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産後うつ病ケアの利用と仕事に及ぼす影響

 オランダの産後うつ病女性に対するケアが、産後うつ病の症状、子供、仕事にどのような影響を及ぼすかについて、オランダ・Universiteit TwenteのA. I. van der Zee-van den Berg氏らが、検討を行った。Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde誌2021年3月11日号の報告。 子供のヘルスケア環境下における産後うつ病スクリーニングの有効性に関するプロスペクティブ比較試験の対照群よりデータを抽出した。2つのオンラインアンケートを用いてデータを収集した。出産3週間後における母親の特性を調査した。出産12ヵ月後、産後うつ病、うつ症状のケア、産後の母子に対する一般的なケア、産後12ヵ月以内の仕事復帰について調査した。違いを確認するために、カイ二乗検定とスチューデントt検定を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象女性1,049人のうち99人(9.4%)は、出産した年に産後うつ病の経験が認められた。・産後うつ病女性99人のうち71.0%は、産後うつ病軽減のために何かしらのケアを受けていた。・産後うつ病女性のうち31.3%はうつ病と診断され、37.7%は実際に治療を受けていた。・産後うつ病女性は、そうでない女性と比較し、自分自身または子供に対してより多くのケアを受けていた。・産後うつ病女性は、欠勤率が有意に高かった。 著者らは「産後うつ病ケアを受ける女性は限られていた。出産後の女性のための定期的なスクリーニングやカスタマイズされたケアへの社会的投資の必要性が示唆された」としている。

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片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。 4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・プールされた対象は、成人片頭痛患者2,867例。eptinezumab群2,076例(投与回数:4,797回)、プラセボ群791例(投与回数:1,675回)。・1回以上の治療に起因する有害事象(TEAE)が確認された患者の割合は、eptinezumab群で54.8%(1,137例)、プラセボ群で52.3%(414例)であり、eptinezumabの各用量(10~1,000mg)間でその割合は類似していた。・TEAEの重症度は、ほとんどが軽度または中等度であり、治験責任医師は、治療薬とは無関係であると判断していた。・注射部位の有害事象は、eptinezumab群では27例(1.3%)で30回認められ、プラセボ群では7例(0.9%)で7回認められた。・注射部位の有害事象による治療中断は、eptinezumab群で19例(0.9%)、プラセボ群で5例(0.6%)に認められた。・eptinezumab 300mg群において、鼻咽頭炎の発生率が2%以上認められており、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高い発生率であった。しかし、多くの患者(eptinezumab群:140例中139例、プラセボ群:41例中40例)において、その発生は治療とは無関係であると考えられていた。・過敏症は、eptinezumab群の23例(1.1%)で認められたが、プラセボ群では認められなかった。・蕁麻疹、紅潮・ほてり、発疹、そう痒感などの過敏症を示す可能性のあるTEAEを考慮した場合、2つのプラセボ対照第III相試験におけるeptinezumab 100mg群および300mg群の過敏症発生率は、2%以上であった。この発生率は、いずれかの群において、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高かった。・ほとんどの過敏症は、深刻ではなく、通常1日以内に標準的な治療または治療なしで改善した。 著者らは「成人片頭痛患者に対する12週ごとのeptinezumabによる静脈内投与は、良好な安全性と忍容性プロファイルを有していることが確認された」としている。

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レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。英国の全般/分類不能てんかんの無作為化第IV相非劣性試験 研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 2013年4月~2016年8月の期間に、英国国民保健サービス(NHS)の69施設で、年齢5歳以上(上限なし)、治療を要する非誘発性てんかん発作が少なくとも2回認められ、臨床的に全般てんかんまたは分類不能てんかんと診断され、登録前の2週間に緊急治療を除き抗けいれん薬治療を受けていない参加者の募集が行われた。 被験者は、レベチラセタムまたはバルプロ酸の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、2年間の追跡が行われた。参加者と担当医はマスクされず、試験薬の割り付け情報を認識していた。 520例が登録され、レベチラセタム群に260例、バルプロ酸群に260例が割り付けられた。全体の年齢中央値は13.9歳(範囲:5.0~94.4)、女性が183例(35%)で、397例が全般てんかん、123例は分類不能てんかんであった。全例がintention-to-treat(ITT)解析に含まれた。重大なプロトコル違反や、後にてんかんではないと診断された参加者を除外したper-protocol(PP)集団は、509例(レベチラセタム群254例、バルプロ酸群255例)だった。女性でのバルプロ酸回避の議論を進めるべき ITT解析では、12ヵ月の時点におけるてんかん発作の寛解(主要評価項目)に関して、レベチラセタム群はバルプロ酸群に対する非劣性の基準(非劣性マージン:1.314)を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.19、95%信頼区間[CI]:0.96~1.47)。 一方、PP解析では、12ヵ月時の発作寛解について、バルプロ酸群のレベチラセタム群に対する優越性(HR:1.68、95%CI:1.30~2.15)が示された。この試験は非劣性を検出するものだが、優越性を示すようにもデザインされていた。 2例(両群1例ずつ)が死亡したが、いずれも試験薬との関連はなかった。有害事象は、バルプロ酸群が96例(37%)、レベチラセタム群は107例(42%)で報告された。レベチラセタム群で精神症状(14% vs.26%)が多く、バルプロ酸群では体重増加(10% vs.3%)が多くみられた。 費用効用分析では、バルプロ酸群が優位であった。すなわち、費用対効果の閾値を1 QALY当たり2万ポンドとした場合のレベチラセタム群の増分純健康便益は、-0.040 QALY(95%中央範囲[central range]:-0.175~0.037)とマイナスであり、この閾値でレベチラセタム群の費用対効果が優れる確率は0.17であった。 著者は、「男性では、全般てんかんの第一選択薬は引き続きバルプロ酸とすべきである。女性では、将来の妊娠における潜在的な有害性のリスクを最小化するために、最も有効な治療の回避に関して、実臨床と施策に有益な情報をもたらす議論をさらに進めるべきと考えられる」としている。

