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「消化性潰瘍診療ガイドライン」改訂、ポストピロリ時代に対応/日本消化器病学会

 2026年4月、「消化性潰瘍診療ガイドライン」が改訂された。2021年から5年ぶりの改訂で、第4版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、「日常臨床の現場に残された消化性潰瘍の解決すべき課題 ポストピロリ時代におけるガイドラインの改訂」と題したパネルディスカッションが行われ、各セクションを担当したガイドライン作成委員会委員から、改訂のポイントが紹介された。 冒頭では、ガイドライン作成委員会委員長を務めた鎌田 智有氏(川崎医科大学)が基調講演を行った。ガイドライン改訂総論/鎌田 智有氏(川崎医科大学) 今回のガイドラインの改訂の骨子は、以下となっている。1)近年H.pylori感染率の低下や除菌治療のさらなる普及を背景に、H.pylori関連の消化性潰瘍の頻度は減少傾向にある。一方で、薬物性潰瘍や非H.pylori、非NSAIDs潰瘍、特発性潰瘍が増加傾向にある。こうした現状に即したガイドラインにした。2)ボノプラザン(P-CAB)が上市されて10年が過ぎ、さまざまなデータが蓄積してきた。再度P-CABを含めたシステマティックレビューを行い、予防を含めたこの薬剤の位置付けを広く検証した。 対象疾患は胃と十二指腸にできる潰瘍であり、成人18歳以上に対する診療を基礎とした。GRADEシステムに準拠し、エビデンスの確実性(A〜D)と推奨強度(強い推奨/弱い推奨)を明確に提示した。Clinical Question(CQ)25項目に加え、Background Question(BQ)51項目、Future Research Question(FRQ)7項目を設定し、現時点のエビデンスと今後の課題を整理した。専門医のみならず非専門医、看護師、保健師など多職種の方、学生教育、市民の方などにもわかりやすいステートメントを書くように心掛けたので、ぜひご一読いただきたい。H.pylori除菌治療/伊藤 公訓氏(広島大学)CQ3-1 プロトンポンプ阻害薬に比してボノプラザンで除菌率は向上するか?(二次除菌を含む)・一次除菌治療時にはボノプラザンを使用することを推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:A)・二次除菌治療時にはアモキシシリン-メトロニダゾール療法に併用する酸分泌抑制薬はプロトンポンプ阻害薬、ボノプラザンのいずれかを提案する。(推奨の強さ:弱[強い推奨合意率66.7%、弱い推奨合意率33.3%]、エビデンスレベル:B) 除菌治療パートの大きな改訂点としては、一次除菌におけるP-CABの推奨がある。メタアナリシスにより、PPIに比して除菌率が有意に高いことが示されており、副作用発現率に有意差は認められなかった。一方、二次除菌ではPPIとP-CABの有効性に有意差はなく、いずれの使用も許容される「提案」としている。CQ3-2  一次除菌前にはクラリスロマイシン耐性の有無を検査すべきか?・一次除菌前には可能ならクラリスロマイシン感受性検査を行い、最も高い除菌率が期待される除菌レジメンを選択することを推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:A) 本改訂で最も重要な変更点の1つが、感受性検査によるクラリスロマイシン耐性確認と、その結果を考慮した個別化除菌の推奨である。H.pylori除菌治療不成功の最大の原因はクラリスロマイシン耐性であり、日本における耐性率は35.5%に上る。根拠としたメタアナリシスでは個別化治療のほうが除菌率が高く、これは臨床の経験からも妥当な結果と考えられるだろう。感受性の場合はP-CAB+アモキシシリン+クラリスロマイシン、耐性の場合はPPI/P-CAB+アモキシシリン+メトロニダゾールの3剤併用療法が推奨となる。 一方で、日本ヘリコバクター学会が会員医師を対象に行ったアンケート調査では、「除菌治療前に感受性試験を行っている」と回答した医師は15%に過ぎなかった。検査には手間と費用がかかり、全例に実施するのは困難であることは想定できる。さらに、感受性試験は保険適用とされているにもかかわらず、社会保険診療報酬支払基金から査定される場合があり、その点も実施が躊躇される要因となっていた。しかし、今年2月に厚労省から「ピロリ菌の感受性検査によるクラリスロマイシン耐性の存在が明らかで」ある場合には、一次除菌としてP-CAB+アモキシシリン+メトロニダゾールの使用を認めるとの通達が出ており、保険診療による感受性検査の妥当性が裏付けられたという点は強調したい。