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乳がん周術期化学療法後に長期持続する有害事象、患者報告アウトカムで明らかに~日本の前向き研究

 乳がん周術期化学療法終了後、末梢神経障害、味覚異常、不眠、爪脱落が6ヵ月以上持続することが、患者報告アウトカム(PRO)に基づく質問票を用いた前向き観察研究で明らかになった。日本医科大学の藤井 孝明氏らがCancer Diagnosis & Prognosis誌2026年3月1日号で報告した。 本研究は、2016年1月~2023年3月に群馬大学でドセタキセル/シクロホスファミド療法(TC)またはアントラサイクリン系とタキサン系併用療法(A+T)による周術期化学療法を受けた手術可能な原発性乳がん患者を対象に、化学療法後の有害事象の長期経過を評価した。化学療法終了時および6ヵ月後に、本研究のために作成されたCTCAE準拠のPROに基づく質問票を用いて、悪心、嘔吐、口腔粘膜炎、便秘、下痢、味覚異常、不眠、末梢神経障害、爪脱落、脱毛について尋ねた。各有害事象の頻度および重症度についてレジメン間で比較し、経時的変化を分析した。 主な結果は以下のとおり。・計115例(年齢中央値:50歳)を評価した。・化学療法終了時点では、悪心、嘔吐、口腔粘膜炎、便秘、味覚異常、不眠、末梢神経障害、爪脱落が多かったが、6ヵ月後には消化器症状の頻度は減少していた。・いくつかの有害事象、とくに末梢神経障害、味覚異常、不眠、爪脱落は6ヵ月超持続した。末梢神経障害はGrade3の症状が持続し、爪脱落は6ヵ月時点で増加していることが確認された。・TC群と比較して、A+T群では末梢神経障害の持続期間が長かった。 著者らは「この結果は、化学療法中だけでなく化学療法終了後の数ヵ月間もモニタリングを行うことの重要性を強調している。PROに基づく質問票をフォローアップケアに組み込むことは支持療法の最適化のために重要な可能性がある」とまとめている。

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濾胞性リンパ腫、R-CHOP療法の15年PFS(SWOG S0016)/JAMA Oncol

 濾胞性リンパ腫(FL)に対する、CHOP(シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン/ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン/プレドニゾロン)ベースの化学免疫療法後の長期寛解および治癒の可能性を評価したSWOG S0016試験の15年間の追跡データを、米国・Fred Hutch Cancer CenterのMazyar Shadman氏らが報告した。この2次解析の結果、進行期FL患者の一部がリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)により治癒を達成可能であり、再発率が時間経過とともに低下することが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2026年2月26日号に掲載。 本試験は、全米の大学病院および地域医療機関で実施された多施設共同試験で、未治療の進行期FL患者が登録された。治癒モデリング(治癒した患者の割合を推定するモデル化)は、S0016試験期間中のFL治癒率を推定するため背景死亡率を組み込んで実施した。患者登録は2001年5月~2008年10月、追跡期間中央値は15.5年(四分位範囲:13.6~16.9)、2025年6月に解析した。患者をリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)群またはCHOP後に放射免疫療法(RIT)を追加するCHOP-RIT群に無作為に割り付けた。主要評価項目は15年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)、副次評価項目は治癒モデリングなど。 主な結果は以下のとおり。・最終解析には適格患者531例(女性46%、年齢中央値53歳)が組み入れられ、R-CHOP群267例、CHOP-RIT群264例であった。・15年OSは70%で両群間に有意差はなく、15年PFSは40%(95%信頼区間:36.0~44.7)であった。・15年PFSはCHOP-RIT群が47%でR-CHOP群の34%と比較して優越性を示した(p=0.004)。・治癒モデルでは全体治癒率が42%と推定され、FL国際予後指標スコアが低く、β2ミクログロブリン値が正常な症例で最も高い治癒率が観察された。・再発率は、最初の5年間では6.8%、15~20年では0.6%と、時間経過とともに大幅に減少した。 著者らは、「この知見はFLの理解と治療アプローチにおけるパラダイムシフトを表し、患者との初回相談や将来の研究戦略に影響を与えるもの」としている。

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IgA腎症〔IgA nephropathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgA腎症は、糸球体性血尿や蛋白尿などの検尿異常が持続し、腎生検で腎糸球体メサンギウム領域を中心としたIgA優位の免疫グロブリン沈着を認め、全身性疾患や慢性疾患など明らかな原因疾患を伴わない原発性糸球体腎炎である。確定診断には腎生検が必須である。■ 疫学IgA腎症は、世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎であり、わが国を含む東アジアでとくに多いとされる。わが国では学校検尿や健康診断が普及しているため、無症候性血尿・蛋白尿を契機に若年~中年で診断される例が多い。一方、欧米では症候性の症例や腎機能障害を伴って初めて診断される例が多いとされる。■ 病因病因としては、「粘膜免疫異常により過剰産生された糖鎖異常IgA1が、自己抗体や補体と免疫複合体を形成し、糸球体メサンギウムに沈着して炎症と線維化を惹起する」というマルチヒット仮説が提唱されている。遺伝的素因も関与しており、HLA領域や粘膜免疫関連遺伝子の関連が報告されている。■ 症状多くは自覚症状に乏しく、持続する顕微鏡的血尿・軽度蛋白尿のみである。上気道感染や消化管感染の数日後に肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)を来す例が典型的である。進行例では浮腫、高血圧、倦怠感など慢性腎臓病(CKD)としての症状が出現する。■ 分類組織学的には腎糸球体メサンギウム増多所見が主体であるが、半月体形成、分節性硬化、全節性硬化など多彩な像をとる。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する。■ 予後かつての長期追跡では、診断後20年で約4割が慢性腎不全に至ると報告され、決して良性の腎炎ではないことが明らかとなった。近年では、早期発見・レニンアンギオテンシン(RA)系阻害薬の普及などにより予後は改善しつつあるが、蛋白尿が持続する例や腎機能障害を伴う例では依然としてCKD進行のリスクが高い。国際IgA腎症予測ツール(International IgAN Prediction Tool)により、臨床所見とMEST-Cスコアを組み合わせた予後予測も行われている。2 診断■ 検査1)尿検査持続する顕微鏡的血尿(尿定性検査に加え、尿沈査分析が必要。しばしば赤血球円柱がみられる)程度の異なる蛋白尿(しばしば0.3~1g/日程度から始まり得る)急性上気道炎や消化管感染後の一過性肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)2)血液検査血清クレアチニン、推算糸球体ろ過量(eGFR)で腎機能を評価する。血清IgA値はしばしば高値だが、診断的特異性は高くない。補体価は通常正常であり、低補体血症では他疾患を考慮する。3)腎生検IgA腎症の確定診断には腎生検が必要である。腎生検は、確定診断のみならず予後や治療反応性を予測する上でも重要である。光顕でメサンギウム増殖性糸球体腎炎を示し、免疫蛍光法でメサンギウム優位のIgA沈着(しばしばC3が共に沈着)を認める(図1、2)。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する(表)。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、IgA腎症が疑われる成人で蛋白尿0.5g/日以上が持続する場合、腎生検を考慮することが推奨されている。図1 IgA腎症の代表的な光顕所見画像を拡大する画像を拡大するa:メサンギウム細胞増多(↑)とメサンギウム基質増生(*)b:メサンギウムへの半球状沈着物(↑)c:管内細胞増多を示す糸球体糸球体毛細血管内の細胞数が増加し、管腔が狭小化している(↑)d:係蹄壊死この糸球体では毛細血管基底膜が断裂し(↑)、フィブリンの析出(*)がみられるe:細胞性半月体この糸球体の半月体は、ほとんどが細胞成分で占められているf:線維細胞性半月体この半月体は細胞成分10%以上50%未満で、細胞外基質は90%未満であるg:線維性半月体この半月体は細胞成分10%未満で、細胞外基質が90%以上を占めているh:分節性硬化点線で囲まれた部分に硬化がみられ、硬化はすべての係蹄には及んでいない(参考文献1、2より引用)図2 蛍光抗体法(IgA)画像を拡大する主にメサンギウム領域にIgAが高度に沈着している(参考文献1より引用)表 IgA腎症Oxford分類画像を拡大する■ 鑑別診断IgA腎症と類似する状態として、以下の疾患などと鑑別する必要がある。菲薄基底膜病、アルポート症候群など遺伝性血尿疾患IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病):紫斑、腹痛、関節痛など全身症状を伴う。感染関連糸球体腎炎(とくにMRSA感染に伴うIgA優位の感染関連糸球体腎炎)ループス腎炎など他の自己免疫性腎炎慢性肝疾患に伴う二次性IgA沈着症家族歴を含む臨床背景、血清学的検査、腎生検での所見を総合して診断する。3 治療■ 治療の基本方針治療の第1目標は、蛋白尿をできるだけ低く抑え(目標0.5g/日未満、理想的には0.3g/日未満)、腎機能低下速度を生理的なレベル(年間eGFR低下1mL/分/年未満)に近付けることである。■ 腎保護療法すべての患者に以下の腎保護療法が基本となる。生活習慣介入:減塩(食塩<6g/日が目安)、適正体重の維持、禁煙、適度な運動。血圧管理:目標<130/80mmHg(蛋白尿が多い例ではさらに厳格に)。RA系阻害薬:ACE阻害薬またはARBは蛋白尿減少と腎保護効果のエビデンスがあり、IgA腎症でも第1選択である。SGLT2阻害薬:糖尿病の有無にかかわらずCKD進行抑制効果が示されており、蛋白尿を伴うIgA腎症では追加投与が推奨されている。■ 免疫抑制療法腎保護療法を十分に行っても蛋白尿が持続し、腎機能低下が進行する例では免疫抑制療法を検討する。副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド):わが国のガイドラインでは、中等度以上の蛋白尿や組織学的重症例で、一定期間のステロイド療法が推奨されている。ただし、糖尿病、肥満、感染など副作用リスクが高い症例では慎重な適応判断が必要である。扁摘+ステロイドパルス療法:わが国では、口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法の併用が長年行われており、蛋白尿の寛解や長期予後改善を示す国内データが蓄積している。その他の免疫抑制薬:シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)などについては一定の効果報告もあるが、エビデンスは限定的であり、難治例や特別な状況に限って専門医のもとで検討されるべきである。■ 高リスク例・特殊病型急速進行性糸球体腎炎像(半月体多数、急激なeGFR低下)を示す例では、ステロイド大量療法にシクロホスファミドなどを併用する血管炎に類似した治療が行われるが、エビデンスは限られている。ネフローゼ症候群を呈する微小変化病合併IgA腎症などでは、ステロイド単独でも反応性が良い場合が多い。4 今後の展望■ 新たな診断・予後マーカー血中の糖鎖異常IgA1(galactose-deficient IgA1)やそれに対する自己抗体、補体関連マーカーなどがIgA腎症に特異的なバイオマーカー候補として研究されているが、現時点では診断や治療選択に用いる標準検査としては確立していない。国際IgAN予測ツールや病理MEST-Cスコアを活用したリスク層別化が進み、今後は個々の患者に応じた治療強度の決定に応用されることが期待される。■ 新規治療薬近年、IgA腎症の病態(粘膜免疫・補体・腎保護)を標的とした新規薬剤の開発が急速に進んでいる。標的放出型ブデソニド(Nefecon):回腸末端の腸管関連リンパ組織に到達するよう設計された経口ステロイドで、病的IgA1産生の抑制を目的とする。海外第III相試験では蛋白尿減少とeGFR低下抑制が示され、欧米などで承認されているが、わが国ではまだ使用できない。デュアルET-A/AT1受容体拮抗薬(sparsentan):ARB作用に加えエンドセリン受容体拮抗作用を併せ持ち、蛋白尿減少とeGFRスロープ改善を示している。補体阻害薬:経口補体因子B阻害薬iptacopanをはじめ、C5、C3、レクチン経路などを標的とした薬剤がIgA腎症で検証されており、一部は海外で承認されつつある。B細胞/BAFF・APRIL経路阻害薬:自己抗体産生抑制を目的としたataciceptや他の抗BAFF/APRIL抗体が臨床試験段階にある。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、「病的IgA産生と免疫複合体形成を抑える治療」と「すでに生じたネフロン喪失に伴うCKDの進行を抑える治療」を並行して行う2本立ての治療戦略が提案されている。わが国でも、支持療法にSGLT2阻害薬などを組み合わせつつ、新規薬剤が順次導入されれば、より早期から蛋白尿を強力に抑え、長期腎予後のさらなる改善が期待される。5 主たる診療科腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター IgA腎症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難病治験ウェブ(難病に関する治験情報を簡単検索、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎障害に関する調査研究班 編集. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン 2020. 2020:東京医学社.2)厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業:進行性腎障害に関する調査研究班報告 IgA腎症分科会 IgA診療指針-第3版-補追 IgA腎症組織アトラス.日腎会誌. 2011;53:655-666.3)KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV).公開履歴初回2026年2月27日

