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日本人トリプルネガティブ乳がんのMSI-H頻度は?

 日本人のトリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度は高くはないものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のターゲットとなる患者が存在することが示唆された。九州大学の倉田 加奈子氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年1月6日号掲載の報告より。 本邦では、MSI-HまたはdMMRを有する進行固形がんに対しペムブロリズマブが承認されている。また、ゲノム不安定性を有する腫瘍はPD-1 / PD-L1阻害に良好な反応を示し、難治性乳がんの有望なターゲットとなりうることが示唆されている。しかし、日本人のトリプルネガティブ乳がんにおけるMSI-H頻度は明らかになっていない。トリプルネガティブ乳がんでMSI-Hの場合、Ki-67高値など予後不良とされる特徴 本研究では、2004年1月から2014年12月の間に、国内3施設で術前化学療法なしで切除を実施した女性トリプルネガティブ乳がん患者228例を対象に、MSI-H頻度を後ろ向きに評価した。MSI解析には、5種類のマイクロサテライトマーカー(BAT-26、NR-21、BAT-25、MONO-27、NR-24)によるMSI Analysis System Version 1.2(Promega)を使用している。 トリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度を評価した主な結果は以下のとおり。・トリプルネガティブ乳がんの228検体のうち、222検体(97.4%)がマイクロサテライト安定性、4検体(1.7%)がMSI-L(いずれか1種類のマーカーで不安定性を示す)、2検体(0.9%)がMSI-H (2種類以上のマーカーで不安定性を示す)であった。・MSI-Hの2検体では、ともにBAT-26、NR21およびBAT-25の3つのマーカーで不安定性を示した。これらの腫瘍はそれぞれT1N0およびT2N0であり、NG3およびKi-67高値(>30%)といった予後不良とされる特徴を有し、基底細胞様、non-BRCAnessに分類された。1検体でのみPD-L1発現が確認され、2検体でTIL低値およびCD8陰性であった。・MSI-Lの4検体では、不安定性を示したマーカーはそれぞれ異なり、4検体が基底細胞様、2検体のみnon-BRCAnessに分類された。また、1検体のみPD-L1発現がありTIL高値、そのほか3検体はTIL低値であった。 著者らは、日本人のトリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度はまれではあるものの、ICIの潜在的なターゲットとなる患者は存在し、包括的なゲノムプロファイリングのプラットフォームを使用してピックアップしていく必要があると結論付けている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、非小細胞肺がんに対する国内承認申請/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2019年12月25日、PD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とCTLA-4モノクローナル抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の承認申請は、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブ社が、化学療法未治療のStageⅣまたは再発の非小細胞肺がん患者を対象に実施した国際共同非盲検無作為化第III相臨床試験(CheckMate-227試験)の Part1の結果などに基づいている。本結果において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、化学療法と比較して、主要評価項目の1つであるPD-L1発現レベルが1%以上の患者における全生存期間の有意な延長を達成している。

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肺がん2019 Wrap Up【肺がんインタビュー】 第31回

第31回 肺がん2019 Wrap Up出演:兵庫県立がんセンター 副院長(医療連携・医療情報担当) 兼 ゲノム医療・臨床試験センター長 呼吸器内科部長 里内 美弥子氏2019年肺がんの重要トピックを兵庫県立がんセンターの里内 美弥子氏が、一挙に解説。これだけ見ておけば、今年の肺がん研究の要点がわかる。

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字体にまでこだわった患者ガイドブック発刊~日本肺癌学会【肺がんインタビュー】 第34回

第34回 字体にまでこだわった患者ガイドブック発刊~日本肺癌学会出演:岐阜市民病院 診療局長(がんセンター) 日本肺癌学会患者向けガイドライン小委員会委員長 澤 祥幸氏日本肺癌学会が患者向けガイドブックを発刊した。肺がんの専門家が蓄積された学術的見解を基に患者目線で作成したその内容とは?作成委員長の澤祥幸氏に聞いた。参考患者さんのための肺がんガイドブック 2019年版 悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍

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問診表に追加し看護師が活用『irAE逆引きマニュアル』/日本肺癌学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の使用機会は増加し、今後がん治療の中心になっていくと思われる。それに伴い、ICIによる有害事象(irAE)の発現機会も増える。患者は症状を訴え受診するが、irAEの症状は多彩であり、正確な診断にたどり着きにくい。市立長浜病院 呼吸器内科 野口 哲男氏は、昨年の夜間時間外での活用に続き、今年は『irAE逆引きマニュアル』の外来化学療法室看護師での活用について紹介した。 『irAE逆引きマニュアル』は、発熱、吐き気、意識レベル低下、だるさ(倦怠感)、呼吸困難、腹痛、頭痛、手足の脱力という頻度の高いirAEの主訴8項目から、疑われる病名にたどりつくことができるよう作成された資材。irAE対策は連携体制の構築、実用的なマニュアル、患者教育の徹底の3本柱であり、その中で、看護師の役割は非常に重要だと野口氏は述べる。 同院では、外来化学療法室の問診表に上記8項目を組み込んだ。問診時に該当症状があれば、看護師がマニュアルを使ってさらに掘り下げていく。モニタリングの内容を電子カルテに入力し医師に伝えることで、有害事象の早期発見につながる。実際に看護師にアンケートを行ったところ、使いやすさ、有用性、医師への報告、問診の時間短縮などで高評価を得たという。

