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ADHD児の睡眠問題と母親のメンタルヘルスとの関連

 小児の注意欠如多動症(ADHD)では、一般の小児と比較し、睡眠障害が多く認められる。また、ADHD児の両親は、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いことが知られている。この関連は横断研究では報告されているものの、縦断研究は実施されていなかった。オーストラリア・ディーキン大学のChristina A. Martin氏らは、ADHD児の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題(全体的なメンタルヘルス、うつ病、不安、ストレス)との潜在的な双方向の関連を12ヵ月間調査した。Journal of Attention Disorders誌2021年9月号の報告。 5~13歳のADHD児379例の母親に対し、子供の睡眠状態(子供の睡眠習慣質問票)および自分自身のメンタルヘルス(うつ病不安ストレススケール)について、12ヵ月間で3度(ベースライン、6ヵ月、12ヵ月)の調査を行った。子供の年齢、性別、ADHD症状の重症度、ADHD治療薬の使用、併存疾患(自閉スペクトラム症、内在化障害、外在化障害)、母親の年齢、社会経済的状況でコントロールし、自己回帰クロスラグパネル分析を用いてデータ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・子供の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題は、12ヵ月間にわたり非常に安定して認められた。・長期的な関連は明らかであり、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親の全体的なメンタルヘルスおよび不安の予測因子であった。・しかし、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親のうつ病やストレスを予測しなかった。・母親のメンタルヘルス問題が、調査期間を通じて子供の睡眠障害を予測することは、ほとんどなかった。 著者らは「ADHD児の睡眠問題が、その後の母親のメンタルヘルス問題に影響を及ぼすことが示唆された。そのため、子供の睡眠を改善するための介入は、時間とともに母親のメンタルヘルスの改善につながる可能性があると考えられる。そして、睡眠障害を有する子供を持つ母親では、潜在的なメンタルヘルス問題を抱えている可能性があることを認識する必要がある」としている。

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デルゴシチニブ軟膏、小児ADへの有効性と安全性を確認

 昨年、世界で初めてわが国で承認された、アトピー性皮膚炎(AD)に対する外用JAK阻害薬デルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム軟膏)について、東京慈恵会医科大学名誉教授の中川 秀己氏らが小児(2~15歳)に対する有効性と安全性を評価した56週の第III相無作為化二重盲検基剤対照試験の結果が、Journal of the American Academy of Dermatology誌2021年10月号で報告された。デルゴシチニブ軟膏塗布患者で重篤有害事象の報告なし 56週にわたり塗布群は有意な改善を示し、忍容性は良好であったという。上市されたデルゴシチニブ0.5%軟膏の適応対象は、当初16歳以上の成人であったが、本年5月に小児への適応拡大が承認されている。 小児ADに対するデルゴシチニブ軟膏の有効性と安全性を評価する試験は、2つのパート構成で行われた。パート1は、4週間の二重盲検無作為化試験で、2~15歳の日本人AD患者を1対1の割合で無作為にデルゴシチニブ0.25%軟膏群または基剤群に割り付け、追跡評価した。パート2は、52週間の非盲検延長試験で、適格患者(パート1試験完了者と、パート1試験中にAD増悪のため早期にパート2試験に組み込まれた患者)はデルゴシチニブ0.25%軟膏またはデルゴシチニブ0.5%軟膏を投与された。 デルゴシチニブ軟膏の小児ADに対する有効性と安全性を評価する試験の主な結果は以下のとおり。・パート1試験では、137例が無作為化を受けた(平均年齢8.3歳、男子51.1%、平均罹患期間6.0年)。試験を完了したのは、デルゴシチニブ0.25%軟膏群が62/69例(89.9%)、基剤群が48/68例(70.6%)であり、パート2試験への早期組み込み被験者はそれぞれ7例(10.1%)、19例(27.9%)であった。・パート2試験の被験者は計135例で、118例(87.4%)が試験を完了した。・パート1試験の開始時点で、約半数の患者(54.7%)が中等症AD(IGAスコア3)、21.9%が重症AD(IGAスコア4)であった。・パート1試験終了時の主要有効性エンドポイント(修正Eczema Area and Severity Index[mEASI]スコアのベースラインからの最小二乗平均変化率)は、デルゴシチニブ0.25%軟膏群(-39.3%)が基剤群(+10.9%)よりも有意に低下した(p<0.001)。・パート2試験でも、56週間にわたってmEASI、IGAおよびかゆみのスコアの改善が認められた。・パート1および2試験を通して、デルゴシチニブ軟膏塗布患者115/134例(85.8%)で有害事象が報告されたが、大半はデルゴシチニブ軟膏による治療とは無関係とみられ、関連していたのは13例(9.7%)ですべて軽度であった。重篤有害事象の報告例はなかった。・本試験の対象患者は日本人のみであり、パート2試験で対照群が設定されておらず、レスキュー治療が許容されていた点において結果は限定的である。

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ニボルマブ、小児ホジキンリンパ腫に対する承認取得/BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体のニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、小児の再発又は難治性古典的ホジキンリンパ腫に対する承認を取得したことを発表した。 ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局性又は播種性の悪性腫瘍であり、国内の年間発症患者数は約1,720人、小児における年間発症患者数は約70人と推定されている。小児ホジキンリンパ腫の一次治療には化学療法等が行われ、再発または治療抵抗性の場合にはさらなる化学療法や抗CD30モノクローナル抗体であるブレンツキシマブ ベドチン等による治療が行われているものの予後は厳しく、ニボルマブは新たな選択肢の一つとして期待される。 今回の承認取得は、国立がん研究センター中央病院で実施された、小児期およびAYA(思春期・若年成人)世代の患者を対象としたニボルマブの有用性を見ることを目的とした医師主導治験(PENGUIN試験)の結果に基づいたもの。本試験は、小児・AYA世代の難治悪性固形腫瘍とホジキンリンパ腫患者のうち、標準的な治療(2種類以上の化学療法後)抵抗性の患者を対象とし、主要評価項目は用量制限毒性相当の有害事象の発生割合、副次評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、奏効率等だった。 試験は2017年から開始され、26例の患者(平均年齢12.4歳、11歳以下10/26[38.5%]、12~17歳13/26[50.0%]、18歳以上3/26[11.5%]が組み入れられた。参加者のがん種は横紋筋肉腫が4/26(15.4%)、ユーイング肉腫が3/26(11.5%)、神経芽腫および神経節芽腫が2/26(7.7%)、古典的ホジキンリンパ腫、肺の神経内分泌がんなどが1名ずつだった。結果として、古典的ホジキンリンパ腫の1例において完全奏効が得られ、成人患者での承認時用量と同様の3mg/kgの体重換算用量で確認した結果、有害事象と薬物動態について成人において観察されたものと大きな違いがないことが確認された。 その他のがん種に対するニボルマブの有効性など、本試験の詳細な結果は10月21日から開催されるSIOP 2021(国際小児腫瘍学会)で発表予定となっている。

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学校のコロナ対策、毎日迅速抗原検査の効果は隔離と同等/Lancet

 学校において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)接触者に対する毎日の迅速抗原検査は、自己隔離と比較してCOVID-19感染制御において非劣性であり、両アプローチによる生徒および学校職員の症候性SARS-CoV-2感染率は同程度であることが、英国・オックスフォード大学のBernadette C. Young氏らが実施した非盲検クラスター無作為化比較試験で示された。イングランドでは、学校でのCOVID-19接触者は自宅での自己隔離を求められ、重要な教育機会が失われている。そこで著者らは、接触者には毎日検査を実施することで学校への出席を可能にしつつ、自己隔離と同様の感染抑制効果が得られるかを検討した。著者は、「学校内の接触者の感染率は低く、学校での曝露後の自宅隔離に代わり、接触者の毎日の検査を検討すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年9月14日号掲載の報告。学校単位で、接触者10日間自己隔離群vs.学校で毎日迅速抗原検査群を検討 研究グループは、イングランドの中等学校(11~16歳)および継続教育カレッジ(16~18歳)を、学校単位で、COVID-19接触者を10日間自己隔離する群(対照群)と、SARS-CoV-2抗原迅速検査(Orient Gene製)で陰性の接触者は学校に留まり7日間毎日任意で同検査を行う群(介入群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、学校の種類と規模、第6学年(16~18歳)の有無、寮生の有無、無料の学校給食を受ける生徒の割合によって層別化された。 主要評価項目は、生徒ならびに学校職員における、COVID-19に関連した学校欠席およびPCRで確認された症候性COVID-19である。準ポアソン回帰法を用いたintention-to-treat解析により、地域の感染率で調整した学校内感染を推定した(非劣性マージン<50%相対的増加)。また、順守者のみの平均因果効果(CACE)も推定した。PCRで確認された症候性感染ならびにCOVID-19関連欠席の発生頻度に差はなし 2021年3月18日~5月4日の間に、研究に同意し参加を決定した201校が無作為に割り付けられた(対照群99校、介入群102校)。試験期間は最長10週間で、2021年4月19日~5月10日に開始し、事前に指定された中止日(2021年6月27日)まで継続した。201校中、生徒および学校職員が参加したのは対照群76校、介入群86校であったが、参加を辞退した学校のほとんどは国のデータを追加することで主要評価項目の分析に含めることができた。介入群では、接触者5,763例中2,432例(42.4%)が毎日の検査に参加した。 PCRで確認された症候性感染は、対照群では感染リスクのある778万2,537日(59.1/10万人/週)において657件、介入群では同837万9,749日(61.8/10万人/週)において740件であり、補正後発生率比(aIRR)はintention-to-treat解析で0.96(95%信頼区間[CI]:0.75~1.22、p=0.72)、CACE解析で0.86(95%CI:0.55~1.34)であった。 生徒および学校職員のCOVID-19関連欠席発生頻度は、対照群では365万9,017人学校日当たり5万9,422人(1.62%)、介入群では384万5,208人学校日当たり5万1,541人(1.34%)であり、aIRRはintention-to-treat解析で0.80(95%CI:0.54~1.19、p=0.27)、CACE解析で0.61(95%CI:0.30~1.23)であった。

