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アリピプラゾール治療と精神医学的イベントリスク

 抗精神病薬で治療されている精神疾患患者に対するアリピプラゾール初回使用に関連した潜在的な精神医学的悪化を懸念する報告がいくつかあるが、とくに長期的なアリピプラゾール使用が、重篤な精神医学的イベントリスクを増大させるかは、よくわかっていなかった。カナダ・Jewish General HospitalのFrancois Montastruc氏らは、他の抗精神病薬で治療されていた精神疾患患者に対するアリピプラゾールへの切り替えまたは追加(アリピプラゾール群)が、アリピプラゾール以外の抗精神病薬への切り替えまたは追加(非アリピプラゾール群)と比較し、重篤な精神医学的イベントと関連性が認められるかについて評価を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2019年1月30日号の報告。 2005年1月1日~2015年3月31日の期間に、集団ベースコホート研究を実施した。Hospital Episodes Statistics(HES)とOffice for National Statistics(ONS)死亡率データベースにリンクされた世界最大の電子データベースの1つである、英国Clinical Practice Research Datalink(CPRD)よりデータを収集した。抗精神病薬新規使用患者の基本コホートにおいて、傾向スコアマッチングを使用し、アリピプラゾール群と非アリピプラゾール群に1:1の割合で割り付けた。すべての患者について、精神科治療不良、コホート参加から1年、自殺以外の原因による死亡、データベースの登録終了、試験期間終了(2016年3月31日)のいずれかに至るまで、フォローアップを行った。非アリピプラゾール群と比較したアリピプラゾール群の精神科治療不良の重篤なイベント(精神医学的入院、自傷行為、自殺)のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。傾向スコアのマッチングに加えて、すべてのモデルは、年齢、コホート登録前6ヵ月間の精神医学的入院または自傷行為の件数、コホート登録前の他の抗精神病薬数、Index of Multiple Deprivationの五分位数で調整された。 主な結果は以下のとおり。・対象は、アリピプラゾール群1,643例(女性の割合:57.8%[949例]、平均年齢:42.1±16.8歳)、非アリピプラゾール群1,643例(女性の割合:53.0%[871例]、平均年齢:42.4±17.1歳)。・フォローアップ期間の2,692患者年のうち、重篤な精神科治療不良は391件であり、粗発生率は100患者年あたり14.52件(95%CI:13.16~16.04)であった。・ アリピプラゾール群は、非アリピプラゾール群と比較し、精神科治療不良率(HR:0.87、95%CI:0.71~1.06)、精神医学的入院率(HR:0.85、95%CI:0.69~1.06)、自傷行為または自殺の発生率(HR:0.96、95%CI:0.68~1.36)の増加と関連が認められなかった。・結果は、いくつかの感度分析にわたり一貫していた。 著者らは「他の抗精神病薬で治療されていた精神疾患患者に対するアリピプラゾールへの切り替えまたは追加は、アリピプラゾール以外の薬剤と比較し、精神医学的入院、自傷行為、自殺との関連は認められなかった。これらの結果は、大規模な観察研究における追試の正当性を示すものである」としている。■関連記事アリピプラゾール治療を見極めるタイミングは何週目か本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか

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レビー小体型認知症のBPSD、対応のポイントは?

 2019年2月20日、大日本住友製薬主催により、レビー小体型認知症(DLB)に関するプレスセミナーが開催され、その中で2つの講演が行われた。DLBは早期介入が重要 初めに、小田原 俊成氏(横浜市立大学 保健管理センター教授・センター長)が、DLBの現状、認知機能障害、行動・心理症状(BPSD)の特徴について講演を行った。 現在、日本国内におけるDLBの推定患者数は、50~100万人程度とされている。しかし、類似疾患との鑑別が難しく、DLBと診断されていない患者も多く存在すると考えられている。実際に、臨床診断されるDLBの割合は4%程度だが、病理診断される割合は20%近いという報告もある。小田原氏によると、「アルツハイマー型認知症(AD)では初期からほとんどの症例で記憶障害を呈する一方で、DLBでは初期から記憶障害を呈するのは3分の1程度である」、「注意・遂行機能や、視知覚機能の障害が、ADよりも強く現れる」といった点がDLBに特徴的だという。さらに、DLBではADに比べ、妄想、幻覚、不安、睡眠障害といったBPSDによる弊害も多い。これらは、患者本人のみならず介護者の大きな負担やQOLの低下に直結するため、「介護者がレビー小体型認知症の特徴的症状を把握し、患者本人に受診動機を持ってもらう。そうすることで、早期に治療介入を行えるようにすることが大切である」と述べた。DLBにおけるBPSD、「運動症状への対応」がカギ 次に、服部 信孝氏(順天堂大学医学部 脳神経内科)より、DLBの非運動・運動症状の特徴について講演が行われた。 DLBの鑑別診断が難しい要因として、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)と病理学的に同一のスペクトラムであるため、両疾患の診断基準を同時に満たすケースが存在することも挙げられると、服部氏は語る。一方、両者を正確に区別することは難しいものの、DLBでは、記憶障害がみられるようになる数年前から、便秘、嗅覚障害、レム期睡眠行動異常症(RBD)、抑うつの症状などが現れる点が特徴的であるという。この中でもとくに「RBD」は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断基準で中核的臨床特徴に位置付けられるなど、その重要性が注目されている。中核的臨床特徴には、このほかに「認知機能の変動」、「繰り返す具体的な幻視」、「特発性パーキンソニズム」があるが、パーキンソニズムは、転倒による予後の悪化や、患者のADL・QOL低下、介護者のQOL低下、社会的コストの上昇(パーキンソニズムのスコアが1上昇すると827米ドルのコスト上昇という報告もある)などがみられるため、とくに注意が必要だと服部氏は強調する。その一方で、「DLBのパーキンソニズムに対する薬物療法は、精神症状を悪化させる可能性があるため、精神症状をコントロールしつつ、運動症状を治療していくことが大切。運動症状が悪化する前に、RBDや嗅覚障害などの特徴からDLBを早期に発見し、早期に治療介入していくことが重要である」と述べ、講演を締めくくった。

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不安は治るのだろうか?(解説:岡村毅氏)-1010

 臨床経験のある方は十分におわかりだと思うが、不安症の人はさまざまな身体の症状を訴えてプライマリケアを受診する。したがって、精神科・心療内科のみならず、すべての科で不安な人に出会うと思っておいたほうがいいだろう。 本論文ではデュロキセチン、プレガバリン、ベンラファキシン、エスシタロプラムが優れているとされた。まずデュロキセチン、ベンラファキシン、エスシタロプラムは比較的新しく、また臨床でもよく使用されるSSRIあるいはSNRIであり、きわめて妥当な結論だろう。プレガバリンについてはオフラベルとなるためコメントは難しい。 次に、ここでは「良い」とされなかったベンゾジアゼピンとクエチアピンを振り返ってみよう。まずわが国では不安な人には圧倒的にベンゾジアゼピンが処方されてきた。本論文では、「効果は確かにあるが、依存などの有害事象があるのでダメ」とされている。ベンゾジアゼピンは認知症の危険をも増やしてしまうのではという報告もあり、悪名しかない状態であるが、脈々と処方されてきた背景は以前書いた(「悪名は無名に勝るとはいうけれど…ベンゾジアゼピンの憂鬱」)。クエチアピンとは、いわゆる「抗精神病薬」の中で最も有害事象が少ないとされるものである。とても効いたという報告があるが、当然ながら「良薬口に苦し」で、続かない方も多いようだ。 高齢者の精神医学を専門とする筆者からすれば、不安とは未来への戦慄である。それは究極的には死の恐怖であり、誰しもが持つものだ(そしてうつは過去へのとらわれだと続くわけだが、長くなるのでこの辺りでやめときます)。研究者としては「薬物で不安がなくなるわけではない」「多剤併用はこうやって生まれるのだ」「医療モデルの限界を認識せよ」という医療批判もわからなくはない。とはいえ患者さん方もそんなことは先刻承知で、「でも不安で生活が立ち行かないから、嫌だけれども病院に来たのだ」という人も多いのである。薬物治療は、必要なときには正しく行うべきであろう。抄録では最後に「つまり、全般性不安障害に対しては多様な薬物治療が選択可能なのであり、最初の薬剤でうまくいかなくても、薬物治療を諦める理由にはならない」とあるが、これはなかなか含蓄ある言葉といえる。不安と一口に言っても、さまざまな状態があるのだ。初めの薬物が効果的でなくとも、「あなたの不安は医療では何ともならないものです」と断じる前に、謙虚に次のものを検討せよということであろう。 おまけに個人的感想を…。本論文では中国のデータベース(Chinese National Knowledge InfrastructureおよびWanfang data)も対象とし、中国語を解する研究者が精査している。中国からの報告を組み入れても、排除しても解析結果に大きな変化はなく、質は悪くはないが、かの国ではプラセボではなく対照薬を用いる傾向がある、などといろいろ考察されている。世界は英語圏と中国語圏からなるのかとしみじみ思った次第である。

