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「正しいからではなく自分がどう生きたいか」あるHBOC患者の選択

第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会 市民公開講座で、患者の立場から講演を行った冨田 多香音氏に、HBOCとの向き合い方について話を伺った。 まず家族歴などの背景と乳がん診断までのプロセスについて教えてください。父方の祖母と妹が40代で乳がんを発症しており、また乳がん発症後に家族歴を調べる過程でわかったことですが、父の従妹2人が30代と40代で乳がんを、父方の叔母が50代で卵管がんを発症していました。乳がん検診は毎年受けていましたが、2011年、47歳の時に右胸のハリと右脇の違和感を覚えて、クリニックを受診したところ、5cmの腫瘍が見つかり、リンパ節にも転移していました。サブタイプ分類はトリプルネガティブでした。妹が乳がんを発症した際に家族性腫瘍を疑われていたので、漠然と自分も乳がんになるかもしれないと思っていましたが、妹の発症から1年も経たないうちに、しかも毎年検診を受けていたのにもかかわらず、発見された時にはすでに5cmもの大きさになっていたことにショックを受けました。その後、どのようなプロセスで遺伝性乳がん卵巣がん症候群(以下HBOC)と向き合っていかれたのでしょうか?まず、聖路加国際病院で半年間の術前化学療法を受けました。治療当初は抗がん剤の有効性や副作用、そして治療と仕事の両立などで頭がいっぱいで、HBOCや遺伝カウンセリングについて説明はありましたが、そこまで考える余裕はありませんでした。化学療法終了後、術式決定の参考になるかもしれないからと主治医から再度勧められたため、遺伝カウンセリングを受けることにしました。カウンセリング前に自分でもHBOCについて勉強しようとたくさんの本を読みあさりましたが、どの本にも情報が少なく、リスク低減手術に関しては、判で押したように「日本では一般的ではない」と書かれているのみでした。ここで、私は「本はダメだ。インターネットなら何か出ているかもしれない」と思い、インターネットで調べました。すると、ようやく2つの有用な情報が見つかりました。1つ目はNCCN ガイドラインでした。医療者ではない私には、どこを読めば良いかわからなかったため、ガイドラインをすべて読みました。そして、その中に「BRCA遺伝子変異陽性の場合にはリスク低減手術を検討すべき」という記述を見つけました。そして2つ目はHBOC患者であるアメリカ人女性の手記です。そこには遺伝子検査から治療、リスク低減手術までの過程が詳しく書かれていました。アメリカでは10年も前からリスク低減手術が行われているのに、なぜ日本ではほとんど行われていないのか、不思議に思った覚えがあります。遺伝カウンセリングを受けてよかったことは何でしょうか?正しい情報を得られたことはもちろんですが、最もよかったことは将来への希望を得られたことです。遺伝カウンセリングを受けるまでは、費用が高いことやそのメリットがわからなかったので、遺伝子検査を受けようとは思っていませんでした。しかし、カウンセリングの中で、BRCA遺伝子変異陽性の場合には重点的にフォローを受けられること、現在治験中の薬剤があること、リスク低減手術は乳がんの手術と同時に受けられることがわかり、カウンセリング室から出るときには、すでに遺伝子検査を受けることを決めていました。遺伝子検査の結果から、すぐにリスク低減手術を受けることを決断できましたか?検査結果が出る前から、陽性の場合には卵巣・卵管のリスク低減手術は受けようと決めていました。なぜなら36歳で卵巣のう腫の手術を受けたとき、がんのマーカーの値が非常に高く卵巣がんが疑われたことがあり、卵巣がんの怖さを知っていたからです。一方、対側の乳房切除については、とても迷いました。ただ、時間的猶予はそれほどなく、手術日がすでに決まっていたため、遺伝子検査から結果が出るまでの約1週間で決断する必要がありました。これまでの人生の決断と同様に、メリットとデメリットを紙に書き出して整理してみたものの、頭の中でぐるぐる回って自力では決断することができなかったため、友人にたくさん話を聞いてもらいました。また、形成外科の先生に乳房再建について相談した際に「片方だけ再建するよりも両方再建するほうが仕上がりがきれいになる」と言われ、それまで見た目のことまで意識が向いていなかったため、目から鱗が落ちました。最後まで自分の中でひっかかっていたのは、まだ病気になっていない部分を切除することが倫理的にどうなのかという点でしたが、自分の好きなように決めていいのだなと、先生の言葉で肩の力が抜けた気がしました。最終的には、元気に過ごせる時間をできるだけ長く維持したいという気持ちが大きく、右側の乳がん切除手術の際に、対側の乳房と卵巣・卵管も予防的に切除することにしました。遺伝子検査の結果は、予想どおり陽性でしたが、「やっぱり」という気持ちが大きく、悲しいという気持ちは湧いてきませんでした。むしろがんの原因がわかってすっきりしたことを覚えています。乳がん告知を受けてから現在までを振り返っていかがですか?HBOCの情報に触れ、遺伝カウンセリングを受ける機会に恵まれ、すべての偶然が重なって今の自分があります。適切な病院選びを始め、それぞれのポイントで1つでも違う選択をしていたらここにいることはないと思います。適切なタイミングで適切なアドバイスをしてくださった医師および医療関係者、そして私の話を根気強く聞いてくれた家族、友人に感謝しています。私がHBOCと診断された頃と比較すると、日本でもHBOCを診療する施設が増え、入手できる情報も増えてきました。ただ、実際にリスク低減手術を受けた当事者の経験が聞ける機会はほとんどないようです。そのため、BRCA遺伝子変異陽性の方から「リスク低減手術を受けてどうだったのか?」と相談や質問を多く受けます。そのような方々のために自分の経験をお話しすることで、少しでも不安を軽減できたらと思っています。最後にHBOCを診療する先生へメッセージをお願いします。私自身、正しい情報から自分の状況を客観的に把握でき、将来への希望を持つことができたので、遺伝カウンセリングを受けて本当によかったと感じています。ただ、患者さんは目先の治療のことで頭がいっぱいで、遺伝について考える余裕がないことも多いと思います。ですので、患者さんの気持ちの余裕があるタイミングで、複数回にわたってカウンセリングを勧めていただければ幸いです。また、カウンセリングを受けやすい態勢も重要だと思います。HBOCは一生付き合っていかなければならない疾患なので、患者さんが望むときに客観的な情報が得られる窓口があると、多くの患者さんに安心感を与えられるのではないでしょうか。【インタビューを終えて】HBOCという疾患を抱えつつも、現実を受け止め、力強く前向きに生きる姿に勇気付けられた。今後、医療技術の発展に伴い遺伝医療を受ける患者さんが増えていくことが予想されるが、日本ではまだ遺伝医療に対する理解が十分であるとは言えない。科学的な知識を踏まえつつ、患者さん一人ひとりの価値観を最大限尊重し、その価値観に沿った意思決定が行えるよう手助けをすることが重要であると、今回のインタビューを通じて感じた。

