ワインに含まれるポリフェノールや抗酸化物質などの特定の化合物は、心血管の健康に良い影響を与える可能性がある。また、ワインは食事と一緒に飲まれることが多く、食生活の質が高く、全体的に健康的な生活習慣を送っている人に多く飲まれている。一方、蒸留酒、ビール、シードルは食事以外の場面で飲まれることが多く、食生活の質の低さやそのほかの生活習慣上のリスク要因と関連している」とし、「これらの要因を総合的に考え、アルコールの種類、摂取方法、そしてそれに伴う生活習慣のすべてが、観察された死亡リスクの差に寄与していることが示唆される」と述べている。

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体内CAR-T細胞生成による多発性骨髄腫治療、ESO-T01の第I相試験結果/Nat Med

 体内でのCAR-T細胞の生成は、体外培養やリンパ球除去を省略できるため、細胞療法へのアクセスを簡素化・迅速化する可能性がある。今回、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に、体内でCAR-T細胞を生成するレンチウイルスベクターであるESO-T01の安全性と忍容性を評価した第I相試験の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのNing An氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年3月25日号に報告した。 ESO-T01は、ナノボディ指向性の免疫遮蔽レンチウイルスベクターで、ヒト化抗B細胞成熟抗原(BCMA)CARをコードしている。本試験では、白血球アフェレーシス、体外培養、リンパ球除去化学療法を実施せずに、0.2×109形質導入単位を静脈内に単回投与した。前治療歴の多い男性患者5例(治療ライン中央値:3)が連続して登録され、追跡期間中央値は6.0ヵ月であった。主要評価項目は安全性、忍容性、副次評価項目は有効性、薬物動態、薬力学などであった。 主な結果は以下のとおり。・全例でGrade3以上の有害事象が認められた。・サイトカイン放出症候群が4例(Grade3が3例、Geade2が1例)に認められ、副腎皮質ステロイド、トシリズマブ、支持療法で管理された。・最も多かった毒性は一過性の血球減少および可逆的な肝酵素値の上昇で、Grade2の感染症が3例に認められた。・Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性が1例に認められ、骨髄外病変に関連する脊髄圧迫により死亡した。・5例中4例で奏効が得られ、うち3例は厳格な完全寛解であった。・評価可能な奏効例(4例)すべてで、60日目までに微小残存病変陰性(10-5)が確認された。

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局所進行前立腺がん、エストラジオールパッチの有効性は?/NEJM

 局所進行前立腺がん患者において、アンドロゲン除去療法としての経皮エストラジオール(tE2)は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)アゴニストに対して、3年無転移生存(MFS)率に関して非劣性であることが示された。ただし、ほてりの発現割合は低かったものの、女性化乳房の発現割合が高かったという。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRuth E. Langley氏らSTAMPEDE-1 and PATCH Investigatorsが、アダプティブデザインの無作為化非盲検非劣性試験「STAMPEDE-1試験」および「PATCH試験」の結果を報告した。tE2は、前立腺がん患者におけるアンドロゲン除去療法としてLH-RHアゴニストに代わる選択肢である。tE2により、テストステロンが抑制され、LH-RHアゴニストによるエストロゲン欠乏の副作用や、経口エストロゲンによる血栓塞栓症の副作用が軽減される可能性があった。NEJM誌オンライン版2026年3月25日号掲載の報告。tE2群vs.LH-RHアゴニスト群、主要評価項目は3年MFS率 研究グループは、StageT3またはT4/N0またはNx/M0で前立腺特異抗原(PSA)≧20ng/mLまたはGleasonスコア(範囲:2~10)6以上、あるいはPSA値やGleasonスコアにかかわらずN+かつM0の限局性前立腺がんを有する患者を、tE2群またはLH-RHアゴニスト群に割り付けた(最初の200例は2対1の割合、その後は1対1の割合)。 tE2群では、エストラジオール100μgを放出するtE2パッチを患者自身が貼付し、用量は週2回、4枚より開始して、4週時点で血清テストステロン値が去勢レベル(1.7nmol/L未満)に達していた場合は週2回、3枚に減量した。LH-RHアゴニスト群では、4週または12週ごとにLH-RHアゴニストを皮下投与した。 主要評価項目は、3年MFS率で、生存期間は無作為化から転移(骨盤リンパ節の進行を除く)の確認またはあらゆる原因による死亡までの期間と定義した。非劣性マージンは4%ポイントで、これはLH-RHアゴニスト投与で観察された3年MFS率から算出された目標ハザード比1.31に相当する。副次評価項目は、血清テストステロン値、全生存期間(OS)、および安全性であった。3年MFS率は87.1%vs.85.9%で、tE2パッチの非劣性を検証 2007~22年に、英国の75施設で1,360例の患者が登録された(tE2群721例、LH-RHアゴニスト群639例)。患者背景は、年齢中央値72歳(四分位範囲:68~77)で、85%(1,157例)がT3病期、65%(883例)がN0であった。 3年MFS率は、tE2群で87.1%、LH-RHアゴニスト群で85.9%(群間差:1.2%ポイント、95%信頼区間[CI]:-2.5~4.9)であった。転移または死亡のハザード比(HR)は0.96(片側95%CIの上限1.11)であり、非劣性の基準を満たした。 割り付けられた治療を継続した患者のうち、各群とも85%の患者において、無作為化後1年間、去勢レベルのテストステロン値が維持された。また、5年OS率は、tE2群で81.1%、LH-RHアゴニスト群で79.2%であった(死亡のHR:0.90、95%CI:0.75~1.07)。 安全性については、治療期間中、ほてりがtE2群で44%、LH-RHアゴニスト群で89%の患者に認められた(Grade2以上の事象はそれぞれ8%、37%)。また、女性化乳房がそれぞれ85%および42%に発生した(Grade2以上の事象はそれぞれ37%、9%)。

