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喘息は肺血栓塞栓症のリスクになるのか?

 喘息患者では肺血栓塞栓症のリスクが増加することが台中病院のWei-Sheng Chung氏らにより報告された。European Respiratory journal誌オンライン版2013年8月29日号の掲載報告。 これまで喘息と肺血栓塞栓症の関係についての研究はあまりなかった。このため、全国的なコホート研究により、これらの関係を検討した。 対象は一般市民の中から、2002年~2008年に新たに喘息と診断された3万1,356例と喘息のない12万5,157例をランダムに選定した(国民健康保険研究データベースを用いて、年齢、性別、指標とした年により調整)。 両群のコホートは肺血栓塞栓症の発症頻度を測定することを目的とし、2010年末までフォローアップした。喘息の有無による肺血栓塞栓症のハザード比をCox比例ハザード回帰分析により検討した。 それぞれ、18万6,182人年の喘息患者と74万3,374人年の喘息のない人々をフォローアップした。喘息患者のコホートでは、喘息のないコホートと比べて、肺血栓塞栓症のハザード比が3.24であった(年齢、性別、併存症やエストロゲンの補充により調整)。また、肺血栓塞栓症のリスクは喘息の増悪頻度や喘息による入院頻度が多い群で有意に増加することもわかった。

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造影剤投与直後のアナフィラキシーショックで死亡したケース

