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COPDの2年以内の呼吸器関連入院リスクを予測するモデルを開発/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理では、重症増悪や入院のリスクが最も高い患者を特定して医療資源を集中的に投入するとともに、リスクの層別化に基づく管理の必要性が指摘されている。また、国際的なガイドラインは、プライマリケア医が使用できる正確かつ実用的な予後スコアの必要性を強く主張している。英国・バーミンガム大学のRachel E. Jordan氏らは、COPD患者における、2年以内の呼吸器関連の入院のリスクを予測するための予後スコア(BLISSスコア)を開発し、その有効性を検証した。研究の成果は、BMJ誌2026年3月5日号に掲載された。外的妥当性を2つのコホートで検証 予測モデル(BLISSスコア)の開発と内的妥当性の検証には、プライマリケアにおける新規および既存のCOPD患者から成るBirmingham Lung Improvement Studies(BLISS)コホート(最終的なモデル構築の対象は1,894例、このうち253例[13.4%]が入院)のデータを用いた。 また、外的妥当性の検証には次の2つのコホートのデータを使用した。(1)Evaluation of COPD Longitudinally to Identify Predictive Surrogate Endpoints(ECLIPSE)の国際的コホート(中等症~最重症COPD患者1,749例、このうち419例[24.0%]が入院)、(2)Hospital Episode Statisticsと関連付けた英国のプライマリケアのClinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumデータベースに登録されたコホート(COPD患者2万7,340例、このうち3,922例[14.3%]が入院)。 主要アウトカムは、コホート登録から2年以内の急性の呼吸器関連疾患による1回以上の入院、および入院を要するCOPDの重度増悪とした。23の予測因子候補(人口統計学的因子4項目、COPD特異的リスク因子7項目、その他のリスク因子12項目)から適切な因子を選出して予測モデルを開発した。6つの因子から成る予測スコアを確立 2年以内の呼吸器関連入院のリスクを推定するためのBLISSスコアを構成する項目として、23の候補の中から6つの予測因子(年齢、COPDアセスメントテスト[CAT]スコア、過去12ヵ月間の呼吸器関連入院の有無、BMI、糖尿病、対標準1秒量[%FEV1])を採用した。 BLISSスコアは、内的妥当性(過剰適合[overfitting]による増分[optimism]を補正済みのC統計量0.73、95%信頼区間[CI]:0.70~0.77)および外的妥当性(ECLIPSE[C=0.73、95%CI:0.71~0.76]、CPRD[C=0.71、95%CI:0.70~0.72])において同程度の識別性能(discrimination performance)を示した。 また、このスコアの較正性能(calibration performance)は、BLISS(較正勾配[calibration slope]=0.87、95%CI:0.73~1.02)、CPRD(0.89、95%CI:0.85~0.93)、ECLIPSE(0.92、95%CI:0.79~1.05)の各コホートのいずれにおいても良好であった。他のスコアに比べ性能が優れる CPRDコホートにおける層別解析では、異なる集団のサブグループにおいても、BLISSスコアの頑健性が示された。さらに、net benefit分析(臨床的効用性)では、ECLIPSEコホートにおけるBLISSスコアは、Bertensスコア(重度増悪の予測)(C=0.68[95%CI:0.65~0.71]、較正勾配:0.68[95%CI:0.56~0.81])に対する優越性が示された。 著者は、「BLISSスコアは、異なる医療環境や地理的地域に属し、COPDの重症度も異なる患者を含むコホートにおいて、2年以内の呼吸器関連の入院リスクを個別に推定するうえで良好な性能を示した」「採用した6つの変数のうち、4つはプライマリケアの診療記録から容易に入手可能であり、残りの2つは部分的にしか入手できないものの収集は簡単である」「これは、入院リスクを予測するために最も精密な手法で開発された予後スコアであり、プライマリケアの現場におけるCOPD患者に広く適用可能である」としている。

2.

サシツズマブ ゴビテカン、HR+HER2-乳がんの適応追加/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2026年3月23日、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)サシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)について、「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」に対する適応追加承認を取得したことを発表した。 本承認は、CDK4/6阻害薬、内分泌療法およびタキサン系抗悪性腫瘍薬による治療歴を有し、化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性(HR+/HER2-)の手術不能な局所進行または転移・再発乳がんを対象に海外で実施された第III相TROPiCS-02試験および、国内第I/II相ASCENT-J02試験の第II相パートであるHR+/HER2の手術不能または再発乳がんコホートの結果に基づく。 TROPiCS-02試験では、主要評価項目であるITT集団における無増悪生存期間、および副次評価項目のITT集団における全生存期間について、サシツズマブ ゴビテカンは医師選択治療に対して統計学的に有意な延長を示した。また、ASCENT-J02試験における奏効率は、TROPiCS-02試験における奏効率と同程度であった。<電子化された添付文書情報の抜粋> ※下線は変更箇所商品名:トロデルビ点滴静注用200mg一般名:サシツズマブ ゴビテカン効能又は効果:化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌用法及び用量:通常、成人には、サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を、21日間を1サイクルとし、各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。投与時間は3時間とし、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は1~2時間に短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。※その他、「効能又は効果に関連する注意」および「副作用」について、今回の適応追加に伴う更新が行われている。

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65歳を過ぎてからの予防でも遅くはない! Lancetの14の危険因子を読み解く(中編)【外来で役立つ!認知症Topics】第39回

前回に続き、今回もLancet誌が掲げる認知症の修正可能な危険因子(リスクファクター)を扱う1)。当初は、前回解説した「難聴」と「高LDLコレステロール(LDL-C)」以外の12因子について個々に述べる予定であったが、その前に筆者自身、見落としがあると反省している。改めて注意喚起すべきは、これらはあくまで「認知症」の危険因子であって、必ずしも「アルツハイマー病(AD)」のみを指すものではないことだ。認知症の危険因子は70以上に及ぶとよく言われるが、示された14の危険因子がすべての認知症原因疾患(AD、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、その他)に当てはまるとは考え難い。一方で世界的に見ても、認知症の3分の2はADが占める。だから実際には、広く認知症全般に対する危険因子を論じているはずが、無意識に「ADの危険因子」として捉えてしまいがちだ。実際に、関係論文を読み込んでみても、こうした分野の知見の大部分はADに関するものであり、それ以外では血管性認知症とレビー小体型認知症に関するものがわずかにあるに過ぎない。たとえば血管性認知症については高血圧と糖尿病などが該当し、レビー小体型認知症なら大気汚染のPM2.5だろうか。いずれにせよ、認知症の危険因子を語るうえでは、ADに関わるものが主体になっている。こうした背景を踏まえ、危険因子とその対策を考えるうえで、基本でありながら見失いがちな「3つの視点」を整理しておきたい。ライフステージに沿った病理の段階を理解するまずLancetによる報告の1つの特徴は、危険因子を年代別に分けていることである。筆者は、これが「若年期・中年期・老年期」の3段階に分けられているのは、ADの発症から進行という病理の段階に沿って危険因子を説明したいからではないかと思う。その段階とは、「発病以前・発病の芽生え・発病前夜」である。1)若年期(発病以前):若年期の教育が、脳の神経回路や「認知予備能」という脳の骨格を作る。つまり大脳の基礎力がこの時期に形成されるわけだ。そして後年、これを維持し育てていくことが予防につながると考えればいいだろう。2)中年期(発病の芽生え):中年期は脳内でアミロイドの沈着が始まるという意味で、AD脳の芽生えの時期だと考えられる。この時期の危険因子では、通称「悪玉コレステロール」のLDL-Cや難聴、糖尿病などの疾病や障害が主体である。これらは中年期に発症しやすくAD病理の悪化を促進させるため、この時期に「悪の芽」を摘んでおくことが重要だ。3)老年期(発症前夜):老年期の危険因子である孤独や大気汚染、視力低下などは、発症の準備がほぼ整ったステージにおける「とどめの一押し」になりうる。これら3つの危険因子は、いずれもアミロイド仮説との直接的な関係は薄いかもしれないが、むしろ脳の衰弱ぶりを露呈させてしまう「最後の悪役」とみなすべきだろう。こうした要因はこれら3つに限らない。たとえば、せん妄や大腿骨頸部骨折、さらに入院など生活の場の変化といった要因もまた、認知症発症のとどめの一押しだったと経験された読者も多いだろう。画像を拡大する「疾患・障害」と「生活・環境」に分けて考える14の危険因子は、大きく2つのグループに分類できる。一つは、「疾患・障害リスク」である。糖尿病やLDL-Cが代表的で、これらは従来のアミロイド仮説を軸に、そこから派生した慢性炎症や抗酸化、また血管脳関門の観点から説明しやすい。もう一つは、「生活・環境リスク」だ。アミロイド仮説では説明し難いものである。上記の「教育」のように、若年期に基礎が作られた脳内ネットワーク・認知予備能といった別の考え方で説明される傾向がある。このように分類する理由を、次のように換言することもできるだろう。つまり前者の危険因子に注目することで、ADという病気の進行プロセスをくい止めようという表街道の予防法があることがわかる。また後者へ注目すれば、健常な神経細胞を増やす、あるいは減少させないという狙いの予防法もあるとわかる。前者が表街道なら、後者は側面からの援護射撃と例えられるだろう。65歳を過ぎてからの「予防」の留意点以上を踏まえて、65歳以上で現在は認知症ではない人を想定して、危険因子と予防を説明する際の留意点を述べたい。まず伝えたいのは、「若年期・中年期の危険因子は、老年期に入ったら無関係になるわけではない」ということだ。たとえば、若い頃の教育が不十分だったとしても、「生涯学習」の言葉どおり、人生を通して学び続ける姿勢は脳の維持につながるはずだ。この考え方は、中年期の危険因子の大半、とくに糖尿病や高血圧といった生活習慣病の管理にも当てはまる。一方で、こうした「老年期からの予防でも遅くはない」という考え方では難しい危険因子もある。その代表は「頭部外傷」だろう。というのは、過去の頭部外傷がもたらした脳へのダメージを癒したり進行を阻止させたりする確たる方法は、今のところなさそうだからである。実際、これまで調べた範囲では、頭部外傷という危険因子への対応の多くは、これからの転倒・転落を防ぐための方法であった。再発防止がポイントという意味で、「うつ病」への対応もそれに似ているかもしれない。最後に、老年期特有の因子として、「孤独」「大気汚染」「視力低下」がある。具体的には次回述べるが、これらは上記の「過去の蓄積」の危険因子とは異なり、「今現在の問題」である。実際の対応がそう容易だとも思われないが、これらへの備えを一念発起して始めるのに遅すぎるということはない。今からでも着手できるという意味で、最も重要かもしれない。参考文献1)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.

