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アルコール摂取と自殺リスク~メタ解析

 アルコール摂取はいくつかのアウトカムと関連するが、その1つに自殺リスクの増加がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏らは、アルコール摂取と自殺との関連を明らかにするため、コホート研究のメタ解析を実施した。Journal of Addictive Diseases誌2020年4~6月号の報告。 コホート研究30件をメタ解析に含めた。分析は、変量効果モデルに基づき実施し、その後、さまざまな変数を基にサブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析の結果、アルコール摂取と自殺との関連が認められた。・アルコール摂取と自殺のリスク比(RR)は、1.65であった。・プールされたRRは、男性で1.56(95%CI:1.20~2.03)、女性で1.40(95%CI:1.11~1.77)であった。 著者らは「アルコール摂取は、自殺のリスク因子であることが示唆された。アルコール摂取の予防や抑制は、メンタルヘルスの促進に有効であると考えられる」としている。

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ダウン症者のアルツハイマー病は予測可能、異常は20代から/Lancet

 ダウン症者におけるアルツハイマー病は、20年以上にわたる前臨床段階を有し、バイオマーカーの変化で予測可能であることが明らかにされた。スペイン・Barcelona Down Medical CenterのJuan Fortea氏らが、ダウン症候群者388例を含む横断研究の結果を報告した。アルツハイマー病とその合併症は、ダウン症の成人における主な死因となっている。先行研究で、ダウン症者のアルツハイマー病について評価は行われたが、ダウン症者におけるバイオマーカーの変化の経過は確認されていなかった。Lancet誌2020年6月27日号掲載の報告。ダウン症者のアルツハイマー病について横断試験 研究グループは、スペイン・バルセロナのSant Pau病院と、英国・ケンブリッジ大学で、ダウン症者とその対照群を集めて横断研究を行った。バルセロナでは、住民ベースの医療保険プランを通じて、またケンブリッジでは、英国とスコットランドの知的障害者支援サービスを通じて、18歳以上のダウン症者を集めた。 被験者の適格条件は、軽度~中等度の障害を持ち、次のアルツハイマー病の指標や検査で陽性が1つ以上認められる場合とした。アポリポ蛋白E対立遺伝子の状況、アミロイドβペプチド1-42と1-40血清濃度とその比率(Aβ1-42/1-40)、総タウタンパク質、ニューロフィラメント軽鎖タンパク質(NFL)、脳脊髄液中(CSF)のスレオニン181でリン酸化されたタウ(p-tau)やNFL、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)によるPET、アミロイドトレーサーによるPET、磁気共鳴画像(MRI)。 対照群は、バイオマーカーに異常がなく、認知能力が正常な18~75歳とした。 1次LOESS平滑化曲線により、バイオマーカー変化の順番と年齢、分岐となる最低年齢などを求めて評価した。ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇 バルセロナでは2013年2月~2019年6月、ケンブリッジでは2009年6月~2014年12月にかけて、ダウン症者388例(無症状257例[66%]、アルツハイマー病前駆症状48例[12%]、認知症を伴うアルツハイマー病83例[21%])と、その対照群242例を集めた。 ダウン症者では、CSF Aβ1-42/1-40と血清NFLの変化が20代で認められ、アミロイドPETの変化は30代で認められた。18F-FDG PETやCSF p-tauの変化は30代後半に、その後40代になると海馬萎縮や認知能力に変化が起きていた。 前駆期アルツハイマー病の診断年齢中央値は50.2歳(IQR:47.5~54.1)、認知症を伴うアルツハイマー病は同53.7歳(49.5~57.2)だった。 ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇し、60代には90~100%に達していた。 結果を踏まえて著者は、「被験者集団は、散発性および常染色体優性アルツハイマー病と類似しており、ダウン症候群の有病率も高いことから、アルツハイマー病の予防治療のターゲットとして適していると考えられる」と述べている。

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初回エピソード統合失調症患者における非定型抗精神病薬の神経認知効果

 認知障害は、統合失調症の主要症状の1つである。初回エピソード統合失調症患者の認知機能に対する非定型抗精神病薬の影響については、これまで包括的に調査されていなかった。中国・北京大学のYanyan Hou氏らは、初回エピソード統合失調症に対するリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾールの神経認知効果を比較するため、多施設ランダム化オープンラベル試験を実施した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年6月4日号の報告。 初回エピソード統合失調症患者546例の対象患者を、リスペリドン群、オランザピン群、アリピプラゾール群のいずれかにランダムに割り付け、1年間フォローアップを行った。認知機能の評価には、認知機能評価バッテリーを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月時点で、言語学習と記憶を除くほぼすべての認知領域において、3群とも有意な改善が認められた。・12ヵ月時点で、3つの認知領域において、3群ともさらなる改善が認められたが、視覚学習と記憶パフォーマンスについてはベースライン値に戻っていた。 著者らは「3つの非定型抗精神病薬は、初回エピソード統合失調症患者の認知機能を改善させる。その改善効果については、薬剤間で有意な差は認められなかった」としている。

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日本人の妊娠出産による摂食障害再発や産後うつ病

 出産可能年齢の女性における摂食障害(ED)発症についての研究が行われている。しかし、妊娠中および出産後の女性を対象とした長期フォローアップ研究は、あまり行われていない。東邦大学の牧野 真理子氏らは、妊娠中および出産後のED再発とED完全寛解の女性における産後うつ病について調査を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2020年5月27日号の報告。 1994~2004年に診療所外来を受診したED患者1,008例のうち、ED寛解および妊娠した女性は55例であった。このうち、研究への参加に同意した患者は25例(神経性過食症[BN]21例、神経性食欲不振症[AN]4例)であった。最終的に、流産した患者を除く24例が研究に含まれた。対象患者は、妊娠中と出産後の両方で2週間ごとに面接を受けた。EDおよび産後うつ病の診断には、Eating Attitudes Test-26(EAT-26)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。統計分析には、両側独立検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中にEDを再発した患者は16例(67%)、出産後にEDを再発した患者は12例(50%)であった。・産後うつ病が認められた患者は12例(50%)、低体重児出産は4例(33%)で認められた。・産後うつ病が認められなかった患者では、低体重児出産は認められなかった。・産後うつ病群と非産後うつ病群の間に、出生時体重の有意な差は認められなかった(p=0.065)。 著者らは「妊娠中および出産後の女性では、EDの再発率や産後うつ病の発症率が高いことが明らかとなった。妊娠中および出産後の綿密なEDモニタリングが求められる」としている。