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双極性障害患者における道路交通傷害リスクと薬物治療との関連

 双極性障害患者の道路交通傷害リスクを調査するため、台湾・長庚大学のVincent Chin-Hung Chen氏らは、台湾の全国規模の人口データセットを用いて、非双極性障害患者との比較検討を行った。さらに、双極性障害と道路交通傷害リスクとの関連に対する、リチウム、抗てんかん薬、抗うつ薬、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬の処方で推定される緩和効果についても調査を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。 16年間の縦断コホート研究の一環として、双極性障害と診断された16歳以上の患者における道路交通傷害リスクについて、年齢、性別を一致させた非双極性障害10サンプルとの比較を行った。ICD-9-CMコード(E800~807、E810~817、E819~830、E840~848)に基づく公的医療保険データベースを用いて、道路交通傷害の発生率を比較した。年齢や薬剤使用などの時間的に変化する共変量の調整には、時間依存性Cox回帰モデルを用いた。年齢、性別、その他の併存疾患、薬剤使用の調整前後のハザード比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者3,953例が、一般人口3万9,530例のコントロールと一致した。・双極性障害患者の道路交通傷害リスクの調整ハザード比は、コントロールと比較して、1.66倍(95%CI:1.40~1.97)の増加が認められた。・道路交通傷害リスクの低さは、女性、高齢者(80歳以上)、都市レベルの最も高い地域の居住者、抗うつ薬の使用との関連が認められた。 著者らは「本検討で、双極性障害は道路交通傷害リスクの増加と関連することが認められた。しかし、抗うつ薬の使用がリスクの緩和に役立つ可能性がある」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうか車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか

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HbA1cと認知機能低下との関連~縦断研究

 HbA1c値および糖尿病の状況と、その後の10年間の認知機能低下について縦断的に調査したところ、これらの間に有意な関連が認められたことを中国科学院のFanfan Zheng氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年1月25日号に掲載。 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のwave 2(2004~05年)からwave 7(2014~15年)のデータを分析した。認知機能をベースライン(wave 2)で評価し、wave 3~7で2年ごとに再評価した。線形混合モデルを使用して縦断的な関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、ベースライン時のHbA1c値が15.9~126.3mmol/mol(3.6~13.7%)であった5,189人(女性55.1%、平均年齢65.6±9.4歳)。・平均追跡期間は8.1±2.8年、認知機能評価の平均回数は4.9±1.5回であった。・ベースライン時の年齢、性別、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、高感度CRP、BMI、教育、婚姻状況、うつ症状、現在の喫煙状況、飲酒、高血圧、CHD、脳卒中、慢性肺疾患、がんに関する調整後、HbA1cが1mmol/mol増加すると、認知機能全般のzスコア(-0.0009 SD/年、95%CI:-0.0014~-0.0003)、記憶のzスコア(-0.0005 SD/年、95%CI:-0.0009~-0.0001)、実行機能のzスコア(-0.0008 SD/年、95%CI:-0.0013~-0.0004)の低下速度が有意に増加した。・多変量調整された認知機能全般の低下速度は前糖尿病および糖尿病に関連して増加し、正常血糖の参加者と比べ、それぞれ-0.012 SD/年(95%CI:-0.022~-0.002)および-0.031 SD/年(95%CI:-0.046~-0.015)増加した(傾向のp<0.001)。・同様に、記憶、実行機能、見当識のzスコアから、糖尿病による認知機能低下速度の増加が示された。

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脳内出血後の院内死亡、ワルファリンvs. NOAC/JAMA

 脳内出血(ICH)患者の院内死亡リスクを、発症前の経口抗凝固薬(OAC)で比較したところ、OAC未使用群に比べ非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)あるいはワルファリンの使用群で高く、また、NOAC使用群はワルファリン使用群に比べ低いことが示された。米国・デューク大学メディカルセンターの猪原拓氏らが、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による登録研究Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)のデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。NOACは血栓塞栓症予防としての使用が増加しているが、NOAC関連のICHに関するデータは限られていた。JAMA誌オンライン版2018年1月25日号掲載の報告。脳内出血患者約14万1,000例で、抗凝固療法と院内死亡率との関連を解析 研究グループはGWTG-Strokeに参加している1,662施設において、2013年10月~2016年12月にICHで入院した患者を対象に、ICH発症前(病院到着前7日以内)の抗凝固療法による院内死亡率について解析した。 抗凝固療法は、ワルファリン群・NOAC群・OAC未使用群に分類し、2種類の抗凝固薬(ワルファリンとNOACなど)を用いていた患者は解析から除外した。また、抗血小板療法については、抗血小板薬未使用・単剤群・2剤併用(DAPT)群に分類し、3群のいずれにも該当しない患者は解析から除外した。 解析対象は14万1,311例(平均[±SD]68.3±15.3歳、女性48.1%)で、ワルファリン群1万5,036例(10.6%)、NOAC群4,918例(3.5%)。抗血小板薬(単剤またはDAPT)を併用していた患者は、それぞれ3万9,585例(28.0%)および5,783例(4.1%)であった。ワルファリン群とNOAC群は、OAC未使用群より高齢で、心房細動や脳梗塞の既往歴を有する患者の割合が高かった。NOAC群は、未使用群よりは高いがワルファリン群よりも低い 急性ICHの重症度(NIHSSスコア)は、3群間で有意差は確認されなかった(中央値[四分位範囲]:ワルファリン群9[2~21]、NOAC群8[2~20]、OAC未使用群8[2~19])。 補正前院内死亡率は、ワルファリン群32.6%、NOAC群26.5%、OAC未使用群22.5%であった。OAC未使用群と比較した院内死亡リスクは、ワルファリン群で補正後リスク差(ARD)9.0%(97.5%信頼区間[CI]:7.9~10.1)、補正後オッズ比(AOR)1.62(97.5%CI:1.53~1.71)、NOAC群でARDは3.3%(97.5%CI:1.7~4.8)、AORは1.21(97.5%CI:1.11~1.32)であった。 ワルファリン群と比較して、NOAC群の院内死亡リスクは低かった(ARD:-5.7%[97.5%CI:-7.3~-4.2]、AOR:0.75[97.5%CI:0.69~0.81])。 NOAC群とワルファリン群の死亡率の差は、DAPT群(NOAC併用群32.7% vs.ワルファリン併用群47.1%、ARD:-15.0%[95.5%CI:-26.3~-3.8]、AOR:0.50[97.5%CI:0.29~0.86])において、抗血小板薬未使用群(NOAC併用群26.4% vs.ワルファリン併用群31.7%、ARD:-5.0%[97.5%CI:-6.8%~-3.2%]、AOR:0.77[97.5%CI:0.70~0.85])より数値上では大きかったが、交互作用p値は0.07で統計的有意差は認められなかった。 なお、著者は、GWTG-Strokeの登録データに限定していることや、NOAC群の症例が少なく検出力不足の可能性があることなどを、研究の限界として挙げている。