放射線科最終判決平成15年4月25日 東京地方裁判所 判決概要左耳前部から頸部の蜂窩織炎疑いで、大学病院を受診した39歳男性。腫瘍の可能性もあるということで、CT検査(単純・造影)が行われた。ところが、造影剤オプチレイ®320を注入直後にアナフィラキシーショックを起こし、ただちに救急蘇生が行われたが心拍は再開せず、約10時間後に死亡した。詳細な経過患者情報昭和36年7月28日生の男性経過平成12年4月29日喉の痛みがあり、近医診療所を休日受診して抗菌薬セファクロル(商品名: ケフラール)を処方される。5月1日大学病院内科を受診し、扁桃周囲膿瘍を指摘され、同院耳鼻科へ紹介受診となる。所見咽頭部発赤。口蓋扁桃は白苔、腫脹あり。頸部リンパ節触知。血液検査結果WBC 10,010(好中球70.3、リンパ球18.8、単球6.0、好酸球1.3、好塩基球0.9)、RbC 529万、Hb 15.1、Ht 47.5、CRP 8.3、総蛋白8.8g/dL急性扁桃炎の診断で、抗菌薬としてフロモキセフナトリウム(同: フルマリン)、クリンダマイシン(同: ダラシンS)の点滴静注を5日間行うとともに、経口抗菌薬セフポドキシムプロキセタル(同: バナン)、消炎鎮痛薬ロキソプロフェンナトリウム(同: ロキソニン)、胃炎・胃潰瘍薬レバミピド(同: ムコスタ)およびジクロフェナクナトリウム(同: ボルタレン)坐薬3コを処方。5月6日内服処方5日分(抗菌薬ファロムペネムナトリウム(同: ファロム)、ムコスタ®)、鎮痛薬頓用(ロキソニン®5錠)にていったん終診。平成12年8月22日左耳前部が腫れてくる。9月1日左耳前部の腫れで口が開けられなくなったため、大学病院内科をへて耳鼻科に紹介受診となる。所見発熱なし。鼻腔・口腔内に異常所見なし。左耳前部皮下組織全体が腫脹しているが、明らかな腫瘤なし。薬剤アレルギーなし。血液検査結果WBC 9,320(好中球45.1、リンパ球29.0、単球45.8、好酸球16.7、好塩基球1.4)、RbC 441万、Hb 13.3、Ht 39.1、plt 42.5万、CRP 0.3以下、総蛋白7.4、GOT 16、GpT 29、Na 141、K 4.9、Cl 106「蜂窩織炎疑い」と診断するが、ほかに膿瘍、腫瘍も疑われるため、9月5日のCT検査(単純・造影)を予約した。抗菌薬スパラフロキサシン(同: スパラ)を5日分処方。平成7年6月10日14:20放射線科CT検査室入室。14:23単純CT撮影。担当医師はモニターで左側頭部~下顎部皮下に索状の高吸収域所見を確認。炎症や腫瘍も否定できないと診断。14:30以下の問診を行う(ただし記録には残されていない)。医師:「大変情報量の多い検査となります。造影剤を使うにあたって、いくつかお尋ねします」患者:「はい、わかりました」医師:「今日は食事を抜いてきましたか?」患者:「抜いてきました」医師:「今まで造影剤を使う(注射をする)検査をしたことありますか?」患者:「ありません」医師:「今まで食べ物や薬で蕁麻疹などのアレルギーが出たり、気分が悪くなったりしたことありますか?蕁麻疹が出やすいということはないですか?花粉症があったり、喘息といわれたことはないですか?」患者:「ありません」14:40左腕の前腕から注射針を入れ、逆流を確認。造影剤のシリンジに延長チューブで接続。インジェクターのスイッチを操作し、ヨードテストもかねて少量の造影剤(非イオン性ヨード造影剤オプチレイ®320)を注入し、血管外漏出が無いこと、何ら変化が無いことを確認。医師:「これでとくに症状の変化がなかったら、今度は連続してお薬を入れていきます。お薬を入れていくと、体の中がポーっと熱くなってきます。これはお薬が全身にまわっている証拠で、誰でもそうなりますので心配ありません。もし、熱くなる以外に気持ち悪くなったり、胸が苦しくなったり、咳が出たり、鼻がムズムズしたりするようなことがあったら、すぐにいってください。マイクが付いていて、外に聞こえるようになっています」14:40造影剤注入開始。担当医師は50cc位注入するまで(約1分間)は傍につきそう。医師:「とくに変わりないですか?」患者:「変わりない」造影剤を70cc注入したところで(10~20秒)「頭が痛い」「気持ち悪い」と訴えたので、ただちにCT検査室に入り造影剤の注入を中止。会話ができることを確認し、容態の変化がないか観察しつつ、医師・看護師の応援を要請。フルクトラクト®点滴、ヒドロコルチゾン(同: ソル・コーテフ)1,000mg静注、まもなく呼び掛けても嘔吐をくり返し返答が鈍くなる。14:45自発呼吸低下、麻酔科医による気管内挿管(咽頭はやや蒼白で浮腫があり、声門は閉じていた)。心臓マッサージ開始。15:15除細動200J、1~2分後に300J。自己心拍は反応せず、瞳孔散大。15:45Iabp挿入。16:05ICUへ搬送し蘇生を継続。9月6日01:05死亡確認。当事者の主張検査前の問診について患者側(原告)の主張検査の適応有無を判断するための情報を得る重要な問診を怠ったことにより、検査の適応に関する必要な情報を得られず、その結果適応のない検査を行い死亡させた。病院側(被告)の主張検査前に、造影剤の使用経験がないこと、アレルギーを疑わせる既往歴がないことを問診できちんと確認した。造影剤投与を避けるべき事情の有無患者側(原告)の主張もともと患者には、造影剤慎重投与とされている花粉症、金属アレルギーの体質を有し、しかも血液検査で好酸球増多がみられたので、緊急性のない造影剤投与を避けるべきであった。しかも父親が造影剤による副作用で死亡したという家族歴からみて、父親の遺伝子を受け継いだ患者についてもヨード造影剤に過敏症があったはずであり、造影剤投与を避けるべきであった。病院側(被告)の主張患者には花粉症および金属アレルギーはない。好酸球増多の所見は確かにあるものの、アレルギー疾患であったとはいえない。そして、造影剤の医薬品添付文書には、花粉症、金属アレルギー、好酸球増多ともに、慎重投与の項目に挙げられていない。父親の死亡は、造影剤投与前に起きたため、造影剤によるアレルギー(アナフィラキシー)ではない。検査前の症状および所見からすれば腫瘍の可能性も否定できないため、造影剤を用いた検査は必要であり、造影剤の副作用が出現した場合には迅速かつ必要な処置ができる体制を整えたうえで検査を行った。救急処置が遅れたかどうか患者側(原告)の主張大学病院でありながらエピネフリンなどの救急薬剤の準備はなく、放射線医や麻酔医、看護師などにただちに応援を求めることができる連絡体制も不十分なまま検査を行った。そして、造影剤による副作用が現われた段階で、ただちに造影剤の注入を中止し、顔面浮腫、嘔吐などのショック症状がみられた時点でエピネフリンを投与し気道確保を行うべきなのに、対応が遅れたために死亡した。病院側(被告)の主張担当医師は造影剤が50mL位注入されるまで患者のそばにいて副作用の出現がないことを確認し、「頭が痛い」という訴えをもとに造影剤による副作用を疑って注入を中止している。この段階で患者の意識は清明で脈拍もしっかりしていた。その後応援医師、看護師も駆けつけ、嘔吐による気管内誤嚥を防ぐための体位をとり、輸液、ソル・コーテフ®1,000mgの静注を行った。その後自発呼吸の低下、脈拍微弱がみられたので、ただちに気管内挿管およびエピネフリンの気管内投与などを行い、救急蘇生としては必要にして十分であった。裁判所の判断検査前の問診について非イオン性ヨード造影剤にはショックなどの重篤な副作用が現れる場合もあること、副作用の発生機序が明らかではなく、副作用の確実な予知、予防法は確立されていないこと、他方で、ある素因を有する患者では副作用が発現しやすいことがある程度わかっており、問診によって患者のリスクファクターの有無を事前に把握することは、副作用発現を事前に回避し、または副作用発現に対応するために非常に重要な意味をもつ。そのため問診を行うにあたっては、問診の重要性を患者に十分に理解させたうえで、必要な事項について具体的かつ的確な応答を可能にするように適切な質問をする義務がある。担当医師は、CT検査室内において3~4分程度で、患者に対する必要にして十分な問診を行い、造影剤を注射したと供述する。しかし被告病院の外来カルテには、耳鼻咽喉科において問診を行い検査の適応があることを確認した旨の記載は一切なく、さらに耳鼻咽喉科から放射線科に対する「放射線診断依頼票」にもその旨の記載はない。また、担当医師が行ったとする問診、その結果などについても、まったく記録にとどめていない。つまり患者に問診の重要性を理解させ、必要な事項について具体的にかつ的確な応答を可能にする十分な問診を実施したのかは大いに疑問であるといわざるを得ない。したがって、検査前に問診をまったく行っていないという、重大な過失が認められる。造影剤投与を避けるべき事情の有無患者は平成11年8月25日、近医でアレルギー性鼻炎と診断をされ、薬を処方されている。また、歯科医院に診療を申し込む際の問診票に、自ら特異体質、アレルギーはないと記載した。患者が花粉症ないしアレルギー性鼻炎であるからといって、造影剤投与を避けるべきであるとは認められない。また、好酸球数は、平成12年5月1日の1.3%から、同年9月1日の検査では16.7%へと上昇しているが、造影剤の禁忌、原則禁忌、慎重投与などのいずれの注意事項にも該当せず、造影剤の使用を避けるべき事情があったとはいえない。なお、患者の父親については、平成3年6月12日大学病院外科外来で検査を施行中、造影剤を注入する前に容態急変を生じ、その後心停止をくり返して3日後の6月15日に死亡した。そのため遺族は、造影剤を使用したために急変を生じたと認識していたが、実際には造影剤の副作用で死亡したわけではない。一方、担当医師は、患者の父親が造影剤の検査で死亡した可能性があるということがわかっていれば、造影剤を使用する検査は実施しなかったであろうと供述している。一般的に気管支喘息、発疹、蕁麻疹などのアレルギーを起こしやすい体質については、本人のみならず、両親および兄弟の体質をも問題にすることが多いため、造影剤投与が禁忌とされている「ヨードまたはヨード造影剤に過敏症の既往歴」についても、本人のみならず両親および兄弟にそのような既往歴があるかどうかが重要である。したがって、患者の父親が造影剤を投与する予定の検査直後に死亡したことは、たとえ造影剤の副作用で死亡したわけではなくとも、患者に造影剤を使用するか否か慎重に検討すべき事由に当たる。したがって、担当医師が慎重な問診を行っていれば、父親が造影剤の検査の際に(結果的には造影剤とは関係はなかったが)容態急変を起こして死亡したことを答えていて、患者にも造影剤によるアレルギーを疑う所見となり得たであろう。しかも当時の患者は、蜂窩織炎があったといってもただちに生命の危険を生ずるような疾患ではなく、その症状も改善傾向にあり、検査の必要性は必ずしも高くはなかった。したがって、きちんと問診をとっていれば父親が造影剤に絡んで死亡したことを突き止め、検査を中止することができたはずである。原告側合計7,393万円の請求に対し、5,252万円の支払い命令考察造影剤によるアレルギーについては、皮膚の発疹程度で済む軽症例から、心肺停止へと至る劇症型まで、さまざまなタイプがあります。このような副作用を少しでも減らすために、過去にはテストアンプルを用いて予備テストを施行していた時期もありました。ところが、少量の造影剤であってもショック状態となるケースがあることや、事前にアレルギー無しと判定されたケースに実際に投与してショックが発生した例も報告されたことから、平成12年から医薬品メーカー側も造影剤へのテストアンプル添付を中止するようになりました。このような事実は、検査にたずさわる医師・診療放射線技師の間ですでに常識化していることですし、当然のこととして、アレルギーの有無を確認する問診は必ず行っていると思います。本件でも、担当医師は検査前にあれこれと詳しく質問したと裁判所で証言したうえで、その旨を陳述書に記載して裁判所に提出しました。おそらく、実際にも陳述内容に近いやりとりがあった可能性がきわめて高いと(同じ医師の立場からは)思います。ところがです。裁判所はそのような医師と患者のやりとりを示す「文書」が診療録にないことを理由に、「検査前に問診をまったく行っていないという、重大な過失が認められる」などという信じられない判断に至り、担当医師は圧倒的不利な立場に立ちました。そして、判決に至る思考過程として、「蜂窩織炎のような直接生命に関わらない病気で、健康な39歳男性が死亡したのは不可抗力ではなく、無謀な検査を強行した医師が悪い」といわんばかりの内容でした。医師の側からみれば、単純CTで患部には高吸収域の策状物がみえ、腫瘍の可能性を否定するために行った造影剤投与でした。もしこのときに造影剤投与を行わずに、腫瘍性病変を見逃す結果となっていたら、それはそれで医療ミスと追求されることにもつながります。したがって、今回の造影剤投与は医師の裁量権の範囲内にあるといって良いと思われるだけに、裁判官のいう問診義務違反が本当に存在するのかどうか、きわめて疑問です。確かに説明内容が文書のかたちでは残されておらず、入院ではなく外来で施行した検査のためご遺族への説明もなかったと思います。だからといって、まったく何も説明せずにいきなり造影剤を注入することなど、常識的にはあり得ないと思います。それでもなお、問診記録が残っていないから問診をしていない重大な過失があるなどと判断するのは、はじめから「医師が悪い」と決めつけた非常に危険な考え方ではないかと思います。さらに不可解なのは、ご遺族が裁判過程で「患者の父親も造影剤で死亡した」という間違った主張を展開し始め、その主張に裁判官までもがかなり引きずられていることです。実際には、患者の父親が別の大学病院で、造影剤注入の検査が予定された時に、造影剤注入前に容態が急変し、心停止をくり返して死亡したという経過でした。つまり造影剤はまったく関係ない(投与すらしていない)にもかかわらず、ご遺族は「父親も造影剤で死亡したのだから、造影剤のアレルギーは遺伝である」と誤認していたということです。これに対する裁判所の考え方は次の通りです。ご遺族が「父親も造影剤で死亡した事実がある」と誤認していたくらいだから、この死亡した患者も当然そのように誤認していたはずだ担当医師がその誤認した事実を聞き出していれば、造影剤投与を見合わせていた可能性が高いよって死亡することはなかったはずだこのような論理展開には、明らかな飛躍があることは明白でしょう。もし本当にこの患者が「父親が造影剤で死亡した」と誤って認識していたのならば、自分にも造影剤を注射されると聞いた段階で不安になり、医師に申告すると考えるのが自然ではないでしょうか。ありもしない仮定を並び立てて、無理矢理医師の過失を認定したように思えてなりません。もちろん、医師の側にも反省すべき点があります。それは何といっても、問診をはじめとする患者への説明内容をきちんと記録に残しておかなかったことです(簡単な予診票でも代用できたと思います)。とくに侵襲的な検査(CT、内視鏡、血管造影、経皮的な生検など)の場合には、結果が悪い(もしくは患者の期待通りにいかない)と、事前説明をめぐって「言った・言わない」のトラブルになる事例が非常に増えています。このような説明内容を、その都度、細大漏らさずカルテに記載するのは、時間的に非常に困難と思われますので、あらかじめ必要にして十分な説明を記入した説明文の雛形を作成しておくことが望まれます。そして、患者に対して説明した事項にはチェックを入れ、担当医師のサインと患者のサインを記入し、カルテにそのコピーを残しておけば、あとから第三者にとやかくいわれずにすむことになります。このような対処方法は、小手先だけの訴訟対策のようにも受けとられがちですが、医師に対する世間の眼が非常に厳しい昨今の状況を考えると、いつ先生方が同じような事例で不毛な医事紛争に巻き込まれてもまったく不思議ではありません。この機会にぜひとも、普段の診療場面を振り返っていただいたうえで、先生方独自の対応策を検討されてはいかがでしょうか。放射線科