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急性期統合失調症における抗精神病薬の投与量~メタ解析

 急性期統合失調症における抗精神病薬の最適な投与量については、あまり知られていない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の最小有効量(MED)について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。 これまでのシステマティックレビューより、各抗精神病薬のMEDを特定した。次に、急性期統合失調症における固定用量の抗精神病薬単剤療法を含む二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を特定し、同一薬剤でMEDと高用量の比較を行った。研究の選定は、第2世代抗精神病薬とハロペリドールの用量反応性を調査した最近のメタ解析より行った。研究中止、精神病理、錐体外路症状、治療に伴う有害事象に関するデータを抽出した。各抗精神病薬のMED、MEDの2倍量、MEDの3倍量を比較するメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・26研究、5,618例が解析に含まれた。・MEDと高用量(2倍量、3倍量)との有効性の違いにより、研究中止について有意な差が認められた。・精神病理については、高用量はMEDと比較し、陽性症状および総症状の改善効果が優れていた。・副作用については、MEDと比較し2倍量でパーキンソン症状、下痢が多く、3倍量でアカシジア、傾眠、嘔吐が多かった。 著者らは「急性期統合失調症に対する抗精神病薬の使用において、臨床医は、MEDの2倍量または3倍量の投与が可能であるが、副作用については注意深くモニタリングする必要がある」としている。

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恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 1

今回のキーワード「ポジティブ合戦」社会的報酬ピグマリオン効果認知(マインドセット)健康(ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)マズローの動機(欲求)のピラミッドポジティブ心理学コロナ禍の中、親の在宅勤務や子どもの自宅学習が増え、家族が家にいる時間が増えたことで絆が強まる…と思ったら、実際は、逆でした。その距離感に戸惑い、夫婦げんかや親子げんかが増えています。そして、モラハラやDVが社会問題となり、「コロナ離婚」という言葉が生まれています。このようにならないためには、どうすれば良いでしょうか?その答えが、今回紹介するカードゲーム「恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード」です。今回は、いつもとは違い、シネマセラピーのスピンオフバージョン「レクリエーションセラピー」をお送りします。このゲームは、一言で言うと、ファミリーやカップル向けの「ポジティブ合戦」です。それでは、なぜポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるのでしょうか? なぜポジティブになると幸せになるのでしょうか? そもそもなぜ私たちは幸せになりたいのでしょうか? これらの答えを、このゲームに触れながら、進化心理学的に解き明かします。ネガティブになりがちな今だからこそ、ポジティブになることについて考え、「コロナ離婚」しない、幸せな夫婦のあり方、家族のあり方を一緒に探っていきましょう。 なんでポジティブなセリフを言い合うとポジティブになるの?このゲームのアイテムは、ポジティブなセリフが書かれた48枚のカードと30枚のチップを使います。ルールは、プレイ人数2~4人で、毎朝1~5枚ずつカードを引いて、そのカードに書かれたセリフを1日の間で「対戦相手」にどれだけ言えるかを1週間単位で競います。また、自分が引いたカードを「対戦相手」にアピールしてそのセリフを言ってもらうと、お互いにポイントになります。毎日の夕食の時など一緒にいる時に「対戦結果」を集計し、ポイントのチップをゲットして、勝敗を決めます。このゲームをし続けるうちに、プレイヤーはだんだんとポジティブになっていきます。ここから、この心理メカニズムを3つに分けて、ご説明しましょう。(1)言われると心地良く感じるたとえば、「素敵だね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうなるでしょうか?1つ目は、私たちが美味しいものを食べた時と同じように、ポジティブなことを言われると心地良く感じるからです。これを心理学では、社会的報酬と言います。さらに、相手からポジティブに見られると、自分も相手をポジティブに見るようになります。これを心理学では、魅力の返報性(互恵性)と言います。(2)言われるとその良さを再認識するたとえば、「思いやりがあるね」というカードがあります。こう相手から言われると、どうでしょうか?2つ目は、ポジティブなことを言われるとその良さを再認識するからです。これを心理学では、リソースの発見と言います。これは、自尊心や自信を高めることにつながり、ポジティブになります。また、期待されるという暗示的な効果によって、その良さを生かすことに意識が向いて、実際にそのようになっていきます。これを心理学では、ピグマリオン効果と言います。なお、ピグマリオンとは、ギリシア神話に登場する彫刻家です。彼に恋をした石像が、その彼の期待に応えようと本物の人間の女性になったというストーリーにちなんでいます。日本のことわざの「ひょうたんから駒」や「嘘から出た真」にも通じます。(3)言い続けると癖になるたとえば、「一緒にいられて嬉しいな」というカードがあります。こう自分が言おうとすると、どうなるでしょうか?3つ目は、ポジティブなことを言い続けると癖になるからです。これは、カードのセリフを言うタイミングを見極めようと、そのセリフが頭の中を占めるようになることです。そして、相手の良さを探し出す発想が自分自身にも向き、自分も自分の良さに気付き、ポジティブ思考の「癖」が身に付きます。この考え方の「癖」を心理学では、認知(マインドセット)と言います。ある心理学者(ジェームズ・ランゲ)が、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しい」という名言を残しています。言い換えれば、「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しい」です。これは、「笑う門には福来たる」という日本のことわざにも通じます。つまり、私たちは行動を変えることで、思考パターン(認知)を変えるができます。この思考パターンは、まさにスポーツや楽器演奏と同じく、練習すればするほどうまくなります。これは、心理カウンセリングでよく行われる認知行動療法です。認知とは、心のあり方そのものです。もっと言えば、どういう生き方をしたいのか、生き方そのものとも言えるでしょう。 なんでポジティブになると幸せになるの?幸せとは、健康(ウェルビーイング)と言い換えられます。ここから、ポジティブになると得られる健康を3つに分けて、紹介しましょう。(1)精神的な健康たとえば、「いつもそばにいるよ」というカードは、「自分は大丈夫」という自尊心(自尊感情)を高めます。「センスがいいね」というカードは、「自分はできる」という自信(自己効力感)を高めます。そして、「ワクワクするね」というカードは、「自分はこうしたい」という積極性(内発的動機付け)や目標意識(自己実現)を高めます。これの心理によって、たとえストレスにさらされても、解決しようと働きかけるようになります(ストレスコーピング)。これは、裏を返せば、心が折れにくくなります(レジリエンス)。1つ目は、うつ病などの精神障害を発症しにくくなる、つまり精神的な健康です。なお、レジリエンスの詳細については、末尾の関連記事1をご参照ください。(2)身体的な健康精神的な健康によって、ストレスを減らすことは、脳血管疾患や心血管疾患のリスクを減らします。また、免疫力を維持して、がんのリスクも減らします。2つ目は、寿命が延びる、つまり身体的な健康です。実際に、「修道女研究」によって、若年期にポジティブであることは長寿の傾向になることが示されています。これは、アメリカのある教会の修道女180人の若年期の日記の中にあるポジティブワードの割合を分析した研究です。結果として、順位付けた4つのグループの間で明らかな生存率の違いが判明しました。なお、修道女である理由は、質素な食事量、適度な運動、喫煙や飲酒などの嗜好品の禁止などが徹底されており、生活習慣が完全にコントロールされているからです。(3)社会的な健康たとえば、「あなたがいてくれて良かった」というカードは、「自分は周りから大切にされている」という自尊心(集団的アイデンティティ)から「周りを大切にしたい」という愛他性(利他性)を高めます。また、「人の心を動かせる人だね」というカードは、「自分たちは社会の役に立てる」という自信(集団的効力感)を高め、「自分たちは世の中の役に立ちたい」という社会貢献(向社会性)につながります。これが制度化されたものが、ソーシャルサポートであり福祉です(コミュニティ・レジリエンス)。3つ目は、ソーシャルサポート(福祉)が充実する、つまり社会的な健康です。実際に、宗教に入信している人は、一般の人よりも寿命が平均7年長いことが分かっています。その理由として、宗教というコミュニティに属することで、精神的な健康だけでなく、助け合いによるソーシャルサポートも得られることが指摘されています。また、対人魅力の研究によると、結婚相手に選ばれるのは、ネガティブな人よりもポジティブな人であることが分かっています。つまり、ポジティブであることは、それだけ社会、そして子孫が繁栄することが示唆されます。次のページへ >>