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B細胞性ALL、CAR-T療法で8割が全寛解/NEJM

 小児および若年成人における再発・難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法(CAR-T療法)であるtisagenlecleucelの単回投与は、長期にわたる持続的な寛解をもたらし、Grade3以上の有害事象は一過性であることが確認された。米国・ペンシルベニア大学のShannon L. Maude氏らが、11ヵ国の25施設で実施された国際共同第II相臨床試験の結果を報告した。単一施設で行われたtisagenlecleucelの第I・IIa相試験では、同患者における完全寛解率は93%と高く、毒性は重篤であったものの、ほとんどが可逆的であることが示されていた。NEJM誌2018年2月1日号掲載の報告。小児および若年成人患者75例でtisagenlecleucelの有効性を評価 試験は、小児(スクリーニング時3歳以上)および若年成人(診断時21歳未満)の再発・難治性CD19陽性B細胞性ALL患者を対象に、tisagenlecleucelを単回投与し評価した。tisagenlecleucelは、T細胞活性化シグナルを伝達するCD3ゼータ領域と共刺激シグナルを伝達する4-1BB(CD137)領域を含み、CD19に対するCARを発現するよう、レンチウイルスベクターで形質導入された自己T細胞を用いて作られた。 主要評価項目は、3ヵ月以内の全寛解率(完全寛解、または、血液学的回復が不完全な完全寛解の割合)。副次評価項目は、フローサイトメトリーで評価された検出できない微小残存病変を伴う完全寛解または血液学的回復が不完全な完全寛解、寛解持続期間、無イベント生存、全生存、安全性などとした。 2015年4月8日~2017年4月25日(データカットオフ日)に、事前に計画された解析に関して75例がtisagenlecleucelの投与を受け、有効性が評価された。全寛解率は81%、寛解は持続、Grade3以上の有害事象発現は73% 3ヵ月以内の全寛解率は81%で、治療に反応した全患者においてフローサイトメトリーで評価された微小残存病変は陰性であった。 6ヵ月時点の無イベント生存率は73%(95%CI:60~82%)、全生存率は90%(95%CI:81~95%)、12ヵ月時点はそれぞれ50%(95%CI:35~64%)、76%(95%CI:63~86%)であった。寛解持続期間は中央値に未到達であり、tisagenlecleucelは血液中に最長20ヵ月間残留していることが確認された。 tisagenlecleucelとの関連が疑われたGrade3/4の有害事象は、73%の患者に発現した。サイトカイン放出症候群の発現率は77%で、このうち48%の患者はトシリズマブで治療された。神経学的イベントは40%の患者に発現したが、支持療法で管理され、脳浮腫は報告されなかった。

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循環器内科 米国臨床留学記 第27回

第27回 米国における専門医 Boardの問題点日本で新しい専門医制度が始まり、物議を醸しています。私は米国で内科のレジデンシーと循環器のフェローシップ、不整脈(電気生理学:EP)のフェローシップを修了し、今年は不整脈の専門医試験を受けます。すでに内科、循環器の専門医を持っていますので、3つ目の専門医を持つことになりますが、3つすべてを維持していくのは大変です。しかし米国では、専門医を持たなければその科の専門医として働くことはほとんど不可能です。今回は、米国における専門医の持つ意味や、それにまつわる問題点に触れてみたいと思います。専門医がなければ、就職活動もできないフェローやレジデンシーは、最終年になると就職活動が始まります。内科のレジデンシー修了後に指導医(attending doctor)になる場合は、多くの場合hospitalistとなります。cardiologyやcritical care(集中治療)のフェローを修了した後であれば、cardiology やcritical careの指導医としてのポジションを探します。医師の募集広告には、よく「A hospital is seeking a BC/BE cardiology physician」 など書かれています。レジデンシーやフェローシップ、それらを修了後、専門医試験に合格するまでは、board eligible(BE)などと呼ばれますが、これはboardを受ける資格があるという意味です。フェローシップ終了後、数ヵ月以内に各科の専門医試験があり、それに合格することが前提で病院に雇われます。仮に1回目で落ちてもすぐにクビにはなりませんが、「就職後2年以内」などのルールが採用時に決められているため、その期限内に合格する必要があります。boardに合格すると、晴れてboard certified(BC)となります。医師の名前をインターネットで検索すると、すぐにどの専門医資格を持っているかがわかります。紹介患者以外でも、多くの患者がインターネットの情報を基に医師を選ぶので、専門医資格の有無は重要です。また、医療訴訟が起きた際に、専門医資格がないとかなり不利になってしまうようです。専門医資格の維持私の専門領域である不整脈(EP)の場合、専門医になるためには、まず内科の専門医になる必要があります。その上で循環器の専門医を取得し、最後にEPの専門医を取得します。一度専門医試験に合格すると、10年間は専門医資格が維持されます。その10年の間に医学知識、患者の調査や患者の安全に関するモジュールを行い、筆記試験(MOC試験:Maintenance of Certification)を受ける必要があります。また、内科、循環器、不整脈のすべての専門医資格を維持するとなると、10年間に3つの試験を受けなければなりません。こういった内科系の専門医資格に関しては、アメリカ内科学会(American Board of Internal Medicine: ABIM)が試験や資格維持に関するルールを決めていました。ところが、10年ごとの高額な専門医試験や、そのために重箱の隅をつつくような知識を学ぶことは不必要であり、高額な試験を課すことはABIMによる制度の悪用ではないか(お金を集めるために試験を義務付けている、MOC試験も1,000ドル以上かかる)といった批判の声が上がり、多くのサブスペシャルティがABIMの定めた専門医更新のルールに反対する意向を示しました。多くの医師が、更新直前まで試験勉強や点数集めをしないこともわかっており(この辺りは日本も米国も同じですね)、逆に言うと期限ギリギリまで知識のupdateをしないということになります。こうした点を踏まえ、10年目に慌てて知識を詰め込むよりも、継続した学習が評価されるように専門医維持の方法も変更されました。先述のように、サブスペシャルティの反対もあり、自分の専門領域の資格のみを維持することも認められました。例えば不整脈の場合、内科もしくは循環器の専門医を維持しなくても、不整脈の専門医だけを維持することができます。実際、分業が進む米国で、レジデンシー卒業後10年目に再び内科(とくに他科)の勉強をすることは非常に大変です。このように、米国における専門医維持の方法はここ数年で大きく変わり、今後も変更が予想されます。専門医を維持するために勉強するのは、医師として当たり前のことなので、定期的に知識をupdateするために試験を行うのは個人的には賛成です。しかしながら、普段の臨床からあまりにも逸脱した内容を学ぶことや高額な試験費用には疑問を感じます。とはいえ、試験費用はABIMにとって大きな収入源であり、その上、各専門医団体との利権も絡み合っており、すべての人が納得する制度を作るのは難しいのかもしれません。

