地域の高齢者の健康寿命は果たして伸びているのか/Lancet

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 英国65歳高齢者の平均余命は、男女ともに4年以上延長したものの、そのうち自立した状態で生活できる期間は、男性で36.3%、女性ではわずか4.8%にすぎないことが明らかにされた。平均して男性は2.4年間、女性は3.0年間、かなりの介護を必要とし、その大半は地域で暮らしているという。英国・ニューカッスル大学のAndrew Kingston氏らが、英国3地域の高齢者データベースに基づく、調査期間の異なる2つの試験CFAS(Cognitive Function and Ageing Studies)IとIIを比較して明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月15日号で発表した。同国の高齢者世代の自立度が変わっているのかは、ほとんど明らかになっていなかったという。

高齢者を4段階の自立度に分け、各段階の生存年数を予測
 研究グループは、英国のケンブリッジシャー、ニューカッスル、ノッティンガムの3地域の一般診療所に登録されている65歳以上の高齢者について、1991年と2011年に行われた、認知機能と高齢化に関する試験「CFAS I」「CFAS II」の結果を比較した。

 同試験では、被験者に聞き取り調査を行い、社会人口学的特性、認知状態、尿失禁の有無、日常生活動作(ADL)能力に関する自己報告などの情報が集められた。また、被験者の自立度について、24時間ケアを必要とする「高度要介護」、毎日ケアを必要とする「中等度要介護」、毎日はケアを必要としない「軽度要介護」、それ以外の「自立」の4段階のグループに分け、各群の有病率予測値を割り出した。また、各段階での生存年数については、サリバン法で算出した。

 将来の社会的介護の需要予測として、各要介護度の年齢・性別による割合を、2014年の英国人口を基に算出して評価した。

余命延長分のうち、自立期間は男性37%、女性5%
 1991年から2011年にかけて、65歳以上の高齢者が「軽度要介護」で過ごす年数は、男性で1.7年(95%信頼区間[CI]:1.0~2.4)、女性で2.4年(同:1.8~3.1)、それぞれ増加した。「高度要介護」で過ごす年数も、男性で0.9年(同:0.2~1.7)、女性で1.3年(同:0.5~2.1)、それぞれ増加した。

 1991年から2011年にかけて、65歳時点での男性の平均余命は4.7年、女性は4.1年、いずれも増加した。同増加分の期間のうち、男性は36.3%を「自立」で、36.3%を「軽度要介護」の状態で過ごす一方で、女性は58.0%を「軽度要介護」で過ごし、「自立」で過ごすのはわずか4.8%の期間であった。

 また、「中等度要介護」「高度要介護」の状態で、介護施設に入所する人の割合がCFAS II試験結果の状況で継続すると仮定した場合、2025年までに、英国内で7万1,215ヵ所の介護施設の増加が必要になると試算された。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

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