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きれいにリフォームしても、高く売れるわけじゃないんです【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第26回

第26回 きれいにリフォームしても、高く売れるわけじゃないんです漫画・イラスト:かたぎりもとこ「5年以内に診療所を承継したい…」。そう考える開業医の方は、医院の内装や設備機器に多額の投資を行うことはお勧めできません。「きれいにリフォームしたほうが、買い手が付きやすいんじゃないの?」とおっしゃる方がいますが、機器や内装を新調することで固定資産額(簿価)が高くなり、売値も高くなる構造があるのです。結果として、後継者が見つけにくくなる可能性があります。売値の算定方法については、過去のコラムを参照ください。第10回 診療所の後継者探し、自分だけで「質」と「量」確保できますか?売り手側の設備投資の内容が買い手側の希望に合っていれば問題はありませんが、必ずしもそうでないケースが多いのが実情です。医業承継の場合、買い手の約7割の方は内装や機器をそのまま使用します。一方で残りの約3割の方は自分の診療の特徴を出すことや患者の動線を考え、リフォームを行っています。後者の場合、売り手が行った設備投資と、自分が再度行いたい設備投資があるため、二重にコストがかかってしまいます。医療機器なども、医師によっては「ここの内視鏡でないと」と強く希望するケースもあり、売り手の機器を廃棄し、新たに購入することも珍しくありません。このようなケースを念頭に置き、医業承継を検討する診療所は、大規模な設備投資をしないほうがよいのです。

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 1

今回のキーワード精子バンク生殖補助医療法出自を知る権利アイデンティティ子育ての私物化生殖心理皆さんは、もしも今、実は自分が精子バンクから提供された精子によって生まれたと知らされたら、どう思いますか? 率直になんでと思いませんか? そして、じゃあ自分が半分受け継いだ生みの父親、つまり精子ドナーは誰なのと思いませんか? そもそも、もっと早くに親から教えてほしかったと思いませんか?このように、精子提供によって生まれた子どもがその事実やそのドナーを知る権利は、生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利と呼ばれています。2020年に生殖補助医療法が成立し、精子を提供された夫婦と生まれた子どもの親子関係を明確化した一方、この出自を知る権利を保障する法案は、持ち越されたままになっています。なぜ法整備がなかなか進まないのでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、ヒューマン映画「キッズ・オールライト」を取り上げます。レズビアンカップルと精子ドナーから生まれた子どもたちの親子関係が描かれ、一見特殊なケースのように思われますが、精子を提供された不妊夫婦や特別養子縁組(実子扱いになる養子縁組)を利用した夫婦の心理に重なる面を考えれば、それほど特殊ではないことに気づきます。この映画を通して、今回は、その1で、精子提供によって生まれた子どもの心理、精子を提供された親の心理、さらには精子ドナーの心理をそれぞれ掘り下げます。その2で、彼らのそれぞれの心理をから、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにします。そして、その3で、その「不都合な真実」を踏まえて、その子どもは、そして国はどうすればいいのかを一緒に考えます。精子提供によって生まれた子どもの心理は?18歳のジョニと15歳のレイザーは姉と弟。彼らには、2人の同性婚のレズビアンの母親がいます。精子バンクから同じドナーの精子を提供されて、ジョニは母親のニックから、レイザーは母親のジュールスからそれぞれ生まれました。彼らは、母親が2人で父親はいないですが、叱られたり反抗したりと親子げんかをしながらも、ごく普通の家族として仲良く4人で暮らしてきました。しかし、思春期になった彼らは、精子提供によって生まれた事実によって、彼らならではのある葛藤が生まれます。まず、彼らのその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)真実をきちんと教えてほしい-信頼関係ジョニとレイザーは、物心ついた頃から、母親が2人いて父親がいない自分たちの家族は、ほかの家族とは違うことに気づいていました。そして、ニックとレイザーは、早い段階で、2人の母親から、精子ドナーによってそれぞれ生まれたと知らされたことが想像できます。1つ目の心理は、なんで精子提供によって生まれたのか、その経緯をはじめとする真実をきちんと教えてほしいと思うことです。これは、親子の基盤となる信頼関係です。とくに子どもの出自に関する事実はなおさらです。逆に言えば、真実を隠してしまえば、それが後々にばれた場合、親子の信頼関係が大きく揺らぐでしょう。この問題の本質は、実の父親が精子ドナーであったことではなく、その父親が精子ドナーであったことを隠し続けてきたこと、つまり親が子どもの出自について重大なウソをついていたことです。現在では、DNA鑑定などの科学技術の進歩によって、誰でも自分の遺伝情報を知ることができる時代です。育ての父親と自分に血のつながりがないことがすぐにはっきりしてしまいます。(2)自分のもう半分のルーツを知りたい-アイデンティティ未成年の弟レイザーの懇願もあり、成人になった姉ジョニは、精子バンクの会社に問い合わせて、精子ドナーと連絡を取り合います。そしてレイザーと一緒に精子ドナーであるポールに会うのです。初対面で、ジョニは、ポールに好印象を持ちます。一方、レイザーは話が噛み合わず、期待していた展開と違っていたことにがっかりするのでした。2つ目の心理は、精子ドナーはどんな人なのか、つまり自分のもう半分のルーツを知りたいと思うことです。これは、思春期に確立するアイデンティティです。それは、自分の半分が、お金で買った精子というモノではなく、人として確かに存在していると実感することです。さらには、自分と似ているのかという好奇心や、男親への理想化や憧れもあるでしょう。逆に言えば、自分のもう半分のルーツが分からなければ、アイデンティティが定まらなくなるでしょう。実際に、これまで日本では、精子ドナーが匿名で集められてきた長い歴史があり、精子ドナーを特定しようがありません。少ないながらも、近親婚のリスクもあります。自分が結婚する時に、その葛藤や差別に悩むかもしれません。さらに、これまでの人生がうまく行っていない場合、その原因を「自分のもう半分が分からないからだったんだ」と決め付けて責任転嫁をしてしまい、自分の責任として人生を良くして行こうとしなくなる危うさもあります(認知的不協和)。(3)生みの親にも自分の存在を認めてほしい-自尊心レイザーは、ポールのマイペースさに最初はがっかりしていましたが、繰り返し会ううちに、親しみが沸いてきます。そして、ついに「なんで精子を提供したの?」「いくらだったの?」とストレートに質問します。最初、ポールから「献血よりおもしろいと思ったからだよ」「いやあ、人の役に立ちたかったし」「報酬は60ドルくらい」と説明され、またがっかりします。しかし、最後にポールから「でも、やって良かったよ」とひとこと言われて、レイザーはようやくほっとするのでした。3つの目の心理は、自分は望まれて生まれたのか、つまり生みの親にも自分の存在を認めてほしいと思うことです。これは、自分のルーツである生みの親からの受容による自尊心です。もちろん、育ての親からすでに受容されていますが、さらには生みの親にも「あなたの精子が自分になったんです」と自分の存在を突きつけることで、自分の存在を受け止めてほしいと思うことです。逆に言えば、生みの親に自分の存在を認めてもらえなければ、自尊心が不安定になるでしょう。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 2