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ウエストワールド【あなたは「満足な豚」それとも「不満足なソクラテス」?(哲学セラピー)】Part 1

今回のキーワードデカルト哲学的ゾンビカントサルトル統合失調症自由家畜J・S・ミル皆さんは、自分の人生に満足していますか? 一方で、そんな人生に疑問を感じたことはありませんか? もっと言えば、この世界の存在に疑問を感じたことはありませんか? さらに、自分という存在にも疑問を感じたことはありませんか?これらの哲学的な問いを考えるために、今回は、SFスリラーであるアメリカドラマ「ウエストワールド」を取り上げます。そして、このドラマの根底に流れる「本当に自由な人間とは何か?」というテーマを、哲学セラピーとして一緒に掘り下げてみましょう。このドラマが哲学的なわけは?舞台は近未来のアメリカのテーマパーク「ウエストワールド」。そこは、西部開拓時代が再現され、人間そっくりのアンドロイドたちが、搭載されたAI(人口知能)によって、娼婦、悪党、保安官などプログラムされた役割を即興的に演じています。そんなテーマパークのホストであるアンドロイドたちの日常生活の中に、人間たちがゲストとして入って行くという体験型のアトラクションです。ホストたちはゲストを決して傷つけないようにプログラミングされている一方、ゲストたちはパーク内であればホストに対して殺人やレイプなどの反社会的な行動を好き勝手にすることもできます。このドラマが哲学的である訳は、ドラマの設定において、アンドロイドは見た目だけでなく感情や性格も人間と同じであること、アンドロイドは自分が人間であると認識するようプログラミングされていること、そしてストーリーが人間側ではなくアンドロイド側の視点で描かれていることです。3つの哲学的なテーマとは?主人公のドロレスは、ウエストワールド内の農場の娘。朝目覚めて、父親と話をして、町に買物に出かけ、恋人に再会します。しかし、夜には悪党に家を襲われ、両親は目の前で殺され、彼女はレイプされて殺されます。彼らは、みなアンドロイドであるホストです。そして、このアトラクションの中に、人間であるゲストが参加するのです。遺体となったドロレスたちは、夜の間に技術スタッフによって回収され、修復され、その時の記憶を完全に消去され、また翌日の朝を迎えます。とくにドロレスは古い機種で、この体験をテーマパークができてから30年以上毎日延々と繰り返していたのでした。ところが、彼女のAIの「誤作動」によって、いくら記憶を消去しても、つらい体験の記憶の断片が夢やフラッシュバックとして蘇り、即興の考えや行動が増えるようになります。その積み重ねによって、彼女はあるいくつかの疑問を持つようになるのです。ドロレスの疑問を通して、気付かされる哲学的なテーマを3つ挙げてみましょう。(1)この世界は何なの?ドロレスは、回収中の解析モードの時、毎回プログラマーから「現実というものに疑問を感じたことは?」「この世界をどう思う?」と聞かれます。すると、彼女は、「疑問はないわ」「この世界を醜いという人もいる。無秩序だと。私は美しいと思う」と毎回答えていました。しかし、これまでの記憶を思い出していくうちに、生きている世界への矛盾に気付きます。そして「この世界は何かがおかしい。何かが隠れている気がする」「そこから、私は自由になりたいと思う」と言い出します。1つ目のテーマは、この世界は何なのかという疑問です。私たちが「偽物」の世界にいるドロレスの視点に立つことで、私たちもこの世界が偽物じゃないという確信が揺らぎます。ちょうど夢を見ている瞬間は、その夢を現実だと思い込んでいるのと同じです。ドロレスがいるウエストワールドや私たちの夢と同じように、私たちが現実であると思っている世界は、実は現実ではないかもしれないということです。つまり、私たちの認識や存在には、不確かさがあるということです。この疑問に対して、近代哲学の父であるデカルトは、「私は世界のあらゆる存在を疑問に思う。ただ、疑問に思っている自分自身の存在だけは確かである(我思う。ゆえに我あり)」と言いました(方法的懐疑)。逆に言えば、自分以外のすべての人は、存在していると合理的に説明することは不可能であり、意識のないゾンビかもしれないということです。これは、哲学的ゾンビと呼ばれています。なお、精神医学的には、この疑問が病的になった状態は、現実感喪失という自己意識の異常です。(2)自分は一体何者なの?ドロレスは、やがて「自分が何者か分かれば自由になれる」と言い出します。また、人間としてドラマに登場していたある人物が、実はアンドロイドだったというどんでん返しが起こります。その人物は、ウエストワールドを創設したフォード博士に「私とあなたの違いは?」と問い詰めて苦悩するのです。2つ目のテーマは、自分は一体何者なのかという疑問です。私たちが「偽物」であるドロレスやそのある人物の視点に立つことで、私たちも自分が人間であるという確信が揺らぎます。彼らと同じように、私たちが自分の行動を自分で決めて自分があるものだと思っていたら、実は誰かに操られていて、自分がないかもしれないということです。この疑問に対して、近代哲学を完成させたカントは、「自分の主人は自分である。自分が何を考え、何を行うのも自由」と言いました(自我原則)。なお、精神医学的には、この疑問が病的になった状態は、作為体験という自己意識の異常です。(3)人生は何のためにあるの?ドロレスは、当初「信じてるの。人生には意味がある、目的があるって」と言っていました。ところが、実は、人間であるゲストたちを満足させるための道具に過ぎない存在だったということに気付くのです。3つ目のテーマは、人生は何のためにあるのかという疑問です。私たちが「偽物」の人生を送るドロレスの視点に立つことで、私たちも自分の人生が本物であるという確信が揺らぎます。彼女と同じように、私たちが人生に意味を見つけていると思っていたら、実は誰かのシナリオに従っているだけかもしれないということです。この疑問に対して、20世紀の哲学者であるサルトルは、「現実に存在している自分が生きる意味を決める。つまり現実に存在していること(実存)が、自分が生きる意味(本質)よりも先にある(実存が本質に先立つ)」と言いました(実存主義)。なお、精神医学的には、この疑問が病的になった状態は、関係妄想という思考の異常です。なお、自我意識や思考の異常の詳細については、関連記事1をご参照ください。 次のページへ >>

