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ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。ストレス関連障害曝露群を、適合非曝露群および兄弟姉妹群と比較 研究グループは、1981年1月1日~2013年12月31日に、スウェーデン生まれの住民を対象とした集団および兄弟姉妹適合後ろ向きコホート研究を行い、ストレス関連の障害が自己免疫疾患発症と関連しているかを調べた。コホートには、ストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、およびその他のストレス障害)と診断された10万6,464例(曝露群)と、それら診断歴のない適合集団106万4,640例(非曝露群)および曝露群の兄弟姉妹12万6,652例が含まれた。 ストレス関連障害と自己免疫疾患は、全国患者登録で特定した。また、Coxモデルを用いて、ストレス関連障害の診断後1年超で発症が認められた41の自己免疫疾患に関するハザード比(HR)を、多数のリスク因子で調整して、95%信頼区間(CI)とともに算出した。非曝露群と比較した曝露群の自己免疫疾患リスクのハザード比は1.36 ストレス関連障害と診断された年齢中央値は41歳(四分位範囲:33~50)、曝露群の男性の比率は40%であった。 平均追跡期間10年間の自己免疫疾患罹患率は、1,000人年当たり、曝露群9.1、非曝露群6.0、兄弟姉妹群6.5であった。曝露群の、非曝露群に対する絶対率差は3.12(95%CI:2.99~3.25)、兄弟姉妹群に対する同差は2.49(95%CI:2.23~2.76)であった。 非曝露群と比較して、ストレス関連障害患者では、自己免疫疾患のリスクが高かった(HR:1.36、95%CI:1.33~1.40)。また、PTSD患者のHRは、あらゆる自己免疫疾患の発症リスクが1.46(95%CI:1.32~1.61)であり、複数(≧3)の自己免疫疾患のリスクは2.29(95%CI:1.72~3.04)であった。 これらの関連性は、兄弟姉妹ベースの比較においても認められた。 相対リスクの上昇は、若年患者群においてみられることが確認された。HR(95%CI)は、≦33歳群で1.48(1.42~1.55)、34~41歳群1.41(1.33~1.48)、42~50歳群1.31(1.24~1.37)、≧51歳群1.23(1.17~1.30)であった(相互作用のp<0.001)。 なお、PTSD診断後1年間にSSRI薬を服用していた場合、服用継続期間が長いほど自己免疫疾患発症リスクの有意な低下が認められた。HR(95%CI)は、≦179日では3.64(2.00~6.62)、180~319日では2.65(1.57~4.45)、≧320日では1.82(1.09~3.02)であった(傾向のp=0.03)。

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気持ちはわかるがもったいない臨床試験!(解説:後藤信哉氏)-878

 世の中の活動には、税金を使うpublic sectorと個人の投資によるprivate sectorがある。特許が切れていない新薬、医療デバイスなどを用いた試験は、試験の結果により大儲けするスポンサーがあるのでprivate sectorである(日本のAMEDにはpublicとprivateの混同があると筆者は思う)。スポンサーは投資であるから、儲けにつながる結果を得たい。その気持ちはすごくわかる。ランダム化比較試験による仮説検証は、巨大なビジネスであるとともに大切な臨床科学でもある。本試験の仮説は臨床的にきわめて重要である。スポンサーの気持ちもわかるし、試験のルールもわかるけれども、本研究は仮説が魅力的であるだけに最後まで施行してほしかった。 自然発症の心筋梗塞などの血栓イベントは、世界的に減少している。しかし、入院して、心臓とは関係ない臓器の手術を受けた後にはイベントが増える。このメカニズムは現時点ではわからない。「抗血栓薬が非心臓手術後の心筋梗塞を減らす」との仮説は、この領域の研究を本気で始めるべきか否かの判断に影響を与える重要な仮説であった。本研究では、この仮説が正しそうな雰囲気を出したところで止めてしまった。 「血栓イベントを減らし出血イベントを増やさなかった」との宣伝情報ができた時点で止めたい気持ちはわかる。でも最後まで継続してほしかった。private sectorでは損になる投資をするアホはいない。損になりそうな空気が出たら止めるのが、経済的判断としては正しい。臨床試験において医師・研究者グループとスポンサーには多くの共通の利害があるが、本研究のような試験では共通の利害を最後まで継続することが困難なのであろう。医療の標準を決める臨床試験がprivate sectorであるとの欧米の理解よりも、AMEDを作った日本のpublic/private混在モデルのほうが、この研究などにはいいのかもしれない。

21003.

第3回 意識障害 その3 低血糖の確定診断は?【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+10のルールのうち低血糖に注目この症例は前回お伝えしたとおり、左中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症でした。誰もが納得する結果だと思いますが、脳梗塞には「血栓溶解療法(rt-PA療法)」、「血栓回収療法」という時間に制約のある治療法が存在します。つまり、迅速に、そして正確に診断し、有効な治療法を診断の遅れによって逃すことのないようにしなければなりません。頭部CT、MRIを撮影すれば簡単に診断できるでしょ?! と思うかもしれませんが、いくつかのpitfallsがあり、注意が必要です。今回も“10’s Rule”(表1)にのっとり、説明していきます1)。今回は5)からです。画像を拡大する●Rule5 何が何でも低血糖の否定から! デキスタ、血液ガスcheck!意識障害患者を診たら、まずは低血糖を除外しましょう。低血糖になりうる人はある程度決まっていますが、緊急性、簡便性の面からまず確認することをお勧めします。低血糖の時間が遷延すると、低血糖脳症という不可逆的な状況となってしまうため、迅速な対応が必要なのです。低血糖によって片麻痺や失語を認めることもあるため、侮ってはいけません2)。低血糖の診断基準:Whippleの3徴(表2)をcheck!画像を拡大する低血糖と診断するためには満たすべき条件が3つ存在します。陥りがちなエラーとして血糖は測定したものの、ブドウ糖投与後の症状の改善を怠ってしまうことです。血糖を測定し低いからといって、意識障害の原因が低血糖であるとは限りません。必ず血糖値が改善した際に、普段と同様の意識状態へ改善することを確認しなければなりません。血糖低値と低血糖は似て非なるものであることを理解しておきましょう。低血糖の原因:臭いものに蓋をするな!低血糖に陥るには必ず原因が存在します。“Whippleの3徴”を満たしたからといって安心してはいけません。原因に対する介入が行われなければ再度低血糖に陥ってしまいます。低血糖の原因は表3のとおりです。最も多い原因は、インスリンやスルホニルウレア薬(SU薬)など血糖降下作用の強い糖尿病薬によるものです。そのため使用薬剤は必ず確認しましょう。画像を拡大するるい痩を認める場合には低栄養、腹水貯留やクモ状血管腫、黄疸を認める場合には肝硬変(とくにアルコール性)を考え対応します。バイタルサインがSIRS(表4)やqSOFA(表5)の項目を満たす場合には感染症、とくに敗血症に伴う低血糖を考えフォーカス検索を行いましょう(次回以降で感染症×意識障害の詳細を説明する予定です)。画像を拡大する画像を拡大する低血糖の治療:ブドウ糖の投与で安心するな!低血糖の治療は、経口が可能であればブドウ糖の内服、意識障害を認め内服が困難な場合には経静脈的にブドウ糖を投与します。一般的には50%ブドウ糖を40mL静注することが多いと思います。ここで忘れてはいけないのはビタミンB1欠乏です。ビタミンB1が欠乏している状態でブドウ糖のみを投与すると、さらにビタミンB1は枯渇し、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群を起こしかねません。ビタミンB1が枯渇している状態が考えられる患者では、ブドウ糖と同時にビタミンB1の投与(最低でも100mg)を忘れずに行いましょう。ビタミンB1の成人の必要量は1~2mg/日であり、通常の食事を摂取していれば枯渇することはありません。しかし、アルコール依存患者のように慢性的な食の偏りがある場合には枯渇しえます。一般的にビタミンB1が枯渇するには2~3週間を要するといわれています。救急外来などの初療では、患者の背景が把握しきれないことも少なくないため、アルコール依存症以外に、低栄養状態が示唆される場合、妊娠悪阻を認める患者、さらにはビタミンB1が枯渇している可能性が否定できない場合には、ビタミンB1を躊躇することなく投与した方が良いでしょう。ウェルニッケ脳症はアルコール多飲患者にのみ発症するわけではないことは知っておきましょう(表6)。画像を拡大するそれでは、いよいよRule6「出血か梗塞か、それが問題だ!」です。やっと頭部CTを撮影…というところで今回も時間がきてしまいました。脳卒中や頭部外傷に伴う意識障害は頻度も高く、緊急性が高いため常に考えておく必要がありますが、頭部CTを撮影する前に必ずバイタルサインを安定させること、低血糖を除外することは忘れずに実践するようにしましょう。それではまた次回!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中!. 中外医学社;2015.2)Foster JW, et al. Stroke. 1987;18:944-946.コラム(3) 「くすりもりすく」、内服薬は正確に把握を!高齢者の多くは、高血圧、糖尿病、認知症、不眠症などに対して定期的に薬を内服しています。高齢者の2人に1人はポリファーマシーといって5剤以上の薬を内服しています。ポリファーマシーが悪いというわけではありませんが、薬剤の影響でさまざまな症状が出現しうることを、常に意識しておく必要があります。意識障害、発熱、消化器症状、浮腫、アナフィラキシーなどは代表的であり救急外来でもしばしば経験します。「高齢者ではいかなる症状も1度は薬剤性を考える」という癖を持っておくとよいでしょう。また、内服薬はお薬手帳を確認することはもちろんのこと、漢方やサプリメント、さらには過去に処方された薬や家族や友人からもらった薬を内服していないかも、可能な限り確認するとよいでしょう。お薬手帳のみでは把握しきれないこともあるからです。(次回は7月25日の予定)

