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ブロプレスとカルシウム拮抗薬の合剤を承認申請

 武田薬品工業株式会社は30日、ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)とカルシウム拮抗薬(一般名:アムロジピンベシル酸塩、以下、アムロジピン)との合剤である高血圧症治療薬について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。 同社が創製したブロプレスは、血圧を上げるホルモンの一つであるアンジオテンシンIIの働きを阻害する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)。日本では1999年に発売開始され、2005年にはARBとして国内で初めて慢性心不全の効能を取得した。一方、アムロジピンは、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であり、細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制することで、主として血管平滑筋を弛緩させ、末梢血管抵抗を減じることで降圧効果を発揮する。 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」では、降圧効果が不十分な場合には降圧薬の併用治療が推奨されており、中でもARBとカルシウム拮抗薬の併用治療は、個々の降圧効果を減じることなく、有効性および安全性の点からも合理的であり、同ガイドラインで推奨される組合せの一つに挙げられている。

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ブロプレスと利尿剤の合剤 エカード配合錠新発売

 武田薬品工業株式会社は13日、ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)と低用量の利尿剤(一般名:ヒドロクロロチアジド)との合剤である高血圧症治療剤「エカード配合錠LD」「エカード配合錠HD」を発売した。 エカード配合錠は、高血圧治療ガイドラインにおいて併用が推奨されているアンジオテンシンII受容体拮抗剤と低用量の利尿剤を組み合わせた合剤。ヒドロクロロチアジドの含量を通常用量の4分の1である6.25mgとすることで、サイアザイド系利尿剤に一般的に見られる副作用を軽減できると考えられ、臨床第3相試験において降圧効果の増強が認められているという。 製剤の種類は、1日1回の経口投与製剤で、1錠あたりカンデサルタン シレキセチル4mg/ヒドロクロロチアジド6.25 mgを含有する「エカード配合錠LD」と、カンデサルタン シレキセチル8mg/ヒドロクロロチアジド6.25mgを含有する「エカード配合錠HD」の2種類。

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減量効果に最も優れている食事療法とは?

肥満治療として減量効果に最も優れているダイエット食とは? 米国ハーバード公衆衛生大学院栄養学のFrank M. Sacks氏らは、これまでタンパク質、脂質、あるいは炭水化物それぞれの栄養素に着目したダイエット食の研究報告がなされているが、その減量効果は確立しておらず、また研究期間が1年を超えて行われているものがないとして、どの栄養素を重視した食事が効果的か、介入期間2年にわたる無作為化試験を行った。その結果、栄養素は関係なく、低カロリー食であることが肝心との報告を寄せている。NEJM誌2009年2月26日号掲載より。栄養素の割合が異なる4つの食事療法群に無作為割り付けし2年間追跡試験は過体重の成人811例を対象とし、脂質・タンパク質・炭水化物の各割合(%)が異なる4つの食事療法群、(1)20%、15%、65%、(2)20%、25%、55%、(3)40%、15%、45%、(4)40%、25%、35%に無作為に割り付け、2年間食事指導の介入を行った。4群の食事はいずれも、心血管ヘルスガイドラインにのっとったもので、食品構成は類似していた。主要評価項目は2年後の体重変化で、低脂質食群(含有比率20%)vs. 高脂質食群(同40%)、標準タンパク質食群(同15%)vs. 高タンパク質食群(同25%)、および含有比率が最も高い炭水化物食群(同65%)vs. 最も低い炭水化物食群(同35%)の比較が行われた。低カロリーな食事であることが重要、栄養素は関係ない体重は6ヵ月時点では平均6kg、ベースライン時の7%相当減っていた。しかし12ヵ月後にはリバウンドし始めていた。2年時点での減量は、標準タンパク質食群3.0kg vs. 高タンパク質食群3.6kg、低脂質食群 vs. 高脂質食群はいずれも3.0kg、最高炭水化物食群2.9kg vs. 最低炭水化物食群3.4kgで、いずれも同等だった(すべての比較についてP>0.20)。試験完了者の80%相当が、平均4kg減量していた。また14~15%相当の者が、試験前体重の少なくとも10%以上の減量に成功していた。 満腹、空腹感、食事に関する満足度、グループセッションへの出席率は、全群で同様だったが、セッションへの出席率が、減量(1セッション参加につき0.2kg)と強く関連していた。一方で、4つの食事療法群ではいずれも、脂質関連のリスク因子および空腹時インスリン濃度の改善が見られた。これらを受けSacks氏は、「カロリーが低い食事療法が臨床的に意義のある減量をもたらす。どの栄養素の割合が際だっているかは関係ない」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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ACC/AHA臨床ガイドライン、エビデンスの裏付けは貧弱