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CAR-T liso-cel、再発・難治性辺縁帯リンパ腫に有効/Lancet

 再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)患者において、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)は持続的な高い奏効率を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのM. Lia Palomba氏らが、米国、カナダ、欧州、日本の30施設で実施した国際共同第II相試験「TRANSCEND FL試験」におけるMZLコホートの主要解析結果を報告した。再発または難治性のMZLに対する持続的で深い奏効を示す有効な治療法は、いまだ確立されていない。著者は、「今回の結果は、再発または難治性MZLに対する新たな治療選択肢としてリソカブタゲン マラルユーセルを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年2月12日号掲載の報告。2レジメン以上の治療歴がある再発・難治性MZL患者が対象 研究グループは、少なくとも1レジメンの抗CD20抗体とアルキル化剤による併用療法を含む2レジメン以上の全身療法を受けた再発または難治性のMZL(スクリーニング前6ヵ月以内に組織学的に確認)成人患者に、リソカブタゲン マラルユーセル(CAR発現生T細胞100×106個)を投与した。 リソカブタゲン マラルユーセルの製造中は、必要に応じて病勢コントロールのためのブリッジング療法は可とした。ブリッジング療法を実施した場合は、リンパ球除去化学療法開始前にCTによる測定可能病変の再評価を必須とした。 主要エンドポイントは、Lugano分類(2014)に基づきCTにより独立評価委員会が判定した奏効率(ORR)で、帰無仮説は≦50%とした。ORRは95%、24ヵ月奏効持続割合は89% 2020年11月11日~2023年8月24日に77例が登録され、白血球アフェレーシスが実施された。このうち67例にリソカブタゲン マラルユーセルが投与され、ブリッジング療法後のCTによる再評価がなかった1例を除く66例が有効性解析対象集団となった。 67例の患者背景は、年齢中央値が62歳(四分位範囲[IQR]:57~71)で、MZLのサブタイプは節性MZLが32例(48%)、脾MZLが18例(27%)、節外性-粘膜関連リンパ組織MZLが17例(25%)であり、前治療レジメン数中央値は3(IQR:2~4)であった。 追跡期間中央値24.1ヵ月において、ORRは95%(63例)(95%信頼区間[CI]:87.3~99.1)であり、主要エンドポイントは達成された(片側p<0.0001)。 副次エンドポイントである奏効期間は、中央値に未到達で、24ヵ月奏効持続割合は89%(95%CI:72.4~95.6)であった。 治療中に発現した有害事象は、67例全例に認められた。Grade3のサイトカイン放出症候群ならびに神経学的イベントはそれぞれ3例(4%)に発現が認められた(両群ともGrade4~5の事象はなし)。Grade3以上の感染症は11例(16%)にみられ、6例(9%)は投与終了後90日以内の発症で、7例(10%)は同90日後以降の発症であった。

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再発・難治性多発性骨髄腫へのiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾンの第II相試験(ICON)/Lancet Haematol

 2~4ラインの治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫に対するiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾン(IberCd)の現在進行中の前向き単群第II相非盲検試験(ICON試験)において、追跡期間25.4ヵ月で無増悪生存期間(PFS)中央値が17.6ヵ月と良好であったことを、オランダ・アムステルダム自由大学のCharlotte L. B. M. Korst氏らが報告した。Lancet Haematology誌2026年1月号に掲載。 iberdomideは、経口セレブロンE3リガーゼモジュレーターであり、レナリドミドやポマリドミドとは薬理学的に異なりセレブロンとの親和性が高いため、直接的な抗腫瘍効果と免疫刺激効果をもたらすことが示されている。本試験は、オランダの8施設で実施され、対象は2~4ラインの治療歴がある再発・難治性多発性骨髄腫(レナリドミド耐性)患者(18歳以上、WHO PS 0~2)で、経口iberdomide(28日サイクルの1~21日目に1.6mg/日)、経口低用量シクロホスファミド(1~28日目に50mg/日)、経口デキサメタゾン(週1回40mg、75歳超は20mg)を進行するまで投与された。また、全例に血栓予防としてアスピリンもしくはcarbasalate calciumを連日経口投与した。静脈血栓塞栓症の既往がある患者には、低分子量ヘパリンのみ皮下注射した。主要評価項目はPFSで、治療開始した全例で有効性と安全性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2021年2月17日~2023年7月7日に、61例が登録されIberCd治療を受けた(女性29例、男性32例)。前治療ライン数の中央値は3(範囲:2~5)で、52例(85%)がtriple-class exposed、27例(44%)がtriple-class refractoryであった。50例が中止(うち39例は進行)したが、全例を主要解析対象集団に含めた。・中央値25.4ヵ月(四分位範囲:19.7~31.6)の追跡期間後、PFS中央値は17.6ヵ月(片側95%信頼区間:16.6~19.9)であった。・全例において、Grade3~4の有害事象で最も頻度が高かったのは好中球減少症(56%)および感染症(34%)であった。重篤な治療関連有害事象は25例(41%)で報告され、感染症が最も頻度が高かった。治療関連死はCOVID-19による1例だった。 著者らは「IberCdは再発・難治性多発性骨髄腫に対する有効な経口剤のみの併用レジメンで、臨床的に意義のある有効性を示した。本レジメンは2~4ラインの治療歴を有する患者にとって有用な治療選択肢となり、既存治療と比較して良好な結果を示した」としている。

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高リスク早期TN乳がん、術後EC+PTXにCBDCA追加で3年DFS・OS改善/BMJ

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する術後補助療法として、エピルビシン+シクロホスファミド(EC療法)後の週1回パクリタキセル(PTX)投与にカルボプラチン(CBDCA)を追加することで、新たな安全性の懸念なく早期再発リスクが低下し、生存アウトカムが有意に改善したことが示された。中国・復旦大学上海がんセンターのYin Liu氏らが、第III相の無作為化非盲検試験「CITRINE試験」の結果を報告した。高リスクの早期TNBCの予後は不良であり、術後補助療法の強化戦略の最適化が依然として必要とされていたが、TNBCに対する術後補助療法としてのアントラサイクリン/タキサン系化学療法へのカルボプラチン追加の有益性については、意見が分かれていた。BMJ誌2025年12月23日号掲載の報告。中国の復旦大学上海がんセンターで実施 研究グループは、新たに診断された切除可能な片側浸潤性TNBCで、手術後の切除断端陰性、病理学的に局所リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性でありKi-67が50%以上の18~70歳の女性患者を、カルボプラチン群または対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 カルボプラチン群は、エピルビシン+シクロホスファミドを2週間隔で4サイクル投与後、パクリタキセルとカルボプラチンを1サイクル28日(1日目、8日目、15日目に投与)で4サイクル投与した。対照群は、エピルビシン+シクロホスファミドを3週または2週間隔で4サイクル投与後、パクリタキセルを1サイクル21日(1日目、8日目、15日目に投与)で4サイクル投与した。 主要評価項目はITT集団における無病生存期間(DFS)、副次評価項目は無再発生存期間(RFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)および安全性であった。3年DFS、RFS、DDFSおよびOSが改善 2020年3月~2022年3月に808例が登録され無作為化された(カルボプラチン群404例、対照群404例)。このうち、カルボプラチン群の1例が治療開始前に同意を撤回した。 データカットオフ日(2025年3月10日)時点で、追跡期間中央値44.7ヵ月において推定3年DFS率は、カルボプラチン群92.3%、対照群85.8%であった(補正前ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.43~0.95、p=0.03)。しかし、比例ハザード仮説の検証では仮説が成立しないことが判明し(p=0.02)、区分ハザードモデルによる解析の結果、HRが時間経過とともに変化することが示された(0~12ヵ月のHR:0.31[95%CI:0.13~0.73]、12~36ヵ月のHR:0.65[95%CI:0.39~1.09]、36ヵ月以降のHR:1.98[95%CI:0.69~5.69])。 副次エンドポイントについては、カルボプラチン群は対照群と比較し、3年RFS率(93.8%vs.88.3%、HR:0.59[95%CI:0.37~0.93]、p=0.02)、3年DDFS率(94.8%vs.89.8%、0.61[0.37~0.98]、p=0.04)、および3年OS率(98.0%vs.94.0%、0.41[0.20~0.83]、p=0.01)の改善が認められた。 Grade3/4の治療関連有害事象の発現割合は、カルボプラチン群で66.7%(269/403例)、対照群で55.0%(222/404例)であった。治療に関連した死亡は認められなかった。

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ESMO2025 レポート 乳がん(早期乳がん編)

