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2381.

境界性パーソナリティ障害に対する薬理学的治療~20年間の変化

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療では、承認されている精神科治療薬は存在しないにもかかわらず、日常的に薬物治療が行われている。スペイン・バルセロナ自治大学のJuan C. Pascual氏らは、スペインの外来特定ユニットで治療されたBPD患者の薬理学的マネジメントにおける20年間の変化および処方に関連する要因について調査を行った。CNS Drugs誌オンライン版2021年8月9日号の報告。 2001~20年にスペイン・バルセロナのBPD外来プログラムに連続して受診したBPD患者620例を対象に観察横断研究を行った。抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、気分安定薬、抗精神病薬の処方傾向を調査した。処方データは5年ごとに4段階に分類し、データ分析を行った。薬理学的処方と多剤併用に関連する社会人口統計学的および臨床的変数を特定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・薬物療法を実施している患者数は、時間とともに減少した。・研究期間中、抗うつ薬の処方率は高いまま維持されており(74%)、ベンゾジアゼピンの有意な減少(77%→36%)第2世代抗精神病薬の増加が認められた(15%→32%)。・精神医学的併存疾患は、薬理学的治療(オッズ比:2.5、95%信頼区間:1.5~4.2)および多剤併用に関連する主な要因であったが、併存疾患のない患者でも薬物治療の割合は高かった。 著者らは「BPD患者に対する薬理学的治療は、20年間で大きな変化を遂げており、とくにベンゾジアゼピンの減少と第2世代抗精神病薬の増加が認められた。多くの臨床ガイドラインで推奨されているよりも、BPD患者に対する薬物療法は普及していることが本結果より明らかとなった」としている。

2382.

反復性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~ネットワークメタ解析

 これまでの研究では、抗CGRPモノクローナル抗体は、反復性片頭痛の予防や治療に効果的な薬剤であることが報告されている。中国・Hospital of Chengdu University of Traditional Chinese MedicineのMin Shi氏らは、さらなる臨床研究の参考になるよう、用量、薬剤、投与経路、投与方法などの違いに基づき10の治療レジメンについて、比較を行った。Neurological Research誌オンライン版2021年7月19日号の報告。 2020年8月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Embase、Ovid MEDLINE、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した。 主な結果は以下のとおり。・11件のRCT(6,397例)を分析に含めた。・ネットワークメタ解析の結果、1ヵ月当たりの平均頭痛日数の比較では、エレヌマブ(140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)、フレマネズマブ(225mg、675mg)は、プラセボおよびエレヌマブ(7mg)よりも有意に優れていることが示唆された。フレマネズマブ(225mg、675mg)は、エレヌマブ(21mg、70mg)よりも有意に優れていた。・1ヵ月当たりの急性片頭痛薬の平均投与日数の比較では、エレヌマブ(70mg、140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)、フレマネズマブ(225mg、675mg)は、プラセボよりも優れていた。エレヌマブ(140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)は、エレヌマブ(70mg)よりも有意に優れていることが示唆された。・投与前の平均頭痛日数および急性片頭痛薬の平均投与日数に統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「包括的な評価において、フレマネズマブ(225mg)およびガルカネズマブ(120mg)は、最良のプロトコルとなりうる可能性が示唆された」としている。

2383.

アルツハイマー病スクリーニングのための網膜アミロイドイメージング

 アルツハイマー病のスクリーニングでは、アミロイド沈着のin vivoイメージングを行うための費用対効果に優れた非侵襲的な方法が求められる。網膜アミロイドは、アルツハイマー病の診断マーカーとなりうる可能性があるが、in vivoにおける網膜アミロイドイメージングに関する研究はほとんどない。岡山大学の田所 功氏らは、アルツハイマー病患者における網膜アミロイドのin vivoイメージングの有用性について調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月5日号の報告。 対象は、日本人被験者30例。その内訳は、アルツハイマー病患者13例、軽度認知障害(MCI)患者7例、健康対照者10例であった。対象者のアミロイド沈着を調査するため、。経口クルクミン摂取前後のレーザースキャン検眼鏡による眼底イメージングなどの眼科検査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者の網膜アミロイド沈着は、健康対照者よりも増加が認められた(p<0.05)。・MCI患者の網膜アミロイド沈着は、健康対照者と比較し、わずかな増加が認められた。・網膜アミロイド沈着は、灰白質全体の萎縮と相関が認められたが(r=0.51、p<0.05)、ミニメンタルステート検査の認知症スコアや内側側頭葉萎縮との関連は認められなかった。 著者らは「網膜アミロイド沈着の非侵襲的なin vivo検出は、アルツハイマー病患者のスクリーニングに有用である」としている。

2384.