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第7回 チーム医療における薬剤師の役割とは・・・【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。参加している緩和ケア委員会からの宿題「チーム医療における薬剤師の必要性」。ずーーーっと悩んでいました。そして当日。遅刻しました...。在宅訪問が長引いてしまい、間に合わないーーー!と電動自転車を飛ばして戻ると、薬局の2階にある無菌室前に委員会メンバーがずらり。そう、今日は薬剤師が主役なのです!薬局で初めて開催されることになった緩和ケア委員会。やっと、やっと、チームのメンバーに薬局内を見てもらえました。まずは... 1. 薬局設備の見学と説明無菌室の説明、無菌調製の流れをiPadで撮影した写真とともに説明していきます。当薬局では原則フィルター使用ですが、その除去率などもお伝えしました。続いて、やってきました!前回委員会に頂いたお題、頭の片隅に常にある思い、そして発表までのもやもやした緊張感...さあ、解放される時です!つぎに... 2.チーム医療における薬剤師の役割について~現状の報告と展望~薬局からは、「外来での緩和ケア関連の対応について」「在宅訪問での対応について」の2テーマを発表しました。具体的には...。外来での緩和ケア関連の対応について限られた投薬時間での、緩和ケア、抗がん薬や医療用麻薬(以下、麻薬)の管理、外来と在宅の連携(訪問専任の私がレスキューのコンプライアンス不良をご自宅に訪問した際に確認し、窓口に薬を取りに来た家族への服薬指導により改善を図った症例)などこの症例は、主治医より服薬指導依頼があったのですが、ご本人から「外来に通えているし、必要ない」、「お金がかかる」と言われ訪問薬剤管理指導は入っていませんでした。しかし、Performance Status と麻薬使用量が合わないなど主治医も違和感をもっており、気にしていました。そんな中、薬局で麻薬の在庫が足りなくなったので、これはチャンス!とお渡しできなかった分の麻薬を持って、お宅に訪問しました。ゆっくりとお話ししたことで、コンプライアンス不良が判明。麻薬の貼付薬を貼ったり貼らなかったり、体調が悪化すると数枚貼ったり...。「医療費が高くて...」と。もちろん主治医に伝えることもなく、「大丈夫」と言い続けた結果、痛みの評価がきちんとできていないこともわかりました。患者さんのコンプライアンス不良の原因、改善案(貼付薬から薬価の低い内服への変更)を主治医に伝えたところ、疼痛管理ノートが開始され、ご家族も認識を深め、のちの外来での指導もうまくいくと感じていました。その後、ご本人の体調が悪化し、奥様と診療所を緊急受診され、主治医に診察室に呼ばれました。介護申請もしていませんでしたので、診療所所属のケアマネさんが呼ばれ、今後の方針などについて、その場で調整、麻薬の処方量調節、そして訪問服薬指導が始まりました。発表しながら当時のことを思い出し、薬局から急いで診療所に向かい、緊張した記憶がよみがえりました。在宅訪問での対応について薬、在宅とは、現在の業務内容と今後取り組むべきこと薬局の外に出て分かったことを中心に発表しました。療養者の生活と服薬できていない現実生活や環境を考慮した服薬管理の重要性を認識したこと上記に基づく処方提案や残薬管理、OTCや栄養も含めた指導(服薬指導の拡大)、療養者や家族と一緒に考える姿勢(協働)を持ち、薬物治療に主体的に関わることチームにフィードバックすることで治療やケアの向上=QOL維持に貢献することができること!参加メンバーは、うんうん、と頷きながら発表を聞いていました。その間も、医師や看護師さんのPHSが鳴り、指示が飛びます。医療介護に休みはなし。ケアマネさんが「色々あるんやね~」とポツリ...。窓口からは見えてこない薬剤師業務をイメージしていただけたようです。お互いの認識を深め、さらなる相乗効果を生み出すための一歩になったかな。最後に、所長より最後に、所長より「現状と問題点の把握」として、外来緩和ケアについての問題提起がありました。外来緩和ケアは患者と医者だけになってしまい、情報共有が難しい。緩和ケア外来などの時間がつくれるか?緩和ケアのためのメーリングリストを開始してみてはどうか?などなど。よりよい医療を提供するための方法をみんなで考えていく...。「じゃあ今日はこれで終わり、その前に...」所長の言葉に皆、注目「今回から、正式に薬局スタッフを緩和ケア委員会のメンバーとします」そう、今まで、オブザーバーとしての参加でした。診療所の受付にオレンジサークル※を見つけたとき、理事長に委員会を見学したい、とお願いしたとき、緩和ケア委員長(所長)がいつでもどうぞ、と迎えてくれた日、カタカナ専門用語が飛びかう中、必死にメモして調べて...。病院薬剤師を経験したことのない私にとって、学びの多い、幸せな日々の連続でした。ぞろぞろ薬局から、病棟、外来・・・と戻って行くメンバーたち。2階の窓からメンバーを見送った後。来月の委員会も気を引き締めて行くぞーっ!と決意を新たにしたのでした。「オレンジサークル」とは、"がんの痛みを取り除くことで、患者さんが、がんそのものと取り組む気力や体力を得る" という考え方を実践する医療チームの活動をサポートするJPAP®(JapanPartners Against Pain®)の取り組みで、医療チームからの登録申し込みに基づきJPAP®が認定している。

21005.