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恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】Part 2

なんで幸せになりたいの?-幸福感はなんで「ある」の?そもそもなぜ幸せになりたいのでしょうか? あまりにも当たり前すぎて、考えたことがないかもしれません。幸せになりたいとは、幸福感を追い求めることです。つまり、言い換えれば、幸福感(主観的ウェルビーイング)はなぜ「ある」のでしょうか? その答えは、進化心理学的に言えば、生存、生殖、社会性(包括適応度)を促進し、集団的により多くの遺伝子を残せるからであると言えるでしょう。ここから、幸福感の心理の起源を進化心理学的に5つの段階に分けて探ってみましょう。さらに、それぞれの段階にマズローの欲求5段階説とポジティブ心理学(セリグマンによる)の「幸せのための5つの条件(PERMA)」を重ね合わせてみましょう。(1)快感約10数億年前に太古の原始生物が海で誕生してから、臭いや見た目でエサを見つけたら、ドパミンが活性化することで、より覚醒して近付くように進化しました。これが、報酬の起源です。この報酬によって食欲や性欲などが満たされることで、快感が得られます。また、獲物を追って無我夢中になっている瞬間にも、先行的に快感が得られます(報酬予測)。これは、擬似的な「狩り」「戦い」「冒険」であるスポーツや旅行にも通じます。やっているそれ自体が楽しいのです。1つ目の段階は、快感です。これは、マズローの1段目の「生理的欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「没頭(Engagement)」に重なります。さらには、「フロー」(チクセントミハイ)という概念にも重なります。なお、快楽の心理の詳細については、末尾の関連記事2をご参照ください。(2)安全感約5億年前に魚類が誕生し、海の中を動き回るようになってから、天敵からいち早く逃げるために、警戒センサー(扁桃体)が進化しました。これが、不安の起源です。この不安の感度が下がる、つまり不安を感じにくくなるのは、脳内のセロトニンの活性が高まっている時です。そして、この不安(危険)が少ないことで、安心・安全が得られます。2つ目の段階は、安全感です。これは、マズローのピラミッドの2段目の「安全欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、はっきり当てはまるものはないです。(3)自尊心約2億年前に哺乳類が誕生してから、子どもはその母親からの乳によって育てられるように進化しました。子どもは、母親から無条件に守られます。この愛情によって、特定の相手とつながりたいという感覚が生まれます。これが、愛着の起源です。この愛着が高まるのは、愛情を注ぐ母親(人類では父親も)と愛情を浴びる子どもの脳内のオキシトシンが連動して活性化する時であることが分かっています。約700万年前に人類が誕生し、約300万年前にアフリカの森からサバンナに出てから、家族を中心とする親族の集団(部族)をつくるようになりました。すると、オキシトシンは、親子の愛着だけでなく部族の絆を強める役割も果たすようになりました。こうして、この愛着や絆によって、大切にされているという自尊心が得られるようになりました。3つ目の段階は、自尊心(自尊感情)です。これは、マズローの3段目の「愛情欲求、所属欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「関係性(Relation)」に重なります。(4)自信約300万年前に人類が部族で助け合う仲間であると認識したときに、ドパミンが活性化して心地良く感じるようにも進化しました。これが、社会的報酬の起源です。「好きだから助け合える」とよく言われます。しかし、社会的報酬の心理メカニズムを踏まえると、逆です。むしろ「助け合うと思うから好きになる」のです。これが、先ほどの魅力の返報性(互恵性)の起源です。この社会的報酬によって、仲間から役に立つと認められているという自信が得られます。4つ目の段階は、自信(自己効力感)です。これは、マズローの4段目の「承認欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「達成(Achievement)」に重なります。(5)自己実現約20万年前に現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生し、複雑な発声ができるように喉(のど)の構造が進化しました。約10万年前から、言葉を使って、ものごとや出来事を関連付けたり、意味付けるようになりました。これが、概念化の起源です。この概念化によって、世界中の人たちや未来の子孫たちの幸せにも思いをめぐらすようになりました。すると、自尊心や自信を育む愛情や承認は、もはや受け取るものではなく、与えるものになります。そして、そこに幸福感を見いだすことができます。たとえば、それは、子育てや後進の育成、社会貢献をすることへの喜びです。これは、先ほど紹介した社会的な健康につながります。こうして、自分は最終的にどうなりたいのかという自分が生きる意味や生きた証を考えるようになりました。5つ目の段階は、自己実現です。これは、マズローの5段目の「自己実現欲求」に重なります。ポジティブ心理学では、「人生の意味(Meaning)」に重なります。さらには、「実存」という哲学用語にも重なるでしょう。 このカードゲームの使い道は?今回、カードゲームを通して、幸福感の起源まで迫りました。このカードゲームは、幸福感の大きな要素となる自尊心、自信、自己実現の心理を高めるセリフが盛り込まれています。このゲームは、ファミリーやカップルで楽しむだけでなく、夫婦カウンセリングやスクールカウンセリングでの「家族のルールづくり」(行動療法)のアイテムの1つとしても使うことができます。また、メンタルヘルス分野のデイケアのレクリエーションセラピーの1つとして使うこともできます。さらには、学校教育の分野や子育ての分野でも教材としても広く役立てることもできるでしょう。 ■関連記事ショーシャンクの空に【心の抵抗力(レジリエンス)】[改訂版]「カイジ」と「アカギ」(後編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】1)実践 ポジティブ心理学:前野隆司、PHP新書、20172)ポジティブなこころの科学:堀毛一也、サイエンス社、2019 << 前のページへ