検査ができなかった場合のレジメンについてもCQに記載した。FRQ3-3 泥沼除菌とは何ですか?泥沼除菌の際に気をつけることはありますか?・泥沼除菌とは、除菌治療が成功しているにもかかわらず、尿素呼気試験で偽陽性となり不必要な除菌治療を追加する医療行為を指す。自己免疫性胃炎症例で見られることが多く、注意が必要である。 除菌後の尿素呼気試験偽陽性により、不必要な除菌治療が繰り返される「泥沼除菌」について新たにFRQとして提示した。背景として自己免疫性胃炎の関与が指摘されており、診断精度の向上が求められる。 薬物性潰瘍の治療と予防/千葉 俊美氏(岩手医科大学) 薬物性潰瘍の章は、1)NSAIDs潰瘍、2)選択的NSAIDs(COX-2選択的阻害薬)潰瘍、3)低用量アスピリン(LDA)潰瘍、4)抗凝固薬などその他の薬物潰瘍、5)PPI/P-CAB有害事象の5つの項目を設け、20のBQ、9つのCQ、1つのFRQを設定した。全体としてP-CABのエビデンスが蓄積したため、各項目で推奨に入れている。BQ5-12 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍の治療はどのように行うか?・非ステロイド性抗炎症薬は中止し、抗潰瘍薬を投与する。・非ステロイド性抗炎症薬中止が不可能な場合、第一選択薬としてボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬を投与する。 NSAIDs継続下でのPPIとP-CABの潰瘍治癒効果の比較についてメタアナリシスの結果、潰瘍治癒効果においてP-CABのPPI(ランソプラゾール)に対する非劣性が示されたため、第1選択薬はP-CABまたはPPIとした。CQ5-2 潰瘍既往歴、出血性潰瘍既往歴がある患者が非ステロイド性抗炎症薬を服用する場合、再発予防はどうするか?・(潰瘍既往歴ありの予防)ボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬の投与を推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:B)・(出血性潰瘍既往歴ありの予防)COX-2選択的阻害薬にボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬の併用を提案する。(推奨の強さ:弱[強い推奨合意率33.3%、弱い推奨合意率66.7%]、エビデンスレベル:B) NSAIDs誘発性潰瘍において、潰瘍既往歴を有する患者は再発リスクが高く、予防的介入が必要である。PPIの潰瘍再発予防効果については、複数のRCTおよびメタアナリシスにより、プラセボと比較して有意に再発率を低下させることが示されている。また、P-CABはPPIと比較して強力な酸分泌抑制作用を有しており、NSAIDs潰瘍の再発予防においてPPIに対する非劣性が示されている。したがって、P-CABもPPIと同様に再発予防薬として使用可能と判断された。 これらのBQ・CQでP-CABの推奨を明確にしたほか、CQ5-5、5-6では低用量アスピリン服用者における予防として潰瘍既往歴なしの場合はPPI、既往歴ありの場合はP-CABまたはPPIを第一選択とした。 さらに、FRQ5-1では「プロトンポンプ阻害薬/ボノプラザンの長期投与により胃腫瘍などの粘膜病変は生じるか?」という項目を設定した。この分野におけるエビデンスは観察研究が大半であり、まだ確定した推奨はできないため、「さまざまな胃粘膜病変が生じる可能性があることから、長期投与は慎重に行うべきである」としている。臨床医に関心の高い設問であり、新たな試験を経て、次の改訂ではCQへの格上げを期待したい。その他のポイント このほか、「非H.pylori・非NSAIDs潰瘍」「球後部十二指腸潰瘍出血」「NHPH(Non-Helicobacter pylori Helicobacters)」などについて解説が行われた。総括(丹羽 康正氏・愛知県がんセンター総長) 従来の消化性潰瘍はH.pylori/NSAIDsが主因だったが、現在ではH.pylori感染率低下、高齢化、抗血栓薬使用の増加などを背景に特発性の潰瘍が増加し、感染症モデルから多因子疾患モデルへと移行しつつある。本ガイドラインはその流れを汲むものであり、今後は「除菌療法の最適化」「薬物性潰瘍の予防戦略」「出血/穿孔などの合併症管理」「非H.pylori潰瘍の体系化」といった点が求められる。