レポーター紹介2025年10月17~21日にドイツ・ベルリンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)では、3万7,000名を超える参加者、3,000演題弱の発表があり、乳がんの分野でも、現在の標準治療を大きく変える可能性のある複数の画期的な試験結果が発表された。とくに、抗体薬物複合体(ADC)、CDK4/6阻害薬、およびホルモン受容体陽性乳がんに対する新規分子標的治療に関する発表が注目を集めた。臨床的影響が大きい主要10演題を早期乳がん編・転移再発乳がん編に分けて紹介する。[目次]早期乳がん編ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん1.monarchEHER2陽性乳がん2.DESTINY-Breast053.DESTINY-Breast11トリプルネガティブ乳がん4.PLANeTその他5.POSITIVEホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん1.monarchE:HR陽性/HER2陰性早期乳がん患者における術後療法の全生存期間の改善効果monarchEは、高リスクホルモン受容体陽性(HR+)、HER2陰性早期乳がん患者における術後療法の有効性を評価する第III相ランダム化試験である。5,120例が内分泌療法単独または2年間のアベマシクリブと内分泌療法の組み合わせにランダム割付された。高リスク患者は、腋窩リンパ節≧4個陽性、または1~3個陽性で組織学的グレード3および/または腫瘍径≧5cm、あるいはKi67≧20%と定義された。中央値76ヵ月のフォローアップで、アベマシクリブ+ホルモン療法はホルモン療法単独と比較して、死亡リスクを15.8%低下させた(ハザード比[HR]:0.842、p=0.0273)。7年時点での無浸潤疾患生存(iDFS)イベントリスクの低下は26.6%(名目上のp<0.0001)、無遠隔再発生存(DRFS)イベントリスクの低下は25.4%(名目上のp<0.0001)であった。約7年追跡時点で、標準内分泌療法+アベマシクリブ群の全生存(OS)率は86.8%、内分泌療法単独群は85.0%であり、絶対差は1.8%であった。これらの成績は、アベマシクリブ中止後も長期間持続し、乳がん術後内分泌療法におけるCDK4/6阻害薬併用が微小転移性疾患を持続的に抑制する可能性を示している。術後治療でHR陽性HER2陰性乳がんのみに限定して、全生存期間の改善を示した臨床試験は限られており、その意味でも非常に意義深い結果である。HER2陽性乳がん:T-DXdの“治癒可能”病期への本格進出2.DESTINY-Breast05:HER2陽性乳がん再発高リスク患者における術前薬物療法後に残存病変を有する症例に対するトラスツマブ デルクステカンの追加効果の検証DESTINY-Breast05は、術前薬物療法後に非pCR(残存浸潤病変を有する)の高リスクHER2陽性早期乳がん患者を対象とした、第III相ランダム化試験である。本試験では、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と、標準治療であるトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を比較した。1,635例が登録され、3年iDFS率はT-DXd群92.4%(95%信頼区間[CI]:89.7~94.4)に対し、T-DM1群83.7%(95%CI:80.2~86.7)であった。浸潤性再発または死亡のリスクはT-DXd群で53%減少した(HR:0.47、95%CI:0.34~0.66、p<0.0001)。Grade3以上の有害事象発生率は両群でほぼ同等であった(T-DXd群50.6%、T-DM1群51.9%)。ただし、薬剤性間質性肺疾患(ILD)はT-DXd群でより多く報告され(9.6%vs.1.6%)、2例の致死例(Grade 5)が認められた。左室機能障害は低率であった(1.9%)。これらの結果は、T-DXdが治癒を目指す術前療法領域に進出しうることを示唆しており、高リスク残存病変例における新たな標準治療候補として位置付けられる。さらに、本試験結果を実臨床で運用する上でのILDの評価と早期介入が必要であることを示唆した。DB-05とKATHERINEの患者対象の違いは以下のとおり。画像を拡大する3.DESTINY-Breast11:HER2陽性乳がんにおける術前抗がん剤治療におけるアントラサイクリン除外戦略DESTINY-Breast11は、高リスクHER2陽性早期乳がんに対し、アントラサイクリン非使用戦略を評価した第III相試験である。T3以上、リンパ節転移陽性、または炎症性乳がんを対象に、640例がT-DXd-THP(T-DXd単独→パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ)群またはddAC-THP(ドキソルビシン+シクロホスファミド→THP)群に割り付けられた。pCR(病理学的完全奏効)割合はT-DXd-THP群で67.3%、ddAC-THP群で56.3%(差:11.2ポイント、95%CI:4.0~18.3、p=0.003)であった。ホルモン受容体状態にかかわらず一貫した傾向を示した。無イベント生存期間(EFS)ではT-DXd-THP群に有利なトレンドがみられた(HR:0.56、95%CI:0.26~1.17)。有害事象(Grade≧3)はT-DXd-THP群で37.5%、ddAC-THP群で55.8%と低率で、左室機能障害も少なかった(1.9%vs.9.0%)。ILDの発生は両群で低頻度かつ同等であった。この結果から、HER2陽性乳がんの周術期治療としてアントラサイクリンの使用が必須ではないことが示唆され、T-DXdを基盤とする新術前療法が高い奏効割合と毒性の低減を両立しうることが検証された。とくに海外においては、アントラサイクリン系抗がん剤の使用に対する忌避が強く、カルボプラチンとドセタキセル併用のレジメンが中心となってきているが、今回の結果はアントラサイクリン系の省略に向けたさらなる示唆を提示した。早ければ来年度中に、本邦でもDB05、DB11レジメンが適応拡大される可能性がある。先のDB05と相まって、いずれも選択可能となった場合に、術前療法でT-DXdを使用するのか、EFSなど長期成績がT-DXd群で改善することが証明されてからDB11が運用されていくべきなのか、pCR割合の改善をもって標準治療としてよいと考えるか、現在議論になっている。画像を拡大するトリプルネガティブ乳がん4.PLANeT:TNBCの周術期治療における低用量ペムブロリズマブの併用PLANeTは、インド・ニューデリーのがん専門施設単施設において実施された第II相ランダム化試験である。StageII~IIIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対して、標準的術前化学療法に「低用量ペムブロリズマブ(50mg/6週間ごと×3回)」を併用する群vs.化学療法単独群(dose dense AC療法とdose denseパクリタキセル療法)の比較であった。主要評価項目は術前化学療法+低用量ペムブロリズマブ併用群と化学療法単独群のpCR割合の比較であり、副次評価項目にiDFSやQOLが含まれていた。すでに、TNBC患者に対する周術期治療におけるペムブロリズマブの通常用量(200mg/3週間ごとなど)の併用は、KEYNOTE-522試験においてpCR割合、EFS、OS改善が証明されており、標準治療となっている。一方で、低〜中所得国・医療資源制限環境では高額薬剤/免疫療法アクセスが課題となっており、“低用量併用”戦略がコスト・アクセス面で代替案になりうる可能性が検討されている。本試験では、157例が各群に割り付けられ(低用量併用群78例、対照群79例)、治療が実施された。ITT解析でのpCR割合は低用量併用群53.8%(90%CI:43.9~63.5)、対照群40.5%(90%CI:31.1~50.4)、絶対差:13.3%(90%CI:0.3~26.3、片側p=0.047)であり、ペムブロリズマブ低用量併用による、統計学的有意なpCR割合の改善が示された。また、有害事象としても、Grade 3以上の有害事象は低用量併用群50%、対照群59.5%で、重篤毒性はむしろ低率であった。とくにirAEとして、甲状腺機能障害は低用量併用群10.3%と、KEYNOTE-522試験よりも低めであった。ただし、低用量併用群で1例の治療関連死亡(中毒性表皮壊死症)が報告された。本試験はフォローアップ期間・無病生存データ・最終OSデータなどはまだ不十分で、「仮説生成的(hypothesis‐generating)」段階であるものの、コスト・アクセス改善(低用量による医療経済性改善)を重視した設計であり、とくに資源制約のある地域で免疫療法併用治療を普及させる可能性が示唆された。ただ、問題としてはペムブロリズマブ50mgという投与量が十分か? という科学的根拠はほとんどない様子であり、KEYNOTE-522試験レジメンが使用可能な国における標準治療に影響を与えるものではない。その他5.POSITIVE:妊娠試みによる内分泌療法中断の予後や出産児に与える影響の検討POSITIVE(Pregnancy Outcome and Safety of Interrupting Therapy for young oNco‐breast cancer patients)は、若年HR+乳がん患者において、術後内分泌療法を一時中断して、再発リスクを増やさずに妊孕(妊娠を試みること)可能かを検証した前向き試験である。ESMO Congress 2025では、5年フォローアップ成績が報告されており、“妊娠試みによる内分泌療法中断”が少なくとも5年時点では再発リスクを有意に増加させていないという結果が報告された。518例のHR陽性 StageI~III乳がん患者が、術後18~30ヵ月内分泌療法を継続した後、最大2年間の内分泌療法中断で妊娠を試み、その安全性と妊孕性、再発への影響を評価された。登録時の平均年齢は35~39歳が最多。対象の75%は出産歴がなく、62%が化学療法も受けていた。5年乳がん無発症割合(BCFI)は、POSITIVE群12.3%、外部対照のSOFT/TEXT群13.2%と差は−0.9%(95%CI:−4.2%~2.6%)であった。5年無遠隔再発率(DRFI)はPOSITIVE群6.2%、SOFT/TEXT群8.3%(差:−2.1ポイント%、95%CI:−4.5%~0.4%)で、内分泌療法一時中断による再発・転移リスク増加は認められなかった。HER2陰性のサブ解析でも同様の結果。年齢やリンパ節転移、化学療法歴などで層別しても有意差なしだった。試験期間中、76%が少なくとも一度妊娠し、91%が少なくとも一度生児出産。365人の子供が誕生した。出生児の8.6%が低出生体重、1.6%が先天性欠損だったが、これは一般母集団と同等であった。また、ART(胚・卵子凍結など)を利用した女性でも再発リスクは非利用者と同等であり、母乳育児も高率で実現し、安全であることも確認された。内分泌療法中断後、82%が内分泌療法を再開した。POSITIVE試験は、妊娠希望のHR陽性乳がん女性が、内分泌療法を最大2年中断して妊娠・出産しても短期再発リスクは増加しないこと、妊娠やART、母乳育児の成績・安全性も良好で、安心材料となるエビデンスを提供しており、患者さんへのShared decision makingに非常に役立つ結果であった。

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がん治療の中断・中止を防ぐ血圧管理方法とは/日本腫瘍循環器学会