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日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

 椙山女学園大学の西田 友子氏らは、高校生の男女ごとのスマートフォン使用とうつ病との関連性について評価を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年1月26日号の報告。 日本の15~19歳の高校生295人を対象に、自己管理質問票を用いて、横断的研究を実施した。うつ病は、CES-Dうつ病自己評価尺度を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・女性は、男性と比較し、1日のスマートフォン使用時間が長かった。・スマートフォン使用時間が1日3時間であった割合は、女性で44.3%、男性で22.5%であった。・女性では、オンラインチャット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、インターネット閲覧に長時間費やしていた。・長時間のオンラインチャット(オッズ比:1.74、95%CI:1.18~2.56)およびSNS(オッズ比:1.41、95%CI:1.04~1.92)使用は、うつ病との関連が認められた。・男性は、女性と比較し、ゲームに多くの時間を費やしていた。・男性では、スマートフォン使用とうつ病との関連は認められなかった。 著者らは「スマートフォン使用には性差があり、女性ではソーシャルコンタクト、男性では娯楽のためにより多くの時間を費やす傾向が認められた。女性がオンラインコミュニケーションを使い過ぎると、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された」としている。■関連記事スマホ依存症になりやすい性格タイプ女子学生の摂食障害への有効な対処法日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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美女と野獣【実はモラハラしていた!? なぜされるの?どうすれば?(従う心理)】