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発熱・感染徴候のない好中球減少症【日常診療アップグレード】第52回

発熱・感染徴候のない好中球減少症問題72歳女性。6日前、尿路感染症に対してトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を3日間内服した。全身状態は良好で新たな症状はない。既往歴は鉄欠乏性貧血、高血圧である。内服薬はカンデサルタンのみ。身体診察では、バイタルサインは正常である。その他の所見に異常はない。貧血の経過観察のため、全血球計算(CBC)を実施したところ、白血球減少を認め、WBC 3,000/μL、好中球数 900/μLであった。6日前のCBCでは異常がなかった。原因検索を目的に骨髄穿刺を施行した。

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第287回 医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省

<先週の動き> 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省厚生労働省は2026年3月16日、第120回医師国家試験の合格者を発表した。受験者9,980人のうち合格者は9,139人で、合格率は91.6%と前回から0.7ポイント低下した。合格者数は前年より347人減少し、とりわけ新卒合格者は8,716人(合格率94.7%)と313人減少となり、3年ぶりに9,000人を下回った。医師供給動向に変化が生じている可能性が示唆される。試験は2026年2月に実施され、合格基準は必修問題で200点満点中160点以上、一般・臨床問題で300点満点中224点以上、禁忌肢3問以下とされた。近年と同様の基準であるが、合格率の微減と新卒者数の減少が今回の特徴となっている。大学別では、自治医科大学が新卒・既卒ともに合格率100%を達成したほか、北海道大学、京都大学も新卒で100%を記録した。平均合格率は国立93.0%、公立93.5%、私立92.5%と大きな差はないものの、既卒者を含むその他区分では54.8%と低水準にとどまった。男女別では女性92.4%、男性91.1%と女性が上回った。合格者数はコロナ禍以降、回復傾向にあったが、今回の減少は医学生数の変動や受験動向の影響が考えられる。医師偏在や地域医療構想の議論が進む中、今後の医師供給の量と質のバランスが一層重要となる。とくに新卒者数の減少は初期研修医確保にも影響を与える可能性があり、今後もこの傾向が続けば、各医療機関や自治体にとっても注視すべき事態となる。 参考 1)第120回医師国家試験の合格発表について(厚労省) 2)第120回医師国家試験の学校別合格者状況(同) 3)第120回医師国家試験合格者の状況(大学別合格者数)-9,139人が合格、合格率は91.6%(医事新報) 4)医師国家試験、合格率91.6%-新卒合格者は3年ぶりに9千人下回る(CB news) 5)2026年医師国家試験大学別合格率…合格率100%は自治医科大学(リセマム) 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省国内の麻疹(はしか)報告数が増加し、厚生労働省は注意喚起を強めている。2026年第9週までの累計報告数は87例、第10週時点では100例に達し、新型コロナ禍以降で最多となった。前年同期の22例を大きく上回る水準で、感染拡大の兆しがみられる。近年、わが国では土着株による感染は確認されておらず、2015年には世界保健機関(WHO)から排除状態と認定されている。現在の流行は、海外から持ち込まれたウイルスを起点に、国内で2次感染が広がる構図となっている。事例として、愛知県の高校での集団感染をはじめ、各地で散発的な発生が報告されており、都市部を中心に感染が拡大している。患者の約7割は10~30代で、ワクチン接種歴の不十分な層の影響が示唆されている。麻疹は空気感染を起こす極めて感染力の高い疾患であり、同一空間にいるだけで感染する可能性がある。発熱、咳、鼻水に続き発疹を呈し、重症例では脳炎を合併するリスクもある。その一方で、予防の柱であるMRワクチンの接種率は低下傾向にある。2024年度の接種率は1期92.7%、2期91.0%と、目標の95%を下回った。コロナ禍以降の接種控えが影響しているとみられ、集団免疫の維持に懸念が生じている。厚労省は、渡航前の接種歴確認や帰国後の健康観察を呼びかけるとともに、疑わしい症状がある場合は事前連絡のうえ医療機関を受診するよう求めている。感染再拡大を防ぐには、早期診断とワクチン接種率の回復が急務である。 参考 1)麻疹報告数、コロナ禍以降最多 厚労省が注意喚起(MEDIFAX) 2)はしか患者数、2026年累計100人に 25年同期22人を上回る(日経新聞) 3)感染症発生動向調査週報 2026年第9週第9号(国立健康危機管理研究機構) 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省厚生労働省は、脳死下臓器提供の増加を背景に、移植医療の集約化と体制強化に舵を切った。今回の診療報酬改定で、多くの移植手術を担う施設を「拠点病院」として位置付け、人的・設備面の支援を検討する方針を打ち出している。臓器提供数は近年増加し、2025年には150例を超えたが、心臓や肺、肝臓など複数臓器の同時対応が求められるため、実施可能な施設は一部大学病院に限られている。その一方で、突発的な手術対応により手術室や看護師の確保が困難となり、受け入れ断念例も生じている。こうした現場の逼迫は深刻で、東京大学病院では移植件数が年間100例を超える中、ICUベッドに余裕があっても人員不足で受け入れられない状況や、病院経営への負担が指摘されている。実際、移植医療は従来、手術準備や人員確保のコストが大きく、病院側の持ち出しが問題となっていた。このため2026年度診療報酬改定では、臓器移植実施体制確保加算が新設され、手術料の実質4倍相当の評価が行われる。大学病院の試算では、従来は肺移植1例当たり約400万円の赤字だったが、新加算によりほぼ解消可能とされる。また、ドナーコーディネーターの業務も評価対象とし、院内での同意取得体制強化を促す。背景には、体制不足により移植を受けられなかった患者が2024年に延べ662人に上った現状がある。国立大学病院全体でも今回の改定により年間443億円の増収が見込まれ、赤字解消に寄与すると評価されている。しかし、紹介・逆紹介要件の厳格化による減収も予測され、経営改善には引き続き対応が求められる。移植医療は高度化・集約化が不可避な領域であり、今後は拠点化と財政支援を軸に、持続可能な提供体制の構築が問われる局面に入ったと言える。 参考 1)臓器移植支援へ一部病院を拠点化 厚労省、東大病院「経営苦しく」(朝日新聞) 2)脳死者の臓器移植に診療報酬加算へ…ドナーコーディネーターの働きも評価、報酬を手厚く(読売新聞) 3)国立大学病院長会議 26年度診療報酬改定年間443億円増収で赤字解消へ 外科医療確保や臓器移植加算を評価(ミクスオンライン) 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省厚生労働省は、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」のとりまとめ案を示し、2028年度末までに各医療機関の「主たる機能」を明確化する方針を打ち出した。従来の病床機能報告に加え、新たに医療機関機能報告を導入し、各病院が担う役割を整理することで、再編・集約化と病床削減を一層進める構えである。新構想では、「医療機関の機能を急性期拠点」「高齢者救急・地域急性期」「在宅医療等連携」「専門等機能」の4区分に整理し、各施設が2040年に向けて担う機能を選択・報告する。