精子を提供された親の心理は?一方で、精子を提供された親の心理とはどういうものでしょうか? ここからその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)精子提供はなかったことにしたい-保守的な認知2人の母親のニックとジュールスは、ジョニとレイザーに精子提供の事実をすでに伝えていましたが、日常生活の中では、話題にしたがらなかったようです。実際に、ジョニは、その気持ちを察して、レイザーから精子ドナーの問い合わせをせがまれた当初、「ママたちが傷つくし、面倒なことは嫌」と言っていました。1つ目の心理は、精子提供はなかったことにしたいと思うことです。これは、精子提供の事実を突き詰めていくと、「普通」ではない親子であることを認めることになり、子どもが今までと同じように接してくれなくなるのではないかと怖れるからです。この根っこには、普通が良い、ほかの人と同じほうが良いとつい思ってしまう保守的な認知があります。すでに、ニックとジュールスは、レズビアンであることもあり、「普通」かどうかについては敏感でしょう。そして、「普通」ではないことで、家族関係が壊れてしまうのではないかと怖れてもいます。さらに、この保守的な認知は、隠せるものなら隠しておきたいと思う心理にも発展します。レズビアンカップルや選択的シングルマザーであれば、その子どもが父親のいないことに自然と疑問を持つので、必然的にその真実を迫られます。一方、精子を提供された不妊夫婦は、母親と父親としてもともといるので、その子どもが積極的に疑問を持つことはなく、真実を迫られることはありません。このような事情から、日本では、実際にいまだにその真実を隠そうとする風潮があります。彼らは、現実と向き合う苦しみから子どもを守るために秘密にするのだと言います。つまり、子どもを傷つけないためだという理屈です。しかし、これは、同時に、自分たちが傷つきたくないという思いも見え隠れします。つまり、父親が精子ドナーであることは子どもも自分も普通ではないと思われる(普通ではないと自分が思っている)というとらわれです。この理屈は、日本でも、初期の不妊夫婦への精子提供でまかり通っていました。当時の精子提供の条件は、当事者がその事実を秘密にすることでした。不妊夫婦は、ただでさえ子どもができないことに引け目があります。この口止めの条件は、不妊夫婦にさらに負い目を植え付けます。精子提供は不幸であるというレッテル貼りです(ラベリング)。そして、夫婦の自尊心を下げて、保守的な認知にさせることで、秘密保持を助長しています。しかし、実際には、隠した期間が長ければ長いほど、ばれた時の子どもへのダメージはより深刻になります。また、死ぬまで隠し通せればいいと思うかもしれませんが、現実的には、隠し通すことへの罪悪感やいつばれるかという恐怖感から、やはり子どもへの親の接し方が不自然になってしまいます。また、父親と子どもの血液型が一致しないことが後々に判明したり、父親または子どもが遺伝疾患を発症したことで血のつながりを曖昧にできなくなったりすることもあります。最悪のシナリオは、最後に親が隠し通す重荷に疲れてやけになったり、親の離婚をきっかけに、その秘密を突然漏らしてしまうことです。この親の心理は、真実をきちんと教えてほしいと思う子どもの心理とは真逆です。(2)精子ドナーを知らないでほしい-親アイデンティティニックとジュールスは、子どもたちが自分たちの知らないうちに精子ドナーに会ったことを知り、表向きは理解をしようとしつつ、2人きりになると「「生物学的な父親だけど不愉快でむかつく」と打ち明けます。2つ目の心理は、精子提供の事実を伝えたとしても、ドナーを知らないでほしいと思うことです。これは、精子ドナーの身元や実体が明らかになると、自分たちが築き上げた親の地位が脅かされると思ってしまうからです。この根っこには、自分たちだけが親であると思いたい親アイデンティティがあります。そもそも、4人家族とは言え、ニックとレイザー、ジュールスとジョニには血のつながりがありません。一方で、精子ドナーであるポールは、ジョニとレイザーの両方に血のつながりのある点で、脅威なのです。そして、育ての親としての親アイデンティティが揺らいでしまうのです。精子を提供された夫婦にとって、生まれた子どもは、「半養子」と呼ばれることがあります。とくに血のつながっていない父親としては、子どもを「実子」と思いたいがために、子どもが精子ドナーの身元や実体を知らないままでいてほしいと思うのです。この親の心理は、自分のもう半分のルーツを知りたいと思う子どもの心理とは真逆です。(3)精子ドナーとかかわってほしくない-子育ての私物化ニックとジュールスは、「子どもたちとの時間を誰にも奪われたくない」と言います。ただ、子どもたちへの配慮から、1回だけと決めて、家族4人で精子ドナーのポールと食事をするのです。しかし、ニックは、ポールを目の前にして、表向きは穏やかでも、引きつった笑顔でポールのプライベートを根掘り葉掘り聞き出し、問い詰めます。そして、ポールから冗談交じりに「主席尋問官みたいだね」と言われてしまうのです。3つ目の心理は、精子ドナーを知ってしまったとしても、かかわってほしくないと思うことです。これは、精子ドナーと子どもたちを引き合わせてしまったら、子どもたちが精子ドナーから影響を受けてしまうと思うからです。この根っこには、子育ては自分たちだけでやりたいと思う子育ての私物化があります。さらに、この子育ての私物化は、精子ドナーを敵視する心理にも発展します。生みの親(精子ドナー)は、子どもからすれば自分のルーツとして必要不可欠な存在です。一方で、精子を提供された親からすれば、お互いに匿名化された存在であるはずです。もっと言えば、精子を提供されたあとは不要な存在です。そんな存在がいきなり現れたら、心地良くは思わないでしょう。この親の心理は、生みの親にも自分の存在を認めてほしいと思う子どもの心理とは真逆です。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 3

精子ドナーの心理は?さらに、精子ドナーの心理とはどういうものでしょうか? ここからその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)楽して儲かる―外発的動機づけポールは、レイザーから「(精子提供の報酬が)それだけ!?」と悲しそうに言われて、「(60ドルは)当時の僕には大金だったけどね。今なら90ドルくらいかな」と付け加えます。1つ目の心理は、精子提供は楽して儲かると思うことです。これは、純粋に報酬が高いという外発的動機づけです。とくに、経済力のない学生ならなおさらでしょう。日本でも、かつて特定の私大医学部で医学生を対象に1回1万円の報酬で行われてきました。しかし、匿名を条件にしていたため、その精子ドナーが記録されることはありませんでした。(2)人の役に立てる-利他性ポールは、精子提供の理由を「人の役に立ちたかったし」とレイザーに説明していました。2つ目の心理は、精子提供は人の役に立てると思うことです。これは、寄付(献金)、献血、骨髄提供、臓器提供、献体などと同じく、そうすることで社会に貢献したいという利他性です。そうしたいからそうするという内発的動機づけの1つでもあります。ポールは、マイペースではありますが、相手を喜ばせることが好きな一面もあるので、なおさらでしょう。自分の遺伝子を残せる―生殖心理ポールは、精子提供の理由を「献血よりおもしろいと思ったから」とレイザーに説明していました。この「おもしろい」と思うことも、好奇心として内発的動機づけの1つです。その根っこにある心理は何でしょうか?3つ目の心理は、精子提供は自分の遺伝子を残せると思うことです。これは、子孫を残したいという生殖心理です。ポールは、独身主義で結婚相手や子どもそのものを望んでいませんでしたが、精子提供は自分の遺伝子を残す代わりの行動として、生殖心理の視点から考えると理に適っていると言えるでしょう。なお、生殖心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。<< 前のページへ■関連記事コウノドリ(その2)【なんで子どもがほしいの? 逆になんでほしくないの?(生殖心理)】Part 1

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mRNAワクチン後の心筋炎、日本でも10~20代男性で多い傾向/厚労省