1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か~鳩山/草津コホート研究

 毎日普通乳を飲む習慣が、高齢者におけるサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。東京都健康長寿医療センター研究所の成田 美紀氏らが、日本の地域在宅高齢者を対象に、牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連を検討したコホート研究により明らかにしたもの。第60回日本老年医学会学術集会(2018年6月14日~16日)において発表された。 本研究の対象は、鳩山コホート研究の2012年追跡調査対象者、および草津町研究の2013年高齢者健診受診者のうち、70歳以上でかつ簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食品摂取調査を行い、有効回答を得た810例(鳩山405例、草津405例)。牛乳の摂取状況は、普通乳あるいは低脂肪乳について、摂取頻度ごとに3群に分けて評価し、サルコペニアの診断にはAWGSの診断基準を用いた。 牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連性は、多重ロジスティックモデルを用いて解析し、性、年齢、対象地域、総エネルギー摂取量(BDHQから推定)に加え、BMI(21.5未満、21.5以上25.0未満、25.0以上)、生活習慣(飲酒、喫煙および運動の習慣)、食品摂取の多様性スコア(牛乳の摂取頻度以外)および既往症(脊椎系疾患、骨粗鬆症の有無)について調整した。 主な結果は以下のとおり。・サルコペニア罹患者の割合は10.4%であった。・牛乳の摂取頻度(毎日1回以上、毎日1回未満、飲まない)の割合は、普通乳でそれぞれ52.9%、28.5%、18.6%、低脂肪乳で18.1%、16.4%、65.5%であった。・多変量解析の結果、普通乳を「飲まない」群に対する「毎日1回未満」と「毎日1回以上」の摂取群のサルコペニア保有リスク(多変量調整オッズ比)は、それぞれ0.47(95%信頼区間[CI]:0.22~1.03、p=0.059)、0.41(95%CI:0.20~0.83、p=0.013)となり、「毎日1回以上」摂取群で有意に低かった。・同じく低脂肪乳については、オッズ比はそれぞれ0.82(95%CI:0.36~1.85、p=0.627)、0.54(95%CI:0.20~1.47、p=0.225)であった。・サルコペニア罹患と有意な関連がみられたほかの要因は、高年齢1.16(95%CI:1.11~1.22、p<0.001)、BMI低値2.78(95%CI:1.56~4.96、p=0.001)、BMI高値0.41(95%CI:0.17~0.97、p=0.041)および脊椎系疾患の既往2.05(95%CI:1.08~3.91、p=0.029)であった。 発表者の成田氏は、「普通乳を飲む頻度が高い人では、総エネルギー摂取量や体重1kg当たりのタンパク質量が多く、PFC比におけるタンパク質・脂質比が上昇し、炭水化物比が減少している傾向がみられた。縦断研究で検証していく必要があるが、普通乳を毎日1回以上摂取することは、サルコペニア罹患に防御的であることが示唆された。高齢期における乳・乳製品の継続的な摂取は、筋肉量や身体機能の低下を抑制する可能性がある」とまとめた。

21006.

治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究

 うつ病の治療では、しばしばその後の介入が必要となる。抗うつ薬治療により寛解が得られない患者は、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)といわれる。どのような患者がTRDを発症するか予測することは、医療従事者がより効果的な治療を決定するうえで重要である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、医療保険データベースを用いて、実臨床におけるTRDの予測因子の特定を試みた。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月22日号の報告。 本レトロスペクティブコホート研究は、躁病、認知症、精神病の診断のない新たにうつ病と診断された成人患者を対象に、米国医療保険データベースを用いて実施した。抗うつ薬投与日をインデックス日とした。アウトカムはTRDとし、その定義は、インデック日から1年以内に3種類以上の抗うつ薬治療または抗うつ薬治療後の抗精神病薬治療を行った場合とした。予測因子は、年齢、性別、医学的症状、医薬品、インデック日から1年前の対処とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者23万801例のうち、1年以内にTRDが認められた患者の割合は10.4%であった。・ベースライン時のTRD患者は非TRD患者より若い傾向にあり、18~19歳の割合は10.87% vs.7.64%であった(リスク比=1.42、95%CI:1.37~1.48)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に不安障害を有する可能性がより高かった(リスク比:1.38、95%CI:1.35~1.41)。・疲労感が、最も高いリスク比を示した(リスク比:3.68、95%CI:3.18~4.25)。・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛がより頻繁に認められた。 著者らは「新規にうつ病と診断され治療を受けた患者の10%において、1年以内にTRDが認められた。TRD患者は、非TRD患者よりも若く、疲労感、物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛をより頻繁に有していた」としている。■関連記事リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

21007.

ダビガトランが非心臓手術後心筋障害の合併症リスク抑制/Lancet

 非心臓手術後心筋障害(MINS:myocardial injury after non-cardiac surgery)を呈した患者に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)110mgの1日2回投与が、重大出血の有意な増大を認めることなく主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞など)のリスクを抑制することが、カナダ・マックマスター大学のP J Devereaux氏らによる国際無作為化プラセボ対照試験「MANAGE試験」の結果、明らかにされた。ダビガトランは周術期静脈血栓塞栓症を予防するが、MINS患者の血管合併症に有用であるかはこれまで検討されていなかった。MINS患者は世界で年間800万人に上ると推計され、術後2年間に心血管合併症や死亡リスクの増大が認められている。著者は今回の結果を受けて、「ダビガトラン110mgの1日2回投与により、それら患者の多くを助ける可能性が示された」とまとめている。Lancet誌2018年6月9日号掲載の報告。19ヵ国84病院で、ダビガトラン110mgの1日2回経口投与 vs.プラセボ ダビガトランの主要血管合併症の抑制効果を検討するMANAGE試験は、19ヵ国84病院から、45歳以上で非心臓手術後35日以内にMINSを呈した患者を登録して行われた。 被験者を無作為に1対1の割合で、ダビガトラン110mgを1日2回経口投与する群、または適合プラセボ投与を受ける群に割り付け、投与は最長2年間または試験終了までとした。また、MANAGE試験では部分的2×2ファクトリアルデザイン法が用いられ、プロトンポンプ阻害薬の非服用患者を、オメプラゾール20mgを1日1回投与する群、または適合プラセボ投与を受ける群に1対1の割合で割り付け、主要上部消化管合併症への効果の評価も行われた。無作為化は、試験担当者によって中央施設の24時間コンピュータ無作為化システムを利用したブロック無作為化、層別化が行われ、患者、医療従事者、データ収集者、アウトカム判定者は、治療割付をマスキングされた。 主要有効性アウトカムは、主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞、非出血性脳卒中、末梢動脈血栓症、下肢切断、症候性静脈血栓塞栓症)の発生で、主要安全性アウトカムは、致命的・重大・重要臓器出血の複合で、intention-to-treat法に基づき解析が行われた。主要血管合併症の発生ハザード比は0.72、ダビガトラン群で有意に減少 2013年1月10日~2017年7月17日に、1,754例がダビガトラン(877例)またはプラセボ(877例)の投与を受けた。平均年齢はともに70歳、男性はそれぞれ52%、51%。MINSの診断基準は、両群とも80%がトロポニン値評価によるものだった。MINSの診断は術後1日、無作為化は診断後5日に行われた。MINS発症前の手術タイプは整形外科が両群とも最も多かった(38%、39%)。 試験薬の投与は、ダビガトラン群401/877例(46%)で、プラセボ群380/877例(43%)で中断となった。投与期間中央値は、ダビガトラン群80日(IQR:10~212)、プラセボ群41日(6~208)。中断とならなかった患者の投与期間中央値は、それぞれ474日(237~690)、466日(261~688)であった。 主要有効性アウトカムの発生は、ダビガトラン群(97/877例[11%])がプラセボ群(133/877例[15%])よりも有意に少なかった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.55~0.93、p=0.0115)。 主要安全性複合アウトカムは、ダビガトラン群29例(3%)、プラセボ群31例(4%)で発生した(HR:0.92、95%CI:0.55~1.53、p=0.76)。 なお、オメプラゾールに関する割り付けが行われた患者は556例。結果は別途報告される予定という。

21008.