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ESMO2019レポート 肺がん

レポーター紹介ESMO(European Society for Medical Oncology)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月27日~10月1日の期間に行われた。今年は9月初めに世界肺がん学会がESMOとまったく同じ会場であるスペインのバルセロナで行われていたが、昨年のESMOと比べると、肺がんの分野においても注目演題が複数個存在した。とくに、Presidential Symposiumにおいて、肺がんからFLAURAとCheckMate-227の2演題が報告されており、各試験への関心の高さがうかがわれた。また、約30,000人が参加し、多くの演題が報告された。肺がん領域ではこの2つの演題を中心に、いくつか紹介する。分子標的治療のトピックFLAURA試験学会開催前から、全生存期間(OS)において統計学的有意差が出ていることが報告されており、どのような生存曲線が描かれ、その差がどれくらいなのか、全生存中央期間がどれくらいなのかと、注目されていたFLAURA試験のOSが報告された。FLAURA試験は、30ヵ国556例を対象に行われた。EGFRのcommon変異(Del19/L858R)を有する進行NSCLCを、オシメルチニブ群(279例)と標準療法群:ゲフィチニブもしくはエルロチニブ(277例)に1対1の割合で割り付けて行われた。脳転移がある患者も神経学的に安定している患者は参加可能とされ、標準療法群で増悪となり中央判定でT790Mが同定された場合にはオシメルチニブへのクロスオーバーが可能であった。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、有意差をもって、オシメルチニブ群が標準治療群より延長することが示されていた。今回のOSの結果は、OS中央値はオシメルチニブ群が38.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:34.5~41.8)、標準療法群が31.8ヵ月(95%CI:26.6~36.0)で、ハザード比(HR)は0.799(95%CI:0.641~0.997)、p=0.0462であり、有意にオシメルチニブ群でOSが延長していた。また、OSのサブグループ解析では、アジア人のHRと遺伝子変異がL858RのグループのHRがそれぞれ0.995および0.996と、ほぼ1に近い数字であった。とくに、アジア人におけるOSのカプランマイヤー曲線は38ヵ月頃で交差しており議論の余地を残す結果になっている。一方、非アジア人は9ヵ月頃から曲線の差が開き始め、その後、差は広くなっており、アジアと非アジアではやや異なる結果となった。PD後の後治療をみると、各群ともに約30%が次治療を受けておらず、日本の実臨床に合わない印象があった。さらに、標準療法群の85例(次治療に移行した群の47%)がオシメルチニブにクロスオーバーされていた。今後は、日本人のOSサブグループ解析がどのような結果になっているのかが注目されるところである。S.S. Ramalingam, et al. LBA5免疫療法のトピックCheckMate-227試験CheckMate-227 Part 1試験は、非扁平上皮がん、扁平上皮がんの組織型を含む未治療の進行NSCLC患者を対象にした非盲検フェーズ3試験。Part 1a、Part 1bから構成されている。Part 1aは、PD-L1陽性患者(1%以上)1,189例を、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群、ニボルマブ単剤療法群、化学療法群に1対1対1の割合で割り付け、Part 1bは、PD-L1陰性患者550例を、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群、ニボルマブと化学療法併用群、化学療法群に1対1対1の割合で割り付けて評価した。この試験も、学会前より、OSにおいてPart 1aで有意差を認め、Part 1bでは有意差を認めないことが報告されており、その詳細な結果が注目されていた。Part 1には2つの主要評価項目が設定されていた。1つはPart 1aに組み入れられた患者で評価するPD-L1発現陽性患者におけるOSの評価。もう1つは、Part 1aと1bに組み入れられた患者で評価した腫瘍遺伝子変異量(TMB)10mut/Mb以上の患者における盲検下独立中央判定によるPFSの評価。TMB10mut/Mb以上の患者において、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群が化学療法群よりも有意にPFSを延長することはすでに報告されている。今回のOSの評価では、PD-L1陽性患者(Part 1a)におけるニボルマブとイピリムマブ併用療法群(396例)のOS中央値は17.1ヵ月、化学療法群(397例)は14.9ヵ月、HR:0.79(97.72%CI:0.65~0.96)、p=0.007で有意にニボルマブとイピリムマブ併用療法群で延長していた。なお、ニボルマブ単剤療法群(396例)のOS中央値は15.7ヵ月であった。1年OS率はニボルマブとイピリムマブ併用療法群が63%、化学療法群が56%、ニボルマブ単剤療法群が57%、2年OS率はニボルマブとイピリムマブ併用療法群が40%、化学療法群が33%、ニボルマブ単剤療法群が36%となっており、併用群は化学療法やニボルマブ単剤療法群よりtail効果が高い所に出ている可能性があり、今後の長期予後調査が楽しみな結果であった。また、PD-L1発現が50%以上の患者に限定すると、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群(205例)のOS中央値は21.2ヵ月、化学療法群(192例)は14.0ヵ月で、HRは0.70(95%CI:0.55~0.90)となった。ニボルマブ単剤療法群(214例)のOS中央値は18.1ヵ月、化学療法群に対するHRは0.79(95%CI:0.63~1.01)で、免疫チェックポイント阻害薬が含まれる群の効果が高まった。奏効率、PFS、DORも同様だった。一方、PD-L1陰性患者(Part 1b)におけるニボルマブとイピリムマブ併用療法群(187例)のOS中央値は17.2ヵ月、化学療法群(186例)は12.2ヵ月で、HRは0.62(95%CI:0.48~0.78)と探索的研究ではあるが、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群で有意に延長していた。PD-L1の発現にかかわらず、全患者におけるOS中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群(583例)は17.1ヵ月、化学療法群(583例)は13.9ヵ月、HRは0.73(95%CI:0.64~0.84)であり、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群で有意にOSが延長していた。また、OSのサブグループ解析において、TMBの高低にかかわらず、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群は化学療法群と比べOSの延長が示唆されており、以前に発表されたPFSとは異なる結果となり、今後の展開が期待される。S. Peters, eta la. LBA4IMpower110試験IMpower110試験は、PD-L1発現がTCまたはICで1%以上の未治療非小細胞肺がん(NSCLC)患者で、アテゾリズマブ単剤療法とプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を比較する、フェーズ3、非盲検ランダム化比較試験である。主要評価項目は、EGFRおよび/またはALKの遺伝子変異陽性を有する患者を除外した患者群におけるOSである。OSの検証は、PD-L1のサブグループにより、TC3またはIC3、TC2/3またはIC2/3、TC1/2/3またはIC1/2/3の順に段階的に行われ、これら3つの患者群すべてでOSがポジティブな結果となった場合、PFSの正式な検証を行うこととされた。本研究では、TC3またはIC3群では、アテゾリズマブ群20.2ヵ月(95%CI:16.5~NE)、化学療法群13.1ヵ月(95%CI:7.4~16.5)、HR:0.59(95%CI:0.40~0.89、p=0.0106)となり、PD-L1高発現(TC3またはIC3-野生型)の患者に対する1次治療として、アテゾリズマブ単剤療法は、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法と比べてOSを有意に延長することが示された。TC2/3またはIC2/3の患者では、アテゾリズマブ群18.2ヵ月(95%CI:13.3~NE)、化学療法群14.9ヵ月(95%CI:10.8~16.6)、HR:0.72(95%CI:0.52~0.99、p=0.0416)となった。ただし、この解析では事前に定めた境界を超えなかったため、TC1/2/3またはIC1/2/3-野生型の患者におけるOSの解析は正式な検証とならなかった。結果的には、まだ検証は続くものの、ペムブロリズマブのPD-L1高発現(50%以上)に追随するような結果であった。D.Spigel, et al. LBA78その他のトピック個人的には、宮本先生がLC-SCRUMの変遷を発表され、その発表の中でラグビー日本代表がアイルランド代表に勝ったことを話されたときに聴衆から大きな拍手が起こったことが一番印象に残っている。REMORA試験REMORA試験は、プラチナ製剤を含む化学療法を受けている既治療胸腺がんに対して、マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるレンバチニブの有効性をみる単群フェーズ2試験である。胸腺がんは、化学療法のレジメンが限られており、治療法の開発が切望される分野である。今回、レンバチニブは胸腺がんに対して、PFS中央値9.3ヵ月、OS中央値未到達、奏効率38.1%、病勢制御率95.2%と単群試験ではあるが非常に有用な試験結果が報告された。今後の開発が楽しみである。S. Itoh, et al. 1844O

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膀胱がん、ガイドライン4年ぶりに改訂/日本泌尿器腫瘍学会