 ファイザー社および武田/モデルナ社ワクチン接種後、アナフィラキシーは若年女性で、心筋炎関連事象については若年男性で報告頻度が高いことが示された。9月10日開催の第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第17回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と合同開催)の報告より。同会では他に使用の見合わせ・自主回収の対応が行われている該当ロットの武田/モデルナ社ワクチン接種後死亡例についての現時点での評価結果、継続実施中のコホート調査の最新結果も報告された1)。接種後のアナフィラキシー、現在の発生状況 ファイザー社ワクチンについて、製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして報告された件数は8月22日までの集計で24件(100万回接種当たり)と、前回報告から変化はなかった(米国では7月22日までの集計で5.0件/100万回、英国では8月25日までの集計で12.1件/100万回)2)。 武田/モデルナ社ワクチンについては、同様に8月22日までの集計で12件(100万回接種当たり)と、前回より2件増加したがほぼ変化はなかった(米国では7月31日までの集計で4.9件/100万回、英国では8月25日までの集計で15.5件/100万回)。 今回公開された年齢・性別別の報告状況をみると、ファイザー社ワクチンは30代女性で30.2件/100万回、武田/モデルナ社ワクチンは20代女性で6.7件/100万回と最も高く、若年女性で多く報告されている。心筋炎は10~20代男性で頻度高い傾向、必要な注意喚起は? 心筋炎関連事象疑いとして報告されたのは、ファイザー社ワクチンが前回より3件増の62件、武田/モデルナ社ワクチンが前回より14件増の27件であった。100万回当たりの件数はファイザー社ワクチンが0.6件、武田/モデルナ社ワクチンが1.6件となっている2)。 年齢・性別別の報告状況をみると、ファイザー社ワクチンが20代男性で7.7件/100万回、武田/モデルナ社ワクチンが10代男性で17.1件/100万回と若年男性で最も高くなっている(ただし、現状10代の推定接種回数は他年代と比較して低い点に留意が必要)。なお、参考資料として提示されたCOVID-19感染者の心筋炎関連事象者数は、15~40歳未満男性で推計834件/100万回となっている。 国内の心筋炎関連事象疑いの報告事例においては、因果関係が疑われている若年男性に係る事例では、引き続きほとんどの事例で軽快または回復が確認されている3)。2回目接種後数日以内に発症する若年の男性での報告が多いこと、典型的な症状としてはワクチン接種後4日程度の間に、胸痛や息切れが出ることが想定されることから、こうした症状が現れた場合は医療機関を受診することを厚労省のWebサイト(Q&A)4)等で注意喚起を行っている。遅延性の皮膚反応はファイザー社ワクチンでも 武田/モデルナ社ワクチン後に報告されていた遅延性の皮膚反応が、ファイザー社ワクチンにおいても1回目接種後0.23%にみられ、40~50代女性に多くみられたことが報告された。継続的に実施されている「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)」から、伊藤 澄信氏(順天堂大学)が報告した5)。 ファイザー社ワクチン後に健康観察日誌が回収できた1万9,783人中46人(0.23%)で1回目の接種後に遅延性の皮膚反応が報告され、40代女性で0.52%、50代女性で0.45%と多い傾向がみられた。平均消失日は12.8±2.7日、10日時点の最大径は9cmであった。 なお、同武田/モデルナ社ワクチン接種者への調査では、1万29人中195人(1.94%)で報告されており、平均消失日は12.5±2.3日、10日時点の最大径は30cmであった。該当ロット接種後の死亡例、現時点での評価結果 使用の見合わせ・自主回収の対応が行われている武田/モデルナ社ワクチンの3つのロットのうち、異物混入は報告されていないものの、同時期に同じ設備で製造されたロットの1つ(3004734)において、3例の死亡例が報告されている。うち38歳男性について死因が判明し、致死性不整脈であったと報告された6)。 専門家による因果関係評価ではγ(情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの)とされ、「剖検の結果、急性死が示唆されること、死因に影響を及ぼす損傷を認めず中毒学的にも異常を認めないことから死因は致死性不整脈と考えると報告されており、ワクチンの影響は不明とされている。致死性不整脈は確認されたものではなく除外診断であり、ワクチンと死亡との因果関係については評価不能である。使用ロットに異物混入があったとした場合に異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能である」とされている。 他2例については剖検結果待ちおよび死因検索中で死因は判明していない。参考文献・参考サイトはこちら1)第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第17回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料2)資料1-7-1 副反応疑い報告の状況について3)資料1-7-2 副反応疑い報告の状況について(報告症例一覧)4)厚生労働省新型コロナワクチンQ&A「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか。」5)資料2(スライド1~26)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)健康観察日誌集計の中間報告(13)6)資料1-6-1 モデルナ筋注使用見合わせロットに係る副反応疑い報告(死亡)の状況

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小児のコロナ入院の多くが軽症例/国立成育医療研究センター・国立国際医療研究センター

 国立成育医療研究センター 感染症科の庄司 健介氏らのグループは、国立国際医療研究センターの研究チームと合同で、小児新型コロナウイルス感染症による入院例の疫学的・臨床的な特徴を分析した。 これは、国立国際医療研究センターが運営している国内最大のCOVID-19入院患者のレジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用したもので、本レジストリを使用した小児患者における分析は今回が初めてとなる。 分析の結果、分析対象期間に登録された小児のCOVID-19入院患者の多くは、無症状または軽症であり、酸素投与を必要とした患者は15例、症状のあった患者全体の2.1%だった。また、ほとんどが無症状、または軽症であるにもかかわらず、入院期間の中央値は8日で、2歳未満や13歳以上の患者、基礎疾患のある患者は、何らかの症状が出やすい傾向にあることがわかった。そのほか、38℃以上の熱が出た患者は、症状のあった患者(730例)のうち10.3%(75例)、13~17歳の患者(300例)の約20%に、味覚・嗅覚異常がみられたことが示唆された。 なお、本研究は、デルタ株がまだわが国に存在しない時期に実施されているため、小児に対するデルタ株の影響については評価外となっている。1,038例の小児患者の解析からわかったこと 本研究は、小児のCOVID-19で入院した患者にはどのような症状がみられ、どのくらい入院していたかを明らかにするとともに、「症状がない」患者と「症状がある」患者の、患者背景にどのような違いがあるかについて、小児患者におけるCOVID-19の疫学的・臨床的な特徴の解明を目的とした。【研究概要と結果】・研究対象2020年1月~2021年2月の間にCOVID-19 Registry Japanに登録された18歳未満のCOVID-19患者・研究方法登録患者の細かな症状、入院期間、患者背景などのデータを集計・分析・研究結果(1)期間中に3万6,460例の患者が登録され、そのうち研究対象となった18歳未満の患者は1,038例だった。(2)入院時にまったく症状がなかった患者は308例(29.7%)。これは、隔離目的や、保護者が入院してしまい、子どもの面倒を見る人がいないなどの社会的理由での入院例が多く存在することが示唆された。(3)何らかの症状があった患者(730例)のうち、酸素投与を必要とした患者は15例(2.1%)。また、死亡した患者は0例で、この期間の小児新型コロナウイルス感染症は極めて軽症であったといえる。(4)無症状者と比べると、症状のある患者では、「2歳未満」「13歳以上」「何らかの基礎疾患のある患者」の割合が高くなっていた(ただし、基礎疾患のある患者の割合については統計学的な有意差はなかった)。(5)38℃以上の発熱は、症状のある患者全体の10.3%にしか表れていなかった。一方で、特徴的な症状の1つである味覚・嗅覚異常は13歳以上の小児において20%以上に表れていた。(6)入院期間の中央値は8日で、無症状者、有症状者で変わらなかった。医療的ケアが必要ない無症状の患者に対しても、長期間の入院させていたことがわかった。 庄司氏は、「今回の研究によりわが国の小児新型コロナウイルス感染症の入院症例の実態が明らかになった。今後、小児の入院適応やワクチン接種の対象などを考えていく上で、本研究の結果がその基礎データとして利用されることが期待される。また、今後デルタ株が小児に与えている影響を検討する際の比較対象としても貴重なデータであると考える」と期待を寄せている。

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ポリオワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第9回

