オレキシン受容体拮抗薬を使用している日本人不眠症患者の特徴

日本におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンに関して、臨床現場のリアルワールドデータを調査した研究はほとんどない。MSDの奥田 尚紀氏らは、日本の不眠症患者へのORA処方に関連する因子を特定する初の調査を実施し、睡眠薬による治療歴の有無により、ORA処方に関連する因子は異なることを明らかにした。著者らは、「本調査結果は、ORAを用いた適切な不眠症治療の指針となりうる可能性がある」としている。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年3月3日号の報告。
対象は、2018年4月~2020年3月の間に、不眠症による1つ以上の睡眠薬の処方が12ヵ月以上継続していた20~74歳の外来患者。JMDC Claims Databaseより患者データを抽出した。睡眠薬の新規/非新規の使用(処方歴がない/ある)患者それぞれにおいてORA処方に関連する因子(患者の人口統計学的因子および精神医学的合併症)を特定するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・睡眠薬の新規使用患者5万8,907例中、評価時点でORAが処方されていた患者は1万1,589例(19.7%)であった。
・睡眠薬の新規使用患者において、ORA処方のオッズ比(OR)の高さと関連していた因子は、男性(OR:1.17、95%信頼区間[CI]:1.12~1.22)、双極性障害の合併(OR:1.36、95%CI:1.20~1.55)であった。
・睡眠薬の非新規(処方歴がある)患者8万8,611例中、評価時点でORAが処方されていた患者は1万5,504例(17.5%)であった。
・睡眠薬の処方歴がある患者において、ORA処方のORの高さと関連していた因子は、若年と以下の精神疾患の合併であった。
●神経認知障害(OR:1.64、95%CI:1.15~2.35)
●物質使用障害(OR:1.19、95%CI:1.05~1.35)
●双極性障害(OR:1.14、95%CI:1.07~1.22)
●統合失調症スペクトラム障害(OR:1.07、95%CI:1.01~1.14)
●不安症(OR:1.05、95%CI:1.00~1.10)
(鷹野 敦夫)
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