ラモトリギン、焦点てんかんの第1選択薬の可能性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/27

 

 焦点てんかんの治療において、ラモトリギンはレベチラセタムやゾニサミドと比較して、1年後のてんかん発作の寛解率が優れ(per-protocol[PP]解析)、質調整生存年(QALY)に基づく費用効用も良好で、第1選択薬となる可能性があることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが行った「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号に掲載された。

英国の焦点てんかんの無作為化第IV相非劣性試験

 本研究は、新たに診断された焦点てんかん患者の治療におけるレベチラセタムとゾニサミドの長期的な臨床的有効性と費用効果を、ラモトリギンと比較する非盲検無作為化対照比較第IV相非劣性試験(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。

 2013年5月~2017年6月の期間に、英国国民保健サービス(NHS)の65施設で、年齢5歳以上(上限なし)、抗てんかん薬を要する非誘導性てんかん発作が少なくとも2回認められ、臨床的に焦点てんかんと診断され、過去2週間に緊急治療を除き抗けいれん薬治療を受けていない参加者の募集が行われた。

 被験者は、ラモトリギン、レベチラセタム、ゾニサミドのいずれかの投与を受ける群(いずれも経口投与)に、1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、2年間追跡された。参加者と担当医はマスクされず、試験薬の割り付け情報を認識していた。

 990例(intention-to-treat[ITT]集団)が登録され、ラモトリギン群に330例、レベチラセタム群に332例、ゾニサミド群に328例が割り付けられた。全体の平均年齢は39.3(SD 21.2)歳、177例(17.9%)が18歳未満であり、429例(43%)は女性であった。重大なプロトコール違反や、後にてんかんではないと診断された参加者を除外したPP集団は959例(ラモトリギン群324例、レベチラセタム群320例、ゾニサミド群315例)だった。

ITT解析では、ゾニサミド群は非劣性基準満たす

 ITT解析では、12ヵ月の時点におけるてんかん発作の寛解(主要評価項目)に関して、レベチラセタム群はラモトリギン群に対する非劣性の基準(非劣性マージン:1.329)を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.18、97.5%信頼区間[CI]:0.95~1.47)。一方、ゾニサミド群はラモトリギン群に対する非劣性の基準を満たした(1.03、0.83~1.28)。

 PP解析では、12ヵ月の時点でのてんかん発作寛解に関して、ラモトリギン群のレベチラセタム群(HR:1.32、97.5%CI:1.05~1.66)およびゾニサミド群(1.37、1.08~1.73)に対する優越性が確認された。

 試験期間中に37例が死亡した。内訳は、ラモトリギン群が15例(4例が発作関連の可能性)、レベチラセタム群が12例(同2例)、ゾニサミド群は10例(同2例)であった。有害事象は、ラモトリギン群が108例(33%)、レベチラセタム群が144例(44%)、ゾニサミド群は146例(45%)で報告された。

 費用効用分析では、ラモトリギン群の優越性が示された。すなわち、費用効果の閾値を1QALY当たり2万ポンドとした場合の純健康便益は、ラモトリギン群が1.403QALY(97.5%中央範囲[central range]:1.319~1.458)と、レベチラセタム群の1.222(1.110~1.283)、およびゾニサミド群の1.232(1.112~1.307)と比較して高かった。

 著者は、「レベチラセタムとゾニサミドは、それぞれ単剤で焦点てんかんに対する有効性のエビデンスはあるが、第1選択薬としての使用を支持するエビデンスはない。今回の結果は、第1選択薬としてのラモトリギンの継続的な使用と、今後の比較試験における標準的な比較対照薬としてのその使用を支持するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)