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卵巣明細胞がんの新規経口薬「ハイツエキシン錠10mg」【最新!DI情報】第62回

卵巣明細胞がんの新規経口薬「ハイツエキシン錠10mg」今回は、PI3Kα阻害薬「リソバリシブメシル酸塩水和物(商品名:ハイツエキシン錠10mg、製造販売元:海和製薬、販売元:大鵬薬品工業)」を紹介します。卵巣明細胞がんは治療選択肢が限られる希少がんであり、従来の治療法に抵抗性を示す卵巣明細胞がんに対する新たな治療選択肢として期待されています。<効能・効果>がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がんの適応で、2026年3月23日に製造販売承認を取得しました。なお、投与にあたっては、コンパニオン診断薬であるAmoyDx PIK3CA変異検出キットを用いて遺伝子変異の有無を確認する必要があります。<用法・用量>通常、成人にはリソバリシブメシル酸塩として1回40mgを1日1回空腹時に経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。本剤は食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けます。<安全性>重大な副作用として、間質性肺疾患(8.6%)、高血糖(89.2%)による糖尿病性ケトアシドーシス(1.1%)、多形紅斑(2.2%)などの重度の皮膚障害、血小板減少症(35.5%)、重度の下痢(6.5%)、体液貯留(末梢性浮腫[26.9%]、顔面浮腫[15.1%]、低アルブミン血症[5.4%]、腹水[1.1%]など)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(1.1%)などの重篤な感染症、QT間隔延長(2.2%)があります。その他の副作用として、発疹(72.0%)、口内炎(68.8%)、悪心(52.7%)、疲労(41.9%)、食欲減退(38.7%)、下痢(36.6%)、体重減少(35.5%)、嘔吐、蛋白尿(いずれも20%以上)、腹痛、低カリウム血症、貧血、好中球減少症、ALT増加、AST増加、高クレアチニン血症(いずれも10~20%未満)、腹部膨満、便秘、腹部不快感、レッチング、排便回数増加、高コレステロール血症、低ナトリウム血症、発熱、白血球減少症、γ-GTP増加、血中ビリルビン増加、血中アルカリホスファターゼ増加、頭痛、味覚不全、浮動性めまい、皮膚乾燥、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、そう痒症、皮膚亀裂、皮膚炎(いずれも10%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、PI3Kα阻害薬であり、がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がんに用いられます。 2.下記の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 咳、息切れ、息苦しさ、発熱などが現れた場合 のどが渇く、多飲(お水をたくさん飲む)、多尿(トイレの回数が増える)、体重が減る、 疲れやすい・だるいなどが現れた場合 皮膚に発疹、発赤、乾燥、かゆみなどが現れた場合 便が泥状か、完全に水のようになる、便意切迫感がある、トイレから離れられないほど頻回の下痢などが現れた場合 手足のむくみ、靴が履きにくい、体重が増える、お腹の張り、息切れなどが現れた場合 動悸、胸の痛み、胸部の不快感、冷や汗、全身倦怠感、めまい、失神などが現れた場合 <ここがポイント!>卵巣がんは早期発見が困難で、症状が現れたときには進行していることが多いため「サイレントキラー」とも呼ばれ、婦人科の悪性腫瘍の中でもとくに治療が困難な疾患の1つです。卵巣がんは、組織学的に漿液性、類内膜、粘液性および明細胞の4つの主要な型に分類されます。このうち卵巣明細胞がんは、欧米では卵巣がん全体の約8%とまれですが、日本では約25%と高頻度に認められ、発生率に人種差が存在します。卵巣明細胞がんは、子宮内膜症を背景に発生することが古くから知られており、多くの症例がStageIで診断されます。しかし、早期発見にもかかわらず、他の組織型と比較して予後不良であることが大きな特徴です。その主要因は、卵巣がんの標準的化学療法である白金製剤をはじめとする抗がん薬に対して治療抵抗性を示すことにあります。卵巣明細胞がんの病態において、PIK3CA遺伝子の点突然変異は極めて重要な役割を果たしています。PIK3CA遺伝子変異は、患者の30~40%という高頻度で認められ、これは他の上皮性卵巣がんと比較して最も高い割合です。PIK3CA遺伝子は、細胞の増殖・生存などのコントロールにおいて中心的役割を担うPI3Kα(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼアルファ)の触媒サブユニットをコードしています。とくにエクソン9およびエクソン20領域は変異のホットスポットとして知られ、これらの活性化変異や遺伝子増幅は腫瘍の発生・進行・維持に深く関与し、さらに薬剤耐性にも寄与すると考えられています。リソバリシブメシル酸塩水和物は、PI3KαのATP結合部位に結合してキナーゼ活性を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。投与対象は白金系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法歴を有する患者であり、成人には1日1回空腹時に経口投与します。本剤は、従来の治療法に抵抗性を示す卵巣明細胞がんに対する新たな治療選択肢として期待されています。化学療法歴のあるPIK3CA遺伝子変異陽性の卵巣明細胞がん患者を対象とした国際共同第II相試験(CYH33-G201試験)において、主要評価項目である盲検下独立評価委員会評価による奏効率(RECISTv1.1に基づく)は、有効性評価対象全体において34.5%(95%信頼区間[CI]:24.48~45.69)であり、95%CIの下限はヒストリカルコントロールの8%を上回ることが示されました。

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脳ドックのガイドライン2026

日本脳ドック学会がまとめる最新ガイドライン脳ドックの水準と有効性の向上を目指し、日本脳ドック学会がまとめるガイドラインの最新版。各項目の内容を刷新し、最新の知見をもとにまとめました。脳卒中や認知症の予防など、日常診療にも大いに役立ちます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳ドックのガイドライン2026定価5,720円(税込)判型A4判頁数150頁発行2026年2月編集脳ドックのガイドライン2026 改訂委員会/一般社団法人 日本脳ドック学会-脳卒中・認知症予防のための医学会-ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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低用量アスピリン併用は統合失調症や双極症治療の切り札となるか

 精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。 本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。低用量アスピリンと向精神薬の併用療法で治療されたLDA群、向精神薬のみで治療された対照群での比較を行った。研究アウトカムは、自殺企図および薬物療法に関連する有害事象(向精神薬の増量、増強、変更)とした。 主な結果は以下のとおり。・LDA群は137例(男性の割合:55%、年齢:63.3±12.3歳)、対照群は1,787例(男性の割合:60%、年齢:47±16.9歳)。・ほぼすべてのアウトカムにおいて、統計学的に有意な差が認められ、LDA群において良好な結果が示された。・LDA群は、薬剤投与量の増加率が低く(40例[29%]vs.726例[40.5%]、p=0.01)、向精神薬の変更および/または追加も少なかった(37例[26.9%]vs.778例[43.5%]、p<0.001)。また、有意差は認められなかったものの、自殺企図率も低かった(0例[0%]vs.16例[0.9%]、p=0.53)。 著者らは「全体として、低用量アスピリン併用療法は、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、より良好な臨床転帰と関連していた。向精神薬と低用量アスピリンの併用療法の治療効果を検証するためには、大規模な疫学調査およびプロスペクティブランダム化臨床試験によるフォローアップ調査が求められる」としている。