複数機能の併存は認めつつも、急性期拠点については手術件数や救急対応などの実績要件を設け、実質的に高度急性期病院の集約を図る。人口20~30万人に1施設程度とする考え方が示され、全国では400~600施設に集約される見通しである。また、人口減少地域では構想区域の広域化を求め、より広い圏域で医療資源を維持する方向性も示された。その一方で、急性期以外の救急医療や夜間手術機能についても集約が検討されており、地域によってはアクセス低下への懸念が指摘されている。病床数の算定では、在宅医療の強化や早期リハビリによる在院日数短縮、医療DXによる効率化を前提に必要病床数を低く見積もる仕組みが採用される。急性期病床の稼働率も78%から84%へ引き上げられ、将来的な病床削減圧力が強まる見通しである。さらに、リハビリテーションでは、入院から在宅までの連続的な提供体制を支える「地域インフラ」として位置付けられ、栄養管理や口腔ケアとの一体的な取り組みも明記された。2026年10月からの機能報告を経て、各都道府県が調整を行い、医療機関ごとの役割分担が具体化する。医療提供体制の再構築が本格化する中、地域医療への影響が注視される。 参考 1)新たな地域医療構想に関するとりまとめ(厚労省) 2)新たな地域医療構想とりまとめ案 28年度末までに病院の「主な機能」を決定(保団連) 3)「新たな地域医療構想」とりまとめを了承、リハビリテーションは「地域のインフラ」へ(PT-OT-ST.NET) 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省厚生労働省は、2026年3月18日に開催した「医道審議会医師専門研修部会」で、2027年度に専門研修を開始する専攻医の採用上限、いわゆるシーリング数案を了承した。新たに加算対象となった都道府県診療科から提出された指導医派遣実績を踏まえ、日本専門医機構が算定したもので、委員から大きな異論は出なかった。今後、6月下旬以降に都道府県へプログラム情報を提供し、各都道府県知事の意見や厚生労働大臣の要請を反映した修正を経て、11月の募集開始を予定している。今回のシーリングでは、最新の必要医師数と足下の医師数を用いて対象都道府県を設定し、特別地域連携プログラムと都道府県限定の連携プログラムを統合した点に特徴がある。特別地域連携プログラムの受け入れ可能数は全領域で採用上限を上回り、地域偏在是正に向けた受け皿整備は一定程度進んだ。その一方で、通常プログラム加算は実績に応じて付与されるが、加算上限を下回る領域もあり、制度運用はなお調整段階にある。あわせて部会では、2040年を見据えた医療需要の変化に対応する専門医養成も論点となった。85歳以上人口の増加、高齢者救急の拡大、生産年齢人口の減少を踏まえ、各基本領域学会に対し、将来重要となる疾患や患者像、専門医制度上の課題を尋ねるアンケート調査を実施する方針が示された。専攻医以降のキャリアチェンジやリカレント教育の必要性も指摘された。さらに、医師偏在対策では都道府県、大学医学部、大学病院の連携強化が不可欠とされた。地域枠、広域連携型臨床研修、専門研修連携プログラム、総合診療医育成などを医師確保計画に明確に位置付け、地域定着を後押しする方向で議論が進む。専攻医シーリングは、単なる採用枠調整にとどまらず、地域医療を支える医師養成全体を再設計する局面に入った。 参考 1)令和7年度第5回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省) 2)2027年度の専攻医シーリング数が決定、募集開始に向けた調整進む(日経メディカル) 3)医師偏在是正策の強化に向け「都道府県・大学医学部・大学病院の連携」をこれまで以上に強化せよ-医師偏在対策検討会(Gem Med) 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県愛知県の西尾市民病院で診療を受けた70代女性が、薬剤アレルギー既往のある薬を処方・服用後に死亡したとして、遺族が市と調剤薬局を相手取り約2,541万円の損害賠償を求め提訴した。訴状によれば、女性は2025年2月に受診し、処方箋を受け取り、院外薬局で調剤された薬剤を服用後、約41日後に死亡した。遺族側では、医療機関はアレルギー既往歴を把握可能であったにもかかわらず看過したと主張している。その一方で、市側はアレルギー薬剤の処方自体は認めつつも、死亡との因果関係には争いがあるとしている。この事件は単なる確認漏れが原因ではなく、電子カルテおよびオーダリングシステムにおけるアレルギー情報の管理・共有体制が問題の根幹にある。日本医療機能評価機構は、医療安全情報の分析レポートで、アレルギー情報が「登録されているが参照されない」「画面上で視認性が低い」「更新が不十分」といった要因により、処方時に活用されない事例が発生していることを繰り返し指摘している。また、院内で把握されていた情報が院外薬局に十分伝達されないケースや、薬局側での最終確認が機能しなかった事例も報告されている。院外処方が一般化してから、医療機関と薬局の間の情報連携不足は構造的リスクとなっており、患者申告に依存した運用には限界がある。電子カルテ上のアレルギー情報については、入力の標準化、警告アラートの強化、処方時の確認が不可欠である。このためマイナ保険証の活用のほか、2重3重のチェック体制をどのように実効性ある形で運用するかが問われている。今回の訴訟は、医療安全について「情報があること」と「実際に使われること」の乖離を改めて浮き彫りにした。現場での確認フローの見直しなど再発防止策が求められる。 参考 1)「薬のアレルギーで死亡」70代女性遺族、愛知県西尾市などを提訴(中日新聞) 2)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構) 3)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構)

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事例44 運動器リハビリテーション(1)の査定と復活【斬らレセプト シーズン4】

解説事例では、「頸肩腕症候群」の患者に算定した「L000 運動器リハビリテーション」が、保険診療上適当でないとしてC事由(医学的理由による不適当)が適用されて査定となりました。診療報酬点数表の通知には、「運動器リハビリテーション料の対象患者 二 関節の変性疾患、関節の炎症性疾患その他の慢性の運動器疾患により、一定程度の運動機能および日常生活能力の低下を来している患者(令和6年3月5日 保医発0305第4号 別表第九の八)」とあります。この通知から「ICD-10 M53(頸腕症候群、脊柱不安定症など)」は、運動器リハビリテーションの対象とされています。頸肩腕症候群は、M53.1に割り当てられており、算定可能と考えていました。しかしながら、頸肩腕症候群は、必ずしも可動制限が伴い日常生活に支障を来すものではありません。運動器リハビリテーションを必要とする根拠に薄いと考えられます。事例ではここを根拠に、保険診療上適当でないとの判断をされたものと推測できます。運動器リハビリテーションを必要とする場合には、その適応状態を明確に示してほしいと投げかけられたのではないかと考えました。事例のカルテを参照すると、可動制限と日常生活の支障があるため、運動器リハビリテーション実施の指示が記載されていました。再審査請求可能と考え、運動器リハビリテーションを必要とした状態の説明とカルテの写しを添えて申請したところ復活しました。医師と相談して、運動器リハビリテーションの実施に際して該当病名だけでは根拠に薄いと考えられる場合には、必要とする状態を簡単に付記することにして査定対策としています。