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PCI後DAPT終了後のクロピドグレルvs.アスピリン、10年追跡結果(HOST-EXAM)/Lancet

 韓国・ソウル大学病院のJeehoon Kang氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)終了後の抗血小板薬単剤による長期維持療法を評価した「HOST-EXAM試験」の10年追跡調査の解析結果を報告し、クロピドグレルはアスピリンと比較して主要複合エンドポイント、血栓性エンドポイントおよび出血のリスクが低いことを示した。ただし、全死因死亡の有意差は認められなかった。著者は、「今回の結果は、PCI後の慢性維持期における長期抗血小板薬単剤療法において、アスピリンの代替としてクロピドグレルを検討することを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年3月29日号掲載の報告。PCI後のDAPT終了患者を、クロピドグレル単剤とアスピリン単剤に無作為化 HOST-EXAM試験は、韓国の37施設が参加した医師主導の無作為化非盲検試験で、対象は薬剤溶出性ステント(DES)を用いたPCI施行後6~18ヵ月間、臨床的イベントを発症することなくDAPTを終了した20歳以上の患者であった。 研究グループは、適格患者をクロピドグレル(75mgを1日1回投与)群またはアスピリン(100mgを1日1回投与)群に1対1の割合で無作為に割り付け、24ヵ月間投与し、最長10年間にわたり年1回、臨床経過観察を行った。 主要エンドポイントは、全死因死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、急性冠症候群による再入院およびBARC出血基準タイプ3以上の出血の複合とした。副次エンドポイントは心血管死、非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中、急性冠症候群による再入院、ステント血栓症(確定または疑い)の血栓関連複合エンドポイント、およびあらゆる出血(BARCタイプ2以上)とし、ITT解析が行われた。10年後も、クロピドグレル単剤が良好 2014年3月26日~2018年5月29日に5,530例が登録され、このうち5,438例がアスピリン群(2,728例)またはクロピドグレル群(2,710例)に無作為化された。 データカットオフ日の2025年5月1日時点で、追跡期間中央値はPCI後10.5年(四分位範囲[IQR]:9.4~11.4)、生存者では10.7年(IQR:9.8~11.5)であり、全体の追跡完了率は92.8%(5,048例)であった。 主要エンドポイントは、クロピドグレル群で646例(Kaplan-Meier推定発生率25.4%)、アスピリン群で739例(28.5%)に発生し、ハザード比(HR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.77~0.96、log-rank検定のp=0.0050)であり、クロピドグレル群が有意に良好であった。 クロピドグレル群はアスピリン群と比較し、血栓関連複合エンドポイント(17.3%vs.20.0%、log-rank検定のp=0.0024)、およびあらゆる出血(9.1%vs.10.8%、log-rank検定のp=0.020)の発生率も低かったが、全死因死亡リスクは両群で差はなかった(13.4%vs.12.5%、HR:1.07[95%CI:0.92~1.24]、log-rank検定のp=0.399)。 なお、著者は、本試験の限界として、割り付け治療を2年間投与した後は抗血小板療法を義務付けなかったこと、東アジア人のみを対象としているため結果を他の集団に一般化できるかは限定的であること、非盲検試験であるため特定の臨床エンドポイントの判定においてバイアスを生じさせる可能性があること、などを挙げている。