こどもとおとなのワクチンサイトが完成

 2018年6月17日に乳児から高齢者まで、全年齢向けのワクチン・予防接種の総合情報サイト「こどもとおとなのワクチンサイト」(http://vaccine4all.jp/)が公開された。このサイトは、日本プライマリ・ケア連合学会の内部組織であるワクチンプロジェクトチーム(リーダー:中山 久仁子氏[マイファミリークニック蒲郡 理事長・院長 ]、担当理事:岡田 唯男氏[亀田ファミリークリニック館山 院長])に所属するワクチン・予防接種に関心が深い家庭医・総合診療家庭医が中心となり、執筆・編集したもの。 同サイトの設置・公開については、6月16日より開催されていた同学会の第9回学術大会(三重県津市)内で正式に発表された。不足する全世代に渡るワクチン情報を網羅 ワクチンプロジェクトチーム(以下「PT」と略す)は、家庭医・総合診療医で構成され、ワクチンで予防できる病気(ワクチン予防可能疾患:vaccine preventable disease[VPD])を減らすことを目的に、ワクチンと予防接種の普及啓発を行っている。 今回、サイト設置の背景には、先進国並みに近付いたわが国のワクチンの認可数、定期接種数の増加に伴い、臨床現場の医療従事者のみならず保護者や一般市民にとっても深く広いワクチンの知識が求められる時代となったことを指摘。また、定期接種化される前の世代への追加予防接種(キャッチアップ)の必要性、海外渡航前のワクチン接種の重要性など定期接種以外の知識や技能も欠かせないと説明する。 こうした環境の中、全世代のワクチン・予防接種について包括的に網羅した情報源はいまだ乏しいとされ、PT活動の一環として同サイトが設置・公開された。小児のみならず成人のワクチンスケジュール情報も記載 同サイトは、「ワクチンと病気について」「ワクチンのおはなし」「こども、おとな、全年齢での接種スケジュール」「最近のトピックス」で構成され、たとえば「ワクチンと病気について」では、B型肝炎、ロタウイルスをはじめ24種が現在紹介されているほか、詳細なワクチン情報として医療従事者、妊娠可能女性・妊婦、渡航者、特別な状況(HIV感染者など)、年齢で見る・不足しているワクチンの5つに分類して記載されている。 また、同サイトは、次の方針で運営される。・一般市民と医療従事者の双方をターゲットユーザとする・乳児期から高齢世代まで、海外渡航前や妊娠・授乳中など、あらゆる世代や人口集団を対象とした、包括的なワクチン・予防接種の情報源となる・ワクチン・予防接種に関する良質な医学的エビデンスに基づき、科学的に妥当な情報発信を行う・一般市民と医療従事者の、ワクチン・予防接種についての心配や疑問などを軽減ないし解消すべく、ワクチンコミュニケーションに関する情報提供や普及啓発も行う PTでは、このサイトを通じて「一般市民と医療従事者の双方に、全世代向けワクチン・予防接種の的確な情報を幅広く伝え、VPDがさらに減少することを目指し、適切なサイト運営と情報発信を続けていく」とコメントしている。■参考「こどもとおとなのワクチンサイト」

21009.

オゼノキサシン1%クリーム、膿痂疹に有効

 オゼノキサシンは、グラム陽性菌への強い殺菌的な抗菌作用を示す新規局所抗菌薬で、接触感染で広まる皮膚の細菌感染症である膿痂疹に対する治療薬として、1%クリーム剤が開発された。米国・ベイラー医科大学のTheodore Rosen氏らは、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、オゼノキサシン1%クリームが生後2ヵ月以上の膿痂疹患者に有効で、安全性と忍容性も良好であることを報告した。著者は、「オゼノキサシンクリームによる治療は、膿痂疹の新しい治療の選択肢となる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。 研究グループは、膿痂疹におけるオゼノキサシン1%クリームの有効性、安全性および忍容性を評価する目的で、2014年6月2日~2015年5月30日に6ヵ国で登録された患者に対し無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。この結果は、2015年7月9日~22日に解析された。 対象は、膿痂疹に感染した生後2ヵ月以上の乳幼児を含む小児および成人患者411例(男性210例[51.1%]、平均年齢18.6[SD 18.3]歳)で、オゼノキサシン群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、1日2回5日間塗布した。有効性、安全性および忍容性は、Skin Infection Rating Scaleと微生物培養を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。・5日後の臨床的な治療成功率は、オゼノキサシン群がプラセボ群より有意に高かった(206例中112例[54.4%]vs.206例中78例[37.9%]、p=0.001)。・2日後の微生物学的な治療成功率もまた、オゼノキサシン群がプラセボ群より有意に高かった(125例中109例[87.2%]vs.119例中76例[63.9%]、p=0.002)。・オゼノキサシン群は忍容性が高く、206例中8例で有害事象が報告されたが、オゼノキサシンによる治療と関連があったのは1例のみで、重篤な有害事象はみられなかった。

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CABG後もSAPTよりDAPTが優れている?(解説:上田恭敬氏)-879

 SVGを用いた待機的CABG症例を対象とし、術後の抗血小板療法をチカグレロル+アスピリン併用(DAPT)、チカグレロル単独、アスピリン単独の3群に無作為に割り付け、1年後のSVG開存を主要評価項目としたRCTの結果が報告された。SVGの開存はCTあるいはCAGによって評価された。 本試験では、中国の6施設において500症例が、チカグレロル+アスピリン併用(168症例)、チカグレロル単独(166症例)、アスピリン単独(166症例)の3群に割り付けられた。主要評価項目である1年時点でのSVG開存率は、チカグレロル+アスピリン併用群で88.7%とアスピリン単独群の76.5%より有意に高値であったが、チカグレロル単独群の82.8%はアスピリン単独群と統計的に差を認めなかった。 出血性イベントについては、軽度のものまで含めるとチカグレロル+アスピリン併用群で頻度が多いように思われたが、出血性イベントおよびMACE(composite of cardiovascular death, nonfatal myocardial infarction, or nonfatal stroke)を統計的に比較するには症例数が少な過ぎたと結論している。 以上より、本研究で示されたことは、「CABG後1年でのSVG開存率がアスピリン単独群よりもチカグレロル+アスピリン併用群で有意に高かった」ということで、MACEや出血性イベントの違いについては十分評価できなかったということになる。しかし、試験がオープンラベルで行われたこともlimitationとして指摘されており、エビデンスとして確立するためには、今回の結果をより大規模のRCTで検証する必要がある。PCI後の抗血栓療法において、DAPT vs.SAPTが活発に議論されているが、CABG後においても、今後同様の議論が展開されるべきであろう。そのためには、CABG症例を対象としたさまざまなRCTが実施される必要がある。

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015)学会でありがちなこと【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第15回 学会でありがちなことしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆日本皮膚科学会の総会は、毎年6月頃に開催されるので、これに関連して、「学会あるある」を漫画にしてみました☆皮膚科の専門医制度は、ポイント(単位)取得制です。ということで、学会に参加したら「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずカード(=参加登録)」は必須任務!!会員証(カード)を機械に通して参加費を払ったら、自動的にポイントが付与される仕組みです。とくに年1回の総会は、参加する先生方も多く(もらえるポイントも1番大きい)、昔馴染みの仲間が集まり、プチ同窓会的なシーンが繰り広げられることも・・・。(しかし、2018年度から新専門医制度への移行があり、カードを「ピッ」するだけで、単位取得が済む時代は終わりつつあります・・・。キビシイィ~!!)学会は何日間か開催されるので、各々で参加する日程はもちろん異なる訳ですが、開催地が、飛行機の本数が少ない地域だったりすると、さぁ大変!帰りは、決して広くない空港ラウンジで、各大学のグループと共に同じ飛行機を待ち、いざ搭乗の際には、並み居る教授の集団(ビジネスクラス)をすり抜けて、エコノミークラスまでたどり着かなければならないという・・・。「全員、皮膚科☆」という安易なテロップが、一瞬頭をよぎります。笑今年の総会は遠方で参加できなかったので、ぜひ、来年は参加したいデルぽんなのでした~☆それでは、また~!