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医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。 本研究は、労働者健康安全機構の有する病職歴データベース(ICOD-R、2005〜23年度)を活用した多施設共同、病院ベース症例対照研究である。14万6,994例のがん症例と、年齢・性別・入院年をマッチングした27万8,244例の対照群を対象に分析した。喫煙、飲酒、肥満、シフトワークなどの生活習慣・背景因子を調整したうえで、一般事務従事者を基準とした職業別の調整オッズ比を算出した。 主な結果は以下のとおり。<男性>・がん全体では、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、教師などの専門職およびホワイトカラーの職業においてリスクが低い一方で、肉体労働、サービス業、輸送関連の職業ではリスクが高い職業が多かった。・肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんは、医師などの専門職でリスクが低かったが、販売、飲食物調理、接客サービス、自動車運転、建設、土木、金属製品、運搬の職業では、肺がん、大腸がん、肝がんのリスクが高かった。・木製品製造従事者は胆道がんリスクが高かった。・建築家、土木技術者、測量士、音楽家、化学製品製造従事者は膀胱がんリスクが高かった。・前立腺がんは多くの職種で一般事務職よりもリスクが低かったが、これは潜在的な発症率の差というより、受診行動やPSA検査を含む検診受診率における職業間の差異を反映している可能性がある。<女性>・がん全体では、職業分類による差は男性ほど顕著ではないが、特定の部位で関連が認められた。・電気機械組立従事者は、肺がん、胆道がん、胃がんのリスクが有意に高かった。・胃がんは、事務機器操作、商品販売、家庭生活支援サービス、衣服・宝石製品製造の従事者の間でリスクが高かった。・大腸がんは、教師、芸術家、デザイナー、写真家や、映像操作、販売類似職業、家庭支援サービス、介護サービス、農業の従事者でリスクが低かった。・乳がんは、保健師、助産師、看護師、その他の医療従事者、介護サービス従事者が、一般事務職と比較して有意にリスクが低かった。

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グラム陰性菌の菌血症、迅速抗菌薬感受性試験は臨床的に有効か/JAMA

 グラム陰性桿菌による血流感染症患者において、迅速抗菌薬感受性試験(AST)の追加は標準ASTと比較し、「desirability of outcome ranking(望ましい順位のアウトカム):DOOR」による評価では優越性は認められなかったことが、米国・Vanderbilt University Medical Center大学のRitu Banerjee氏らが行った「FAST試験」の結果で示された。血液培養時の陽性血液培養ボトルを用いて直接、感受性の表現型を評価する迅速ASTについて、その結果に基づき抗菌薬治療を行うことで臨床アウトカムを改善するかどうか、臨床的意義は不明であった。著者は、DOORでは差がなかったものの副次アウトカムや事前に規定した探索的アウトカムでは差がみられたことから、「今回の知見は、他の有効性および安全性のアウトカムと併せれば、迅速ASTの使用に関して役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年4月18日号掲載の報告。主要アウトカムは、より望ましいアウトカムが得られる確率 FAST試験は、多剤耐性グラム陰性菌の有病率が高い4ヵ国の7施設(ギリシャ2、インド1、イスラエル3、スペイン1)で実施された無作為化非盲検優越性試験。 対象は、血液培養でグラム陰性桿菌が検出され、かつ血液培養の結果通知時点で入院中の患者で、年齢は問わなかった。ただし、直近7日以内のグラム陰性桿菌検出、血液培養結果通知時点で死亡、血液培養グラム染色でグラム陽性桿菌・グラム陽性球菌・グラム陰性球菌・酵母菌・真菌・複数の形態のグラム陰性桿菌を認めた患者などは除外した。 研究グループは、血液培養判定から16時間以内に対象患者を迅速AST群または標準AST群に無作為に割り付け、迅速AST群では各施設の標準ASTに加えVITEK REVEAL(bioMerieux製)を用いて迅速ASTを行った。 両群とも、全例、各施設の抗菌薬適正使用プログラムによる評価を受け、臨床チームで治療変更や抗菌薬の選択、用法および用量などを決定した。 主要アウトカムは、無作為化後30日時点のDOORであった。DOORは「有害イベントなしで生存」、「1つ以上の有害イベントを伴う生存」、「死亡」の3段階で順位付けし、有害イベントは入院継続または退院後30日以内の再入院、臨床効果なし、望ましくない事象(腎不全、多剤耐性菌の院内感染など)と定義した。迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率の95%信頼区間の下限が50%を超えた場合に、標準AST群に対する優越性が認められることとした。 副次アウトカムは、30日死亡、30日までの入院期間、集中治療室入室、院内感染、3日以内の有効な抗菌薬治療開始までの時間、3日以内の抗菌薬の増量または減量などであった。カルバペネム耐性菌感染症患者で、有効な抗菌薬治療開始までの時間が早まる 2023年12月~2025年5月に899例が無作為化され、このうち850例が解析対象集団となった(迅速AST群413例、標準AST群437例)。年齢中央値72歳、女性が43%であった。 迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率は48.8%(95%CI:45.3~52.4)であり、優越性は示されなかった。 有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は両群で差はなく、抗菌薬の増量または減量までの時間の中央値は迅速AST群(22時間)が標準AST群(36時間)より14時間(95%信頼区間[CI]:6~22)短かった。その他の副次アウトカムは両群で差は認められなかった。 事前に規定されたサブグループ解析では、カルバペネム耐性菌感染症患者集団において有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は迅速AST群で9.5時間、標準AST群で28時間であった(群間差:-18時間、95%CI:-42~6)。