ポリオについて急性灰白髄炎(ポリオ)は、ポリオウイルスの感染によって引き起こされる感染症で、ヒトのみに生じる。ポリオウイルスには1型、2型、3型の3つの型があり、どの型でも同じ症状を起こす。軽症では、軽い感冒様症状や胃腸炎症状のみだが、麻痺型ポリオでは麻痺などの中枢神経症状を起こし、数日間の高熱の後に非対称性の四肢の弛緩性麻痺となるため、小児麻痺(しょうにまひ)とも言われる。わが国では1940年代頃から全国で流行し、麻痺の後遺症を残した患児が多かったが、1961年より経口生ポリオワクチンを使用するようになってから次第に減少し、1980年の1例を最後に国内での患者の発生はなく、2000年にポリオが排除状態にあることが宣言された。海外では、2020年8月、WHO(世界保健機関)がアフリカでの野生株ポリオの根絶を宣言し、流行国はアフガニスタンとパキスタンの2ヵ国を残すのみとなっている。ポリオウイルスの感染経路は経口(糞口)感染である。ポリオウイルスで汚染された水などが人の口に入り、腸の中で増殖して全身に感染が広がる。特に上下水道が整備されていない衛生状態が悪い環境では、下水に流入したウイルスが他の人の口に入り、感染が拡大する。現在、ポリオは野生株に加えて、ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV、後述)が課題となっている。そのため排除宣言後の今でも海外渡航時や感染者が本邦へ入国した際に、ポリオが国内に持ち込まれて感染する可能性は続いている。学校保健安全法では第1種感染症、感染症法では2類感染症に分類されている。主な症状ポリオの感染者の多く(90~95%)は症状がない不顕性感染で自然に治癒する。発症者が1人いれば、その周囲に100人の不顕性感染者がいると推定される。感染者の約5%前後では、発熱、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐、倦怠感、便秘などの症状を認め、感染者のうち1〜2%は上記の症状に引き続き無菌性髄膜炎を起こす。腸管から体内に入ったウイルスはウイルス血症を経て、血液脳関門か神経軸索を介して中枢神経組織に侵入する。ウイルスの感染から麻痺発症までは3日~1ヵ月間である。麻痺は0.1~2%に生じ、ひとたび麻痺が発症するとその進行を止めたり、麻痺を回復させるのは困難である。また、呼吸筋の麻痺などで死亡することもあり、致死率は小児で2~5%、成人で15~30%に達する。診断主な診断方法は、糞便からのウイルス分離である。麻痺が出現して早期に糞便や咽頭分泌液などを採取して検査する。血液検査でも診断可能だが、ワクチン接種によって免疫を持っている人が多いため補助的手段となる。治療法ポリオウイルスに対する薬はなく、症状に応じた対症療法のみである。予防法有効なワクチンがある。ワクチンポリオワクチンは、毒性を弱くしたウイルスを口から飲むタイプの経口生ワクチンと、ウイルスの成分の一部が含まれた注射の不活化ワクチンがある。わが国では1963年から経口ポリオワクチン(OPV)が乳児期に接種された。しかし、ポリオ生ワクチンの接種後にワクチン株によるポリオ様の麻痺(vaccine-associated paralytic poliomyelitis:VAPP)が生じることが報告されるようになった。そのため、2012年9月以降は生ワクチンでの定期接種は中止され、不活化ポリオワクチン(IPV)の定期接種が導入された。さらに2012年11月以降は四種混合(DPT-IPV)ワクチンが定期接種として乳児期に接種されるようになっている。接種のスケジュール(小児/成人)経口ポリオワクチンは2回接種だったが、不活化ワクチンは4回接種を行う。不活化ワクチンのスケジュールは、初回接種として生後3ヵ月で1回目、4ヵ月で2回目、5~11ヵ月で3回目の接種を行い、追加接種として生後12~23ヵ月で4回目の接種である。不活化ワクチンは効果が弱いためにより多くの接種回数を必要とする。いずれも接種回数が不足している場合はポリオに感染する可能性があるため、母子手帳で確認し、不足している場合は医療機関に相談してワクチン接種を終わらせることが肝要である。さらに、ポリオワクチンによる免疫効果は、ポリオ含有ワクチンの4回目の追加接種後、4年で抗体価が防御レベルを下回る可能性が示唆されており、厚生労働省で5回目の追加接種の導入とその実施時期などに関して検討が行われている。4~6歳の時期にポリオ含有ワクチンの追加接種を行うと十分に抗体価が上昇し維持することが知られており、世界の多くの国ではこの就学前の時期に2期としてポリオワクチンの追加接種が行われている。今後、わが国でも就学前などにポリオ含有ワクチンの追加接種が制度として整備されることを期待する。伝播型ワクチン由来ポリオウイルス経口生ワクチンに含まれるポリオウイルス(ワクチン株ウイルス)は、接種された人の腸管で増殖し、一部は便に排出され下水などに流入する。通常、このワクチン株ウイルス自体では病気を起こすことはない。しかし、このワクチン株ウイルスが下水などの環境の中で長期間循環し続けると、ごくまれに遺伝子変異を起こし、従来のポリオウイルス(野生株ウイルス)のように、ポリオと同様の麻痺性の病気を起こすようになる。これを「伝播型ワクチン由来ポリオウイルス(circulating vaccine-derived poliovirus:cVDPV)」と呼ぶ。野生株のみならずこの伝搬型ワクチン由来ポリオウイルスの感染例は世界の国々で確認されており、2020年には、23ヵ国で441例が報告されている。ウイルスが国内に持ち込まれて感染する可能性があるため、ワクチン接種を継続して免疫を維持しておく必要がある。今後の課題・展望不活化ポリオワクチンは、定期接種としての1回の追加接種のみでは抗体価が減衰し、2回目の追加接種を4~6歳で行うことで抗体価が大きく上昇することが確認されている。欧米の多くの国が4歳以降に就学前の追加接種を行っており、長期にわたりポリオ抗体価を維持するためには、5~7歳頃(就学前)の2回目の追加接種が必要である。日本では、任意接種として、不活化ポリオ単独ワクチン(IPV)を2回目の追加接種(計5回目)として接種できる。しかし、任意接種であるため知らない人も多く、接種率は高くない。青森県藤崎町などのいくつかの自治体は不活化ポリオワクチンの就学前追加接種に対して全額公費助成を行っている。また、日本プライマリ・ケア連合学会、日本小児科学会もワクチンスケジュールの中で就学前の2回目の追加接種を推奨している。世界のポリオは、紛争やテロ活動によりワクチン接種が妨げられると根絶が難しくなり、世界からの根絶まではまだ時間がかかると思われる。また、野生株は減っているものの、伝播型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)は多くの国で報告されている。そのため、ポリオ発生地に渡航する際には、成人も不活化ワクチンによる追加接種を受けることが望ましい。今後、わが国でも就学前のポリオ含有ワクチンの追加接種が制度として整備されること、そして、成人も世界のポリオの流行状況や日本への輸入のリスクを考慮して、不活化ポリオワクチンの追加接種の検討が必要である。参考となるサイト厚生労働省 ポリオとポリオワクチンの基礎知識日本プライマリ・ケア連合学会 こどもとおとなのワクチンサイト日本小児科学会 ワクチンスケジュール講師紹介

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思春期中等症~重症アトピー性皮膚炎、経口JAK阻害薬+外用薬は安全・有効

 中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の効果的な全身療法として期待される経口JAK阻害薬abrocitinib(本邦承認申請中)について、外用薬との併用による検討結果が示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らによる、12~17歳の思春期患者を対象とした第III相プラセボ対照無作為化試験「JADE TEEN試験」の結果、併用療法の忍容性は良好であり、プラセボ併用と比べて有意な有効性が認められたという。 思春期の中等症~重症AD治療には、生物学的製剤デュピルマブ皮下注投与が承認されているが、同患者にとってより好ましいベネフィット・リスクプロファイルを備えた効果的な経口の全身療法の検討はこれまでほとんど行われていないという。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年8月18日号掲載の報告。 青年期の中等症~重症ADに対する経口abrocitinib+外用薬の有効性と安全性を検討したJADE TEEN試験は、アジア太平洋地域、欧州、北米各国で行われた。被験者は、12~17歳、中等症~重症ADで連続4週間以上の外用薬塗布の効果が不十分または全身療法が必要な患者とした。 被験者は、外用薬との併用で経口abrocitinib 200mgを1日1回、同100mgを1日1回、プラセボをそれぞれ12週間投与する群に、1対1対1で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は2つで、12週時点で評価した医師による皮膚症状重症度の全般評価(IGA)スコアがベースラインから2段階以上改善し消失(0)またはほとんど消失(1)を達成(IGA 0/1)、およびEczema Area and Severity Indexの反応がベースラインから75%以上改善を達成(EASI-75)とした。主な副次評価項目は、12週時点で評価したピーク時痒み数値評価スケール(Peak Pruritus Numerical Rating Scale)の4点以上改善(PP-NRS4)などであった。有害事象はモニタリングされた。 主な結果は以下のとおり。・試験は2019年2月18日~2020年4月8日に行われ、データ解析は試験終了後に行われた。・被験者は285例(男子145例[50.9%]、女子140例[49.1%])で、160例(56.1%)が白人、94例(33.0%)がアジア人であった。年齢中央値は15歳(四分位範囲:13~17歳)だった。・12週時点で評価したIGA 0/1を達成した患者の割合は、経口abrocitinib併用群(200mg群46.2%、100mg群41.6%)が、プラセボ併用群(24.5%)を大きく上回った(いずれもp<0.05)。・同様に、EASI-75(72.0%、68.5% vs.41.5%、いずれもp<0.05)、PP-NRS4(55.4%、52.6% vs.29.8%、200mg併用群vs.プラセボ併用群のp<0.01)も経口abrocitinib併用群の達成・改善が大きかった。・有害事象の報告は、経口abrocitinib 200mg併用群59例(62.8%)、同100mg併用群54例(56.8%)、プラセボ併用群50例(52.1%)であった。経口abrocitinib併用群では悪心が最も多く、200mg併用群17例(18.1%)、100mg併用群7例(7.4%)であった。・ヘルペス関連の有害事象はまれで、重篤な有害事象は経口abrocitinib 200mg併用群1例(1.1%)、同100mg併用群なし、プラセボ併用群2例(2.1%)であった。