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現代の忠臣蔵【Dr. 中島の 新・徒然草】(207)

二百七の段 現代の忠臣蔵先週は関東、今週は北陸と、大変な積雪になっています。大阪にもチラホラと雪が積もりましたが、すぐに消える程度でした。さて、東京の積雪で思い出すのは歴史上の三大事件です。皆さんはご存じでしょうか? まずは元禄15年(1703年)の赤穂浪士討ち入り事件。次に安政7年(1860年)の桜田門外の変。そして昭和11年(1936年)の二・二六事件です。いずれも映画やドラマでは雪の中のシーンが描かれています。このうち赤穂浪士討ち入り事件については、つい最近、「忠臣蔵:こどものための聴く絵本」をオーディオブックで視聴する機会がありました。「こどものための」とはいえ、よくできており、最初から最後まで泣かされ通しでした。あらためて忠臣蔵というのは日本人の心の奥底にある物語だと思った次第です。よくご存じない読者もおられると思うので、簡単に説明しておきます。時代は元禄、赤穂藩藩主である浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)は、吉良上野介(きらこうずけのすけ)の度重なる嫌がらせに堪忍袋の緒が切れて、江戸城の松之廊下で斬りつけたのです。もちろん殿中で刀を抜くというのは御法度、そのため即日切腹を言い渡されました。「風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん」という辞世の句を残して内匠頭は果てました。また赤穂城の方もお家断絶となり、家臣たちは散り散りになります。ところが生き残った上野介の方には何のお咎めもありませんでした。これを理不尽と感じた筆頭家老である大石内蔵助(おおいしくらのすけ)ら四十七士たちは、亡き殿の無念を晴らすべく1年余の後に吉良邸に討ち入り、見事に上野介を討ち取ったのです。当然のことながら四十七士らも切腹を命じられ、主君の浅野内匠頭とともに泉岳寺に埋葬されました。この事件はいかにも日本人好みの物語に仕立てられ、「忠臣蔵」として何度も映画化・ドラマ化されてきました。討ち入り直前に大石内蔵助が浅野内匠頭の奥方であった瑤泉院(ようぜんいん)に別れを告げにいく「南部坂雪の別れ」などの名場面を見ると、ストーリーを知っていても感動してしまいます。さて、つらつら忠臣蔵の事を考えて来て、驚くべきことに思い当たりました。なんと、忠臣蔵は日本の現代史に符号しているのです。米国のハルノート → 吉良上野介の嫌がらせ真珠湾攻撃 → 松之廊下の刃傷事件無条件降伏 → 浅野内匠頭の切腹「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」 → 「風さそふ 花よりもなほ 我はまた」ぴったり一緒ではありませんか!とはいえ、現代の世の中において敵討ちは感心しません。忠臣蔵との符号はここまでにしておきましょう。戦後70年以上が経ち、米国は日本にとって最も重要な同盟国であり、また民主主義という価値観を共有しています。大切なのは現在の平和と繁栄がずっと続くことですね。最後に1句現代の 忠臣蔵に 敵(かたき)なし

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抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ効果に関する解析

 抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボの反応率は増加し続けていることから、臨床試験の失敗数の増加を招いていると考えられてきた。最近報告された2件のシステマティックレビューで、この問題が調査されており、それぞれの報告で正反対の見解が示された。京都大学の古川 壽亮氏らは、これまでの結果を再検討する解析を行った。Evidence-based mental health誌オンライン版2018年1月12日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・2016年に発表された古川氏らの論文において、プラセボ反応率は1991年以来、安定しており、2000年までに見られたプラセボ反応率の増加は、試験デザインの特性の変化によるものであったとした。・対照的に、Khanらはプラセボ反応率が過去30年間で増加していると結論付けていた。・この2つのレビューは、使用したデータセット、プラセボ反応の定義、統計分析が異なっていた。これらの違いにより、対照的な結論に至ったかどうかについて調査を行った。・いずれのデータセットおよびプラセボ反応の定義において、研究デザインの特性に関連する交絡因子の分析で調査した場合、または1990年以降に発表された研究に限定した場合では、何年もの間、プラセボ反応率の増加は認められなかった。 著者らは「抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ反応は、過去25年間安定したままであり、その間、大多数の研究が類似のデザイン特性を共有するようになった」と結論付けている。■関連記事うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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小児腎臓病既往で、末期腎不全リスクが約4倍/NEJM