米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の臨床ガイドラインは、その裏付けとなるエビデンスに乏しい、との調査結果が、米国Duke大学のPierluigi Tricoci氏らによって報告された。複数の無作為化試験など信頼できるエビデンスで裏付けのある勧告は、全体のおよそ1割程度という。JAMA誌2009年2月25日号より。勧告の半数近くが専門家の意見や症例研究などが裏付けTricoci氏らは、ACCとAHA の臨床ガイドラインで、1984~2008年に公表された22の主題に関する53ガイドライン(勧告数は7,196)について、調査した。そのうち、勧告の裏付けとなるエビデンスの程度を明記した、16ガイドラインについて、エビデンスの程度と勧告の種類などを調べた。その結果、複数の無作為化試験またはメタ解析の裏付けがある「エビデンスレベルA」の勧告は、全体の勧告2,711中314(ガイドラインの分野により割合は異なるが、中央値は11%)に留まった。一方、専門医の意見や症例研究、標準的に行われている治療などといった「エビデンスレベルC」の裏付けに基づく勧告数は、1,246(同中央値48%)にも上った。また、ACCとAHA の臨床ガイドラインでは、それぞれの勧告の対象となる処置や治療の有効性などについて、クラスI~IIIに分類している。例えば治療法や処置が効果的であるとして、エビデンスや意見の一致が見られている勧告は、「クラスI」に分類される。エビデンスレベルAの割合が最も多かったのは、「クラスI」にあてはまる勧告だった。それでもクラスIの勧告全体の1,305中245(同中央値19%)に留まっている。ガイドライン改定で勧告数は増加、有効性について意見の分かれる勧告が最も増加また、2008年9月までに改定のあったガイドラインについて見たところ、全体の勧告数は初版の1,330から1,973へと、48%も増加していた。特に、治療法や処置の有効性について意見が分かれている「クラスII」の勧告が、最も増加率が大きかった。同研究グループは、臨床ガイドラインの作成過程について改善が必要だ、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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腰痛の画像検査は無用?

重篤な基礎疾患のない腰痛患者に画像検査を行っても臨床転帰は改善しないことが、アメリカ・オレゴン健康科学大学のRoger Chou氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。Agency for Healthcare Policy and Research(AHCPR)ガイドラインは急性腰痛発症1ヵ月以内の画像検査を否定しており、重篤な基礎疾患を示唆する臨床所見(いわゆるred flags:癌、感染症、馬尾神経症候群など)のない慢性腰痛には画像検査を行うべきではないとするガイドラインもある。しかし、現実には患者の要望などもあってルーチンに施行したり、臨床所見がないのに行われる場合が多いという。Lancet誌2009年2月7日号掲載の報告。腰痛、腰椎機能を主要評価項目とした6試験のメタ解析研究グループは、重篤な基礎疾患のない腰痛患者において、即座に腰部画像検査(X線、MRI、CT)を実施する群と、これを施行しない通常ケアのみの群の臨床転帰を評価するために、無作為化対照比較試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。解析対象の試験は、腰痛あるいは腰椎機能を主要評価項目とするものとし、QOL、精神的健康状態、各種スケールに基づく患者自身による全般的な改善度、ケアに対する患者満足度についても検討した。6つの試験(イギリス3、アメリカ2、インドネシア1、計1,804例)が選択基準を満たした。試験の質は、Cochrane Back Review Groupの基準を適用した判定法に基づいて2人のレビューワーが個々に評価した。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用いた。プライマリ・ケアに十分に適用可能即時的な腰部画像診断施行群と非施行群で、短期的(3ヵ月以内)および長期的(6ヵ月~1年)な解析の双方において、腰痛と腰椎機能障害の発症には有意な差は認められなかった。そのほかの評価項目についても、有意差を認めたものはなかった。試験の質、個々の画像法、腰痛の罹病期間も解析の結果に影響を及ぼさなかったが、これらの検討を行った試験は少なかった。今回の解析結果は、プライマリ・ケアにおける急性および亜急性の腰痛に十分に適用できるものであった。著者は、「重篤な基礎疾患のない腰痛患者に対し画像検査を行っても臨床転帰は改善しない。それゆえ、重篤な基礎疾患を示唆する所見のない急性、亜急性の腰痛に対するルーチンの即時的な画像検査は止めるべき」と結論し、「不要な画像検査を避ける一方で、患者の要望を満たし満足度を向上させる腰痛評価法や患者教育の戦略を確立する必要がある」と主張している。(菅野守:医学ライター)

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小児がんからの女性生存者、40歳までのマンモグラフィ実施率低く留まる

小児がんで胸部放射線治療を受けたことのある女性生存者は、若年での乳がん発症リスクが高いため、25歳(または同治療後8年経過後のどちらか後に来る方)からのマンモグラフィ実施がガイドラインで勧告されている。ところが、40歳未満の6割強が、過去2年以内にマンモグラフィによる乳がんのスクリーニング検査を受けていないなど、実施率が低いことがわかった。これは、米国Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのKevin C. Oeffinger氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年1月28日号で発表した。胸部放射線治療を受けた625人を調査Oeffinger氏らは、2005~2006年にかけて、小児がんで胸部放射線治療を受けたことのある25~50歳の女性生存者、625人について調査を行った。コントロール群としては、年齢が近く、小児がん生存者で、胸部放射線治療を受けたことのない639人と、小児がん生存者の姉妹712人だった。胸部放射線群の40歳未満、半分近くがマンモ未受診調査の結果、胸部放射線治療を受けた女性で回答の得られた551人のうち、過去2年以内にマンモグラフィを受けていたのは55%だった。年齢別に見てみると、25~39歳では同割合は36.5%(95%信頼区間:31.0~42.0)、40~50歳では76.5%(同:71.3~81.7)だった。一方、胸部放射線治療を受けたことのない小児がん生存者の同実施率は40.5%、小児がん生存者の姉妹は同37.0%だった。さらに、胸部放射線群で40歳未満のうち、これまでにマンモグラフィを一度も受けたことのない人の割合は、47.3%(同:41.6~53.0)にも上った。また、同群の40~50歳のうち、マンモグラフィを過去4年のうち2回受けたことのある人は、52.6%に留まった。なお、医師にマンモグラフィを勧められた人の方が、同実施率が高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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就学前小児の上気道ウイルス感染による喘鳴:発作時の経口薬治療