 第8回日本腫瘍循環器学会学術集会が2025年10月25、26日に開催された。本大会長を務めた向井 幹夫氏(大阪がん循環器病予防センター 副所長)が日本高血圧学会合同シンポジウム「Onco-Hypertensionと腫瘍循環器の新たな関係」において、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』の第10章「他疾患やライフステージを考慮した対応」を抜粋し、がん治療の中断・中止を防ぐための高血圧治療実践法について解説した。高血圧はがん患者でもっとも多い合併症の一つ、がんと高血圧の関係は双方向性を示す がんと高血圧はリスク因子も発症因子も共通している。たとえば、リスク因子には加齢、喫煙、運動不足、肥満、糖尿病が挙げられ、発症因子には血管内皮障害、酸化ストレス、炎症などが挙げられる。そして、高血圧はがん治療に関連した心血管毒性として、心不全や血栓症などに並んで高率に出現するため、血圧管理はがん治療の継続を判断するうえでも非常に重要な評価ポイントとなる。また、高血圧が起因するがんもあり、腎細胞がんや大腸がんが有名であるが、近年では利尿薬による皮膚がんリスクが報告されている1)。 このように高血圧とがんは密接に関連しており、今年8月に改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、高血圧GL)には新たに「第10章7.担がん患者」の項2)が追加。治療介入が必要な血圧値を明記するとともに、がん特有の廃用性機能障害・栄養障害、疼痛、不安などの全身状態に伴う血圧変動にも留意する旨が記載されている。 向井氏は「このような高血圧はがん治療関連高血圧と呼ばれ、さまざまながん治療で発症する。血圧上昇のメカニズムは血管新生障害をはじめ、血管拡張障害によるNO低下、ミトコンドリアの機能低下など多岐にわたる。血圧上昇に伴いがん治療を中断させないためにも、発症早期からの適切な降圧が必要」と強調した。<注意が必要な薬効クラス/治療法と高血圧の発生率>3,4)・VEGF阻害薬(血管新生阻害薬):20~90%・BTK阻害薬:71~73%・プロテアソーム阻害薬:10~32%・プラチナ製剤:53%・アルキル化薬:36%・カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン):30~60%・BRAF/MEK阻害薬:20%・RET阻害薬:43%・PARP阻害薬:19%・mTOR阻害薬:13%・ホルモン療法(アンドロゲン受容体遮断薬・合成阻害薬):11~26%*注:上記についてすべての症例が同様の結果を示すわけではない140/90mmHg以上で降圧薬開始、がん治療後も130/80mmHg未満を この高血圧GLにおいて、がん治療患者の降圧治療開始血圧は140/90mmHg以上、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病、糖尿病合併例では130/80mmHg以上で考慮することが示され、まずは140/90mmHg未満を目指す。もし、降圧治療に忍容性があれば130/80mmHg未満を、転移性がんがある場合には予後を考慮して140~160/90~100mmHgを目標とする。 がん治療終了後については、血圧管理は130/80mmHg未満を目標とする。治療介入するには低過ぎるのでは? と指摘する医師も多いようだが、患者の血管はがんやがん治療によりすでに傷害されていることがあり、「その状況で血圧上昇を伴うと早期に臓器障害が出現してしまう」と同氏は経験談も交えて説明した。ただし、廃用性機能障害・栄養障害 を示す症例において血圧の下げ過ぎはかえって危険なため、がん治療関連高血圧マネジメントにおいては、基本的には高リスクI度高血圧およびII・III度高血圧に対する降圧薬の使い方(第8章1.「2)降圧薬治療STEP」)の遵守が重要である。同氏は「STEP1として、治療開始はまず単剤(RA系阻害薬あるいは長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)から、160/100mmHg以上の場合には両者を併用する。降圧不十分な場合にはSTEP2、3と高血圧GLに沿って降圧薬を選択していく」とし、「がん患者の病態をチェックしながら体液貯留や脱水状態そして頻拍、心機能障害などの有無などに合わせ降圧薬を選択する必要がある。さらに治療抵抗性を示す症例では選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などの投与を考慮して欲しい」と説明した。 がん治療の中止基準となる血圧値については「180/110mmHg以上または高血圧緊急症が認められた場合、がん治療の休止/中止または治療薬変更が求められる」と説明した。 最後に同氏は「がん治療終了後も治療終了(中止)に伴う血圧変化として血圧低下に注意し、がんサバイバーにおいては晩期高血圧のフォローアップが重要となる。そのためには、がん治療が終了した後もがん治療医、循環器医、そして腎臓内科医やプライマリケア医、外来薬剤師などが連携して、患者の血圧管理を継続してほしい」と締めくくった。「大阪宣言2025」 今回の学術集会では、日本の腫瘍循環器外来発症の地、大阪での開催を1つの節目として、南 博信氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科/日本腫瘍循環器学会 理事長)による「大阪宣言2025」がなされた。これは、がん診療医と循環器医が診療科横断的に協力し合い、多職種が連携・協同し、がん患者の心血管リスクや心血管合併症の管理・対応、がんサバイバーにおける予防的介入により、がん患者・がんサバイバーの生命予後延伸とQOL改善を目指すため、そして市民啓発から腫瘍循環器の機運を高めていくために宣言された。 日本での腫瘍循環器学は、2011年に大阪府立成人病センター(現:大阪国際がんセンター)で腫瘍循環器外来が開設されたことに端を発する。その後、2017年に日本腫瘍循環器学会が設立され、2023年日本臨床腫瘍学会/日本腫瘍循環器学会よりOnco-Cardiologyガイドラインが発刊されるなど、国内での腫瘍循環器診療の標準化が着実に進められている。

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高用量MTX療法中のST合剤継続を発見し、重篤な副作用を予防【うまくいく!処方提案プラクティス】第69回

 今回は、病棟研修での処方提案の一例を紹介します。Tリンパ芽球性リンパ腫に対する高用量メトトレキサート(MTX)療法中に、ニューモシスチス肺炎予防目的のスルファメトキサゾール・トリメトプリム錠が継続投与されていることに気付き、能動的に処方調整を提案しました。がん化学療法では、支持療法として開始された薬剤が治療変更時にも継続され、重大な薬物相互作用を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。患者情報36歳、女性(入院)基礎疾患Tリンパ芽球性リンパ腫治療経過:Hyper-CVAD療法※継続中(3コース目)※Hyper-CVAD療法:悪性リンパ腫に対する強力な多剤併用化学療法主な使用薬剤:シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンビンクリスチン投与による末梢神経障害のモニタリング中MA療法※として高用量MTXを投与(地固め療法)※MA療法:MTX+シタラビン薬学的管理開始時の処方内容:1.ランソプラゾール錠15mg 1錠 分1 朝食後2.スルファメトキサゾール・トリメトプリム錠 1錠 分1 朝食後3.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後(調節)4.ピコスルファート内用液(レスキュー) 適宜自己調節他科受診・併用薬特記事項なし本症例のポイント介入2日前にMA療法として高用量MTX療法が開始されました。介入当日(MTX投与Day3)、前回のHyper-CVAD療法による末梢神経障害の評価および排便コントロール状況の確認のため病室を訪問しました。薬歴確認中に、高用量MTX投与中にもかかわらず、ニューモシスチス肺炎予防目的のスルファメトキサゾール・トリメトプリム錠(ST合剤) 1錠/日が継続投与されていることを発見しました。MTXとST合剤はともに葉酸代謝拮抗作用を有し、併用により相加的に作用が増強します。スルファメトキサゾール・トリメトプリム錠添付文書1)およびMTX添付文書2)において両剤の併用は「併用注意」とされ、以下のリスクが記載されています。(1)MTXの作用が増強スルファメトキサゾール・トリメトプリムとMTXは共に葉酸代謝阻害作用を有するため、MTXの作用を増強し、汎血球減少を引き起こす可能性があります。(2)骨髄抑制などの重篤な副作用リスク高用量MTX療法は、投与72時間のMTX血中濃度が1×10-7モル濃度未満になるまでロイコボリン救援療法※が必要となります。この期間中のST合剤併用は葉酸代謝阻害を相加的に増強し、骨髄抑制、肝・腎障害、粘膜障害などの重篤な副作用を引き起こすリスクが高まります。※ロイコボリン救援療法:MTXの葉酸代謝拮抗作用を中和し、正常細胞を保護する目的で投与本症例では、スルファメトキサゾール・トリメトプリム錠はニューモシスチス肺炎予防の投与量(1錠/日)でしたが、MTX投与後48時間(Day3)であり、MTXの血中濃度が依然として高値を維持している可能性がありました。この時点のST合剤継続は、たとえ予防用量であっても相互作用により骨髄抑制などを引き起こす可能性があると考えました。医師への提案と経過MTX投与Day3の時点で、主治医に以下の内容について病棟カンファレンスにて情報提供を行いました。【現状報告】高用量MTX療法Day3の時点でスルファメトキサゾール・トリメトプリム錠が継続投与されている。MTX血中濃度が依然高値を維持している可能性がある。【懸念事項】MTXとST合剤の併用により葉酸代謝拮抗作用が相加的に増強する。骨髄抑制、肝・腎障害、粘膜障害のリスクが増大する。高用量MTX療法に対するロイコボリン救援療法が増量・延長するなどの影響がある。【提案内容】1.スルファメトキサゾール・トリメトプリム錠を休薬する。2.MTX血中濃度が安全域まで低下したことを確認してから再開を検討する(Day5で判断)。主治医よりスルファメトキサゾール・トリメトプリム錠の休薬指示を受け、翌日より休薬しました。MTX血中濃度を適切にモニタリングしながら、ロイコボリン救援療法は計画どおり実施されました。Day4(MTX投与72時間後)にMTX血中濃度が0.1μmol/L未満であることを確認後、Day5(MTX投与96時間後)からスルファメトキサゾール・トリメトプリム錠によるニューモシスチス肺炎予防を再開しました。その後、重篤な骨髄抑制、肝・腎機能障害、粘膜障害の発現はなく経過し、安全に高用量MTX療法を完遂することができました。予防的スルファメトキサゾール・トリメトプリムはMTX曝露増加につながる可能性があるものの、骨髄抑制、急性腎障害(AKI)、肝毒性の発生率には影響しないという報告3)もあるため、今後の症例介入で生かしていきたいと考えています。参考文献1)バクトラミン配合錠添付文書(相互作用の項)2)メトトレキサート点滴静注液添付文書(併用禁忌・併用注意の項)3)Xu Q, et al. Ann Hematol. 2025;104:457-465.

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HER2+早期乳がんの術前療法、T-DXd→THPが標準治療を上回るpCR率(DESTINY-Breast11)/ESMO2025

 DESTINY-Breast11試験において、再発リスクの高いHER2陽性(+)早期乳がん患者の術前療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)投与後のパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP療法)は、ドキソルビシン+シクロホスファミド投与後にTHP療法を行う現在の標準治療(ddAC-THP療法)に比べて、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある病理学的完全奏効(pCR)の改善を示したことを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのNadia Harbeck氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。 DESTINY-Breast11試験は、高リスクのHER2+早期乳がん患者における術前療法としてのT-DXdの有効性と安全性を検討する第III相試験。患者は、(1)T-DXdのみを投与する群、(2)T-DXdに続いてTHPを投与する群、(3)ddACに続いてTHPを投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。なお、独立データモニタリング委員会の勧告により、T-DXd単独群への登録は2024年3月12日に中止された。・試験デザイン:第III相多施設共同非盲検無作為化試験・対象:高リスク(cT3以上でN0~3またはcT0~4でN1~3または炎症性乳がん)で未治療のHER2+早期乳がん患者・試験群(T-DXd-THP群):T-DXd(5.4mg/kg、3週間間隔)を4サイクル→THP療法を4サイクル 321例・対照群(ddAC-THP群):ddAC療法を4サイクル→THP療法を4サイクル 320例・評価項目:[主要評価項目]盲検下中央判定によるpCR(ypT0/Tis ypN0)[副次評価項目]盲検下中央判定によるpCR(ypT0 ypN0)、無イベント生存期間(EFS)、無浸潤疾患生存期間、全生存期間、安全性など・データカットオフ:2025年3月12日 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の年齢中央値はT-DXd-THP群50歳およびddAC-THP群50歳、アジア人が49.8%および49.1%、HER2ステータス IHC3+が87.2%および88.4%、HR+が73.5%および73.4%、cT0~2が54.8%および58.8%、リンパ節転移ありが89.4%および87.8%であった。・主要評価項目であるpCR率は、T-DXd-THP群67.3%、ddAC-THP群56.3%であった。絶対差は11.2%(95%信頼区間[CI]:4.0~18.3、p=0.003)であり、T-DXd-THP療法は統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるpCRの改善を示した。このベネフィットはHR+でもHR-でも同様に認められた。・残存腫瘍負荷(RCB)インデックス0~Iとなったのは、T-DXd-THP群81.3%、ddAC-THP群69.1%であった。このベネフィットもHR+でもHR-でも同様に認められた。・EFSはT-DXd-THP群で早期から良好な傾向がみられた(ハザード比:0.56、95%CI:0.26~1.17)。24ヵ月EFS率は、T-DXd-THP群96.9%(95%CI:93.5~98.6)、ddAC-THP群93.1%(95%CI:88.7~95.8)であった。・Grade3以上の有害事象(AE)はT-DXd-THP群37.5%およびddAC-THP群55.8%、重篤なAEは10.6%および20.2%に発現した。治療中断に至ったAEは37.8%および54.5%であった。・薬剤関連と判断された間質性肺疾患/肺臓炎はT-DXd-THP群4.4%(Grade3以上:0.6%)およびddAC-THP群5.1%(同:1.9%)、左室機能不全は1.3%(同:0.3%)および6.1%(同:1.9%)に発現した。 これらの結果より、Harbeck氏は「T-DXd-THP療法はddAC-THP療法よりも有効性が高く、毒性が少ない術前療法であり、高リスクのHER2+早期乳がんの新たな標準治療候補となる可能性がある」とまとめた。