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乳がん術後放射線療法におけるリンパ浮腫、3週間照射vs.5週間照射/Lancet

 早期乳がんの術後放射線療法について、3週間照射(総線量40Gyを15回に分割して照射:寡分割照射)は5週間照射(総線量50Gyを25回に分割して照射:通常分割照射)に対して、腕のリンパ浮腫リスクに関して非劣性であり、その他の晩期正常組織への影響に関する安全性は同等であることが、フランス・Institut Gustave RoussyのSofia Rivera氏らHypoG-01 trialistsによる「UNICANCER HypoG-01 試験」の、5年追跡時点の結果で示された。3週間で行う寡分割照射は全乳房放射線療法の標準となっているが、多くの国では、リンパ節照射を必要とする場合はリンパ浮腫などの合併症リスクや有効性への懸念から依然として5週間で行う通常分割照射が標準となっている。UNICANCER HypoG-01試験では、3週間照射と5週間照射を比較し、リンパ浮腫の発症率および有効性を評価した。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。同側腕リンパ浮腫の発症を評価 UNICANCER HypoG-01 試験は、フランスの29医療施設で行われた第III相の多施設共同非盲検無作為化非劣性試験。18歳以上の女性、浸潤乳がん(T1~3、N0~3、M0)で原発腫瘍の完全切除(顕微鏡的)後にリンパ節照射を要する患者を対象とした。 被験者は、局所リンパ節および胸壁または乳房への放射線療法を3週間で行う群(試験群:3週間照射群)または5週間で行う群(対照群:5週間照射群)のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は同側腕リンパ浮腫の発症で、ベースラインおよび対側腕と比較し、同側肘頭から近位15cm、遠位10cm、またはその両方における腕囲が10%以上増加した状態と定義した。ハザード比(HR)を算出して評価した(非劣性マージンは1.545)。リンパ浮腫の3年累積発症率は3週間照射群23.4%、5週間照射群22.2% 2016年9月26日~2020年3月27日に1,265例が登録され、1,221例がper-protocol解析(3週間照射群614例、5週間照射群607例)に包含された(追跡期間中央値4.8年[四分位範囲[IQR]:4.01~5.02])。被験者の年齢中央値は58歳(IQR:49~68)。 腕リンパ浮腫は、275例(25%)で発症が報告された(3週間照射群143例、5週間照射群132例)。3週間照射群は5週間照射群に対して、腕リンパ浮腫のリスクに関して非劣性であることが示された(HR:1.02、95%信頼区間[CI]:0.79~1.31、非劣性のp<0.001)。3年累積発症率はそれぞれ23.4%(95%CI:19.7~27.6)、22.2%(19.5~26.3)であった。また、5年累積発症率は33.3%(95%CI:28.7~38.4)、32.8%(27.9~38.1)と推定された。 安全性プロファイルは両群で類似していた。Grade3以上の有害事象の発現頻度は3週間照射群8%、5週間照射群13%であった。なお、フランス当局の規制により、人種・民族に関するデータは集計されていない。 著者は、「われわれの知見は、臨床標準を3週間照射群へ移行することを支持するものである」と述べている。

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ベジタリアン家庭の幼児の成長が阻害される可能性は低い

 菜食主義(ベジタリアン)の家庭に生まれた子どもに、発育上の問題が現れる可能性は高くないことが報告された。出生体重は非菜食主義(雑食)の家庭の新生児よりも低く有意差が認められるものの、2歳時点での体重の差は有意ではなくなるという。ネゲヴ・ベン・グリオン大学(イスラエル)のKerem Avital氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月5日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、適切な環境であれば、植物性食品中心の食事は乳児の発育を損なわないことを示している」と述べている。 この研究の背景として著者らは論文の中で、植物性食品を重視する食生活は西側諸国で一般的になりつつあり、心臓病やその他の健康リスクの低下と関連付けられていると指摘。しかし、その一方で、特にビタミンB12、鉄分、ヨウ素、ビタミンD、カルシウム、長鎖オメガ3脂肪酸に関しては、妊娠中や乳幼児期に十分な量を摂取できているのかという懸念が依然として指摘されている。 研究には、イスラエルの子どもの約70%の発育状況が記録されている同国保健省の追跡データのうち、2014~2023年の記録が用いられた。在胎32週以降に出生した単胎児119万8,816人(平均在胎期間39.2±1.5週、男児53.2%)を解析対象とした。なお、重度の先天性疾患を有する子どもや極低出生体重児は対象から除外されている。 全体として98.5%の乳幼児は雑食の家庭で育てられ、1.2%はベジタリアンの家庭、0.3%はビーガン(完全菜食主義)の家庭で育てられていた。解析の結果、食事スタイルにかかわらず、どの家庭の子どもの成長パターンも類似したものだった。 具体的には、出生体重については雑食家庭の新生児が3.3±0.5kgであるのに対して、ベジタリアンやビーガン家庭の新生児はいずれも3.2±0.5kgであり有意に低かった。また生後60日時点で低体重であることの調整オッズ比(aOR)は、雑食家庭を基準としてベジタリアン家庭では1.21(95%信頼区間1.11~1.32)、ビーガン家庭では1.37(同1.15~1.63)だった。 しかし、この差は時間とともに縮小し、2歳時点での発育不全の割合は、雑食3.1%、ベジタリアン3.4%、ビーガン3.9%であり、有意差はなかった。また2歳時点では、低体重や過体重の有意差も認められなかった(低体重のaORはベジタリアンが0.80〔0.55~1.15〕、ビーガンは1.06〔0.50~2.23〕、過体重は同順に1.01〔0.86~1.18〕、0.91〔0.61~1.35〕)。 著者らは、「これらの研究結果はビーガン食であっても乳児の成長を阻害しないことを示唆している。しかし、妊娠中の母親や乳児期の子どもの栄養に関する指導が、子どもたちの発育をどのようにサポートし得るかを明らかにするために、さらなる研究が必要とされる」と結論付けている。

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アイトラッキング診断ツール、神経変性疾患の鑑別や評価の一助となるか

 眼球運動異常は、神経変性疾患においてよくみられる。これは、眼球運動を制御する神経経路および脳領域の変性が原因であると考えられる。背外側前頭前皮質、基底核、上丘、小脳の病理学的変化は、臨床検査では検出されない可能性のある眼球運動指標の微妙な変化を引き起こす。カナダ・Montreal Neurological InstituteのPaul S. Giacomini氏らは、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病およびその他の認知症、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患における眼球運動バイオマーカーの潜在的な用途について考察した。Journal of Neurology誌2026年2月10日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・サッカード、アンチサッカード、固視、滑動追跡などの眼球運動指標は、疾患進行の予後を予測し、診断の補助として病理学的サブタイプを鑑別することができる。そのため、臨床医が運動機能および認知機能の早期悪化を評価することを可能にすると考えられる。・医療技術のコストが、臨床現場における最適な活用とアクセスを制限している。・専門の神経科医の不足は、医療へのアクセスをさらに制限している。・スマートフォンやタブレットなどの広く普及しているデジタル機器に組み込まれた新しいアイトラッキング技術は、最小限の機器で詳細な評価を可能にし、日常の臨床現場における患者評価や治療方針の決定を支援するための、非侵襲的かつ費用対効果の高い重要な方法であると考えられる。・デジタルバイオマーカーは、かかりつけ医、看護師、薬剤師などの医療専門家がケアのギャップを埋めるために容易に活用でき、神経変性疾患の患者へのケア提供を改善するために広く採用できる強力なツールとなる可能性がある。

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またまた起きた管理薬剤師の複数の店舗での兼務【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第166回