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ウエストワールド【あなたは「満足な豚」それとも「不満足なソクラテス」?(哲学セラピー)】Part 2

人生に満足して良いの?このドラマで気づかされる3つの哲学的なテーマとは、この世界は何なのか、自分は一体何者なのか、そして人生は何のためにあるのかという疑問であることが分かりました。端的に言うと、ここはどこなのか、自分はどこから来たのか、そして自分はどこへ行くのかという究極的な問いです。これらの3つの疑問を踏まえて、フォード博士は「人間は、自分たちの世界認識を特別視しているけど、ホストたちと同じ閉じたループの中に生きている。自らの選択をほぼ疑わず、命令されることに大概満足している」と指摘します。どういう意味でしょうか?私たちは、たいてい人生が思い通りになれば、それでもう満足してしまいます。たとえば、それは、食べ物、住まい、仕事、セックス、結婚生活、子育てなどについてです。この状況は、ウエストワールドのホストたちと変わらないということです。たとえば、ドロレスの父親は、回収中の解析モードの時、プログラマーから「生きる目的は?」と尋ねられると、「家畜の世話をして、妻の面倒を見ることです」と胸を張っていました。しかし、実際は、皮肉にも、人間の道具であったという意味では、彼もまた「家畜」なのでした。そして、ウエストワールドで享楽にふけるゲストたちも、思い通りになることを疑似体験することで満足するという意味では、「家畜」に見えてきます。そして、私たちも、同じように、「家畜」であることに気づいていないだけかもしれないということです。脳科学的に言えば、この満足する心理は報酬や社会的報酬です。もちろん、私たちが生きていくために必要な基本衝動です。ただし、これだけで良いのでしょうか? つまり、人生に満足していれば、ドロレスのように疑問を感じなくても良いのでしょうか? 本当に自由な人間とは?その答えとして、フォード博士は、「本当に自由な者は、疑いを抱ける者だ。自分の基本衝動に対して、それを変えられる者だ」と説いています。これは、どういう意味でしょうか?私たちは、自由とは満たされて自由気ままに生きることだとつい思ってしまいます。しかし、それで自由な感覚はずっと続くでしょうか? よくよく考えると、そもそも自由とは、不自由さ(制約するもの)があるからこそ生まれる相対的な概念です。逆説的にも、自由を手に入れて満たされることは、不自由さがなくなるので、結果的に自由な感覚はやがてなくなってしまうということです。ちょうど、ウエストワールドにゲストとして登場する黒服の男がそうです。彼は、ウエストワールドのオーナーで、「現実の世界では、すべてのものが手に入る。目的、意味を除いて」と不満そうに語ります。そして、「ここには意味がある。真実の何かがある」と言い、ある「不自由さ」を追い求めるのです。また、フォード博士は、あるアンドロイドに子どもの死の記憶を付け加えます。そして、「苦しみこそ、ホストらに意識を芽生えさえた根源なのだ」「世界が望み通りにならない苦しみだ」と言うのです。つまり、私たちが自由であり続けるためには、不自由さをあえて探し続ける必要があります。たとえば、それは、世の中で望ましいとされている価値観(主流秩序)についてです。その価値観に忠実に応えて安心するのではなく、本当にその価値観は間違っていないのかと疑問を持つことです。つまり、前提への疑問です。たとえば、世の中には、「できる仕事術とは?」「モテるには?」「効率的な婚活とは?」「結婚は損か得か?」「成功するお受験とは?」「安心な老後に備えるには?」という「人生の正解」が溢れています。しかし、よくよく考えると、その「正解」は、そもそもその質問の前提に疑問はないでしょうか?仕事は、好きであれば、そこまでできなくてもいいかもしれません。モテなくても、お互いを思いやれる相手がいれば、それでいいかもしれません。婚活は、楽しめれば、効率的でなくてもいいかもしれません。結婚は、それ自体が喜びであれば、損していてもいいかもしれません。お受験は、子どもが成長するなら、成功していなくてもいいかもしれません。老後は、今が幸せであれば、それほど心配しなくていいかもしれません。フォード博士のセリフは、本当に自由な人間とは、答えを見つけて満足する者ではなく、問いを探して不満足になる者であるという意味でしょう。これは、19世紀の哲学者であるJ・S・ミルの名言に重なります。それは、「満足な豚であるよりも不満足な人間であるほうが良い。そして、満足した愚か者であるよりも不満足なソクラテスであるほうが良い」(功利主義)です。なお、生きる意味の問い方については、関連記事2をご覧ください。 「ウエストワールド」とは?「ウエストワールド」とは、荒野の世界を自由に開拓するという意味も込められています。物質的にはほぼ満たされてしまっている今の「自由」な世の中だからこそ、私たちが本当に自由になるためにどうしたらいいかを考えるヒントがこのドラマにはあります。それは、私たちの人生が「ウエストワールド」のホストたちのようにプログラミングされ「家畜化」されていないかを考え続けることでしょう。そして、ここはどこなのか、自分はどこから来たのか、そして自分はどこへ行くのかという問いを考え続けることでしょう。この当たり前に生きていることに疑問を持つ心のあり方こそが、まさに知を愛するという意味の哲学(フィロソフィー)であり、本当に自由になれると言えるのではないでしょうか?1)図解哲学:貫成人、ナツメ社、20122)ここは今から倫理です。2:雨瀬シオリ、集英社、2018<< 前のページへ■関連記事絵画編【ムンクはなぜ叫んでいるの?】テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】