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DLBCL 1次治療の動向と課題、今後の展望/日本血液学会

 第87回日本血液学会学術集会で企画されたシンポジウム「B細胞リンパ腫に対する新規治療」において、九州大学の加藤 光次氏が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する1次治療の動向と課題、今後の展望について講演した。標準治療はPola-R-CHOPへ DLBCLは悪性度が高いが治癒も望める疾患であり、1次治療の成否が予後を大きく左右する。1次治療は20年以上にわたりR-CHOP療法が標準治療であったが、「約30%の患者が再発または治療抵抗性となる点が大きな課題であった」と加藤氏は指摘した。 そのような中、ポラツズマブ ベドチンとR-CHOPを併用するPola-R-CHOPをR-CHOPと比較した国際共同第III相POLARIX試験において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、その効果は5年時点でも維持されていることを紹介した。この結果は国内の大規模リアルワールドデータ研究によっても裏付けられつつあり、Pola-R-CHOPは新たな標準治療として確立しつつあると述べた。DLBCL 1次治療における3つの課題 しかしながら、このような進歩にもかかわらず、治癒可能なDLBCLの1次治療には3つの重要な臨床的課題に直面していると加藤氏は述べ、1)初回治療抵抗性が残ること、2)初回治療後も20~30%が再発すること、3)患者の半数以上が70~80歳以上の高齢であることを挙げた。 なかでも高齢者治療は喫緊の課題である。リアルワールドデータでは、80歳以上の患者に対してもPola-R-CHOPは良好な奏効率(ORR:87.3%)を示しているが、実際には副作用を懸念して化学療法(とくにシクロホスファミドやドキソルビシン)が半量となっている場合が多く、最適な治療強度をいかに維持するかが鍵となると指摘した。 この課題に対し、日本では高齢者機能評価を導入し、高齢患者の治療前状態(Fit/Frail)を評価するG-POWER試験や、減量レジメン(R-mini-CHOP)とポラツズマブ ベドチンの併用を検討するPOLAR mini-CHP試験などが進行中であることを紹介した。分子サブタイプに基づく個別化医療へ 治療抵抗性や再発の根本的な原因として、加藤氏は、DLBCLが単一の疾患ではなく、生物学的に多様な不均一性を持つことを挙げた。 近年、DLBCLはABC型、GCB型といった従来の分類に加え、より詳細な分子サブタイプに分類されるようになり、特定のサブタイプに合わせた分子標的治療の開発が進行している。POLARIX試験のサブ解析においても、Pola-R-CHOPによるPFS改善は、DLBclassによる特定の分子サブタイプ(C5)で顕著であったことが報告されている。加藤氏は、これらの分子サブタイプ分類は、リスク層別化を強化し、今後プレシジョン・メディシンのアプローチにつながると期待を示した。今後の展望~ctDNAと新規薬剤 加藤氏は今後の展望として、治療効果をより早期かつ正確に判断するため、循環腫瘍DNA(ctDNA)や微小残存病変(MRD)評価の重要性を語った。POLARIX試験において、治療1コース後にctDNA量が多い患者は予後が悪かったことが報告されている。治療の早期にctDNAをモニタリングし、その後の再発リスクを予測することで、治療のescalationやde-escalationを判断するresponse-adapted strategyへの期待を語った。 加藤氏はその一例として第II相ZUMA-12試験を挙げ、1次治療早期に効果不十分な高リスク患者に対して、早期にCAR-T細胞療法に切り替えた場合、完全奏効率が86%と有望な成績が得られたことを紹介した。 現在、1次治療として二重特異性抗体、CAR-T療法、BTK阻害薬などの多くの新しい治療法が開発されている。加藤氏は「2028年には何を選ぶべきか決断を迫られるだろう」と予測し、さらに「将来の治療選択は、分子サブタイプ、患者特異的因子、response-oriented approachによって導かれるだろう」と述べ、講演を終えた。

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未治療のマントル細胞リンパ腫、イブルチニブ+リツキシマブがPFS改善/Lancet

 未治療のマントル細胞リンパ腫において、イブルチニブ(BTK阻害薬)+リツキシマブ(抗CD20抗体)の併用療法は免疫化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、英国・University Hospitals Plymouth NHS TrustのDavid J. Lewis氏らENRICH investigatorsが行った無作為化非盲検第II/III相優越性試験「ENRICH試験」の結果で示された。イブルチニブは、初回治療の免疫化学療法に上乗せすることでPFSの延長が示されている。ENRICH試験では、60歳以上の未治療のマントル細胞リンパ腫患者を対象に、化学療法を併用しないイブルチニブ+リツキシマブ併用療法と、標準的な免疫化学療法(R-CHOP療法[リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン]またはリツキシマブ+ベンダムスチン)を比較した。著者は、「本検討はわれわれが知る限り、イブルチニブ+リツキシマブ併用の有効性を実証した初の無作為化試験である」としたうえで、「マントル細胞リンパ腫の高齢患者の初回治療として、イブルチニブ+リツキシマブ併用を新たな標準治療と見なすべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年10月3日号掲載の報告。英国、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの66施設で評価 ENRICH試験は、英国、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの66施設で行われた。60歳以上で未治療のマントル細胞リンパ腫(Ann-Arbor分類StageII~IV、ECOG-PSスコア0~2)の患者を、イブルチニブ+リツキシマブ群(介入群)またはリツキシマブ+免疫化学療法群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。試験担当医師が選択した免疫化学療法で層別化した。 介入群の被験者は、無作為化前に選択された免疫化学療法の適合スケジュール(R-CHOP療法21日ごと、またはリツキシマブ+ベンダムスチン療法28日ごと)に基づき、イブルチニブ560mgを1日1回経口投与+各サイクル初日にリツキシマブ375mg/m2の静脈内投与を6~8サイクル投与した。 R-CHOP療法は、21日サイクルの初日にシクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2を投与、各サイクル1~5日目にプレドニゾロン100mgを投与した。リツキシマブ+ベンダムスチン療法は、各サイクル1日目と2日目にベンダムスチン90mg/m2を投与し、各サイクルの1日目にリツキシマブ375mg/m2を投与する組み合わせで構成された。 導入期終了時に反応を示した両群の全患者は、8週ごと2年間、リツキシマブの維持投与を受けた。また介入群に割り付けられた患者は、疾患進行または許容できない毒性が出現するまでイブルチニブの投与が継続された。 主要評価項目は、試験担当医師の評価に基づくPFSで、選択した免疫化学療法で層別化を行い、ITT集団で解析が行われた。追跡期間中央値47.9ヵ月のPFS中央値、リツキシマブ+免疫化学療法よりも優れる 2016年2月15日~2021年6月30日に、397例が無作為化された。このうちR-CHOP療法の無作為化前選択は107例(27%)、リツキシマブ+ベンダムスチン療法の無作為化前選択は290例(73%)であった。 全体で、199例が介入群に、198例が対照群(R-CHOP療法53例、リツキシマブ+ベンダムスチン療法145例)に無作為化された。年齢中央値は、介入群74歳(四分位範囲:70~77)、対照群74歳(70~78)であった。296例(75%)が男性、101例(25%)が女性であり、人種に関するデータは収集されなかった。 追跡期間中央値47.9ヵ月の時点で、PFS中央値は介入群が対照群よりも有意に優れることが示された(補正後ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.52~0.90、p=0.0034)。また、介入群のR-CHOP療法群に対するHRは0.37(95%CI:0.22~0.62)、同リツキシマブ+ベンダムスチン療法に対するHRは0.91(0.66~1.25)であった。 導入期および維持期を通じて、Grade3以上の有害事象が報告されたのは、介入群67%、対照群70%であった。

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「永遠の化学物質」が2型糖尿病リスクと関連?

 ほとんど分解されないために環境中に長期間存在し続けることから、「永遠の化学物質」と呼ばれているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル化合物)の血中濃度と、2型糖尿病発症リスクとの有意な関連性を示唆する研究結果が、「eBioMedicine」に7月21日掲載された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のVishal Midya氏らの研究によるもので、同氏は、「われわれの研究は多様な背景を持つ米国の一般人口において、PFASがいかに代謝を阻害し糖尿病リスクを高めているのかを探索するという、新たな研究の一つである」と述べている。 PFASは1940年代から一般消費財に用いられるようになり、現在では焦げ付き防止処理の施された調理器具、食品包装材、家具、防水機能を持つ衣類など、さまざまな製品に利用されている。Midya氏は、「PFASは熱、油、水、汚れに強い合成化学物質で、極めて多くの日用品に含まれている。そしてPFASは容易に分解されない。そのため、環境中だけでなく、人体にも蓄積されていく」と解説している。 この研究は、マウントサイナイ病院でプライマリケアを受けている6万5,000人以上の患者データを用いたコホート内症例対照研究として実施された。糖尿病既往者を除外した上で、後に2型糖尿病を発症した患者群と、年齢、性別、人種/民族が一致する糖尿病未発症の対照群、各群180人を抽出。ベースライン(糖尿病群における糖尿病診断の中央値6年〔四分位範囲1~10〕前。対照群ではそれと同時点)で採取されていた血液サンプルのPFAS濃度と、糖尿病リスクとの関連を検討した。 PFAS濃度の三分位に基づき全体を3群に分け、年齢、性別、人種/民族、ベースラインのBMI、喫煙習慣、PFAS濃度測定検体の採血時期などを調整して解析すると、PFAS濃度が高い一つ上の三分位群に上がるごとの糖尿病診断オッズ比が1.31(95%信頼区間1.01~1.70)であり、両者の間に有意な関連が認められた。また、PFASはアミノ酸や炭水化物、および一部の薬物の代謝に影響を及ぼすことを示唆するデータも得られた。例えば、体内の脂質、血糖、薬物、エネルギーの代謝の調整に重要なシグナル伝達分子(sulfolithocholyglycine)のレベルが、PFASへの曝露によって変化している可能性が見いだされた。 ただし研究者らは、「研究の性質上、この結果のみではPFASと2型糖尿病の間に直接的な因果関係があるとは言えない」としている。因果関係の有無を確かめ、PFASがどのように代謝を変化させ糖尿病リスクに影響を及ぼすのかを詳細に理解するためには、さらなる研究が必要だという。

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HER2+炎症性乳がん、術前アントラサイクリン上乗せは有用か?