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プロバイオティクスはアトピー感作や喘息のリスクを低下させるのか?

 出生前や出生後早期に、プロバイオティクスを投与することは、アトピー感作リスクや総IgEを低下させるが、喘息・喘鳴発症のリスクは低下させないことが、米国マイアミ大学小児科学のNancy Elazab氏らにより報告された。Pediatrics誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。  プロバイオティクスは小児のアトピーや喘息発症のリスクを低下させる可能性があるとされているが、これまでの臨床試験では、矛盾する結果が出ていたり、試験自体が検出力不足だったりしていた。そこで著者らは、プロバイオティクスが小児のアトピーや喘息・喘鳴の発症に対し、予防効果があるのかを調べるため、無作為化プラセボ対照試験のメタアナリシスを行った。累積リスクの計算にはランダム効果モデルを用いた。プロバイオティクスの効果に影響する潜在的な因子を調べるため、メタ回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・プロバイオティクスの投与は総IgEを有意に低下させた(平均低下値:-7.59 U/mL、95%信頼区間[Cl]:-14.96~-0.22、p=0.044)。・メタ回帰分析では、フォローアップ期間が長いほどIgEの低下がより顕著であることが示された。・出生前投与、出生後投与のいずれにおいても、アトピー感作リスクは有意に低下した。[出生前]皮膚プリックテスト陽性と一般的なアレルゲンに対する特異的IgEの上昇(両方またはどちらか)の相対リスク:0.88、95%CI:0.78~0.99、p=0.035。[出生後]皮膚プリックテスト陽性の相対リスク:0.86、95%CI:0.75~0.98、p=0.027。・好酸性乳酸桿菌(ラクトバチルス・アシドフィルス)の投与は、アトピー感作のリスク上昇と関係していた(p=0.002)。・プロバイオティクスの投与による喘息・喘鳴リスクの有意な減少はみられなかった(相対リスク:0.96、 95%CI:0.85~1.07)。 本研究により、プロバイオティクスの効果はフォローアップ期間と菌種により、大きく変わることがわかった。今後、喘息の抑制に関するプロバイオティクスの試験を行う場合は、注意深く菌種を選定し、より長いフォローアップ期間を考慮すべきである。

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メタボリックシンドローム患者は喘息を発症しやすいのか?

 メタボリックシンドロームや、その診断項目である基準以上の腹囲や高血糖・糖尿病があると成人喘息発症のリスクが高くなることが、ノルウェー科学技術大学のBen Michael Brumpton氏らにより報告された。The European respiratory journal誌オンライン版2013年7月11日号の掲載報告。 肥満は成人喘息発症のリスクファクターであり、メタボリックシンドロームの診断基準における主要な項目ともなっている。本研究の目的は、メタボリックシンドロームおよびその診断項目が成人喘息の累積発症率と、どのように関係しているかを調べることである。  1995年から2008年までのthe Nord-Trondelag Health Study(HUNT study)の参加者データから、喘息ではない患者(n=23,191)を対象に前向き研究を行った。ベースラインのメタボリックシンドロームは、いくつかの国際組織の暫定的な共同声明の定義により分類した。フォローアップ期間中(平均11年間)の喘息発症は自己申告により調査した。 主な結果は以下のとおり。・メタボリックシンドロームは成人喘息発症のリスクファクターであった(補正オッズ比:1.57 、95%信頼区間[Cl]:1.31~1.87)。より厳格な喘息の評価基準を用いた感度の高い解析でも、この関連は一貫していた(補正オッズ比:1.42 、95%Cl:1.13~1.79)。・メタボリックシンドローム診断項目間で相互調整を行った後においても、基準以上の腹囲と高血糖・糖尿病の2項目は成人喘息発症のリスクとの間に強い関連性がみられた(それぞれ、補正オッズ比[95%CI]:1.62[1.36~1.94] 、1.43[1.01~2.04])。

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COPDとCOPD・喘息のオーバーラップはバイオマーカーで鑑別できるのか?