薬局チェーンにおいて管理薬剤師の複数店舗での兼務が発覚し、行政処分を受けた事例が報道されました。「またか…」という感想の人ばかりでしょうが、こういうことはある程度のスパンで繰り返し問題になっている気がします。ドラッグストアチェーン「コクミン」(本社・大阪市)が運営する調剤薬局で、責任者である「管理薬剤師」が、複数の店舗で兼務する不適切な運用が続いていたことがわかった。管理薬剤師は患者の健康管理などのため現場での勤務が求められ、一つの店舗への専従が医薬品医療機器法(薬機法)で義務づけられている。同社は兼務が同法に抵触すると認め、調剤報酬の返還を検討する。(2026年3月2日付 朝日新聞)記事によると、この管理薬剤師は複数の店舗で薬事業務を行っており、昨年末に内部通報で発覚したとのことです。「管理薬剤師の兼務不可」というのは、一般の人にはあまりピンとこないことかもしれません。しかしながら、医薬品を調剤すること、保管することなどは、国から特別な許可を受けて初めてできることです。その許可の前提として、法律やルールを満たしている必要があるというのは言うまでもありません。それらを守らない、しかも組織的にそれらを逸脱しているというのは、どれだけ患者対応を一生懸命やっていたとしても、「もっと他のことでも違反してるんじゃないの?」と思われかねず、患者さんからの信頼を失うことにつながりかねません。問題となったコクミンは各地の保健所などに調査結果を報告し、指導を受けているとのことです。同社は少なくとも通報時点から過去1年間にさかのぼって兼務を確認しており、派遣された管理薬剤師が利用客から処方箋を受け付けて調剤する際、その店舗の管理薬剤師の印鑑を使って発覚を免れていたようです。それらに関して3年間をめどに調査を続け、期間中の調剤報酬について返還も含めて適切に対応を進めていくと報じられています。薬局の運営をスムーズにするための兼務やヘルプ要請だったと想像できますが、「まだやっている薬局があるのか」という印象を抱かざるを得ません。周りもやっていたからという理由で違反をしていたとしても、周りはすでに変わり、違反をしているのは自分だけということもあるかもしれません。多少緩かった時代もありましたが、「忙しい」「昔やっていた」はもはや言い訳にはならないということを肝に銘じましょう。

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日本人の認知症予防戦略、修正可能なリスク要因とその低減効果は

 世界的に認知症有病率が増加しており、修正可能リスク因子を標的とした予防戦略の重要性がますます高まっている。超高齢化社会を迎えた日本において、認知症は高齢者の障害調整生存年数の増加の主な原因となっている。東海大学の和佐野 浩一郎氏らは、日本特有の有病率データを用いて、高齢者における認知症に対する14の修正可能リスク因子を定量化しようと試みた。The Lancet Regional Health誌2026年1月11日号の報告。 日本の全国調査およびコホート研究より抽出した最近公表されている有病率データ、2024年版ランセット委員会による認知症に関する報告書の相対リスクおよびコミュニティ性重み付けを用いて、人口寄与率(PAF)および潜在的影響率(PIF)を算出した。次に、各リスク要因を10%および20%削減した場合、全国の認知症有病率にどのような影響を与えるかをモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・14のリスク要因全体の加重平均PAFは38.9%であり、日本における認知症症例の約4割が予防可能であることが示唆された。・最大のリスク因子は、難聴(6.7%)、身体活動不足(6.0%)、高LDLコレステロール(4.5%)であった。・すべてのリスク因子を10%削減すると認知症症例の約20万8,000例が予防可能であり、20%削減すると約40万7,000例を予防できる可能性が示された。 著者らは「日本における認知症予防の取り組みでは、聴覚ケア、身体活動、代謝の改善を優先する必要がある。日本固有のデータは、難聴が認知症の主な原因であることを明らかにしており、聴覚介入に対する国民の意識向上とアクセス向上の緊急性を浮き彫りにしている」と結論付けている。

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脳インプラントがパーキンソン病の歩行をリアルタイムで把握

 新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。 Wang氏は、「完全埋め込み型の脳インプラントを用いて、実世界で活動している間の特定の動作状態を検出できたのは、今回が初めてだ。われわれが得た結果は、実験室の外でも意味のある神経信号を特定できることを示している。これは、より個別化され、応答性の高いニューロモジュレーション(神経調節)療法への重要な一歩だ」と述べている。 パーキンソン病では、歩幅の狭いすり足のような歩行、硬直、バランス機能の低下、震え、不随意運動などの運動障害が主要な症状として現れる。今回の研究では、脳深部刺激療法(DBS)のためのインプラントを受ける予定だった4人のパーキンソン病患者を対象に、日常生活における歩行状態を脳信号から推定できるかを検証した。対象者の脳の運動野と淡蒼球内節に埋め込まれたインプラントは、電気刺激を送るだけでなく、脳活動を記録し、リアルタイムで解析する機能も備えていた。このインプラントを通じて、日常生活での自然な行動が合計80時間以上記録された。この間、患者の足首には歩行センサーも装着され、歩行データも測定された。 その結果、患者が歩行中か歩行していない状態かを脳波だけで区別できることが明らかになった。また、その脳波パターンは、患者ごとに異なっていることも判明した。研究グループは、こうした患者ごとの脳波フィードバックを基に、患者が「歩いているのか」「座っているのか」「その他の動作をしているのか」に合わせてDBSの刺激を調整できる可能性があるとしている。 Wang氏は、「われわれは、歩行に関連する個別の神経バイオマーカーを特定し、埋め込み型デバイスという制約下においても、それらの信号からリアルタイムで歩行状態を分類できることを示した。これは、患者の活動状態に応じて刺激を調整できる将来の適応型DBSシステムの基盤となる」と述べている。 ただし、脳波を活用し、インプラントを動作に応じて適応させる方法を確立するには、さらなる研究が必要である。Wang氏は、「自然な行動中の脳活動を研究できるようになれば、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)や適応型ニューロモジュレーションの適用範囲が、実験室の枠を越えて日常生活へと広がっていくだろう」と述べている。

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日帰り経カテーテル大動脈弁置換術の安全性は?

 心臓弁置換術を受ける一部の患者は日帰り手術できる可能性のあることが、新たな研究で示された。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)の実施日に退院した患者と、健康状態の懸念から入院継続となった「同日退院の適格者」との間で、予後に差は認められなかったという。英ジェームズ・クック大学病院の循環器専門医であるKrishnarpan Chatterjee氏らによるこの研究は、欧州心臓病学会(ESC)の部会の一つであるEuropean Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions(EAPCI)が主催する「EAPCI Summit 2026」(2月19〜20日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。 TAVIは、鼠径部の大腿動脈からカテーテルを挿入し、大動脈弁部まで進めて人工弁を留置する治療法である。Chatterjee氏は、「TAVI後の翌日退院は、技術の進歩やケアパスウェイ(ケアの計画)の効率化によって、近年広がりつつある。同日退院は、その次のステップだ。これは、厳密な基準で選ばれた患者においては安全であることが示されている」と述べている。 この研究では、2018年6月から2024年12月までの間にTAVIを受けた790人の患者の記録を調査した。このうち279人(35.3%)は、初期スクリーニングで、重度の末梢血管疾患がなく、すでにペースメーカーを植え込み済みか心拍リズムが正常で、手術当日の夜に自宅でのサポートが確保できることから、同日退院の適格基準を満たす患者と判断された。しかし、実際に予定通りに同日退院できたのは160人(57.3%)にとどまり、残りの患者は、不整脈、血管の問題、その他の健康上の理由で、医師により入院継続と判断された。同日退院した患者の平均年齢は80.4歳で、40%が女性であった。 同日退院群と入院継続群の臨床アウトカムを比較した結果、30日以内の死亡率は、同日退院群で1.8%、入院継続群で0.8%、30日以内の再入院率はそれぞれ4.4%と9.2%であり、いずれについても両群間に統計学的な有意差は認められなかった(P=0.472、P=0.102)。 Chatterjee氏は、「患者を慎重に選定すれば、TAVIを受けた患者の約5人に1人が、合併症リスクを増加させることなく安全にその日のうちに退院できることが示された。同日退院により、入院に伴う感染症やせん妄といった合併症のリスクが低下するため、この結果は患者にとって重要だ。また、医療資源の使用の削減にもつながる。同日退院に関するさらなる研究が必要だ」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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1日1回経口投与の片頭痛発作の発症抑制薬「アクイプタ錠60mg/30mg/10mg」【最新!DI情報】第59回