統合失調症患者におけるCOVID-19罹患率と死亡リスクへの影響

 精神疾患患者は、身体的健康アウトカムが不良であることが知られており、とくに統合失調症スペクトラム障害患者では、大きな問題となっている。最近の研究において、統合失調症患者では、とくにCOVID-19による影響が大きいともいわれている。ギリシャ・テッサリー大学のSokratis E. Karaoulanis氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者におけるCOVID-19のアウトカム不良リスクに関して、システマティックレビューを行った。Psychiatriki誌オンライン版2021年8月5日号の報告。 統合失調症スペクトラム障害患者におけるCOVID-19の罹患および/または死亡率を調査したすべての研究を特定するため、PRISMAガイドラインに従ってPubMed、PsycINFO、Scopusのデータベースを用いて、システマティックレビューを実施した。スクリーニングプロセス実施後、選択基準を満たした研究は7件であった。これらの研究結果は、オッズ比または調整済みオッズ比を用いて報告されていた。 主な結果は以下のとおり。・全体的な結果として、統合失調症患者では中程度ではあるが、より高い感染率に対する統計学的に有意な影響およびより高い死亡率に対する強力な統計学的に有意な影響が認められた。・統合失調症患者は、一般集団と比較し、COVID-19への罹患リスクが高く、死亡率が有意に高いことが示唆された。・しかし、集中治療室の利用頻度など他のアウトカムについては、矛盾した結果が認められた。 著者らは「統合失調症患者は、COVID-19への罹患リスクが高く、死亡率が上昇する可能性があるものの、集中治療室の利用頻度はそれほど高くないことが示唆された。統合失調症患者に対するCOVID-19ワクチン接種プログラムの優先順位の見直しや迅速な集中治療室の利用などヘルスケアへのアクセスを改善する必要がある」としている。

2385.

軽症高血圧患者の認知症リスクに対する血圧コントロールの影響

 高血圧は、認知症リスクを上昇させるといわれているが、低リスクの軽症高血圧患者における認知症リスクに関する研究は、これまでほとんど行われていなかった。韓国・延世大学校のChan Joo Lee氏らは、グレードIの高血圧患者の認知症リスクに対する血圧コントロールの影響について調査を行った。Journal of Hypertension誌2021年8月1日号の報告。 National Health Insurance Service National Health Examinee cohortより、2005~06年にグレードI高血圧(140~159/90~99mmHg)と診断された患者12万8,665例を対象とした。対象患者は、血圧コントロール群(フォローアップ期間中の平均血圧:140/90mmHg未満)と非血圧コントロール群(平均血圧:140/90mmHg以上)に分類し、2015年までフォローアップを行った。認知症リスクは、傾向スコアで調整した後、Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均血圧は、血圧コントロール群(4万9,408例)で131/81mmHg、非血圧コントロール群(9万9,257例)で144/87mmHgであった。・認知症発症率は、血圧コントロール群で4.9/1000人年、非血圧コントロール群で8.1/1000人年であった。・血圧コントロール群では、全認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症のリスクが非血圧コントロール群よりも低かった。・血圧コントロール群では、すべての年齢において血管性認知症リスクが低く、とくに60歳未満の層で顕著であった。・認知症リスクが最も低いと考えられる最適な血圧レベルは、収縮期血圧130~140mmHg未満、拡張期血圧70~80mmHg未満であった。 著者らは「低リスクの軽症高血圧患者の場合でも、血圧コントロールを行うことにより、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などの認知症リスクの有意な減少が認められた」としている。

2387.

認知症のBPSDに対するタンドスピロンの有効性

 愛媛大学の越智 紳一郎氏らは、認知症の周辺症状(BPSD)に対するタンドスピロン(buspironeを改良したazapirone系抗不安薬)の有効性について、とくに超高齢者をターゲットとして検討を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年8月31日号の報告。 2013年8月~2018年8月に特別養護老人ホームでBPSDを有する高齢者を対象として、オープンラベル観察研究を行った。認知症の重症度の評価には臨床的認知症尺度(CDR)、BPSDの重症度の評価には臨床全般印象度の重症度(CGI-S)、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)を用いた。主要アウトカムは、ベースラインからタンドスピロン維持療法到達4週間後のBPSD重症度の変化とした。タンドスピロンは、30mg/日から開始し、1日3回に分けて投与した。2週間後に看護記録に基づき有効性が十分であると確認された場合、タンドスピロンの投与を継続し、有効性が不十分な場合、タンドスピロンを40~60mg/日へ増量した。 主な結果は以下のとおり。・研究を完了した患者は33例(女性の割合:76%[25例]、平均年齢:87.1±5.4歳)であった。・超高齢者は23例(女性の割合:78%[18例]、平均年齢:89.9±3.4歳)含まれていた。・すべての患者における平均CDRスコアは2.9±0.3であった。・タンドスピロンによる治療は、すべての患者および超高齢者の両方において、明らかな副作用をほとんどまたはまったく示さず、CGI-SスコアおよびNPI-12の合計スコア、多くのサブスケールスコアの有意な改善が認められた。 著者らは「本研究により、超高齢者においてもBPSDに対するタンドスピロンの有効性および安全性が立証された」としている。

2388.