 気管支喘息を合併したCOPD(オーバーラップ症候群)ではCOPD単独の患者と比べて、誘発喀痰中の好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)が高いことが、広島大学・分子内科学の岩本 博志氏らにより報告された。The European respiratory journal誌オンライン版2013年6月21日号の掲載報告。 COPDと気管支喘息のオーバーラップ患者とCOPD単独あるいは気管支喘息単独患者との類似点や相違点を明らかにするため、4つのCOPDの潜在的バイオマーカー[肺サーファクタント蛋白質-A(SP-A)、soluble receptor for advanced glycation end-products(sRAGE)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)]を測定した。SP-AとsRAGEは肺細胞由来のマーカーであり、MPOとNGALは好中球由来の分子である(NGALは呼吸上皮細胞にも観察されうる)。 本研究の対象は非喫煙者(n=26)、喫煙者(n=23)、喘息患者(n=32)、COPD患者(n=39)、オーバーラップ患者(n=14)の134例であった。これらの患者の血清中のSP-AとsRAGE、喀痰中のMPOとNGALを酵素免疫測定法(EIA/ELISA)により測定した。 COPD患者とオーバーラップ患者では気管支喘息患者と比較して、喀痰中のMPOと血清SP-Aは有意に上昇していたが、血清sRAGEは減少していた。また、オーバーラップ患者とCOPD患者の比較において、オーバーラップ患者では喀痰中のNGALのみが上昇しており(p = 0.00016)、これにより両者を鑑別できる可能性があることがわかった。 喀痰中のNGAL上昇は、COPDと喘息のオーバーラップ患者に特有の特徴であり、これは好中球性気道炎症の亢進や気道上皮の傷害を示唆しているものと考えられる。

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アトピー性皮膚炎児、喘息リスクは全員が一律に高いわけではない

 アトピー性皮膚炎と喘息との関連について、アレルゲンを多く有する子どものほうが喘息リスクが有意に高いことが明らかにされた。英国・Microsoft Research CambridgeのN. Lazic氏らが機械的に任意に抽出した2つの出生コホートを分析して報告した。従来定義の小児アトピー性皮膚炎患児のうち、喘息リスクが高いと判明したのは、3分の1以下であったという。アトピー性皮膚炎は喘息との関連が強いリスク因子の一つだが、その関連性はほとんど明らかになっていなかった。Lazic氏らは、アトピーといっても多様なサブタイプがあり、それぞれ喘息との関連は異なるのではないかと仮定し本検討を行った。Allergy誌2013年6月号(オンライン版2013年4月29日号)の掲載報告。 本研究は、英国の2つの異なる地域ベースの出生小児コホート(マンチェスターとワイト島)を対象に、機械学習法にて行われた。小児期および思春期を通じて実施したプリックテストとアレルゲン特異的IgE検査に基づき、教師なし学習を用いてアトピー性感作によりそれぞれクラス分類し、各群の質的特性と喘息および肺機能との関連性を調べた。 主な結果は以下のとおり。・両コホートのデータは、それぞれ5クラスに分類できた。それら分類クラスの内容は両コホートで非常に類似していた。・非感作群と比較して、多様なアレルゲン感作を有するクラスの子どものほう(従来定義の小児アトピー性皮膚炎児の3分の1以下)が喘息を有する傾向が認められた[補正後オッズ比aOR(95%信頼区間[CI]) マンチェスター:20.1(10.9~40.2)、ワイト島:11.9(7.3~19.4)]。・喘息と従来定義のアトピー性皮膚炎との関連は弱かった[同 マンチェスター:5.5(3.4~8.8)、ワイト島:5.8(4.1~8.3)]。・両コホートにおいて、これらのクラスの子どもの肺機能は有意に低く(FEV1/FVC低下はマンチェスター群4.4%、ワイト島群2.6%、p<0.001)、気道感作、呼気NO値(FeNO)高値、喘息による入院が有意に多かった(p<0.001)。

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アスピリン喘息の患者に対し解熱消炎薬を投与し、アナフィラキシーショックで死亡したケース