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『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』~気鋭の医師が提唱する未病の新たな概念

 医学書の範疇に収まらないユニークな著書を数多く持つ國松 淳和氏(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科)の最新作は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』。6月下旬に行われた出版記念セミナーにおいて、國松氏がコロナ禍の中で本書の執筆に至った経緯や読者に伝えたいポイントについて語った。 本の主題となる「シャムズ(CIAMS: COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)」は國松氏の造語。新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、コロナに感染していないのに、不安から実際に体調を崩したり、他者に攻撃的になったりといったマイナスの変化が生じている人が増えたことに気づいた氏が、そうした状況と人を総称するために名付けたという。「よく間違われるのですが、シャムズは医学用語でも病名でもなく、概念に近いもの。『あれ、この人いつもと何か違うな』と周囲の人が気づくものであり、病気ではないので医師が診る必要も医療機関に行く必要もない」と國松氏は解説する。 コロナにまつわる不安が精神的加重となり、心身に変化が起きている状態がシャムズであり、その対応法は「周囲の人が気づき、話しかけること」に集約される、という。普段通りの何気ない会話が不安を取り除き、本来のその人に戻る手助けとなる。「シャムズが疑われる人だけでなく、周囲の人に誰かれ構わず話しかけてみて欲しい。そもそも職場にも家庭にも雑談が足りなさ過ぎる」(國松氏)。さらに、自己のメンテナンスとしてテレビからの過剰な情報を遮断し、ラジオや音楽を聴くことを推奨する。「シャムズは病気ではないものの、放置しておくと精神疾患、とくに重いうつと自殺につながる可能性がある。多くの人にこの概念を知ってもらい、他者への目配りと自分のケアをはじめてもらえたら」と國松氏は語る。 本書は、一般向けに平易にまとめられているが、最前線で新型コロナの対応にあたる医療者も読者として想定されており、診療現場と自らのケアの両面で役立つ内容が含まれている。章末には「医療従事者のみなさんへ」として、シャムズについて医学的な理解を助けるための章も付加されている。『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』(國松 淳和、金原出版、2020年6月)セミナーのご案内 ケアネットでは、7月8日(水)に國松氏と札幌厚生病院病理診断科の市原 真氏の対談をライブストリーミング配信します。◆Dr.國松とDr.ヤンデルの『また来たくなる外来』トーク◆ 配信日:7月8日(水)20~21時 (事前申し込み不要・どなたでも視聴いただけます) ※7月9~15日までCareNeTVにて無料配信予定 詳細はこちら 過去の配信 Dr.國松とDr.ヤンデルの大真面目コロナトーク(会員登録不要・無料公開中)

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混合性の双極性うつ病の小児・青年に対するルラシドンの有用性

 混合性(亜症候性躁病)の双極性うつ病の小児および青年の治療に対するルラシドンの有効性と安全性について、米国・スタンフォード大学のManpreet K. Singh氏らが、事後分析により評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月8日号の報告。 DSM-Vで双極I型うつ病と診断された10~17歳の患者を対象に、6週間のランダム化二重盲検試験を実施した。対象患者は、ルラシドン20~80mg(フレキシブルドーズ)またはプラセボを1日1回投与する群にランダムに割り付けられた。混合性(亜症候性躁病)は、ベースライン時のヤング躁病評価尺度(YMRS)5以上と定義した。評価項目は、ベースラインから6週目までのChildren's Depression Rating Scale-Revised(CDRS-R)スコア(主要評価項目)および臨床全般印象度-双極性障害 重症度(CGI-BP-S)スコアとし、反復測定分析による混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に亜症候性躁病が認められた患者の割合は、54.2%であった。・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCDRS-Rスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-21.5)vs.プラセボ(-15.9)、p<0.01、エフェクトサイズd=0.43 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-20.5)vs.プラセボ(-14.9)、p<0.01、d=0.44・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCGI-BP-Sスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-1.6)vs.プラセボ(-1.1)、p<0.001、d=0.51 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-1.3)vs.プラセボ(-1.0)、p=0.05、d=0.31・治療中に認められた軽躁病および躁病の発生率は、ルラシドンとプラセボで同等であった。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(8.2%)vs.プラセボ(9.0%) ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(1.3%)vs.プラセボ(3.7%) 著者らは「ルラシドンは、混合性の双極性うつ病の小児・青年の治療に有効であり、治療に伴う躁病リスクを含む安全性プロファイルは、プラセボとの差が認められなかった」としている。

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日本の実臨床におけるアリピプラゾール長時間作用型注射剤による統合失調症治療