上気道ウイルス感染による喘鳴発作は、就学前児童においてはよく見られ、短期間の経口プレドニゾロン剤投与が広く行われているが、軽症~中等症には有効ではないと結論する無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果が報告された。英国レスター大学小児保健部門のJayachandran Panickar氏らによる報告で、NEJM誌2009年1月22日号にて掲載された。入院期間に有意差はないPanickar氏は本試験の目的について、「この年代の発作の大半は間欠型呼吸器症状や慢性下気道好酸球増加症を有するものではなく、学齢期になれば解消される」とし「ガイドラインでの推奨エビデンスは、この年代以外のエビデンスを基にしたもので、同年代における有効性のエビデンスには矛盾が見られるからだ」と述べている。試験は、英国の3病院で、ウイルス感染による喘鳴発作で受診し入院が必要と診断した、生後10~60ヵ月の小児700例を対象。過去のスタディで矛盾が見られた5日間投与を参考に、経口プレドニゾロンの5日間投与(10~24ヵ月児:1日1回10mg、25ヵ月児以上:1日1回20mg)の有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験をデザインした。対象児は、入院の診断前にアルブテロールの10パフ噴霧を受けており、定量吸入器またはVolumatic spacerもしくはアルブテロールネブライザーで管理を受けていた(3歳未満2.5mg、3歳以上5.0mg)。主要評価項目は、入院期間。副次評価項目は、呼吸評価スコア(基線値は入院診断後、アルブテロール噴霧5分後に評価した値とした)、アルブテロールの使用、7日間の症状スコア。全例解析は687例(プラセボ群344例、プレドニゾロン例343例)で実行された。主要評価項目の入院期間は、プラセボ群13.9時間、プレドニゾロン群11.0時間、相乗平均0.90(95%信頼区間:0.77~1.05)と有意差はなかった。副次評価項目、また有害事象の発生数についても有意差はなかった。(武藤まき:医療ライター)

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胃腸障害に対する効果的な薬剤投与順とは?:DIAMOND試験

プライマリ・ケアにおける胃腸障害の管理では、制酸薬→H2受容体拮抗薬(H2RA)→プロトンポンプ阻害薬(PPI)の順に投与する治療戦略がその逆順で投与する戦略よりも費用効果に優れることが、オランダで実施されたDIAMOND試験によって明らかとなった。プライマリ・ケアでは、胃腸障害治療は医師の作業負担が大きく、医療コストもかさむことがわかっている。コンセンサスやガイドラインはあるものの、最も費用効果に優れる初期管理の戦略は依然として経験に基づくものだという。Radboud大学ナイメーヘン医療センターのCorine J van Marrewijk氏が、Lancet誌2009年1月17日号で報告した。制酸薬→H2RA→PPIと、PPI→H2RA→制酸薬を比較研究グループは、プライマリ・ケアにおける新規発症胃腸障害の初期管理の治療戦略として、ステップアップ戦略(制酸薬→H2RA→PPIの順で投与)とステップダウン戦略(PPI→H2RA→制酸薬の順で投与)の比較を行う二重盲検無作為化対照比較試験を実施した。対象は、新規発症の胃腸障害でかかりつけ医を受診した18歳以上の症例とした。2003年10月~2006年1月までに664例が登録され、ステップアップ群に341例が、ステップダウン群には323例が無作為に割り付けられた。各ステップの治療期間は4週とし、症状が持続するか4週以内に再発した場合に次のステップへ進むこととした。主要評価項目は6ヵ月後における症状軽減および費用効果であった。費用効果はステップアップ群で優れるが、最初にPPIを投与したほうが効果発現は早い評価可能なエンドポイントに到達した症例は、ステップアップ群が332例、ステップダウン群が313例であった。脱落のおもな理由はフォローアップの非完遂であった。6ヵ月後の治療成功例はステップアップ群が238例(72%)、ステップダウン群は219例(70%)であり、有意な差は認めなかった(オッズ比:0.92、95%信頼区間:0.7~1.3)。医療コストの平均値は、ステップダウン群の245ユーロに対しステップアップ群は228ユーロと費用効果が有意に優れた(p=0.0008)。この差はおもに薬剤費によるものであった。少なくとも1つ以上の有害事象が報告された症例は、ステップアップ群が94例(28%)、ステップダウン群は93例(29%)と同等であった。全例に主症状以外の胃腸症状、下痢、便秘、味覚障害などの軽度の有害事象が見られた。著者は、「プライマリ・ケアにおける新規発症胃腸障害の初期治療では、ステップアップ戦略とステップダウン戦略の治療成功率は同等であったが、前者のほうが費用効果が優れた」と結論する一方で、「プライマリ・ケアでは重要な情報」として、「PPIを最初に投与する経験的な戦略のほうが効果が早く現れ、とくに胃食道逆流症状の見られる症例でその傾向が顕著であった。ジェネリック医薬品の制酸薬を用いた場合は、費用効果の差は小さくなった」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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非心臓手術周術期のβ遮断薬投与は不要?