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遺伝性ジストニア〔Dystonia〕

1 疾患概要■ 概念・定義ジストニアは、捻転性・反復性のパターンを持った異常な筋収縮により姿勢や動作が障害される病態と定義されているが、その本態は姿勢や自動運動など意識せずに遂行できる運動のプログラム単位の異常ということができる。(1)動作(または姿勢)特異性、(2)一定のパターンを持った動作である、(3)感覚トリックを有する(たとえば軽く健側の手で患側の手を触れることで症状が軽減するなど)という3点がそろう不随意運動である。過去には心因性疾患の1つとして捉えられることも多かったが、現在では基底核疾患の1つとされている。ジストニアを主徴として遺伝性を示す疾患には(1次性)遺伝性ジストニアと遺伝性神経変性疾患、遺伝性代謝疾患がある。遺伝性ジストニアは浸透率の低いものが多く、孤発性とみなされているものも多い。また、同じ遺伝子による病態であっても発症年齢などによる修飾が大きく同じ疾患と診断できない場合も多いとされている。■ 疫学難治性疾患研究の「ジストニアの病態と疫学に関する研究」研究班での調査によると、ジストニアの頻度は人口10万人あたり15~20例とされ、その中で遺伝性ジストニアの頻度は人口10万人あたり0.3例とされている。わが国における遺伝性ジストニアではDYT5ジストニア(瀬川病)の頻度が最も高く、次いでDYT1ジストニアが多いとされている。確定診断は遺伝子診断で行うが、「神経疾患の遺伝子診断ガイドライン2009」(日本神経学会)に示された手順に準じて行う必要がある。■ 病因ジストニアの発症メカニズムとしては、特定の姿勢や自動運動に際して不必要な筋の活動が見られ、基底核運動ループの筋を収縮させる直接路とその周辺の筋を抑制する間接路のバランスの破綻が想定されている。同じ基底核疾患であるパーキンソン病が、ドパミンの相対的な欠乏によって運動が遅く、小さくなるのと逆であるといえる。ジストニアにおいて、遺伝性ジストニアと孤発性ジストニアの原因がどう異なっているかは、まだ解明されていない。よって、両者の区分も実際は非常に難しく、遺伝性の判別が比較的容易であった発症年齢の若いタイプのジストニアから順に抽出され、定義され、遺伝性ジストニアというカテゴリーが確立されてきたといえる。よって、いまだ見出されていないタイプの遺伝性ジストニアが存在する可能性が示唆され、孤発性として分類されているものがあると予想される。■ 症状遺伝性ジストニアにおいて、DYTシリーズでは現在1~20まで分類があり、本稿では比較的頻度が高く、治療法の報告がある群を中心に症状を述べる。DYT1ジストニアは、全身性捻転性ジストニアで10歳前後の発症の場合に考慮すべきジストニアである。ジストニアが下肢か腕から始まり、全身に広がる。下肢発症の症例のほうが、より若年発症で全身に広がる頻度が高いといえる。進行により罹患部位の変形を来す。瀬川病(DYT5)は、わが国で発見されたドーパ反応性の遺伝性ジストニアで、常染色体優性遺伝形式をとるが不完全浸透で女性優位(4:1またはそれ以上)に発症する。家系により遺伝子変異部位は異なる。発症年齢は10歳以下が多く、下肢ジストニアで発症し、歩行障害を示す。体幹捻転の要素はない。尖足、内反尖足などの足の変形が多い。著明な日内変動を示し、昼から夕方にかけて症状が悪化し、睡眠によって改善する。固縮、姿勢時振戦があり低用量のL-dopaにより著明に改善する。DYT8ジストニア(発作性非運動誘発性ジスキネジア1)は、不完全浸透の常染色体優性遺伝であり、小児期に発症する。非運動誘発性の発作性のジストニア、舞踏アテトーゼが症状で、一側の上下肢に生じることが多いが、両側のことも体幹や顔面を含むこともある。アルコール・カフェイン摂取、緊張感、疲労などが誘因になるとされる。DYT10ジストニアは、反復発作性運動誘発性ジスキネジアであり、常染色体優性で小児期から成人期に発症する。急激な随意運動に伴って発作性のジストニアを一側の上下肢に生じ転倒する。両側のこともある。10~30秒で5分を超えない発作を1日に数十回~数日に1回の頻度で繰り返すとされる。DYT11ジストニアは、不完全浸透の常染色体優性遺伝で、小児期~青年期にミオクローヌスとジストニアを来す。ミオクローヌスは頸部、上肢に見られ、ジストニアは捻転ジストニア、頸部ジストニア、書痙などである。アルコールで著明に改善するとされており、精神科的異常を伴うことが多いとされる。DYT12ジストニアは、不完全浸透の常染色体優性遺伝であり、14~45歳に急性に発症し、数分~1ヵ月で症状は完成し、症状が固定するとされる。顔面口部に強いジストニアを呈する。肉体的あるいは心理的なストレスの後に発症する傾向がある。DYT18ジストニアは、小児期に発症する。運動練習、持続的な運動、とくに歩行の後でジストニア、舞踏アテトーゼ、バリスムなどの不随意運動を生じる。てんかん発作を伴うものが多い。頭部MRI検査で多系統萎縮症様の被殻尾側の異常所見やFDG-PET検査で異常側視床の取り込み低下を認める。■ 分類遺伝性ジストニアは、遺伝様式、ジストニアの発症年齢、全身性か局所性か、持続性か発作性かで分類される(表)。表 遺伝性ジストニアの分類I 1次性捻転ジストニア1)全身性ジストニアDYT1ジストニア、DYT2ジストニア、 DYT17ジストニア2)局所性・分節性ジストニアDYT4ジストニア、DYT6ジストニア、 DYT7ジストニア、DYT13ジストニアII ジストニア-パーキンソニズム1)ドパ反応性ジストニアDYT5ジストニア・DYT12ジストニア・DYT16ジストニア2)ミオクローヌスジストニアDYT11ジストニア・DYT15ジストニアIII 発作性ジストニアDYT8ジストニア・DYT9ジストニア・DYT10ジストニア・DYT18ジストニア・DYT19ジストニア・DYT20ジストニアIV 2次性ジストニア1)神経変性疾患(遺伝性神経変性疾患、遺伝性代謝性疾患に伴うジストニア)で頻度の高い疾患DYT3ジストニア・SCA1、2、3、17、PARK2、6、15、家族性痙性対麻痺、PANK(pantothenate kinase associated neurodegeneration)、有棘赤血球舞踏病、ハンチントン病、レーバー病、GM1ガングリオシドーシス、GM2ガングリオシドーシス(テイ・サックス病)、ニーマン・ピック病C型、レット症候群2)代謝性疾患ウィルソン病■ 予後ジストニア自体で生命が脅かされることはない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)先述のように、「神経疾患の遺伝子診断ガイドライン2009」(日本神経学会)に示された手順に準じて、確定診断は遺伝子診断で行う必要がある。DYT1は、常染色体優性遺伝で原因遺伝子は9q34の150kbの領域に位置しており、TorsinA遺伝子のアミノ酸コード領域中のCAG欠失が見出された。この変異がDYT1の原因である。DYT5は、日本の瀬川 昌也氏らによってはじめて報告された。常染色体優性遺伝をとるが不完全浸透で女性に多い。GCH1遺伝子上の機能喪失型変異によって引き起こされることがわかっている。GCH1遺伝子は、ドパミン合成速度を制御する機能を持つ。GCH1遺伝子の機能喪失型変異による酵素活性の不足は、黒質線条体のドパミン作用性ニューロンにおけるドパミン減少を導き、このようなドパミン減少によってジストニア症状が引き起こされていると推測されている。これまでGCH1遺伝子には60以上の異なった変異が報告されている。このような高い変異率が実現されるメカニズムはいまだ不明である。DYT8は、不完全浸透型の常染色体優性遺伝形式を示し、原因遺伝子はMR-1(MIM609023)である。DYT10の原因遺伝子はPRRT2(proline-rich transmembrane protein 2)である。DYT11は、不完全浸透型の常染色体優性遺伝形式を示し、病因遺伝子産物はSGCE(ε-sarcoglycan)で平滑筋、神経系に分布する。DYT12は不完全浸透型の常染色体優性遺伝形式を示し、原因遺伝子はATP1A3である。DYT18は常染色体優性遺伝形式を示し、原因遺伝子はSLC2A1である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)局所性ジストニアの場合は、ボツリヌス治療が第1選択となる。とくに眼瞼痙攣と痙性斜頸に対するボツリヌス治療は高いエビデンスがある。ボツリヌス治療以外の薬物治療としては、眼瞼痙攣などの顔面ジストニアに対しては塩酸トリヘキシフェニジル(商品名:アーテン、トレミン)などの抗コリン薬、クロナゼパム(同:リボトリール、ランドセン)、ジアゼパム(同:ダイアップ)などのベンゾジアゼピンの効果が報告されている。痙性斜頸に対しては抗コリン薬、クロナゼパムやジアゼパムなどのベンゾジアゼピン、バクロフェン(同:ギャバロン、リオレサール)などが使われる。重症例では脳深部刺激療法(DBS)も考慮される。書頸などの上肢ジストニアにおいても、他の局所ジストニアと同様の内服治療を行う以外に、神経ブロックなどが効果的な場合もあるが、有効性は低いといわれている。全身性ジストニアにおいても、特定部位の筋弛緩が生活の質の改善または合併症の進行予防にボツリヌス治療は有効である。また、DYT1は淡蒼球のDBSが著効を呈する。DYT5などのドパ反応性ジストニアは少量のL-dopa(同:ドパストン、ドパゾール)が劇的に奏効する。ボツリヌス毒素の筋肉注射治療は、大量反復投与では毒素に対する抗体産生が作用を無効化するため問題になる。なお、使用に当たっては講習会出席により得られる資格が必要である。4 今後の展望ジストニアに対するボツリヌス治療単独では、治療困難な例も多く、そのような治療抵抗性のジストニアに対しては薬物治療の併用がすすめられる。ゾルピデム(商品名:マイスリーほか)は不眠症などの治療に用いられるが、50~70mg/日という高濃度のゾルピデム治療が視床や視床下核のGABAA受容体に結合し、また淡蒼球にもなんらかの影響を及ぼす結果、大脳基底核-視床-大脳皮質運動野の経路を直接的に、あるいは間接的に改善することでジストニアの治療につながっている可能性があり、治療抵抗性のジストニアに対し、ゾルピデムによる治療も新たな治療方法として期待できる。5 主たる診療科神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 遺伝性ジストニア(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)梶龍兒ほか. 臨床神経. 2008;48:844-847.2)田宮元. Brain Nerve. 2005;57:935-944.3)長谷川一子. ジストニア. 中外医学社;2012.p.20-52.4)梶龍兒 編集. ジストニアのすべて―最新の治療指針. 診断と治療社;2013.p.93-94.公開履歴初回2018年06月26日

