救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/07 最近の専門ガイドラインでは、救急部門(ED)に搬送されてきた激しい興奮を呈する患者へのファーストライン治療として、第二世代抗精神病薬(SGA)の経口投与が推奨されているが、現実的にはほとんど投与は行われておらず、処方の増加もみられないことが判明した。また投与されている場合は通常は経口投与で、しばしばベンゾジアゼピン系薬の併用投与を受けており、アルコール依存症患者への処方頻度が最も高かったことも明らかになった。米国・UC San Diego Health SystemのMichael P. Wilson氏らが報告した。Journal of Emergency Medicine誌オンライン版2014年3月21日号の掲載報告。 これまでEDにおいて、どのような薬物投与が行われているのか、SGAがどれくらい処方されているのかは不明であった。研究グループは、1)患者特性、ベンゾジアゼピン系の併用投与を調べ、またSGAの使用についてハロペリドールまたはドロペリドールの使用と比較すること、2)ED患者へのSGA処方率の経時的変化を調べた。2つの大学EDを2004~2011年に受診した患者コホートを後ろ向きに分析した。コホートの患者は、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン(国内未発売)の処方を受けていた。記述的分析法にて年齢、性別、ハロペリドール/ドロペリドールなど第一世代抗精神病薬(FGA)の使用、ベンゾジアゼピン系薬併用使用の割合を比較。線形回帰分析法にてSGA処方が時間とともに増大しているかを調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・試験期間中にEDを受診しSGA処方を受けていた記録は、患者1,680例、1,779件であった。 ・EDでSGA処方を受けた患者の大半は、経口投与であった(93%)。 ・ベンゾジアゼピン系薬の併用は、受診者の21%でみられた。また受診者の21%がアルコールに関連した患者であった。 ・EDにおけるSGA使用の割合は、時間とともに増加はしていなかった。 関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? (ケアネット) 原著論文はこちら Wilson MP, et al. J Emerg Med. 2014 Mar 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] VTE後の抗凝固療法、90日以上継続で再発リスク大幅低下/BMJ(2025/12/10) 未治療および再発・難治性CLL/SLLへのピルトブルチニブ、イブルチニブと直接比較(BRUIN-CLL-314)/JCO(2025/12/10) 成人の肺炎球菌感染症予防の新時代、21価肺炎球菌結合型ワクチン「キャップバックス」の臨床的意義/MSD(2025/12/10) 日本におけるアルツハイマー病診断の時間短縮フロー〜東京大学(2025/12/10) アトピー性皮膚炎へのウパダシチニブ、増量および減量の有効性と安全性/BJD(2025/12/10) ヌシネルセンの高用量処方はSMA患者のQOLをさらに改善する/バイオジェン(2025/12/10) 飲酒が加齢性難聴リスクに影響~日本人1万4千人のデータ(2025/12/10) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答9【小児診療編】(2014/02/17) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)