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第159回 アルツハイマー病行動障害の初の承認薬誕生近し?/コロナ肺炎患者への欧米認可薬の効果示せず

アルツハイマー型認知症の難儀な振る舞いの初の承認薬誕生が近づいているアルツハイマー型認知症患者の半数近い約45%、多ければ60%にも生じうる厄介な行動障害であるアジテーション(過剰行動、暴言、暴力など)の治療薬が米国・FDAの審査を順調に進んでいます。大塚製薬がデンマークを本拠とするLundbeck社と開発した抗精神病薬ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ)は昨夏2022年6月に速報された第III相試験結果でアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(agitation associated with Alzheimer’s dementia、以下:AAD)を抑制する効果を示し1)、今年初めにその効能追加の承認申請がFDAに優先審査扱いで受理されました2)。アジテーションは誰もが生まれつき持つ感情や振る舞いが過度になることや場違いに現れてしまうことであり、多動や言動・振る舞いが攻撃的になることを特徴とします。アジテーションは患者本人の生きやすさを大いに妨げるのみならずその親しい人々をも困らせます。第III相試験では徘徊、怒鳴る、叩く、そわそわしているなどの29のアジテーション症状の頻度がプラセボと比較してどれだけ減ったかがCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)という採点法によって調べられました。29のアジテーション症状それぞれの点数は1~7点で、点数が大きいほど悪く、症状がない(Never)場合が1点で、1時間に繰り返し認められる場合(Several times an hour)は最大の7点となります。試験にはAAD患者345例が参加し、ブレクスピプラゾール投与群の12週時点のCMAI総点がプラセボ群に比べて5点ほど多く低下し、統計学的な有意差を示しました(22.6点低下 vs.17.3点低下)3)。同試験結果をもとに承認申請されたその用途での米国審査は順調に進んでおり、先週14日に開催された専門家検討会では同剤が有益な患者が判明しているとの肯定的判断が得られています4)。FDAの審査官も肯定的で、同剤の効果はかなり確からしいとの見解を検討会の資料に記しています5)。AADを治療するFDA承認薬はありません。ブレクスピプラゾールのその用途のFDA審査結果は間もなく来月5月10日までに判明します。首尾よく承認に至れば、同剤はFDAが承認した初めてのAAD治療薬の座につくことになります。その承認は歴史的価値に加えて経済的価値もどうやら大きく、その効能追加で同剤の最大年間売り上げが5億ドル増えるとアナリストは予想しています6)。重症コロナ肺炎患者へのIL-1拮抗薬anakinraの効果示せずスペインでの非盲検の無作為化第II/III相試験でIL-1受容体拮抗薬anakinraが重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎患者の人工呼吸管理への移行を防ぐことができませんでした7)。ANA-COVID-GEASという名称の同試験は炎症指標の値が高い(hyperinflammation)の重症コロナ肺炎患者を募り、179例がanakinraといつもの治療(標準治療)または標準治療のみの群に割り振られました。プラセボ対照試験ではありません。主要転帰は15日間を人工呼吸なしで過ごせた患者の割合で、解析対象の161例のうちanakinra使用群では77%、標準治療のみの群では85.9%でした。すなわちanakinraなしのほうがその割合はむしろ高く、人工呼吸の出番を減らすanakinraの効果は残念ながら認められませんでした。侵襲性の人工呼吸を要した患者の割合、集中治療室(ICU)を要した患者の割合、ICU滞在期間にも有意差はありませんでした。それに死亡率にも差はなく、28日間の生存率はanakinra使用群と標準治療のみの群とも93%ほどでした。試験の最大の欠点は非盲検であることで、他に使われた治療薬の差などが結果に影響した恐れがあります。同試験の結果はanakinraが有効だった二重盲検のプラセボ対照第III相試験(SAVE-MORE)の結果と対照的です。欧州は600例近くが参加したそのSAVE-MORE試験結果に基づいてコロナ肺炎患者へのanakinraの使用を2021年12月に承認しています8)。SAVE-MORE試験は重度呼吸不全か死亡に至りやすいことと関連する可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(suPAR)上昇(6ng/mL以上)患者を対象としました。今回発表されたスペインでの試験結果と異なり、SAVE-MORE試験では重症呼吸不全への進展か死亡がanakinra使用群ではプラセボ群に比べて少なく済みました(20.7% vs.31.7%)9)。また、生存の改善も認められ、anakinraは28日間の死亡率をプラセボ群の半分以下に抑えました(3.2% vs.6.9%)。SAVE-MORE試験の被験者選定基準にならい、欧州はsuPARが6ng/mL以上の酸素投与コロナ肺炎患者への同剤使用を認めています10)。米国もsuPARが上昇しているコロナ肺炎患者への同剤使用を取り急ぎ認可しています11)。参考1)Otsuka Pharmaceutical and Lundbeck Announce Positive Results Showing Reduced Agitation in Patients with Alzheimer’s Dementia Treated with Brexpiprazole / BusinessWire 2)Otsuka and Lundbeck Announce FDA Acceptance and Priority Review of sNDA for Brexpiprazole for the Treatment of Agitation Associated With Alzheimer’s Dementia / BusinessWire3)Otsuka Pharmaceutical and Lundbeck present positive results showing reduced agitation in patients with Alzheimer’s dementia treated with brexpiprazole at the 2022 Alzheimer's Association International Conference / BusinessWire4)Otsuka and Lundbeck Issue Statement on U.S. Food and Drug Administration (FDA) Advisory Committee Meeting on REXULTI® (brexpiprazole) for the Treatment of Agitation Associated with Alzheimer’s Dementia / BusinessWire5)FDA Briefing Document6)Otsuka, Lundbeck head into key FDA panel meeting with agency support for their Rexulti application / FiercePharma7)Fanlo P, et al. JAMA Netw Open. 2023;6:e237243.8)COVID-19 treatments: authorised / EMA9)Kyriazopoulou E, et al. Nature Medicine. 2021;27:1752-1760.10)Kineret / EMA11)Kineret® authorised for emergency use by FDA for the treatment of COVID-19 related pneumonia / PRNewswire