今回のキーワードDVモラルハラスメント恐怖罪悪感同情同調性ストックホルム症候群課題の分離みなさんは、交際相手や妻(または夫)から、ラインやメールの返事が遅いと毎回怒られますか? 居場所や行動を全て事前に伝えるというルールが強いられていますか? 携帯やパソコンを覗かれるのを許していますか? 実は、これらの束縛は全てDVやモラルハラスメントの可能性があります。とくに交際中の場合は、デートDVと呼ばれます。なぜ束縛するのでしょうか? 逆に、なぜ従ってしまうのでしょうか? そして、どうすれば良いでしょうか? これらの疑問を解き明かすために、今回は、従う心理をテーマに、映画「美女と野獣」を取り上げます。この映画を通して、「真実の愛」の裏に隠された教訓を知り、従う心理と従える心理を進化心理的に掘り下げ、より良いパートナーシップ、仕事関係、家族関係をいっしょに考えていきましょう。ストーリーで説かれた真実の愛の教訓は?ある美しくも薄情な王子が、罰として魔女の魔法によって野獣の姿に変えられてしまいます。その魔法が解かれるのは、バラの花びらが全て落ちる前に、誰かを心から愛し、そして愛されることでした。しかし、彼は、野獣の姿をした自分を愛する人などいるわけがないと嘆き、自分のこれまでの薄情な行いを悔やみます。そして、心を閉ざし、城にこもります。月日が流れ、やがて、ベルという美しい女性が城に迷い込みます。彼女は、城から逃げ出しますが、狼に襲われそうになったところに、野獣が身を挺(てい)して彼女を救います。その後、彼女は、野獣の優しく繊細な心の美しさに心惹かれていきます。同時に彼も彼女の聡明な心の美しさに惹かれていきます。そんな中、ガストンというベルに好意を寄せる村一番のハンサムで腕っぷしのある男性が、城に押しかけます。彼は、野獣を退治してベルを自分のものにしようとしていたのでした。しかし、ガストンがうぬぼれ屋で自分勝手なことをベルは見透かしていました。最後に、ガストンはいなくなり、ベルと野獣は結ばれます。すると、呪いは解けて、ベルの前には美しい王子が現れます。真実の愛が実ったという、とてもドラマチックな古典的名作です。それでは、まず、このストーリーのナレーションで説かれた真実の愛の教訓を、3つあげてみましょう。(1)見かけにだまされない1つ目は、「見かけにだまされない」ことです。野獣になる前の王子は、寒さをしのがせてくれと乞う、やつれた老女を見て冷たく突き放しています。また、ガストンは、ベルを手に入れるため、ベルの父親を見殺しにしようとしたり、平然とうそをついています。つまり、見かけの美しさによって、心の美しさを磨くことをおろそかにしてしまうということでもあります。(2)美しさは心にある2つ目は、「美しさは心にある」ことです。野獣は、見た目は怖いですが、心は優しく知的です。ベルは、読書家で村では変わり者で浮いた存在でしたが、とても賢く行動力があります。2人は相性が良いのです。お互いにその本質を見極めています。(3)心から愛し愛される3つ目は、「心から愛し愛される」ことです。ガストンは、ベルを自分の思い通りの女性にしようと一方的です。対照的に、野獣は、村にいる父親の身を心配するベルに「すぐに行ってやれ」と言います。ベルがいなくなると、もとの人間に戻れなくなることを野獣は覚悟しています。野獣は、ベルを愛しているからこそ、彼女を手放したのでした。その後に、城に戻ってきたベルは、ガストンに銃で撃たれようとする野獣を守ろうとします。野獣とベルは、自分のことよりも相手のことを考えています。なぜ従うの? ―「真実の愛」の裏に隠れた教訓このストーリーから、真実の愛とは、見かけではなく、心の美しさによって、愛し愛されることであるという教訓を学びました。ただし、メンタルヘルスの視点からは、さらに「真実の愛」の裏に隠れた教訓があります。つまり、このストーリーで説かれる「真実の愛」には、良さと同時に危うさもあります。それは、従う心理です。なぜ従うのでしょうか? ここから、その心理を3つに分けて、掘り下げてみましょう。(1)恐怖ベルの父親が城のバラを1本摘んだことを理由に、野獣は、盗みの罪として父親に終身刑を一方的に言い渡し、城に監禁します。それを知ったベルが自ら申し出て、父親の身代わりとして監禁されます。その後、ベルは野獣と一緒に食事をすることを拒むと、野獣は「私を拒むなら何も食わすな」と怒って召使いに言い放ち、ベルを脅しています。1つ目の従う心理は、最初、ベルが野獣に恐怖を抱いていることです。それは、殺されるかもしれないというレベルの恐怖です。風貌が野獣だからといって、このような振る舞いは人間として決して許されません。もともとのファンタジー仕立てが私たちの目を曇らせていますが、現実的に考えると、野獣がやっていることは、明らかに理不尽で不当です。法律的には、逮捕・監禁罪、強要罪、脅迫罪などが成立します。心理学的に言えば、この恐怖によって、服従の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。顔色をうかがい、腫れ物に触るようにビクビクして接したり、ご機嫌取りになります。なぜなら、そのほうが生き残る確率が高まるからです。逆に言えば、従わせる心理は、相手に恐怖を植え付ける怒りっぽさです。たとえば、殴る、蹴るなどの身体的な暴力、怒鳴る、叫ぶ、金切り声を上げる、些細なことで急に怒り出す、脅すなどの心理的な暴力、そして行動制限です。(2)罪悪感ベルは、父親の盗みの罪については申し訳なく思っています。また、自分が逃げ出したことで、結果的に野獣が大けがをしたため、負い目を感じて、野獣を連れて城に引き返しています。そして、野獣から「(自分が大けがしたのは)おまえが逃げたせいだ」と責められながら、献身的に野獣を看病します。ベルは「脅すから逃げたのよ」と言い返しますが、「(脅したのは、行くなと言った)西の塔へ行くからだ」とさらに責められます。最終的に、ベルは命がけで狼から救ってくれた野獣に感謝します。その後に、ベルは父親に会うため村に帰る許しを得て、野獣にまた感謝します。2つ目の従う心理は、その後、ベルが野獣に誤った罪悪感を抱いていることです。たとえどんなにひどい言いがかりだとしても、潜在的な恐怖によって、それを受け入れやすくなります。すると、罪悪感が芽生えてきます。よくよく考えると、自分を監禁していた野獣が痛手を負っているわけなので、実は逃げ切れる最大のチャンスでした。そうしないで、わざわざ引き返しています。さらに、野獣の看病までしています。また、ベルは野獣に感謝していますが、よくよく考えると、野獣はもとの人間に戻るためにベルに気に入られることが必要なので、ベルを救ったのは当然のことです。ベルがそれを知っていれば素直に感謝はできません。また、監禁がもともと不当であるため、それが解かれても感謝する必要は本来ありません。心理学的に言えば、この罪悪感によって、誤った感謝の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。たとえば、「ごめん」と「ありがとう」を同じ状況で使うことがあるように、罪悪感と感謝は背中合わせの心理とも言えます。逆に言えば、従わせる心理は、相手に罪悪感を植え付けるひがみっぽさです。たとえば、「あなたのせいだ」と責任を押し付けたり、「謝罪が足りない」「感謝が足りない」「あなたはだめな人だ」とけなすことです。(3)同情ベルは、日用品に姿を変えられた召使いたちから、「(最後の花びらが落ちると)ご主人様(野獣)はずっと野獣のまま、おれたちはアンティークになる」と教えられます。ベルは「助けてあげたい」「魔法を解く方法は?」と尋ねますが、「心配しなくていい」「自分たちの問題は自分たちで解決する」と言われ、神妙な顔になります。また、ベルが城から去る時、野獣は「時々、自分を思い出してほしい」と言って、願ったものが映る魔法の鏡を渡します。3つ目の従う心理は、やがてベルが野獣に行き過ぎた同情を抱くことです。野獣がけがで瀕死になって弱っている姿と相まって、「かわいそう」「気の毒だ」という気持ちが芽生えています。また、城に監禁していること以外については、野獣は、城の図書館を案内するなど、ベルに優しく接しています。やがて野獣がベルを城から解放したのも、ベルを愛していたからという見方もできますが、このままだとベルに心から愛されないと諦めたからという見方もできます。逆に、そうしたことで、ベルは野獣に心を許すようになります。さらに、野獣は、わざわざ魔法の鏡を渡して、自分のこれからも見てもらおうとあわよくばの同情を誘っています。心理学的に言えば、この同情によって、誤った好意の心理が意識的にも無意識的にも発動されると言えます。また、同情という共感により、監禁という身体的な近さだけでなく、心理的な近さも増していると言えます。これは、身体的にも心理的にも近ければ近いほどより親しみがより沸いてくる心理(社会的交換理論)につながります。逆に言えば、従わせる心理は、相手に同情を引き出す卑屈さです。たとえば、「自分はだめだ」「どうせ自分なんか」と自己否定したり、「自分はキレやすいから」「自分は不器用だから」「自分は弱いから」「自分は心配性だから」と言い訳がましいことです。これは、下手(したて)に出れば好感が持たれる心理(アンダードッグ効果)や、「寝てないアピール」「体調不良アピール」など自分から不利な状況を公言して同情や理解を得る心理(セルフハンディキャッピング)につながります。さらには、「自分はそういう人間」「あなたならそれを分かってくれるはず」と依存的になれば、相手から「自分なら助けられる」という心理を引き出せます(共依存)。従う心理 ―ストックホルム症候群王子は、魔女の魔法によって、野獣に姿を変えられました。そして、野獣とベルが結ばれたことで、魔法が解けました。ただ、先ほどの「真実の愛」の裏の従う心理は、もう1つの「魔法」とも言えそうです。これは、精神医学的には、ストックホルム症候群と呼ばれます。ストックホルム症候群は、1970年代にスウェーデンの首都ストックホルムで実際に起きた銀行強盗の人質立てこもり事件を語源としています。当時、2人の男性の銀行強盗が、4人の銀行員の人質とともに約40m2の金庫室の一室に6日近く立てこもりました。人質たちは無事に解放されましたが、奇妙なことに、その後に彼らが強盗たちをかばおうとして警察に非協力的になったのです。さらに驚くべきことに、人質の1人の女性は、もともとの婚約を破棄してまで、刑務所にいた犯人との関係を続けました。このように、ストックホルム症候群とは、誘拐や人質事件で監禁された被害者が加害者に連帯感や好感を持つ状態であると定義されます。その後、FBIは、ストックホルム症候群が生じる4つの前提条件を示しています。それは、(1)人質と監禁者が、狭い場所でほかから隔離されて長時間を過ごすこと、(2)人質が殺されるかもしれないという恐怖を抱くこと、(3)命が助かったのは監禁者のおかげだと感じること(感謝)、(4)監禁する点を除いては、監禁者が人質を優しく扱っていること(共感)です。(1)は、「美女と野獣」のストーリーの設定に重なります。(2)(3)(4)は、先ほどの「真実の愛」の裏の3つの危うい心理に重なります。また、FBIの調査によれば、ストックホルム症候群が生じるのは人質事件の被害者の8%であることが分かっています。人質事件などによる監禁自体がまれな状況であることを踏まえると、一般人の発症率や有病率としてはさらに低くなります。よって、ストックホルム症候群は、単独の病名として、WHOの診断マニュアル(ICD-11)やアメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM-5)には記載がありません。分類するとしたら、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の「向こう見ずな自己破壊的行動」、または解離性障害の「威圧的説得による同一性の混乱」などの診断基準が当てはまります。ただし、監禁という特殊な状況に限定しないと、実はとてもありふれた心理状態です。あまりにもありふれているので、逆に病的な状態であると本人たちに自覚されにくくなります。たとえば、夫からDVを受けている妻が、「本当は良い人」との理由で警察に協力することを拒むことです。さらには、DV容疑で拘留された夫のために、妻が保釈金を用意することです。また、親から虐待を受けている幼い子どもが、「ママ(パパ)が好きだから」との理由で親をかばうことです。高齢の親からモラハラを受けながら介護する家族(主に子ども)が、「見放したらかわいそう」との理由で、変わらず献身的に介護を続けることです。上司からパワハラを受けている部下が、「仕返しが怖い」「どうせ変わらない」との理由で、ハラスメントの窓口に行かないことです。なぜ従う心理は「ある」の?これまで、従う心理になぜなるのかというメカニズムをご紹介しました。