 統合失調症患者のマネジメントでは、抗精神病薬治療の継続が重要である。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本の実臨床においてアリピプラゾール長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)がアリピプラゾール経口剤(OA)と比較し、より長期間の治療継続に寄与できるかを評価するため、JMDCのレセプトデータベースを用いて検討を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2020年6月4日号の報告。 2015年5月~2017年11月にAOMまたはOAで治療を開始した統合失調症患者を対象に、データ分析を行った。年齢、性別、抗精神病薬のクロルプロマジン換算量、精神科への入院回数で調整した後、AOMとOAの治療中止のハザード比(HR)を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は、AOM群198例(平均年齢:38.4±11.9歳)、OA群1,240例(平均年齢:39.3±12.4歳)であった。・AOM群は、OA群と比較し、治療中止の可能性が有意に低かった(調整HR:0.54、95%CI:0.43~0.68)。・忍容性を有するOA群(983例)とすべてのAOM群を比較した場合、AOM群の治療中止の可能性は有意に低下した(調整HR:0.67、95%CI:0.53~0.86)。 著者らは「日本の実臨床における統合失調症患者へのAOMの使用は、より長期間の抗精神病薬による治療継続に寄与する可能性がある」としている。

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軽度認知障害や初期アルツハイマー病の短時間スクリーニング法

 岩手医科大学の赤坂 博氏らは、軽度認知障害(MCI)や初期アルツハイマー病(AD)などの早期認知障害患者のスクリーニングツールとして、老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology index of competence:TMIG-IC)を用いて評価した日常生活の機能活動の臨床的有用性について検証を行った。日本老年医学会雑誌2020年号の報告。 対象は、クリニックから連続登録を行ったMCI(39例)とAD患者(FAST分類4:50例、FAST分類5以上:19例)およびコミュニティベースコホートより抽出した健康対照者(NC群:187例)。すべての対象者およびその家族に対し、TMIG-ICを用いた調査を行った。合計スコアおよびサブスケールスコアについて、群間比較を行った。また、MCIとADの診断精度の検討も行った。 主な結果は以下のとおり。・家族より報告されたスコアは、NC群と比較し、MCI群、AD群の順で有意な低下が認められた。患者より報告されたスコアでは、顕著な差は認められなかった。・MCIとADの診断において、家族より報告された合計スコアは、感度85.7%、特異性90.9%で判別できた(AUC:0.913)。・MCIのみの判別では、精度の低下が認められた(AUC:0.787)。・患者と家族の回答が不一致であった項目のみを指標とした場合、AUCは0.847となった。 著者らは「TMIG-ICは、初期ADを含むADの重症度を評価するために有用なツールである。家族から報告されたスコアを用いることによりMCIおよびADの判別を十分な精度で実施できる。MCIの判別では、患者と家族の評価の不一致数で精度が高くなる」としている。

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薬理学的精神科治療の必要性に対する患者と医師のギャップ~横断的研究

 統合失調症患者には精神薬理学的治療が不可欠であるが、患者の薬物療法についてのニーズ、好み、不満に関するデータは限られている。さらに、これらの問題に対する精神科医の意識の程度(ニーズのギャップ)を評価する研究はこれまでなかった。東京都済生会中央病院の高橋 希衣氏らは、薬理学的精神科治療の必要性に対する患者と精神科医とのギャップについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年6月3日号の報告。 日本人統合失調症患者97例を対象に、精神薬理学的治療に関する必要性や不満、剤形、投与頻度、投与タイミングの好みに関連する多肢選択式の質問から構成された質問票による回答を求めた。さらに、担当の精神科医には、上記質問に対する患者の反応を予測するよう依頼した。 主な結果は以下のとおり。・精神薬理学的治療の必要性(軽減したいと思った症状)について「とくに何もない」と回答した患者が14例(16.7%)であった。この反応を正しく予測できた精神科医は23.1%であった。・精神薬理学的治療に関する不満について「とくに何もない」と回答した患者が17例(20.2%)であった。この反応を正しく予測できた精神科医は15.4%であった。・投与頻度、投与タイミング、剤形に対し患者に最も好まれたのは以下のとおりであった。 ●1日1回:56例(65.1%)、正しく予測できた精神科医59.8% ●就寝前:53例(61.6%)、正しく予測できた精神科医54.9% ●錠剤:51例(59.3%)、正しく予測できた精神科医64.6% 著者らは「精神科医が精神薬理学的治療に関する患者のニーズや不満を把握するためには、改善の余地が大きいことが示唆された」としている。

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COVID-19に関連する医師のメンタルヘルスやストレス

 COVID-19のアウトブレイクによる医師の不安やストレス、抑うつレベルへの影響について、トルコ・Istanbul Medeniyet UniversitesiのRumeysa Yeni Elbay氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年5月27日号の報告。 COVID-19アウトブレイクにおける医療従事者の心理的反応と関連要因を評価するため、オンライン調査を実施した。調査内容は、社会人口統計学的データ、個別の労働条件に関する情報、Depression Anxiety and Stress Scale-21(DAS-21)のセクションで構成した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象442人中、各症状が認められた人数は以下のとおりであった。 ●うつ症状:286人(64.7%) ●不安症状:224人(51.6%) ●ストレス:182人(41.2%)・スコアの高さと関連していた要因は、女性、若年、独身、実務経験の少なさ、最前線での診療であった。・一方、子供がいることは、各サブスケールスコアの低さと関連していた。・最前線での診療に当たっていた医師において、DAS-21合計スコアの上昇と関連する要因は以下のとおりであった。 ●毎週の労働時間の増加 ●ケアするCOVID-19患者数の増加 ●同僚や上司からのサポートレベルの低さ ●後方支援の低下 ●COVID-19関連タスクでの技量に対する不安 著者らは「本調査結果は、世界中の社会に多大な影響を与える災害と闘う中で、医師のメンタルヘルスを守るために注意すべき要因を強調するものである」としている。