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日本の農家における不眠症と寝酒・迎え酒との関係

 眠りを補助するための寝酒、酔い覚ましや二日酔いを軽減させるための朝の迎え酒のようなアルコール摂取を行う人は少なくない。島根大学の佐藤 利栄氏らは、日本の農家で働く健康な中年における不眠症と寝酒や迎え酒との関連について検討を行った。Alcohol誌オンライン版2021年3月18日号の報告。 746人(平均年齢:59.5歳、女性の割合:25.9%)を対象に自己記入アンケートを用いて、横断的研究を実施した。不眠症の定義には、日本語版アテネ不眠尺度6以上または前年の睡眠薬使用とした。性別、年齢、睡眠障害の有無、アルコール摂取頻度、1回当たりのアルコール摂取量で調整した後、寝酒と迎え酒に関連する不眠症のオッズ比(OR)を算出するため、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・不眠症患者数は174人(23.3%)、寝酒をしていた人140人(18.8%)、迎え酒をしていた人37人(5.0%)であった。・人口統計および交絡因子で調整した後、寝酒をしていた人は、していなかった人と比較し、不眠症の有病率が有意に高かった(OR:2.00、95%CI:1.27~3.16)。・男性の迎え酒は、不眠症の有病率の高さと独立した関連が認められた(OR:3.26、95%CI:1.55~6.87)。・寝酒と迎え酒の両方をしている人は、どちらもしていない人と比較し、不眠症の有病率の高さと有意な関連が認められた(OR:4.77、95%CI:2.01~11.3)。・不眠症に対しては、寝酒(OR:1.81、95%CI:1.08~3.06、p=0.026)よりも迎え酒(OR:4.09、95%CI:1.14~14.7、p=0.031)においてより強い関連が認められた。 著者らは「日本の農家で働く人において、寝酒や迎え酒は、アルコールの消費量や摂取頻度と関係なく、不眠症との関連が認められた」としている。

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ラモトリギン、焦点てんかんの第1選択薬の可能性/Lancet

 焦点てんかんの治療において、ラモトリギンはレベチラセタムやゾニサミドと比較して、1年後のてんかん発作の寛解率が優れ(per-protocol[PP]解析)、質調整生存年(QALY)に基づく費用効用も良好で、第1選択薬となる可能性があることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが行った「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号に掲載された。英国の焦点てんかんの無作為化第IV相非劣性試験 本研究は、新たに診断された焦点てんかん患者の治療におけるレベチラセタムとゾニサミドの長期的な臨床的有効性と費用効果を、ラモトリギンと比較する非盲検無作為化対照比較第IV相非劣性試験(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 2013年5月~2017年6月の期間に、英国国民保健サービス(NHS)の65施設で、年齢5歳以上(上限なし)、抗てんかん薬を要する非誘導性てんかん発作が少なくとも2回認められ、臨床的に焦点てんかんと診断され、過去2週間に緊急治療を除き抗けいれん薬治療を受けていない参加者の募集が行われた。 被験者は、ラモトリギン、レベチラセタム、ゾニサミドのいずれかの投与を受ける群(いずれも経口投与)に、1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、2年間追跡された。参加者と担当医はマスクされず、試験薬の割り付け情報を認識していた。 990例(intention-to-treat[ITT]集団)が登録され、ラモトリギン群に330例、レベチラセタム群に332例、ゾニサミド群に328例が割り付けられた。全体の平均年齢は39.3(SD 21.2)歳、177例(17.9%)が18歳未満であり、429例(43%)は女性であった。重大なプロトコール違反や、後にてんかんではないと診断された参加者を除外したPP集団は959例(ラモトリギン群324例、レベチラセタム群320例、ゾニサミド群315例)だった。ITT解析では、ゾニサミド群は非劣性基準満たす ITT解析では、12ヵ月の時点におけるてんかん発作の寛解(主要評価項目)に関して、レベチラセタム群はラモトリギン群に対する非劣性の基準(非劣性マージン:1.329)を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.18、97.5%信頼区間[CI]:0.95~1.47)。一方、ゾニサミド群はラモトリギン群に対する非劣性の基準を満たした(1.03、0.83~1.28)。 PP解析では、12ヵ月の時点でのてんかん発作寛解に関して、ラモトリギン群のレベチラセタム群(HR:1.32、97.5%CI:1.05~1.66)およびゾニサミド群(1.37、1.08~1.73)に対する優越性が確認された。 試験期間中に37例が死亡した。内訳は、ラモトリギン群が15例(4例が発作関連の可能性)、レベチラセタム群が12例(同2例)、ゾニサミド群は10例(同2例)であった。有害事象は、ラモトリギン群が108例(33%)、レベチラセタム群が144例(44%)、ゾニサミド群は146例(45%)で報告された。 費用効用分析では、ラモトリギン群の優越性が示された。すなわち、費用効果の閾値を1QALY当たり2万ポンドとした場合の純健康便益は、ラモトリギン群が1.403QALY(97.5%中央範囲[central range]:1.319~1.458)と、レベチラセタム群の1.222(1.110~1.283)、およびゾニサミド群の1.232(1.112~1.307)と比較して高かった。 著者は、「レベチラセタムとゾニサミドは、それぞれ単剤で焦点てんかんに対する有効性のエビデンスはあるが、第1選択薬としての使用を支持するエビデンスはない。今回の結果は、第1選択薬としてのラモトリギンの継続的な使用と、今後の比較試験における標準的な比較対照薬としてのその使用を支持するものである」としている。