1日1回経口投与の片頭痛発作の発症抑制薬「アクイプタ錠60mg/30mg/10mg」今回は、経口CGRP受容体拮抗薬「アトゲパント水和物(商品名:アクイプタ錠60mg/30mg/10mg、製造販売元:アッヴィ)」を紹介します。本剤は、1日1回経口投与の片頭痛の予防治療薬です。片頭痛発作の発症を抑制することで、患者さんの健康や生活の質の向上、社会における生産性の向上が期待されています。<効能・効果>片頭痛発作の発症抑制の適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与します。なお、本剤投与開始後3ヵ月を目安に治療上の有益性を評価して症状の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮します。3ヵ月以降も本剤投与を継続する場合には、定期的に投与継続の要否を検討し、頭痛発作発現の消失・軽減などにより日常生活に支障を来さなくなった場合には、本剤の投与中止を考慮します。<安全性>重大な副作用として、過敏症反応(頻度不明)があります。その他の副作用として、悪心、便秘、食欲減退、傾眠、体重減少、ALT/AST増加(いずれも1%以上)、疲労、そう痒症(いずれも0.1~1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、経口CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体拮抗薬で、片頭痛発作の発症抑制に用いられます。片頭痛発作時の治療だけでは日常生活に支障を来している人に使用されます。2.CGRPがCGRP受容体へ結合することを阻害し、片頭痛に関与するシグナルの伝達を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制します。3.この薬は起こってしまった頭痛発作を和らげる薬ではないので、この薬を服用中に頭痛発作が起こった場合には、必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用で使用してください。<ここがポイント!>片頭痛は慢性の神経疾患であり、わが国における15歳以上の有病率は8.4%と報告されています。片頭痛が日常生活に及ぼす影響は、「いつも寝込む」が4%、「ときどき寝込む」が30%、「寝込まないが支障あり」が40%であり、全体の74%が何らかの形で日常生活に支障を来しています。このように日常生活への影響が認められる場合は、積極的な治療介入が必要です。片頭痛の治療は、発作に対する急性期治療および予防療法に大別されます。急性期治療薬としては、アセトアミノフェンやNSAIDs、トリプタン系薬剤、ラスミジタン、リメゲパント、エルゴタミン、制吐薬などが用いられます。予防療法は、片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障を来す頭痛が月に3日以上認められる患者において、積極的に実施を検討する必要があります。CGRPは、片頭痛の病態において重要な役割を果たす神経ペプチドです。三叉神経終末から放出されたCGRPがCGRP受容体に結合することで、硬膜血管周囲の血管拡張や神経原性炎症を引き起こし、片頭痛発作につながります。アトゲパント水和物は選択的経口CGRP受容体拮抗薬であり、CGRPの作用を阻害することで血管拡張や炎症を抑制し、片頭痛発作を予防します。本剤は経口CGRP受容体拮抗薬としてはリメゲパントに次ぐ2番目の薬剤ですが、今回承認された適応症は「片頭痛発作の発症抑制」のみであり、急性期治療に使用できない点に注意が必要です。なお、2025年12月に片頭痛発作の急性期治療に関する製造販売承認申請が行われており、近いうちに急性期治療にも使用できる可能性があります。本剤を調剤する際は、常に最新の情報を確認し、適応症を把握したうえで処方監査を行うことが重要です。慢性片頭痛患者を対象とした国際共同第III相試験(PROGRESS:3101-303-002試験)において、主要評価項目である投与開始12週間における平均月間片頭痛日数(MMD)のベースラインからの変化量は、本剤60mg群で-6.88日(95%信頼区間[CI]:-7.67~-6.08)、プラセボ群との差は-1.82日(95%CI:-2.89~-0.75)であり、プラセボ群に対する優越性が検証されました(p<0.001)。また、日本人反復性片頭痛患者を対象とした国内第II/III相試験(RELEASE:M22-056試験)においても、投与開始12週間における平均MMDのベースラインからの変化量は、本剤60mg群で-3.34日(95%CI:-3.83~-2.85)、プラセボ群との差は-2.10日(95%CI:-2.78~-1.43)であり、プラセボ群に対する優越性が検証されました(p<0.001)。

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地方在住のがん患者は手術のために都市部へ行くべきか

 地方のがん患者は、主要な医療機関で治療を受けるために長距離移動することが多いが、そうした長旅は、必ずしも必要ではないかもしれない。肺がんまたは大腸がん患者を対象にした新たな研究で、地元の病院で治療を受けた場合と都市部の医療機関へ移動して治療を受けた場合で、死亡率や手術の転帰に大きな差は認められなかったことが明らかになった。米ルイビル大学外科学分野のMichael Egger氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に2月11日掲載された。 Egger氏は、「地方に住むがん患者は、高品質で多職種が連携するがん治療を受ける機会を得られないことが多い。しかし、全ての患者が手術を受けるために長距離を移動できるわけではないし、すでに受け入れ能力の限界に達している都市部のハイボリューム施設にとっても持続可能ではない」とニュースリリースで指摘している。 Egger氏らは今回、SEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)-メディケアのデータを用いて、地方在住で65歳以上の大腸がん患者1万383人および肺がん患者6,006人を対象に、がんの手術を地方で受けた場合と都市部で受けた場合の転帰を比較した。 肺がん患者では、75%(4,493人)、大腸がん患者では54%(5,633人)が都市部の病院で手術を受けていた。肺がん患者、大腸がん患者のいずれにおいても、地方で手術を受けた群(地方群)と都市部で手術を受けた群(都市部群)の間に、人口統計学的特徴やがんのステージについて有意な差は認められなかった。術後3カ月間の死亡率は、肺がん患者では地方群で5.2%、都市部群で4.8%、大腸がん患者ではそれぞれ7.3%と6.9%であり、いずれも有意な群間差は認められなかった。さらに、術後30日間の再入院率についても、肺がん患者では両群とも10.4%、大腸がん患者では両群とも14.0%であり、群間差は認められなかった。 一方で、都市部の病院で治療を受けた患者は、治療のためにより長距離を移動していた。具体的には、大腸がん患者の移動距離の中央値は、地方群での16マイル(約26km)に対して都市部群は49マイル(約79km)と約3倍の距離を移動していた。これを移動時間に換算すると、それぞれ23分と58分に相当した。肺がん患者でも、地方群で35マイル(約56km)、都市部群で61マイル(約98km)と都市部群の移動距離が長く、移動時間はそれぞれ49分と72分に相当した。 地方在住の患者の一部は、依然として必要な治療を受けるために都市部へ移動しなければならない場合はあるが、研究グループは、「今回の結果は、地域病院でも一定のがん手術を十分に提供できることを示している」と述べている。Egger氏は、「移動時間の長さや移動に伴う費用は、地方在住のがん患者の多くにとって大きな負担となり得る。医療システムが医療供給体制を地域ごとに再編していく中で、地元で治療を受けても問題ない患者と、より集約化された医療を受けることで利益を得られる患者を見極めることが重要になってくるだろう」と述べている。 研究グループは今後、地方と都市部の病院のうち、最良の結果を出している施設を分析し、何が優れていたのかを明らかにする予定だという。また、地方の病院が、手術以外のがん治療においても都市部の施設と同等のケアを提供しているかどうかも調べる計画があるとしている。

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第95回 ロジスティック回帰分析かプロビット回帰分析か【統計のそこが知りたい!】