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肺機能と認知症リスク~43万人超のコホート研究

 脳の認知的な健康に、肺機能が他の因子と独立して影響を及ぼすかはよくわかっていない。中国・青島大学のYa-Hui Ma氏らは、肺機能と脳の認知的な健康の縦断的な関連性を評価し、根底にある生物学的および脳の構造的なメカニズムを明らかにしようと試みた。その結果、認知症発症の生涯リスクに対する個々の肺機能の影響が確認され、著者らは、「最適な肺機能の維持は、健康的な加齢や認知症予防に有用である」としている。Brain, Behavior, and Immunity誌2023年3月号の報告。 UK Biobankのデータより、肺機能検査を実施した非認知症の43万1,834人を対象に、人口ベースのコホート研究を実施した。肺機能低下の認知症発症リスクを推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。炎症マーカー、酸素運搬指数、代謝物、脳の構造によって引き起こされる根本的なメカニズムの調査には媒介分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・373万6,181人年のフォローアップ期間中(平均:8.65年)に、すべての原因による認知症は5,622人(1.30%)であった(アルツハイマー型認知症:2,511人、血管性認知症:1,308人)。・単位時間当たりの肺機能測定値の低下は、すべての原因による認知症リスクの増加と関連が認められた。 【1秒量(努力肺活量の1秒量)】ハザード比[HR]:1.24、95%信頼区間[CI]:1.14~1.34、p=1.10×10-07 【努力肺活量】HR:1.16、95%CI:1.08~1.24、p=2.04×10-05 【最大呼気流量】HR:1.0013、95%CI:1.0010~1.0017、p=2.73×10-13・肺機能の低下は、アルツハイマー型認知症および血管性認知症のリスクにおいても、同様の推定ハザード比を示した。・根底にある生物学的メカニズムとして、炎症マーカー、酸素運搬指数、特定の代謝産物は、認知症リスクに対する肺機能の影響を媒介する因子であった。・認知症で主に影響を受ける脳の灰白質および白質のパターンは、肺機能により大きな変化が認められた。・最適な肺機能を維持することは、健康的な加齢や認知症予防に役立つ可能性が示唆された。

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医師の働き方改革の対策セミナー、オンデマンド配信のご案内

 2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則960時間となる、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートする。医療・健康分野のシステム開発などを手掛けるメディカル・データ・ビジョンは4月14日、「1年切った医師の働き方改革、病院の準備は? 医師の本音は?」と題した無料WEBセミナーを開催した(協賛:レイヤード、協力:ケアネット)。 セミナーには約350人(うち医師102人)が参加、日本赤十字社 愛知医療センター 名古屋第二病院の前事務部長である渡辺 徹氏が「これだけは準備しておきたい『医師の働き方改革』」と題した講演を行った。渡辺氏は時間外上限規制の概要を説明した上で、ポイントとなる労働基準法上の宿日直や自己研鑽の労働時間該当性、追加的健康確保措置について解説した。 質疑応答では、「対応が遅れているが、病院組織のどこが主導すれば効率的か?」「宿日直許可は過去に取得したものでも有効か?」「院内で何らかの説明会を開催した方がいいか?」など、具体的な質問が相次いだ。渡辺氏は「医師の働き方改革の中でも、とくに複数主治医制の導入は必須と考えている。少しでも早く取り組みを進めてほしい」とアドバイスした。申込者を対象に、同セミナーをオンデマンド配信する。・申込期限:4月20日(木)12:00まで・視聴期間:4月28日(金)17:00まで<申し込みは下記より>「医師の働き方改革」対策Webセミナー 参加登録フォーム

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日本人統合失調症患者の職業機能に認知機能はどう関連しているか

 統合失調症患者の職業機能に対し、認知機能が影響を及ぼしていることが示唆されている。帝京大学の渡邊 由香子氏らは、日本人統合失調症患者の職業機能に対する認知機能の影響を評価するため、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)を用いた研究を行った。その結果、統合失調症患者の職業機能は、全体的な認知機能と関連しており、とくにBACSのシンボルコーディングスコアが、作業能力と関連していることが示唆された。Neuropsychopharmacology Reports誌2023年3月号の報告。 対象は、統合失調症または統合失調感情障害の外来患者198例(女性:66例、平均年齢:34.5±6.8歳)。職業機能の評価には、精神障害者社会生活評価尺度の労働サブスケール(LASMI-w)を用いた。独立変数をBACS、従属変数をLASMI-wとし、重回帰分析を行った。LASMI-wスコアに応じて3群(11未満、11~20、21以上)に分類し、多重ロジスティック回帰を行った。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析では、LASMI-wスコアは、BACS複合スコアとの負の相関が確認された(β=-0.20、p<0.01)。・BACSのサブ項目の中で、シンボルコーディングスコアのみで有意な負の相関が認められた(β=-0.19、p<0.05)。・多重ロジスティック回帰では、BACS複合スコアとシンボルコーディングスコアが高いほど、職業機能障害の程度が小さいことが示唆された。 ●BACS複合スコア(β=2.39[職業機能障害レベル 軽度 vs.中等度]、p<0.05) ●BACSシンボルコーディングスコア(β=2.44[職業機能障害レベル 軽度 vs.重度]、p<0.05)・これらの結果は、就労支援を目的とした認知リハビリテーションの評価やトレーニングに役立つ可能性がある。