米国心臓学会/米国心臓協会(ACC/AHA)のガイドラインの推奨にもかかわらず、非心臓手術時の周術期における心血管死や脳卒中の予防を目的としたβ遮断薬の使用を支持する確固たるエビデンスはないことが、米Brigham and Women's病院循環器科のSripal Bangalore氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。Lancet誌2008年12月6日号(オンライン版2008年11月11日号)掲載の報告。33試験に参加した1万2,306例を対象とするメタ解析実施周術期患者評価に関するACC/AHAのガイドラインでは非心臓手術時の周術期におけるβ遮断薬の使用が推奨されている。しかし、最近報告されたPOISE試験などこれを支持しない臨床試験もいくつかあるという。研究グループは、非心臓手術を受けた患者に対する周術期のβ遮断薬投与を評価したエビデンスについて厳格なレビューを行った。PubmedおよびEmbaseを用いて、非心臓手術時のβ遮断薬の使用について調査した無作為化対照比較試験のデータを検索した。30日全死亡率、心血管死亡率、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全、心筋虚血、および周術期の徐脈、低血圧、気管支攣縮に関する安全性アウトカムのデータを抽出した。33試験に参加した1万2,306例が対象となった。ACC/AHAガイドライン委員会は周術期β遮断薬使用の見解を緩和すべきβ遮断薬を投与しても、全死亡率、心血管死亡率、心不全のリスクは低下しなかった。また、β遮断薬投与により非致死的心筋梗塞および心筋虚血が低下した(オッズ比:それぞれ0.65、0.36)が、その代償として非致死的脳卒中が増加した(オッズ比:2.01)。β遮断薬の効果が高いとする試験の多くが、バイアスのリスクの高い試験であった。安全性については、周術期にβ遮断薬を使用すると治療を要する徐脈および低血圧のリスクが上昇した。気管支攣縮のリスク上昇は見られなかった。著者は、「非心臓手術を受けた患者では、周術期の心血管死や脳卒中などの臨床アウトカムの予防にβ遮断薬を使用することを支持するエビデンスは確認されなかった」と結論し、「ACC/AHAガイドライン委員会は、結論的なエビデンスが提出されるまで周術期β遮断薬使用の見解を緩和すべき」としている。(菅野守:医学ライター)

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ACE阻害薬、利尿薬とよりもCa拮抗薬との併用のほうが優れる:ACCOMPLISH試験

 米国の現行の高血圧治療ガイドライン(JNC 7)では、ハイリスクの高血圧患者に対してサイアザイド系利尿剤を含んだ併用療法を用いることを推奨しているが、最適な併用治療は十分に検討されていなかった。国際的な多施設共同試験ACCOMPLISHは、ACE阻害薬「ベナゼプリル」+ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬「アムロジピン」と、「ベナゼプリル」+サイアザイド系利尿薬「ヒドロクロロチアジド」とを比較したもので、ACE阻害薬+Ca拮抗薬併用療法のほうが、心血管イベントの減少効果が優れていることを報告した。NEJM誌2008年12月4日号より。アメリカ、北欧の計5ヵ国548施設から1万強が参加 ACCOMPLISH(Avoiding Cardiovascular Events through Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension)試験は多施設共同無作為化二重盲検試験で、アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの5ヵ国548施設から参加した、心血管イベントリスクが高い高血圧患者1万1,506例(2003年10月登録開始)を、ベナゼプリル+アムロジピン併用療法群(Ca拮抗薬併用群)とベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法群(利尿薬併用群)に割り付け行われた。 両群の患者基線値は同等。試験は、追跡平均36ヵ月時点で、事前規定の試験有効性の中止基準を上回ったため早期に終了された。Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の2割減 平均血圧は、Ca拮抗薬併用群で131.6/73.3 mmHg、利尿薬併用群で132.5/74.4 mmHgで、目標血圧(140/90 mmHg以下)は前者75.4%、後者72.4%の達成率だった。 主要なアウトカムイベント(心血管系を原因とする死亡、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入院、突然の心停止後に蘇生、冠動脈血行再建)は、Ca拮抗薬併用群では552件(9.6%)だったが、利尿薬併用群では679件(11.8%)発生し、Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の0.80倍(95%信頼区間:0.72~0.90、P

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【コラム】自殺は感染する。悪意は伝染する。

時事通信によると、硫化水素による自殺者が今年1~11月の間で1007人となり、昨年1年間の29人の約35倍に上ったという。その影響として市販商品を使って簡単に発生させる方法がネット上に多数紹介されたことが挙げられるとのこと。インターネットの前に報道のあり方が硫化水素自殺の問題にはあったと思う。メディアが大きく取り上げたことをきっかけにインターネットで急速に広がったというのが経緯ではないだろうか。自殺に関する報道は慎重であるべき。自殺方法や有名人の自殺場所が報道されると、その影響を受けて後追い自殺が起きるからだ(自殺の連鎖反応=群発自殺)。メディアを介した自殺の感染といえる。それがインターネットとなれば感染の速度が加速されるだけである。自殺報道に関しては、WHO(世界保健機関)やオーストリア、ニュージーランドなどでガイドラインを出している。WHOのガイドラインでは、写真や遺書を公表しない、自殺の方法について詳細に報道しない、自殺を美化したりセンセーショナルに報じない、といった原則を設けている。こうした点で日本のマスコミは遅れているといわざるを得ないのが現状だろう。ましてインターネットとなると規制が不可能に近い。日本の自殺者は年間3万人を越え、政府も自殺対策を進めているが、メディアの自主規制に委ねず、報道規制も真剣に検討する必要があるのではないだろうか。さらに、メディアを介して伝染するのが犯罪だ。犯罪報道が新たな犯罪を生むこともある。秋葉原の殺傷事件後、無差別殺人が続いたのは記憶に新しい。読売新聞によれば、今年1月から11月におきた「通り魔殺人」は、統計を開始した1993年以来、最も多い13件に上るという。その要因に犯罪報道の影響はないだろうか。また、大麻汚染の報道でもインターネットで種子が買えることをメディア自身が宣伝していることに気づかないのだろうか。犯罪報道の問題は自殺報道以上に遅れている。ましてインターネットには犯罪を誘発する情報があふれている。インターネットも規制と自由と自己責任を考える時期かもしれない。