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軽度~中等度のうつ病に対する催眠療法の有効性

 うつ病に対する催眠療法の有効性を検討した研究では、適切に設定された方法で行われたランダム化比較試験が不足している。ドイツ・テュービンゲン大学病院のKristina Fuhr氏らは、軽度~中等度のうつ病患者の抑うつ症状軽減に対する催眠療法について、認知行動療法との非劣性を評価するため、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月5日号の報告。 本研究は、評価者盲検ランダム化比較試験として実施した。うつ病外来患者152例を対象に、6ヵ月間で16~20回の催眠療法または認知行動療法のいずれかの治療にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、治療前後のMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)で評価した抑うつ症状の平均改善度とした。 主な結果は以下のとおり。・催眠療法と認知行動療法の平均症状改善度の差は、ITTサンプルで2.8(95%CI:-9.85~15.44)、Per Protocolサンプル(134例)で4.0(95%CI:-9.27~17.27)であった。・事前に設定した非劣性マージン-16.4に対し、いずれの結果においても催眠療法の非劣性が確認された。・治療終了後、6および12ヵ月後のアウトカムは、主要な結果を支持するものであった。・本研究では、倫理的観点より未治療群を設定しなかったため、両方の治療条件が有効であることは、間接的にしか結論付けることができなかった。 著者らは「うつ病に対する催眠療法について、認知行動療法との非劣性が示された。これは、厳格に設計された標準的な方法で検討した最初の研究である」としている。

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日本における認知症専門チームに対する金銭的インセンティブの効果

 これまで、急性期治療環境下における認知症治療の質は批判的にみられていた。2016年に日本において、急性期病院の認知症専門家チームによる認知症ケアに対する金銭的インセンティブが導入された。筑波大学の森田 光治良氏らは、この金銭的インセンティブが、短期的な結果(院内死亡率および30日間の再入院)に対して有用であったかを調査した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2021年3月17日号の報告。 日本の全国入院患者データベースを用いて、2014年4月~2018年3月に肺炎、心不全、脳梗塞、尿路感染症、頭蓋内損傷、股関節骨折で入院した中等度~高度の認知症高齢者を特定した。金銭的インセンティブを採用した病院(185件中180件)と採用しなかった病院(744件中180件)の傾向スコアが一致するよう選択した。次に、患者レベルの差分分析を実施した。感度分析では、介入後のグループにおいて、実際に認知症ケアを受けた患者に限定した。 主な結果は以下のとおり。・金銭的インセンティブの採用と院内死亡率(調整オッズ比:0.97、95%CI:0.88~1.06、p=0.48)または30日間の再入院(調整オッズ比:1.04、95%CI:0.95~1.14、p=0.37)との間に関連は認められなかった。・金銭的インセンティブを採用している病院の患者のうち、実際に認知症ケアを受けていた患者は29%のみであった。・感度分析では、認知症ケアを受けることと院内死亡率低下との関連性が示唆された。 著者らは「個々の認知症ケアが院内死亡率の低下と関連していることが確認されたが、日本の認知症専門家チームによる認知症ケアを強化するための金銭的インセンティブは、効果的に機能していない可能性が示唆された」としている。

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中等度~重度うつ病に対するpsilocybin vs.エスシタロプラム/NEJM

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRobin Carhart-Harris氏らは、6週間の第II相無作為化二重盲検比較試験の結果、中等度~重度大うつ病性障害に対しpsilocybinは選択的セロトニン再取り込み阻害薬のエスシタロプラムと比較して、6週時のQIDS-SR-16うつ症状スコアの変化に基づく抗うつ作用に有意差はないことを明らかにした。psilocybinおよびその代謝物のシロシンは催幻覚物質で、その作用は主に5-HT2A受容体アゴニスト作用による。これまでに、治療抵抗性うつ病患者を対象とした小規模な非盲検試験ではpsilocybinの抗うつ症状改善効果が報告されていた。しかし、確立された既存のうつ病治療薬とpsilocybinの直接比較は行われていなかった。著者は今回の結果に基づき、「psilocybinと既存の抗うつ薬を比較検証する、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年4月15日号掲載の報告。psilocybin 25mgの3週間ごと2回投与の有効性をエスシタロプラムと比較 研究グループは、長期間持続する中等度~重度大うつ病性障害患者を、psilocybin群(psilocybin 25mgを3週間隔で2回投与+プラセボを1日1回6週間投与)、およびエスシタロプラム群(psilocybin 1mgを3週間隔で2回投与+エスシタロプラムを1日1回6週間投与)のいずれかに1対1の割合で割り付けた。なお、全例に心理学的サポートを行った。 主要評価項目は、16項目版自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR-16:スコア範囲0~27、スコアが高いほどうつ症状が重症であることを示す)のベースラインから6週時までの変化であった。副次評価項目は、6週時のQIDS-SR-16による奏効率(>50%のスコア減少)、寛解率(スコアが5点以下)などの16項目とした。6週時のQIDS-SR-16の変化量は両群で有意差なし 59例が登録され、psilocybin群30例、エスシタロプラム群29例に割り付けられた。 ベースラインのQIDS-SR-16平均スコアは、psilocybin群14.5点、エスシタロプラム群16.4点であった。6週時におけるベースラインからの変化量(平均±SE)は、psilocybin群が-8.0±1.0点、エスシタロプラム群が-6.0±1.0点であり、群間差は2点であった(95%信頼区間[CI]:-5.0~0.9、p=0.17)。 QIDS-SR-16による奏効率は、psilocybin群70%、エスシタロプラム群48%、群間差22ポイント(95%CI:-3~48)、寛解率はそれぞれ57%、28%で群間差28ポイント(95%CI:2~54)であった。 その他の副次評価項目は、全般的にエスシタロプラムよりもpsilocybin群のほうが良好であったが、多重比較の補正は行われなかった。有害事象の発現率は、両群で類似していた。

2571.