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PM2.5曝露で認知症リスク増加の可能性~メタ解析/BMJ

 直径2.5ミクロン未満の微小粒子状物質(PM2.5)への曝露が認知症リスクの増加と関連する可能性があり、ややデータが少ないものの二酸化窒素と窒素酸化物への曝露にも同様の可能性があることが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のElissa H. Wilker氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号に掲載された。認知症リスクと大気汚染物質の関連をメタ解析で評価 研究グループは、認知症リスクにおける大気汚染物質の役割の調査を目的に、文献の系統的レビューとメタ解析を行った(Harvard Chan National Institute of Environmental Health Sciences Center for Environmental Healthなどの助成を受けた)。 成人(年齢18歳以上)を対象に長期の追跡調査を行い、1年以上の曝露を平均化し、環境汚染物質と臨床的な認知症の関連を報告した研究を対象とした。 2人の研究者が別個に、所定のデータ抽出書式を用いてデータを抽出し、Risk of Bias In Non-randomised Studies of Exposures(ROBINS-E)の方法を用いてバイアスリスクを評価。結果に影響を与える可能性がある試験因子による違いが考慮された。オゾンには関連がない 2,080件の記録から51件の研究が適格基準を満たし、メタ解析には16件が含まれた。積極的症例確認を行った研究が9件、受動的症例確認を行った研究が7件で、それぞれ4件および7件はバイアスリスクが高いと判定された。 PM2.5については、14件の研究がメタ解析の対象となった。PM2.5の曝露量2μg/m3当たりの認知症のハザード比(HR)は1.04(95%信頼区間[CI]:0.99~1.09)であった。積極的症例確認を行った7件の研究では、HRは1.42(1.00~2.02)であり、受動的症例確認を行った7件の研究では、HRは1.03(0.98~1.07)だった。 また、二酸化窒素10μg/m3当たりのHRは1.02(95%CI:0.98~1.06)(9研究)、窒素酸化物10μg/m3当たりのHRは1.05(0.98~1.13)(5研究)であった。 一方、オゾン5μg/m3当たりのHRは1.00(95%CI:0.98~1.05)(4研究)であり、認知症との明確な関連は認めなかった。 著者は、「本研究におけるメタ解析によるハザード比には限界があり、解釈には注意が必要である」とし、「今回示された知見は、PM2.5やその他の大気汚染物質への曝露を制限することの公衆衛生上の重要性を支持し、疾病負担の評価や施策の審議を行う際に、環境汚染物質の認知症への影響に関する最良の推定値を提供するものである」と述べている。

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片頭痛患者の血清尿酸値は痛みの強さに影響しているのか

 プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。 片頭痛患者78例、病院職員よりランダムに抽出した健康な対照群78例を対象に、プロスペクティブ横断研究を実施した。頭痛の特徴(発作持続時間、痛みの強さ、頻度)および社会人口統計学的特徴を収集した。片頭痛患者では頭痛発作中および頭痛がない期間の2回、対照群では1回、SUAレベルを測定した。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛患者における頭痛がない期間のSUAレベルは対照群より高かったが、その差は統計学的に有意ではなかった。・頭痛発作中および頭痛がない期間のSUAレベルの変化に、性差は認められなかった。・年齢、片頭痛の持続時間、頻度、間隔と痛みの強さの関連を調査したところ、女性の片頭痛患者においてSUAレベルの差は痛みの強さと弱い相関が認められ(p<0.05、R>0.250)、男性の片頭痛患者では中程度の相関が認められた(p<0.05、R>0.516)。・頭痛がない期間と比較した頭痛発作中のSUAレベルの差に痛みの強さとの正の相関が認められたことから、SUAはその抗酸化作用により片頭痛に関与している可能性が示唆された。

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オレキシン受容体拮抗薬を使用している日本人不眠症患者の特徴

 日本におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンに関して、臨床現場のリアルワールドデータを調査した研究はほとんどない。MSDの奥田 尚紀氏らは、日本の不眠症患者へのオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子を特定する初の調査を実施し、睡眠薬による治療歴の有無により、オレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子は異なることを明らかにした。著者らは、「本調査結果は、オレキシン受容体拮抗薬を用いた適切な不眠症治療の指針となりうる可能性がある」としている。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年3月3日号の報告。オレキシン受容体拮抗薬処方のオッズ比の高さと関連していた因子 対象は、2018年4月~2020年3月の間に、不眠症による1つ以上の睡眠薬の処方が12ヵ月以上継続していた20~74歳の外来患者。JMDC Claims Databaseより患者データを抽出した。睡眠薬の新規/非新規の使用(処方歴がない/ある)患者それぞれにおいてオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子(患者の人口統計学的因子および精神医学的合併症)を特定するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 日本の不眠症患者へのオレキシン受容体拮抗薬処方に関連する因子を特定する調査の主な結果は以下のとおり。・睡眠薬の新規使用患者5万8,907例中、評価時点でオレキシン受容体拮抗薬が処方されていた患者は1万1,589例(19.7%)であった。・睡眠薬の新規使用患者において、オレキシン受容体拮抗薬処方のオッズ比(OR)の高さと関連していた因子は、男性(OR:1.17、95%信頼区間[CI]:1.12~1.22)、双極性障害の合併(OR:1.36、95%CI:1.20~1.55)であった。・睡眠薬の非新規(処方歴がある)患者8万8,611例中、評価時点でオレキシン受容体拮抗薬が処方されていた患者は1万5,504例(17.5%)であった。・睡眠薬の処方歴がある患者において、オレキシン受容体拮抗薬処方のORの高さと関連していた因子は、若年と以下の精神疾患の合併であった。 ●神経認知障害(OR:1.64、95%CI:1.15~2.35) ●物質使用障害(OR:1.19、95%CI:1.05~1.35) ●双極性障害(OR:1.14、95%CI:1.07~1.22) ●統合失調症スペクトラム障害(OR:1.07、95%CI:1.01~1.14) ●不安症(OR:1.05、95%CI:1.00~1.10)