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まだ紙カルテだけど問題ない?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第25回

第25回 まだ紙カルテだけど問題ない?漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において、買い手の方と面談を行うとき、必ずと言っていいほど受ける質問が「この案件(診療所)って電子カルテ入っていますか?」というものです。そして、それに対する弊社の回答の大半は「いいえ、紙カルテです」です。実際、弊社でサポートした医業承継案件では、約8割の診療所が電子カルテを導入していません。このように「電子カルテを導入していない」ことは医業承継における大きな障壁にはなりません。厚生労働省の医療施設調査1)によると、電子カルテの普及率は一般診療所で41.6%(2017年[平成29年])という結果であり、つまりまだ約60%の診療所が導入していないのです。もちろん、この導入率は一律ではなく、ここ数年で開業した診療所の導入率は100%に近く、開業してから長い診療所(多くの場合は高齢医師が運営する診療所)では導入が進まず、これらを平均した数字が導入率約4割、というわけです。これまでのコラムでも、医業承継の本質は「患者の継承」にある、という点を解説してきました。電子カルテ非導入は買い手からすればネックの1つではありますが、多くの患者の承継が見込めるのであれば、譲受しない理由までにはならないのです。最後に1つ注意点をお伝えします。それは、医業承継後に売り手の院長が非常勤などで継続して勤務する場合です。買い手の院長は電子カルテ導入を希望することが多く、承継後に導入・運用を始めた場合は、売り手側の医師(多くの場合は高齢のベテラン)にも操作してもらうことになります。高齢医師はこれまで慣れた業務フローを変えることに大きなストレスを感じ、教える買い手側の医師も業務に支障が出る、といったケースがありました。医業承継の交渉時は、こうした細かい点も含めて検討し、お互い配慮しあう関係をつくっておくことが重要です。1)電子カルテシステム等の普及状況の推移/厚生労働省

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「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…【非専門医のための緩和ケアTips】第11回

第11回 「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…COVID-19のパンデミックで大変な思いをされている医療者の方が多いと思います。今回はパンデミック下における緩和ケアについての話題を紹介します。今日の質問かかりつけの患者さんから、「私はワクチンを打ってもいいですか?」と質問されることが多いです。話を聞くと「副反応などの話を聞くので怖い」と感じているようです。どのようにアドバイスするとよいのでしょう?これは、多くの方がすでに経験している状況ではないでしょうか。「新しいワクチンの効果と安全性をどのように考えるか」という視点だけでなく、マスコミの報道の在り方やリスクコミュニケーションなど、さまざまな論点が複雑に絡み合った難しい問題です。一挙に解決する魔法のような策はないのですが、ここでも、緩和ケアのスキルが役立ちます。まず、患者さんやご家族は「ワクチンを受けるかどうか」について、どういった媒体の情報を得て決めたのでしょうか。厚生労働省のような公的機関や新聞やテレビのニュースの情報が十分届いているかというと、少し疑問です。米国の調査1)では、調査対象となった患者と家族の約80%がワクチン接種に関する相談先に「医師や看護師などの医療専門職」と回答しました。これは米国疾病予防管理センター(CDC)の60%や家族や友人の58%よりもはるかに高い数字です。いかがでしょう。こうした結果を見ると、私たち医療者の責任は重大です。このCenter to Advance Palliative Careのサイトには、医療者がワクチン接種に不安を感じる患者と対話するときのポイントも紹介されています。1)Start with Open-Ended Questions開かれた質問から対話を始める2)Acknowledge Patient Concerns without Judging判断をせずに、患者の気掛かりを認める3)Avoid Criticizing the Patient’s Information Sources患者の情報源を批判しない4)Show Awareness of Your Status as a Messenger必要なワクチンを必要な人に提供するという、自分の立場を明確にする5)Link Vaccine Acceptance to the Patient’s Hopes and Goals患者の希望や目標と、ワクチン接種の受け入れを関連付ける私の意訳を含んでいるので、少しニュアンスが異なるかもしれません。興味を持った方は、原文を読んでみてください。ちなみに、この原文には次のような力強い言葉が書いてあります。「緩和ケア医は多くの場合、すでに患者から信頼されている」さまざまな診療を通じて構築してきた、医師と患者の関係を基盤として、ワクチンに対する不安について「対話」をすることが重要なのです。ともすれば、患者さんの情報源を批判する態度を取ったり、医療者としての意見を一方的に伝えたりしがちではないでしょうか。「患者さんの真意を聞き、不安な気持ちを受け止める」という緩和ケアのアプローチは、ワクチン接種にも活用できるのです。今回のTips今回のTips緩和ケアにおける意思決定の支援法は、ワクチン接種にも活かせる!1)Center to Advance Palliative Care(capc). How to Address Vaccine Hesitancy for Patients Living with Serious Illness(2021年3月11日)

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米国の10代で糖尿病の有病率が増加/JAMA

 米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)のJean M. Lawrence氏らSEARCH for Diabetes in Youth Studyの研究グループは、2001~17年に、米国の20歳未満における糖尿病の推定有病率がどう推移したかを調査した。その結果、この16年間に19歳以下では1型糖尿病の有病率が1,000人当たり1.48から2.15へ、10~19歳では2型糖尿病の有病率が1,000人当たり0.34から0.67へと、それぞれ統計学的に有意に増加したことが明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2021年8月24・31日号で報告された。6地域の2001、2009、2017年のデータを解析 本研究は、米国の青少年における、2001~17年の糖尿病有病率の推移の調査を目的とする横断的観察研究である(米国・Kaiser Permanente Southern California’s Marilyn Owsley Clinical Research Centerなどによる助成を受けた)。 解析には、米国の6地域(コロラド、オハイオ、サウスカロライナ、ワシントンの4州と、カリフォルニア州のカイザーパーマネンテ南カリフォルニア会員、アリゾナ州とニューメキシコ州のアメリカインディアン居留地)において、医師によって糖尿病と診断された20歳未満の人口の2001、2009、2017年のデータが用いられた。 2001、2009、2017年の1,000人当たりの1型および2型糖尿病の有病率を推定し、95%信頼区間(CI)を算出した。人種/民族別、年齢別、性別の解析も行った。増加率:1型45.1%、2型95.3%、1,000人当たりで0.67、0.32 19歳以下では、1型糖尿病が、2001年に335万人中4,958人、2009年に346万人中6,672人、2017年には361万人中7,759人で認められた。また、10~19歳では、2型糖尿病が、2001年に173万人中588人、2009年に185万人中814人、2017年には185万人中1,230人でみられた。 19歳以下における1,000人当たりの1型糖尿病の推定有病率は、2001年の1.48(95%CI:1.44~1.52)から、2009年には1.93(1.88~1.98)へ、2017年には2.15(2.10~2.20)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.67/1,000人(0.64~0.70)、相対値で45.1%(40.0~50.4)の増加が確認された。 また、この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系白人(0.93/1,000人、95%CI:0.88~0.98)と非ヒスパニック系黒人(0.89/1,000人、0.88~0.98)が他の人種/民族よりも高く、男性(0.71、0.66~0.75)は女性(0.63、0.58~0.67)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 一方、10~19歳における1,000人当たりの2型糖尿病の推定有病率は、2001年の0.34(95%CI:0.31~0.37)から、2009年には0.46(0.43~0.49)へ、2017年には0.67(0.63~0.70)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.32/1,000人(0.30~0.35)、相対値で95.3%(77.0~115.4)の増加が認められた。 この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系黒人(0.85/1,000人、95%CI:0.74~0.97)とヒスパニック系(0.57/1,000人、0.51~0.64)が他の人種/民族よりも高く、女性(0.40、0.36~0.44)は男性(0.25、0.22~0.28)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 著者は、「有病率の増加率は、2型糖尿病が1型よりも大きかったが、有病率の絶対値の増加は1型糖尿病のほうが大きく、青少年では依然として2型よりも多くみられた。また、2型糖尿病は、人種/民族的に少数派の青少年に多くみられ、有病率の絶対値の増加は黒人とヒスパニック系で大きかった」とまとめている。