統合失調症患者におけるアセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率

 東京・車庫前こころのクリニックの井上 雄一氏らは、アセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率の比較およびブレクスピプラゾールの臨床効果に影響を及ぼす因子を特定するため、検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年3月13日号の報告。 実臨床下で、アセナピン(73例)またはブレクスピプラゾール(136例)を処方した統合失調症患者を対象に、レトロスペクティブ研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・52週における治療継続率は、アセナピン19.0%、ブレクスピプラゾール38.6%であり、ブレクスピプラゾールの治療継続率は、アセナピンよりも有意に高かった(p=0.002)。・年齢は、ブレクスピプラゾールの治療継続率に影響を及ぼす重要な因子であることが示唆された(p=0.03)。・治療継続期間が長い患者は、短い患者と比較し、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアが有意に低かった(p=0.04)。・初めに外来で薬物治療を開始した患者は、入院で薬物治療を開始した患者と比較し、治療継続率が有意に高かった(p=0.04)。・ブレクスピプラゾールの臨床効果に有意な影響を及ぼした因子は、罹病期間、CGI-Sスコア、治療継続期間であった(各々、p<0.05)。 著者らは「ブレクスピプラゾールの治療継続率は、患者がより高齢、疾患重症度が低い、外来での治療開始の場合に、高まることが示唆された。また、罹病期間の短さや治療継続期間の長さは、臨床効果に影響を及ぼす可能性がある。これらの結果は、統合失調症の維持療法に、ブレクスピプラゾールが効果的な治療選択肢であることを示唆している」としている。

2572.

産後うつ病や不安神経症のリスク因子

 うつ病や不安神経症は、産後頻繁に発生する疾患であり、早期発見と早期治療が必要とされる。産後うつ病のリスク因子に関するエビデンスは、早期発見につながる可能性はあるものの、決定的なものはこれまでなかった。オランダ・University of TwenteのAngarath I van der Zee-van den Berg氏らは、妊娠前、妊娠中、妊娠後の産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月4日号の報告。産後うつ病の高リスク因子に家庭内での外国語の会話 ポストアップ研究の介入群1,406例より母親のデータを取得した。リスク因子は、産後3週および12ヵ月時点で収集した。うつ病および不安症状の評価は、産後1ヵ月目にエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)および特定不安尺度(STAI-6)を用いて実施した。関連するリスク因子の特定には、ステップワイズロジスティック回帰を用いた。 産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた主な結果は以下のとおり。・EPDSスコア9以上の割合は8.0%、STAI-6スコア42以上の割合は14.7%であった。・産後うつ病の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。 ●家庭内での外国語の会話 ●うつ病歴 ●自己効力感の低さ ●現在の健康状態の悪さ・母乳育児の開始時期と産後うつ病リスク低下との関連は認められず、産後3週間の母乳育児は、うつ病リスク増加を来さなかった。・不安症の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。 ●高等教育レベル ●うつ病歴 ●早産 ●出産から1週間以内のネガティブな経験 ●過度な乳児の泣き声 ●自己効力感の低さ ●パートナーサポートの低さ ●現在の健康状態の悪さ・本研究の限界として、自己申告による調査、産後の気分の状態による潜在的なバイアス、産後1ヵ月以降の新規うつ病症例を考慮していない点が挙げられる。 著者らは「産後うつ病や不安症のリスク因子は、専門家が高リスクの母親を特定するうえで役立ち、予防的介入や治療機会を創出する可能性がある」としている。

2573.

急性期精神科病棟における音楽療法と鎮静薬使用との関係

 音楽療法は、患者の興奮状態を落ち着かせる手助けとなるだけでなく、全体的な頓服薬の投与を減少させる可能性がある。米国・SUNY Upstate Medical UniversityのTrevor Scudamore氏らは、精神科病棟での興奮のマネジメントにおいて薬理学的な介入の補助または代替として音楽療法が有効であるか、その実現可能性について、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年3月6日号の報告。 対象は172例。試験期間は、音楽なしの3ヵ月間と音楽のde-escalation(段階的縮小)オプションのある3ヵ月間で構成された6ヵ月間。音楽療法期間中、患者は好みのジャンルを選択し、最大30分間ワイヤレスヘッドホンの提供が行われた。興奮および不安症状に対して投与された頓服薬(経口、舌下、筋注)の数は、薬局の記録より収集した。患者および看護師より、音楽介入に関する自己報告調査を収集した。 主な結果は以下のとおり。・音楽療法実施期間中の頓服薬の週間平均投与量は、音楽なしの期間と比較し、ハロペリドールおよびオランザピンのいずれにおいても有意な減少が認められた。 ●ハロペリドール:8.46±1.79(p<0.05)→5.00±1.44(p<0.05) ●オランザピン:9.69±2.32(p<0.05)→4.62±1.51(p<0.05)・一方、ロラゼパムの投与量は、有意ではないものの増加傾向が認められた。 ●ロラゼパム:3.23±1.09(p<0.05)→6.38±2.46(p<0.05)・音楽療法に対する患者の回答は、96%が鎮静効果に同意するまたは強く同意するであった。・看護師の回答では、音楽療法の簡便性に同意が得られ、56%が患者を落ち着かせるうえで役立つことに同意するであった。・その他の探索的な結果として、平均入院期間の減少、隔離回数の減少が観察された。 著者らは「音楽療法は、急性期精神科病棟における鎮静薬の頓服使用を減少させるうえで、重要な役割を果たす可能性がある。音楽療法が、その他の治療結果に及ぼす影響を調査するためには、さらなる研究が求められる」としている。

2574.