 膀胱癌診療ガイドラインが2015年から4年ぶりに改訂された。日本泌尿器腫瘍学会第5回学術集会では、パネルディスカッション形式で膀胱癌診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説した。 聖マリアンナ医科大学の菊地 栄次氏はStage IV膀胱がんの治療について、改訂された膀胱癌診療ガイドラインの6個のCQから一部を紹介した。・「局所進展例または骨盤内リンパ節転移を有する症例に対して膀胱全摘術は推奨されるか?(CQ19)」については、推奨の強さ2、エビデンス確実性Cで、「化学療法が有効であった症例には考慮することが推奨される」となっている。・「転移を有する膀胱がんに対する転移巣切除は推奨されるか?(CQ20)」については、推奨の強さ2、エビデンスの確実性Cで、「全身状態が良好な症例、病巣が単発で完全切除が可能な症例、化学療法が有効であった症例、病勢の進行が急速ではない症例等で転移巣切除を考慮することが推奨される」となっている。・「切除不能または転移を有する症例の1次治療としてGC療法は推奨されるか?(CQ21)」 については、推奨の強さ1、エビデンスの確実性Aで、「1次治療としてGC療法は推奨される」となっている。なお、2015年版の膀胱癌診療ガイドラインではM-VACとの比較であったが、今回はdose-dense M-VACとの比較である。・「1次治療抗がん化学療法後に再発または進行した局所進行性または転移性膀胱がんに対する免疫チェックポイント阻害薬使用は推奨されるか?(CG23)」については、「推奨の強さ1、エビデンスの確実性A で、「ペムブロリズマブを使用することが推奨される」となっている。なお、ESMO2019ではKEYNOTE-045の長期成績の結果が発表され、全生存期間(OS)は依然として有意差を示し、10%の完全奏効(CR)を得ている。 菊地氏は、今後のStage IV膀胱がん治療の展望として、外科的治療に対する臨床的意義の検証、さらなる新規薬物療法の登場、CDDP unfit例に対する新たな治療戦略への期待を挙げた。 高知大学の井上 啓史氏は、今回の膀胱癌診療ガイドラインにおける筋層非浸潤性膀胱がん(NIMBC)の腫瘍可視化技術の位置付けについて紹介した。・「膀胱がんの診断に腫瘍可視化技術(Photodynamic Diagnosis :PDD、narrow band imaging:NBI)は推奨されるか?(CQ1)」については、PDDは推奨の強さ1、エビデンスの確実性Aで、NBIは推奨の強さ1で、エビデンスの確実性Bで、「がん検出頻度が高まることから推奨される」となっている。・「NIMBCの治療の際にPDDやNBIは推奨されるか?(CQ4)」については、PDDは推奨の強さ1、エビデンスの確実性Aで「膀胱再発率の低下につながることから推奨される」、NBIは推奨の強さ2、エビデンスの確実性Bで「検出率を改善させるが、膀胱内再発率の低下につながるかは未確定である」となっている。 井上氏は、治療の始まりであるTUR-BTにおいては確実な切除と共に正確な診断が後治療に影響することから、今回の膀胱癌診療ガイドラインの改訂のなかでも腫瘍可視化技術の位置付けは、重要な項目の1つであるとしている。

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最近の話題:肺がんIO-IO CheckMate-227【侍オンコロジスト奮闘記】第82回

第82回:最近の話題:肺がんIO-IO CheckMate-227ニボルマブ+低用量イピリムマブ、NSCLCのOS有意に改善(Checkmate-227)/ESMO2019Hellmann MD, et al. Nivolumab plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2019 Sep 28.[Epub ahead of print]

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メラノーマ・腎がん・肺がんに対するニボルマブの5年生存率/JAMA Oncol

 進行メラノーマ、腎細胞がん(RCC)、非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体ニボルマブ治療の5年生存率が報告された。米国・Johns Hopkins Bloomberg-Kimmel Institute for Cancer ImmunotherapyのSuzanne L. Topalian氏らが米国内13施設270例の患者を包含して行った第I相の「CA209-003試験」の2次解析の結果で、著者は「長期生存と関連する因子を明らかにすることが、治療アプローチおよびさらなる臨床試験開発の戦略に役立つだろう」と述べている。ニボルマブは進行メラノーマ、RCC、NSCLCおよびその他の悪性腫瘍に対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)によって承認されているが、これまで長期生存に関するデータは限定的であった。JAMA Oncology誌2019年10月号(オンライン版2019年7月25日号)掲載の報告。 研究グループは、ニボルマブ投与を受ける患者の長期の全生存(OS)を分析し、臨床的および検査所評価で腫瘍部位とOSの関連を明らかにするため、第I相の「CA209-003試験」の2次解析を行った。同試験は米国内13の医療センターで行われ、2008年10月30日~2011年12月28日に登録された、ニボルマブ投与を受ける進行メラノーマ、RCC、NSCLCの患者270例が包含された。 被験者は、ニボルマブ(0.1~10.0mg/kg)を2週間ごとに8週間のサイクルで投与され、完全奏効した場合、容認できない毒性作用が認められた場合、患者が中止を申し出た場合を除き、病勢進行まで最長96週間投与された。 解析は、オリジナルのプロトコールの規定、およびその後の2008~12年にプロトコール改正で組み込まれた方法に基づき、統計的解析は、2008年10月30日~2016年11月11日に行われた。安全性とニボルマブの活性を評価。OSは、最短フォローアップ期間58.3ヵ月の事後解析のエンドポイントであった。 主な結果は以下のとおり。・解析に含まれた270例のうち、107例(39.6%)がメラノーマ(男性72例[67.3%]、年齢中央値61歳)、34例(12.6%)がRCC(26例[76.5%]、58歳[35~74])、129例(47.8%)がNSCLC(79例[61.2%]、65歳[38~85])の患者であった。・推定5年OS率は、メラノーマ患者34.2%、RCC患者27.7%、NSCLC患者15.6%であった。・多変量解析の結果、肝臓転移(オッズ比[OR]:0.31、[95%信頼区間[CI]:0.12~0.83]、p=0.02)、骨転移(0.31[0.10~0.93]、p=0.04)が5年生存率の低下と独立して相関する可能性が示された。一方で、ECOG PSの0が、独立的に5年生存率の上昇と関連していた(2.74[1.43~5.27]、p=0.003)。・OSは、治療関連有害事象のない患者(OS中央値5.8ヵ月[95%CI:4.6~7.8])と比較して、あらゆるGradeの治療関連有害事象を有する患者(19.8ヵ月[13.8~26.9])およびGrade3以上の患者(20.3ヵ月[12.5~44.9])において、有意な延長が認められた(ハザード比に基づく両群間比較のp<0.001)。

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肝がんの1次療法、ニボルマブとソラフェニブの比較第III相試験(CheckMate-459)/ESMO2019

 香港大学医学部のThomas Yau氏は進行肝細胞がんに対する1次治療として従来の標準治療薬のソラフェニブとニボルマブの効果を比較する第III相試験CheckMate-459の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。 CheckMate-459試験は切除不能な未治療の進行肝細胞がん患者743例が対象。この登録患者にソラフェニブとニボルマブを無作為に割り付けた。各群の詳細は以下のとおり。・試験群:ニボルマブ240mg、2週ごと(372例)・対照群:ソラフェニブ400mg、1日2回(371例)・投与期間:病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、PD-L1発現と有効性の関連など 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はニボルマブ群が16.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.9~18.4)、ソラフェニブ群が14.7ヵ月(95%CI:11.9~17.2)と両群間で有意差は認めなかった(ハザード比[HR]:0.85、95%CI:0.72~1.02、p=0.0752)。・PFS中央値はニボルマブ群が3.7ヵ月(95%CI:3.1~3.9)、ソラフェニブ群が3.8ヵ月(95%CI:3.7~4.5)であった。・奏効率(ORR)はニボルマブ群が15%、ソラフェニブ群が7%であった。・完全奏効(CR)率はニボルマブ群が4%、ソラフェニブ群が1%であった。・PD-L1発現率1%以上でORRはニボルマブ群が28%、ソラフェニブ群が9%であった。・治療薬に関連した深刻な有害事象(AE)に関してニボルマブ群で新たな懸念は認められなかった。・Grade3以上の治療関連AE発現率はニボルマブ群が22%、ソラフェニブ群が49%であった。 OSで有意差は示せなかったものの、今回の結果についてYau氏は「OS、ORR、CRでニボルマブ群はソラフェニブ群と比べ改善傾向を示した」と評した。