麻酔を用いた出産と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、出産後の女性が経験する最も一般的な精神疾患の1つであり、多くは1年以内に発症する。名古屋市立大学の鈴森 伸宏氏らは、日本において麻酔を用いた分娩が産後うつ病リスクの減少に影響を及ぼすかについて、検討を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2021年7月23日号の報告。 麻酔を用いた分娩には、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下硬膜外麻酔、傍頸管ブロックを含めた。日本におけるプロスペクティブコホート研究であるJECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に登録された日本全国15地域の胎児記録データ10万4,065件を用いて検討を行った。麻酔の有無にかかわらず分娩様式と出産後1、6、12ヵ月の産後うつ病との関連について調整オッズ比(aOR)を算出するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・麻酔を用いた普通分娩は、麻酔を使わない普通分娩と比較し、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクが高かった(aOR:1.233、95%信頼区間:1.079~1.409)。・しかし、このリスクは出産後1年で低下した。・麻酔を用いた出産を希望した妊婦において、妊娠第1三半期前のうつ病に関連するK6スコアの陽性率は5.1%であり、これは麻酔を使わない普通分娩(3.5%)と比較し、有意に高かった(p<0.001)。 著者らは「麻酔を用いた普通分娩は、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクを上昇させる可能性が示唆された。日本では、麻酔を用いた出産の希望はまれであるが、希望する女性では、根底にある母親の環境状態の影響により産後うつ病を発症する可能性が高まる」としている。

2389.

統合失調症に対する抗精神病薬未使用と死亡リスク

 抗精神病薬の使用が統合失調症患者の死亡率の上昇または低下と関連しているかは、よくわかっていない。大規模登録研究では、抗精神病薬を使用しないと死亡リスクが増加することが示唆されているが、プロスペクティブ研究での報告は十分ではない。ノルウェー・Haukeland University HospitalのMaria Fagerbakke Stromme氏らは、統合失調症の死亡率と抗精神病薬未使用との関連を調査するため、オープンコホート研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年7月21日号の報告。 対象は、ノルウェー・ベルゲンのHaukeland University Hospital精神科急性期病棟に10年間入院し、退院診断を受けた統合失調症患者696例。各患者における抗精神病薬の使用期間と未使用期間での比較を行うため、抗精神病薬の使用を時間依存変数としCox重回帰分析を行った。性別、入院時の年齢、精神科急性期病棟への入院数、アルコールおよび違法薬物の過剰使用、ベンゾジアゼピンおよび抗うつ薬の使用で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中に68例(9.8%)の死亡が確認された。・死亡患者のうち40例(59%)は自然死、26例(38%)は不自然死であった。・抗精神病薬未使用は、使用と比較し、死亡リスクが2.15倍高かった(p=0.01、信頼区間:1.24~3.72)。・抗精神病薬の使用と未使用との死亡リスクの差は、年齢に依存しており、若年患者においてリスクの差が最も大きかった。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬未使用は、死亡リスクを2倍増加させる可能性が示唆された」としている。

2390.