 小児期の腎臓病既往歴は、たとえ青年期においては腎機能が正常であっても、その後の末期腎不全(ESRD)発症リスクを有意に増大することが明らかになった。イスラエル・ヘブライ大学のRonit Calderon-Margalit氏らが、約152万人の同国青少年についてコホート研究を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年2月1日号で発表した。これまで、小児期に慢性腎臓病(CKD)に進展しなかった小児腎臓病の長期的リスクは明らかにされていないという。青年期に腎機能正常で高血圧のない対象を追跡 研究グループは、1967~97年に兵役前の検査を受けた16~25歳のイスラエル人青少年152万1,501例を対象とする、全国住民ベースのヒストリカルコホート研究を行い、その結果データをイスラエルESRDレジストリと結びつけた。 調査対象の小児腎臓病は、先天性腎尿路異常、腎盂腎炎、糸球体疾患だった。青年期に腎機能が正常で高血圧症が認められなかった全被験者について、主要解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、小児腎臓病既往歴のESRD発症に関するハザード比を推定した。40歳未満でのESRD発症リスクは約10倍に 30年間の追跡期間中、ESRDを発症したのは2,490例だった。小児腎臓病既往歴のESRD発症に関するハザード比は、4.19(95%信頼区間[CI]:3.52~4.99)だった。調査対象とした、いずれの小児腎臓病の既往歴もESRDリスクの増加幅は同程度で、先天性腎尿路異常5.19(95%CI:3.41~7.90)、腎盂腎炎4.03(同:3.16~5.14)、糸球体疾患3.85(同:2.77~5.36)だった。 また、小児腎臓病の既往歴は、40歳未満でのESRD発症リスクの大幅な増大とも関連が認められた(ハザード比:10.40、95%CI:7.96~13.59)。

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心房細動合併心不全の予後、アブレーションで大幅改善/NEJM

 心房細動を合併した心不全患者で、種々の理由で抗不整脈薬治療を受けられない場合においても、心房細動に対するカテーテルアブレーションを行うことで、薬物治療のみでのレートコントロールやリズムコントロールに比べ、全死因死亡および心不全悪化による入院の複合リスクは、約4割減少することが示された。米国・ユタ大学のNassir F.Marrouche氏らが、患者363例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、NEJM誌2018年2月1日号で発表した。心房細動を合併した心不全患者は、心不全単独患者よりも脳卒中や心不全悪化による入院、死亡のリスクが高い。心房細動に対するカテーテルアブレーションは、そのほかの心機能は正常で薬物療法が無効の症候性心房細動に推奨されており、これまでの試験で、心房細動合併の心不全患者においてアウトカムを改善することが示唆されていた。NYHA心機能分類II~IV、左室駆出率35%以下、除細動器植込み患者を無作為化 研究グループは、発作性/持続性の症候性心房細動で、抗不整脈薬が無効、または忍容できない副作用や本人の意思で抗不整脈薬非服用の患者を対象に、試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、臨床ガイドラインに基づく心不全治療に加えて、一方の群には心房細動に対するカテーテルアブレーションを(179例)、もう一方の群には薬物治療によりレートコントロールまたはリズムコントロールを行った(184例)。 被験者は、NYHA心機能分類II~IV度の心不全で、左室駆出率が35%以下、植込み型除細動器を装着していた。 主要評価項目は、全死因死亡および心不全の悪化による入院の複合エンドポイントだった。主要複合エンドポイント、アブレーション群のHRは0.62 中央値37.8ヵ月の追跡期間中、主要複合エンドポイントの発生は、薬物治療群82例(44.6%)のに対し、アブレーション群は51例(28.5%)と、有意に少なかった(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.43~0.87、p=0.007)。 また、全死因死亡についても、薬物治療群46例(25.0%)に対しアブレーション群は24例(13.4%)と、リスクはほぼ半減した(HR:0.53、95%CI:0.32~0.86、p=0.01)。心不全の悪化による入院も、それぞれ66例(35.9%)、37例(20.7%)(HR:0.56、同:0.37~0.83、p=0.004)、心血管系の原因による死亡は41例(22.3%)、20例(11.2%)(HR:0.49、同:0.29~0.84、p=0.009)と、いずれもアブレーション群が有意に少なかった。

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かかりつけ医の初診料に加算を新設:2018年度診療報酬改定 答申

 中央社会保険医療協議会(中医協)は、2月7日の総会で2018年度診療報酬改定案を了承し、加藤 勝信厚生労働相に答申した。今回の改定では、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えて「地域包括ケアシステムの構築」が柱の1つとして掲げられ、外来医療の機能分化、歯科医・薬剤師との連携や生活習慣病の重症化予防を推進する項目が盛り込まれている。 外来医療の機能分化においては、かかりつけ医機能を持つ医療機関での初診料への加算(初診料 機能強化加算:80点)が新設される。大病院とかかりつけ医との役割分担を図り、専門医療機関への受診の要否判断を含めた、初診時におけるかかりつけ医の診療機能を評価することが目的だ。診療所または200床未満の保険医療機関における初診で、地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療加算、認知症地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)、施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)の届け出等を行っていることが算定要件となる。 そのほか、かかりつけ歯科医との「診療情報連携共有料」や、かかりつけ医と認知症サポート医との連携による「認知症サポート指導料」の新設、「生活習慣病管理料」の算定要件への記載項目の追加(例:糖尿病患者では血糖値およびHbA1c、高血圧患者では血圧を必ず記載する)なども盛り込まれている。■参考中央社会保険医療協議会 総会(第389回) 議事次第

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新薬が出ない世界で(2)(解説:岡村毅氏)-809

 アルツハイマー型認知症に対する疾患修飾薬(根本治療薬)であるアミロイド抗体(solanezumab)が、軽度のアルツハイマー型認知症の患者さんに対しても効果がなかったという報告である。すでに軽度から中程度においては効果がないことが示されていたが(EXPEDITION 1&2、Doody RS, et al. N Engl J Med. 2014;370:311-321. )、この時、軽度の方に対しては効果があるという希望が示されていた。そこで今回の研究(EXPEDITION 3)が遂行されたのだが、残念ながら希望はかなわなかった。 全体像をあらためて見てみよう。アルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドやタウがたまり、神経細胞が破壊され、もの忘れをはじめとする認知機能の低下が起こる病気である。このアミロイド仮説こそが、アルツハイマー型認知症のセントラルドグマといえる。そこでアミロイドを除去したり、産生を抑えたりする薬剤が開発されてきたが、ADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)が明らかにしたことは、症状が出た時点でアミロイドの病理はすでに進行しているということであった。これを、ある著明な神経学者は「病気になってからアミロイドを除去するのでは、牛が逃げて行ってしまってから、牛小屋のドアを閉めるようなものだ」と述べている(アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ)。 本報告の次に報告されるのは、時間軸をさかのぼり、アミロイドペットで脳内にアミロイドがたまっていることが確認されているものの、まだ発症していないプレクリニカルADと呼ばれる状態の人を対象にした予防研究になるはずだ。良き結果が出ることを心から願いたい。 製薬会社や治験に関するネガティブなニュースが一時期多かったが、一方で、ほとんどの関係者は困っている人を助けたいという使命感から働いている。東大で出会ったある製薬会社の医薬情報担当者さん(かつてはMRさんと呼ばれた)は、私がホームレスの方の支援研究をしていると知って、米国で刑務所から出所した方に勉強を教えるボランティアをしていたと話してくれた。医学論文に関するリテラシーが幅広く共有されることは、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与し、長い目で見たら善き人が善き活動をする助けになるはずだ。CLEAR!ジャーナル四天王は、製薬会社と人々をつなぐ重要な社会貢献と信じて書いています。