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装置での処方薬交付がOK! 「ピックアップターミナル」って何?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第3回

薬局の開局時間外の患者さん対応は、悩ましい問題の1つです。患者さんの不安や不便を解消してあげたい気持ちはあるけれど、従業員の勤務時間や業務量など、さまざまな問題が絡んでいるのが現状です。そんな時間外対応について、行政から新たな見解が示されました。経済産業省は11日までに、調剤薬局の営業時間外に、調剤済み医薬品を薬剤師や従業員ではなく専用の「装置」で患者に渡す新たなサービスについて、薬局管理者の義務を定めた医薬品医療機器法第8条の「規定に抵触しない」とする厚生労働省の見解を公表した。企業が実施したい事業が違法であるかどうかなどを個々に確認する「グレーゾーン解消制度」を通じ、事業者(非公表)から照会を受けていた。(RISFAX 2018年6月12日付)この「グレーゾーン解消制度」とは、事業者が新規事業を計画したけれど既存の規制に抵触するか不明確な場合に、事業が発展するという目的があれば、事業所管省庁を窓口として照会し、関連省庁に確認してもらえる制度です。今回の照会内容は、「薬剤師があらかじめ処方内容を監査、対面での服薬指導を実施した後、薬剤を自動搬入・払出装置に保管してピックアップターミナルを介して交付するサービスが医薬品医療機器等法第8条に抵触するかどうか」でした。つまり、対面ではなく装置を介した薬剤の交付の可否を確認しています。「直接の授与と同視」できる方法なら規制に抵触しない前もって処方監査や服薬指導をしているという点と、ピックアップターミナルという装置を介して患者さんに薬を交付するという点がポイントのように思います。まず、薬剤師は薬剤の調製前に残薬や他剤の使用状況の確認、監査を行い、必要があれば疑義照会します。そして対面で服薬指導して、問題がないことを確認し、あとは薬を調剤して交付するだけの状態にします。次に、調剤した薬剤を調剤室内の自動搬入・払出装置に保管します。患者さんはこの自動搬入・払出装置とつながっているピックアップターミナルから薬を受け取ります。ピックアップターミナルはいわば「薬の取り出し口」で、患者さん本人へ確実に交付される仕組みです。待合室内や薬局の外への設置が想定されていて、すでに米国では実施されています。イメージとしては、調剤室とつながっている宅配ボックスのようなものでしょうか。今回の厚生労働省の見解により、「ピックアップターミナルは薬剤師による患者への直接の授与と同視しうる程度に、当該薬剤の品質の保持や、患者本人への確実な授与を確保するとしていることから、医薬品医療機器等法第8条の規定に抵触しない」とされました。温度管理はどう担保されているのか、本人確認はどうするのか、装置の値段はいくらか、本当に外に置いてもいいのか―など、気になることも多々ありますが、開局時間外対応のバリエーションは増えそうです。「調剤室は閉めるけど、その近くまで患者さんが立ち入りできる所」が考えられるので、まずはショッピングモールや駅ビルなどの薬局でしょうか。薬局のサービスに関する照会はこれまでにもありました。2017年には「薬剤師が患者に薬剤の調製前に服薬指導を行い、その後、調剤した薬剤の郵送などを行うサービス」が規制に抵触しないことが明らかになり、実際にそのサービスを展開している薬局もあります。薬局や薬剤師の業務が法律で規定されているため、サービス拡大は簡単ではありませんが、患者さんへの薬の交付が「直接の授与と同視しうる程度」の質を確保することによって、サービスを広げられる可能性がありそうです。

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新たな点眼薬、アデノウイルス結膜炎に効果

 急性アデノウイルス結膜炎に対する、ポビドンヨード(PVP-I)0.6%/デキサメタゾン0.1%懸濁性点眼液の有効性および安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(第II相臨床試験)が行われ、米国・セントルイス・ワシントン大学のJay S. Pepose氏らが結果を報告した。PVP-I/デキサメタゾンは安全性および忍容性が良好で、プラセボと比較し臨床的寛解率およびアデノウイルス除去率を有意に改善することが認められたという。American Journal of Ophthalmology誌2018年オンライン版5月19日号掲載の報告。 研究グループは、Rapid Pathogen Screening Adeno-Detector Plus testで急性アデノウイルス結膜炎に陽性の成人患者を、PVP-I 0.6%/デキサメタゾン0.1%群、PVP-I 0.6%群または溶媒(プラセボ)群に、1対1対1の割合で無作為に割り付け、両眼に1日4回、5日間投与し、3日目、6日目および12日目に評価した(+1-day window)。 有効性の評価項目は、臨床的寛解(試験眼の結膜炎による水溶性眼脂と眼球結膜充血がそれぞれ消失)およびアデノウイルス除去の複合エンドポイントであった。 主な結果は以下のとおり。・有効性解析の対象症例は144例であった(PVP-I/デキサメタゾン群48例、PVP-I群50例、プラセボ群46例)。・LOCF解析に基づく6日目の臨床的寛解率は、PVP-I/デキサメタゾン群31.3%、PVP-I群18.0%(有意差なし)、プラセボ群10.9%(p=0.0158)で、PVP-I/デキサメタゾン群がプラセボ群より有意に高かった。・アデノウイルス除去率(LOCF法にて、試験眼の培養細胞が免疫蛍光法で陰性となる患者の割合を解析)は、PVP-I/デキサメタゾン群がプラセボ群より、3日目(35.4% vs.8.7%、p=0.0019)および6日目(79.2% vs.56.5%、p=0.0186)ともに有意に高かった。・PVP-I群のアデノウイルス除去率は、3日目32.0%、6日目62.0%で、いずれもPVP-I/デキサメタゾン群と有意差はなかった。・治療下で発現した有害事象(AE)は、PVP-I/デキサメタゾン群で53.4%、PVP-I群で62.7%、プラセボ群で69.0%にみられた。・AEによる中止は37例(PVP-I/デキサメタゾン群9例、PVP-I群12例、プラセボ群16例)であった。

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医薬教育倫理協会(AMEE)が提案する新時代の医師継続教育