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進行期パーキンソン病で昇圧薬を中止したら意識消失を繰り返す事態に…【うまくいく!処方提案プラクティス】第72回

 今回は、進行期パーキンソン病(以下「PD」)における起立性低血圧の管理に介入した症例を紹介します。血圧が安定しているから昇圧薬を中止しようという判断が、結果として患者さんに意識消失を繰り返させてしまうことになり、私自身の反省を踏まえた事例です。進行期PDにおける自律神経障害の理解と、降圧薬・昇圧薬の適切な管理について、一緒に整理していただければ幸いです。患者情報79歳、男性(施設在宅)介護度要介護2基礎疾患パーキンソン病(発症70歳)、レビー小体型認知症、前立腺がん(既往)、陳旧性脳梗塞(既往)ADL歩行・食事は一部介助、排泄はオムツ使用(一部介助)、両下肢の筋力低下あり服薬管理施設スタッフが管理薬学的管理開始時の処方内容1.レボドパ・ベンセラジド配合錠 4錠 分3 毎食後(朝2・昼1・夕1)2.ドロキシドパOD錠100mg 3錠 分3 毎食後3.ミドドリン錠2mg 3錠 分2 朝夕食後(朝2・夕1)4.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後5.ソリフェナシンOD錠5mg 1錠 分1 夕食後本症例のポイント介入当初、レボドパ・ベンセラジド配合錠とドロキシドパ、ならびに昇圧薬のミドドリンが処方されていました。起立性低血圧の既往があるとの情報は得ていたものの、血圧は安定(110~140/60~80台で推移)していると施設職員から報告を受けていました。血圧が落ち着いているなら、ミドドリンは継続する必要がないのではないかと考え、担当医師にミドドリンの中止を提案しました。医師も同意して中止となりましたが、これが誤りの始まりでした。見落とした進行期PDと起立性低血圧の関係パーキンソン病は運動症状だけでなく、さまざまな非運動症状も呈します。進行期には自律神経障害が高頻度に出現し、とくに起立性低血圧は約3分の1の患者に認められるとされています1)。起立性低血圧の背景には、パーキンソン病の神経変性がノルアドレナリン系にも及び、心臓交感神経の脱落が関与していることが知られています。ドロキシドパは生体内でノルアドレナリンに変換されることで、進行期PDにおけるすくみ足・無動・姿勢反射障害だけでなく、起立性低血圧の改善にも有効とされています2)。本症例では、「現在の血圧が安定している=昇圧薬は不要」と表面的に判断してしまい、昇圧薬がその安定を支えていた可能性を考慮できていませんでした。連鎖した処方変更ミドドリン中止から2週間後、血圧の乱高下が出現しました。朝の収縮期血圧が170mmHg台まで上昇することもあると施設の看護師から相談があったので、今度は降圧薬のオルメサルタン10mgを提案・追加しました。しかし、その約1週間後から食後を中心に起立性低血圧が頻発するようになりました。施設の看護師から「血圧がずっと低くなっている」「何度も意識消失を繰り返している」と緊急の相談が入り、事態の深刻さを初めて認識しました。問題の整理ミドドリン中止により昇圧作用が喪失し、血圧が不安定化(とくに食後の低下)。朝の高血圧を起立性低血圧の代償反応として読めず、降圧薬を追加。進行期PDでは臥位高血圧と起立性低血圧が共存しやすい病態であるにもかかわらず、その特性を理解していなかった。医師への提案と経過施設看護師から相談を受けたのち、速やかに医師に状況を報告し、以下を報告しました。(1)ミドドリン中止後から血圧が不安定となり、食後の低血圧が顕著(2)オルメサルタン追加後から起立性低血圧が頻発、意識消失が複数回発生(3)進行期PDにおける自律神経障害(食後低血圧・起立性低血圧)が主因と考えられるそのうえで、オルメサルタンの中止&フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)の追加を提案しました。パーキンソン病診療ガイドライン2018によれば、起立性低血圧の非薬物療法として塩分摂取の増加や急激な体位変換の回避などが挙げられており、薬物療法としてはミドドリンやフルドロコルチゾンが用いられます1)。とくに臥位高血圧を認める患者では、半減期の短いミドドリンを日中に使用することが推奨されています。しかし、本患者は薬を増やしたくないという希望があり、施設職員の服薬管理の負担軽減の観点からも1日1回朝食後の投与で済むフルドロコルチゾンを提案しました。医師への提案はすぐに採用され、フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)を朝食後に追加することになりました。その後、施設の看護師から血圧が安定し、意識消失がなくなったとの報告があり、患者さんは落ち着いた経過をたどっています。考察:この事例から学んだこと1.進行期PDにおける起立性低血圧は「管理すべき症状である」起立性低血圧は進行期PDの非運動症状の代表です。進行期にはほぼ必発ともいえる重要な症状であり、転倒・失神・QOL低下の大きな要因となります。「今は血圧が安定している」という状況だけで薬剤を中止するのではなく、なぜ安定しているのか(=薬が効いているから安定している)という視点を持つことが欠かせません。2.臥位高血圧と起立性低血圧の共存進行期PDでは、自律神経障害により臥位では血圧が高く、立位では低くなるという、相反する病態が共存することがあります。朝の高収縮期血圧をみて安易に降圧薬を追加すると、日中の体動時や食後に重篤な低血圧を招くリスクがあります。3.処方変更は1つずつ丁寧に本症例では、ミドドリン中止→血圧乱高下→降圧薬追加→低血圧悪化という連続した処方変更が事態を複雑にしました。変更の際は1つずつ、十分なモニタリング期間を設けることが原則です。4.施設職員・看護師との連携の重要性施設看護師からの速やかな報告がなければ、意識消失の連発に気付くのが遅れていました。日常的に施設スタッフとの情報共有の関係を築いておくことが、重大な有害事象の早期発見につながります。1)日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」作成委員会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院;2018.2)大村友博ほか. パーキンソン病薬. In:薬局:南山堂;2021.p.138-165.