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医師の働き方改革、いまだ2割強が基準超の時間外勤務/医師1,000人アンケート

 2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則960時間となる、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートするのを踏まえ、会員の勤務医1,000人を対象に働き方改革の制度の理解度、期待と不安、勤務先の対応策などについて聞くアンケートを実施した(2023年3月9日実施)。 直近1年間の勤務時間について、1日8時間・週40時間(=5日)勤務を基準とした場合の「当直を含む時間外労働時間の合計」を聞いたところ、「月45時間未満・年360時間以下(≒週7時間)」が42%、「月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)」が36%、「月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)」が13%、「週40時間を超える」が9%という結果となった。この割合は年代別(20、30、40、50代以上)、診療科別(外科・救急科とそれ以外の診療科)で比較しても大きな違いは見られなかった。 2019年にCareNet.comが行ったアンケートでも同じ質問をしたが、このときは時間外労働が週40時間を超える医師は全体の19%だったが、今回は22%と悪化した。今回のアンケートは対象を勤務医(勤務先病床数20床以上)に限定、外科・救急科に総数の5分の1を割り当てるなどやや条件が異なるものの、この4年間で時間外労働の削減があまり進んでいないことがうかがわれる結果となった。 長年の議論を経て、ようやく固まりつつある医師の働き方改革の各制度についての理解度を聞いたところ、改革の柱となる「時間外労働の上限規制」については「完全に理解している」「おおよそ理解している」の合計が53%と半数を超えたが、「宿日直の扱いと許可」では45%、「自己研鑽時間の扱い」では43%と医師本人の働き方に関する項目でも半数に届かず、「B/連携B、Cの特例水準」では39%、「今後のスケジュール」では37%に留まった。 「医師の働き方改革に期待していることや不安なこと」を選択式(3つまで)で聞いたところ、期待としては「サービス残業がなくなる」が28%、「プライベートの時間が増える」が26%で続いた。一方、不安としては「収入が減る」がダントツの37%、続いて「アルバイト・副業等が禁止される」23%、「サービス残業が増える」22%で、全体として期待よりも不安に関する項目に多くの票が集まった。 「派遣先勤務・アルバイト・副業等について、主たる勤務先に業務内容・勤務時間を届け出ているか」との設問では、43%が「届け出ている」と回答したが、「届け出ていない」との回答も23%にのぼり、働き方改革スタートまで1年となっても、勤務医の正確な勤務時間や業務内容の把握ができていない医療機関が相当数に上ることが予想される結果となった。 「主たる勤務先では、働き方改革に対して何らかの対策をとっているか」(複数回答)との設問には、「医師スタッフの増員(常勤・非常勤とも)」が20%、「宿日直勤務の許可・申請」が19%で全体の5分の1を占めたものの、最多は「何もしていない」の35%だった。 最後に自由記述で「医師の働き方改革に関する意見」を聞いたところ、数多くの回答が集まった。最も目に付いたのは時間外労働規制による給与減の不安に関するもので、20~30代の若手層を中心に「収入減が一番困る。忙しくてもいいから維持したい」(20代、臨床研修医)、「給与改定を望む。基本給が少なく時間外勤務の補填で必要な給与を確保していたので、かなり痛い」(40代、脳神経外科)、「医師に働き方改革は不要。労働時間を減らすのではなく、労働時間分の給料を出せ」(30代、放射線科)といった「労働時間に見合った報酬を支払うべき」との声が目立った。 そのほか、「従うしかない。主治医制も変わっていくのでは」(50代、外科)、「公立病院は昔のブラックな働き方が残っているが、徐々に改善されるだろう。反面、人員の確保や報酬の増加により経営が圧迫される懸念がある」(60代、内科)、「若手が権利ばかりを主張し、結局しわ寄せが管理者側に来てしまうだけの制度だと思う」(40代、消化器内科)といった、多様な意見が寄せられた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。1年後に迫る医師の「働き方改革」、認知度と対策は?…会員1,000人アンケート

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アリピプラゾールの自律神経への影響、長時間作用型注射剤と経口剤の比較

 非定型抗精神病薬は、自律神経系(ANS)の活動にさまざまな影響を及ぼす。中でも、経口の抗精神病薬であるアリピプラゾールは、ANS機能不全と関連しているといわれている。長時間作用型注射剤(LAI)は統合失調症の主な治療オプションであるが、ANS活性に対するLAIと経口剤との違いは、これまでよくわかっていなかった。横浜市立大学の服部 早紀氏らは、統合失調症におけるアリピプラゾールの経口剤と月1回LAI(AOM)のANS活性への影響を比較検討した。その結果、AOMによる単剤治療は、経口アリピプラゾールと比較し、交感神経系などの副作用リスクが低いことを報告した。BMC Psychiatry誌2023年3月3日号の報告。 対象は、日本人統合失調症患者122例(入院患者:10例、外来患者112例、男性:51例、女性:71例、平均年齢[±SD]:43.2±13.5歳)。内訳は、経口アリピプラゾール単剤治療患者72例、AOM単剤治療患者50例であった。ANS活性の評価には、心拍変動パワースペクトル解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・経口アリピプラゾールで治療された患者は、AOMで治療された患者と比較し、交感神経活性の有意な減少が観察された。・重回帰分析では、アリピプラゾール製剤は、交感神経活性に有意な影響を及ぼすことが明らかとなった。・AOMは、経口アリピプラゾールよりも、交感神経系などの副作用リスクが低いことが示唆された。