慢性片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性~日韓共同第III相試験

 慢性片頭痛に利用可能な予防的治療は、さまざまな有効性および安全性の問題により制限されている。片頭痛の病因に関連するカルシトニン遺伝子関連ペプチド経路を標的とするモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、大規模な国際第III相臨床試験において、効果および忍容性の高さが確認されている。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人および韓国人の慢性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性について、評価を行った。Headache誌オンライン版2021年7月29日号の報告。 慢性片頭痛患者を対象にフレマネズマブのランダム化プラセボ対照試験を実施した。対象患者は、フレマネズマブ月1回投与群(初回675mg、4週目225mg、8週目225mg)、フレマネズマブ四半期ごと投与群(初回675mg、4週目プラセボ、8週目プラセボ)、プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、初回投与後12週間での1ヵ月(28日)当たりの頭痛日数のベースラインからの平均変化量とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化された患者は571例のうち、安全性の分析には569例、全体の分析には566例を含めた。・各群における12週間での1ヵ月当たりの中等度以上の頭痛日数の最小二乗平均変化は以下のとおりであり、フレマネズマブ群は、プラセボ群と比較し、頭痛日数の有意な減少が確認された。 ●フレマネズマブ月1回投与群:-4.1±0.4日 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-4.1±0.4日 ●プラセボ群:-2.4±0.4日・頭痛日数の平均変化におけるプラセボ群との差は以下のとおりであり、フレマネズマブ群は、プラセボ群と比較し、有意な変化が認められた(各々対プラセボ、p<0.001)。 ●フレマネズマブ月1回投与群:-1.7日(95%信頼区間[CI]:-2.54~-0.80) ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-1.7日(95%CI:-2.55~-0.82)・フレマネズマブ群における1ヵ月当たりの中等度以上の平均頭痛日数が50%以上減少した患者(治療反応患者)の割合は、プラセボ群よりも高かった。また、急性薬物使用の減少や障害スコアの改善などの他の副次的評価項目でも、同様であった。【治療反応患者の割合】 ●フレマネズマブ月1回投与群:29.0% ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:29.1% ●プラセボ群:13.2%【急性薬物使用の減少(12週間のベースラインからの平均変化)】 ●フレマネズマブ月1回投与群:-3.7±0.4 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-3.9±0.4 ●プラセボ群:-2.4±0.4【障害スコアの改善(12週間のベースラインからの6項目頭痛インパクトテストスコアの平均変化)】 ●フレマネズマブ月1回投与群:-8.1±0.7 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-8.0±0.7 ●プラセボ群:-6.5±0.7・フレマネズマブは、プラセボと同様に注射部位の反応を含む有害事象の発生率において、許容範囲内であった。【1つ以上の有害事象発現率】 ●フレマネズマブ群合計:61.4%(232例) ●プラセボ群:61.8%(118例) 著者らは「フレマネズマブは、日本人と韓国人の慢性片頭痛患者の予防的治療において、効果的であり、忍容性は良好であった」としている。

2391.

アルツハイマー病患者の抑うつ症状に対する抗うつ薬治療の有効性~メタ解析

 抑うつ症状は、アルツハイマー病(AD)患者でみられる最も一般的な神経精神症状の1つである。現在の臨床現場では、AD患者の抑うつ症状に対する第1選択治療として、抗うつ薬治療が行われている。中国・Maoming People's HospitalのYanhong He氏らは、AD患者の抑うつ症状の治療における抗うつ薬の有効性に関するエビデンスをシステマティックに調査した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2021年7月9日号の報告。 ランダム化比較試験のメタ解析を行うため、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、CNKIデータベースよりシステマティックに検索した。主要アウトカムは、平均うつ病スコアおよび安全性とし、副次的アウトカムは、認知機能とした。さまざまな治療による順位確率を推定するため、surface under the cumulative ranking curveを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14薬剤を含む25件の研究が選択基準を満たした。・ミルタザピン(標準化平均差[SMD]:-1.94、95%信頼区間[CI]:-3.53~-0.36、p<0.05)およびセルトラリン(SMD:-1.16、95%CI:-2.17~-0.15、p<0.05)による治療は、プラセボと比較し、抑うつ症状の治療に対する優れた有効性が認められた。・クロミプラミンは、プラセボよりも有害事象リスクが高かった(オッズ比:3.01、95%CI:1.45~4.57、p<0.05)。・認知機能については、抗うつ薬治療とプラセボとの間に統計学的有意差は認められなかった。 著者らは「全体として短期治療に関するデータではあるものの、AD患者の抑うつ症状の治療では、セルトラリンおよびミルタザピンによる治療を考慮すべきであることが示唆された。今後、大規模サンプルやより長いフォローアップ期間を設定した高品質な試験が求められる」としている。

2392.

うつ状態の変化が喫煙量に及ぼす影響

 韓国の喫煙率は、この10年間さまざまな喫煙コントロール政策が行われてきたにもかかわらず、わずか3%しか減少していない。そのため、喫煙者の心理学的特徴を考慮した政策を考える必要がある。一方、禁煙が失敗する要因として、うつ病との関連が示唆されている。韓国・延世大学校のSoo Hyun Kang氏らは、喫煙者のうつ状態の変化が1日の喫煙量(DCA)に及ぼす影響について、調査を行った。BMC Public Health誌2021年7月3日号の報告。 Korea Welfare Panel Study(KoWePS)のウェーブ3(2008年)~13(2018年)より抽出したサンプルを用いて検討を行った。調査時に1日で喫煙した紙巻きタバコの本数をDCAと定義した。うつ状態の評価には、うつ病自己評価尺度(CESD-11)を用いた。うつ症状の変化がDCAに及ぼす影響を評価するため、一般化推定方程式を用いた。うつ状態の変化により「NO→NO」群、「NO→YES」群、「YES→NO」群、「YES→YES」群に分類し評価した。 主な結果は以下のとおり。・2008年のベースライン時のサンプル数は、1,821人(男性:1,645人、女性:176人)であった。・男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた唯一の群であった(β:-0.631、p=0.0248)。・19歳以前に喫煙を開始した男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた(β:-0.881、p=0.0089)。 著者らは「うつ状態から非うつ状態への変化および非うつ状態からうつ状態への変化は、男性のDCA減少および増加とそれぞれ関連していた。19歳以前に喫煙を開始した喫煙者の場合、うつ状態から非うつ状態へ変化した群では、一般喫煙者と比較し、DCAが非常に低かった。禁煙プログラムに参加した人の治療において、カウンセラーはうつ症状を確認し、うつ病治療を併せて行うことを推奨する必要がある」としている。

2394.