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第13回 治療選択肢の提示、“丸投げ”や“強制”になっていませんか?【患者コミュニケーション塾】

治療選択肢の提示、“丸投げ”や“強制”になっていませんか?前回少し触れましたが、医師が選択肢を示し、相談の上で患者の意思を問うならまだ良いのですが、「いまは患者が決める時代ですから」と丸投げする医師も、若い世代を中心に増えているように感じます。その一方で、有無を言わせず「これしかない」と“強制”されたと嘆く患者もいて、いずれにせよどちらかに極端に傾いてしまうのは考えものです。先日届いた38歳の女性からの相談で、乳がんが見つかり、医師から「あなたの場合は、先に抗がん剤治療をして小さくしてから手術をしましょう。手術前の抗がん剤治療は、2~3割の患者さんに効果が期待できます」と言われ、ほかの治療方法の選択肢がまったく示されなかったそうです。そこで「先に手術という方法はないのですか?」と聞くと、「小さくなる可能性があるのに、先に抗がん剤治療を断るなんて、おかしいでしょう?」と言われ、気持ちの上では半ば強制的に抗がん剤治療となってしまったとのことでした。ところがこの女性の場合、抗がん剤治療は効果を発揮せず、乳がんは大きくなってしまったのです。女性はショックを受けると共に「2~3割の患者に効くということは、7~8割は効かないということじゃないか。それなのに抗がん剤治療を先にしないという選択をさせてもらえないなんておかしい」と憤りを感じたそうです。そのことを医師に伝えたところ、関係性が悪化し、最終的には転院を余儀なくされてしまったとのことでした。確かに「2~3割の患者に効く」という情報で、先に抗がん剤治療をする選択肢のみというのは、結果的にその中に入らない患者のほうが多いわけですから、患者が納得いかない気持ちになるのは当然かと思います。ましてや効かなかったという結果が出てしまったのですから、なおさらでしょう。ただ、治療が始まる前に「先に抗がん剤治療をして小さくなる可能性は2~3割ですが、どうしますか?」という情報だけで決断を迫られたとしたら、それはそれで悩ましい選択となります。それだけに、もう少し選択のための丁寧な情報提供が必要ではないかと思いました。もちろん、それによって最終的に選ぶのは患者の意思だと思います。冒頭で述べたように、最近はどちらかと言うと「患者が選ぶ時代ですから」と選択を丸投げされたというご相談のほうが目立ちます。「素人に決めろと言われても……」という声もいまだ後を絶ちません。しかし、これからは患者と医師が共に情報を共有し、共に考えるという姿勢がより求められるのではないかと思っています。

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統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

 統合失調症における抗精神病薬での治療が、患者の死亡率の増減に関連しているのか、また、特定の薬剤と投与経路との間に臨床的な意味の違いがあるのかは、よくわかっていない。東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療と死亡率との関連について検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年12月20日号の報告。 スウェーデンの統合失調症患者(年齢16~64歳)を、2006~13年の全国レジストリデータより抽出した(全例:2万9,823例、インシデントコホート:4,603例)。臨床的および社会的な共変量について、多変量Cox回帰モデルで調整した。生存バイアスを制御するため、インシデントコホートによる感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均5.7年間のフォローアップ中、死亡した患者は2,515例(8.4%)であった。・最長フォローアップ(7.5年間)の累積死亡率は、第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型持効性注射剤(LAI)を使用していた患者で最も低かった。・SGA LAI使用と比較した調整ハザード比(aHR)は、第1世代抗精神病薬(FGA)LAI 1.37(95%CI:1.01~1.86)、SGA経口剤1.52(95%CI:1.13~2.05)、FGA経口剤1.83(95%CI:1.33~2.50)、抗精神病薬未使用3.39(95%CI:2.53~4.56)であった。・特定の薬剤における死亡率は、月1回のパリペリドンLAI(aHR:0.11、95%CI:0.03~0.43)、アリピプラゾール経口剤(aHR:0.22、0.15~0.34)、リスペリドンLAI(aHR:0.31、0.23~0.43)の順で低かった。・ペアワイズ比較では、LAIは同等の経口剤よりも死亡率が33%低かった(aHR:0.67、95%CI:0.56~0.80)。・インシデントコホートによる結果は、1次分析と一致していた。 著者らは「統合失調症患者に対するLAI使用は、経口剤と比較し、死亡リスクが約30%低下していた。最も死亡率が低かったのは、SGA LAIおよびアリピプラゾール経口剤であった」としている。■関連記事抗精神病薬使用は長期死亡リスクに悪影響なのかLAIは死亡率を上昇させるのか:藤田保健衛生大パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

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人工知能(AI)で胃がんを発見する/がん研究会

 2018年1月22日、公益財団法人がん研究会有明病院(院長:山口 俊晴、所在地:東京都江東区)の平澤俊明医師(上部消化管内科副部長)と株式会社AIメディカルサービス(CEO: 多田智裕、所在地:東京都新宿区)の多田智裕医師(ただともひろ胃腸科肛門科院長/東京大学医学部客員講師)らの研究グループは、人工知能(AI)を活用し、胃内視鏡静止画像の中から高精度に胃がんを検出する内視鏡画像診断支援システムを開発したと発表。 がん研究会のプレスリリースによれば、胃がんは発見がむずかしいケースも多く、内視鏡による胃がんの見逃しは5~25%。近年、AIによる画像認識能力は大きく進歩し、大腸内視鏡におけるAIを用いた診断システムが報告されているが、胃がんではこれまでAIを用いた内視鏡診断支援システムは開発されていない。今回の報告はAIを活用した胃がん内視鏡診断支援システムとしては世界初。Gastric Cancer誌オンライン版2018年1月18日号に掲載された。 本研究グループは最先端のAI技術であるニューラルネットワークを用いたディープラーニングを活用し、13,584枚以上の胃がん内視鏡画像をAIに機械学習させ、病巣検出力を検証した。その結果、検証用の内視鏡画像2,296枚から、66の連続した胃がん症例(77病変)が登録された。77病変中71病変(92.2%)の胃がんを検出し、6mm以上に限定すると71病変中70病変(98.6%)を検出した。陽性反応的中率は30.6%(71/232)であった。また、2,296枚の画像の解析に要した時間は47秒であった。 今後さらに改良を進め、胃がん内視鏡検診の内視鏡画像ダブルチェックへの応用や内視鏡検査時にリアルタイムで胃がん検出を支援する内視鏡診断支援システムの実用化を目指すとしている。■参考がん研究会プレスリリースHirasawa T,et al. Gastric Cancer. 2018 Jan 15.[Epub ahead of print]