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精神科病棟の認知症患者に対する音楽療法~レトロスペクティブ研究

 音楽療法は、地域および施設でケアされている認知症患者の気分を高め、興奮を軽減し、苦痛を伴う行動の減少が期待できる治療法である。しかし、精神科病棟に入院している認知症患者に対する音楽療法の影響はあまり知られていない。英国・アングリア・ラスキン大学のNaomi Thompson氏らは、2つの精神科病棟において認知症患者に対する音楽療法の影響を調査した。その結果、音楽療法を実施した日は実施しなかった日と比較し、苦痛を伴う行動が有意に減少し、音楽療法が患者の気分および興奮の軽減をサポートする価値ある介入であることが報告された。BJPsych Open誌2023年2月23日号の報告。 本研究には混合研究法を用いた。COVID-19パンデミックにより音楽療法の実施が変化した2020年、「破壊的および攻撃的(disruptive and aggressive)」として報告された行動を含むインシデントについて統計分析を行った。音楽療法士3人、病棟スタッフ8人を対象にオンラインによる半構造化インタビューを実施し、分析には再帰的テーマティック分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・定量的な調査では、対面での音楽療法を実施した日(14日ごと)は、音楽療法を実施しなかった日(3.3日ごと)またはオンラインでの音楽療法を実施した日(3.1日ごと)と比較し、破壊的および攻撃的として報告された行動の頻度の有意な減少が確認された。・定性的な調査においてもこれは裏付けられ、音楽療法士および病棟スタッフは、音楽療法はアクセスが簡便で意義があり、患者の気分を高め興奮を軽減し、1日中持続するベネフィットおよび病棟環境への影響の可能性があることを報告した。・音楽療法の影響と最適な実施方法を調査するためには、介入研究が必要である。

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 1

今回のキーワード主流秩序過剰適応排他性独裁国家多様性自己効力感ほど良い(グッド・イナッフ)中学受験みなさんは子供をパーフェクトにさせたいですか? 勉強ができてスポーツができて、親や先生の言うことをよく聞くような? やがて、パーフェクト(有名)な学校に合格させて、パーフェクトな会社に就職させて、パーフェクトな人と結婚させて…。そんな子供を育てる自分はパーフェクトな親になるでしょうか?一方で、そんなパーフェクトであることに危うさはないでしょうか? それに気付かせてくれるのが、映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」です。今回の舞台は、誰もがパーフェクトになれる楽園「パラダピア」。そこで、ドラえもんやのび太たちが冒険を繰り広げます。とくに今回は、子供だけでなく、大人も楽しめ考えさせられるストーリーになっています。この記事では、この映画を通して、パーフェクトであると思えること(自己効力感)とパーフェクトでなくてもいいと思えること(自己肯定感)をテーマに、より良い子育てのあり方、そしてより良い社会のあり方を一緒に考えてみましょう。パラダピアとは?のび太は、出木杉くんから教えてもらった空想の国ユートピアを探し求めるなか、ついに未来の世界で、パラダピアを見つけます。そこで出迎えるパーフェクトネコ型ロボットのソーニャから、パラダピアがどんな国かを聞かされます。それでは、まずその特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)争いがないソーニャは説明します。「人口は400人ほど。みな、穏やかでルールを守り、大人はよく働き、子供はよく勉強をします」「ここは争いも犯罪もない、誰もが幸せに暮らせる世界」と。これは、出木杉くんのセリフ「ユートピアは…争いも戦争もなく、飢えることもない、誰もが幸せに暮らせる国なんだ」に重なります。1つ目は、争いがないことです。(2)みんなパーフェクトになれるソーニャは続けて「パラダピアには不思議な力があるのです。のび太様もここで暮らせば、勉強もスポーツもできるパーフェクト小学生になります」と言います。実際に、パラダピアの学校では、みんな笑顔で親切です。のび太は、何とか算数の問題を解くとみんなから祝福されて幸せそうです。2つ目は、みんなパーフェクトになれることです。(3)偉い人がすべて決めてくれるソーニャはのび太たちを大聖堂に案内し、三賢人を紹介します。そして、「サイ様は科学、ポーリー様は政治、カルチ様は文化芸術をつかさどる賢人。このパラダピアは3人の天才が創り上げた理想の国なのです」と説明します。彼らが、パラダピアで起きるものごとをすべて決めているというわけです。3つ目は、偉い人がすべて決めてくれることです。パラダピアの正体とは?パラダピアとは、争いがなく、みんなパーフェクトになれて、偉い人がすべて決めてくれる、まさにユートピアのようです。しかし、実はパラダピアにはある大きな秘密が隠されていました。これは、パーフェクトであることの危うさにつながります。次のページから、その危うさを3つ挙げてみましょう。なお、ネタバレになりますので、ご注意ください。次のページへ >>