それでは、そもそも従う心理はなぜ「ある」のでしょうか?それと対になる、従える心理と合わせて、その答えを進化心理学的に探ってみましょう。約6,500万年前に霊長類が誕生し、約2,000万年前には類人猿が誕生し、群れをつくりました。当時から、体格が良くて腕力のあるオスがボスとして偉そうに振る舞い、そうではないオスはヒラとしてかしこまって振る舞い、序列関係を維持する行動が進化しました(社会性)。約700万年前に人類が誕生して、男性(父親)は狩りをして、女性(母親)は子育てをして、助け合うことで家族をつくりました。300~400万年前にはアフリカの森からサバンナに出て、猛獣から身を守り、より大きな獲物を捕まえるために、家族同士が血縁関係で助け合うことで村をつくりました。当時から、夫婦、親子、親戚などの人間関係において、それぞれの相手とうまくやっていこうとする心理が進化しました(社会脳)。その1つが、周りに合わせようとする心理です(同調性)。これが、従う心理の起源です。従う心理とは弱いほうが強いほうに従うことであり、逆に従える心理は強いほうが弱いほうを従えることです。現代でも、同調圧力という言葉があるように、私達は、何となく強く言う相手に、振る舞いや考え方を意識的にも無意識的にも合わせようとします。そして、そのほうが、心地良く感じてしまいます。「長いものには巻かれろ」「勝ち馬に乗る」「勝てば官軍」という言い回しが分かりやすいです。とくに男女間の親密で閉じた二者関係において、従う心理と従える心理は高まりやすくなります。たとえば、従う心理としては、「尽くすのが愛」「何でも聞いてあげるのが愛」「まず相手が第一」「相手の気持ちを分かってあげて当然」「自分は何があっても付いていくべき」「自分の秘密を知らせる義務がある」などが挙げられます。一方、従える心理としては、「尽くされるのが愛」「何でも聞いてもらうのが愛」「まず自分が第一」「自分の気持ちを分かってくれて当然」「相手は何があっても付いてくるべき」「相手の秘密を知る権利がある」などが挙げられます。このように、進化的にも文化的にも、従う心理と従える心理は共に、男女をより結び付け、生存と生殖に有利に働く無意識の心理戦略になっていたと言えるでしょう。ただし、約200年前の産業革命により、個人主義や平等主義が広がりました。さらに、1990年以降の情報革命により、従う心理が強い人はDV、ハラスメント、ストーカーの被害者として社会的に認知され、本人に自覚されるようになりました。最近ではMeToo運動として注目もされています。一方、従える心理が強い人は、その加害者としての自覚がなかなか追い付いていないのが現状です。彼らが「そんなつもりはなかった」「愛があるから良いと思っていた」とよく言うように、従える心理が無意識的に強く発動していたとも言えるでしょう。これは、「逆ストックホルム症候群」と言えるかもしれません。どうすれば良いの?ストーリーは、ベルがお姫様になるというハッピーエンドです。ハッピーエンドだから、ベルがストックホルム症候群であろうとなかろうと良いじゃないかとも思われます。ただ、結末は本当にハッピーでしょうか? 問題は、さらに先の結末です。もともとベルを監禁していた王子(野獣)が、そのままでベルを大切にできるでしょうか? つまり、裏の結末は、ベルがDVやモラハラのリスクのある相手と結婚生活を送ることです。それでは、ベルと王子は、どうすれば良いでしょうか? ここから、従う心理を踏まえて、DVやモラハラを予防するために、パートナーシップとしてお互いが守るべきルールを3つ挙げてみましょう。(1)安全 ―相手を脅かさない野獣は、ベルを監禁した上に、会食を拒否されると、食事を与えないと理不尽に怒り、ベルを脅していました。そして、ベルは、恐怖を抱いていました。1つ目のルールは、相手を脅かさない、つまり安全です。相手が思い通りにならないことをはじめ、どんなことが理由でも、相手の安全を脅かすことは暴力です。そうならないためには、ベルが会食をすることと野獣が脅すことを切り離すことです。そして、ベルが会食に応じてくれるために、野獣は脅しではない別の対応をすることです。みなさんの中に、ベルは身代わりとして自分から監禁されることを望んだわけだから野獣は悪くないと考える人はいますでしょうか? ここで、最も強調したいのは、そもそもどんな理由であっても、たとえベルがどんなことをしても、ベルの安全を脅かすことをしてはいけないということです。つまり、相手の行動と自分の行動は別と考えることです(課題の分離)。相手のアクション(行動)は相手の課題です。相手のアクションに対して、自分がどういうリアクション(行動)をするかは自分の課題です。誰の課題かを分けることで、その行動の責任を誰がとるのかをはっきりさせることができます。たとえば、「手を上げたのは相手が自分を怒らせたからだ」、または「自分を怒らせた相手も悪い。悪いのは自分だけじゃない」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? まったく成り立たないです。なぜなら、暴力を振るうか振るわないかは100%自分の課題だからです。自分の課題は、暴力じゃないリアクションをすることです。その刺激となった相手の行動については、相手の課題として、また別に話し合いをすることが必要です。また、別れを切り出された時に、「別れるなら殺すよ」と言う人も同じです。以上のように、相手を脅かすことは、殴る、蹴るなどの身体的な暴力だけでなく、怒鳴る、叫ぶ、金切り声を上げる、些細なことで急に怒り出す、脅すなどの心理的な暴力も挙げられます。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、怒りっぽさをまず自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず恐怖を自覚して、「あなたが怖いです」「それはDVです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。(2)自尊心 ―相手をけなさない野獣は、自分が大けがをしたのは、ベルが脱走したからだとひがみっぽく責めていました。そして、ベルは罪悪感を抱いていました。2つ目のルールは、相手をけなさない、つまり自尊心です。自分がうまくいかなかったことを理不尽に相手のせいにしたり、そもそも相手の欠点をけなすことはモラハラです。よって、そうならないためには、野獣が大けがをしたこととベルが脱走した意図を切り離すことです。野獣が大けがをしたのは、野獣が狼からベルを守るという行動を自ら選んだからです。それ自体はすばらしいことです。確かに、ベルの脱走は野獣が大けがをするきっかけにはなりましたが、ベルは頼んでいないですし、ましてや仕向けてもいないです。野獣に大けがをさせるつもりは、ベルにまったくないです。つまり、相手の行動と相手の気持ちは別と考えることです。たとえば、「大丈夫って言ったけど、本当は大丈夫じゃなかった。それを察しなかったあなたが悪い」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? 成り立たないです。なぜなら、大丈夫ではなかった責任は、大丈夫と言って助けを不要とした自分自身にあるからです。自分の言動は自分の責任です。そのほかとしては、「気が利かない」「察してくれない」「その努力が足りない」と繰り返し相手をなじることです。また、「俺がこんなにしてあげてるのに」「私がこんなにあなたのことを思ってるのに」と恩着せがましく見返りを求めることです。さらに、「俺のことを大事にしていない」「あなたの私を好きっていう気持ちに心がこもっていない気がする」と、抽象的なことについて問い詰めることです。ちなみに、別れる時には「今までの時間とお金を返して」と迫ることです。気が利くか、察するか、大事に思うか、心をこめるかなどの相手の気持ちは、相手の「持ちもの」です。相手が感じることを、自分が指図することはできません。相手の気持ちを支配しようとすることはモラハラです。「気持ちをくんでくれたらうれしい」と自分の気持ちを伝えることはできますが、相手がそれをするかしないか、できるかできないかは相手の課題であり、自分の課題ではないです。自分の課題としては、相手にしてほしい行動があるなら、まず具体的に説明してお願いすることです。それをどう感じるか、どうするか決めるのは相手の課題です。以上のように、相手をけなすことは、「あなたのせいだ」と理不尽に責任を押し付けるだけでなく、「申し訳なさが感じられない」「感謝が足りない」「あなたはだめな人だ」とおとしめることも挙げられます。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、まずひがみっぽさを自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず謝った罪悪感を自覚して、「それは理不尽です」「それはモラハラです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。(3)自由 ―相手を縛らない野獣は、自分の境遇に卑屈になっていました。そんな野獣に、ベルは同情を寄せて城にとどまっていました。しかし、野獣の愛の告白に対して、ベルは「自由がないのに幸せになれる?」と漏らしています。3つ目のルールは、相手を縛らない、つまり自由です。自分を愛してもらうために、相手の自由を縛ることは、束縛というDVです。確かに、野獣はやがてベルに親切で優しくしており、安全は守られるようになりました。しかし、監禁を続けている点では自由が侵害されています。そうならないためには、自分を愛してもらうことと相手の自由を縛ることを切り離すことです。そして、野獣は最初からベルの自由を侵害しない別の形で、気に入ってもらうアプローチをすることです。つまり、自分の行動と自分の気持ちは別と考えることです。たとえば、「私は心配性。あなたのことが心配だから、私はあなたのLINEの履歴を全部見る権利がある」と言う人がいます。この理屈は成り立つでしょうか? 成り立たないです。なぜなら、いくら心配だからと言って、相手のプライバシーを侵害することはDVに当てはまるからです。また、自由の侵害に抵抗された場合、「私の気持ちはどうなるの?」「そう考える私の自由はないの?」とさらに言う人もいます。もちろん、自分にどんなことでも考える自由はあります。ただし、相手の自由を縛る行動をしてしまうこととは別にするということです。相手には相手自身の行動を自己決定する自由があります。別れを切り出された時に、「俺は納得していない」「俺の気持ちはどうなるんだ?」と言う人も同じです。これは、ストーカーの心理です。そして、その後に相手から無視された場合は、「俺に逆らうのか?」とストーカー殺人に発展することすらあります。また、「別れると死ぬよ」「それくらい私はあなたを愛している」と言う人も同じです。これは、いわゆる「狂言自殺」の心理です。自分が納得できないことをはじめ、どんな理由があろうとも、相手の気持ちが離れているなら関係は終わりであるということです。そのほかとしては、冒頭にも触れましたが、LINEやメールの返事が遅いと怒る、居場所や行動を全て事前に伝えるというルールを押し付ける、携帯やパソコンをのぞくなどです。さらには、スマホにGPSアプリを入れるよう迫る、交友関係や服装に口出しなどもあります。以上のように、相手を縛ることは、「自分はだめだ」「どうせ自分なんか」との自己否定や、「自分はキレやすいから」「自分は不器用だから」「自分は弱いから」「自分は心配性だから」と言い訳がましいことから始まります。よって、自分が従わせる心理を抑えるためには、まず卑屈さを自覚することです。逆に、自分が従う心理を抑えるためには、まず行き過ぎた同情を自覚して、「それは束縛というDVです」と相手に理性的に伝え、やめてもらうことです。「真実の愛」とは?このストーリーで説かれる真実の愛の教訓は、それ自体はすばらしいです。最後に、今回ご紹介したその裏に隠された教訓を重ねてみましょう。それは、怒りっぽさ、ひがみっぽさ、卑屈さの「見かけにだまされない」ことです。恐怖、誤った罪悪感、行き過ぎた同情という従う心理をよく理解した上で「心から愛し愛される」ことです。そして、安全、自尊心、自由をお互いに守る「美しさは心にある」ということです。この映画を通して、「真実の愛」をよく理解することで、古典的名作の奥深さを知るだけでなく、より良いパートナーシップ、さらにはより良い仕事関係や家族関係も築くことができるのではないでしょうか?1)みんなが知らない美女と野獣:セレナ・ヴァレンティーノ、講談社、20172)デートDV予防学:伊田広行、かもがわ出版、20183)あなたも心理学者!:ジョエル・レヴィー、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015