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医師の働き方改革後、労働時間と収入はどう変わった?/医師1,000人アンケート

 ケアネットは2026年3月、会員医師1,000人を対象に「年収に関するアンケート」を実施した。最後の質問では、2024年4月からスタートした「医師の働き方改革」以降で、年収と労働時間がどう変化したかについて尋ねた。年収は「変化なし」7割、アップ1割、ダウン2割 2024年度以降の年収の変化では、「変わらない」が73%、「増えた」が9%、「減った」が18%だった。年代別では、「年収が増えた」の割合は35歳以下では14%、36~45歳では16%だった一方で、56~65歳は5%、66歳以上は1%と、年代が上がるにつれて減る傾向だった。若手は職位変化や専門医取得などの昇給機会が多いのに対し、ベテラン医師はそうした機会が少なく、体力面からアルバイト・副業なども減らす傾向にあることが背景にあるようだ。同様に「年収が減った」との回答割合も高齢層になるほど高かった。 診療科別(回答数30人以上の科)では、小児科は「収入が減った」の割合が33%と高く、消化器内科も25%と4分の1が減収と回答した。一方、「収入が増えた」の割合は呼吸器内科が21%と最も高く、続いて糖尿病・代謝・内分泌科の19%であった。労働時間、「減った」のは大学病院勤務が最多 労働時間の変化では、「変わらない」75%、「増えた」11%、「減った」14%と、年収とほぼ同様の割合という結果だった。年代別では、35歳以下では「減った」が24%、「増えた」が7%と労働時間の減少傾向が見られたが、36~45歳、46~55歳では「増えた」と「減った」が共に1割強と拮抗しており、若手の労働時間減少分の一部を中堅層が肩代わりしている状況が推察された。 男女別では、「労働時間が減った」割合は男性13%に対し女性21%と、女性のほうが減った割合が高かった。勤務先別では、大学病院勤務者が「減った」の割合が16%と最も高く、医師の働き方改革の実行の度合いが伺える結果となった。「年収アップで労働時間減」の理想型はわずか1% 年収と労働時間の変化の組み合わせでは、「いずれも変化なし」が63%と最も多く、医師の働き方改革が現場に与えた影響は、さほど大きくはない状況がみえた。「労働時間は減ったが、年収も減った」パターンが8%、「労働時間は増えたが、収入も増えた」パターンが4%、「労働時間は増えたのに、年収は減った」という厳しいパターンも2%存在した。理想的な「年収は増え、労働時間は減った」という医師はわずか1%であった。 収入や労働時間に関する自由回答では、収入増加のための行動として投資(有価証券、不動産など)、転職、アルバイト増加(当直、産業医など)が挙げられた。また、節税対策やふるさと納税の活用もみられた。「年収がアップしても税金が増えるだけなので、モチベーションが湧きにくい」という不満の声も複数寄せられた。総じて30~40代の医師は転職や自己研鑽、専門医取得などで収入アップを図るという声が目立ったが、50代以降では「現状で満足」「体力的に厳しいのでバイトを減らす」といった声もあった。「大学病院の給料をもっと上げるべき」「定年後の再任用で給与が激減するのを緩和してほしい」といった提言・要望も目立った。第1回のアンケート結果で紹介したように、この10年間、医師の給与はほとんど上がっておらず、物価高が続く中、さまざまな道を模索する医師の姿がうかがえる結果となった。アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。医師の年収に関するアンケート2026【第4回】働き方改革による変化