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 2

パラダピアの正体とは?ここからがネタバレになりますので、ご注意ください。(1)「パーフェクト」な人の言いなりになるドラえもんとのび太の前に、マリンバが現れます。彼女は、未来の世界でパラダピアに無理やり連れてこられ閉じ込められている住人たちを助け出す任務を負っていたのです。彼女は、2人に「三賢人が研究しているのは人を操る光よ」と明かします。その光とは、実はパラダピアンライト(パラダピアの人工太陽)だったのです。1つ目は、「パーフェクト」な人の言いなりになることです。受け身になり、自分の頭で考えなくなることです。「パーフェクト」とは、実は三賢人にとって都合の良い人間になることだったのです。よって、ここではパーフェクトをカギかっこにしています。そして実は、この「パーフェクト」は私たちの世の中で多数派が望ましいと思う価値観とも言い換えられます。心理学では、これを主流秩序と呼んでいます。そして、それに従わせる力を同調圧力と呼んでいます。パラダピアンライトは、まさにこの象徴と言えるでしょう。なお、主流秩序の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)パーフェクト」であることにとらわれるパラダピアンライトによって、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんが一様に同じ笑顔でおとなしくなり、パラダビアの住人になっていくなか、のび太だけがなぜか変わりません。そんなのび太は「みんな、怒ることも大笑いすることも泣くこともない。ただ毎日、三賢人の決めた通りに生活してるだけ。そんなのパーフェクトなんかじゃない」と言うのです。2つ目は、「パーフェクト」であることにとらわれることです。そのために取りつくろい、やがて染まってしまうことです。これは、パーフェクトであることに無理をしてしまったり、パーフェクトでなければ生きている価値がないと自分を追い詰めてしまうことにもなってしまいます。これは、エリートの自殺が少なからずいることを説明できるでしょう。心理学では、これを過剰適応と呼んでいます。この詳細は、関連記事2をご覧ください。(3)「パーフェクト」でなければ懲らしめられるのび太は夜中にジャイアンたちを起こして逃げだそうと試みます。ところが、ジャイアンから「勝手に外に出るのは規則違反ですよ」と言われ、スネ夫からは「すみませーん、規則を破ろうとする人がいまーす」と誰かを呼ばれそうになります。また、ソーニャは、ドラえもんと仲良くなったことで、三賢人の言うことをすぐに従わなくなります。すると、三賢人から「また、ガラクタに戻すぞ!」と脅されます。パラダピアは、争いのない国なのではなく、自己主張したら罰せられる国だったのです。3つ目は、「パーフェクト」でなければ懲らしめられることです。それ以外は認められず、それ以外の生き方の自由や多様性がないことです。心理学では、これを排他性と呼んでいます。この詳細については、関連記事3をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」【それでもパーフェクトな子供にさせたい?(自己肯定感)】Part 3

自己肯定感とは?パーフェクトであることの危うさは、「パーフェクト」な人の言いなりになる、「パーフェクト」であることにとらわれる、「パーフェクト」でなければ懲らしめられることであることがわかりました。つまり、パラダピアという国は、ユートピアとは名ばかりで、その正体は実は独裁国家であったということです。三賢人に追い詰められるなか、ドラえもんは「パーフェクトになんかならなくていい」「これがぼくだからだ!」と訴えます。そして、ドラえもんが何もできない状況で、三賢人から「役に立たないロボットは価値がないでしょう?」と問われた時、のび太は「ドラえもんはぼくのそばにいてくれるよ」「一緒に泣いてくれるよ。一緒に笑ってくれるよ。いらないものなんかじゃない!ぼくの大事な友達だ!」と言い返します。そして、「パーフェクト」洗脳から目が覚めたジャイアン、スネ夫、しずかちゃんも加わり、「いろんな人がいるから面白いんだ。ここはユートピアなんかじゃない!」とはっきり言うのです。最後に、のび太たちがパラダピアでの冒険を終えて無事に帰ってきた時、彼はドラえもんに「ぼく、なんだかこの町が前よりずっと好きになったよ。ユートピアなんていらなかったんだ」「だってこの世界は初めから素晴らしいんだもん!」と言います。パラダピアに来た当初に「ぼくのいた世界はひどい」というのび太のセリフと対照的です。彼の成長を感じさせます。今回の冒険で、彼は、多様性の素晴らしさを学び、そして、自己肯定感を高めたのでした。自己肯定感とは、「パーフェクトでなくてもいい」「どんなことがあっても大丈夫」など、自分を無条件に肯定する感覚です。いわゆる自尊心とも言い換えられます。ただし、のび太は、ラストシーンで0点の答案を見たママから怒られて「そのままのぼくを愛してよ~」と言い返してオチがつきました。このように、「ありのまま」で良いだけだと、努力をしなくなります。これこそがユートピアです。やはり自己肯定感だけ高ければいいわけではありません。自己効力感とは?一方で、自己肯定感とは対照的に、「パーフェクトである」「自分はできる」など、自分には能力があり何かを成し遂げることができる感覚は、自己効力感です。いわゆる自信とも言い換えられます。ドラえもんに登場するキャラクターの中で、この自己効力感が高いのは、出木杉くんです。彼は典型的な優等生で、パラダピアに行かなくてもすでに「パーフェクト小学生」です。ただし、パーフェクトであることの危うさを踏まえると、彼の弱点が見えてきます。それは、のび太たちの大冒険のメンバーには一度も採用されないことです。そのわけは、彼がパーフェクトであるゆえに、たとえ冒険に加わっても知識を披露するだけで、ラストシーンののび太たちのようにワクワクするキャラクターにはならないからです。そもそも彼のキャラクターからすると、誘われても冒険することを辞退するでしょう。だからこそ、彼は、登場するにしても毎回序盤だけなのです。どんな子育てがいいの?のび太と出木杉くんのキャラクターから、自己肯定感と自己効力感はどちらかが高いだけでは危うさがあることがわかりました。このことから、どんな子育てがいいのでしょうか? それは、自己肯定感も自己効力感もバランスよく育むことです。このような子育ては、国家になぞらえると、自己効力感に重きを置く独裁国家でもなく、自己肯定感に重きを置くユートピアでもない、民主主義国家といえるでしょう。つまり、「パーフェクト」でも「ありのまま」でもない、「ほど良い(グッド・イナッフ)」を目指すことです。なお、これらの子育てのタイプの詳細については、関連記事4をご覧ください。この記事のグラフでは、自己肯定感を非認知能力、自己効力感を認知能力と表記しています。本当の「理想郷」とは?昨今、中学受験が過熱しています。ますます多くの家庭が、パラダピアのような独裁国家になっていくことが懸念されます。独裁国家ほど、きれいな言葉などで飾り立てるのを好みます。しかし、その危うさを知った今、実は教育ビジネスに煽られ踊らされ、子供も親も息苦しさを感じている状況が透けて見えてきます。この映画は、私たち大人へのそんな教訓が暗に込められているようにも思えてきます。子育てとは、「ほど良さ」のあり方を育むによって「この世界は素晴らしい」「生きてることは素晴らしい」とまず子供が思えるようになることではないでしょうか? そう思える子供がやがて大人になった社会こそが、本当の「理想郷」と言えるのではないでしょうか?1)「小説 映画ドラえもん のび太と空の理想郷」:福島直浩、小学館、2023<< 前のページへ■関連記事ウエストワールド【あなたは「満足な豚」それとも「不満足なソクラテス」?(哲学セラピー)】Part 1Mother(前編)【過剰適応】マザーゲーム(前編)【ママ友付き合い、なんで息苦しいの?(「女心」の二面性)】Part 1そして父になる(続編・その2)【子育ては厳しく? それとも自由に? その正解は?(科学的根拠に基づく教育(EBE))】Part 1