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ESMO2019レポート 消化器がん

レポーター紹介胃がんに対する術前化学療法の意義―PRODIGY試験とRESOLVE試験切除可能な進行胃がんに対する治療は本邦では、S-1、CapeOx、SOX、S-1+ドセタキセル(DS)による術後補助化学療法が標準的治療の位置付けである。欧州では、FLOT4試験の結果、術前術後に3剤併用療法を行うことが標準となった。今回、アジアから2つの術前治療に関する第III相試験が発表された。PRODIGY試験は、韓国で実施されたcT2-3N+M0またはcT4NanyM0に対する術前DOS療法+手術+術後S-1療法(以下、CSC群)の、手術+術後S-1療法(以下、SC群)に対する優越性を検証する第III相無作為化比較試験である。計530例が登録され、最終的な解析対象(FAS)は484例であった。年齢中央値は両群とも58歳、食道胃接合部原発が5%程度含まれていた。CSC群におけるGrade3以上の治療関連有害事象として、好中球減少12.6%、発熱性好中球減少9.2%、下痢5.0%を認め、術前治療中の治療関連死は0.8%であった。手術におけるR0切除割合は、CSC群(238例)96.4% vs.SC群(246例)85.8%(p<0.0001)であった。CSC群では病理学的完全奏効(CR)が10.4%(p<0.0001)で認められた。主要評価項目の3年無増悪生存期間(PFS)は、CSC群66.3% vs.SC群60.2%(HR:0.70、95%CI: 0.52~0.95、p=0.0230)であった。ITT解析でもHR:0.69、6ヵ月のランドマーク解析でもHR:0.71と一貫した結果であった。RESOLVE試験は、中国で行われたcT4a/N+M0またはcT4bNanyM0に対する、術後XELOX、術後SOX、術前SOX+手術+術後SOXの3群比較試験である。計1,094例が登録され、年齢中央値は59~60歳、食道胃接合部原発が35~38%含まれていた。術後化学療法実施割合は、各群66~70%であった。3年無病生存(DFS)は、術後XELOX群と比較して、術前術後SOX群で優越性が示され(54.78% vs.62.02%、HR:0.79、95%CI:0.62~0.99、p=0.045)、術後SOX群の非劣性が示された(54.78% vs.60.29%、HR:0.85、95%CI:0.67~1.07、Non-Inferiority margin:1.33)。以上、中国および韓国から2つの第III相試験が報告され、術前化学療法の優越性が検証された。試験の質も大きな問題はないと考えられ、本邦の実地臨床にも外挿できる可能性が高いと考えられる。ただ、中国の試験はcT4と局所進行症例の中でもより進行した集団が対象であること、韓国の試験は優越性を示すも、PFS曲線はほぼR0切除率の差がPFSの差につながっていることが示唆されることを考慮すれば、すべての切除可能胃がんで術前化学療法が必要とは言い切れないだろう。ただ、発表からは術前化学療法の有害事象も許容範囲内で、術後合併症の発生割合も同程度であったことから、大きなデメリットが感じられない。本邦では、JCOG1509試験、JCOG1704試験の2つの胃がんにおける術前化学療法を検討する前向き試験が実施中である。前者はcT3-4N+M0(肉眼型大型3型および4型を除く)を対象に術前S-1+オキサリプラチン(OX)療法の優越性を無治療群と比較する第III相試験、後者はBulky Nがあるものを対象にしたDOS療法を評価する第II相試験である。これらの試験の結果を待つか、中国・韓国のエビデンスを外挿するか、もう少し国内での議論が必要かもしれない。BRAF V600E変異型大腸がんに対する新規分子標的治療―BEACON試験切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんは、大腸がんの約5%に認められ、きわめて予後不良である。大腸がん治療ガイドラインでは、1次治療においてFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法が推奨レジメンの1つとなっているが、2次治療以降には有効な治療が乏しいのが現状である。BRAF変異陽性メラノーマや非小細胞肺がんではBRAF阻害薬+MEK阻害薬の有効性が示されており、同様の治療戦略が大腸がんでも期待されていた。BEACON試験は、BRAF V600E変異を有する切除不能・進行再発大腸がんにおいて、1次治療もしくは2次治療後に腫瘍進行を認めた患者を対象とした無作為化第III相試験である。対象患者665例は、エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブの3剤併用療法群、エンコラフェニブ+Cmabの2剤併用療法群、FOLFIRI+Cmab療法またはIRI+Cmab療法のコントロール群の3群に、1:1:1で無作為に割り付けられた。OS期間中央値は、3剤併用療法群vs.コントロール群で9.0ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で8.4ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0003)、最初の331例のORRは3剤併用療法群vs.コントロール群で26% vs.2%(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で20% vs.2%(p<0.0001)であり、主要評価項目を達成した。相対用量強度(RDI)は3剤併用療法群では、エンコラフェニブ 91%、ビニメチニブ 87%、Cmab 91%、2剤併用療法群では、エンコラフェニブ 98%、Cmab 93%、コントロール群では74~85%であった。Grade3以上の有害事象割合は、3剤併用療法群58%、2剤併用療法群50%、コントロール群61%であり、3剤併用療法群で下痢10%、貧血11%が高く、全Gradeの有害事象において2剤併用療法群で筋肉痛(13%)、関節痛(19%)、頭痛(19%)などの頻度がやや高かった。QOLに関してはQLQ-C30、FACT-Cにおいては差を認めなかった。以上から、3剤併用療法群において良好な有効性を認め、高いRDIを維持しながらも、管理可能な有害事象のプロファイルとQOLの維持を認めた。以上から、今後切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんにおいて、本併用療法は2次治療以降の標準治療として臨床導入されることが期待される。3剤併用療法で有効性がやや高く、有害事象も2剤併用療法とプロファイルが異なるだけでQOLに差がないことからまずは3剤併用でトライしてみることが勧められる。Grade3以上の消化器毒性は3剤併用療法で高いことから、その場合には2剤併用療法もオプションとなりえるだろう。今後メラノーマ同様に1次治療や補助療法での有効性にも期待したいところである。現状、臨床現場でも困っている患者さんのために、早急な薬事承認に期待したいが、まだ1年程度先になるだろう。それまでは、拡大治験の実施や患者申出制度の利用に活路を見いだしたいところである。ハイリスクStageII結腸がんに対する補助療法―ACHIEVE-2試験リンパ節転移のないStageII結腸がんでは、臨床病理学的な再発ハイリスク因子を持つ場合にのみ術後補助化学療法が推奨され、レジメンはCAPOX/FOLFOX療法やフルオロピリミジン単独療法が6ヵ月間行われる。StageIIIにおいて、IDEA collaborationの結果から、CAPOX/FOLFOX療法の3ヵ月投与が治療選択肢として確立されたことからハイリスクStageII結腸がんでも同様の検討が行われた。2019年ASCOでIDEA collaborationに参加した6つの臨床試験のうち、4つの試験(SCOT、TOSCA、ACHIEVE-2、HORG)の統合解析が発表され、主要評価項目である5年無病生存率(DFS)は非劣性が証明されず、negative studyであった。しかし、CAPOX群では3ヵ月と6ヵ月で大きな差を認めず、ハイリスクStageII症例の術後補助化学療法を行う場合でも、CAPOXなら3ヵ月への短縮が可能と結論付けていた。今回のESMOでは、本邦での試験であるACHIEVE-2試験の結果が発表された。514例が登録され、ハイリスク因子はT4 36%、低分化腺がん10~13%、郭清リンパ節転移個数不十分13%、腸閉塞発症19~20%、脈管侵襲陽性87~88%であった。観察期間中央値約36ヵ月の時点で、3年DFSは3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群87.9%であった(HR:1.12、95%CI:0.80~1.57)。レジメン別解析では、FOLFOX群(n=82)3ヵ月群88.6% vs.6ヵ月群85.7%、CAPOX群(n=432)3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群88.4%であった。サブグループ解析では、T4群では3ヵ月群76.2% vs.6ヵ月群79.7%(HR:1.28、95%CI:0.84~1.95)であった。本試験結果の解釈は非常に悩ましい。もともとIDEA collaborationは、統合解析が主体となっていることから、個々の試験の解釈をするときは、統合解析の結果と合わせて評価することが必要である。3年DFSで大きな差はないが、HRが1.12と少し1を超えている点は気になるところである。とくに、T4集団での解析では少数例の検討とはいえ、HR:1.28と1を大きく超えている。全体の3年DFSがlow risk StageIIIよりも悪いことも鑑みると、T4集団ではCAPOX 6ヵ月を選択することが妥当という印象を持った。スペシャルセッションの最後には、登壇者からStageII CCの補助療法のアルゴリズムが提案されたが、私自身はあまり納得のいくものではなかった。国内でのコンセンサス形成には少し時間がかかると思われた。まとめ今回のESMOでも、多くの新しいエビデンスに巡り合うことができた。胃がん、大腸がんでは肺がんなどに比べ新薬の登場が遅れており、その間に周術期治療の開発がトピックスとなっている印象を受けた。日本人の発表やディスカッサント登壇も多く、世界と一緒に新しい治療方針を議論している実感が得られた。腫瘍医としての矜持を持ち、目の前の患者さんにこの新しいエビデンスをどう適用させるかが肝要である。その過程で、また新たなクリニカルクエスチョンが生じ、それに答えるべく臨床試験に取り組む…この繰り返しの結果が今日までのがん治療の進歩であり、令和の時代にも継続していかねばならないだろう。