 HER2陽性乳がんの術前療法にアントラサイクリンを追加することによるベネフィットは、無作為化臨床試験において示されなかったが、炎症性乳がんにおける有効性は明らかになっていない。HER2陽性の炎症性乳がんを対象とした後ろ向き研究の結果、術前療法でのアントラサイクリン追加は病理学的完全奏効(pCR)との関連は示されなかったものの、疾患コントロール期間の延長に寄与する可能性が示唆された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの岩瀬 俊明氏らによるBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年8月2日号への報告。 2014~21年に、MDアンダーソンがんセンター、IBCネットワーク関連施設、ダナ・ファーバーがん研究所にて術前療法と胸筋温存乳房切除術を受けたHER2陽性原発性炎症性乳がん患者を対象に後方視的な検討が行われた。主要評価項目はpCR率、副次評価項目には、局所・領域再発までの期間(TLRR)、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)が含まれた。単変量解析および多変量解析が、臨床的に関連する交絡因子を調整したうえで実施された。 主な結果は以下のとおり。・対象となった101例のうち、39例はドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(TCHP)を受け、62例はドセタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法(THP-AC)を受けた。追跡期間中央値は3.02年であった。・pCR率は治療レジメン間で有意差を認めなかった(TCHP:48.7%vs.THP-AC:53.2%、p=0.659)。・年齢とエストロゲン受容体の状態で調整した多変量ロジスティック回帰分析において、pCR率と治療レジメンの間に関連はみられなかった。・一方、多変量Cox比例ハザードモデルでは、THP-AC群においてTLRR(ハザード比[HR]:0.279、95%信頼区間[CI]:0.102~0.765、p=0.0131)およびEFS(HR:0.462、95%CI:0.228~0.936、p=0.032)が有意に良好であったが、全生存期間(OS)には差を認めなかった。

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末梢血幹細胞移植後のGVHD予防、移植後シクロホスファミド+シクロスポリンが有効/NEJM

 骨髄破壊的または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(SCT)を受けた血液がん患者において、移植片対宿主病(GVHD)のない無再発生存期間は、標準的なGVHD予防法と比較し移植後シクロホスファミド+カルシニューリン阻害薬併用療法により有意に延長したことが示された。オーストラリア・Alfred HealthのDavid J. Curtis氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupがオーストラリアの8施設およびニュージーランドの2施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「ALLG BM12 CAST試験」の結果を報告した。高リスク血液がん患者に対する根治的治療としては、HLA一致血縁ドナーからの骨髄破壊的前処置後同種末梢血SCTが推奨され、GVHD予防はカルシニューリン阻害薬と代謝拮抗薬の併用が標準治療となっている。移植後シクロホスファミドを代謝拮抗薬に追加または置き換えることで、HLA一致血縁ドナーからのSCT後GVHDリスクを低減できることが示唆されているが、移植後シクロホスファミドの有効性、とくに骨髄破壊的前処置下での有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2025年7月17日号掲載の報告。シクロスポリン+メトトレキサートと比較、GRFSを評価 研究グループは、急性白血病の第1または第2寛解期、ならびに骨髄中芽球<20%の骨髄異形成症候群(MDS)で、骨髄破壊的前処置または強度減弱前処置後にHLA一致血縁ドナーからのSCTを受ける18~70歳の患者を、移植後シクロホスファミド+シクロスポリン(試験予防群)またはシクロスポリン+メトトレキサート(標準予防群)に、年齢(50歳未満、50歳以上)および前処置の強度(骨髄破壊的、強度減弱)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付けた。 試験予防群では、シクロホスファミド50mg/kgを移植後3日目および4日目に投与した後、シクロスポリン(各施設のガイドラインに従った用量)を移植後5日目から開始し、90日目以降に漸減した。 標準予防群ではメトトレキサートを移植後1日目に15mg/m2、3日目、6日目および11日目に10mg/m2、シクロスポリン(同上)を移植前1~3日から開始し、90日目以降に漸減した。 主要評価項目は、無GVHD・無再発生存期間(GRFS)で、ITT集団を対象としてtime-to-event解析を行った。移植後シクロホスファミド+シクロスポリンでGRFSが有意に延長 2019年4月4日~2024年1月30日に、134例が登録および無作為化された(試験予防群66例、標準予防群68例)。 GRFSの中央値は、試験予防群26.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.1~未到達)、標準予防群6.4ヵ月(5.6~8.3)であり、試験予防群で有意に延長した(log-rank検定のp<0.001)。3年時点でのGRFS率は、試験予防群で49%(95%CI:36~61)、標準予防群で14%(6~25)であった(GVHD・再発・死亡のハザード比[HR]:0.42、95%CI:0.27~0.66)。 Grade III~IVの急性GVHDの3ヵ月累積発生率は、試験予防群で3%(95%CI:1~10)、標準予防群で10%(4~19)であり、2年全生存率はそれぞれ83%および71%(死亡のHR:0.59、95%CI:0.29~1.19)であった。 SCT後100日間における重篤な有害事象の発生率は、両群で同程度であった。

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高リスク早期TN乳がんへの術前・術後ペムブロリズマブ追加、日本のサブグループにおけるOS解析結果(KEYNOTE-522)/日本乳癌学会

 高リスク早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、ペムブロリズマブ+化学療法による術前療法およびペムブロリズマブによる術後療法は、術前化学療法単独と比較して、病理学的完全奏効(pCR)割合および無イベント生存期間(EFS)を統計学的有意に改善し、7回目の中間解析報告(データカットオフ:2024年3月22日)において全生存期間(OS)についてもベネフィットが示されたことが報告されている(5年OS率:86.6%vs.81.7%、p=0.002)。今回、7回目の中間解析の日本におけるサブグループ解析結果を、がん研究会有明病院の高野 利実氏が第33回日本乳癌学会学術総会で発表した。・対象:T1c、N1~2またはT2~4、N0~2で、治療歴のないECOG PS 0/1の高リスク早期TNBC患者(18歳以上)・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後療法としてペムブロリズマブを3週ごとに最長9サイクル投与(ペムブロリズマブ群)・対照群:術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]OS、安全性など 主な結果は以下のとおり。・日本で登録されたのは76例で、ペムブロリズマブ群に45例、プラセボ群に31例が割り付けられた。・ベースラインの患者特性は、全体集団と比較してPD-L1陽性の患者が若干少なく(日本:ペムブロリズマブ群71.1%vs.プラセボ群74.2%/全体集団:83.7%vs.81.3%)、毎週投与のカルボプラチンの使用割合が高かった(日本:80.0%vs.77.4%/全体集団:57.3%vs. 57.2%)。また日本では、T3/T4の症例(24.4%vs.16.1%)およびリンパ節転移陽性の症例(53.3%vs.41.9%)がペムブロリズマブ群で多い傾向がみられた。・5年EFS率は、ペムブロリズマブ群84.4%vs.プラセボ群73.2%、ハザード比(HR):0.54、95%信頼区間(CI):0.20~1.50であった(全体集団では81.2%vs.72.2%、HR:0.65、95%CI:0.51~0.83)。・5年OS率は、ペムブロリズマブ群88.9%vs.プラセボ群86.5%、HR:0.82、95%CI:0.22~3.04であった(全体集団では86.6%vs.81.7%、HR:0.66、95%CI:0.50~0.87)。・5年EFS率について、pCRが得られた症例ではペムブロリズマブ群95.8%(24例)vs.プラセボ群100%(15例)、pCRが得られなかった症例では71.4%(21例)vs.46.7%(16例)であった。・5年OS率について、pCRが得られた症例ではペムブロリズマブ群95.8%vs.プラセボ群100%、pCRが得られなかった症例では81.0%vs.73.7%であった。・Grade3~4の治療関連有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群82.2%vs.プラセボ群76.7%(全体集団では77.1%vs.73.3%)、うち治療中止に至ったのは24.4%vs.16.7%であった。プラセボ群と比較して多くみられたのは(全Grade)、貧血(75.6%vs.63.3%)、味覚障害(44.4%vs.23.3%)、皮疹(40.0%vs.10.0%)などであった。・Grade3~4の免疫関連有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群20.0%vs.プラセボ群3.3%であった(全体集団では13.0%vs.1.5%)。 高野氏は、日本のサブグループ解析結果について、症例数が少ないためこの結果をもって統計学的な判断はできないが、OSはグローバルの全体集団と同様にペムブロリズマブ群で良好な傾向を示したとし、EFSについても6年以上のフォローアップで引き続き有効な傾向を示しているとまとめた。また安全性についても、既知のプロファイルと同様の結果が確認されたとしている。

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PFASが子どもの血圧上昇と関連

 ほとんど分解されず環境中に長期間存在し続けるため、「永遠の化学物質」と呼ばれているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル化合物)への胎児期の曝露と、出生後の小児期から思春期の血圧上昇との関連を示すデータが報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院のZeyu Li氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に6月12日掲載された。同氏は、「PFASが及ぼす潜在的な有害性は、生後何年も経過してから初めて明らかになる可能性がある」と述べている。 米国環境保護庁(EPA)は、PFASは飲料水のほか、ファストフードの包装、テフロン加工の調理器具、家具や衣類、化粧品など、幅広い製品に含まれているとしている。また環境研究グループの調査によると、PFASはそれを含む物を摂取したり呼吸で吸い込んだりすることで体内に取り込まれ、99%の米国人の体内に存在しているという。 Li氏らの研究では、子どもを出産後24~72時間に母親から採取した血液中のPFAS濃度を測定。その値と、子どもの医療記録から把握された血圧との関連を検討した。3歳以上13歳未満では血圧が同年齢の子どもの90パーセンタイル以上、13歳以上18歳未満では120/80mmHg以上の場合に「血圧高値」と定義した。 1,094人の子どもを中央値12年(四分位範囲9~15年)追跡し、1万3,404件のデータを解析した結果、母親のPFAS濃度が高いほど子どもの収縮期血圧が高いという関連が浮かび上がった。また、これらの関連性は、子どもの性別や発達段階などにより異なっていた。例えば男子では、母親の血液中のペルフルオロヘプタンスルホン酸という物質の濃度が2倍になるごとに、6~12歳で血圧高値のリスクが9%、13~18歳では17%高かった。 Li氏は、「本研究の報告が、より多くの研究者が思春期以降の子どもを追跡調査するきっかけになることを期待している。過去の研究は追跡期間が幼児期または思春期前で終わっているものが少なくなかった。それに対してわれわれの研究は、胎児期のPFAS曝露による健康への影響が、思春期以降に初めて現れる可能性があることを示している」と話している。なお、研究者らは、本研究は観察研究であるため、PFASと子どもの血圧上昇との直接的な因果関係について述べることはできず、あくまで関連性を示すのみであることを指摘している。 PFASは既に環境中に豊富に存在している。そのため残念ながら、母親が努力しても曝露を避けることが難しい。なるべくPFASフリーと表示されている製品を使ったり、水道水をろ過した上で利用したりするといったことで曝露量を抑えることはできるものの、研究者らは、根本的な解決のために規制が必要だと考えている。 論文の上席著者である米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのMingyu Zhang氏は、「特に妊娠中や小児期のPFAS曝露を減らすために、一般消費財に使われるPFASを段階的に制限していき、水道水のモニタリングと規制を強化するという政策レベルの行動が必要だ。これらは個人の努力で解決できる問題ではない」としている。