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統合失調症長期入院患者の半数でみられる非アルコール性脂肪性肝疾患

 長期入院の統合失調症患者は身体的な疾患を呈しやすく、平均余命や治療アウトカムを害することにつながるとされる。しかし、長期入院患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の影響に関する研究はほとんどない。中国・安徽医科大学のXuelong Li氏らは、統合失調症入院患者のNAFLDについて、有病率と影響を及ぼす因子を調査した。その結果、重度の統合失調症による長期入院患者はNAFLDの有病率が高く、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、過体重や肥満、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアポリポ蛋白B(ApoB)の高値などが負の影響を及ぼす因子として特定された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年2月18日号の報告。 長期入院を経験していた統合失調症患者310例を対象に、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。NAFLDは腹部超音波検査の結果に基づき診断した。NAFLDに影響を及ぼす因子を特定するため、t検定、マン・ホイットニーのU検定、相関分析、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・NAFLDの有病率は54.84%であった。・NAFLD群と非NAFLD群で有意差が認められた因子は、抗精神病薬の多剤併用、BMI、高血圧、糖尿病、総コレステロール、ApoB、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALT、トリグリセライド(TG)、尿酸、血清グルコース、γ-GTP、HDL、好中球/リンパ球比、血小板/リンパ球比であった(各々、p<0.05)。・NAFLDと正の相関が認められた因子は、高血圧、糖尿病、抗精神病薬の多剤併用、BMI、TG、総コレステロール、AST、ApoB、ALT、γ-GTPであった(各々、p<0.05)。・ロジスティック回帰分析の結果では、統合失調症患者のNAFLDに影響を及ぼす因子は、抗精神病薬の多剤併用、糖尿病、BMI、ALT、ApoBであることが示唆された。・これらの知見は、統合失調症患者のNAFLDの予防および治療の理論的な基礎を提供し、新たな標的治療の開発に役立つ可能性がある。

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妊娠中の抗うつ薬使用、リスクとベネフィットは?~メタ解析

 妊娠中の抗うつ薬使用は数十年にわたり増加傾向であり、安全性を評価するため、結果の統計学的検出力および精度を向上させるメタ解析が求められている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Caen NormandieのPierre Desaunay氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用のベネフィットとリスクを評価するメタ解析のメタレビューを行った。その結果、妊娠中の抗うつ薬使用は、ガイドラインに従い第1選択である心理療法後の治療として検討すべきであることが示唆された。Paediatric Drugs誌オンライン版2023年2月28日号の報告。 2021年10月25日までに公表された文献を、PubMed、Web of ScienceデータベースよりPRISMAガイドラインに従い検索した。対象研究は、妊娠中の抗うつ薬使用と、妊婦、胎芽、胎児、新生児、発育中の子供などの健康アウトカムの関連を評価したメタ解析とした。研究の選択およびデータの抽出は、2人の独立した研究者により重複して実施した。研究の方法論的質の評価にはAMSTAR-2ツールを用いた。各メタ解析の重複部分は、修正された対象エリアを算出することにより評価した。4段階のエビデンスレベルを用いて、データの統合を行った。主な結果は以下のとおり。・51件のメタ解析をレビューに含め、1件を除くすべてのリスク評価を行った。・各リスクの有意な増加は以下のとおりであった。 ●主な先天性奇形(メタ解析8件:SSRI、パロキセチン、fluoxetine) ●先天性心疾患(11件:パロキセチン、fluoxetine、セルトラリン) ●早産(8件) ●新生児の適応症状(8件) ●新生児遷延性肺高血圧症(3件)・分娩後出血の有意なリスク増加および、死産、運動発達障害、知的障害の有意なリスク増加については高いバイアスリスクで、限られたエビデンスが認められた(各々1件のみ)。・自然流産、胎児週数や出生時低体重による児の小ささ、呼吸困難、痙攣、摂食障害のリスク増加および、早期抗うつ薬曝露による自閉症のその後のリスク増加に関して、矛盾した不確実なエビデンスが確認された。・妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症のリスク増加および、ADHDのその後のリスク増加に関するエビデンスはみられなかった。・重度または再発性のうつ病の予防について、1件の限られたエビデンスのみで、抗うつ薬使用のベネフィットが評価されていた。・新生児の症状(小~大)を除きエフェクトサイズは小さかった。・結果の方法論的な質は低く(AMSTAR-2スコア:54.8±12.9%[19~81%])、バイアスリスク(とくに適応バイアス)が高いメタ解析に基づいていた。・修正された対象エリアは3.27%であり、重複はわずかであった。・妊娠中の抗うつ薬治療は、第2選択として用いられるべきであることが示唆された(ガイドラインに従い心理療法後に検討)。・ガイドラインを順守し、パロキセチンやfluoxetineの使用をとどまらせることで、主要な先天性奇形リスクを防ぐことが可能である。・今後の研究では、不均一性やバイアス減少のため、母体の精神疾患と抗うつ薬の投与量を調整し、曝露のタイミングで分析を実行することが求められる。