統合失調症と双極性障害を鑑別する多遺伝子リスクスコアと病前知能との関連

 統合失調症と双極性障害は、臨床的および遺伝的に類似している疾患であるにもかかわらず、統合失調症患者の知能障害は、双極性障害患者よりも重篤である。統合失調症と双極性障害を鑑別する遺伝子座(つまり統合失調症に特異的なリスク)は特定されている。統合失調症に特異的なリスクに対する多遺伝子リスクスコア(PRS)は、健康対照者よりも統合失調症患者で高くなるが、知能障害に対する遺伝的リスクの影響は、よくわかってない。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症に特異的なリスクが、統合失調症および健康対照者の知能障害を予測するかについて調査を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌2021年7月23日号の報告。 統合失調症と双極性障害に関する大規模ゲノムワイド関連研究のデータセットの小児期知能(1万2,441例)および成人期知能(28万2,014例)のデータを用いてPRSを算出した。統合失調症患者130例と健康対照者146例についてゲノムワイド関連研究から得られたPRSを算出した。統合失調症患者と健康対照者の病前および現在の知能や知能低下を測定した。PRSと知能との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症に特異的なリスクに対するPRSの高さは、統合失調症患者と健康対照者の病前知能の低さと関連していた(β=-0.17、p=0.00412)。・診断ステータスを調整した後でも、この関連は有意なままであった(β=-0.13、p=0.024)。・統合失調症に特異的なリスクに対するPRSと現在の知能または知能低下との間に有意な関連は認められなかった(p>0.05)。・小児期知能のPRSは、健康対照者よりも統合失調症患者のほうが低かったが、病前および現在の知能や知能低下との有意な関連は認められなかった(p>0.05)。 著者らは「この結果は、統合失調症と双極性障害を鑑別する遺伝的因子が、統合失調症の病因および/または病前の知能障害、すなわち結晶性知能障害を介して、両疾患の病理学的差異に影響を及ぼしている可能性が示唆された。一方、小児期知能の遺伝的因子は、統合失調症の病因に影響を及ぼす可能性はあるが、知能障害を介した影響は認められなかった」としている。

2395.

倦怠感は日中の過度な眠気と独立して抑うつ症状と関連

 一般集団における倦怠感に対する睡眠障害や併存疾患の影響について、韓国・ソウル大学校病院のJun-Sang Sunwoo氏らが、調査を行った。Sleep & Breathing誌オンライン版2021年7月22日号の報告。 2018年に実施された韓国の横断調査より得られたデータを用いて、分析を行った。倦怠感の評価には、Fatigue Severity Scaleを用いた。就業日の睡眠時間、クロノタイプ、休日の睡眠不足を解消するための睡眠、日中の過度な眠気などの睡眠習慣および抑うつ症状、その他の併存疾患について調査した。倦怠感を従属変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、19~92歳の成人2,493人(男性の割合:50%、平均年齢:47.9±16.4歳)であった。・就業日の平均睡眠時間は、7.1±1.1時間であり、倦怠感の有病率は、31%であった。・潜在的な交絡因子で調整した後、倦怠感は以下の因子との関連が認められた。 ●日中の過度な眠気(オッズ比[OR]:3.751、95%信頼区間[CI]:2.928~4.805) ●抑うつ症状(OR:3.736、95%CI:2.701~5.169) ●睡眠不足の認識(OR:1.516、95%CI:1.249~1.839) ●休日の睡眠不足を解消するための睡眠(OR:1.123、95%CI:1.020~1.235) ●アルコール摂取の少なさ(OR:0.570、95%CI:0.432~0.752) ●運動不足(OR:0.737、95%CI:0.573~0.948)・サブグループ解析では、日中の過度な眠気が認められない人において、倦怠感と就労日の睡眠時間の短さとの関連が認められた(OR:0.899、95%CI:0.810~0.997)。・日中の過度な眠気が認められる人において、倦怠感と関連が認められた因子は、抑うつ症状(OR:2.842、95%CI:1.511~5.343)とアルコール摂取の少なさ(OR:0.476、95%CI:0.247~0.915)であった。 著者らは「日中の過度な眠気と独立して、倦怠感と抑うつ症状の有意な関連が認められた。倦怠感、抑うつ症状、睡眠の病態生理学的関連を明らかにするためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

2396.