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TN乳がん術前ペムブロリズマブ併用化学療法、ddAC vs.AC

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、ペムブロリズマブ+化学療法による術前補助療法およびペムブロリズマブ単独による術後補助療法は、病理学的完全奏効(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することがKEYNOTE-522試験で示された。しかし、同試験では術前化学療法のレジメンとしてdose-denseAC(ddAC)療法は使用されていなかった。カルボプラチン+パクリタキセルとペムブロリズマブにddAC療法を併用した術前補助療法の有効性と安全性を評価する目的で、ブラジル・Hospital do Cancer de LondrinaのVitor Teixeira Liutti氏らはメタ解析を実施。結果をBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年6月13日号で報告した。 本解析では、AC療法(3週ごと)との比較の有無にかかわらず、TNBCを対象にカルボプラチン+パクリタキセルおよびペムブロリズマブとddAC併用術前補助療法を評価した研究を、システマティックレビューにより特定した。両レジメンを比較した研究にはランダム効果モデル、ddAC療法のエンドポイントの評価には単群比例メタアナリシスの手法を用いて、統計解析が実施された。 主な結果は以下のとおり。・535例(ddAC群329例、AC群206例)を対象とした4件の観察研究が、本解析の包含基準を満たした。うち3件は両レジメンの比較を行い、1件はddAC併用療法のみの評価であった。・病理学的完全奏効(pCR)率に有意差は認められなかった(ddAC群66.1%vs.AC群61.6%、リスク比[RR]:1.10、95%信頼区間[CI]:0.94~1.28、p=0.25)。・一方、Grade3以上の有害事象の発現率は、ddAC群で有意に高かった(43.7%vs.29.7%、RR:1.65、95%CI:1.15~2.37、p=0.007)。・用量調整や治療遅延の発生率には、両レジメン間で有意差は認められなかった。・ddAC併用療法を評価した研究の統合解析では、全体的なpCR率は63%で、治療遅延の発生率は40%であった。今回対象となった研究でddAC併用療法を受けた患者の生存データは報告されていない。 著者らは、「ddAC療法を含む術前のペムブロリズマブ併用化学療法は、KEYNOTE-522試験で報告されたpCR率と同等の結果を示した。AC療法との比較において、pCR率に有意差は認められなかったものの、ddAC療法では有害事象の発現率が高いことが明らかとなった」とまとめている。