第95回 ロジスティック回帰分析かプロビット回帰分析かロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析は、医療統計において2値の結果(例:疾患の有無、治療の成功と失敗)を予測・解析する際によく用いられる手法です。これらの手法は、複数の要因(説明変数)から2値の結果(目的変数)を予測する多変量解析の一種です。しかし、両者には理論的背景や適用方法に違いがあり、論文を読む際にはその違いを理解しておくことが重要です。今回は、ロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析ついて解説します。■ロジスティック回帰分析(logistic regression analysis)とはロジスティック回帰分析は、目的変数が2値(0または1)の場合に適用されます。この手法では、説明変数と目的変数の関係についてロジスティック関数を用いてモデル化します。具体的には、ある事象が発生する確率をオッズとして表現し、そのオッズの対数(log-odds)を説明変数の線形結合で表します。このモデルは、オッズ比を直接的に解釈できるため、医療分野でのリスク評価や要因解析において広く利用されています(図1、2)。■プロビット回帰分析(probit regression analysis)とはプロビット回帰分析も目的変数が2値の場合に適用されますが、こちらは正規分布を基盤としています。具体的には、説明変数の線形結合を標準正規分布の累積分布関数に適用し、事象が発生する確率をモデル化します。プロビットモデルは、誤差項が正規分布に従うと仮定しており、心理学や経済学の分野でよく用いられます(図1、2)。※「probit」は、考案者のチェスター・ブリス氏が「probability」+「unit」から命名しました。図1 ロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析のモデル式画像を拡大する図2 ロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析のグラフ画像を拡大する図2は年収と持ち家の関係を調べたアンケートの結果を例に説明します。年収をx、持ち家の人をy=1、持ち家でない人をy=0として散布図を描くと図2の左図のようになりました。xとyで単回帰分析をすると、回帰直線は負の値や1以上の値がでてきて、うまくありません。そこで直線の代わりに、xが大きくなるにつれて1に近付き、xが小さくなるにつれて0に近付くような関数を用いて回帰分析をしようというのが、ロジスティック回帰分析やプロビット回帰分析です。x→+∞で1,x→-∞で0となるような関数として、f(x)やΦ(x)が選ばれています。f(x)、Φ(x)のグラフは図2の右図になります。図2の左図のようなグラフを得ることができれば、yの値は年収xの人が持ち家である確率を表していると解釈できます。得られたデータ(xi、yi)から、α、βを求めるには「最尤法」を用います。プロビット回帰分析であれば、尤度関数をyiと設定します。線形回帰の場合と異なり、α、βの最尤値は(xi、yi)を用いて表すことはできません。■ロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析の違い(1)ロジスティック回帰は、ロジスティック分布、プロビット回帰は正規分布を仮定しています。(2)ロジスティック回帰では、ロジット関数(log-oddsの逆関数)、プロビット回帰ではプロビット関数(標準正規分布の累積分布関数の逆関数)を使用します。(3)ロジスティック回帰は、計算が比較的簡単でオッズ比の解釈が直感的に理解することができます。その一方で、プロビット回帰は正規分布の累積分布関数の逆関数を計算する必要があり、数値計算が複雑になることがあります。■使い分けのポイントロジスティック回帰とプロビット回帰の選択は以下の点を考慮して行います:(1)データの特性説明変数が広範な範囲の値を取る場合、ロジスティック回帰の方が適しています。これは、ロジスティック分布の裾が重い(0への近付き方が遅い)ため、極端な値に対してもモデルが柔軟に対応できるからです。(2)計算の容易さロジスティック回帰は計算が比較的簡単です。その一方で、プロビット回帰は計算が複雑になることがあります。(3)解釈のしやすさロジスティック回帰では、オッズ比を直接解釈できるため、医療分野でのリスク評価に適しています。プロビット回帰では、結果の解釈がやや直感的でわかりにくい場合があります。■ロジスティック回帰分析と対数オッズは関連があるロジスティック回帰分析の式でとおくと、となります。確率pに対して、をオッズ(odds)、を対数オッズまたはpのロジット関数と言います。ロジスティック回帰分析とは、対数オッズを1次式で表すモデルを用いた回帰分析であると言えます。説明変数をk個にして、y=f(α+β1x1+…+βkxk) y=∅(α+β1x1+…+βkxk)をモデルにした場合も同様に、ロジスティック回帰分析、プロビット回帰分析と言います。なお、(x1,x2,…,xk,y)(yは0または1)型の予測は判別分析でも分析は可能です。しかしながら、この回帰分析のように予測値が0から1までの実数値で返ってくるわけではありません。■論文を読む際の注意点論文でこれらの手法が使用されている場合、以下の点に注意してください。(1)モデル選択の理由論文の著者がなぜロジスティック回帰やプロビット回帰を選択したのか、その理由を確認しましょう。データの特性や研究の目的に応じて適切な手法が選ばれているかを判断する材料となります。(2)結果の解釈ロジスティック回帰の結果として提示されるオッズ比は、ある要因が目的変数に与える影響を示しています。その一方で、プロビット回帰の係数は直接的な解釈が難しいため、平均限界効果などの指標を確認すると良いでしょう。(3)モデルの適合度モデルがデータにどの程度適合しているか、適切な指標(たとえば擬似R2やAICなど)を用いて評価されているかを確認しましょう。ロジスティック回帰分析とプロビット回帰分析は、2値データを予測・解析する際によく用いられる手法です。それぞれの特性や適用条件を理解し、データの特性や研究目的に応じて適切に使い分けることが重要です。論文を読む際には、使用されているモデルの選択理由や結果の解釈に注意をすることが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問18 ロジスティック回帰分析とは?質問19 ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度とは?質問20 ロジスティック回帰分析のオッズ比とは?統計のそこが知りたい!第64回 ロジスティック回帰分析とは?第65回 ロジスティック回帰分析のオッズ比?

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末梢動脈疾患(PAD)の症状改善にメトホルミンは無効(解説:小川大輔氏)

 末梢動脈疾患(Peripheral Artery Disease;PAD)は、動脈に脂肪やコレステロールが蓄積する動脈硬化によって、腹部大動脈から下肢の動脈が狭くなり血流が制限される疾患である。これにより、歩行時の足の痛み(間欠性跛行)などの症状が生じる。症状はゆっくりと現れることが多いが、急激に悪化する場合もある。主な原因は動脈壁への脂肪、コレステロールなどの蓄積、いわゆるアテローム性動脈硬化と考えられている。PADの患者は動脈硬化を原因とする狭心症や脳梗塞を合併することが多いため、下肢だけでなく全身の動脈硬化症の評価も必要となる。 PADの治療としては、禁煙、生活習慣病の管理、運動療法、薬物療法、血行再建術などがある。PADの最大の原因は喫煙であり、禁煙は必須の治療である。糖尿病、高血圧症、脂質異常症があればそれらの治療も行う。運動療法は血流改善や新しい血管(側副血行路)の発達を促すため、痛みが生じない範囲でのウォーキングなどの運動は有効である。血行再建術は、運動療法やシロスタゾールなどの薬物療法で症状の改善が見られない場合や重症の場合に検討される。カテーテル治療(血管内治療)やバイパス手術はPADの部位や患者の状態を考慮して実施される。 PADは歩行障害を引き起こす重篤な循環器疾患であり、効果的な治療法が限られている。そこで今回非糖尿病のPAD患者に対し、2型糖尿病の治療薬であるメトホルミンを6ヵ月間投与し、歩行能力に与える効果を検証したランダム化二重盲検試験が実施された1)。その結果、メトホルミンはPAD患者の歩行能力改善には効果がないと結論付けられた。 メトホルミンは主に肝臓での糖新生を抑制したり、筋肉や脂肪組織でのブドウ糖の取り込みを促進したりすることによって血糖値を下げる効果がある。その他、血管内皮細胞におけるAMP活性化プロテインキナーゼの活性化、酸化ストレスの抑制、内皮型一酸化窒素合成酵素の活性化などの作用も報告されている2)。メトホルミンのこれらの“pleiotropic effects”による血管内皮機能の改善により、PAD患者の血流改善や歩行時間延長を期待され、この試験が実施された。 メトホルミンがPAD患者の歩行能力改善に効果がなかった理由として、喫煙率が約30%と高かったことや、インスリン抵抗性の強くない症例が多かったこと、また観察期間が6ヵ月と短かったことなどが考えられる。その他の可能性として、著者らはPAD患者の骨格筋や血管内皮でAMP活性化プロテインキナーゼがすでに最大活性化されているため、メトホルミンの追加効果が得られなかった可能性を考察している。 いずれにしても今回の研究でPADの歩行障害に対するメトホルミンの効果はないことが示された。今後は異なる作用機序を持つ治療薬の開発や、PADの複雑な病態に対処する新たなアプローチの研究が求められる。またそれ以前に、完全禁煙や肥満の是正、厳格な血圧管理など、現状できることをまずはきちんと行うことが重要である。