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世界の乳がん負担、低所得国を中心に2050年まで増加すると予測

 乳がんによる死亡は、不健康な生活習慣などの影響により、今後15年にわたって増加し続けることが、新たな研究で予測された。世界の乳がんによる死亡数は、2023年の76万4,000人から2050年には137万人に増加し、新規罹患数も増加が見込まれたという。米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のKayleigh Bhangdia氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Oncology」3月号に掲載された。 Bhangdia氏は、「乳がんは、依然として女性の生活や地域社会に深刻な影響を及ぼしている。高所得国では、一般的に検診の普及や早期診断、包括的な治療戦略の恩恵を受けられる。しかし、乳がんの負担は現在、低所得国および低・中所得国へと移りつつある。これらの地域では、乳がんがより進行した段階で診断されるケースが多く、質の高い医療へのアクセスも限られているため死亡率も高い。そのことが、女性の健康分野で達成されてきた進歩を覆い隠してしまう恐れがある」と述べている。 今回の研究では、世界疾病負担研究(GBD)2023のデータを用いて、1990年から2023年までの204の国・地域の乳がんデータを解析し、それを基に2024年から2050年までの罹患者数と死亡数を推定した。 その結果、2023年には世界で約230万人が新たに乳がんと診断され、約76万4,000人が乳がんにより死亡したと推定された。また、2023年時点では、世界の乳がん負担の28.3%が、対策可能な6つのリスク要因と関連していることも明らかになった。それらは、赤肉の摂取(11%)、喫煙(8%)、高血糖(6%)、BMI高値(4%)、飲酒(2%)、運動不足(2%)であった。乳がんによる障害調整生存年(DALY)は約2410万に上ると推計された。 1990年から2023年の間に、低所得国では乳がんの年齢調整罹患率が147.2%増加し、同死亡率も99.3%増加していた。一方、高所得国では罹患率の変化は小さく、死亡率は29.9%低下していた。さらに、若年女性における乳がんの増加という懸念される傾向も明らかになった。1990年以降、20~54歳女性では新規乳がん罹患率が29%上昇した。一方、より高齢の女性では罹患率に大きな変化は見られなかった。ただし世界全体では、55歳以上の女性で診断される新規乳がんは、20~54歳女性の約3倍に上っていた。このほか、2050年までに女性の乳がん新規罹患数は世界で約356万人、死亡数は約137万人に増加することも予測された。 論文の上席著者であるシンガポール国立大学のMarie Ng氏は、「世界の乳がん負担の4分の1以上が、生活習慣の改善によって変えられる6つの要因に関連している。これは、次世代における乳がんリスクを変える大きなチャンスがあることを意味する」と述べている。同氏はさらに、「公衆衛生政策によって既知のリスク要因に対処し、より健康的な選択をしやすい環境を整えること、そして個人レベルで肥満や高血糖の改善に取り組むことが、世界的な乳がん増加を食い止める上で重要だ」と強調している。

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MASLD患者の心血管疾患入院、糖尿病合併で院内死亡リスク約2倍