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日本の進行胃がんに対するニボルマブのリアルワールドでの成績(JACCRO GC-08: DELIVER)/ESMO2019

 第III相ATRRACTION-2試験において、ニボルマブは3次治療以降の胃がんに対する有効性を示しているが、PS不良例、腹膜播種例などが含まれるリアルワールドでのデータはない。聖マリアンナ医科大学の砂川 優氏らは、リアルワールドでの進行胃がんに対するニボルマブの効果と安全性、そして腸内マイクロバイオームを含む宿主免疫バイオマーカーを検証した前向き観察研究JACCRO GC-08(DELIVER)の中間成績を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告した。 JACCRO GC-08試験は、組織学的に腺がんであることが確認されたPS 0~2の食道胃接合部がんを含む切除不能な進行胃がんでニボルマブでの単剤治療を行う症例を対象とし、治療前後での便や血液を採取し、腸内細菌種・ゲノム情報、遺伝子多型、遺伝子発現、メタボロームを測定し、ニボルマブの有効性・安全性の予測因子を探索・検証する研究。 試験は2018年3月から開始され、目標症例数は500例。当初の200例で、予測因子を探索し、そこで得られた予測因子候補を300例で検証する計画。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は全奏効率(ORR)、病態制御率(DCR)、腫瘍縮小率、腫瘍増大率(TGR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性、バイオマーカー解析。今回発表されたのは前半200症例の患者背景と臨床結果。 主な結果は以下のとおり。・解析可能症例は198例、年齢中央値は70歳、男性が75%であった。・PSは0が47%、1が39%、2が14%であり、腹膜転移は45%にみられた。・腫瘍径が測定可能だった124例でのORRは5.6%(95%信頼区間[CI]:2.3~11.3)、DCRは33.1%(95%CI:24.9~42.1)であった。・投与開始1ヵ月間のTGRが測定できた105例では、58.4%でニボルマブ投与開始後にTGRの減少が認められたが、24.8%では投与開始前と比較してTGRが2倍以上になる高度進行と判定された。・PS別のDCRはPS 0が38%、PS 1が35%、PS 2が22%であった。・DCRは印環細胞がん、腹膜播種性転移、腹水の因子を持つ症例で低率だった。・HER2発現状況あるいは好中球/リンパ球比でDCRに差は認めなかった。

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オラパリブ+デュルバルマブ、BRCA変異乳がんに有望(MEDIOLA)/ESMO2019

 BRCA遺伝子変異を有する転移のある乳がん(mBC)に対する、PARP阻害薬のオラパリブとPD-L1抗体のデュルバルマブとの併用療法の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Basser Center for BRCA University of PennsylvaniaのSusan R. Domchek氏より発表された。 本試験(MEDIOLA試験)は、シングルアームのオープンラベルの国際共同第II相試験である。・対象:HER2陰性で、生殖系列BRCA遺伝子変異陽性、2ライン以下の前治療歴を有するmBC患者(PARP阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の前治療は許容せず)・試験群:オラパリブ300mg/回を1日2回投与し、その4週間後からデュルバルマブ1.5g/回を4週間ごとに投与・評価項目:[主要評価項目]12週時点での病勢コントロール率(DCR)、安全性[副次評価項目]28週時点でのDCR、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏功期間(DOR)、PD-L1発現状況[探索的検討項目]遺伝子発現プロファイルや腫瘍内浸潤リンパ球(TILs)、BRCAの復帰変異などの予後に与える影響 主な結果は以下のとおり。・2016年6月~2017年5月に34例が登録され、安全性の解析には34例全例が、有効性の解析には30例(トリプルネガティブ乳がん[TNBC]:17例、ホルモン受容体陽性乳がん[HRBC]:13例)があてられた。・Garde3以上の有害事象は32.4%、有害事象によるオラパリブの投与中止は3%で、デュルバルマブの投与中止は10%であった。免疫関連の有害事象は35%で、最も高頻度のものは甲状腺機能低下で15%であった。安全性プロファイルは両剤の既報と同様であり、新たなものは見られなかった。・ORRは、全例では63.3%、TNBCでは58.8%、HRBCでは69.2%であり、前治療歴1ライン以下患者では70%、2ライン以上患者では50%であった。・追跡期間中央値6.7ヵ月時点での、PFS中央値は全例では8.2ヵ月であり、TNBCでは4.9ヵ月、HRBCでは9.9ヵ月、前治療1ライン以下患者では11.7ヵ月、2ライン以上患者では6.5ヵ月であった。・DOR中央値は全例では9.2ヵ月、TNBCでは12.9ヵ月、HRBCでは7.2ヵ月、前治療1ライン以下患者では12.9ヵ月、2ライン以上患者では5.5ヵ月であった。・追跡期間中央値19.8ヵ月時点でのOS中央値は全例では21.5ヵ月であり、TNBCでは20.5ヵ月、HRBCでは22.4ヵ月、前治療1ライン以下患者では23.4ヵ月、2ライン以上患者では16.9ヵ月であった。・腫瘍細胞(TC)と免疫細胞(IC)それぞれでのPD-L1発現を1%カットオフで見た場合、それぞれのOS中央値は、TC1%以上の患者では23.9ヵ月、TC1%未満では18.8ヵ月、IC1%以上では21.5ヵ月、IC1%未満では16.9ヵ月であった。