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診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴

迷いのない診断、日常診療に潜む誤診の回避体験を読んで積み上げる臨床は知識と経験に基づく連続したタスクであり、状況によって変化する。そのため正確な診断には常に誤診のリスクが付きまとう。本書は国立成育医療研究センターの医師60人が総力を挙げて執筆。診断エラーを回避するため、コミュニケーション技術に基づく問診、身体診察、検査、家族説明、鑑別疾患、診断のステップを通して、落とし穴の回避術をシステマティックに展開。収載された、教科書では得られないニアミス症例、ピットフォール症例が心に刻み込まれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴定価4,400円(税込)判型A5判(並製)頁数296頁発行2026年3月編集窪田 満(国立成育医療研究センター)/永井 章(国立成育医療研究センター)ご購入はこちらご購入はこちら

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他者の感じ方が自分の痛みや負担感に影響

 予防接種の順番を待っているとき、接種を終わらせた人が、注射の痛さを口にしながらよろよろと出てきたとする。そのような言葉を聞くと、自分が受ける注射の痛みも強く感じるのだろうか。新たな研究で、その答えは「イエス」である可能性が示された。他者の感じ方は、身体的な痛みであれ認知的負荷の高い課題であれ、自分自身の感覚の形成に影響を与え得ることが明らかになった。米ダートマス大学心理・脳科学科のAryan Yazdanpanah氏らによるこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月9日掲載された。Yazdanpanah氏は、「今回の研究では、人間は社会的な情報によって予期が形成されると、その予期を維持する傾向があり、その結果、自分の感じ方に持続的な影響を及ぼす可能性が示唆された」とニュースリリースで説明している。 この研究でYazdanpanah氏らは、111人の参加者を対象に実験を行い、社会的手がかりが予期や実際の感じ方にどう影響するかを検討した。実験ではまず、他の参加者10人の評価とされる視覚的な手がかりを参加者に提示した。この情報は、実はランダムに表示されたものであり、実際の評価を反映していなかった。この手がかりを見た上で参加者は、以下の3種類の課題を実施した。それらは、1)身体的痛みとして腕に熱刺激を加える課題、2)代理的痛みとして他人が痛がる動画を視聴する課題、3)認知的負荷として、頭の中で2つの3D物体を回転させて同一のものかどうかを判断する課題であった。参加者は、課題実施の前後でその課題がどれだけ痛いか、または困難かを評価した。 その結果、他者の評価が熱刺激によって極度の痛みを感じたことを示した場合、たとえ実際の熱刺激が弱くても、参加者は痛みを強く感じる傾向が示された。他者の痛みの程度を判断する場合も同様で、予期が「強い痛み」であれば、参加者もそのように判断した。 Yazdanpanah氏は、「これらの結果は、人々が他者の経験をどのように解釈するかについて理解する上で重要な意味を持つ。例えば、ある人が実際には強い痛みを感じているにもかかわらず、周囲がそれを深刻ではないと考えている場合、そのような社会的な認識によって、その人の苦しみを過小評価したり見過ごしたりしてしまう可能性がある」と指摘している。同氏はまた、「同様に、数学の問題を解くといった課題について、他者がその大変さについて話していると、同じ課題がより精神的負荷の大きなものとして感じられる可能性がある」とも述べている。  研究グループによると、これには「確証バイアス」が関与している可能性があるという。共著者であるダートマス大学心理・脳科学科のAlireza Soltani氏は、「人は自分の考えに一致する証拠を優先し、一致しない情報は無視したり軽視したりする傾向がある」と言う。さらに、知覚が予期の影響を受けると、このようなバイアスは修正が難しくなるという。Yazdanpanah氏は、「例えば、腰痛の経験がある人は、体を曲げると痛みが生じることを予期するかもしれない。たとえ身体が生理学的には回復して体を曲げることが安全であっても、そのような予期が実際に感じる痛みを強め得る。その結果、本来は安全な動作であっても痛みを感じ、こうした考えを更新するために必要なシグナルが弱まってしまうのだ」と説明している。 この研究結果は、ソーシャルネットワークやソーシャルメディアによって絶えることなく人々の認識が形成されている現代社会において重要な意味を持つ可能性があると研究グループは指摘している。上席著者であるダートマス大学心理・脳科学科のTor Wager氏は、「われわれの研究結果は、裏付けとなる証拠がなくても予期が持続する理由を解明する一助になるかもしれない」と述べている。さらに同氏は、「今回の研究で観察されたダイナミクスは自己成就的予言、すなわち慢性疼痛や疲労といったさまざまな健康状態、さらには他者に対する考え方にも影響を及ぼすフィードバックの循環を生み出す可能性がある」と説明している。