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妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。 今回の改訂では、主に以下の5点が追記・修正された。【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】 最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】 追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。【同「自宅療養者に対して行う診療プロトコール」「経口ステロイド薬投与における留意点」などについて追記】 自宅療養・宿泊療養を行っている患者で酸素投与の適応となる場合の経口ステロイド薬投与における留意点」として、ステロイド投与を行う際の病状評価および治療適応の判断では、原則として自宅に赴いた往診医や宿泊施設内における担当医師などによる対面診療のもと、処方することを推奨(処方例:デキサメタゾン 6mg 分1 10日間または症状軽快まで)している。また、緊急時対応のために事前処方や内服の目安(例:咳嗽などの呼吸器症状があり、SpO2 93%以下)などが記されている。その際、電話、オンラインなどで医師が指示したり、フォローアップすることが望ましいと詳しい項目が記載されている。【5 薬物療法の各種薬剤の項目(レムデシビル、バリシチニブなど)に一部追記】 レムデシビルの保険適用(2021年8月4日)や「腎機能障害のある患者への投与」が追加され、重度の腎機能障害がある患者には投与は推奨されないが、治療の有益性が上回ると判断される場合のみに投与とされた。また、「バリシチニブ」について、入院患者1,525人を対象とした二重盲検試験(COV-BARRIER)の結果、主要評価項目の人工呼吸管理/死亡に至った割合に差は認められなかったが、治療開始28日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かった試験結果が追加された。【6の院内感染対策の「表6-1」「1.個人防護具」「5.患者寝具類の洗濯」「8.職員の健康管理」などについて一部追記】 「表6-1 感染防止策」の確定例の感染防止策を実施する期間が大きく改訂され、発症者と人工呼吸器など要した患者に場合分けされ記載された。 「1.個人防護具」では、エアロゾルが発生しやすい状況として、歯科口腔処置、非侵襲的換気、ネーザルハイフロー、生理食塩水を用いた喀痰誘発、下気道検体採取、吸引を伴う上部消化管内視鏡などが追加された。 「5.患者寝具類の洗濯」では、患者が使用したリネン類の洗濯について、具体的かつ詳細な洗濯法が追加された。 「8.職員の健康管理」では、参考として「医療従事者が濃厚接触者となった場合の外出自粛の考え方」が新たに追加された。 なお、本手引きは5月以降、毎月追加改訂がなされているので、下記のリンクなどより確認をいただきたい。

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小児マラリア、ワクチン+化学予防で入院・死亡を大幅抑制/NEJM

 合併症のない臨床的に軽症の小児マラリアの予防治療において、季節性のRTS,S/AS01Eワクチン接種は化学予防に対し非劣性であり、RTS,S/AS01Eワクチンと化学予防の併用はワクチン単独および化学予防単独と比較して、軽症マラリア、重症マラリアによる入院、マラリアによる死亡を大幅に抑制することが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のDaniel Chandramohan氏らが西アフリカで行った臨床試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月25日号で報告された。ブルキナファソとマリの無作為化対照比較試験 研究グループは、西アフリカのブルキナファソとマリの小児を対象に、RTS,S/AS01Eを用いた季節性ワクチン接種の季節性化学予防に対する非劣性と、RTS,S/AS01Eワクチンと化学予防の併用は、このうち一方による単独療法と比較して優越性を有するかを検証する目的で、二重盲検無作為化対照比較試験を実施した(英国・Joint Global Health Trialsと米国・PATH Malaria Vaccine Initiativeの助成を受けた)。 2017年4月1日の時点で、生後5~17ヵ月の小児がいる試験地域内の全世帯が対象となった。6,861例の小児が登録され、このうち2,287例がsulfadoxine/pyrimethamine+amodiaquine(年4回投与)とRTS,S/AS01Eワクチンのプラセボの接種を受ける群(化学予防単独群)、2,288例がRTS,S/AS01Eワクチン接種と化学予防薬のプラセボの投与を受ける群(ワクチン単独群)、2,286例が化学予防+RTS,S/AS01Eワクチン接種を受ける群(併用群)に無作為に割り付けられた。RTS,S/AS01Eワクチンは、5回(2017年4月、5月、6月、2018年6月、2019年6月)接種された。 5,920例(化学予防単独群1,965例、ワクチン単独群1,988例、併用群1,967例)が、割り付けられた介入の初回投与を受け、3年間のフォローアップが行われた。2020年3月31日の時点で、それぞれ1,716例(87.3%)、1,734例(87.2%)、1,740例(88.5%)がフォローアップを終了した。接種後の熱性痙攣は回復、髄膜炎の発現はなかった 合併症のない臨床的マラリア(体温37.5℃以上または直近48時間以内の発熱の既往、かつ熱帯熱マラリア原虫[Plasmodium falciparum]による原虫血症[≧5,000/mm3])は、1,000人年当たり化学予防単独群で305イベント、ワクチン単独群で278イベント、併用群で113イベント認められた。 ワクチン単独群の、化学予防単独群との比較における予防効果のハザード比は0.92(95%信頼区間[CI]:0.84~1.01)であり、事前に規定された非劣性マージン(1.20)を満たしたため、3年間を通じたワクチン接種の化学予防に対する非劣性が確認された。 一方、併用群では、化学予防単独群との比較における臨床的なマラリアの予防効果は62.8%(95%CI:58.4~66.8)であり、世界保健機関(WHO)の定義による重症マラリアに伴う入院の予防効果は70.5%(41.9~85.0)、マラリアによる死亡の予防効果は72.9%(2.9~92.4)であった。 また、併用群では、ワクチン単独群との比較における臨床的なマラリアの予防効果は59.6%(95%CI:54.7~64.0)、WHO定義の重症マラリアによる入院の予防効果は70.6%(42.3~85.0)、マラリアによる死亡の予防効果は75.3%(12.5~93.0)だった。 ワクチン接種後に熱性痙攣が5例(ワクチン単独群3例、併用群2例、初回接種[プライミング]後3例、追加接種[ブースター]後2例)で発現したが、いずれも回復し、後遺症は認められなかった。8例(化学予防単独群4例、ワクチン単独群3例、併用群1例)で臨床的に髄膜炎が疑われたが、いずれも確定されなかった。また、RTS,S/AS01Eワクチン接種者で、入院や死亡が男児よりも女児で多いとの証拠は得られなかった。 著者は、「アフリカの季節性マラリアがみられる広範な地域では、マラリアのコントロールが現在も不十分であるため、季節性の化学予防と季節性のRTS,S/AS01Eワクチン接種の併用は有望な予防法となる。サヘル地域やサブサヘル地域のマラリアの負担が大きい地方では、今後、これらの併用の最適な方法を検討する必要があるだろう」としている。

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嚢胞性線維症、3剤併用療法で肺機能が改善/NEJM

 Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者の治療において、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorによる3剤併用療法は、肺機能の改善に有効で安全性も良好であり、既存の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)調節薬(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)よりも大きな利益をもたらすことが、英国・マンチェスター大学のPeter J. Barry氏らが行った「VX18-445-104試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年8月26日号に掲載された。北米、欧州、オーストラリアの無作為化実薬対照第III相試験 本研究は、北米、欧州、オーストラリアの96施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2019年8月~2020年6月の期間に実施された(米国・Vertex Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上で、Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者であった。 被験者は、4週間の導入期間にivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftorの投与を受けたのち、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorを8週間投与する群または実薬対照(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftor群における、予測1秒量に対する比率(%FEV1)のベースライン(導入期間終了時)から8週までの絶対変化量であった。汗中塩化物イオン濃度とQOLの改善効果も良好 258例(Phe508del-ゲーティング遺伝子型95例、Phe508del-機能残存遺伝子型163例)が登録され、導入期間終了後に、3剤併用群に132例(平均年齢[±SD]37.7±14.7歳、女性50.8%)、実薬対照群に126例(37.6±14.3歳、48.4%)が割り付けられた。ベースラインの%FEV1の平均値は、3剤併用群が67.1±15.7%、実薬対照群は68.1±16.4%だった。 %FEV1は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で3.7ポイント(95%信頼区間[CI]:2.8~4.6、p<0.001)増加したのに対し、実薬対照群は0.2ポイント(-0.7~1.1)の増加であった。両群間の差は3.5ポイント(2.2~4.7)と3剤併用群で良好で、有意な差が認められた(p<0.001)。 また、汗中塩化物イオン濃度は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で22.3mmol/L(95%CI:20.2~24.5、p<0.001)低下したのに対し、実薬対照群では0.7mmo/L(-1.4~2.8)増加しており、両群間の差は23.1mmol/L(20.1~26.1)と3剤併用群で有意に良好だった(p<0.001)。 一方、嚢胞性線維症質問票改訂版(CFQ-R)の呼吸器領域のスコア(0~100点、点数が高いほどQOLが良好、臨床的に意義のある最小変化量4点)は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で10.3点(95%CI:8.0~12.7)上昇したのに対し、実薬対照群では1.6点(-0.8~4.1)の上昇で、両群間の差は8.7点(5.3~12.1)であった。 1件以上の有害事象が発現した患者の割合は両群でほぼ同様であり(3剤併用群66.7%、実薬対照群65.9%)、ほとんどが軽度~中等度で試験期間中に消退した。両群とも頭痛の頻度が最も高かった(8.3%、15.1%)。重篤な有害事象は、3剤併用群5例(3.8%)、実薬対照群11例(8.7%)で発現した。投与中止の原因となった有害事象は、3剤併用群で1例(0.8%、アミノトランスフェラーゼ値上昇)、実薬対照群で2例(1.6%、不安または抑うつ、呼吸器症状の増悪)に認められた。 著者は、「これらの結果は、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorの投与によるCFTR機能の改善を反映しており、少なくとも1つのPhe508del対立遺伝子を有する嚢胞性線維症患者におけるこの3剤併用療法の有効性と安全性を確定するものである」としている。

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第73回  HPVワクチン普及と勧奨早期再開は地方医師会の腕の見せ所?