 代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)患者が心血管疾患(CVD)で入院した場合、糖尿病併存例では院内死亡や合併症のリスクが有意に高いことが、日本の大規模レジストリ研究で明らかになった。研究は、宮崎大学医学部内科学講座循環器・腎臓内科学分野の小牧聡一氏、松浦祐之介氏らによるもので、2月15日付の「Diabetic Medicine」に掲載された。 MASLDは、従来の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に代わる新たな疾患概念として提唱されており、世界で最も頻度の高い慢性肝疾患の一つとされる。CVDとの関連が強いことから心血管リスク評価の重要性が指摘されているが、診断基準を構成する各代謝因子が予後に及ぼす影響については、十分に明らかになっていなかった。糖尿病はMASLDにおける肝関連合併症との関連が知られる一方、CVDで入院したMASLD患者の院内転帰に及ぼす影響については不明な点が多かった。そこで研究グループは、日本全国の心血管入院データを用いて、MASLD患者における糖尿病と院内転帰(死亡・合併症)との関連を検討した。 本研究は、2012年4月から2023年3月までの全国規模の日本循環器疾患レジストリ(Japanese Registry of All Cardiac and Vascular DiseasesーDiagnosis Procedure Combination:JROADーDPC)のデータを用いた後ろ向き横断研究である。解析対象は、CVDで入院したMASLD患者10,614人。MASLDは、肝脂肪化に加え、少なくとも1つの心代謝リスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病、関連薬剤の使用、またはBMI23kg/m2以上〔アジア人のBMI基準〕)を有する場合と定義した。主要評価項目は院内死亡、副次評価項目は主要な心血管系および非心血管系の院内合併症発生とした。統計解析では、糖尿病の有無による患者背景および転帰を比較したうえで、院内死亡との関連を検討するため多変量ロジスティック回帰解析を実施した。 対象患者の年齢中央値は66歳で、66.9%が男性だった。MASLD患者10,614人のうち、4,550人(42.9%)が糖尿病を合併していた。糖尿病非合併患者と比較して、糖尿病合併患者では虚血性心疾患(35.5% vs. 30.8%)、急性冠症候群(18.8% vs. 16.9%)、心不全(27.3% vs. 25.4%)の割合がいずれも有意に高かった(いずれもP<0.05)。 院内死亡率(5.6% vs. 3.3%、P<0.001)および全合併症発生率(23.6% vs. 19.7%、P<0.001)も糖尿病合併群で有意に高く、合併症発生率の差は主として心血管系イベント(16.8% vs. 10.5%、P<0.001)の増加によるものと考えられた。さらに心血管系イベントの内訳では、糖尿病合併例で入院後の心不全や急性冠症候群の発症が多く、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、体外式膜型人工肺(ECMO)、人工呼吸管理などの高度治療を要する割合も高かった。 多変量ロジスティック回帰解析の結果、糖尿病は院内死亡の独立した予測因子であることが確認された(オッズ比 1.99、95%信頼区間 1.60~2.47、P<0.001)。さらに、敗血症、大出血、がんも院内死亡の独立した規定因子であった。一方、脂質異常症や虚血性心疾患は死亡リスク低下と関連し、抗血小板薬、スタチン、ACE阻害薬/ARBの使用も死亡率低下と関連していた。 著者らは、CVDで入院したMASLD患者において、糖尿病合併が院内死亡率および合併症発生率の上昇と関連していたと結論づけた。そのうえで、「MASLDの心代謝リスク因子が予後に及ぼす影響を一律に捉えるのではなく、特に糖尿病の有無といった代謝表現型に基づいて層別化して評価することが、より精度の高いリスク評価や個別化医療の推進につながる可能性がある」としている。 なお、本研究の限界として、診断が病名コードに基づくため誤分類の可能性がある点、検査値や治療詳細が含まれていない点、残余交絡の可能性や因果関係を示せない点、非MASLD対照群がない点が挙げられている。

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中等度慢性腎臓病(CKD)の腎機能の経過の評価にはクレアチニンとシスタチンCの両者が必要(解説:浦信行氏)

 糸球体濾過率(GFR)の正確な評価にはイヌリンクリアランスや125I-イオサラメートクリアランスが必要であるが、日常臨床では方法の煩雑さや放射性同位元素の取り扱いなどで現実的にはほぼ困難である。したがって、クレアチニンやシスタチンCを用いた推算値(eGFR)が算出されるが、結果の即時性からクレアチニンによるeGFRが一般的に用いられている。 英国のバーミンガム大学を中心とした多施設共同研究で、正確な腎機能変化の評価にはクレアチニンとシスタチンCの両者を用いた方法が優れることを3年間の前向き研究で明らかにした。詳細な報告はCareNet.comの2026年4月2日掲載の解説を参照されたい。中等度CKDのクレアチニンとシスタチンCを半年ごとに測定し、Log変換した値を用いてeGFRの3年間のスロープを評価した結果、クレアチニンとシスタチンC各々で評価した値よりは両者を併用した値が、基準値であるイオヘキソールを用いたGFRにより近似していたとの報告である。両者を同時評価することの重要性を示唆している。日本腎臓学会でも、評価方法は異なるが両者を用いたeGFRの同時評価を先行して行ってイヌリンクリアランスと対比し、2012年のCKD診療ガイドラインに両者の平均eGFRの正確度が高いと報告している。しかし、両者の平均値で評価するのも症例によっては限界がある。この研究の対象は58.1~73.6歳で平均67.1歳である。日常臨床で75歳以上の高齢者では自力で元気に外来通院する症例もいるが、一部に自力歩行に難渋するか不可能な症例も少なからずいる。サルコペニアなどによりクレアチニンでのeGFR計算値が極端に高値の場合も珍しくない。両者の併用の意義は理解できるが、症例の病態やADLを考慮した評価も念頭に置く必要があると考える。

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