自己免疫疾患最終判決判例タイムズ 750号221-232頁、786号221-225頁概要気管支喘息の検査などで大学病院呼吸器内科に入院していた42歳女性。入院中に耳鼻科で鼻茸の手術を受け、術後の鼻部疼痛に対し解熱消炎薬であるジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)2錠が投与された。ところが服用後まもなくアナフィラキシーショックを起こし、呼吸困難から意識障害が進行、10日後に死亡した。詳細な経過患者情報42歳女性経過1979年(39歳)春痰を伴う咳が出現し、時に呼吸困難を伴うようになった。12月10日A病院に1ヵ月入院し、喘息と診断された。1981年夏安静時呼吸困難、および喘鳴が出現し、歩行も困難な状況になることがあった。8月11日再びA病院に入院し、いったんは軽快したがまもなく入院前と同じ症状が出現。1982年2月起坐呼吸が出現し、夜間良眠が得られず。体動による喘鳴も増強。6月近医の紹介により、某大学病院呼吸器内科を受診し、アミノフィリン(同:ネオフィリン)などの投与を受けたが軽快せず。9月7日A病院耳鼻科を受診し、アレルギー性鼻炎を基盤とした重症の慢性副鼻腔炎があり、鼻茸を併発していたため手術が予定された(患者の都合によりキャンセル)。9月27日咽頭炎で発熱したためA病院耳鼻科を受診し、解熱鎮痛薬であるボルタレン®、およびペニシリン系抗菌薬バカンピシリン(同:バカシル、製造中止)の処方を受けた。帰宅後に両薬剤を服用してまもなく、呼吸困難、喘鳴を伴う激しいアナフィラキシー様症状を起こし、救急車でA病院内科に搬送された。入院時にはチアノーゼ、喘鳴を伴っていて、薬剤によるショックであると診断され、ステロイドホルモンなどの投与で症状は軽快した。担当医師は薬物アナフィラキシーと診断し、カルテに「ピリン、ペニシリン禁」と記載した。この時の発作以前には薬物による喘息発作誘発の既往なし。1983年2月3日A病院耳鼻科を再度受診して鼻茸の手術を希望。この時には症状および所見の軽快がみられたので、しばらくアレルギー性鼻炎の治療が行われ、かなり症状は改善した。5月10日気管支喘息の原因検索、およびコントロール目的で、某大学病院呼吸器内科に1ヵ月の予定で入院となった。5月24日不眠の原因が鼻閉によるものではないかと思われたので同院耳鼻科を受診。両側の鼻茸が確認され、右側は完全閉塞、左側にも2~3の鼻茸があり、かなりの閉塞状態であった。そこで鼻閉、およびそれに伴う呼吸困難の改善を目的とした鼻茸切除手術が予定された。5月25日教授回診にて、薬剤の既往症をチェックし、アスピリン喘息の可能性を検討するように指示あり。6月2日15:12~15:24耳鼻科にて両側鼻茸の切除手術施行。15:50病室へ戻る。術後に鼻部の疼痛を訴えた。17:00担当医師が学会で不在であったため、待機していた別の当番医によりボルタレン®2錠が処方された。17:30呼吸困難が出現。喘鳴、および低調性ラ音が聴取されたため起坐位とし、血管確保、およびネオフィリン®の点滴が開始された。17:37喘鳴の増強がみられたため、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(同:サクシゾン)、ネオフィリン®の追加投与。17:40突然チアノーゼが出現し気道閉塞状態となる。ただちに気管内挿管を試みたが、筋緊張が強く挿管困難。17:43筋弛緩薬パンクロニウム(同:ミオブロック4mg)静注し再度気管内挿管を試みたが、十分な開口が得られず挿管中止。17:47別の医師に交代して気管内挿管完了。17:49心停止となっため心臓マッサージ開始。エピネフリン(同:ボスミン)心注施行。17:53再度心停止。再びボスミン®を心注したところ、洞調律が回復。血圧も維持されたが、意識は回復せず、まもなく脳死状態へ移行。6月12日07:03死亡確認となる。当事者の主張患者側(原告)の主張1.問診義務違反アスピリン喘息が疑わる状況であり、さらに約8ヵ月前にボルタレン®、バカシル®によるアナフィラキシーショックを起こした既往があったのに、担当医師は問診を改めてやっていないか、きわめて不十分な問い方しかしていない2.過失(履行不完全)問診により発作誘発歴が明らかにならなくても、鼻茸の手術前に解熱鎮痛薬を使用してよい患者かどうか確認するために、スルピリンやアスピリンの吸入誘発試験により確実にアスピリン喘息の診断をつけるべきであった。さらに、疼痛に対しいきなりボルタレン®2錠を使用したことは重大な過失である3.救命救急処置気管内挿管に2度失敗し、挿管完了までに11分もかかったのは重大な過失である病院側(被告)の主張1.問診義務違反アスピリン喘息を疑がって問診し、風邪薬などの解熱鎮痛薬の発作歴について尋ねたが、患者が明確に否定した。過去のアナフィラキシーショックについても、問題となった薬剤服用事実を失念しているか、告知すべき事実と観念していないか、それとも故意に不告知に及んだかのいずれかである2.過失(履行不完全)スルピリン吸入誘発試験によるアスピリン喘息確定診断の可能性、有意性はきわめて少ない。アナフィラキシーショックを予防する方法は、適切な問診による既往症の聴取につきるといって良いが、本件では問診により何ら薬物によるアナフィラキシー反応の回答が得られなかったので、アナフィラキシーショックの発生を予測予防することは不可能であった3.救命救急処置1回で気管内挿管ができなかったからといって、けっして救命救急処置が不適切であったことにはならない裁判所の判断第1審の判断問診義務違反患者が故意に薬剤服用による発作歴があることを秘匿するとは考えられないので、担当医師の質問の趣旨をよく理解できなかったか、あるいは以前の担当医師から受けた説明を思い出せなかったとしか考えられない。適切な質問をすれば、ボルタレン®およびバシカル®の服用によってショックを起こしたことを引き出せたはずであり、問診義務を尽くしたとは認めがたい。このような担当医師の問診義務違反により、アスピリン喘息の可能性を否定され、鼻茸の除去手術後にアスピリン喘息患者には禁忌とされるボルタレン®を処方され、死亡した。第2審の判断第1審の判断を翻し、入院時の問診で主治医が質問を工夫しても、鎮痛薬が禁忌であることを引き出すのは不可能であると判断。しかし、担当医師代行の当番医が、アスピリン喘息とは断定できないもののその疑いが残っていた患者に対してアスピリン喘息ではないと誤った判断を下し、いきなりボルタレン®2錠を投与したのは重大な過失である。両判決とも救命救急処置については判断せず。6,612万円の請求に対し、3,429万円の支払命令考察本件では第1審で、「ボルタレン®、バシカル®によるアナフィラキシーショックの既往歴を聞き出せなかったのは、問診の仕方が悪い」とされました。この患者さんは弁護士の奥さんであり、「患者は知的で聡明な女性であり、医師のいうことを正しく理解できたこと、担当医師との間には信頼関係が十分にあった」と判決文にまで書かれています。しかも、この事件が起きたのは大学病院であり、教授回診で「薬剤の既往症をチェックし、アスピリン喘息の可能性を検討するように」と具体的な指示までありましたので、おそらく担当医師はきちんと問診をしていたと思われます。にもかかわらず、過去にボルタレン®およびバシカル®でひどい目にあって入院までしたことを、なぜ患者が申告しなかったのか少々理解に苦しみますし、「既往歴を聞き出せなかったのは、問診の仕方が悪い」などという判決が下るのも、ひどく偏った判断ではないかと思います。もっとも、第2審ではきちんとその点を訂正し、「担当医師の問診に不適切な点があったとは認められない」とされました。当然といえば当然の結果なのですが、こうも司法の判断にぶれがあると、複雑な思いがします。結局、本件はアスピリン喘息が「心配される」患者に対し、安易にボルタレン®を使ったことが過失とされました。ボルタレン®やロキソプロフェンナトリウム(同:ロキソニン)といった非ステロイド抗炎症薬は、日常臨床で使用される頻度の高い薬剤だと思います。そして、今回のようなアナフィラキシーショックに遭遇することは滅多にないと思いますので、われわれ医師も感冒や頭痛の患者さんに対し気楽に処方してしまうのではないかと思います。過去に薬剤アレルギーがないことを確認し、そのことをカルテにきちんと記載しておけば問題にはなりにくいと思いますが、「喘息」の既往症がある患者さんの場合には要注意だと思います。アスピリン喘息の頻度は成人喘息の約10%といわれていますが、喘息患者の10人に1人は今回のような事態に発展する可能性があることを認識し、抗炎症薬はなるべく使用しないようにするか、処方するにしてもボルタレン®やロキソニン®のような酸性薬ではなく、塩基性非ステロイド抗炎症薬を検討しなければなりません。自己免疫疾患

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高齢者の喘息、若年期発症と中高年発症で違いはあるのか?

