同種HSCT後の気流低下、アジスロマイシンで抑制できるか/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/22

 

 造血器腫瘍のため同種造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者において、アジスロマイシンの早期投与はプラセボ投与と比較して、気流低下(airflow decline)のない生存の達成は不良であったことが、多施設共同無作為化試験「ALLOZITHRO」の結果、示された。フランス・サン・ルイ病院のAnne Bergeron氏らがJAMA誌2017年8月8日号で報告した。同種HSCT後の閉塞性細気管支炎症候群は、罹患率および死亡率の増大と関連している。先行研究で、アジスロマイシンが、肺移植後の閉塞性細気管支炎症候群を減少する可能性が示唆されていた。

プラセボ対照無作為化試験でアジスロマイシン250mgを週3回、2年間投与
 アジスロマイシンの早期投与が、同種HSCT後の気流低下のない生存を改善するかどうかを調べたALLOZITHRO試験は、フランスの19大学の移植センターで行われた。被験者適格は、16歳以上で、造血器腫瘍のため同種HSCTを受けることになっており、移植前の肺機能検査結果が入手可能な患者とした。

 研究グループは、2014年2月~2015年8月に被験者の登録を行い、移植前治療が開始された日に、アジスロマイシン250mgを週3回、2年間受ける群またはプラセボを同様に受ける群に無作為に割り付けた。最終フォローアップは2017年4月26日。

 主要有効性エンドポイントは、無作為化後2年時点の気流低下のない生存とした。主な副次エンドポイントは、2年時点の全生存率および閉塞性細気管支炎症候群の発生率であった。

 なお、試験は登録開始後13ヵ月で、独立データ・安全モニタリングボードが、予期しなかった造血器腫瘍の再発を無作為化群全体で複数アンバランスに検出。試験治療は2016年12月26日で中止となった。

各エンドポイントのアウトカムは、プラセボ群より不良
 無作為化を受けたのは480例(アジスロマイシン群243例、プラセボ群237例)で、465例(97%)が修正intention-to-treat解析に包含された(平均年齢52歳[SD 14]、女性75例[35%])。

 データカットオフ時点で、104例(22%:アジスロマイシン群54例 vs.プラセボ群50例)で気流低下が認められた。死亡は138例(30%、アジスロマイシン群78例 vs.プラセボ群60例)であった。

 2年気流低下のない生存率は、アジスロマイシン群32.8%(95%信頼区間[CI]:25.9~41.7)、プラセボ群41.3%(同:34.1~50.1)であった(補正前ハザード比[HR]:1.3、95%CI:1.02~1.70、p=0.03)。

 閉塞性細気管支炎症候群を呈したのは22例(5%)で、うちアジスロマイシン群が15例(6%)、プラセボ群は7例(3%)であった(p=0.08)。また、アジスロマイシン群は死亡率が有意に高かった。2年生存率は同群56.6%(95%CI:50.2~63.7)に対しプラセボ群は70.1%(同:64.2~76.5)であった(補正前HR:1.5、95%CI:1.1~2.0、p=0.02)。

 事後解析において、造血器腫瘍再発の2年累積発生率は、アジスロマイシン群33.5%(95%CI:27.3~39.7)に対しプラセボ群は22.3%(同:16.4~28.2)であった(補正前特異的発生のHR:1.7、95%CI:1.2~2.4、p=0.002)。

 これらの結果を踏まえて著者は、「再発が認められ試験が早期終了となったため、結果は限定的である。再発に関連した有害性の可能性について、さらなる調査が必要だろう」と述べている。

(ケアネット)