医療従事者のバーンアウトとそれに伴う仕事量の変化

 COVID-19感染流行に収束の兆しが見えない中、医療従事者の燃え尽き症候群(バーンアウト)が問題となっている。COVID-19感染流行前に、医師以外の医療従事者(HCW)における燃え尽き症候群(バーンアウト)と組織への満足度が、その後の仕事量の変化と関連するのかを調査した研究結果が、JAMA Network Open誌2021年8月20日号で報告された。 米メイヨー・クリニックのLiselotte N. Dyrbye氏らは、米国の複数の州にある地域密着型病院と医療施設において、2015年~2017年にかけてHCW(看護師、理学療法士、薬剤師、ソーシャルワーカー等)を対象に、バーンアウト及び組織への満足度と、その後24ヵ月間の仕事量の変化との関連を探る縦断的コホート研究を実施した。分析は2020年11月25日に完了した。主要アウトカムは、給与記録に記録されるフルタイム換算(FTE)単位で測定される仕事量の変化だった。バーンアウトの診断はMaslach Burnout Inventory(MBI)による情緒的消耗感と脱人格化の測定、組織への満足度は5段階アンケートで測定した。 主な結果は以下のとおり。・2万6,280例(45~54歳が7293例[27.8%]、女性2万263例[77.1%])が対象となった。勤続期間は5年未満(8,570例[32.6%])と15年以上(8,115例[30.9%])が多く、6,595例(25.1%)が看護師だった。・ベースライン時には、5,695例(21.9%)が「情緒的消耗感が強い」、2,389例(9.2%)が「脱人格化が強い」、6,177例(23.8%)が「バーンアウト状態」を示した。組織への満足度は「非常に満足」(9,125例[35.0%])または「満足」(1万3,339例[51.1%])が大半を占めた。・性別、年齢、雇用期間、職種、ベースライン時のFTEとバーンアウトを調整したところ、ベースライン時のバーンアウト状態(オッズ比[OR]:1.53、95%CI:1.38~1.70、p< 0.001)、情緒的消耗感(OR:1.54、95% CI:1.39~1.71、p

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若年性認知症の世界的有病率~メタ解析

 認知症の症状が65歳以前に発現する若年性認知症については、信頼できる推定有病率が明らかとなっていない。有病率の推定は、政策立案時に適切な医療環境を組織するうえで必要となる。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の世界的有病率の推定を試みた。JAMA Neurology誌オンライン版2021年7月19日号の報告。 1990年1月~2020年3月に公表された若年性認知症の有病率に関する人口ベースの研究を、PubMed、Embase、CINAHL、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。65歳未満の認知症有病率に関するデータを含む研究を独立した2人のレビュアーによりスクリーニングし、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。30~34歳から60~64歳まで、5歳刻みの年齢層における若年性認知症の有病率を推定した。有病率の推定値をプールするため、変量効果メタ解析を実施した。結果は、世界標準人口による年齢調整を行った。性別、認知症サブタイプ、研究デザイン、世界銀行の分類に基づく経済状態によるサブグループ分析およびメタ解析により、不均一性を評価した。主要アウトカムは、5歳刻みの年齢層における若年性認知症の推定有病率とした。 主な結果は以下のとおり。・95件の研究についてシステマティックレビューを行い、74件(276万379例)をメタ解析に含めた。・研究は、主に欧州で実施されており、アジア、北米、オセアニアでの研究は、より高年齢層が対象であった。・人口10万人当たりの年齢調整推定有病者数は、30~34歳で1.1人、60~64歳で77.4人であった。・30~64歳の人口10万人当たりの年齢調整推定有病者数は119.0人であり、世界の30~64歳の有病者数では390万人に相当する。・サブグループ解析では、男女の有病率は類似していた。 ●男性の粗推定値:人口10万人当たり216.5人 ●女性の粗推定値:人口10万人当たりの293.1人・一方、高所得国では、高中所得国および低中所得国と比較し、有病率が低かった。 ●高所得国の粗推定値:人口10万人当たり663.9人 ●高中所得国の粗推定値:人口10万人当たり1,873.6人 ●低中所得国の粗推定値:人口10万人当たり764.2人・メタ解析では、研究間の不均一性に年齢範囲(p<0.001)、サンプルサイズ(p<0.001)、研究デザイン(p=0.02)が有意な影響を及ぼしていることが示唆された。 著者らは「30~64歳における若年性認知症の年齢調整推定有病率は、人口10万人当たり119.0人であることが本システマティックレビューおよびメタ解析により明らかとなったが、低所得国やより若年層での有病率を推定するには、依然として不十分なままであった。これらの結果は、政策立案時に適切な医療環境を組織するうえで役立つであろう」としている。