 40歳以下で発症した喘息と40歳以上で発症した喘息を比べると、40歳以下で発症した喘息ではアトピー性が強く、ピークフローの測定が多く行われていた。一方、40歳以上で発症した喘息では呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が高く、重症の喘息も多いことがミシガン大学内科のAlan P. Baptist氏らにより報告された。Journal of Asthma誌オンライン版2013年6月20日号の掲載報告。 高齢者の喘息には、小児期または若年期で発症し、それが高齢期まで継続している場合と、中高年で発症した場合があるが、この発症年齢の違いが、診断および治療のうえで何らかの影響をもたらしているかもしれない。今回の研究の目的は、喘息の発症年齢によって、人口動態、コントロール状況、QOL、医療サービスの利用にどのような違いがあるのかを明らかにすることである。 本研究では65歳以上の喘息患者に関する横断的研究のデータを分析した。小児・若年期の発症か中高年の発症かは40歳を基準とした。喘息の人口動態と重症度を分析し、プリックテストと肺機能検査(スパイロメトリー、FeNO測定)を行った。 主な結果は以下のとおり。・小児・若年期発症の喘息患者では中高年期発症に比べ、プリックテスト陽性が有意に多かった(92% vs 71% p=0.04)。これらの結果は両群とも過去の報告より多いものであった。・小児・若年期発症の喘息患者はピークフロー測定を有意に多く受けていた(p=0.07)。・中高年期発症の喘息患者は中等症または重症が有意に多く(オッズ比[OR]:3.1、p=0.05)、FeNOも有意に高かった(p=0.02)。・中高年期発症の喘息患者は入院率も有意に高かったが(p=0.04)、回帰分析後では有意差はなかった。・喘息の人口動態的な情報、併存症、スパイロメトリー、コンプライアンス、喘息のコントロール、QOLにおいては小児・若年期発症と中高年期発症との間に有意差はなかった。 高齢者の喘息では、発症年齢を定義することにより、推奨される治療やアウトカムが改善される可能性があると著者は述べている。

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「寄り道」呼吸器診療 ―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス

ひそかな人気ブログ「呼吸器内科医」を書籍化!! 呼吸器診療において多くの医師が悩んでいる、でも成書を調べても答えが見つからない―77の疑問。本書では、この疑問に真正面から取り組み、関連するエビデンス、著者の思い、診療で役立つポイントが示されています。著者は人気ブログ「呼吸器内科医」の倉原優先生(近畿中央胸部疾患センター呼吸器内科)。ブログ「呼吸器内科医」:http://pulmonary.exblog.jp内容例(詳しくは目次をご参照ください):気管支鏡時の抗菌薬にエビデンスはあるのか?結核患者さんとどのくらい接触したら自分にも感染してしまうのか?気管支喘息発作に対する全身性ステロイドの最適量は?胸腔ドレーン抜去前のクランプテストにエビデンスはあるのか?癌以外の呼吸困難感にモルヒネを使用してよいか?鎮咳薬で最も効果的なものは?吃逆の治療のエビデンスは?―など計77の疑問を解説!画像をクリックすると、一部がPDFでご覧いただけます。 「寄り道」呼吸器診療―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス 定価 本体4,500円+税判型 A5判頁数 415頁発行 2013年5月編集 倉原 優(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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肺炎随伴性胸水を吸入ステロイドが減少させる?

 これまでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に吸入ステロイドを投与することは市中肺炎発症リスクの増加と関連するとされてきた。しかしながら、その一方で、吸入ステロイドは肺の合併症や肺関連死のリスクを減少させるということも報告されている。 スペインの Jacobo Sellares氏らは過去の吸入ステロイド投与の有無が、異なる呼吸器疾患の背景を有する肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかを調べた結果、吸入ステロイドによる治療を受けた群で肺炎随伴性胸水が減少していたことを報告した。 American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌2013年6月1日号の掲載報告。肺炎随伴性胸水が有意に少なかった 市中肺炎と診断された3,612例に対し、臨床的検査、放射線学的検査、胸水生化学検査、微生物学的検査を実施し(単一施設コホート)、過去の吸入ステロイドによる治療の有無で2群に分け、解析した。 過去の吸入ステロイド投与の有無が肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかの主な結果は以下のとおり。・対象の17%にあたる633例が、肺炎と診断される前に吸入ステロイドによる治療を受けていた(COPD 54%、喘息 13%)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、そうでない群に比べ、肺炎随伴性胸水が有意に少なかった(5% vs12%、p<0.001)。・傾向スコアによりマッチングさせた640例においても、同様の傾向が認められた(オッズ比: 0.40、95%信頼区間[CI]0.23~0.69、p=0.001)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、胸水中のグルコースとpHが有意に高く(それぞれ、p=0.003、p=0.02)、タンパクと乳酸脱水素酵素(LDH)は有意に低かった(それぞれ、p=0.01、p=0.007)。

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COPD治療薬による肺炎発症リスクの差があるだろうか?(コメンテーター:小林 英夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(106)より-

COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療において、吸入ステロイド/長時間作用型β2刺激薬配合剤は標準的治療の1つとして位置づけられ、本邦でも2種の製品が利用可能となっている。本研究(PATHOS)では、そのいずれかで、治療中のCOPD症例において、肺炎発症のリスクと肺炎関連mortalityに差があるかどうかを後方視的に観察している。本論文の評価の大前提として、観察研究の限界を熟知したうえで評価しなければならないことを強調しておきたい。 結果は、フルチカゾン/サルメテロールではブデソニド/ホルモテロールより1.73倍肺炎が多く、肺炎関連死亡も多かった(ハザード比:1.76)。 著者らも考察しているように、COPDや肺炎の診断が専門医によりなされていないなどいくつかの限界は否めないが、背景因子をマッチさせた1群2,734名という大きな集団で、明らかな推計学的有意差が得られたことにはインパクトがある。このような結果となった機序は、フルチカゾンは肺内に高濃度かつ長時間とどまりやすいため、局所の感染防御機構を抑制するのではないかと著者らは推察している。 吸入ステロイド薬は気管支喘息治療薬として普及し始めた当初、易感染性や、骨代謝への悪影響が生じるのではないかと懸念された時期があった。多くの報告がなされたものの、どの薬剤であっても通常用量で大きな問題が生じることはなく、現在まで喘息治療の第一選択として位置づけられている。また、筆者の日常臨床において肺炎合併が高率という経験も有していない。今回のPATHOSがエビデンスとなりえるかどうかは、今後の前向き比較試験を待って判断すべきであろう。

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dupilumab、好酸球数増多を伴う喘息患者の増悪を抑制/NEJM