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日本のざ瘡治療が変わるとき

ガルデルマ株式会社主催によるざ瘡治療に関するセミナーが開催され、「日本のざ瘡治療が変わるとき」と題し、東京女子医科大学 皮膚科教授 川島眞氏による講演が行われ、日本におけるざ瘡治療の現状の問題点から新薬発売後の日本におけるざ瘡治療の展望が述べられた。下記にその内容をレポートする。ニキビ患者さんの32.5%が病院での治療に不満足川島氏によると、尋常性ざ瘡は、日本の男性92%、女性94%が経験する疾患であるが、若年代層(全793名)に行われた調査結果から、ざ瘡患者の36%がOTC薬を購入、35%が自身によるスキンケアで対処し、病院での治療は12%に過ぎないことが分かったという。また、病院で治療を受けている患者においても、治療満足度は67.5%、不満との回答が32.5%と十分な評価を得られていないのが実態と話す。一方、従来、ニキビは深刻な疾患とは捉えられてこなかったのが実情だが、ざ瘡患者のQOLをSkindex-16(皮膚疾患特異的QOL尺度)を用いて検討した結果、たとえ軽症であっても、感情面でのQOLの低下は他の皮膚疾患と比しても高いことが認められたと報告されており、決して軽視できない疾患であることが示されていると指摘する。ニキビ治療の現状と今後の展望ざ瘡治療に対する患者の不満の原因として、川島氏は、日本の保険薬価収載医薬品が海外のニキビ治療のアルゴリズムと比較して非常に少ないことも原因の一つに挙げる。特に海外においては、軽症から中等症までの第一選択薬である外用レチノイドが1995年より発売が開始され、第一選択薬として汎用されているにもかかわらず、日本では今まで処方出来なかったため、患者はもちろん、治療する側の医師にとってもニキビ治療は満足度の低いものだった。そんななか、日本でも外用レチノイド「ディフェリン ゲル0.1%(一般名: アダパレン)」が本年10月に発売された。アダパレンは、表皮角化細胞の分化を抑制することで、面皰を減少させることが可能となることが第3相試験の結果から証明されており、ざ瘡の病態進の展初期段階で角化異常を抑える治療の可能性が示されているという。日本のざ瘡治療は新時代へ皮膚疾患におけるエビデンスに基づく医療の推進、ざ瘡に対する積極的な治療へのニーズのなか、ざ瘡治療に対する臨床現場の混乱を防ぐため、本年9月、日本皮膚科学会より「ざ瘡治療ガイドライン」が策定された。ガイドラインの治療アルゴリズムにおいても、アダパレンは第一選択薬として位置づけられており、川島氏は、アダパレンの登場により日本のざ瘡患者さんのQOLが向上することが期待され、「日本のざ瘡治療は新しい時代」に入ったと話している。●「ディフェリン」総合情報サイトhttp://www.differin.jp/index.html

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HIV感染乳児への抗レトロウイルス療法戦略

HIV感染乳児は年長児よりも疾患の進行が早く、死亡率も高い。特にCD4リンパ球の割合(CD4パーセンテージ)が高いほどその傾向が強まる。そのため抗レトロウイルス療法の早期開始が求められるが、利用できる薬剤や毒性の問題などが解決されていなかった。本報告は、HIV感染乳児への抗レトロウイルス療法戦略を検討するChildren with HIV Early Antiretroviral Therapy(CHER)試験のフェイズIIIからの早期アウトカムの報告で、NEJM誌2008年11月20日号に掲載された。治療開始待機群と早期治療群に無作為割付CHER試験は、英国MRC臨床試験ユニットとNIHが南アフリカ共和国との共同で取り組む国際的なAIDS研究プログラムで、南アフリカの2つのセンターを拠点とする無作為化オープンラベル試験。胎内もしくは分娩時にHIV感染した生後6週~12週のCD4パーセンテージ25%以上の乳児が登録され、3つの治療群、(1)CD4パーセンテージが20%未満(1歳未満の場合は25%未満)に低下した場合に治療開始、(2)臨床基準(2006年版WHOガイドライン準拠)を満たした場合に治療開始(待機群)、(3)即時開始し1歳もしくは2歳時まで治療(早期治療群)、に無作為に割り付けられ実行された。抗レトロウイルス療法は、ロピナビル-リトナビル、ジドブジン、ラミブジン。本論では、待機群と早期治療群とを比較検討した2007年6月時点での早期アウトカム(死亡、疾病の進行)が報告された。早期治療群のほうが死亡率75%、病期の進行76%低下対象乳児は2005年8月~2007年2月の間に登録された待機群125例、早期治療群252例で、年齢の中央値7.4週、CD4パーセンテージの中央値は35.2%だった。待機群は追跡期間中央値40週後に、66%が抗レトロウイルス療法を開始していた。死亡は、待機群20例(16%)、早期治療群は10例(4%)で、ハザード比は0.24(95%信頼区間:0.11~0.51、P