難治性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果

 スペイン・Hospital Universitari Vall d'HebronのMarta Torres-Ferrus氏らは、難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果について、評価を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2021年3月27日号の報告。 対象は、1ヵ月間に8日以上の頭痛が認められ、3回以上予防薬を服用しなかった片頭痛患者。人口統計学的、医学的情報および片頭痛の病歴を収集した。ベースライン時および12週間後に電子頭痛日誌を用いて患者報告アンケートを実施し、1ヵ月間の頭痛日数、1ヵ月間の片頭痛日数、痛みの強さ(0~3の数値回答)、鎮痛薬の使用に回答した。患者は、改善頻度に応じて、治療反応50%以上、75%以上、100%に分類された。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、合計155例(erenumab:109例、ガルカネズマブ:46例)であった。・ベースライン時と比較して、12週間後の頭痛の頻度は-9.1日/月、片頭痛の頻度は-8.5日/月であった。・頭痛の日数が50%以上減少した患者の割合は39.5%、片頭痛の日数が50%以上減少した患者の割合は51.6%であった。・片頭痛の治療反応が50%以上であった群では、ベースラインからの頻度の減少は-13.9日/月であり、患者が報告したすべての結果において明らかな改善が認められた。・頭痛の日数が75%以上減少した患者の割合は14.2%、片頭痛の日数が75%以上減少した患者の割合は26.5%であった。・片頭痛の日数が100%減少した患者の割合は11.0%であった。・他の予防薬を使用していなかった患者では、重度の障害が少なく、頭痛に対する片頭痛の割合が高く、片頭痛の治療反応が50%以上である可能性が高かった。・主な有害事象は、便秘(20.0%)、倦怠感(7.1%)一過性の血圧上昇(5.2%)であり、重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、実臨床において効果的であることが確認された」としている。

2575.

無常と中道:認知症の人に処方され過ぎる中枢神経作動薬(解説:岡村毅氏)-1377

 たとえば90歳の軽度認知症の人から、何もかもが昔と違う、うつになってしまった、「薬をください」と切々と訴えられることがある。そして家族もまた「元気になる薬をください」「専門医でしょ」と訴えたりする。とはいえ病的な「うつ」ではない。医学や精神科への高い期待や信頼を感じる一方で、安直に薬など出しては本人を不幸にしてしまうので、なかなかつらい局面である。 さて本論文は、米国のメディケアのデータベースから、認知症をもつ地域在住の高齢者の14%が、中枢神経作動薬の多剤併用状態であるという報告だ。薬剤としては「抗うつ薬」「抗精神病薬」「ベンゾジアゼピン受容体作動薬(睡眠薬、抗不安薬)」の順で多かった。組み合わせとしては「抗うつ薬」「抗てんかん薬」「抗精神病薬」の組み合わせが多かった。 いうまでもなく、これらの多剤併用は、呼吸抑制、不整脈、転倒、認知機能低下などを起こす可能性があり望ましくない。米国は(私は生活したことはあるが臨床医をしたことはないので伝聞なのだが)簡単には処方箋を切ってくれないと聞くが、その米国ですら結構な薬が出ているのだと驚いた。わが国は、諸外国に比べると医療費は無料みたいなものだし、薬を出さないとやぶ医者だと思われる文化もかつてはあったので、おそらくもっと大量に処方されていることであろう。近年は多剤併用はこんなに怖い、といった雑誌記事を見ない日はないので、解消されつつあるのだろうか。 人間は時間的存在だとハイデガーは言ったが、生きることは加齢することでもある。年を取ることは、経験を積み、他者を知り、世界となじんでいくというプロセスと考えれば、だんだん生きることは楽になるはずだ。一方で、体力の衰え、記憶力の衰え、知人の死などは必ず起きるものであり、「うつっぽく」なる人はとても多い。これは精神異常とか精神症状とかそういうレベルではなく、生きることには楽しいこともつらいこともあるというだけの話である。 さて冒頭の90歳の人であるが、何もかもが昔と違うのは当たり前のことで、年をとると体も心も変わっていくのである、昔の肉体や心をいつまでも持ち続けることはできないのだ、それはあなたも医師も家族も同じであり、これは無常ともいうという話をさせていただいた。納得する人もいるし、納得しない人もいる。 このような人に「これは老化なのですから薬なんて絶対出しませんよ」と言い続けるのもちょっと冷たいように思う。中道を求めたい。かくいう私も、場合によっては処方することもある。さすがに老年精神医学会専門医なので本格的な向精神薬を処方するのは芸がなく、短時間精神療法と漢方などで何とかするが…。 長生きする人が増えたので、喪失や弱さと生きる機会は増えている。認知症の人の医療的意思決定においては、変数はとても多い:認知症疾患の種類および認知機能、頭蓋内の器質因、身体疾患、個人の考え方や歴史、周囲の人の考え方や歴史、置かれた社会状況、ほかに通院している医院の処方などなど。これらの変数は常に変わり続ける。昔の人はよく言ったもので、無常と中道というのはよい思考の枠組みである。 なお、認知症はせん妄や老年期のてんかんや睡眠障害を伴うことも多く、これらは致死的にもなりえるので、多剤併用も絶対にダメだというわけではない。冷静に、大局的に考えるべきだ。

2576.