一歩前進なのか、それともまだ停滞なのか? 定期接種のワクチンに組み入れられながら、2013年6月以降、実に8年以上も「積極的な接種勧奨の差し控え」が続いているヒトパピロ―マウイルス(HPV)ワクチン。8月31日の閣議後の記者会見で田村 憲久厚労相は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で積極的な接種勧奨の再開に向けて議論をする準備を進めていくとの方針を明らかにした。すでにこのワクチンの存在意義を揺るがす、とりわけ安全性面に関する新たなエビデンスが登場するとは考えにくい。その意味で個人的には積極的接種勧奨の再開はもう政治決断でも良いのではないかと思うが、中止の際は専門家の意見を聴取したうえでの判断だったことを考えれば、再度分科会に諮るというのは役所の手続き上外せないのだろう。これを受けた各紙の報道は以下のようなものだ。読売新聞だけは会見の日の早朝に関係各所からの取材で裏を取ったとみられる記事を出した翌日、田村厚労相が再開を表明した旨のごく一行程度の短信を発信している。「子宮頸がんワクチン接種 『積極勧奨』の再開、議論」(朝日新聞)「子宮頸がんワクチン『積極勧奨』検討 田村厚労相」(産経新聞)「子宮頸がんワクチンの積極勧奨検討 厚労相が正式表明」(日本経済新聞)「子宮頸がんワクチン、積極的な接種呼びかけ再開に議論準備」(毎日新聞)「子宮頸がんワクチンの『接種勧奨』再開を検討へ…近く厚労相表明」(読売新聞)各記事を読めばわかる通り、どこも淡々と記事化している。もし「副反応が…」と言いたければ、メディアの習性として必ずこの後に論評的な記事が掲載されるのだが、そういったものは今のところ1本もない。少なくとも上記の大手紙は積極的な接種勧奨の再開に向けてほぼ足並みが揃ったと言っていい。一方で私個人はここ最近の各地方ブロック紙、地方紙の報じ方も気になった。首都圏や関西圏を除けば、まだまだ地方紙の影響力は小さくないからだ。そこでこの再開報道が出る直前の1年間(2020年8月28日~2021年8月29日)に地方紙がどう報じてきたか、新聞記事データベースで「子宮頸がん AND ワクチン」のキーワードで検索してみた。対象となったのは地方紙44紙。検索の結果、出てきた記事は136件だった。もっとも地方紙の場合、自社のマンパワーでカバーできない記事は、共同通信や時事通信といった通信社の記事をそのまま掲載することも少なくない。そこでそうした配信記事をまずはカウントしてみた。まず通信社記事として最も多く掲載されていたのは、昨年10月に大阪大学の研究グループがHPVワクチンの接種勧奨差し控えによる子宮頸がん罹患者や死亡者の推計を発表したことに関する記事が16件。このほかは、世界保健機関(WHO)が昨年11月に子宮頸がんの撲滅に向け、HPVワクチン接種率を2030年までに15歳以下の女子の90%にまで高めることを盛り込んだ新たな目標を発表したとの記事が13件、昨年10月に厚労省が都道府県に対し、HPVワクチンの定期接種対象者に情報伝達するように通知したことを受けて接種者が増加しているとの現状を報じた記事が12件、9価のHPVワクチン発売の記事が10件、接種勧奨の中止によりHPVワクチンの定期接種の機会を逃した人を救済する独自のキャッチアップ制度を青森県平川市がスタートさせたという記事が5件など。このほかにも、採用した新聞社が5社未満の通信社記事もいくつかあり、136件の記事のうち約半数強は通信社による記事だった。各地方紙が独自に配信した残る約半数の記事をざっと眺めまわすと、主要な記事としてはおおむね2つのカテゴリーがあることが分かった。まず一つは前述の昨年10月の厚労省の通達を受けて、各都道府県の市区町村による接種対象者向けの情報発信の現状とそれに伴う接種者の増加を報じたもの、もう一つは各地の医師会や医師個人がHPVワクチン接種率向上に向けて行っている取組みや呼びかけを紹介したものだ。前者はある種、国の動きに応じた一時的なニュースともいえるが、後者は情報を発信する医師会や医師個人、それを報じる記者個人の努力に依存した結果とも言える。後者のような記事は、検索対象とした44紙で平均すると1年間に2~3紙当たり1記事程度に過ぎないが、接種勧奨中止の影響で国や地方自治体からの情報発信が限られる中、一般向けの情報としては発信当事者が思っている以上に実は受け手にとって重要な情報源となっている可能性は少なくない。国はこれまでHPVワクチンの積極的な接種勧奨再開に当たって「国民の理解を得ることが重要」との主張を繰り返してきたが、その「国民の理解」をどのような指標で測るのかは明確にしてこなかった。もっとも単純な政党支持率などと違って、医療のような医療従事者と医療受益者との情報の非対称性が著しい領域では、個別政策に対する国民の支持を定量的指標で測るというのは非常に困難ではある。その意味でもし「国民の理解」を間接的に定量化できる指標があるとするならば、それは「現情勢下でのHPVワクチンの接種率向上」ぐらいだろう。昨年10月の通達に基づく地方自治体からの接種対象者への情報発信は、前述のように記事化されるほど接種率向上に役に立ったと言える。ただ、その際に使われたリーフレットには、HPVワクチンに関する情報を詳細に紹介しながらも「現時点で国は積極的な接種勧奨をしていない」とのただし書きが付くなんとも分かりにくい物になっている。その意味では接種勧奨再開に動きそうな今だからこそ、その動きを確実化あるいは加速化させるために、首都圏のような大都市部よりも互いに顔が見えやすい地方の医師会や医師個人、地方メディア同士による連携したHPVワクチンに関する情報発信が重要な局面になっていると改めて思っている。

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新型コロナとインフルのワクチン接種間隔、現時点の考え方/日医

 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量とそれに伴う予約の設定についての留意点、新型コロナウイルスワクチン接種との接種間隔の考え方について、日本医師会の釜萢 敏常任理事は9月1日の定例会見で情報提供を行った。昨シーズンと比較すると供給量減る見込み、予約の組み立てに注意を 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量は、8月時点で約2,567万本から約2,792万本(1mLを1本に換算)の見込みであり、昨シーズンより減る見通しとなっている。同日開催された厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会)において示された1)。とくに接種開始の10月供給量が少なく、供給時期が12月2週目まで続くことから、例年と比較して後ろにずれる見込みという。 昨年は供給量3,342万本に対し使用量は3,274万本と製造効率等がとくに良好だったために供給量が多く、使用量も平成8年以降最大となっていた。しかし一昨年は供給量2,964万本に対し使用量は2,825万本となっており、昨年と比較すると少ないが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込みという2)。 釜萢氏は、「11~12月には増えていく見込みとなっているが、接種開始の10月の供給量が少ない。“早く打ちたい”という方への情報提供が重要になる。各医療機関が自分のところに供給されるワクチンの見通しを把握したうえで、希望される方への予約を設定していく必要がある」と説明。とくに小児(13歳未満)の場合は2回接種が推奨されるため、それを踏まえた予約の組み立てをお願いしたいと呼びかけた。新型コロナワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔が必要 また、現在接種が進む新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔についても留意が必要になる。9月1日時点で、わが国では新型コロナウイルスワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることとされている3)。同氏は、「たとえばファイザー社のワクチンは1回目と2回目の間隔が3週間となっており、この間にインフルエンザワクチン接種をスケジュールすることは難しい」とした。 一方、米国疾病予防管理センター(CDC)では、以前は他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることが推奨されていたが、現在では変更され、新型コロナウイルスワクチンを他のワクチンの接種タイミングと関係なく接種することが可能とされている4)。釜萢氏は日本でも今後変更される可能性はあるが、現時点では前後2週間の接種間隔が必要なことに留意が必要とした。

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