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医学生の不節制飲酒を正すためにも

米国医学生の多飲、不節制飲酒は、同年代で広がっているほどではないものの、ごく一般的に見られること、また医学教育のルーチンな臨床トレーニングとして、飲酒に関するスクリーニングやカウンセリングを取り入れることが、ガイドラインで推奨され費用対効果に優れたカウンセリングによる患者ケアの実施率を上げ、学生および一般の多飲酒者を減らすことに結びつくとの報告が、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のErica Frank氏らによって報告された。BMJ誌2008年11月15日号(オンライン版2008年11月7日号)より。カウンセリング診療実施への影響因子を探る本研究は、米国では多飲酒者の75%が保険診療でカウンセリングを受けられるにもかかわらず、また過去24ヵ月以内に多飲であると申告しているにもかかわらず、医療提供者が飲酒に関する質問をほとんどしていないとの状況があることを踏まえ、医学生に着目し、飲酒に関する診療に影響を及ぼしている因子の同定を試みたもの。米国の代表的な16医学部の学生を対象にアンケート調査を、1年次開始時(1999年夏/秋)、3年次進級時、最終年次(2003年)にそれぞれ行った。回答率は83%。学生の34%が「過度な飲酒者」アンケートから、「前月に飲酒した」学生は全体で78%(3,777/4,847)だった。年次ごとに見ると、3年次進級時が34%(1,668/4,847)で最も割合が多い。全体の34%(1,666例:男性1,126例、女性540例)を占める「過度な飲酒者」(5杯/日以上がある、飲酒日の酒量が男性平均2杯/日超、女性平均1杯/日超のいずれかに該当)の飲酒日数は、約4分の3が14日/月以下に該当した。また酒量は、男性は62%(696/1,124)が3杯/日以上、5杯/日以上も18%(201/1,124)いる。女性は89%(478/539)が2杯/日以上、4杯/日以上が22%(117/539)だった。さらに、5杯/日以上飲んだ日が複数回あったと回答したのは、男性61%(691/1,126)、女性44%(229/520)だった。教育トレーニング導入で、カウンセリング実施率は2倍にカウンセリングと患者ケアとの関連を強く確信している学生の割合は、3年次進級時が61%(919/1,516)で最も高く、最終年次46%(606/1,329)を上回った。その確信は、プライマリ・ケアを志向する学生ほど強かったが、最終年次学生で患者と飲酒に関して話を「いつも/常に」すると回答したのは28%(391/1,393)に過ぎなかった。また「過度な飲酒者」ほど、患者にカウンセリングをすることや、カウンセリングと患者ケアとの関連を結び付けては考えられない傾向が見られた。その一方で多変量モデル解析の結果、飲酒に関するカウンセリングのトレーニングを大規模に行った場合、カウンセリングと臨床ケアとの関連を報告する割合は2.3倍に、またカウンセリングを行ったとする報告の割合は2.2倍といずれも倍増することが示された。これらから、学生時にトレーニングを積み確信を植え付けることが、高い臨床実践と強い信念に結びつくとし、飲酒に関する臨床トレーニングの実施を検討すべきと結論している。

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PCI前運動負荷試験、実施率は44.5%に留まる

安定した冠動脈性心疾患患者に対して、待機的な経皮的冠動脈形成術(PCI)を実施する前の、心筋虚血の検出を目的とした運動負荷試験の実施率は、44.5%に留まることが明らかになった。PCI前に同試験を実施することで、より良いアウトカムにつながることはこれまでの研究でも明らかになっており、米国の診療ガイドラインでも推奨している。これは、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGrace A. Lin氏らが、2万3,887人のメディケア(高齢者向け公的医療保険)加入者について調べたもの。JAMA誌2008年10月15日号にて掲載。地域格差大きく、PCI数の多い医師ほど実施率低い傾向調査の結果、PCI実施の前90日以内に運動負荷試験を行っていたのは、1万629人だった。地域別では、少ないところで22.1%、多いところでは70.6%と格差が大きかった。また、担当医の年間のPCI実施数が多いほど、術前の運動負荷試験の実施率は低くなっている。具体的には、年間実施数が60件未満の医師に比べ、実施数が60~94件、95~149件、150件以上の医師の運動負荷試験を実施するオッズ比は、それぞれ、0.91、0.88、0.84だった。医師の年齢によっても、格差があった。50~69歳の医師は、40歳未満の若い医師に比べ、同試験を実施しない傾向にあり、逆に70歳以上の医師は、40歳未満の医師よりも同試験を実施する傾向が見られた。人種別では黒人が、また胸痛歴のある人も実施率が高く、オッズ比はそれぞれ1.26と1.28だった。逆に女性や85歳以上、うっ血性心不全歴のある人、心カテーテル法実施歴のある人は実施率が低く、オッズ比はそれぞれ、0.91、0.83、0.85、0.45だった。実施したPCIの必然性に疑問Lin氏らはまた、民間保険加入者についてもPCIを行う1年前までの、運動負荷試験の実施率について調べたが、34.4%とさらに低かった。同氏らは、心筋虚血の検出を行わずにPCIを行うことで、PCIの実施が不適切な患者に対しても過剰に行っている可能性があると指摘している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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患者や治療の違いがP4Pの格付けに関連