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ニボルマブ+低用量イピリムマブ、NSCLCのOS有意に改善(CheckMate-227)/ESMO2019

 イピリムマブとニボルマブの併用は、悪性黒色腫や腎細胞がんにおいて全生存期間(OS)の改善を示している。非小細胞肺がん(NSCLC)においても、イピリムマブの用法・用量の肺がんへの適正化(1mg/kg 6週ごと投与)により、有効性を示す試験結果が報告されている。CheckMate-227試験は、ニボルマブベースの治療と化学療法を比較したオープンラベル無作為化第III相試験。同試験は、Part1とPart2で構成されており、Part1の結果として、高腫瘍変異負荷(TMB≧10mut/Mb)患者におけるイピリムマブ・ニボルマブ併用の化学療法に対する無増悪生存期間(PFS)の延長が報告されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、Part1の最終結果、とくにPD-L1≧1%の患者における主要評価項目であるイピリムマブ+ニボルマブ対化学療法の全生存期間(OS)のデータについて、スイス・ローザンヌ大学のSlonge Peters氏が発表した。・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織系問わず)・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群(NIVO+IPI群)     ニボルマブ単独群(TPS1%以上)(NIVO群)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)・評価項目[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群のOS[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PD-L1≧1%のOSはNIVO+IPI群で17.1ヵ月、Chemo群14.9ヵ月と有意にNIVO+IPI群で改善した(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.65~0.96、p=0.007)。同条件におけるNIVO群のOSは15.7ヵ月でChemo群に対するHRは0.88(95%CI:0.75~1.04)であった。・盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価によるORRはNIVO+IPI群35.9%、NIVO群27.5%、Chemo群30.0%であった。・BICR評価によるDORはNIVO+IPI群23.2ヵ月、NIVO群15.5ヵ月、Chemo群6.2ヵ月であった。・PD-L1<1%のOSはNIVO+IPI群17.2ヵ月、Chemo群12.2ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48~0.78)。同条件におけるNIVO+Chemo群のOSは15.2ヵ月でChemo群に対するHRは0.78(95%CI:0.60~1.02)であった。・全対象患者(PD-L1レベルにかかわらず)のOSはNIVO+IPI群17.1ヵ月、Chemo群13.9ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.64~0.84)。・NIVO+IPI群とChemo群のサブグループ解析のすべての項目、いずれのPD-L1発現レベルにおいてもNIVO+IPI群が優位であった。・有害事象については、従来の報告と同様であり、新たなものはみられなかった。 CheckMate-227試験は、NSCLCの1次治療におけるPD-L1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用で主要評価項目を達成した初の第III相試験となった。PD-L1発現レベルを問わず、化学療法に対し臨床的に意味のあるOSの改善を示した。加えて、PD-L1≧1%以上についてはNIVO群に対しPD-L1<1%についてはNIVO+Chemo群に対し、アウトカムを改善した。Peters氏は個人的見解として、免疫チェックポイント阻害薬の併用は、進行NSCLCの1次治療の選択肢となる可能性を示したと結んだ。 この発表は同時にNEJM誌オンライン版2019年9月28日号に掲載された。

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WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019 レポート