 医薬教育倫理協会(AMEE: Association of Medical Education and Ethics)が「AMEE医学継続教育プログラム」と銘打ったネット番組の配信を開始した。AMEEは2016年7月に設立された一般社団法人で、設立の目的は、医療倫理に基づき、高度な医学・薬学の継続教育を医師・薬剤師に提供することを通じて、医療の向上と国民の健康増進に寄与すること。AMEEの代表理事を務める、帝京大学臨床研究センター センター長 寺本 民生氏に、AMEEが推進する新しい医師継続教育について話を聞いた。―新しい医師継続教育の仕組みを立ち上げた経緯は? 私たち医師は生涯学びを続けなければならない存在です。しかしながら、多忙な日々を送る私たちが「学びの時間」を確保することはきわめて大変なことです。自分の専門領域に関連する学術集会に参加することでも、金銭的・時間的な負担はかなりのものです。日常診療で遭遇するご自分の専門外の疾患を学習する機会を得ることは、大変な困難だと思います。 「多忙な医師に限られた時間の中で、より効果的な医師継続教育を提供」することができないかと思案し、設立したのがAMEEなのです。―AMEEの医師継続教育が目指すものは? AMEEの医師継続教育サービスの構想の参考になったのが米国のCME(continuing medical education)制度です。 米国では医師免許更新制度があり、免許更新に必要な単位を取得できる生涯学習はCME制度の下で広く行われております。国土の広い米国では、インターネットを活用したe-learningの形式で多くのCME活動が行われています。その仕組みを日本版にアレンジしたのが、AMEEの医師継続教育サービスです。 e-learningの仕組みを活用し、受講した医師のコンピテンシーを向上させることで日本の医療に貢献する。それがAMEEの目指していることです。―なぜ名称に「倫理」という言葉が入っているのでしょうか? 広く医師継続教育サービスを展開していくうえで、やはり資金が必要となります。米国のCME制度では、医療に関連する企業などから教育資金の拠出を受け、それを原資に継続教育を行うことが認められています。その際に、資金を拠出する企業と医師との利益相反が課題となります。 そこで、米国ではACCME(Accreditation Council for Continuing Medical Education)という団体が「企業による資金提供の基準」を明確に定めており、CME制度参加者はこの基準に従って、制作過程の独立性を担保しながら資金を得て活動を続けています。AMEEも、このACCMEの基準に準拠した独立性基準を策定し、企業や団体などから資金の拠出を受け、事業を運営しています。 AMEEに倫理という言葉を盛り込んだのは、倫理感を持って適切に医師継続教育を行っていく決意でもあるわけです。―具体的な活動を教えてください 現時点で、AMEEの医師継続教育サービスでは、3本のプログラムが受講可能です。多くの医師に受講いただくために、ケアネットと提携して、医師へのプログラム案内をお願いしています。受講は無料です。ケアネット医師会員であれば、ケアネットのID/パスワードにて受講可能です。https://cme.amee.or.jp/rpv/openid/auth_request.aspx 現在配信されているのは、「心房細動による脳卒中予防」、「免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療」、「家族性高コレステロール血症」の3本です。いずれのプログラムも日本のおけるそれぞれの第一人者が、「わかりやすく」、「臨床医目線」で熱のこもった講義をしています。ご興味をお持ちの先生方はぜひ一度受講してみてください。 中でも私の専門でもある家族性高コレステロール血症は日本における診断率が1%と、ほとんどが見逃されている疾患です。このプログラムを通じ、一人でも多くの先生方がこの疾患に向き合っていただければと思います。―今後の展望をお聞かせください 企業との独立性を保ちながら教育プログラムを提供するという考え方が普及するには、もう少し時間が必要かもしれません。しかし、医師本位の教育的な内容であれば、たとえ企業の資金提供があったとしても、多くの先生方に受け入れていただけるものと考えています。AMEEは、各種学術団体や企業などへの理解を広げ、この新しい教育提供の方法を提案していきます。また、各種学術団体とのコラボレーションも企画していきます。 たとえば、インターネットで共催プログラムを視聴することで、学会の単位が獲得できれば、多忙な医師にとっては福音ではないしょうか? 今回の「家族性高コレステロール血症」のプログラムは、日本動脈硬化学会とAMEEの共催となっており、AMEEのプログラムを見ていただくことで動脈硬化専門医の単位が付与されます。AMEEの共催事業の第一歩です。今後のAMEEの活動にご期待ください。

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アルコール使用障害患者の認知症発症予防のためのチアミン療法

 アルコール使用障害は、認知症に寄与する最も重要な因子の1つである。台湾・高雄医学大学のWei-Po Chou氏らは、台湾の全国データベースを用いて、アルコール使用障害患者に対するチアミン療法の認知症発症予防効果について調査を行った。Clinical nutrition誌オンライン版2018年5月21日号の報告。 1995~2000年の縦断的健康保険データベースを検索し、レトロスペクティブコホート研究を実施した。アルコール使用障害の診断後にチアミン投与を受けた患者をチアミン療法(TT)群とし、年齢、性別、インデックスイヤーにマッチしたTTを行わないアルコール使用障害患者を対照(NTT)群として無作為に割り付けた。患者背景、併存疾患、向精神薬使用について評価を行った。累積の規定1日用量(DDD)を分析し、用量効果を検証した。 主な結果は以下のとおり。・各群の患者数は、5,059例であった。・TT群は、NTT群よりも、認知症のハザード比が低かった(0.76、95%CI:0.60~0.96)。・患者背景、併存疾患、向精神薬使用で調整した後、調整ハザード比は0.54(95%CI:0.43~0.69)であった。・23超の累積DDDを有するTT群において、有意な差が認められた。・カプランマイヤー分析では、NTT群よりもTT群において、認知症の累積発症率が低いことが示された。 著者らは「チアミン療法は、アルコール使用障害患者における認知症発症の予防因子であることが示唆された。アルコール使用障害患者の認知症の発症および進行を予防するための治療計画、保健政策において、チアミン療法は重要である」としている。■関連記事認知症発症に対するアルコール使用障害の影響に関するコホート研究ベンゾジアゼピン耐性アルコール離脱症状に対するケタミン補助療法アルコール依存症患者における不眠症に関するメタ解析

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前立腺全摘除術で知っておきたい合併症

 2018年6月13日、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社は、「男性の尿漏れに対する先進的な治療法 尿漏れ手術『人工尿道括約筋植込術』~前立腺がん治療後の尿漏れ患者約10,000人のQOLに貢献~」をテーマに、3名の演者(国立がん研究センター 増田 均氏/東北医科薬科大学 海法 康裕氏/原三信病院 武井 実根雄氏)を迎え、都内でセミナーを開催した。本稿では、その概要を紹介する。前立腺全摘後の尿失禁は半数以上の患者が経験する 前立腺がんは、50代以降で急激に罹患率が増加する疾患で、前立腺と精嚢を摘出し、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術(手術療法)が標準的治療法の1つとなっている。わが国では、年間2万例もの全摘除が施行されるが、術後、多くの患者が合併症である尿失禁を経験するという。症状はほとんどの場合、術後6ヵ月までに急速に改善するが、18~24ヵ月を超えてさらに改善することはほぼない。尿失禁に対する治療として、最低1年間までは、内服治療、骨盤底筋体操などが行われ、重症の場合(尿とりパッド3~4枚/日以上もしくはQOLの著しい低下例など)は、人工尿道括約筋植込・置換術が保険適用となる。重症尿失禁の発生率は、前立腺全摘除術が行われたうちの2~3%ほどだが、人工尿道括約筋による治療件数は1%ほどに留まっている。 前立腺全摘除術は、75歳以下の前立腺がん患者が主な対象で、手術以前はほとんどの人が普通の生活を送っているため、尿失禁などの術後合併症によるQOLの著しい低下は深刻な問題である。尿失禁への適切な対応が遅れる原因として、主治医側は術後尿失禁に対する十分な知識・情報や治療経験を持っていないことなど、患者側の問題としては、尿失禁の症状を主治医になかなか言い出せないこと、他人に相談しづらく、十分な情報が手に入らないことなどが考えられる。人工尿道括約筋の操作はボタンを押すだけ 本セミナーで紹介された人工尿道括約筋(AMS-800)は、人工尿道括約筋植込・置換術により体内に埋め込まれるため、外からは見えない。生理食塩水が充填され、尿道に巻かれたカフが括約筋代わりとなり、尿禁制状態が保たれる。排尿する際は、陰嚢に留置されたコントロールボタンを数回押し、生理食塩水をバルーンに移動させることでカフがしぼみ、排尿が可能となる。排尿後は自然にカフが膨らみ、元に戻る。この手術により、患者のQOLは大きく改善され、高い患者満足度を示すという。 患者への術前説明時の注意点として、「尿失禁がまったくゼロにはならないこと(軽度の腹圧性尿失禁や、排尿後の尿滴下が残存することが多い)」「作動不良、感染、尿道萎縮に伴う再発などで抜去・置換が必要な場合があること」などの説明をしっかり行うことが挙げられた。海外データの解析によると、術後5年でおよそ20~25%に抜去・置換の必要が生じるという。しかし、尿失禁で苦しんでいる患者の選択肢の1つとして、医療者・患者は知っておきたい方法だ。

21018.