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妊娠前の睡眠時間と産後うつ病~日本での多施設共同研究

 産後うつ病は、世界における主要な公衆衛生上の問題であり、臨床的優先事項として挙げられている。名古屋大学の松尾 聖子氏らは、妊娠前の睡眠時間と産後うつ病との関連について、調査を行った。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2021年7月13日号の報告。 日本の産婦人科病院12施設より収集した2014~18年に出産した女性の臨床データを用いて、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。対象女性1万5,314人を妊娠前の睡眠時間に応じて5群に分類した(6時間未満、6~7時間、7~8時間、8~9時間、9時間以上)。妊娠前の睡眠時間が産後1ヵ月間のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)のスコアに影響を及ぼすかを判断するため、単変量および多変量回帰分析を行った。また、産後うつ病リスクが、妊娠前の睡眠時間に応じて分類された女性において、以前の出産経験の有無により異なるかについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・出産前の睡眠時間が6時間未満および6~7時間の女性における高EPDSスコア(9以上)の調整オッズ比(aOR)は、7~8時間の女性と比較し、以下のとおりであった。 ●6時間未満のaOR:2.08(95%CI:1.60~2.70) ●6~7時間のaOR:1.41(95%CI:1.18~1.68)・高EPDSスコアのリスクは、睡眠時間が1時間増加すると約14%減少した。・睡眠時間の短さと高EPDSスコアとの関連は、初産の女性よりも出産経験のある女性のほうが顕著であった。 著者らは「妊娠前の睡眠時間の短さは、産後うつ病リスクと関連しており、この問題は、初産よりも出産経験のある女性において、より重要であった。産後うつ病リスクが高い女性を特定するためにも、妊娠前の睡眠時間に関する情報を収集する必要がある」としている。

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抗CGRP抗体エレヌマブによる急性頭痛薬の減少効果

 トリプタンやエルゴットなどの片頭痛に特異的な治療薬(migraine-specific medication:MSM)を含む急性期治療薬の過度な使用は、薬物乱用頭痛の出現など健康への悪影響につながる可能性がある。米国・Geisel School of Medicine at DartmouthのStewart J. Tepper氏らは、反復性および慢性片頭痛患者における急性期治療薬(とくにMSM)の減少に対するエレヌマブの効果について調査を行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年7月23日号の報告。 2つのエレヌマブの研究(反復性片頭痛患者955例および慢性片頭痛患者667例を対象とした試験とその後続試験)における二重盲検治療段階のデータを用いて、事後分析を行った。対象患者には、エレヌマブ(70または140mg)またはプラセボの月1回皮下投与を行った。毎日の急性期治療薬(MSMおよび非MSM)の使用については、治療開始4週前(ベースライン期間)から治療期間終了まで電子日誌を用いて記録した。アウトカムは、ベースライン時の急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化、ベースライン時のMSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化、ベースライン時の非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化として、測定を行った。 主な結果は以下のとおり。・すべての急性頭痛薬使用患者のうち、反復性片頭痛患者の60%、慢性片頭痛患者の78%に対し、ベースライン時のMSM使用が確認された。・反復性片頭痛患者を対象とした研究における二重盲検前と比較した4、5、6ヵ月目の各アウトカムは、以下のとおりであった。 ●急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化  プラセボ群:1.5日、エレヌマブ70mg群:2.5日、エレヌマブ140mg群:3.0日 ●MSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化  プラセボ群:0.5日、エレヌマブ70mg群:2.1日、エレヌマブ140mg群:2.8日 ●非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化  プラセボ群:2.3日、エレヌマブ70mg群:2.6日、エレヌマブ140mg群:2.7日・慢性片頭痛患者を対象とした研究における二重盲検前と比較した3ヵ月目の各アウトカムは、以下のとおりであった。 ●急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化  プラセボ群:3.4日、エレヌマブ70mg群:5.5日、エレヌマブ140mg群:6.5日 ●MSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化  プラセボ群:2.1日、エレヌマブ70mg群:4.5日、エレヌマブ140mg群:5.4日 ●非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化  プラセボ群:5.9日、エレヌマブ70mg群:6.4日、エレヌマブ140mg群:6.6日・MSM使用日数の減少効果は、両研究の後続試験においても持続していた。・エレヌマブは、反復性片頭痛および慢性片頭痛のいずれにおいても、プラセボと比較し、MSM使用患者の1ヵ月当たりのMSM使用日数がベースラインから50%以上、75%以上、100%減少が認められる患者の割合が高かった。 著者らは「エレヌマブ治療は、反復性片頭痛および慢性片頭痛のいずれにおいても、急性頭痛薬、とくにMSMの使用を有意に減少させ、その効果が持続することが示唆された」としている。