米国で医療に導入されたインセンティブ「治療成績に応じた医療費の支払い」(pay-for-performance:P4P)について、病院プロセス・パフォーマンスランキング(hospital process performance rankings:病院ランキング)との関連を調べていたデューク大学病院(ノースカロライナ州)のRajendra H. Mehta氏らは「各医療機関の患者の特徴や治療の違いが、P4Pの格付けと病院ランキングに関連することが示された」と報告した。JAMA誌2008年10月22日号より。はじめに病院ランキングを分析2000年1月2日~2008年3月28日まで、米国心臓病協会(AHA)ガイドラインデータを用いて、メディケア・メディケイド・サービスセンターが定義した急性心筋梗塞の基準に基づく病院プロセス・パフォーマンスを分析した。各病院はまず、複合プロセス・パフォーマンスに基づいてランク付けされ、さらに階層モデルを用いた患者の人口統計学的実態と臨床的特徴の評価によって再び順位付けられた。その後、病院ランキングと、P4Pの経済的インセンティブ区分(上位20%、中位60%、下位20%)の違いを比較した。主要評価項目は、病院ランキングとP4Pのインセンティブ区分とした。449施設の急性心筋梗塞患者14万8,473例を検証最終的に449施設の急性心筋梗塞患者計14万8,472例について検証された。急性心筋梗塞に対する複合パフォーマンスが五分位数で最下位だった病院(n=89)は、小規模な非学術的施設であり、少数民族・人種の患者の比率が高く、五分位数で最上位の病院(n=90)に比べ複数の疾患を併せ持つ患者が多かった。観察と複合スコア補正(加重:0.74)に基づく病院ランキングは全体的に合意されたが、個々の病院ランキングは補正(中央値:22位、範囲:0~214、四分位領域:9~40)によって変化した。全施設のうち16.5%(n=74)は、患者と治療機会を考慮した後、P4Pの区分を変えていた。Mehta氏は「医療機関ごとに患者の特徴や治療機会の違いなどを考慮することが、心筋梗塞治療のP4Pプログラムにおける経済的利益の格付けと、病院ランキングの適度な変化に関連することが示唆された」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向 -「ケアネット 高血圧白書2004-2008」より-

ケアネットが提供するサービスに利用登録している医師(ケアネット会員医師)に対する「高血圧症に関する医師の治療意識」に関する5年間におよぶ調査結果より、薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向にあることが明らかになった。ケアネットでは、毎年6月(2004年は5月に実施)に「高血圧症に関する医師の治療意識に関するインターネット調査」をケアネット会員医師に対し実施し、目標回収数を500名(2007年までは1,000名)とし、2004年より実施してきた。本調査項目の中から、「薬物治療開始血圧値」と「降圧目標値」に関する5年間におよぶ調査の結果がまとまったので以下に示す。「薬物治療開始血圧値」は、5年間で6.5~3.3mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。その結果、患者年齢が高いほど薬物治療の開始血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、薬物治療に対し、積極的になっている傾向がうかがえた。 65歳未満患者: 151.8mmHg(2004年5月)→148.5mmHg(2008年6月)65~74歳患者: 155.1mmHg(2004年5月)→150.6mmHg(2008年6月)75歳以上患者: 160.4mmHg(2004年5月)→153.9mmHg(2008年6月)「降圧目標値」も、5年間で4.3~1.2mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧治療の目標としている血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。患者年齢が高いほど治療の目標血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、血圧コントロールの重要性への認識が高まっていることがうかがえた。 65歳未満患者: 133.3mmHg(2004年)→132.1mmHg(2008年)65~74歳患者: 137.4mmHg(2004年)→135.4mmHg(2008年)75歳以上患者: 142.7mmHg(2004年)→138.4mmHg(2008年)後期高齢者の薬物治療には、まだ消極的「薬物治療開始血圧値」の回答分布をまとめたところ、患者の年齢が65歳未満においては、2004年調査では150mmHgを降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値としている医師が最も多かったが(140mmHg:22%、150mmHg:37%、160mmHg:31%)、2008年調査で最も多かった「薬物治療開始血圧値」は140mmHgであった(140mmHg:36%、150mmHg:34%、160mmHg:19%)。一方、75歳以上の後期高齢者に対しては、2008年調査においても160mmHg以上になってから薬物治療を考慮する医師が全体の45%を占めた。すなわち、患者の血圧が140、150mmHgでは薬物治療を開始せず、しばらく生活習慣の改善を指導し、血圧が160mmHg付近に達した時点で、ようやく薬剤処方を検討するといった消極的な医師が多いことがうかがえる。10年前の常識が非常識になる!?これは「加齢に伴い血圧が高くなるのは生理現象であり、治療の必要性はない」、「収縮期血圧は“年齢+90mmHg”くらいを目安に」という考え方が長らく支配的であり、2000年6月に発表された「高血圧治療ガイドライン2000(JSH2000)」においても80-89歳の患者に対する薬物治療開始血圧値は「160~180mmHg以上/90mmHg以上」が推奨されていたことが影響していると考えられる。現在のJSH2004では“患者年齢に関わらず、生活習慣の修正を指導し、1~3ヵ月後に140/90mmHg以上なら降圧薬治療を開始すべき”と推奨しており、薬物治療開始を単純に血圧値での判断するようなものではないが、「薬物治療開始血圧値」は140/90mmHgである。また、本年5月には「80歳以上の高血圧患者に対しても薬物治療によって、脳卒中、心不全の発症率を抑えることができ、死亡率も低下する」という後期高齢者の降圧薬治療を支持する結果が発表されている1)。このHYVET(Hypertension in the Very Elderly Trial)と呼ばれる大規模介入試験は、80歳以上の収縮期高血圧症3,845例を対象に、利尿薬インダパミド±ACE阻害薬ペリンドプリルによる降圧薬治療群とプラセボ群を無作為化比較したものであり、降圧薬治療によって1次評価項目である「脳卒中発症」が30%低下し(p=0.06)、「総死亡」が21%低下した(p=0.02)。[詳しくはこちら]第31回高血圧学会学術総会でのディスカッションに期待!2009年1月、日本高血圧学会によりJSH2004が5年ぶりに改訂され、「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」が発行される予定である。今回は前述のHYVETなど2004年以降に発表された海外の大規模介入試験だけでなく、日本人を対象とした大規模介入試験もエビデンスとして取り入れられることになっており、注目が高まっている。なお、この新しいガイドラインの草案は、2008年10月11日に「第31回日本高血圧学会学術総会」の『特別企画 JSH2009ガイドライン』にて議論される予定である。このセッションにおいても『高齢者高血圧』は採り上げられており、樂木宏実氏(大阪大学大学院老年・腎臓内科学)の講演の後、指定討論者として桑島巌氏(東京都老人医療センター循環器科)という活発な討論が期待される本学術総会の目玉の1つである。 文献1) Beckett NS et al :N Engl J Med. 2008; 358: 1887-1898.(ケアネット 藤原 健次)