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血清葉酸レベルと統合失調症の性別に基づく関連性

 血清葉酸濃度に性差があることはよく知られているが、血清葉酸レベルと統合失調症の関連性を性別に基づいて調査した研究はこれまでなかった。徳島大学の富岡 有紀子氏らは、日本人を対象に、性別で層別化した統合失調症患者と精神疾患でない健康な対照者における血清葉酸レベルの違いを調査した。以前の研究データを用いて、血清葉酸レベル、血漿総ホモシステイン(tHcy)、血清ビタミンB6(ピリドキサール)レベルとの関係も調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月23日号の報告。 統合失調症患者482例および精神疾患でない健康な対照者1,350例の血清葉酸濃度を測定した。性差に基づく両群間の血清葉酸レベルの違いを調査するため、共分散分析を用いた。葉酸、 tHcy、ビタミンB6レベルとの関係を評価するため、スピアマンの順位相関係数を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対照群では、男性よりも女性において、血清葉酸濃度が高かった。・統合失調症群では、男女ともに血清葉酸レベルが低かった。・血清葉酸レベルとtHcyとの逆相関、血清葉酸レベルとビタミンB6との弱い正の相関が認められた。 著者らは「性別に関係なく、低血清葉酸レベルと統合失調症が関連していることから、統合失調症治療において、葉酸の投与が有益であると考えられる。血清葉酸レベルが低い統合失調症患者に対して葉酸の投与を行うことで、高tHcyおよび低ビタミンB6レベルが改善する可能性がある」としている。

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統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。 2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。 主な結果は以下のとおり。・除外後の対象患者は、1万3,471例であった。・高用量処方の頻度は男性で高く、クロルプロマジン換算量が最も多かった年齢範囲は、男性で45~54歳、女性で35~44歳であった。・65歳未満の脳血管疾患患者では、高用量処方が少なかった。・65歳未満の患者では、向精神薬の併用頻度が高かった。 著者らは「統合失調症患者では、高用量の抗精神病薬が向精神薬と併用されることが少なくない。症状が改善した患者のケアのために、抗精神病薬の高用量処方を避けるべく、医師の処方行動を評価する必要性がある」としている。

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双極性障害における心臓突然死の発生率とリスク因子

 双極性障害患者における心臓突然死の発生率やリスク因子に関する情報は十分ではない。台湾・台北医科大学のPao-Huan Chen氏らは、双極性障害患者の心臓突然死の調査およびリスク因子の特定のため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月23日号の報告。 2000~16年の台湾全民健康保険研究データベースおよびHealth Death Certification Systemのデータを用いた、プロスペクティブ台湾コホート研究を実施した。本コホートに含まれた双極性障害患者は4万6,490例、そのうち467例に心臓突然死が発生した。 主な結果は以下のとおり。・層別解析では、心臓突然死の標準化死亡率(SMR)は、すべての年齢で1.00超であり、30歳未満の患者で最高値(SMR:31.96、95%CI:20.47~47.55)であった。・とくに高血圧は、50歳未満(SMR:1.85、95%CI:1.23~2.79)および50歳以上(SMR:1.44、95%CI:1.14~1.83)の両方で心臓突然死リスクを上昇させた。・静脈およびリンパ管障害(SMR:1.97、95%CI:1.23~3.16)、アルコール使用関連障害(SMR:2.34、95%CI:1.62~3.38)は、50歳未満の心臓突然死リスクを上昇させた。・うっ血性心不全(SMR:1.59、95%CI:1.13~2.23)および認知症(SMR:1.75、95%CI:1.30~2.35)は、50歳以上の心臓突然死リスクを上昇させた。 著者らは「双極性障害患者は、どの年代においても心臓突然死リスクが非常に高いため、早急に特有の予防戦略が求められる」としている。

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うつ病、不安症、PTSD歴と認知症リスク~メタ解析

 うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は認知症と関連しているといわれているが、これらが認知症のリスク因子(因果関係または前駆症状)、併存疾患、後遺症(2次的影響)であるのかはわかっていない。これまでのメタ解析では、すべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)とうつ病や不安症との関連は調査されているものの、PTSDやレビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)との関連は考慮されていなかった。オーストラリア・アデレード大学のJ. K. Kuring氏らは、精神疾患と認知症との関連をより理解する目的で、臨床的に有意なうつ病、不安症、PTSD歴を有する人とそうでない人におけるAD、VaD、DLB、FTD、すべての原因の認知症発症リスクを調査するためのメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月21日号の報告。 PubMed、EMBASE、PsycINFO、CINAHLを検索し、適格研究36件を特定した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病歴がある人は、ない人と比較し、すべての原因による認知症、ADの発症リスクが高かった。・不安症歴のある人は、ない人と比較し、すべての原因による認知症の発症リスクが高かった。・PTSD歴は、その後の認知症発症リスクとの関連が認められなかった。・なお、不安症、PTSD、DLB、FTDに関するデータは限られていた。 著者らは「うつ病や不安症は認知症のリスク因子の可能性があるが、このリスクの因果関係または前駆症状を評価するためには、成人期(若年成人、中年、高齢)にわたる縦断的研究が必要である。精神疾患の新規発症および既往歴のある高齢者における認知機能変化の定期的なスクリーニングは、認知症の早期発見に役立つ可能性がある」としている。

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ラコサミドに点滴静注100mgが登場/ユーシービージャパン

 ユーシービージャパン株式会社は、6月11日に抗てんかん剤ラコサミド(商品名:ビムパット点滴静注100mg)を新発売した。 てんかんは、全世界で約6,500万人、わが国には約100万人の患者数が推定され、毎年57,000人が新たにてんかんを発症している。患者の大部分が長期的な薬物療法を必要とするが、既存の抗てんかん薬を使用しても、30%を超える患者がてんかん発作を十分にコントロールできていないとの報告もあり、てんかん治療ではアンメット・ニーズが高い。 今回発売されたラコサミドは、電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進することにより、神経細胞の過剰な興奮を低下させる薬剤1)。2016年7月に成人の「てんかん患者の部分発作に対する併用療法」で製造販売承認を取得後、成人の「てんかん患者の部分発作に対する単剤療法」(2017年8月)、4歳以上の小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法及び単剤療法に係る新用量(2019年1月)、ドライシロップと点滴静注(2019年1月)とそれぞれ追加承認されている。 ビムパット点滴静注100mgは、一時的に経口投与ができない患者への部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対し承認されている先行の「同点滴静注200mg」の充填量を半量とした製剤。1回の投与で使い切ることができ、同社では「錠剤とドライシロップ10%、点滴静注200mgに加え、点滴静注100mgを追加することで、患者や医療関係者に一層貢献できる」と期待を寄せている。ビムパットの概要商品名:ビムパット点滴静注100mg一般名:ラコサミド効能または効果:一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するラコサミド経口製剤の代替療法てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)用法・ラコサミドの経口投与から本剤に切り替える場合:通常、ラコサミド経口投与と同じ1日用量および投与回数にて、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。・ラコサミドの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:成人:通常、ラコサミドとして1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。小児:通常、4歳以上の小児にはラコサミドとして1日2mg/kgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、維持用量を体重30kg未満の小児には1日6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児には1日4mg/kgとする。いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いる。いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1日最高投与量および増量方法は以下のとおりとする。成人:1日最高投与量は400mgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う。小児:4歳以上の小児のうち体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/㎏を超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ1日最高投与量および増量方法とする。製造販売承認日:2020年1月27日薬価基準収載日:2020年5月27日薬価:ビムパット点滴静注100mg 1瓶2,459円発売日:2020年6月11日製造販売元:ユーシービージャパン株式会社販売元:第一三共株式会社