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ASCO2025 レポート 肺がん

レポーター紹介ASCO Lung、Lung ASCOと呼ばれるほど、肺がんに関しては当たり年であった2024年のASCOとは異なり、2025年のASCOは肺がんのPlenary演題もないなど、やや小ぶりな前評判であった。ただ、実際に演題が発表されてみると、DeLLphi-304試験では小細胞肺がん(SCLC)の二次治療において初めて全生存期間(OS)を延長したタルラタマブの成績が報告され、肺がんのコミュニティとしてはPlenaryセッションでもよかったのではとの声も聞こえてきた。さらに日本では未承認であるが、進展型SCLC(ES-SCLC)の維持療法として、lurbinectedinが、無増悪生存期間(PFS)、OSともに延長を示したIMforte試験にも注目が集まった。IMforte試験の演者はスペインのLuis Paz-Ares先生で、くしくもPARAMOUNT試験において非小細胞肺がん(NSCLC)におけるペメトレキセドの維持療法をASCOで発表したのもPaz-Ares先生であり、印象的であった。これらの日常診療を変えうる発表に加え、将来につながる発表が、周術期領域、抗体医薬品の開発に関連して複数発表されている。周術期領域においては、EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対してNeoADAURA試験の結果が、ALK遺伝子転座陽性肺がんに対してALNEO試験の結果が報告された。抗体医薬品の開発は引き続き盛んであり、抗体薬物複合体(ADC)、T-cell Engager(TCE)、さらにはCAR-T療法など、今後に期待が持たれる発表が、とくに中国から続いた。そんななか、新薬を使うのでも、手術をするのでもなく、免疫チェックポイント阻害薬の投与タイミングにより、治療効果に大きな違いをもたらした臨床試験の結果が中国から発表された。免疫チェックポイント阻害薬の奥の深さを感じるとともに、このようなタイムリーな研究成果が中国から報告されることに、新規薬剤の開発だけでなく、臨床試験の実施体制としても中国の成熟が感じられた。[目次]DeLLphi-304試験IMforte試験NeoADAURA試験ALNEO試験CheckMate 816試験HERTHENA-Lung02試験抗体医薬品の展開Time-of-Day試験最後にDeLLphi-304試験再発SCLCに対する治療選択肢の1つとして期待されているDLL3とCD3を標的としたTCEであるタルラタマブの有効性と安全性を評価した第III相試験がDeLLphi-304試験である。本試験は、プラチナ製剤ベースの初回化学療法を終了後、病勢進行を経験した再発SCLC患者を対象に、タルラタマブ(0.3mgで開始後、10mgを2週ごと投与)と化学療法(トポテカン、lurbinectedin、アムルビシン)を比較する国際共同多施設無作為化比較試験で、全体で509例が登録された。主要評価項目はOS、副次評価項目にはPFSや奏効割合(ORR)、安全性が設定された。主要評価項目であるOSにおいて、タルラタマブ群は化学療法群と比較して有意な生存期間延長を示し、OSの中央値はタルラタマブ群で13.6ヵ月、化学療法群で8.3ヵ月であり、ハザード比は0.60(95%CI:0.47~0.77)、p<0.001と統計学的に有意であった。PFSについても良好な傾向が認められ、中央値は4.2ヵ月と3.7ヵ月、ハザード比は0.71(95%CI:0.59~0.86)であった。ORRについても40%と17%とタルラタマブ群で良好であった。安全性の観点では、タルラタマブ群に特徴的なサイトカイン放出症候群(CRS)は56%にみられたが、大半はGrade1~2で管理可能であり、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)などの神経学的有害事象も既知のプロファイルと一致した。治療関連死亡はなかった。今回のDeLLphi-304試験の成功により、20年以上にわたって進展のなかった再発SCLC治療において、新たな標準治療の登場が視野に入った意義深い試験結果である。DLL3はSCLCに特異的かつ高発現する治療標的として注目されており、新たなモダリティとしてTCEが治療の基軸になる状況が現実となった。今後、初回治療や限局型への展開、あるいは他がん腫への応用など、免疫系を活用した治療開発の広がりが期待される。IMforte試験ES-SCLCでは一次治療後の病勢進行率が高く課題とされてきた。lurbinectedinはアルキル化作用を持つ転写阻害剤であり、プラチナ製剤ベース化学療法後に病勢進行したSCLC患者において抗腫瘍活性が示されてきた。IMforte試験は、ES-SCLC患者において一次導入化学療法(アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド)後に病勢進行しなかった患者を対象として、アテゾリズマブによる維持療法にlurbinectedinを上乗せすることの意義を検証する国際共同多施設無作為化非盲検第III相試験である。患者はlurbinectedin(3.2mg/m2)とアテゾリズマブ(1,200mg)を3週ごとに併用投与する試験治療群、またはアテゾリズマブ(1,200mg)を3週ごとに単独投与する標準治療群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目はIRF-PFS(独立画像判定によるPFS)およびOSとされた。試験治療群には242例、標準治療群には241例が登録された。試験治療群はIRF-PFSにおいて標準治療群に対して、PFS中央値5.4ヵ月と2.1ヵ月、ハザード比0.54(95%CI:0.43~0.67)、pNeoADAURA試験EGFR遺伝子変異陽性の切除可能なNSCLCに対する術前治療として、オシメルチニブ単剤または化学療法併用の有効性と安全性を検証する第III相試験がNeoADAURA試験である。本試験は、StageII~IIIB(N2)に相当する切除可能EGFR遺伝子変異陽性(Exon19delまたはL858R)NSCLCを対象に、術前オシメルチニブ単剤群、オシメルチニブ+化学療法併用群、化学療法単独群を比較する国際共同無作為化試験で、全体で358例が登録された。主要評価項目はmajor pathologic response(MPR)であり、副次評価項目には無イベント生存期間(event-free survival;EFS)、病理学的完全奏効割合(pCR)、ORR、手術実施率、R0切除率、安全性などが含まれた。MPRにおいては、化学療法群で2%であったのに対して、オシメルチニブ単剤、併用群では25%、26%であり、オシメルチニブ併用による統計学的な優越性が確認された。pCRにおいては、化学療法群が2%であったのに対して、併用群で4%、オシメルチニブ単剤群で9%という結果であった。R0切除率はいずれの群でも90%以上と高率であり、手術遅延や手術不能例も少なく、安全に根治切除に導ける治療であることが示唆された。まだイベント数が少ない状態ではあるがEFSについても報告され、化学療法群に対して、ハザード比は併用療法群で0.50、オシメルチニブ単剤群で0.73であった。術後治療としては全例にオシメルチニブによる補助療法が予定されており、長期予後の追跡が期待される。ADAURA試験で術後オシメルチニブの有効性が示されて以来、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの治療パラダイムは大きく変化したが、本試験は術前段階からEGFR-TKIを導入することの意義を検討している。免疫チェックポイント阻害薬において病理学的奏効割合は高めだが画像上の奏効は50%程度にとどまっているという課題を有しており、画像上の高い奏効割合が期待できるEGFR-TKIの立ち位置については、今後さまざまな議論が展開されることになる。ALNEO試験ALNEO試験では、アレクチニブ600mgを1日2回術前に投与し、手術後も術後療法として継続することの有効性と安全性を検討する第II相試験である。主要評価項目はBICRによるMPRとされた。本試験にはイタリアの20施設が参加し、2021年5月から2024年7月にかけて患者が登録された。33例が登録され、全例が術前治療を完了し、28例が手術を受け、26例が術後療法を開始した。手術を受けなかった5例のうち、2例は患者の拒否、2例は臨床的判断、1例は臨床的進行のためであった。術後療法を受けなかった2例は、いずれもR0切除が得られなかったことがその理由であった。主要評価項目であるBICRによるMPRは42%(95%CI:28~58)であり、信頼区間の下限が事前に設定された閾値の20%を超えたことから、統計学的にも有意な結果であった。pCRは12%であった。副次評価項目として、ORRは67%であった。特筆すべきは、同時に報告されたNeoADAURA試験やこれまでのオシメルチニブによる術前治療において、pCRが0~10%未満にとどまっているのに対して、アレクチニブにおいては若干高めのMPRやpCRが報告されており、同じドライバー陽性肺がんにおいても標的や薬剤によって病理学的奏効に違いがあることが示唆されている点にある。今後、術前治療にドライバー遺伝子変異に伴うTKIを中心とした治療が導入されていくことが期待されているが、他の標的、他の薬剤による病理学的効果を含む効果についても注目したい。CheckMate 816試験すでに実臨床に導入されているCheckMate 816試験は、切除可能なStageIB(腫瘍径4cm以上)~IIIAのNSCLC患者(TNM分類第7版による)を対象とした第III相試験で、既知のEGFR遺伝子変異またはALK転座がない患者が登録された。患者はニボルマブ360mgと化学療法を3週間ごとに3サイクル併用するニボルマブ群、または化学療法単独を3週間ごとに3サイクル行う化学療法群に1:1の割合で割り付けられた。主要評価項目は、独立中央病理審査(BIPR)によるpCRおよびEFSで、OSは有意水準αも割り付けられた主要な副次評価項目として設定され、今回、最低5年間の追跡期間で最終解析が行われた。ニボルマブ群は化学療法群に対して、ハザード比0.72(95%CI:0.523~0.998)、p=0.0479と統計学的に有意なOSの改善を示し、5年OS割合も65%と55%であり、10%の上乗せを示した。ニボルマブと化学療法の併用は、肺がん特異的生存期間においても化学療法単独と比較して継続的な効果を示した。安全性プロファイルはこれまでの報告と一貫していた。CheckMate 816試験は、切除可能な固形がんにおいて、術前化学免疫療法のみ(3サイクル)が統計学的に有意なOSのベネフィットを示すことを検証した唯一の第III相試験であり、術前+術後化学免疫療法によるKEYNOTE-671試験に続いて、周術期免疫チェックポイント阻害薬においてOSの延長を示した重要な試験となった。術前のみ、術前+術後いずれの免疫チェックポイント阻害薬による補助療法においてもOSの延長が示された状況は肺がんにおいてのみであり、術前+術後の治療方法しか存在しない他のがん腫との明らかな違いが生じている。今後その違いに基づき、さらなる議論が展開されることは間違いないと考えられる。HERTHENA-Lung02試験HERTHENA-Lung02試験は、第3世代EGFR-TKI後に病勢進行した局所進行または転移を有するEGFR変異陽性NSCLC患者を対象とした国際共同多施設無作為化非盲検第III相試験である。患者は、HER3-DXd(5.6mg/kg、3週ごと)群または標準治療(シスプラチンまたはカルボプラチンを3週ごとに4サイクル投与後、ペメトレキセド維持療法実施)群に1:1の割合で割り付けられた。主要評価項目は、BICRによるPFSとされ、主要な副次評価項目はOS、それ以外の副次評価項目として安全性、頭蓋内PFS、HER3タンパク発現と有効性の関連性評価とされた。本試験には586例の患者が登録され、HER3-DXd群に293例、標準治療群に293例が割り付けられた。HER3-DXd群のPFS中央値は5.8ヵ月であったのに対し、標準治療群は5.4ヵ月であり、ハザード比は0.77(95%CI:0.63~0.94)、p=0.011で、統計学的に有意な結果であった。ただ、中央値での差異は0.4ヵ月にとどまっていた。さらに、今回OSの解析結果として、OSの中央値がHER3-DXd群、標準治療群それぞれで16.0ヵ月、15.9ヵ月、ハザード比0.98(95%CI:0.79~1.22)であり、OSについてはNegative trialであることが明らかになった。ポジティブな結果が多かった今年のASCOにおいて、期待されていたADCについてNegativeな結果が報告されたことのインパクトは大きかった。DXd(デルクステカン)ベースのADCとしては、昨年TROP2-ADCであるDato-DXdが、同様の肺がん二次治療において、全体集団でのOSでNegativeであったことが報告されている。Dato-DXdについてはTROP2の発現についてAIも用いたタンパク発現の評価方法TROP2 QCS-NMR(Normalized Membrane Ratio of TROP2 by Quantitative Continuous Scoring)が効果予測になりうることが報告されている。そのため、HER3-DXdにおいても、HER3の発現について今後同様の試みがされることに期待したい。抗体医薬品の展開BL-B01D1(iza-bren)は、EGFRとHER3の二重特異性ADCであり、新規のトポイソメラーゼI阻害薬(Ed-04)をペイロードとしている。EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対しては、63.2%のORRを示したことがすでに報告されている。今回は、上記以外のドライバー遺伝子変異を持つNSCLC患者83例が登録され、EGFR exon20挿入変異・Uncommon mutation(14例)、HER2変異(19例)、ALK/ROS1/RET融合(24例)、KRAS/BRAF/MET変異(26例)を有する患者が登録された。全患者のORRは46.2%、PFS中央値は7.0ヵ月であった。ORRはそれぞれ、EGFR exon20挿入変異・Uncommon mutation 69.2%、HER2変異52.9%、KRAS/BRAF/MET変異40%、KRAS G12C変異44.4%、ALK/ROS1/RET融合34.8%であった。ABBV-400(Telisotuzumab Adizutecan、Temab-A)はc-Met標的抗体(Telisotuzumab)とトポイソメラーゼIペイロードを組み合わせたものである。今回、プラチナベース化学療法およびTKIによる治療を受けた進行固形がん患者を対象とし、3ライン以上の治療歴のあるEGFR変異非扁平上皮NSCLCコホートのデータが報告された。その結果、ORRは63%であり、耐性変異の有無にかかわらず幅広い効果が確認された。ABBV-706は、高悪性度神経内分泌腫瘍(NENs)に発現しているSEZ6(Seizure-Related Homolog Protein 6)を標的としたTop1阻害薬をペイロードとしたADCである。NEN全体を対象としたコホートでは、ORRが36.9%、PFS中央値が7.62ヵ月であり、LCNECに限定した解析結果では、ORRが33.3%、PFS中央値が5.78ヵ月であることが報告された。低酸素応答性CEA CAR-T細胞療法の再発NSCLCに対する第I相試験についても報告された。ORRは47%、DCRは87%であり、一定の効果が示されたが、奏効期間(DoR)中央値は2ヵ月であり、この点についてはまだまだ改善の余地があることが示された。PRを達成した患者では、ベースライン血清CEAレベルが有意に高いなどのサブグループ解析も報告された。Time-of-Day試験Time-of-Day(ToD)試験は、進行NSCLC患者における化学免疫療法を、早めの時間(15:00より前)と遅い時間(15:00以降)で投与した場合の比較を行った無作為化第III相試験である。概日リズムは睡眠、疾患、治療に影響を与えることが知られており、前臨床試験では概日リズムと免疫細胞機能・分布の関連性、および免疫療法の有効性への影響が示唆されていた。また、20報以上の後ろ向き研究のメタ解析では、免疫チェックポイント阻害薬の投与が「遅い時間」よりも「早い時間」に行われた場合に効果の改善が示されている。StageIIIC~IV期のNSCLC患者210例が、標準化学療法と免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブまたはsintilimab)の初回4サイクルについて、早めの時間(15:00より前)または遅い時間(15:00以降開始)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はBICRによるPFS、副次評価項目はOS、BICRによるORR、全血リンパ球サブセット解析であった。早い時間に投与した場合のPFS中央値は11.3ヵ月であったのに対し、遅い時間では5.7ヵ月であり、ハザード比は0.42(95%CI:0.31~0.58)、p<0.0001で、統計学的に有意に早い時間に投与することの優越性が示された。OSにおいても、中央値がNot reachedと16.4ヵ月、ハザード比は0.45(95%CI:0.30~0.68)、p<0.0001であり、明らかに早い時間の投与で延長することが示された。有害事象発現割合については、若干の違いは認めるものの大きな違いは認められなかった。循環T細胞の解析では、早い時間群でCD8+T細胞とCD4+T細胞の有意な増加が示された一方で、遅い時間群では減少傾向がみられ、今回の試験結果を裏打ちする情報として示された。高額の薬剤を用いて新たな治療方法が模索されるなかで、投与時間の調整のみで大きなPFS、OSの違いをもたらした結果が、中国で実施された臨床試験から得られたことを会場の参加者は驚きをもって受け止めた。今後おそらくいくつかの追試が実施されるとともに、最適な投与時間のカットオフ(15時が最適か)についても検討が進められる見込みである。最後に今年のASCOは、肺がんによるPlenary演題はなかったものの、Plenaryであってもおかしくないインパクトを有する演題は複数発表された。注目すべきは、抗体医薬品を中心とした新たな薬剤の発表が続いたことだけでなく、周術期や免疫チェックポイント阻害薬の投与タイミングなど、肺がんの治療開発が実に幅広い領域で展開していることである。引き続き目が離せない状態が続くと考えられる。

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CLLの1次治療、I-V併用vs.イブルチニブ単独vs.FCR/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、イブルチニブ+ベネトクラクス(I-V)併用療法はイブルチニブ単独またはフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、測定可能残存病変(MRD)陰性および無増悪生存期間(PFS)延長の達成割合が高かったことが示された。英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らUK CLL Trials Groupが第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「FLAIR試験」の結果を報告した。同試験のPFSの中間解析では、MRDに基づいて投与期間を最適化するI-V併用療法はFCR療法に対する優越性が示されていたが、イブルチニブ単独と比較した有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年6月15日号掲載の報告。2年以内の骨髄MRD陰性、PFSなどを評価 FLAIR試験は英国の99病院で行われ、18~75歳、未治療のCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)で、治療担当医師によりFCR療法の適応と判定された患者を対象とした。 被験者は、I-V群、イブルチニブ単独群、FCR群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、追跡評価を受けた。 主要評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群の2年以内の骨髄MRD陰性、およびFCR群と比較したI-V群のPFSであった。 検出力のある副次評価項目は、イブルチニブ単独群と比較したI-V群のPFSとした。その他の副次評価項目は全生存期間などであった。I-V群の2年以内の骨髄MRD陰性率はイブルチニブ単独群と有意差 2017年7月20日~2021年3月24日に、786例が無作為化された(I-V群260例、イブルチニブ単独群263例、FCR群263例)。被験者の人口統計学的および臨床特性は3群間でバランスが取れていた。被験者の年齢中央値は62歳(四分位範囲:56~67)、65歳以上の割合が31.4%で、男性が71.1%であった。 2年以内の骨髄MRD陰性を達成した患者は、I-V群172/260例(66.2%)に対し、イブルチニブ単独群0/263例(p<0.001)、FCR群は127/263例(48.3%)であった。 追跡期間中央値62.2ヵ月で、病勢進行または死亡の報告は、I-V群18例(6.9%)であったのに対し、イブルチニブ単独群59例(22.4%)であり(ハザード比[HR]:0.29、95%信頼区間[CI]:0.17~0.49、p<0.001)、FCR群112例(42.6%)であった(0.13、0.08~0.21、p<0.001)。5年PFS率は、I-V群93.9%、イブルチニブ単独群79.0%、FCR群58.1%だった。 死亡は、I-V群11例(4.2%)であったのに対し、イブルチニブ単独群26例(9.9%)であり(HR:0.41、95%CI:0.20~0.83)、FCR群39例(14.8%)であった(0.26、0.13~0.50)。突然死は、I-V群3例、イブルチニブ単独群8例、FCR群4例で報告された。

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