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PHSは過去のもの?それとも現役?/医師1,000人アンケート

 医療現場のICT化による業務効率化が期待される中、厚生労働省も補助金制度を設けるなど、生産性向上を目指す支援策が行われている。しかし、現場の環境整備・活用状況には施設ごとに大きな差がある状況と考えられる。CareNet.comでは会員医師(勤務医)1,025人を対象に、勤務先で実際どのような環境が整えられているか、デバイスの貸与・使用状況とメールの使用状況についてアンケートを実施した(2026年2月19~20日実施)。勤務先からPCの貸与ありと回答した医師は約3割 勤務先からのパソコン(ノート・デスクトップどちらでも)貸与状況について聞いた結果、「自分専用で貸与あり」と回答したのは23.6%、「共用で貸与あり」と回答したのは9.2%で計32.8%となり、およそ7割の医師は勤務先からのパソコンの貸与はないという結果となった。タブレットについてはより少なく、「自分専用で貸与あり」が5.7%、「共用で貸与あり」が4.8%にとどまった。 年代別にみると、パソコンの貸与率(自分専用あるいは共用のいずれかで貸与あり)は年齢が高くなるほど上がり、20代では26.7%だったのに対し、60代では41.2%であった。また、病床数が少ない施設ほど貸与率が高い傾向がみられ、20~99床の施設勤務の医師では貸与ありとの回答が44.2%だったのに対し、200床以上の施設勤務の医師では30.2%であった。PHSは約7割が貸与ありと回答、スマホは2割強にとどまる 勤務先からのPHS貸与状況については、「自分専用で貸与あり」と回答したのは63.2%、「共用で貸与あり」と回答したのは7.9%で計71.1%となり、およそ7割が勤務先からPHSを貸与されていることがわかった。一方でスマートフォンの貸与は自分専用・共用で計23.9%にとどまった。 PHSの貸与状況について年代別に大きな差はみられなかったが、スマートフォンについては20~30代で貸与率がやや高い傾向がみられた(20代:計31.1%、30代:計29.2%)。また、スマートフォンは20~99床の施設(計7.7%)と比較して200床以上の施設(計26.1%)勤務の医師で貸与率が高かった。 スマートフォン貸与ありと回答した医師を対象にその用途について複数回答で聞いた質問では、「内線通話」が79.7%と最も多く、「電子カルテの閲覧・入力」は13.4%、「医療画像などの閲覧」は13.0%にとどまった。「グループチャット」との回答は36.0%だった。業務用メアドをチェックするツール、主力は私物デバイスか 勤務日に業務用メールアドレスをチェックする頻度について、使用するデバイスごとに聞いた質問では、貸与デバイスについては「使用しない/貸与なし」が53.4%だったのに対し、私物デバイスでは「使用しない」と回答した医師は26.0%であった。私物デバイスで業務用メールアドレスを1日1回以上チェックすると回答した医師は63.3%に上った。 年代別にみると、1日5回以上と頻回にチェックすると回答した医師は、デバイスを問わず50~60代で多く、20~30代で少ない傾向がみられた。 貸与デバイスからのネット接続状況など、その他のアンケート結果・詳細は以下のページに掲載中。「勤務先からのデバイス貸与・メールの使用状況/医師1,000人アンケート」

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GLP-1受容体作動薬、物質使用障害の予防や治療に有効か/BMJ

 GLP-1受容体作動薬の使用は、さまざまな物質使用障害(SUD)の発症リスク低下と一貫して関連し、複数の物質タイプにわたる幅広い予防効果があること、また、SUD既往患者においても有害な臨床アウトカムのリスク低下に関連していることが、米国退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのMiao Cai氏らによる観察研究の結果で示された。GLP-1受容体作動薬の使用がアルコール、タバコ、大麻使用障害の発症および再発リスクを低下させることが示されていたが、他の物質に関するエビデンスや、SUD既往患者の臨床アウトカムの改善に有効かどうかを評価する大規模研究は不足していた。著者は、「今回のデータは、GLP-1受容体作動薬がさまざまなSUDの予防と治療の両方において潜在的な役割を果たす可能性を示唆しており、さらなる評価が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年3月4日号掲載の報告。退役軍人の医療記録を用いて8件の実薬対照比較試験をエミュレーション 研究グループは、米国退役軍人省の電子医療記録を用いて新規投与開始者に関する8件の実薬対照標的試験エミュレーション(target trial emulation)を行った。内訳は、SUD既往のない患者における新規SUD発症に関する7試験(プロトコール1)と、SUD既往患者における有害アウトカムに関する1試験(プロトコール2)であった。 2型糖尿病を有する米国退役軍人60万6,434例をベース集団とし、患者を2つのプロトコールのいずれかに割り付け、最大3年間追跡した。 プロトコール1(主要試験)では、GLP-1受容体作動薬新規投与開始者12万4,001例およびSGLT2阻害薬新規投与開始者40万816例の計52万4,817例が、プロトコール2では、それぞれ1万6,768例および6万4,849例の計8万1,617例が対象となった。 主要アウトカムは、アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイドの使用障害、その他のSUD発症、およびこれらの複合アウトカムとした。SUD既往患者における有害アウトカムには、SUD関連の救急外来受診、SUD関連入院、SUD関連死、薬物過剰摂取、自殺念慮または自殺企図などが含まれた。 ハザード比(HR)および3年間の純リスク差(NRD、1,000人当たり)を、逆確率重み付けを用いた原因特異的Cox生存モデルに基づいて報告した。アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイド、他のSUD発症リスクの低下と関連 SGLT2阻害薬の開始と比較し、GLP-1受容体作動薬の開始は以下の使用障害のリスク低下と関連していた。・アルコール(HR:0.82[95%信頼区間[CI]:0.78~0.85]、NRD:-5.57[95%CI:-6.61~-4.53])・大麻(0.86[0.81~0.90]、-2.25[-3.00~-1.50])・コカイン(0.80[0.72~0.88]、-0.97[-1.37~-0.57])・ニコチン(0.80[0.74~0.87]、-1.64[-2.19~-1.09])・オピオイド(0.75[0.67~0.85]、-0.86[-1.19~-0.52]) また、主要アウトカムとした、その他のSUD発症(0.87[0.81~0.94]、-1.12[-1.68~-0.55])、複合アウトカム(0.86[0.83~0.88]、-6.61[-7.95~-5.26])のリスク低下も認められた。 SUD既往患者では、GLP-1受容体作動薬の投与開始は、次のリスク低下と関連していた。・SUD関連救急外来受診(HR:0.69[95%CI:0.61~0.78]、NRD:-8.92[-11.59~-6.25])・SUD関連入院(0.74[0.65~0.85]、-6.23[-8.73~-3.74])・SUD関連死(0.50[0.32~0.79]、-1.52[-2.32~-0.72])・薬物過剰摂取(0.61[0.42~0.88]、-1.49[-2.43~-0.55])・自殺念慮または自殺企図(0.75[0.67~0.83]、-9.95[-13.14~-6.77]) 治療アドヒアランスに基づく解析でも、新規SUD発症およびSUD既往患者における有害アウトカムの両方について、治療開始に基づく解析と一貫した結果が示された。

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「ポイント@ギフト(dポイント)」交換レート変更のお知らせ

このたび、ケアネットポイントの交換先である「ポイント@ギフト(dポイント)」につきまして、2026年4月1日(水)13:00より、交換レートを以下のとおり変更いたします。【変更前】 3月31日(火)13:59まで100pt=95ポイント分【変更後】 4月1日(水)13:00より100pt=90ポイント分※2026年3月31日(火)13:59までにお申し込みいただいた分は、現行のレート(100pt=95ポイント分)で交換いたします。※2026年3月31日(火)14:00~4月1日(水)13:00に、ポイント交換システムのメンテナンスを実施いたします。状況により、メンテナンスの時間帯は前後する場合がございます。ご利用中の皆さまにはご不便をおかけしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。ケアネットポイントの交換はこちらよりお手続きください。https://point.carenet.com/exchange※ログインが必要です

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