多発性骨髄腫のASCT前処置、BU+MEL vs.MEL200/Blood

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/19

 

 新規診断の多発性骨髄腫に対する自家幹細胞移植(ASCT)の前処置として、高用量ブスルファン(BU)+メルファラン(MEL)とMEL単独(MEL200)を比較した第III相GEM2012試験の結果、BU+MELがMEL200より微小残存病変(MRD)陰性率を有意に向上させることが示された。無増悪生存期間(PFS)は、BU+MELで約16ヵ月改善したものの有意差は認められなかった。スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのJuan-Jose Lahuerta氏らが、Blood誌オンライン版2025年6月11日号で報告した。

 本試験では、新規に多発性骨髄腫と診断され、強化ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン(VRD)による導入療法と地固め療法を受けている患者におけるASCTの前処置として、BU+MELとMEL200を比較した。458例(2013~15年)が登録され、導入療法後にBU+MEL療法(230例)または MEL200療法(228例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、国際病期分類(ISS)Stageおよび高リスク遺伝子異常によるサブグループ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・2年間の維持療法後、MRD陰性率(10-6)は全体で63%であった(BU+MEL:68%、MEL200:58%、オッズ比[OR]:1.51、p=0.035)。
・PFSはBU+MEL群がMEL200群より中央値が約16ヵ月長かったが、有意ではなかった(89ヵ月vs.73.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.70~1.14、p=0.3)。
・BU+MEL群は、ISS StageII/III、t(14;16)、del(1p)の患者でベネフィットを示した。
・BU+MEL群のISS StageII/IIIとMEL200群のISS StageIの患者を合わせたサブグループでは、PFS中央値は96ヵ月(95%CI:76~NE)であった。
・安全性に関する懸念は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)