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日本における抗精神病薬の使用調査~JMDC Claimsデータベース

 日本における臨床ガイドラインとヘルスケアの実践とのギャップを明らかにするため、大阪医科大学附属病院のHata Takeo氏らは、抗精神病薬の使用状況について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年5月13日号の報告。 2005~16年のJMDC Claimsデータベースよりデータを使用した。ATC分類でN05Aと分類された薬剤を抗精神病薬として定義した。抗精神病薬を処方された患者数に基づき、年間変化率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・408万1,102人のデータベースより、除外基準(抗精神病薬未使用、処方日または用量のデータなし、入院患者、抗精神病薬の頓服処方、長時間作用型[LAI]を除く抗精神病薬注射剤のみの処方、主疾患が統合失調症以外、クロルプロマジン換算75mg/日未満、18歳未満)に該当した患者を除く1万2,382人のデータを抽出した。・第2世代抗精神病薬の使用が増加しており、第1世代抗精神病薬の使用は減少していた。・2016年の時点で、最も処方された抗精神病薬はアリピプラゾール(31.9%)であった。・クロザピンの処方率は、0.2%であった。・LAIが処方された割合は、5%未満であった。 著者らは「日本の統合失調症に対する抗精神病薬の使用は、さまざまな臨床ガイドラインに対応しているが、クロザピンおよびLAIの使用は限定的であった。活用が不十分なこれらの抗精神病薬の処方に影響する要因に焦点を当てた研究が、統合失調症に対する薬理学的治療の進歩に役立つであろう」としている。

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ウォーキングデッド【この世界観だからこそわかる!「コロナ不安」への処方せん】