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重度の精神疾患患者における脂質異常症と抗精神病薬に関するメタ解析

 重度の精神疾患患者は、抗精神病薬の悪影響に関連している可能性のある代謝系の問題への罹患率やそれに伴う死亡率の上昇を来す。第2世代抗精神病薬(SGA)は、第1世代抗精神病薬(FGA)と比較し、脂質代謝異常とより関連が強いと考えられているが、このことに対するエビデンスは、システマティックレビューされていなかった。英国・East London NHS Foundation TrustのKurt Buhagiar氏らは、重度の精神疾患患者における脂質異常症リスクについて、SGAとFGAの評価を行った。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 主要な電子データベースより2018年11月までの研究を検索した。対象研究は、重度の精神疾患患者に対するSGAとFGAを直接比較し、脂質代謝異常を主要アウトカムまたは第2次アウトカムとして評価した横断研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究のいずれかとした。エビデンスは、PRISMA(システマティックレビューおよびメタ解析のための優先的報告項目)ガイドラインに従ってレビュー、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究が抽出された。・SGAとFGAにおける脂質異常症の報告は矛盾しており、研究間のばらつきが大きく、完全な定性的合成のみが実行可能であった。・クロザピン、オランザピン、リスペリドンについては、限られたメタ解析を実施するに十分なデータがあった。各薬剤ともに、FGAと比較し、脂質異常症の事例性(caseness)との関連が少し高かったが、異質性の高さが認められた(すべてI2>50%、p<0.05)。 ●クロザピン(オッズ比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.16~1.38) ●オランザピン(オッズ比:1.29、95%CI:0.89~1.87) ●リスペリドン(オッズ比:1.05、95%CI:0.80~1.37)・クロザピンは、トリグリセリド増加とも関連が認められたが(標準平均差:0.51、95%CI:0.21~0.81、I2>=5.74%)、コレステロールとの関連は認められなかった。・オランザピンとリスペリドンは、ハロペリドールと比較し、コレステロールまたはトリグリセリドの統計学的に有意な増加との関連が認められなかった。 著者らは「研究デザインや方法論には、かなりの違いが認められた。抗精神病薬による脂質代謝異常への影響におけるSGAとFGAの相対リスクを決定するには、薬剤ごとにさまざまな悪影響を引き起こす可能性があるため、臨床的に明らかにすることは難しい可能性がある。したがって、SGAかFGAかの焦点を当てるよりも、特定の抗精神病薬の脂質代謝リスクを考慮することが重要である」としている。■関連記事非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析

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統合失調症患者におけるプラセボ効果~RCT複合分析

 慶應義塾大学の久保 馨彦氏らは、統合失調症患者におけるプラセボ効果を予測するため、プラセボ反応患者の特徴を調査し、プラセボによる早期改善の最適基準について探索を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2019年2月号の報告。 抗精神病薬の二重盲検試験9件において、プラセボ群にランダム化された統合失調症患者672例のデータを分析した。6週目のプラセボ効果(PANSSスコア25%以上低下)と年齢、性別、学歴、ベースライン時のPANSS合計スコアまたはMarder 5項目スコア、1週目のPANSSスコア減少率との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を行った。また、プラセボ効果に対する1週目改善の予測力を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1週目のPANSS合計スコアの減少率およびベースライン時のMarder思考解体スコアの低さは、その後のプラセボ効果と有意な関連が認められた。・1週目のPANSS合計スコアにおいて、プロトコルごとの分析における10%減少またはLOCF分析における15%の減少が、最も高い予測力を示した。 著者らは「これらの知見は、統合失調症患者を対象とした試験デザインを最適化するために、早期に潜在的なプラセボ反応患者を識別するうえで有益である」としている。■関連記事抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ効果に関する解析うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少

 うつ病の発症率における出生コホート差やそれらの説明要因に関する研究は、うつ病の病因を明らかにする可能性があり、世界的なうつ病負担を軽減するための予防戦略を最適化する一助となる。オランダ・アムステルダム自由大学のH. W. Jeuring氏らは、高齢者におけるうつ病の発症率について調査を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年1月26日号の報告。 オランダの地域高齢者を対象とした代表的な研究である、アムステルダム縦断高齢研究(Longitudinal Aging Study Amsterdam)のデータを用いて調査を行った。10年間のうつ病(CES-Dうつ病自己評価尺度16点以上)発症率のコホート差は、コホートシーケンシャル縦断デザインを用いて、55~64歳の非うつ病(10歳違いでの生まれ)の2つの同様なコホートとの比較で行った。ベースライン測定は、1992~93年(初期コホート、794例)および2002~03年(直近コホート、771例)で実施した。うつ病の動学的一般均衡モデルで示されるように、潜在的な説明要因は、リスクと保護要因で区分した。 主な結果は以下のとおり。・100人年当たりのうつ病発症率は、初期コホートで1.91(95%CI:1.59~2.27)、直近コホートで1.60(95%CI:1.31~1.94)であった。・直近コホートにおいて、初期コホートと比較し、慢性疾患や機能制限などのリスク因子の平均レベルが上昇したとしても、うつ病発症リスクは29%低下した(HRcohort:0.71、95%CI:0.54~0.92、p=0.011)。・このリスク低下は、主に教育レベル、熟達レベルの上昇、労働参加の増加により説明できた。 著者らは「これらの知見は、うつ病発症に対する予防因子の進歩が、リスク因子の悪影響を相殺し、若年成人におけるうつ病発症率の減少をもたらすことを示唆している。しかし、身体の健康状態を良好に保つことは、うつ病発症率をさらに低下させるうえで、優先しなければならない」としている。■関連記事日本人高齢者のうつ病に関連する社会的要因~AGESプロジェクトたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病になりやすい性格