 新たな抗体医薬dupilumabは、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(LABA)でコントロール不十分な好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、これらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制することが、米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らの検討で示された。dupilumabはインターロイキン(IL)-4受容体のαサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT(Th2)細胞経路の主要なサイトカインであるIL-4およびIL-13双方のシグナル伝達を遮断することから、Th2細胞経路関連疾患の治療薬としての評価が進められている。本報告は第109回米国胸部学会(ATS、5月17~22日、フィラデルフィア)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年5月21日号に掲載された。増悪抑制効果をプラセボ対照無作為化第IIA相試験で評価 研究グループは、好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者に対するdupilumabの有効性および安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第IIa相試験を実施した。 対象は、18~65歳、中~高用量の吸入ステロイド薬(フルチカゾン)+LABA(サルメテロール)でコントロールが不十分な、血中好酸球数≧300/μLまたは喀痰中好酸球濃度≧3%の中等症~重症の持続型喘息患者。これらの患者が、dupilumab群(300mg)またはプラセボを週1回皮下投与する群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。 割り付けから4週後にLABAを中止、6週後から3週をかけて吸入ステロイド薬を漸減して9週目に中止し、以降はdupilumabのみを12週目まで投与した。 主要評価項目は喘息の増悪、副次的評価項目は喘息コントロールの指標とし、Th2細胞関連バイオマーカーや安全性についても検討を行った増悪を87%抑制、FEV1、起床時PEF、ACQ5スコアも改善 2011年3月~2012年10月までに米国の28施設から104例が登録され、dupilumab群に52例(平均年齢37.8歳、男性50%、喘息罹患期間24.2年、過去2年間の平均喘息増悪回数1.4回、血中好酸球数0.55×10-9/L)、プラセボ群にも52例[41.6歳、50%、26.9年、1.4回、0.47×10-9/L(p=0.04)]が割り付けられた。 喘息増悪の発症率はdupilumab群が6%(3/52例)と、プラセボ群の44%(23/52例)に比べ有意に低下した(オッズ比[OR]:0.08、95%信頼区間[CI]:0.02~0.28、p<0.001)。これは、dupilumabにより増悪のリスクが87%抑制されたことを意味するという。増悪による入院例は両群ともにみられなかった。 増悪までの期間はdupilumab群がプラセボ群に比べ延長し、Kaplan-Meier解析による12週時の増悪率はdupilumab群が有意に良好だった(0.06 vs 0.46、OR:0.10、95%CI:0.03~0.34、p<0.001)。すべての副次的評価項目がdupilumab群で良好で、ベースラインから12週までの1秒量(FEV1)の変化(p<0.001)のほか、起床時最大呼気流量(PEF)(p=0.005)、5項目からなる喘息コントロール質問票(ACQ5)スコア(p=0.001)などには有意差が認められた。 12週後の呼気中一酸化窒素濃度(FENO)、TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)、eotaxin-3(CCL26)、IgEは、いずれもdupilumab群がプラセボ群よりも有意に低下した(すべてp<0.001)。YKL-40、がん胎児性抗原(CEA)には有意差はみられなかった。 治療関連有害事象の発現率はdupilumab群が81%、プラセボ群は77%であった。このうち重篤な有害事象はそれぞれ2%、6%、有害事象による治療中止は6%、6%だった。dupilumab群で多い有害事象として、注射部位反応(29 vs 10%)、鼻咽頭炎(13 vs 4%)、悪心(8 vs 2%)、頭痛(12 vs 6%)などが確認された。 著者は、「吸入ステロイド薬+LABA投与中の好酸球数増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、dupilumabはこれらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制し、Th2細胞関連炎症マーカーを低下させた」と結論している。

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閉塞性肺疾患の増悪に対する新たな非侵襲性バイオマーカーとなるのは?

 閉塞性肺疾患の増悪の診断において、非侵襲性バイオマーカー、とくに喀痰中のインターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)のpHは有用な非侵襲性バイオマーカーとなりうることが、オーストラリア ・セントビンセント病院のGeoffrey Warwick氏らによって報告された。Respirology誌オンライン版2013年3月25日号の掲載報告。  現在の気管支喘息やCOPDにおける増悪の診断法は、それぞれの病因や病態生理にほとんど光を投じていない。こうした状況の下、非侵襲性バイオマーカーが有用となる可能性がある。  本試験では、気管支喘息の増悪の既往を有する患者28人、COPDの増悪の既往を有する患者29人、呼吸器感染症を有するコントロール患者28人を対象に、呼吸器症状、EBC、誘発喀痰、CRPの分析を行った。対象患者には回復後、再び同様の検査を実施した。EBCおよび誘発喀痰中のタンパク、過酸化水素、インターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、IL-6、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、TNF-αの分析に加え、誘発喀痰細胞数とEBCのpHも分析した。  主な結果は以下のとおり。・EBCのpHは、増悪期の患者では回復期と比較して有意に低かった(p<0.001)。・誘発喀痰の上澄み液中のインターフェロン誘導タンパク質10(IP-10)およびネオプテリンは増悪期で有意に増加していた(それぞれ、増悪期vs 安定期:188.6 ± 102.1 vs 5.40 ± 1.28 pg/ml, p=0.006、 15.81 ± 2.50 vs 5.38 ± 0.45 nmol/L, p<0.0001)。同様に、TNF-αも有意に増加していた(137.8 ± 49.64 vs 71.56 ± 45.03 pg/ml, p=0.018)。・その他のバイオマーカーについては、増悪期と回復期で有意な差が認められなかったが、増悪期では末梢血のCRPが上昇していた。

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難治性の慢性特発性蕁麻疹、オマリズマブで症状改善/NEJM

 慢性特発性蕁麻疹(chronic idiopathic/spontaneous urticaria)で抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)の高用量投与でも症状が改善されない患者について、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブの投与により症状が改善されたことが、ドイツ・Charite-UniversitatsmedizinのMarcus Maurer氏らによる第3相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、報告された。慢性特発性蕁麻疹患者の多くが、抗ヒスタミン薬の高用量投与でも症状が改善しない。抗IgE抗体オマリズマブ(商品名:ゾレア、本邦での適応は気管支喘息)の有効性については第2相試験で示され、本試験では有効性と安全性が検討された。NEJM誌オンライン版2013年2月24日号掲載報告より。323例をオマリズマブ75mg、150mg、300mg群とプラセボ群に割り付け検討 第3相試験は、成人および12歳以上の中程度~重度の慢性特発性蕁麻疹患者(抗ヒスタミン薬治療が無効)を対象とした28週間にわたるオマリズマブ治療の有効性と安全性を検討することを目的とした。 466例の患者がスクリーニングを受け、323例(42.5±13.7、76%が女性、平均体重82.4±21.9kg)が3つの皮下注治療(75mg、150mg、300mg)群またはプラセボ群に無作為化された。治療は4週間隔で行われた。12週の治療期間終了後、16週間にわたって追跡が行われた。 主要有効性アウトカムは、かゆみ重症度スコアのベースラインからの変化で週単位で評価が行われた(範囲:0~21週、最高スコアが最も重症度が高いことを示す)。150mg、300mg群で有意に症状が改善、重大有害イベントは300mg群が高い ベースラインのかゆみ重症度スコアは、年齢階層や性別、体重、罹患期間など、全4群において14階層群から得ていた。 12週時点において、プラセボ群のスコアのベースラインからの変化は、平均-5.1±5.6であり、75mg群は-5.9±6.5(p=0.46)、150mg群は-8.1±6.4(p=0.001)、300mg群は-9.8±6.0(p<0.001)であった。また同時点での、事前特定の副次アウトカムについてはほとんどが同等性を示した。有害事象の頻度も同程度であった。 重大な有害イベントの発生は概して低かったが、300mg群(6%)で、プラセボ群(3%)や75mg群および150mg群(いずれも1%)よりも高率だった。