今回のキーワード回避強迫同調セロトニンマインドフルネスアクセプタンス&コミットメント・セラピー新型コロナウイルスのパンデミックによって、「パニック買い」や「感染者叩き」が起こるなど、世の中は不安が増しています。それにしても、不安とは何でしょうか? なぜ不安になるのでしょうか? そもそもなぜ不安は「ある」のでしょうか? そして、不安にどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、海外ドラマ「ウォーキングデッド」を取り上げます。このドラマを通して、不安を精神医学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、「コロナ不安」への心のあり方を一緒に探っていきましょう。不安とは?舞台は、ゾンビに噛まれればゾンビになってしまうという、ゾンビだらけの荒廃した世界。そんな極限状況の中で生き残っている主人公のリックは、妻子と仲間の数人とともに、安住の地を求めて旅を続けます。彼らは常に不安と隣り合わせです。不安とは何でしょうか? 不安とは、究極的には生存を脅かすことへの感情、つまり生存本能そのものと言えます。ここから、仲間の1人でリックの元同僚のシェーンの行動を通して、不安の心理を3つ挙げてみましょう。なお、登場人物たちの言い回しに合わせて、今後はゾンビを「ウォーカー」と表記します。(1)危険を避ける-回避シェーンは、はぐれた仲間を助けに行くかの決断に迫られた時、毎回、動かないことを主張し、リックと対立します(シーズン1第3話)。1つ目は、危険を避けることです。不安の対象を回避すれば、その不安を感じなくてすむからです。精神医学的に言えば、不安症の回避行動に当てはまります。実際には、コロナ危機の中、感染を避けようと外出や人との接触をしないようにすることが当てはまります。(2)危険にとらわれる-強迫シェーンは、農場にとどまっている時、農場主(ハーシェル)が納屋にウォーカーと化した家族たちをかくまっていることについに耐えられなくなり、リックたちの制止を振り切って、次々と撃ち倒します(シーズン2第7話)。2つ目は、危険にとらわれることです。危険は基本的には避ければいいだけのはずです。しかし、身近に迫っている場合は、それにとらわれてしまい、何とか解消しようとします。精神医学的に言えば、強迫症の強迫行為に当てはまります。実際に、コロナ危機の中、感染が迫っていることにとらわれてずっと手洗いをしたり(不潔恐怖)、PCR検査をしようと病院をはしご(ドクターショッピング)したり(不完全恐怖)、食料や生活用品が足りなくなることにとらわれて買いだめをすることが当てはまります(不足恐怖)。(3)誰かのせいにする-同調シェーンは、グループがピンチになるたびに、誰かのせいにしています。リックのリーダーシップによってグループが危険にさらされていると感じて、最終的にリックを殺そうとします(シーズン2第12話)。3つ目は、誰かのせいにすることです。彼は、自分と自分が大切だと思っている人(ローリとカール)だけが生き残ることを最優先にしています。そのために良かれと思って行動しており、彼なりの信念があり、生存本能が強いとも言えます。しかし、言い換えれば、そこに良心や理性はありません。意見が合わなければ、自分が身を引いて、グループを離れればいいだけの話なのに、彼は自分こそがリックに代わってリーダーになるべきだと思い上がった正義感があります。精神医学的に言えば、解離症の同調(排他性)に近いです。実際に、コロナ危機の中、「感染者叩き」やヘイトスピーチのような犯人探しが当てはまります(スケープゴート)。 なぜ不安になるの?シェーンは、回避、強迫、同調の心理から、とても不安が強まっていることが分かります。そして、不安から、利己的、独断的、干渉的になっています。一方のリックは、そこまで不安を感じておらず、対照的に利他的、民主的、自由主義的です。この2人は、もともと親友だったのにもかかわらず、真っ向から対立していきます。それでは、なぜシェーンは不安になり、リックは不安にならなかったのでしょうか?ここから、不安の心理の要因を2つに分けてみましょう。(1)遺伝1つ目は、遺伝です。不安の感じやすさの器質は、脳内のセロトニンの量と関係していることが指摘されています。セロトニンは、その「リサイクルポンプ」(セロトニントランスポーター)が働くことによって、常に使い回されています。このセロトニントランスポーターの密度が低い、つまり働きが悪い遺伝子タイプ(SSタイプ)と密度が高い遺伝子、つまり働きが良い遺伝子タイプ(LLタイプ)の違いによって、そもそも生まれつきで不安の感じやすさに違いがあることが分かっています。(2)環境2つ目は、環境です。とくに、生育環境で、親子関係(愛着形成)がもともとうまく行っていない場合は、不安になりやすいことが指摘されています。また、危機的状況(ストレス)に曝され続けることによって、不安を感じやすくなることも分かっています。ちなみに、ドラマのシーズンが進む途中、リックは一時期シェーンっぽくなっていました。 なぜ不安は「ある」の?不安は、遺伝と環境によって、感じやすくなることが分かりました。それでは、そもそもなぜ不安は「ある」のでしょうか? ここから、不安の起源を3つの段階に分けて、進化心理学的に掘り下げてみましょう。(1)身を守る-回避約5億年前に魚類が誕生してから、海の中を動き回るようになりました。その時、自分より大きな魚などの天敵に食べられないようにするために、扁桃体が進化しました。そして、天敵が近くにいると分かったら、扁桃体のセンサーが反応し警戒して、逃げるようになりました。これが不安の起源です。1つ目は、天敵から身を守ることです(回避)。ちなみに、体内の二酸化炭素の濃度が上がると、それを感知する窒息センサーも進化しました。これがパニック発作(不安発作)の起源です。(2)縄張りを守る-強迫その後に、魚類は、自分の縄張りを持つようになりました。そこは食料があり、安全で安心の場所です。逆に、そこから出てしまうと危険ですので警戒するよう進化しました。これが広場恐怖の起源です。また、縄張りができてから、ライバルに侵入されて縄張りや資源を横取りされないように、縄張りを行ったり来たりする反復行動をするように進化しました。これが強迫の起源です。2つ目は、天敵から縄張りを守ることです(強迫)。なお、広場恐怖は縄張りから出て行くことへの不安ですが、強迫は縄張りに入って来られることへの不安と言えます。(資源の横取り)(3)仲間を守る-同調約2億年前に哺乳類が誕生してから、ネズミのように動き回ることができるようになりました。この時、高いところから落ちてしまわないように恐怖を感じるように進化しました。これが高所恐怖の起源です。また、爬虫類などに食べられないように恐怖を感じるように進化しました。これが動物恐怖の起源です。約700万年前、ついに人類が誕生して、300~400万年前にアフリカの森からサバンナに出ました。そして、猛獣から身を守り、限られた食料を分け合って、家族同士が血縁関係で助け合うことで村をつくりました。この時、周りとうまくやっていこうとする社会脳が進化しました。そして、周りに受け入れられないことへの不安を感じるようにも進化しました。これが社交不安の起源です。同時に、村(集団)にとって危険になりうる人を一緒になって排除する心理も進化しました。これが、同調(排他性)の起源です。3つ目は、同じ気持ちで仲間を守ることです(同調)。なお、回避や強迫は個人的な不安ですが、同調は集団的な不安と言えます。不安にどうすればいいの?不安は、身を守る、縄張りを守る、集団を守るという種の生存のために必要だから、そもそも「ある」と言えます。この点を踏まえて、不安にどうすれば良いでしょうか? 不安を感じにくいリックの行動から、不安への対策を3つ挙げてみましょう。(1)不安を俯瞰するリックは、たまたま通りかかった教会で、イエスキリスト像に向かって「俺は信心深くないけど」「俺の行動が正しいと何かサインをくれよ」と語りかけています(シーズン2第1話)。彼は、イエスの視点を通して、自分自身を冷静に見つめているとも言えます。一方のシェーンは、不安に圧倒されて、いつも落ち着かない表情をしています。1つ目は、不安を俯瞰することです。不安に圧倒されると、不安になること自体に不安になります(予期不安)。そうではなくて、不安になっている自分自身の心を客観視して、不安に対して自分ができる行動を冷静に考えることです。これは、マインドフルネスというセラピーに通じます。(2)不安を共有するリックは、妻に心の内を明かし、農場主(ハーシェル)と前向きな話し合いをしようとしています(シーズン2全般)。一方、シェーンは不平不満ばかり言い、孤立しています。2つ目は、不安を共有することです。そして、ネガティブな過去の断罪ではなく、ポジティブな未来の提案をして、仲間としてお互いに勇気付け合うことです。これは、自助グループなどの集団セラピーに通じます。(3)不安を超越するリックは、「俺の信念は、1番は家族、仲間、そして仕事(役割)だ」と語るシーンがあります(シーズン2第1話)。シーズンが進むと、彼は、より多くの人の幸せや次世代の幸せに思いを馳せるようになります(シーズン9第5話)。一方のシェーンは、最後まで自分のことしか考えていませんでした。3つ目は、不安を超越することです。不安は不安として抱えつつ、何に不安を感じているかを通して、自分はどうなりたいかに気付くことです。すると、不安ではないことに目を向けることになり、結果的に不安にとらわれなくなります。これは、アクセプタンス&コミットメント・セラピーに通じます。 「コロナ不安」への心のあり方は?「ウォーキングデッド」の世界観は、まさに原始の時代に通じるものがあります。それは、不確かなことが多く、不安に圧倒される世界です。そして、それは現在のコロナ危機にも通じます。人間はそもそも不安を感じるようにできています。よくよく考えてみれば、コロナ以前の私たちは何も不安を感じずに幸せだったでしょうか? やはり何かしらの不安があったでしょう。逆に言えば、コロナ危機というはっきりとした不安がある今だからこそ、不安を俯瞰し共有し超越することを通して、自分はどう生きていきたいかという本心に気付くチャンスなのではないでしょうか? ■参考スライド【不安症、強迫症】2020年■関連記事アビエイター【強迫性障害】美女と野獣【実はモラハラしていた!? なぜされるの?どうすれば?(従う心理)】苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】

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