レポーター紹介世界肺がん学会WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月7~10日の期間に行われた。今年は9月末に欧州臨床腫瘍学会が同じスペインのバルセロナで行われることもあり、例年のWCLCと比べるとトピックスが少ない印象ではあったが、公式発表では100ヵ国以上から7,000例以上がWCLCに参加し、多くの演題(2,853演題)が報告された。学会初日の印象では参加人数が例年よりも少なそうで寂しい印象を受けたが、Presidential Symposiumの発表時には、会場はほぼ満席であり活気に満ちたものであった。このレポートでは、私的に選んだ今学会でのトピックスをいくつか紹介する。外科手術のトピックVIOLET試験の効果と安全性に関する探索的検討clinical stage cT1~3、N0~1、M0の肺がん、もしくは肺がんが強く疑われる患者を対象に、開胸手術とVATSを比較する第III相試験における早期の効果と安全性の結果が報告された。入院中の死亡率は、VATS群で1.4%(VATS治療から開胸手術の移行率5.7%)であった。また、完全切除率については、VATS群で98.8%、開胸切除で97.4%であり、有意差を認めなかった(p=0.839)。術後の疼痛についてmedian(visual analogue)pain scoreで評価が行われており、術後1日では術後疼痛についてmedian scoreに差を認めなかったが、術後2日では術後疼痛の強さがVATS群で有意に改善され、入院期間についてもVATS群が4日、開胸手術群が5日と有意に短くなる(p=0.008)ことが報告された。また、入院中の術後合併症がVATS群で32.8%、開胸手術群で44.3%と有意に低下する(p=0.008)という結果であった。今回の報告では、VATSと開胸手術において、侵襲の少ないVATSが開胸手術と比較しても根治率が変わらないことが報告され、合併症や入院期間、術後疼痛が良好であることが報告され、日常臨床で広く浸透しているVATSが短期的な指標では有用であることが検証された試験である。今後の長期予後データなどの報告が待たれる。(Lim E, et al. PL 02-06)分子標的療法におけるトピックスLIBRETTO-001 study進行非小細胞肺がんのRET-fusion遺伝子変異に対する分子標的療法で、保険償還承認が得られた治療はまだ存在しない。LIBRETTO-001試験で使用されたLOXO-292はRETを選択的に強く阻害する分子標的薬であり、脳への移行性も高く、RET-fusion遺伝子変異に対する治療薬として期待されている。今学会ではLIBRETTO-001試験における、LOXO-292療法の効果と安全性についての第I/II相試験の結果が報告された。253例のRET-fusion陽性の非小細胞肺がんの患者が参加し、うちprimary analysis set (PAS) に139例が登録された。105例が初回にプラチナ製剤併用化学療法を受け、58例がPD-1/PD-L1阻害薬療法を受けていた。奏効率(ORR)は68%(95%CI:58~76%、n=71/105)であり、RET fusionのパートナーにかかわらず治療効果を認めた。また治療奏効期間は20.3ヵ月(95%CI:13.8~24.0ヵ月)であり、脳転移のある患者における脳転移のORRは91%(n=10/11:2 confirmed CRs、8 confirmed PRs)であった。さらに未治療のRET-fusion陽性の患者ではORR85%(95%CI:69~95%、n=29/34)であった。毒性(AEs)は、ほとんどがGrade1/2と軽微であり、頻度では口腔内乾燥、下痢、高血圧、AST/ALTの上昇が多かった。今回のLOXO-292のデータは非常に良好であり、RET-fusion陽性肺がんの標準療法になりうると考えられ早期での臨床導入が期待される。(Drilon A, et al. PL 02-08)免疫チェックポイント阻害薬のトピックスCASPIAN study進展型小細胞肺がんに対し、初回治療でのプラチナ(シスプラチンもしくはカルボプラチン)+エトポシド(EP)療法の標準療法と、デュルバルマブもしくはデュルバルマブ+tremelimumabの上乗せ治療を比較するオープンラベル下での第III相試験である。この試験はプレスリリースにおいて、デュルバルマブ上乗せ群が標準療法群に対してOSを有意に改善したと発表しており、今学会の最注目演題であった。今学会ではCASPIAN試験における、標準療法群とデュルバルマブ併用療法群の結果が報告された。PS 0~1の未治療進展型小細胞肺がんの患者を対象に、デュルバルマブ1,500mg+EP療法を3週ごと、デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab 75mg+EP療法を3週ごと、もしくはEP療法を3週ごと4コースの治療を行った。免疫療法群では、4コース終了後のデュルバルマブ維持療法が認められており、EP療法では6コースまで投与をすることが認められていた。また、主治医判断での予防的全能照射(prophylactic cranial irradiation [PCI])も認められていた。EP+デュルバルマブ療法群に268例、EP療法群に269例が割り付けられ、56.8%の患者が6コースのEP療法を受けていた。全生存期間においてEP+デュルバルマブ群がEP療法群と比較して、HR0.73、95%CIは0.591~0.909、p=0.0047と生存期間を有意に延長し、生存期間中央値(mOS)はEP+デュルバルマブ療法群で13ヵ月、EP療法群で10.3ヵ月であった。また18ヵ月の時点で、EP+デュルバルマブ療法群では33.9%の患者が生存しており、EP療法群では24.7%の患者が生存していた。無増悪生存期間(PFS)や奏効率(ORR)においてもEP+デュルバルマブ療法群がEP療法群よりも優れた結果であった。EP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でそれぞれ、mPFSが5.1ヵ月と5.4ヵ月、PFSはHR0.78、95%CIは0.645~0.936、12ヵ月PFS rateが17.5%と4.7%、ORR(RECIST v1.1:unconfirmed)が79.5%と70.3%(odds ratio:1.64、95%CI:1.106~2.443)であった。毒性(AEs)ではEP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でGrade3/4 AEsが61.5%と62.4%、AEsによる治療中断率は各9.4%と差を認めなかった。この試験では、先行するIMpower133試験(カルボプラチン+エトポシド療法にアテゾリズマブの上乗せの有効性が証明された)と同様にPD-L1阻害薬の標準療法への上乗せが証明された。この試験では、EP+デュルバルマブ+tremelimumab療法群の結果、すなわちPD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬の標準療法への上乗せ効果は公表されておらず、いまだ不明のままである。(Luis Paz-Ares, et al. PL 02-11)CheckMate 817試験(Cohort A1)PS 2や肝障害やHIV感染症を持つPS 0~1(all other special population:AOSP)のIV期非小細胞肺がんの初回治療として、ニボルマブ(PD-1阻害薬)+イピリムマブ(CTLA-4阻害薬)併用療法の効果と安全性を確認する第IIIb/IV相試験の結果が報告された。この試験での治療方法はニボルマブ240mg(2週ごと)、イピリムマブ1mg/kg(6週ごと)の固定容量での治療である。この試験ではPS 2の患者139例とAOSPの患者59例が試験に登録された。安全性についてはPS 2の患者でも、AOSPの患者でも、通常のPS 0~1の患者と比較して、治療関連有害事象や治療関連有害事象による治療中断、治療関連死に差がないことが示された。奏効率は、PS 2で20%、AOSPで37%であり、PS 0~1で35%であったが、PFSはPS 2やAOSPの患者で、PS 0~1の患者より有意に短かった。免疫チェックポイント阻害薬の併用において、PS不良の患者でも安全性はPS良好な患者と同様であり、初回治療の選択肢となりうることが示されたと考えてよいだろう。(Valette CA, et al. OA 04-02)その他の免疫チェックポイント阻害薬のトピック今回の学会では、以前に発表された第III相試験の長期予後データについていくつかの報告があった。PD-L1 50%陽性、EGFRやALK変異陰性の患者で行われた第III相試験であるKEYNOTE-024試験の3年目解析データが報告された。生存期間中央値(mOS)はペムブロリズマブ群26.3ヵ月(18.3~40.4)、殺細胞性抗がん剤治療群14.2ヵ月(9.8~18.3)で、OSはHR0.65、95%CIは0.50~0.86、p=0.001であり、長期間の観察期間でも有意にOSを延長していることが報告された。また、この発表では抗がん剤治療群からのペムブロリズマブのクロスオーバーしたペムブロリズマブの治療成績が報告されており、奏効率(ORR)は20.7%であり、治療奏効期間の中央値は20.9ヵ月と報告された。(Reck M, et al. OA 14-01)また、扁平上皮がんに対するプラチナ+タキサン療法へのアテゾリズマブの上乗せを検討しているIMpower131試験の最終解析結果も報告された。この試験は、ASCO2018においてOSの有意な延長が示されておらず、PD-L1 1~49%群でのOSがプラチナ製剤併用療法群と比較してクロスすることが報告されていた。今回の最終解析において、カルボプラチン+nabパクリタキセル+アテゾリズマブ群とカルボプラチン+nabパクリタキセル群の生存期間中央値(mOS)は14.2ヵ月vs.13.5ヵ月で、OSはHR0.88、95%CIは0.73~1.05、p=0.158で、OSの延長効果は示されなかった。ただし、PD-L1TPS 50%以上の高発現群においては、mOSは23.4ヵ月vs.10.2ヵ月、OSはHR0.48、95%CIが0.29~0.81とサブグループ解析ではあるが有意に延長していることが報告された。同じ扁平上皮がんを対象としたプラチナ+タキサン療法へのペムブロリズマブの上乗せを検討したKEYNOTE-407試験では、ペムブロリズマブの上乗せの生存延長効果が示されているだけに、PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬で扁平上皮がんに効果に違いが出るのか興味深いところではある。(Cappuzzo F, et al. OA 14-02)小細胞肺がんのトピックスSensitive Relapse小細胞肺がんを対象にカルボプラチン+エトポシドとトポテカンを比較した第III相試験トポテカンはヨーロッパでは小細胞肺がんの2次療法で承認されている数少ない抗がん剤であり、ヨーロッパだけでなく本邦含めグローバルで標準療法として広く用いられている。この試験では、初回治療から90日以上たってから再燃してきた小細胞肺がんをsensitive relapse小細胞肺がんとして定義しており、この対象を満たし初回治療でプラチナ+エトポシド療法が施行されている患者に対して、カルボプラチン+エトポシドとトポテカンの比較試験が行われた。この試験での意義は初回治療のre-challengeと標準療法であるトポテカンのどちらが良いかを比較している点で、今までのクリニカル・クエスチョンを確認する試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、中央値がre-challenge群で4.7ヵ月(95%CI:3.9~5.5)、トポテカン群で2.7ヵ月(95%CI:2.3~3.2)、PFSがHR0.6、95%CIは0.4~0.8、p<0.002であり、re-challenge群が有意にPFSを延長していた。またre-challenge群とトポテカン群の比較において、他の主な評価項目では、奏効率が49% vs.25%(p<0.002)とre-challenge群で有意に奏効率が高かったが、全生存期間ではmOSが7.5ヵ月(95%CI:5.4~8.7)vs.7.4ヵ月(95%CI:6.0~9.3)であり、両群で有意な差を認めなかった。毒性では、トポテカン群はGrade3/4の好中球減少が35.8% vs.19.7%(p<0.001)と有意に高かったが、発熱性好中球減少症が13.6% vs.6.2% (p=0.19)で両群に有意な差を認めず、その他の毒性も両群で差を認めなかった。この試験の結果からは、日常臨床で行われることが多いsensitive relapse小細胞肺がんにおけるre-challenge療法を、標準療法の一つとして考えてもよいのかもしれない。(Monnet I, et al. OA 15-02)

