暑さ寒さで心血管死リスクはどの程度上昇するか

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/22

 

 暑さや寒さへの曝露が心血管死亡リスクにどの程度影響しているのかについて、テヘラン医科大学のMohammad Taghi Moghadamniaらが系統的レビューとメタ解析で調べた。PeerJ誌2017年8月4日号に掲載。

 本研究では、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses (PRISMA)ガイドラインの優先報告項目に基づいて系統的レビューとメタ解析を行った。著者らは、MEDLINE、Web of Science、Scopusデータベースで、気温と心血管死亡率に関する2000年1月~2015年末の研究を検索し、統合された短期的効果の大きさについて、高温曝露と寒冷曝露で別々に計算した。また、メタ回帰により、緯度、経度、曝露から死亡までのlag(日)、年平均気温について、それぞれの単位当たりの変化による気温と心血管死亡率の用量反応関係を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・タイトル・抄録・全文を審査し、計26報のメタ解析を行った。
・心血管死亡率は、寒冷曝露で5%(相対危険度[RR]:1.055、95%信頼区間[CI]:1.050~1.060)、高温曝露で1.3%(RR:1.013、95%CI:1.011~1.015)増加した。
・男性の心血管死リスクに対する寒冷および高温曝露の短期的影響は、それぞれ3.8%(RR:1.038、95%CI:1.034~1.043)、1.1%(RR:1.011、95%CI:1.009~1.013)であった。
・女性の心血管死リスクに対する寒冷および高温暴露の短期の影響は、それぞれ4.1%(RR:1.041、95%CI:1.037~1.045)、1.4%(RR:1.014、95%CI:1.011~1.017)であった。
・高齢者では、高温および寒冷の曝露で心血管死リスクの増加はそれぞれ8.1%、6%であった。
・lagについては、寒冷曝露での心血管死リスクは14日で最大(RR:1.09、95%CI:1.07~1.010)であり、高温曝露では7日で最大(RR:1.14、95%CI:1.09~1.17)であった。
・寒冷暴露では、緯度・経度と心血管死リスクの間に有意な用量反応関係がみられ、緯度および経度が1度上がるごとに、それぞれ心血管死リスクが0.02%(95%CI:0.006~0.035)、0.007%(95%CI:0.0003~0.014)、有意に上昇した。
・高温曝露では、緯度が上がるにつれて心血管死リスクが増加した(0.07%、95%CI:0.0008~0.124)。

(ケアネット 金沢 浩子)