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職業レベルの高さとうつ病治療への反応率との関係

 うつ病は、就業における問題を引き起こす主な原因となる。職業的問題がうつ病の発症を促進し、回復プロセスを妨げる可能性があることを示唆するエビデンスも報告されている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、以前の研究において、職業レベルが高い人ほど、うつ病治療後の転帰が悪化することを報告している。今回著者らは、うつ病患者の独立したサンプルを用いて、職業レベルとうつ病治療に対する治療反応についてさらなる調査を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年1月28日号の報告。 1回以上の適切な治療試験後、うつ病治療に対する治療反応や治療抵抗性を評価されたうつ病患者の独立したサンプルより抽出した、安定して就業している患者647例を対象とした。3つの職業カテゴリから管理職、ホワイトカラー、ブルーカラーおよび自営業別に検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・管理職は、治療非反応率が最も高く、治療抵抗性を示した。・同様に、ホワイトカラーは、治療非反応率、治療抵抗率が高かった。・ブルーカラーは、治療非反応率および治療抵抗率が有意に低かった。・自営業者は、ホワイトカラーとブルーカラーの中間で、他の職業カテゴリとの違いは、ほとんど認められなかった。 著者らは「本追試の知見は、以前の研究結果を支持するものであった。中高レベルで雇用されているうつ病患者は、うつ病の標準治療後の転帰が、好ましくない可能性がある。職場における労働ストレスおよびその他の心理社会的要因について、うつ病の治療成績と関連させ、より綿密に調査すべきである」としている。■関連記事職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連

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ネコ型ロボット、せん妄に有効

 せん妄は入院患者に多く発症し、入院期間、死亡率、および長期的な認知の転帰など負の予測因子に強く一貫している。せん妄に関連する症状としては、集中力の低下、睡眠障害、精神運動興奮、および情緒障害が含まれる。また、せん妄による行動障害の管理は困難であり、せん妄の持続期間または重症度を軽減するために、初期の身体離床、方向転換、自然な睡眠パターンを高めるための試み、およびベッドサイドのシッターなどの非薬理学的手段が提唱されているが、それらを超える確立された治療は限られている。今回、米国・Albany Medical CenterのJoshua S-M氏らは、ペット型ロボットによるICUでのせん妄患者による行動障害軽減の可能性を明らかにした。The American Journal of Medicine誌2月7日号掲載の報告。 近年、ペット型ロボットの使用は、認知症の特別養護老人ホームに入居する患者の興奮抑制に役立つと報告されている。認知症はせん妄の主要な危険因子であるため、病院内でこれらが役立つかどうかが推測されている。研究者らは、せん妄を持つICU患者に対し、非薬理学的行動介入としてペット型ロボットの使用に関する実現の可能性を評価するために、パイロット試験を行った。 研究者らは、2017年7~12月に、当院のICUでせん妄治療を受けている20例に対し、ICUにおけるせん妄評価法(CAM-ICU)で評価を実施。患者の代理人は、書面による同意説明後、new Joy For All robotic cat(Hasbro、RI:ネコ型ロボット)を受け取った。このネコは電池式で、触るとゴロゴロ、ニャーなどの鳴き声を発する。患者、家族、そしてベッドサイドの看護師は、このネコの使用を勧められた。ICUへ入室3日目に、患者(可能なら)とその家族(すぐに可能なら)に対して、5つの質問を行い、体系化されていないフィードバックを求めた。同じ調査をすべてのICUの看護師、サポートスタッフ、および医師に電子メールで送信した(n=400)。調査の質問事項は、リッカート尺度を用いて5段階で評価した(1:強く反対~5:強く同意する)。 主な結果は以下のとおり。・患者/家族全体のうち23件、ICUサポートスタッフから70件の結果が報告された。・患者20例の年齢中央値は73歳(26~94歳)で、50%が女性だった。・ICUでの1次診断は65%が内科的、35%が外科的であった。・調査登録前に投与された薬は、鎮静薬:85%、ベンゾジアゼピン系:55%、抗精神病薬:30%だった。・ミトンは65%、拘束は40%の患者にされていた。・全体として、患者/家族および臨床スタッフそれぞれ65%が、ネコ型ロボットの使用によって落ち着いたと回答。また、回答者の70%以上が、ネコ型ロボットによる臨床ケアの妨害はなかったと回答した。・回答者の大多数は、ネコ型ロボットがICU患者へ将来的な役割を果たす可能性があることに同意した(患者/家族:95%、スタッフ:72%)。・介入は簡潔、目立たず、安全で低コストだった。・ペット型ロボットは一般的に患者、家族、そしてスタッフに好評だった。・主な不満や参加辞退の理由は、「イヌ型ロボットがなかった」というもので、最も多かったのは、「ネコ型同様にイヌ型ロボットを提供してほしい」という声だった(コメントの20%)。 本試験の見解は研究デザインとサンプルサイズによって制限されており、実現の可能性の探索研究であったため、対照群の登録はない。しかし、これはICU環境でのペット型ロボットによる初の研究で、この研究の終了以降、せん妄のある特定の患者へペット型ロボットの利用についてICUの看護師から問い合わせが増えている。 潜在的には、ペット型ロボットの使用および同様の介入は、患者および家族の経験を改善しながら、向精神薬の使用および拘束の必要性を減らすことができる。さらに、そのような装置はほかの入院患者(小児科、脳外傷など)、または重症度が低いユニットにおいてもいっそう役立つかもしれず、今後、より大規模な検証が求められる。

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脳波に基づく麻酔薬の調節、術後せん妄を抑制せず/JAMA

 大手術を受けた高齢患者の術後せん妄の予防において、脳電図(EEG)ガイド下麻酔薬投与は、通常治療と比較して有効ではないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学のTroy S. Wildes氏らが行ったENGAGES試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月5日号に掲載された。術中EEGにおける脳波の平坦化(suppression)は過剰に深い全身麻酔を示唆することが多く、術後せん妄と関連するとされる。術後せん妄の抑制効果を検討する単施設無作為化試験 本研究は、EEGの脳波図に基づき麻酔薬の投与を調節するアプローチによる、術後せん妄の抑制効果の評価を目的に、単施設(米国、セントルイス市のBarnes-Jewish病院)で行われたプラグマティックな無作為化臨床試験である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 患者登録は、2015年1月~2018年5月の期間に実施され、フォローアップは2018年7月まで行われた。対象は、年齢60歳以上、大手術を施行され、全身麻酔を受ける患者であった。被験者は、EEGガイド下麻酔薬投与または通常の麻酔治療を行う群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、術後1~5日におけるせん妄の発症とした。せん妄の評価には、confusion assessment method(CAM)またはCAM for the intensive care unit(CAM-ICU)が用いられた。術中に、麻酔薬濃度、EEG suppression、低血圧の評価が行われた。せん妄発症率:26.0 vs.23.0%、最近のメタ解析と対照的な結果 1,232例(年齢中央値:69歳[範囲:60~95歳]、女性:563例[45.7%])が無作為割り付けの対象となり、このうち1,213例(98.5%、EEGガイド麻酔群:604例、通常麻酔治療群:609例)で主要アウトカムの評価が行われた。 術後1~5日におけるせん妄は、EEGガイド麻酔群では604例中157例(26.0%)、通常麻酔治療群では609例中140例(23.0%)に認められ、両群間に有意な差はなかった(差:3.0%、95%信頼区間[CI]:-2.0~8.0、p=0.22)。 呼気終末揮発性麻酔薬濃度(最小肺胞濃度[MAC])中央値は、EEGガイド麻酔群が通常麻酔治療群に比べ有意に低く(0.69 vs.0.80、差:-0.11、95%CI:-0.13~-0.10)、EEG suppressionの累積時間中央値(7 vs.13分、-6.0、-9.9~-2.1)およびバイスペクトラルインデックス(BIS、0~100、スコアが低いほど催眠[鎮静状態]が深い)<40の累積時間中央値(32 vs.60分、-28.0、-38.0~-18.0)もEEGガイド麻酔群で有意に短かった。平均動脈圧<60mmHgの累積時間中央値は、両群間に差はなかった(7 vs.7分、0.0、-1.7~1.7)。 術中の望ましくない体動は、EEGガイド麻酔群が137例(22.3%)と、通常麻酔治療群の95例(15.4%)よりも多く認められた(差:6.9%、95%CI:2.5~11.4、p=0.002)。術中の記憶をともなう覚醒は両群ともにみられなかった。術後の悪心・嘔吐は、それぞれ48例(7.8%)、55例(8.9%)で発現した(-1.1%、-4.3~2.1、p=0.49)。 重篤な有害事象の発症は、EEGガイド麻酔群が124例(20.2%)、通常麻酔治療群は130例(21.0%)と報告された(差:-0.8%、95%CI:-5.5~3.8、p=0.72)。術後30日以内に、EEGガイド麻酔群の4例(0.65%)、通常治麻酔療群の19例(3.07%)が死亡した(-2.42%、-4.3~-0.8、p=0.004)。 著者は、「これらの知見は、EEGガイドにより術後せん妄の発症が3分の1以上減少したとする最近のメタ解析と対照的な結果であるが、メタ解析に含まれた試験との方法論的な違い(麻酔技術、プロトコール順守、患者集団のリスクプロファイル、EEGガイドが麻酔管理に及ぼす影響、せん妄の確定の厳密さなど)が、この乖離をある程度説明できると考えられる」としている。