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術前の呼吸理学療法教育で肺合併症が半減/BMJ

 待機的上腹部手術患者では、術直後の呼吸訓練に関する理学療法の講習を術前に受けることで、院内肺炎を含む術後の呼吸器合併症がほぼ半減することが、オーストラリア・メルボルン大学のIanthe Boden氏らの検討(LIPPSMAck-POP試験)で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。呼吸器合併症は、上腹部手術後の最も重篤かつ不良な転帰であり、死亡率や医療費も増加させる。これらの合併症は、術前の理学療法教育や呼吸訓練の指示のみで予防可能なことを示唆する試験がいくつかあるが、このエビデンスには、方法論上の欠点や一般化可能性が乏しいといった限界があるとされていた。術前の呼吸理学療法教育の有用性を、プラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、術前に行う単回の理学療法講習による、上腹部手術後の肺合併症の低減効果を評価するプラグマティックな多施設共同プラセボ対照無作為化試験を実施した(タスマニア大学などの助成による)。 対象は、6週間以内に待機的上腹部開腹手術を受ける18歳以上の患者であった。被験者は、情報冊子を配布される群(対照群)、または、情報冊子に加え術前に30分間の理学療法教育と呼吸訓練講習を受ける群(介入群)にランダムに割り付けられ、12ヵ月のフォローアップが行われた。 理学療法教育は、術後肺合併症とその予防に重点が置かれた。予防は、早期離床ケアおよび術後の意識回復直後から開始する自己管理型呼吸訓練として行われた。術後は、全例に標準化された早期離床ケアが施行され、新たな呼吸理学療法は行われなかった。 主要評価項目は、Melbourne group scoreで評価した術後在院14日以内の術後肺合併症の発現とした。副次評価項目は、院内肺炎、在院日数、集中治療室の使用などであった。術後肺合併症の補正HRは0.48、NNTは7 2013年6月~2015年8月にオーストラリアおよびニュージーランドで、3つの3次機能病院にある多職種連携の入院前診療施設において441例が登録され、介入群に222例、対照群に219例が割り付けられた。432例(介入群:218例、対照群:214例)が試験を完遂した。 ベースラインの年齢中央値は、介入群が63.4歳(IQR:51.5~71.9)、対照群は67.5歳(IQR:56.3~75.3)であり、男性の割合は両群とも61%であった。手術部位は、大腸が介入群50%、対照群47%、肝胆道/上部消化管がそれぞれ22%、28%、腎/泌尿器/その他は28%、24%であった。 432例中85例(20%)が術後肺合併症と診断された。術後在院14日以内の術後肺合併症の発症率は、介入群が12%(27/218例)と、対照群の27%(58/214例)に比べ有意に低かった(補正前の絶対リスク低減率:15%、95%信頼区間[CI]:7~22%、p<0.001)。ベースラインの年齢、呼吸器併存疾患、手術手技で補正後のハザード比(HR)は0.48(95%CI:0.30~0.75、p=0.001)であり、介入群の術後肺合併症のリスクは対照群に比べほぼ半減した。1件の術後肺合併症を回避するための治療必要数(NNT)は7(95%CI:5~14)だった。 また、院内肺炎の発症率は、介入群が対照群に比べ半減した(8% vs.20%、補正後HR:0.45、95%CI:0.26~0.78、p=0.005)。在院日数や集中治療室在室日数のほか、6週時の再入院、術後の離床までの期間、患者報告による6週時の合併症(創感染、疲労、悪心・嘔吐・消化器症状)などには、両群間に差を認めなかった。 著者は、「これらの結果は、待機的上腹部手術を受ける世界中の多くの患者にそのまま適用可能である」としている。

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抗VEGF薬硝子体内注射の効果をリアルワールドデータで確認

 米国・ラッシュ大学医療センターのElizabeth A. Atchison氏らは、米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリのデータを解析し、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射後の眼圧低下は、わずかだが統計的に有意に持続していることを明らかにした。臨床的に有意な眼圧上昇は、治療眼全体で2.6%に認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。 研究グループは、抗VEGF薬硝子体内注射後の眼圧の違いを同定する目的で、IRISレジストリに登録され、右眼に抗VEGF硝子体内注射(ベバシズマブ、アフリベルセプトまたはラニビズマブのいずれか1種類のみ)を受けた患者2万3,776例について解析した。加齢黄斑変性のみの患者、および試験前1年以上抗VEGF薬硝子体内注射を受けなかった患者をサブグループとした。 上記3剤について、それぞれ12、18および25回以上注射を受けた患者を解析対象とし、未治療眼と比較した。主要評価項目は、少なくとも1年後におけるベースラインからの平均眼圧変化量、および臨床的に重大な眼圧上昇(変化量6mmHg以上で、眼圧が21mmHg以上と定義)を認めた眼の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・全例でベースラインからの眼圧低下が認められ、治療眼では平均0.9mmHg低下し、未治療眼では平均0.2mmHg低下した。この差は統計学的に有意であった。・一般化線形モデルを用いた解析の結果、アフリベルセプトおよびラニビズマブと比較し、ベバシズマブで眼圧低下がやや少ないことが示された。・臨床的に有意な眼圧上昇は、全体で治療眼2.6%、未治療眼1.5%に認められ、薬剤別では、アフリベルセプト1.9%、ラニビズマブ2.8%、ベバシズマブ2.8%であった。・臨床的に有意な眼圧上昇の割合は、ベバシズマブとラニビズマブでは未治療眼に比べ治療眼で高かったが、アフリベルセプトでは差はなかった。

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乳がん検診と治療が及ぼす死亡率減少への影響をサブタイプ別に検証(解説:矢形寛氏)-807