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日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。 日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、若年性認知症を有する770例。・認知症のサブタイプごとに特徴的な初期症状が観察された。・アルツハイマー病では、記憶障害がより頻繁に認められた(75.7%、p<0.001)。・血管性認知症では、失語障害がより一般的であった(41.3%、p<0.001)。・前頭側頭型認知症では、意欲低下(34.9%、p<0.001)、職場や家庭でのミスの増加(49.4%p<0.001)、それ以外の異常な行動や態度(34.9%、p<0.001)が高率に認められた。・女性では記憶障害が、男性では易刺激性がより多く観察された。・対象者の半数以上が発症時に雇用されており、そのうちの57.2%は初期症状として職場や家庭でのミスの増加が認められた。

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アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号1)に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を既存治療よりも平均2~3年遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。 今回掲載となった論文は、2022年4月に発表された臨床第IIb相試験(201試験)の結果を用いた長期的健康アウトカムのシミュレーション評価を、臨床第III相Clarity AD試験データによってアップデートしたもので、アミロイド病理を有する早期AD患者において、標準治療群(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤もしくはメマンチンの安定投与を含む)とlecanemab群(標準治療+lecanemab投与)の長期的臨床アウトカムが比較された。 解析は、lecanemabの有効性と安全性を評価したClarity AD試験のデータおよび公表文献を用い、ADの自然な進行をシミュレートした、疾患シミュレーション・モデル(AD ACEモデル)に基づいている。 主な結果は以下のとおり。・lecanemab群では、標準治療群と比較し、軽度、中等度、高度ADへの病態進行の推定生涯リスクがそれぞれ7.5%、13.7%、8.8%減少する可能性が示された。・lecanemab投与により約5%の患者が介護施設への入所を回避できる可能性が示された。・標準治療群と比較して、lecanemab群では軽度ADへの進行は2.71年(標準治療群vs. lecanemab群:2.35年vs.5.06年)、中等度への進行は2.95年(同:5.69年vs.8.64年)、高度への進行は2.24年(同:8.46年vs.10.79年)遅延することが示された。・介護施設への入所は0.60年(同:6.25年vs.6.85年)遅延することが示された。・質調整生存年(QALY)*は、標準治療群と比較して、lecanemab群では0.71QALY(同:3.68QALY vs.4.39QALY)増加した。・ベースライン時の年齢や病態の進行度別のサブグループ解析を行った結果、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性が明らかとなった。lecanemab群では標準治療群と比較して、軽度への進行が2.55年(同:2.46年vs.5.01年)、中等度への進行は3.15年(同:6.02年vs.9.17年)遅延した。*質調整生存年(QALY)は、健康アウトカムの価値を示す指標で、生存年(=量)と生命の質(QOL)を1つの指標数値にまとめたもの(QALY=QOLスコア×生存年)。1QALYは、完全に健康な状態での1年間に相当。

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不眠症治療について日本の医師はどう考えているか

 ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンは、安全性への懸念や新規催眠鎮静薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)の承認にもかかわらず、依然として広く用いられている。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本の医師を対象に処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を調査した。その結果、多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月14日号の報告。 2021年10月~2022年2月に、日本プライマリ・ケア連合学会、全日本病院協会、日本精神神経科診療所協会に所属する医師962人を対象にアンケート調査を実施した。調査内容には、処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を含めた。 主な結果は以下のとおり。・処方頻度の高い催眠鎮静薬は、オレキシン受容体拮抗薬(84.3%)、非ベンゾジアゼピン(75.4%)、メラトニン受容体作動薬(57.1%)、ベンゾジアゼピン(54.3%)の順であった。・ロジスティック回帰分析では、オレキシン受容体拮抗薬の処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性(オッズ比[OR]:1.60、95%信頼区間[CI]:1.01~2.54、p=0.044)および安全性(OR:4.52、95%CI:2.99~6.84、p<0.001)への関心が高かった。・メラトニン受容体作動薬の処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、安全性への関心が高かった(OR:2.48、95%CI:1.77~3.46、p<0.001)。・非ベンゾジアゼピンの処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性をより重要視していた(OR:2.43、95%CI:1.62~3.67、p<0.001)。・ベンゾジアゼピンの処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性に最も関心が高く(OR:4.19、95%CI:2.91~6.04、p<0.001)、安全性にはあまり関心を持っていなかった(OR:0.25、95%CI:0.16~0.39、p<0.001)。・多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。

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