うつ病患者の睡眠に対する運動の影響~メタ解析

 不眠症は、うつ病の発症、経過、再発を予測する因子である。しかし、うつ病における不眠症治療オプションに関するシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スイス・バーゼル大学のGavin Brupbacher氏らは、うつ病患者の睡眠に対する運動療法の影響を調査するため、メタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌オンライン版2021年1月23日号の報告。 7,725件をスクリーニングし、13種類の治療にランダム化された17研究(1,645例)を定量的合成に含めた。 主な結果は以下のとおり。・ネットワークメタ解析では、受動的なコントロール条件と比較し、中程度の有酸素運動を除くすべての運動介入は、有意に良好な睡眠アウトカムをもたらした。・通常治療と比較し、有意に良好な効果が認められた運動介入は以下のとおりであった。 ●通常治療と心身運動介入の併用(SMD:-0.46、95%CI:-0.80~-0.12) ●激しい筋力運動介入(SMD:-0.61、95%CI:-1.12~-0.10)・ペアワイズメタ解析では、受動的なコントロール条件と比較し、心身運動介入が有益な効果を持っていることが示唆された(SMD:-0.54、95%CI:-0.85~-0.23)。・ネットワークメタ解析は、統計学的に強い頑健性が認められ、不均一性、一貫性の欠如、間接性は低かった。・主に研究内バイアスの影響により、調査結果の信頼度は、中程度~非常に低いであった。 著者らは「本研究は、うつ病患者の睡眠の質を改善するための運動介入の有効性を評価した最初のネットワークメタ解析である。うつ病治療において、運動療法の併用は有用であることが確認された。この結果は、臨床医がエビデンスに基づいた治療を決定するうえで役立つであろう」としている。

2577.

乳児への栄養方法とその期間が母親の産後うつ病に及ぼす影響~JECS研究

 母乳による育児は、世界中で推奨されている。母乳育児と産後うつ病との関係を調査した研究はいくつか行われているが、矛盾した結果が得られている。富山大学の島尾 萌子氏らは、生後1~6ヵ月の乳児への栄養方法が母親の産後うつ病に及ぼす影響、産後うつ病に対する授乳中の母親が行ったことの影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2021年4月15日号の報告。 JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に参加した親子のデータを分析した。対象は、産後1ヵ月で抑うつ症状を呈さなかった母親7万1,448人。調査には、自己記入式質問票を用いた。 主な結果は以下のとおり。・産後6ヵ月間母乳だけで育児を続けた母親は、そうでなかった母親と比較し、産後うつ病リスクが低かった。・摂食中に乳児とのアイコンタクトを維持したり、話し掛けたりした母親は、そうでなかった母親と比較し、栄養方法やその期間と関係なく産後うつ病リスクが低かった。・産後6ヵ月間母乳だけで育児を続け、摂食中に乳児とのアイコンタクトを維持したり、話し掛けたりした母親の産後うつ病のオッズ比は0.69(95%CI:0.61~0.79)であり、最も低かった。 著者らは「母乳育児の推奨や乳児との関わりに関する適切な情報提供を行うことで、産後うつ病の発症を抑制できる可能性がある」としている。

2578.

不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

 不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。 各種データベースより、2000年から2020年4月5日までに公表された文献を、独立した2人のレビュアーが検索した。検索キーワードには、うつ病、障害、不妊症、有病率、疫学などを用い、ペルシャ語および英語で検索した。文献のタイトル、アブストラクト、フルテキストを評価した。レビュアーは、Newcastle-Ottawa Scaleを用いてエビデンスの質を評価した後、STATA version 14を用いて調査結果を分析した。不均一性および出版バイアスの評価には、I2およびEgger's検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32件をメタ解析に含め、文献の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いて検討した。・抽出された研究には、不妊症女性9,679例が含まれた。・プールされた有病率の最低値は21.01%(95%CI:15.61~34.42、Hospital Anxiety and Depression Scaleで評価)、最高値は52.21%(95%CI:43.51~60.91、ベックうつ病評価尺度で評価)であった。・不妊症女性におけるプールされたうつ病の有病率は、低中所得国で44.32%(95%CI:35.65~52.99)、高所得国で28.03%(95%CI:19.61~36.44)であった。 著者らは「不妊症女性のうつ病有病率は、一般人口よりも高かった。とくに低中所得国では、不妊症女性のうつ病に対する適切な対策、計画、政策を確立し、この問題を減少させるための取り組みを行う必要がある」としている。

2580.

血清尿酸値と認知症リスク~メタ解析

 中国医科大学のZhike Zhou氏らは、血清尿酸値(UA)と認知症およびそのサブタイプのリスクとの関連を調査するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年2月25日号の報告。 Embase、PubMed、Web of Scienceより、2020年7月までに公表された文献を検索した。標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を算出するため、変量効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした研究は23件(5,575例)であった。・全体として、認知症患者のUAレベルは、非認知症患者と比較し、低かった(SMD:-0.32、95%CI:-0.64~-0.01、p=0.04)。・認知症タイプのサブグループ解析では、UAとアルツハイマー病(AD)およびパーキンソン病認知症(PDD)との関連が認められたが、血管性認知症(VaD)との関連は認められなかった。 ●AD(SMD:-0.58、95%CI:-1.02~-0.15、p=0.009) ●PDD(SMD:-0.33、95%CI:-0.52~-0.14、p=0.001)・UAレベルの層別解析では、UA四分位1~2において認知症および神経変性サブタイプと負の相関が認められ(p<0.05)、UA四分位4と認知症に正の相関が認められた(p=0.028)。・交絡因子のメタ回帰分析では、認知症のリスク推定においてUAの影響が認められた因子は、年齢、BMI、糖尿病、高血圧、喫煙ではなく教育であった(p=0.003)。 著者らは「低UAレベル(292μmol/Lまたは4.91mg/dL)は、ADおよびPDDの潜在的なリスク因子である。認知症におけるUAレベルのメカニズムは、さらなる調査により明らかにする必要がある」としている。

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