 Cancer Intervention and Surveillance Network(CISNET)は、国立がん研究所がスポンサーとなっている組織であり、がんの予防、スクリーニング、治療が、がんの頻度や死亡率に及ぼす影響をよりよく理解するためのモデルなどを提供している。2005年のNEJMでは、CISNETモデルを用いた検討により、死亡率低下のうち46%がスクリーニング、54%が治療による影響と評価されていた(N Engl J Med. 2005;353:1784-1792. )。 今回の論文でもほぼ同様だが、乳がんサブタイプ間で死亡率低下に違いがあり、ER陽性/HER2陽性(58%)>ER陽性/HER2陰性(51%)>ER陰性/HER2陽性(45%)>ER陰性/HER2陰性(37%)であった。さらにスクリーニングと治療それぞれの影響も異なることが示され、ER陽性では治療の影響が大きく、ER陰性では検診の効果がより高かった。 さらに2000年から2012年までにHER2陽性では40%の死亡率低下がみられており、trastuzumabの影響と考えられている。ER陰性/HER2陰性以外では、検診よりも治療による影響が大きく、一方、ER陰性/HER2陰性に対しては、早期発見のためのより強力なスクリーニングアプローチと有効な分子標的薬の開発が望まれると述べられている。 ER陽性の場合は検診で発見される割合が高いことが知られているが、それによる死亡率減少効果は弱い。一方、ER陰性の場合は検診で発見される割合が低いが、早期発見された場合の有効性は高いようなので、効果的な検診プログラムが必要である。その1つが遺伝性乳がん卵巣がん症候群における乳房MRIであり、本邦でも国を挙げて真剣に取り組むべきであろう。

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オシメルチニブによるEGFR変異肺がん1次治療、厚労省が優先審査

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年2月5日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、厚生労働省より優先審査品目に指定されたと発表。 オシメルチニブは、本邦において2016月3月に「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺」の適応で承認された。その後、2017年11月に「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺」を予定の効能・効果として、T790M変異の有無に関わらず、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療への適応拡大に向けた製造販売承認事項一部変更承認を申請していた。 当指定は、治療歴のない局所進行あるいは転移を有するEGFR変異陽性NSCLCの1次治療においてオシメルチニブの有効性と安全性を検討した、第III相FLAURA試験の結果に基づいている。同試験において、オシメルチニブ投与群は、現在の標準1次治療であるEGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した(18.9ヵ月対10.2ヵ月)。また、これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められた。さらにオシメルチニブ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値(17.2ヵ月対8.5ヵ月)を示し、優れた客観的奏効率と共に、過去の安全性プロファイルと一貫した良好な忍容性を示した。■参考FLAURA試験(Clinical Trials.gov)FLAURA試験(New England Journal of Medicine)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカEGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ vs.標準治療/NEJM

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Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)

第7回 頭頸部がん 第8回 食道がん 第9回 肝胆膵がん 第10回 婦人科がん 第11回 泌尿器がん 第12回 造血器腫瘍 第13回 脳腫瘍 第14回 緊急症 第15回 緩和ケア がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。下巻では7つのがんとオンコロジックエマージェンシー、緩和ケアを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!第7回 頭頸部がん 咽頭、口腔、鼻腔など発現部位によって予後や治療法が異なる頭頸部がん。技術的・機能的に可能な場合は外科的切除、不可能な場合はケモラジ、すなわち放射線治療と化学療法の合わせ技で対応します。発見前には舌の違和感や出血などで来院することもあり、治療後には口腔内の合併症など、一般医のフォローも必要ですので、ぜひポイントを押さえてください。 第8回 食道がん 食道がんの手術後には、吻合部が狭窄し、嚥下障害を起こすことがあります。唾液が飲み込めないなど、生活に支障を来す患者のQOL改善には一般内科医のフォローが必須!食道がんは気管、大動脈、心膜、椎体に接するため、浸潤しやすいのが恐ろしい点です。症状のある患者は進行している場合が多く、治癒率も高くないなど、基礎知識も押さえておきましょう。第9回 肝胆膵がん 肝胆膵がんは病態が多様で、患者ごとの治療選択がとても重要です。肝がんは慢性肝炎や肝硬変の進行具合によって治療が異なり、殺細胞薬はほとんど効果がないこと、膵がんは早期発見が難しく約4%の患者しか完治できないことなど、一般内科医でもこれだけは知っておきたい肝胆膵がんの基本的知識、治療方法、副作用をコンパクトに解説します。第10回 婦人科がん 今回は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをぎゅっとまとめてレクチャー。この3つは共通してカルボプラチンとパクリタキセルを使用した化学療法を行います。これだけでも覚えておきたいポイントです。そのほかHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)など、一般内科医にも最低限知っておいてほしい婦人科がん知識をお伝えします!第11回 泌尿器がん 今回は腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がんをまとめてレクチャーします。泌尿器がんは患者によって進行のスピードや薬剤反応性などに大きな個人差があるのが特徴です。とくに前立腺がんは緩徐進行性のため治療不要となる場合があり、PSA検診の可否が問題となっています。新薬開発の目覚しい化学療法や、QOL確保のための膀胱温存療法、ホルモン療法など、一般内科医でも知っておきたいがん知識が満載です!第12回 造血器腫瘍 造血器腫瘍は遺伝子レベルで病型が細分化され、新薬の登場とともに、治療も複雑化しています。急性白血病や悪性リンパ腫でも、化学療法は比較的有効で、的確な治療と全身管理によって完治できるタイプもあります。初診時に見逃してはならない、メディカルエマージェンシーのポイントを解説します!第13回 脳腫瘍 脳腫瘍は原発性と転移性に分けられます。原発性の悪性腫瘍は境界が不明瞭なため完全摘出が難しく、手術後に化学放射線療法を行います。転移性脳腫瘍は、原発腫瘍の部位や状態によって治療方法が異なります。なかでも、EGFR遺伝子変異性肺がんのように化学療法高度感受性の原発腫瘍の場合は、転移巣も化学療法が有効となるケースがあります。このように最近は脳腫瘍でも長期予後が期待できる場合もあるので、脳腫瘍治療のエッセンスを一通り覚えておきましょう!第14回 緊急症 がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyに対応できますか?一般内科でも外来でがん治療中の患者に遭遇する機会が多くなりました。専門医でなくとも、抗がん剤の副作用や合併症に対応しなければなりません。今回は一般内科医でも是非知っておいてほしい、経過観察してはいけないがんの緊急症について解説します!第15回 緩和ケア 最終回はがん診療においては必須となる緩和ケア。とくに疼痛治療の要となるオピオイドについて、開始方法や副作用を説明します。一般内科でも疼痛ケアや術後のフォローなどを行う機会が増えています。これだけは知っておきたい緩和ケア知識をぜひチェックしてください。

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