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パニック症に対する薬理学的および神経調節性治療に関する臨床研究

 パニック症(PD)の治療法は進展しているものの、より効果的かつ忍容性に優れる治療選択肢へのニーズは依然として高い。ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のMorena M. Zugliani氏らは、PDに対する薬理学的および神経調節性治療に関する最近のエビデンスについて検討を行った。Psychiatry Investigation誌2019年1月号の報告。 2010~18年に発表された臨床試験を、主要データベース(MEDLINE、Cochrane Library、PsycINFO、トムソン・ロイターのWeb of Science)を用いて検索した。ランダム化比較試験(RCT)または対象患者10例以上のプロスペクティブ臨床試験を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・11論文(RCT:4件、オープン臨床試験:3件、比較臨床試験:5件)が選択基準を満たした。・RCT研究では、2つの試験のうち1つにおいて、経頭蓋磁気刺激(TMS)の有効性が認められた。・ピンドロール、d-fenfluramineは、フルマゼニル誘発性パニック発作に有効ではなかった。・クエチアピン増強療法は、プラセボと比較し、優れた有効性が認められなかった。・オープン試験では、エスシタロプラム、vortioxetine、TMSが有効である可能性が示唆された。・比較試験では、どの薬剤においても有意性は認められなかったが、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラムが有効な治療選択肢であることが確認された。 著者らは「現在の研究では、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラム、エスシタロプラムの有効性が確認されている。vortioxetineとTMSも、4週間以上の期間を要するものの有効と考えられる。クエチアピン、ピンドロール、d-fenfluramineでは、有効性が認められなかった」としている。■関連記事パニック症に対する薬物療法のシステマティックレビューパニック症への薬物治療のリスクとベネフィットパニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か

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レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

 レビー小体型認知症(DLB)およびアルツハイマー型認知症(AD)における生存率を比較するため、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのChristoph Mueller氏らは、縦断的研究のエビデンスを総合的に評価した。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年1月6日号の報告。 臨床的にレビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症と診断された患者の生存率を比較した研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。2018年5月までの縦断的コホート研究を、主要な電子データベースよりシステマティックに検索した。生存期間および相対死亡リスクを算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。レビー小体型認知症の生存期間はアルツハイマー型認知症より1.60年短かった レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症における生存率を比較した主な結果は以下のとおり。・11研究より認知症患者2万2,952例が抽出された。内訳は、DLB患者2,029例(診断時平均年齢:76.3歳、女性の割合:47%)、AD患者2万923例(診断時平均年齢:77.2歳、女性の割合:65.1%)であった。・診断からの平均生存期間は、DLB患者で4.11年(SD:±4.10)、AD患者で5.66(SD:±5.32)であり、DLB患者の生存期間は、1.60年(95%CI:-2.44~-0.77)相当短かった(p<0.01)。・DLB患者では、AD患者と比較し、相対死亡リスクが1.35(95%CI:1.17~1.55)増加した(p<0.01)。・生存期間の差とフォローアップ期間、診断時年齢、性別、認知症スコアとの関連は認められなかった。 著者らは「DLB患者は、AD患者と比較し、死亡率が高く生存期間が短いという一貫したエビデンスが認められた。このことはすべての利害関係者にとって重要であり、DLB研究拡大の重要性を示唆している」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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自殺率の世界的傾向は/BMJ

 自殺による年齢調整死亡率は、1990年以降、世界的に大幅に減少しているが、依然として死亡の重大な寄与因子であり、地域や性別、年齢別に変動がみられることが、米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らGlobal Burden of Disease Self-Harm Collaboratorsの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年2月6日号に掲載された。自殺は、世界中で公衆衛生上の関心事となっている。世界保健機関(WHO)の報告によれば、毎年、世界で約80万人が自殺で死亡しており、女性や中年成人に比べ、男性、若年成人、高齢者の自殺率が高いという。GBD 2016のデータで自殺死亡のパターンと経時的傾向を解析 研究グループは、2016年の世界疾病負担研究(Global Burden of Disease Study 2016:GBD 2016)のデータを用いて、世界の自殺死亡のパターンを評価し、1990~2016年の経時的な傾向を系統的に解析した(Bill and Melinda Gates Foundationの助成による)。 自殺による粗死亡率と年齢調整死亡率、および損失生存年数を、195の国と地域において年齢別、性別、社会人口統計学的指標(総出生率、1人当たりの所得、教育年数の統合指標)の差に基づいて算出した。年齢調整自殺死亡率は27年間で約3分の2に、女性の減少率が高い 自殺による死亡は、1990~2016年の27年間に世界で6.7%(95%不確定区間[UI]:0.4~15.6%)増加し、2016年には81万7,000人が自殺死したが、年齢調整自殺死亡率は32.7%(27.2~36.6%)減少しており、これは全死因による年齢調整死亡率の低下(30.6%)とほぼ同等の数値であった。 自殺は、高所得アジア太平洋地域における年齢調整損失生存年数の最も重要な原因であった。また、東欧、中欧、西欧、中央アジア、オーストララシア、ラテンアメリカ南部、高所得北米地域では、自殺は年齢調整損失生存年数の主要な原因の上位10位以内に入っていた。 15~19歳を除き、地域、国、年齢にかかわらず、男性が女性よりも自殺死亡率が高かった。また、自殺死亡率の男性に対する女性の比率にはばらつきがみられたが、社会人口統計学的指標が低い集団ほど、女性の比率が高い傾向がみられた。女性の自殺死亡率は、1990年との比較で2016年に49.0%(95%[UI]:42.6~54.6%)減少し、男性の23.8%(15.6~32.7%)に比べ減少率が高かった。 著者は、「自殺という公衆衛生上の継続的な懸案事項に対処するには、地域および国の状況に高い感度を示す効果的な介入のエビデンスを構築するための研究を続けねばならない」としている。

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不眠症に対する就寝時の音楽聴取に関するランダム化比較試験

 音楽は、不眠症を軽減するための自助ツールとして、よく用いられる。デンマーク・オーフス大学のKira Vibe Jespersen氏らは、不眠症改善のための就寝前の音楽聴取の効果を評価するため、評価者盲検ランダム化対照研究を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 不眠症患者57例を、音楽介入群19例、オーディオブック群19例、待機コントロール群19例にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index)とした。さらに、睡眠ポリグラフィーおよびアクチグラフィーを用いて睡眠の客観的尺度を評価し、睡眠の質やQOLについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・主要アウトカムについては、音楽介入群において、不眠症の重症度に有意な改善が認められたが、群×時間の相互作用は有意性に近づくものの、不眠症状に対する明らかな影響は認められなかった(エフェクトサイズ:0.71、p=0.06)。・副次的アウトカムについては、音楽介入群において、認知された睡眠の改善やQOLに対する有意な効果は認められたものの、睡眠の客観的尺度に変化は認められなかった。 著者らは「就寝時の音楽聴取は、睡眠の実感やQOLに好影響をもたらすものの、不眠症の重症度に対する明らかな効果は認められなかった。さまざまな不眠症サブタイプに対する音楽聴取の補助的または予防的な効果を評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事音楽療法が不眠症に有用成人不眠症に対する音楽療法に関するメタ解析不眠の薬物療法を減らすには