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進行NSCLCの初回治療、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法による初回治療はPD-L1発現レベルを問わず、化学療法と比較して全生存(OS)期間を延長することが認められた。また、長期追跡において新たな安全性の懸念は生じなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew D. Hellmann氏らが、第III相の無作為化非盲検試験「CheckMate-227試験」の結果を報告した。進行NSCLC患者を対象とした第I相試験において、とくにPD-L1陽性患者で、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法がニボルマブ単剤療法よりも奏効率が良好であることが示され、NSCLC患者におけるニボルマブ+イピリムマブの長期的な有効性を評価するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2019年9月28日号掲載の報告。進行NSCLC患者約1,700例についてOSで評価 研究グループは2015年8月~2016年11月に、StageIVまたは再発NSCLCでPD-L1発現率1%以上の患者1,189例を、ニボルマブ+イピリムマブ併用群、ニボルマブ単剤群、化学療法群のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。また、PD-L1発現率1%未満の患者550例について、ニボルマブ+イピリムマブ併用群、ニボルマブ+化学療法併用群、化学療法単独群のいずれかに1対1対1の割合で無作為に割り付けた。患者は全例、化学療法歴がなかった。 主要評価項目は、PD-L1発現率1%以上の患者における化学療法群と比較したニボルマブ+イピリムマブ併用群のOSであった。PD-L1発現率を問わず、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法でOSが延長 PD-L1発現率1%以上の患者において、OS中央値はニボルマブ+イピリムマブ併用群17.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.0~20.1)、化学療法群14.9ヵ月(95%CI:12.7~16.7)であった(p=0.007)。2年OS率は、それぞれ40.0%および32.8%、奏効期間中央値は23.2ヵ月および6.2ヵ月であった。 OSの延長は、PD-L1発現率1%未満の患者においても確認され、ニボルマブ+イピリムマブ併用群17.2ヵ月(95%CI:12.8~22.0)、化学療法群12.2ヵ月(95%CI:9.2~14.3)であった。 本試験に組み込まれた全患者のOS中央値は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群17.1ヵ月(95%CI:15.2~19.9)、化学療法群13.9ヵ月(95%CI:12.2~15.1)であった。 Grade3/4の治療関連有害事象が発現した患者の割合は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群32.8%、化学療法群36.0%であった。

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最近の話題:AMG-501とFLAURA【侍オンコロジスト奮闘記】第81回

第81回:最近の話題:AMG-501とFLAURAWEB会議システムで直接録画しているため、画像音声が乱れております。ご了承ください。KRAS変異肺がんに対するKRAS阻害薬AMG510の成績/WCLC2019HR0.799、オシメルチニブ1次治療、肺がんのOS有意に改善(FLAURA)/ESMO2019

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ニボルマブ、食道がん2次治療以降のOS改善(ATTRACTION-3)/ESMO2019

 韓国・延世医科大学延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は、進行・再発の食道扁平上皮がんの2次治療でニボルマブとタキサン系抗がん剤による化学療法を比較した第III相試験ATTRACTION-3の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告。ニボルマブは化学療法と比較し、全生存期間(OS)を有意に延長したことを明らかにした。・対象:1次治療でプラチナベース化学療法が不応あるいは施行後に無効になった切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ240mg 2週ごと(n=210)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと、あるいはパクリタキセル100mg/m2 毎週(n=209)・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS) [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、健康関連QOL、有害事象 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はニボルマブ群が10.9ヵ月、化学療法群が8.4ヵ月で、ニボルマブ群で有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.62~0.96、p=0.019)。・年齢、性別、人種、PS、手術歴、放射線治療歴、PD-L1発現率、喫煙歴といったいずれのサブグルーブ別でもニボルマブ群で良好なOSの傾向を示した。・PFS中央値はニボルマブ群が1.7ヵ月、化学療法群が3.4ヵ月で、両群間の有意差はなかった(HR:1.08、95%CI:0.87~1.34)。・ORRはニボルマブ群が19%、化学療法群が22%で、両群で同等だった。・DCRはニボルマブ群が37%、化学療法群が63%であった。・TTR中央値はニボルマブ群が2.6ヵ月、化学療法群が1.5ヵ月であった。・DOR中央値はニボルマブ群が6.9ヵ月、化学療法群が3.9ヵ月であった。・EQ-5D-3Lを用いた健康関連QOLの調査では、計測された42週にわたりニボルマブ群は一貫して化学療法群を上回っていた。・ニボルマブ群での治療関連の主要な免疫関連有害事象は、内分泌系、消化管系、肝臓系、肺系、腎系、皮膚系であり、そのほとんどはGrade2以内であり、いずれもGrade3以上の発現率は2%以内であった。・Grade3以上の全治療関連有害事象発現率はニボルマブ群が18%、化学療法群が63%であった。 この結果を受けてCho氏は「ニボルマブは進行食道扁平上皮がんの2次治療で新たな標準治療となる可能性を示している」と述べた。

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再発悪性胸膜中皮腫に対するペムブロリズマブの成績/ESMO2019

 悪性胸膜中皮腫(MPM)はアグレッシブな腫瘍で、予後も不良である。プラチナベース化学療法の再発後は生存を改善する治療法はないが、実臨床ではビノレルビンやゲムシタビンが用いられる。そのような中、KEYNOTE-028の拡大コホートなどで免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)ではペムブロリズマブ単剤による既治療のMPMに対する無作為化比較第III相試験ETOP PROMISE-mesoの結果が発表された。・対象:プラチナベース化学療法で進行したMPM(PS 0~1)・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日3週ごと・対照群:任意の化学療法(ゲムシタビンまたはビノレルビン)・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)、治験担当医評価のPFS、有害事象 治療は病勢進行(PD)となるまで続けられ(最大2年間)、化学療法群ではPD後のペムブロリズマブへのクロスオーバーが許容された。 主な結果は以下のとおり。・151例が登録され、ペムブロリズマブ群73例と化学療法群71例に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は11.8ヵ月であった。・化学療法群の63%がペムブロリズマブにクロスオーバーした。・主要評価項目であるBICR評価のPFSは、ペムブロリズマブ群2.5ヵ月、化学療法群は3.4ヵ月と、両群に差はみられなかった(ハザード比[HR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.73~1.53、p=0.76)。・ORRは、ペムブロリズマブ群22%、化学療法群6%と、ペムブロリズマブ群で有意に良好であった(p=0.004)。・OSはペムブロリズマブ群10.7ヵ月、化学療法群11.7ヵ月と、両群に差はみられなかった(HR:1.04、95%CI:0.66~1.67)。・PD-L1別のPFS[PD-L1 1%未満]ペムブロリズマブ群4.2ヵ月に対し、化学療法群は4.4ヵ月(HR:1.26、p=0.57)[PD-L1 1%以上]両群とも3.2ヵ月であった(HR:1.06、p=0.82)。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、ペムブロリズマブ群69.4%、化学療法群は72.9%であった。Grade3以上のTRAEは、ペムブロリズマフ群19.4%、化学療法群は24.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤は化学療法に比べOS、PFSとも違いは示されなかったものの、MPMのORRは有意に改善した。さらに、ペムブロリズマブのベネフィットを特定する探索的トランスレーショナル研究が進行中だという。

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