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大鵬薬品、ユーゼル錠の国内製造を開始

大鵬薬品工業株式会社は10月1日、従来輸入販売していた還元型葉酸製剤ユーゼル(ホリナートカルシウム)錠の自社国内製造を開始したと発表した。今回の自社国内製造で、錠剤の重量を従来の約半分に小型化することが可能になり、患者さんがより服薬しやすくなることが期待されるという。ユーゼル錠は、抗がん剤テガフール・ウラシル配合剤と併用することにより、結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果を増強する働きがある。本療法は「大腸癌治療ガイドライン」に、大腸癌に対する標準化学療法の中でも経口投与可能な治療法として掲載されている。また、EU諸国でもホリナート・テガフール・ウラシル療法(ユーエフティ/ユーゼル療法)として大腸癌に対する効能が得られている。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/20081001.html

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小児ケアの質はヘルスワーカーの訓練期間の長さで異なるか?

Integrated Management of Childhood Illness(IMCI)の訓練は、ヘルスワーカーの訓練の期間の長さやレベルにかかわらず、小児のケアにおいてほぼ同等の質をもたらすことが、中~低所得の4ヵ国における1次医療施設のデータ解析で判明した。小児死亡率の高い国は、質の高いヘルスワーカーが不足している傾向がある。一方、ヘルスワーカーのケアの質を評価した高度なエビデンスはほとんどないという。ペルー・サンマルコス国立大学のLuis Huicho氏が、Lancet誌2008年9月13日号で報告した。訓練期間の異なるヘルスワーカーによるケアの質をIMCIガイドラインで評価研究グループは、100ヵ国以上が導入しているIMCIの訓練を受けたヘルスワーカーの能力を個々のカテゴリー別(医師、看護師、看護助手、医療補助員など)に評価した。バングラデシュ(2003年)、ブラジル(2000年)、ウガンダ(2002年)、タンザニア(2000年)の1次医療施設から得られたデータについて解析を行った。ヘルスワーカーの臨床能力を、訓練期間が長い群[中等教育終了後4年以上の訓練(ブラジル)あるいは3年以上の訓練(他の3ヵ国)]および短い群(それ以外の全ヘルスワーカー)で比較した。IMCIガイドラインに従い、ヘルスワーカーのケアの質を疾病に罹患した小児の評価、分類、管理の指標によって数値化した。全患児が、IMCIに基づく訓練を受けたヘルスワーカーとgold standardを体得したスーパーバイザーによる診査を受けた。短期訓練ヘルスワーカーも十分な役割を果たしうる対象となった小児はバングラデシュが272例、ブラジルが147例、タンザニアが231例、ウガンダが612例であった。ブラジルでは、長期訓練ヘルスワーカーによる管理を受けた患児が57.8%(43例)であったのに対し、短期訓練ヘルスワーカーによる管理を受けた患児は83.7%(61例)であり(p=0.008)、ウガンダではそれぞれ23.1%(47例)、32.6%(134例)であった(p=0.03)。ブラジルでは、患児の評価と管理の能力は医師よりも看護師のほうが優れており、分類の正確さについても両者でほぼ同等であった。ウガンダでは、短期訓練群のほうが長期訓練群よりも管理能力が優れていたが、いずれの群も他国に比べ劣っていた。バングラデシュでは、いずれの臨床業務の能力も両群でほぼ同等であった。タンザニアでは、長期訓練群は短期訓練群に比べ患児の総合評価の能力が有意に優れていた(p=0.004)。それ以外の臨床業務については、4ヵ国のヘルスワーカーの能力に有意な差は認めなかった。著者は、「IMCIの訓練は、個々のカテゴリーのヘルスワーカーの訓練期間の長さやレベルにかかわらず、ほぼ同等の小児ケアの質をもたらした」と結論し、「医療サービスの不足している地域で短期の訓練しか受けていないヘルスワーカーも、IMCIの拡大戦略や他の小児死亡率の抑制策において十分な役割を果たす可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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高血圧治療ガイドライン改訂案が公表!意見公募始まる

9月20日、高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)の改定案が日本高血圧学会ホームページにて公開された。この内容は9月30日まで一般から意見を公募し、10月11日に札幌にて開催される日本高血圧学会のシンポジウムにて討論される。高血圧治療ガイドライン改訂案はこちらhttp://www.jpnsh.org/manuscript080920.html

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