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Dr.中野のこどものみかたNEO

第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」 第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」他科領域で“最も難しい”、“なるべくなら回避したい”とされる小児科。小児の特異性は成人を診ることが多い医師にはどうしても判断しにくいものです。このシリーズでは、一般内科医の「診断はどうすれば良いのか?」「治療薬の処方は?」などの疑問に小児科専門医が答えるQ&A形式でわかりやすくお伝えしていきます。新米ママでもある馬杉先生が臨床現場の生の声をぶつけます。2008 年に改訂されたガイドラインを基軸に、現在の小児・乳児の気管支喘息の診断や治療、そして保護者への具体的な指導内容とその方法を徹底的に解説します。医師のみならず薬剤師や看護師など、小児と保護者に接する機会のある全ての医療従事者にご覧いただける内容です。第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」最近では一般の医師でも漢方を処方したり、西洋薬と併用使用したりするケースが増えてきましたが、逆に情報通の保護者から漢方処方を依頼されることもあるのではないでしょうか。夜泣きや疳の虫、引きつけなど小さなこどもに多くみられる特有の症状。病気とはいえないがママ達には大変なストレス ! 漢方はそんな症状にズバリ著効することが多々あるのです。もちろん、嘔吐や下痢、発熱、くしゃみ鼻水といった一般的な症候によく効く漢方薬もあります。比較的小児に用い易い漢方処方を取り上げ、症例に沿って紹介します。大流行したノロウイルス感染症に効果のある「五散」のほか、「抑肝散」の母子同服という裏ワザ、そして服薬指導も行います。苦手意識をもたずに先ずは実践してみてください。第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」Hib(インフルエンザ菌b型)と肺炎球菌(7価混合型)の2 種のワクチンについて学習します。Hib も肺炎球菌も、細菌性髄膜炎や中耳炎、肺炎、ときには菌血症といった非常に深刻な感染症を引き起こす菌。こどもが保育園などに通い始めると1年あまりで保菌率が飛躍的に上昇します。そのため家族に高齢者がいれば飛沫感染で影響を及ぼすこともあります。これらのワクチンは、世界的には非常にポピュラーでありWHO でも定期接種が勧められていながら日本では認知度も接種率も低かったのですが、2011 年度から公費助成での接種が始まりました。公衆衛生や集団免疫の観点からも、小児科医だけでなく全ての医師と医療従事者がきちんと知っておく必要がありますので、この機会に是非ワクチンの知識を身につけてください !第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」第4回は小児疾患ではなく、子宮頸がんとそのワクチンについて学習します。近年急増傾向にあり、特に20 代から30 代女性の罹患と発症が問題となっています。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染症によって引き起こされ、日本では成人女性の実に4 割以上がHPV に感染しているという驚くべき感染症です。タイプによっては予後が非常に悪く発症後の死亡率も高いため「Mother killer」と呼ばれています。にも関わらず日本では定期検診受診率が低くワクチンに関しても浸透しておらず、医師を含む医療従事者の間でさえ認知度が高いとはいえませんでした。しかし、2009 年12月から一般の医療機関でワクチン接種が可能となり、国と市町村の公費助成がはじまったため、婦人科以外で問合せを受ける可能性もあります。ワクチンで予防可能ながんをよく知り、その重要性を患者さんに啓蒙できるようになることが、これからの医療には求められるのではないでしょうか。

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Dr.林の笑劇的救急問答5

第3回「さ、さ、酸素! ~一酸化炭素中毒~」第4回「さ、さ、酸素! ~気管支喘息~」 第3回「さ、さ、酸素! ~一酸化炭素中毒~」一酸化炭素(以下CO)中毒は、案外日常生活の中や事件・事故現場に潜んでいます。しかし、疑わないと分からないのがCO中毒の落とし穴。患者さんの主訴や血液検査の結果だけでは見逃してしまう事もあります。何を、どう疑えば診断に辿り着けるのか、そしてCO中毒と診断した場合どのように戦えばいいのか、習得してください。 40歳男性 頭痛と嘔吐を主訴に来院。本人は食あたりを主張するが下痢はない…。 家具工場の火事から救出された三人の男性。それぞれの状態に合せどう対応すればいいのか?第4回「さ、さ、酸素! ~気管支喘息~」気管支喘息は非常によくある疾患で、夜間外来などにも老若男女を問わず来院します。重症の患者さんが徒歩で来院することも決して珍しくありません。また「吸入で改善するだろう」などと甘く見ていると吸入薬が効かなかったり、来院後にみるみる具合が悪くなっていくケースもあります。そんなとき、次の一手はどうするか? 様々な戦術をDr.林が披露します ! 27歳女性 喘息発作で来院。呼吸困難でピークフローは100l/min SpO2 88% 75歳男性 夜間、喘息発作で救急へ。気管支拡張薬やステロイドが著効しない…。

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小児期の吸入グルココルチコイド服薬と発育との関連/NEJM

 思春期前の小児における吸入グルココルチコイドの使用は、服薬開始後数年間の発育を低下し、大人になった時の身長は低くなるが、発育の低下は進行も累積もしないことが明らかにされた。米国・ニューメキシコ大学のH. William Kelly氏ら小児喘息マネジメントプログラム(CAMP)研究グループが、「服薬開始後1~4年の発育の低下が、成人でも発育を低下するとは考えられない」として、同プログラム参加者を対象に調査した結果で、NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)にて発表した。試験開始時にブデソニド、ネドクロミル、プラセボ投与群に無作為化 研究グループは、CAMP(Childhood Asthma Management Program)の参加者1,041人のうち943人(90.6%)について、平均24.9±2.7歳時の成人身長を測定・評価した。被験者は5~13歳時の試験開始時に、ブデソニド(商品名:パルミコート)400μg/日投与群、ネドクロミル(国内未承認)16mg/日投与群、プラセボ投与群の、いずれかに無作為に割り付けられ4~6年の間投与を受けた。人口統計学的特性、喘息の特性、試験登録時の身長を調整した多重線形回帰分析を用いて、各治療群の成人身長を算出し、プラセボ群と比較した。身長格差は吸入服薬開始後2年間、1日投与量が増すほど大きく結果、平均成人身長は、プラセボ群と比較してブデソニド群は1.2cm低く(95%信頼区間:-1.9~-0.5、p=0.001)、ネドクロミル群は0.2cm低かった(同:-0.9~0.5、p=0.61)。最初の2年間、吸入グルココルチコイドの1日投与量が多いほど成人身長は低くなる関連(1μg/kg体重につき-0.1cm)が認められた(p=0.007)。ブデソニド群のプラセボ群に対する成人身長の格差は、治療2年後時点で認められた格差(-1.3cm:95%信頼区間:-1.7~-0.9)と同等であった。ブデソニド群の最初の2年間の発育速度の低下は、主に思春期前の被験者で認められた。

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チオトロピウムによる喘息患者の肺機能改善

 2012年欧州呼吸器学会(ERS)総会にて、ベーリンガーインゲルハイムは、喘息患者を対象とした包括的な第3相臨床試験PrimoTinA-asthma試験結果の一部を発表した。 PrimoTinA-asthma試験は2つの二重盲検並行群間比較試験からなる第3相臨床試験。高用量ICSとLABAの併用治療を受けており、気管支拡張剤投与後の1秒量が予測値の80%未満、喘息管理質問票(ACQ)スコアが1.5以上の喘息患者912人を、チオトロピウム(5μgレスピマットソフトミスト吸入器使用)または、プラセボ群に分け、それぞれ48週間上乗せ投与した。 主要評価項目である肺機能(投与24週間後のピークFEV1とトラフFEV1)は、プラセボ群と比べチオトロピウム投与群で有意に改善した。また、重度の喘息増悪については、プラセボ群に比べチオトロピウム投与群で初回の重度の喘息増悪までの期間を有意に遅らせ、そのリスクを抑制した(HR= 0.79、P=0.03)。さらに、チオトロピウム投与群は、すべての喘息増悪のリスクを抑制した(P

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