認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/02/13 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。 BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・RCT146件より、BPSD患者4万4,873例が検討に含まれた。 ・以下の薬剤のNPIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-3.65、95%CI:-6.92~-0.42) ●エスシタロプラム(MD:-6.79、95%CI:-12.91~-0.60) ●ドネペジル(MD:-1.45、95%CI:-2.70~-0.20) ●ガランタミン(MD:-1.80、95%CI:-3.29~-0.32) ●メマンチン(MD:-2.14、95%CI:-3.46~-0.78) ●リスペリドン(MD:-3.20、95%CI:-6.08~-0.31) ・以下の薬剤のCMAIは、プラセボより優れていた。 ●アリピプラゾール(MD:-4.00、95%CI:-7.39~-0.54) ●リスペリドン(MD:-2.58、95%CI:-5.20~-0.6) ・以下の薬剤の全AEリスクは、プラセボよりも高かった。 ●ドネペジル(OR:1.27、95%CI:1.07~1.50) ●ガランタミン(OR:1.91、95%CI:1.58~2.36) ●リスペリドン(OR:1.47、95%CI:1.13~1.97) ●リバスチグミン(OR:2.02、95%CI:1.53~2.70) 著者らは「薬理学的治療は、BPSDの第1選択治療とすべきである。アリピプラゾール、ハロペリドール、クエチアピン、リスペリドンなどの抗精神病薬は有効性を示し、メマンチン、ガランタミン、ドネペジルなどの抗認知症薬は、中程度の効果が認められた。各薬剤の安全性に関しては、許容できると考えられる」としている。 ■関連記事 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化 患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jin B, et al. J Neurol. 2019 Jan 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 片頭痛と認知症との関連~コホート研究 医療一般(2023/01/09) 「阿部式BPSDスコア」は軽度~中等度の認知症のBPSD評価に有用:岡山大 医療一般 日本発エビデンス(2015/04/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑性黄色ブドウ球菌菌血症へのdalbavancin週1回投与、標準治療に非劣性/JAMA(2025/08/27) 若年者の大腸がん検診受診率を上げる方法は?(解説:上村 直実 氏)(2025/08/27) T-DXd、化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共(2025/08/27) アカラブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認取得/AZ(2025/08/27) 最低賃金上昇へは診療報酬の期中改定対応を要望/日医(2025/08/27) 玄関付近に植物のある家に住んだほうが日本人のうつ病リスクが低い(2025/08/27) 肥満症には社会全体で対応し、医療費を削減/PhRMA、リリー(2025/08/27) 医師の終末期の選択、95%が延命治療を拒否(2025/08/27) 幼児期の重度う蝕、母親の長時間インターネット使用と関連か(2025/08/27) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)