世界初、大動脈プラーク破綻の撮影に成功

 動脈硬化病変である“プラーク”は、破綻により血栓を形成し、心筋梗塞などの致命的な虚血性疾患の原因となりうる。今回、大阪暁明館病院 心臓血管病センターの小松 誠氏らは、血管内視鏡を用いて、大動脈で破綻したプラークの発生、性状、大きさを調べることを目的に研究を行った。 結果として、大動脈プラークの自然破綻の様子が血管内視鏡の使用により初めて明らかにされ、コレステロール結晶の多彩な形状が実証された。本結果は、論文としてJournal of the American College of Cardiology誌2018年6月26日号に掲載。 本研究では、冠動脈疾患患者あるいは冠動脈疾患が疑われる患者324例に、血流維持型血管内視鏡を使用した大動脈内部の観察が行われた。その過程で、破綻したプラークの断片を採取し、偏光顕微鏡を用いて微小結晶状物質を分類し、大きさを測定した。 主な結果は以下のとおり。・324例中、262例(80.9%)の患者で、自然破綻した大動脈プラークが見つかった。そのうち120例は、横隔膜より下位で破綻していた。・96例から482個のサンプルが採取され、アテローム性物質237個(49.1%)、フィブリン244個(50.6%)、マクロファージ111個(23.0%)、石灰化127個(26.3%)が観察された。・サンプルとして得られたプラーク断片の長さの中央値は254μm、幅の中央値は148μmであった。・アテローム性物質に含まれるコレステロール結晶は、数層~数十層に折り重なって血中に遊離・飛散する“重層タイプ”と、1枚単位で遊離・飛散する“単層タイプ”があることがわかった。・アテローム性物質から分離されたコレステロール結晶の大きさは、40μm×30μmであり、ゴースト像の86μm×13μmと比較して、小さい傾向にあった。 この結果に対し、日本血管映像化研究機構は以下のように解釈している。 本研究では、プラーク破綻に伴い、大動脈中に飛散する微小コレステロール結晶の性状を、世界で初めて生体内で確認することに成功した。これまで、病理標本のゴースト像(標本を有機溶媒で洗浄した後に観察される、無数の細かい穴)としてしか認識されていなかったコレステロール結晶の、多彩な形状が実証された。 この遊離コレステロール結晶は、動脈血中のみに存在し、静脈血ではほとんど観察されないことから、末梢組織で濾過され、全身臓器中の毛細血管の塞栓子となっている可能性がある。すなわち、認知症やサルコペニア、慢性腎臓病などにおける虚血性細胞死の起因物質とも考えられ、今後の研究によっては、疾患概念を変える発見になるかもしれない。■参考NPO法人 日本血管映像化研究機構

21019.

禁煙開始4週前からのニコチンパッチ、長期的効果は?/BMJ

 英国では、喫煙を中止した日以降は禁煙を補助する薬物療法が推奨されるが、喫煙中止日前の薬物療法(preloading)の長期的なベネフィットのエビデンスは明確ではないという。英国・オックスフォード大学のPaul Aveyard氏らは、ルーチンの診療における禁煙開始前のニコチン投与について検討した。その結果、明らかな長期的有効性は認めなかったものの、ニコチン前投与により禁煙開始後のバレニクリンの使用が減少し、これによってニコチンの効果がマスクされた可能性があると報告した。研究の成果は、BMJ誌2018年6月13日号に掲載された。禁煙前4週投与の長期的有効性を評価 研究グループ(Preloading Investigators)は、長期的な禁煙の達成における禁煙開始前4週間のニコチンパッチ使用の有効性を評価する非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、ニコチン依存がみられる毎日喫煙者(daily smoker)であった。被験者は、前投与群または対照群にランダムに割り付けられた。前投与群は喫煙を中止する前に21mgニコチンパッチ(1日1回)を4週間使用し、対照群は通常治療と行動支援を受けた。 主要アウトカムは、6ヵ月時の生化学的に確定された禁煙とし、副次アウトカムは、4週および12ヵ月時の禁煙であった。 2012年8月~2015年3月の期間に、イングランドのプライマリケア施設および禁煙クリニックに1,792例が登録され、前投与群に899例、対照群には893例が割り付けられた。バレニクリン使用で補正すると有意な効果 ベースラインの全体の平均年齢は48.9(SD 13.4)歳、男性が52.6%であった。既製タバコの使用者が68.2%、手巻きタバコの使用者が31.0%であり、平均1日喫煙本数は18.9(SD 9.3)本、過去6ヵ月以内に禁煙支援を受けた者は32.5%であった。 6ヵ月時の生化学的に確定された禁煙の達成率は、前投与群が17.5%(157/899例)、対照群は14.4%(129/893例)であった(群間差:3.0%、95%信頼区間[CI]:-0.4~6.4%、オッズ比[OR]:1.25、95%CI:0.97~1.62、p=0.08)。 両群間で、禁煙開始後の治療における禁煙補助薬バレニクリンの使用のバランスがとれておらず、対照群で多く用いられていた(22.1 vs.29.5%)。事前に計画された補正を行うと、ニコチン前投与の効果のORは1.34(95%CI:1.03~1.73、p=0.03、群間差:3.8%、95%CI:0.4~7.2)となり、有意な差が認められた。 4週時におけるバレニクリン使用で未補正の禁煙効果のORは1.21(95%CI:1.00~1.48)、群間差は4.3%(0.0~8.7%、p=0.05)であり、補正後のORは1.32(1.08~1.62、p=0.007)であった。また、12ヵ月時の未補正のORは1.28(0.97~1.69)、群間差は2.7%(-0.4~5.8、p=0.09)であり、補正後のORは1.36(1.02~1.80、p=0.04)であった。 前投与群の5.9%が不耐のためニコチンパッチを中止した。消化器症状(主に悪心)は、前投与群のほうに高い頻度(4.0%)で認められた。重篤な有害事象は前投与群が8例、対照群も8例にみられた(OR:0.99、95%CI:0.36~2.75)。 著者は、「21mgニコチンパッチによるニコチンの禁煙開始前4週投与は、長期の禁煙において期待された効果を発揮し、安全で耐用可能と考えられるが、最も効果の高い禁煙補助薬であるバレニクリンの使用を抑制する可能性がある」とし、「この非意図的な結果を克服できれば、前投与は長期的な禁煙達成の増加に、価値のある効果をもたらす可能性がある」と指摘している。

21020.

PBCに対するベザフィブラートの有用性がフランスで証明された(解説:上村直実氏)-876

 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、原因不明の胆管に対する自己免疫疾患で国の特定疾患に指定されており、現在、日本における患者数は5〜6万人で軽症の症例が増加している。男女比は約1:7であり、50~60歳の中年以降の女性に最も多くみられる疾患である。 PBCに対する根治的な治療法は確立しておらず、薬物療法が奏効せずに顕著な黄疸を伴う肝硬変へと進展して肝不全状態に至った場合に肝移植が考慮される。薬物療法に関しては1980年代から使用されているウルソデオキシコール酸(UDCA)が肝硬変への進展を遅くする成績を有して一定の評価を得ているが、UDCAが無効な患者に対して有効な薬剤に関するエビデンスはなかった。 今回NEJM誌に掲載された論文では、UDCAで効果不十分な患者100例を対象としてフランスで施行されたRCTの結果、ベザフィブラート併用群はプラセボと比較して、生化学的完全奏効(総ビリルビン、ALP、AST、アルブミンがいずれも正常値かつプロトロンビン指数が正常値を示す場合)が有意に高率であった。すなわち、24ヵ月後の完全奏効率はプラセボ群では皆無であったのに対して併用群31%であり、患者さんに勇気を与えるものである。なお、リスクに関しては有害事象として腎機能に対する悪影響が懸念されると考察されている。 高脂血症に使用されているベザフィブラートがPBCに対して有用である可能性については20年以上前に日本から報告1,2)されていた。PBC診療ガイドラインの2017年改定版では、UDCA無効例に対してベザフィブラートの使用を検討する旨が明記されている。すなわち、古くからある薬剤の意外な有用性に関して日本から発信された治療法がフランスで施行されたRCTにより証明されたものである。PBCは長期経過が重要な疾患であるので、今後、長期的な有用性と安全性に関するエビデンスはなんとしても日本から発信してもらいたいものである。さらにベザフィブラートが有効である患者を抽出可能な宿主因子を探求することも重要である3)。

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