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全般性不安障害の治療、22剤を比較/Lancet

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのApril Slee氏らは、全般性不安障害(GAD)の成人患者を対象とした、各種薬剤とプラセボを比較した無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、すべての薬物クラスでGADに有効な治療法があり、最初の治療薬での失敗が薬物療法を断念する理由にはならない可能性があることを報告した。GADは、日常の身体的・心理的・社会的機能に影響を与える疾患で、精神療法は費用やリソースが限られていることから薬物療法が第1選択となることが多いが、これまでの研究では利用可能なさまざまな治療薬の比較に関する情報が不足していた。Lancet誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。大規模なシステマティックレビューとネットワークメタ解析を実施 研究グループは、MEDLINE、Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、Chinese National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang data、Drugs@FDA、製薬会社の市販後登録などを用い、GAD成人外来患者を対象としたプラセボまたは実薬との無作為化比較試験を特定し、システマティックレビューとネットワークメタ解析を実施した。データは、すべての原稿および報告書から抽出された。 主要評価項目は、有効性(ハミルトン不安評価尺度[HAM-A]スコアの変化の平均差[MD])と、受容性(あらゆる原因による試験中止)とし、ランダム効果モデルによるネットワークメタ解析を用い、治療群の差とオッズ比を推定した。デュロキセチン、プレガバリン、ベンラファキシン、エスシタロプラムは有効で受容性あり 1994年1月1日~2017年8月1日に発表された試験のうち、1,992報がスクリーニングされ、89件の試験が解析対象となった。実薬22種類またはプラセボに無作為に割り付けられた2万5,441例のデータが組み込まれた。 プラセボと比較し、デュロキセチン(MD:-3.13、95%確信区間[CrI]:-4.13~-2.13)、プレガバリン(-2.79、-3.69~-1.91)、ベンラファキシン(-2.69、-3.50~-1.89)、エスシタロプラム(-2.45、-3.27~-1.63)は、比較的受容性が良好で有効であった。 ミルタザピン、セルトラリン、fluoxetine、buspirone、agomelatineも同様に、有効で受容性も良好であったが、これらは症例数が少なく結果は限定的であった。 HAM-Aの評価では、クエチアピン(MD:-3.60、95%CrI:-4.83~-2.39)が最も有効であったが、プラセボと比較した場合に受容性(オッズ比:1.44、95%CrI:1.16~1.80)に乏しかった。同様にパロキセチン、ベンゾジアゼピン系薬も有効であったが、プラセボと比較し受容性に乏しかった。 なお、報告バイアスのリスクは低いと考えられ、極力出版バイアスを避けるため、完了したすべての試験が組み込まれた。

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厳格な降圧でも認知症の増加はない(解説:桑島巖氏)-1004

 厳格な降圧は認知症と関連するという懸念が一部にあったが、本試験の結果はそれを否定する科学的根拠を示した大規模臨床試験として貴重である。 降圧目標値の120mmHgが従来目標の140mmHgに比して心血管イベント抑制効果が高いことを示した有名な米国SPRINT試験のサブ試験である。当初から認知症疑い(probable dementia)をエンドポイントに設定して施行したprospective studyであり、信頼性は高い。 認知症の評価はモントリオール認知評価(MoCA)、Wechslerメモリースケールを用いての学習と記憶評価、Digit Symbolコーディングテストによる処理スピードの評価の3段階の評価が訓練を受けた専門スタッフによって試験開始時と追跡期間中に行われている。 認知障害のレベルは、認知症なし、軽度認知症、認知症疑いの3つに分類されており、このうち認知症疑いの発現が本試験の主要エンドポイントとなっており、軽度認知症発現は副次エンドポイントに設定されている。当然ながら、主試験の主旨によって明らかな認知症症例や認知症治療中の症例は最初から除外されている。 結果は、主要エンドポイントである認知症疑いには厳格降圧群と緩和降圧群の間にわずかなところで有意差がつかなかった(ハザード比:0.83、95%Cl:0.67~10.4)。これは主試験の心血管イベントで有意差がついたために3.34年で中止されて統計パワーが不足したためと考えられる。 それでも副次エンドポイントである軽度認知症発現に関しては有意に抑制したとの結果である。 しかしながら本試験はあくまでもサブ試験であるだけにlimitationがいくつかある。前述の心血管イベントに有意差がついてしまったために認知症における結果が出る前に試験が中止されたこと以外に、頭部の画像診断に関する情報がないため、認知症のタイプとしてのアルツハイマー型なのか血管型なのかのタイプ別解析ができていないことなどは知りたいところではある。

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統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。・ブレクスピプラゾールはD2受容体への活性が低く、5-HT1A、5-HT2A、ノルアドレナリンα1B受容体への作用を併せ持つことで、アリピプラゾールよりも有害事象や錐体外路症状が少ないと推測される。・急性増悪を伴う統合失調症の成人患者に対するブレクスピプラゾール2~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、全体の症状および心理社会的機能において、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。・維持療法におけるブレクスピプラゾール1~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、再発までの時間を有意に遅らせ、症状および機能の安定化または継続的な改善が認められた。・ブレクスピプラゾールは、一般的に忍容性が高かった。有害事象プロファイルでは、賦活化および過鎮静の発現率が低く、QT間隔および代謝パラメータの変化はわずかで臨床的に有意ではなく、中程度の体重増加が認められた。 著者らは「これまでの臨床的エビデンスによると、ブレクスピプラゾールにより、統合失調症の治療選択肢がより良い方向へ広がることが示唆された」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

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認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。 BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。 主な結果は以下のとおり。・RCT146件より、BPSD患者4万4,873例が検討に含まれた。・以下の薬剤のNPIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-3.65、95%CI:-6.92~-0.42) ●エスシタロプラム(MD:-6.79、95%CI:-12.91~-0.60) ●ドネペジル(MD:-1.45、95%CI:-2.70~-0.20) ●ガランタミン(MD:-1.80、95%CI:-3.29~-0.32) ●メマンチン(MD:-2.14、95%CI:-3.46~-0.78) ●リスペリドン(MD:-3.20、95%CI:-6.08~-0.31)・以下の薬剤のCMAIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-4.00、95%CI:-7.39~-0.54) ●リスペリドン(MD:-2.58、95%CI:-5.20~-0.6)・以下の薬剤の全AEリスクは、プラセボよりも高かった。 ●ドネペジル(OR:1.27、95%CI:1.07~1.50) ●ガランタミン(OR:1.91、95%CI:1.58~2.36) ●リスペリドン(OR:1.47、95%CI:1.13~1.97) ●リバスチグミン(OR:2.02、95%CI:1.53~2.70) 著者らは「薬理学的治療は、BPSDの第1選択治療とすべきである。アリピプラゾール、ハロペリドール、クエチアピン、リスペリドンなどの抗精神病薬は有効性を示し、メマンチン、ガランタミン、ドネペジルなどの抗認知症薬は、中程度の効果が認められた。各薬剤の安全性に関しては、許容できると考えられる」としている。■関連記事認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

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うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。 対象は、2週間のエスシタロプラム治療でうつ症状改善が認められなかった患者(HAMD-17うつ病尺度20%以下の減少)192例。対象患者は、EMC群(すぐに高用量ベンラファキシンXR治療へ切り替え)97例またはTAU群(28日目までエスシタロプラムを継続後、改善が認められない場合にベンラファキシンXRへ切り替え)95例にランダムに割り付けられた。初めに、寛解率の予測可能な因子は、患者の特徴、精神病理学的特性、うつ病のサブタイプについてロジスティック回帰分析を行った。次に、最初の分析で有意な関連性が認められた予測因子を治療群ごとにBonferroni-Holm補正前のカイ二乗検定により分析を行った。すべての分析は、Bonferroni-Holm法により補正した。 主な結果は以下のとおり。・最初の分析では、多重検定の補正後、統計学的に有意な差は認められなかった。・2回目の分析では、試験開始時に薬物治療歴を有する患者の寛解率は、EMC群(24.2%)がTAU群(8.6%)よりも高かった(p=0.017、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・また、再発患者では、TAU治療によるベネフィットが少なかった(p=0.009、Bonferroni-Holm補正後有意水準:p=0.025)。・年齢、性別、発症年齢、精神医学的または身体的併存疾患、その他のうつ病サブスコアは、寛解率の予測因子ではなかった。 著者らは「最初の分析では、統計学的に有意な差は認められなかったが、2回目の分析では、過去の薬物治療歴を有する患者、再発患者、初回うつ病エピソード患者において寛解率に有意な差が認められた。そのため、特定のサブグループのうつ病患者に対するEMC戦略が寛解率を高めるかを、より大規模かつプロスペクティブな試験において検討する価値がある」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法

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