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認知刺激の強い仕事は高齢期の認知症リスクを低下させる可能性/BMJ

 認知刺激が強い労働に従事している人々は、認知刺激が弱く受動的な労働に就いている人々と比較して、高齢期の認知症のリスクが低く、中枢神経系の軸索形成やシナプス形成を阻害する血漿タンパク質のレベルが低下していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年8月18日号で報告された。3つの解析を行うマルチコホート研究 研究グループは、認知刺激が強い労働と、後年の認知症リスクの関連を評価し、この関連に関与するタンパク質生合成経路の特定を目的にマルチコホート研究を行った(NordForskなどの助成を受けた)。 本試験では、英国、欧州、米国のデータを用いて次の3つの解析が行われた。(1)解析1:認知刺激と認知症の関連、対象はIPD-Work consortium(individual participant data meta-analysis in working populations)による7つの人口ベースの前向きコホート研究の参加者10万7,896人、(2)解析2:認知刺激とタンパク質の関連、対象はWhitehall II試験の参加者の無作為抽出標本2,261人、(3)解析3:タンパク質と認知症の関連、対象はWhitehall II試験の参加者の無作為抽出標本とARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)試験の参加者で合計1万3,656人。 認知刺激は、ベースライン時に能動的職務と受動的職務に関する標準的な質問票を用いて評価され、ベースラインおよびそれ以降は経時的に、仕事への曝露マトリックス指標を使用して評価された。また、Whitehall II試験の無作為抽出標本2,261人の血漿試料を用いて、4,953種のタンパク質の解析が行われた。 認知症発症者の平均追跡期間は、コホートによって13.7~30.1年の幅が認められた(全体の平均追跡期間は16.7[SD 4.9]年)。認知症発症者は、電子健康記録と臨床検査の反復で特定された。認知症の生物学的機序解明の手掛かりの可能性 認知刺激-認知症解析(解析1)に含まれた10万7,896人のベースラインの平均年齢は44.6(SD 9.5)歳で、6万2,816人(58.2%)が女性、4万5,080人(41.8%)は男性であった。2万9,243人(27.1%)が認知刺激が弱い仕事、5万724人(47.0%)が認知刺激が中等度の仕事、2万7,929人(25.9%)は認知刺激が強い仕事に従事していた。180万1,863人年の期間に、1,143人が認知症を発症した。 認知症のリスクは、強認知刺激職務従事者のほうが弱認知刺激職務従事者に比べて低く(1万人年当たりの認知症の粗発生率:強認知刺激職務群4.8件vs.弱認知刺激職務群7.3件、年齢と性別で補正したハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.92)、コホート間の異質性に有意な差は認められなかった(I2=0%、p=0.99)。 この関連は、教育や成人の認知症リスク因子(ベースラインの喫煙、大量アルコール摂取、運動不足、過緊張な仕事、肥満、高血圧、糖尿病罹患率)、認知症診断前の心代謝性疾患(糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中)の補正を追加しても、頑健性が保持されていた(全補正後HR:0.82、95%CI:0.68~0.98)。 また、弱認知刺激職務群の認知症リスクは、追跡開始から10年(HR:0.60、95%CI:0.37~0.95)および10年以降(0.79、0.66~0.95)にも観察され、認知刺激の職務曝露マトリックス指標による評価でも再現された(認知刺激の1標準偏差[SD]上昇当たりのHR:0.77、95%CI:0.69~0.86)。 多重比較による解析(解析2)では、強認知刺激職務群は弱認知刺激職務群に比べ、中枢神経系の軸索形成やシナプス形成を阻害するタンパク質のレベルが低かった(slit homologue 2[SLIT2、全補正後β〔タンパク質レベルの1SD上昇当たり〕:-0.34、p<0.001]、炭水化物スルホトランスフェラーゼ12[CHSTC、全補正後β:-0.33、p<0.001]、ペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ[AMD、全補正後β:-0.32、p<0.001])。 これらのタンパク質は認知症リスクの増加と関連しており、1SD当たりの全補正後HRは、SLIT2が1.16(95%CI:1.05~1.28)、CHSTCが1.13(1.00~1.27)、AMDは1.04(0.97~1.13)だった(解析3)。 著者は、「認知刺激が、軸索形成やシナプス形成を阻害し認知症のリスクを高める可能性のある血漿タンパク質レベルの低下と関連しているとの知見は、認知症の根本的な生物学的機序の解明の手掛かりとなる可能性がある」としている。

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