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医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。 30ヵ月間にわたる横断研究において、医療従事者の携帯電話232台および非医療従事者の携帯電話241台を対象に、多剤耐性菌の保有率および総細菌数を評価した。医療従事者は患者と直接接する者(医師、看護師およびその他の医療者)、非医療従事者は患者と直接接触しない者(臨床実習前の医学生、事務職)と定義された。一部の端末については、アルコール含有ワイプによる清拭消毒の前後で評価を実施した。クローナルクラスターを同定するため、全ゲノム解析およびそれに続くcore genome multilocus sequence typing(cgMLST)解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・多剤耐性菌の保有率は、非医療従事者の携帯電話と比較して、医療従事者の携帯電話で有意に高かった(0.4%vs.15.1%、p<0.001)。・医療従事者間でのサブグループ解析の結果、一般病棟よりも集中治療室(ICU)で使用される端末(11.9%vs.23.4%)、個人用よりも共有の端末(9.1%vs.23.0%)において保有率が有意に高かった(p<0.05)。・医師と看護師の間およびスマートフォンとキーパッド式携帯端末の間で、多剤耐性菌の保有率に有意な差は認められなかった。・バンコマイシン耐性Enterococcus faeciumおよびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、それぞれ11.2%および4.7%の端末から検出された。一方で、多剤耐性グラム陰性菌(MDRGN)は検出されなかった。・cgMLST解析により、クローナルな多剤耐性菌株は主として同一病棟内で認められ、病棟間を越えて認められることはまれであった。・総細菌数は多剤耐性菌検出の予測因子ではなかった。・アルコール含有ワイプによる清拭により、評価を実施したすべての端末から多剤耐性菌が確実に除菌された。 著者らは、携帯電話は多剤耐性菌伝播における重要なリザーバーとなりうるとし、とくに共有端末およびICUの端末に対する標準化されたルーチン消毒を感染予防策として組み込むことが検討されるべきとしている。

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イプタコパンがIgA腎症の腎機能障害を有意に抑制(解説:浦信行氏)

 イプタコパンは補体代替経路の補体B因子の経口阻害薬であり、2025年2月のNEJM誌(Perkovic V, et al. N Engl J Med. 2025;392:531-543.)に9ヵ月時点での有意な蛋白尿減少効果が報告されている。今回は最終24ヵ月までの推算糸球体濾過率(eGFR)の変化度をプラセボ群と対比した。結果の概要はCareNet.comの2026年4月14日配信の記事に示されているが、イプタコパン群のeGFRの変化は-3.10mL/分/1.73m2/年とプラセボ群の-6.12mL/分/1.73m2/年に比較して腎機能障害進行の程度が半減していた。有害事象はやはり感染関係が多かったが、有害事象の発生率と重篤な有害事象の発生率に差はなかった。サブグループ解析では、年齢、性別、アジア人と非アジア人、尿蛋白の程度、eGFRの程度、血尿の有無、SGLT2阻害薬使用の有無で効果に差はなかった。わが国では発症が多いとされるIgA腎症であるが、効果は同様に期待でき、またSGLT2阻害薬使用下でも同様の効果があることから併用療法の有効性もあるものと考えられる。 近年はIgA腎症の病態の一端が徐々に明らかとなり、その病態の各段階に作用する薬剤の開発が盛んに行われ、多くの開発中の薬剤の尿蛋白低減効果が報告されている。しかし、長期の腎機能保護効果を報告するものは少なく、また長期とは言っても24ヵ月程度の成績である。現時点では腸管に限定的に作用するグルココルチコイドのブデソニドはやはり腎機能障害の程度は有意に半減したが、エンドセリンとアンジオテンシン両者の受容体阻害効果を示すsparsentanは減少の傾向にとどまった。その他の新規開発薬剤もこれから報告が相次ぐと思われるが、より長期の保護効果に関する成績や、組織的にも有意な改善があるかの検討も待たれる。なお、現時点での成績では腎機能障害の程度は半減しているが、それでも毎年eGFRが3mL/分減少するため末期腎不全までの進行は避けられない。この減少が1mL/分/1.73m2/年以内にとどまれば言うことはないのだが。

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6割超が年収2,000万円以上を適正と回答したのは◯◯科/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。そのなかで、自身の年収額を妥当と感じるか尋ねたところ、60.2%(そう思う、ややそう思うの合計)が妥当と考えていた。また、自身の業務内容・仕事量に見合った適正年収を尋ねたところ、2,000万円以上と回答した割合は36.3%であった(実年収2,000万円以上は24.0%)。現在の年収、「妥当」と感じる医師は約6割 年収額の妥当性について、自身の年収額が妥当だと思うかという問いに対し「そう思う」が25.8%、「ややそう思う」が34.4%であり、合計すると60.2%となった。2016年もそれぞれ25.2%、36.4%で合計61.6%となり、大きな変化はみられなかった。年代が上がるほど年収の納得感が高い 年代別にみると、年代が上がるほど自身の年収を妥当と感じる割合が高くなる傾向がみられた。「そう思う」「ややそう思う」の割合は、35歳以下がそれぞれ20.5%、33.0%、合計53.5%であったのに対し、66歳以上はそれぞれ32.5%、40.5%、合計73.0%となった。大学病院勤務は年収の納得感が低い 勤務先別にみると、大学病院に勤務する医師は自身の年収を妥当と感じる割合が低い傾向がみられた。「そう思う」「ややそう思う」の割合は、一般診療所がそれぞれ33.9%、33.9%、合計67.8%と最も高かった。一方、大学病院はそれぞれ15.8%、28.3%、合計44.1%と低かった。診療科別の年収の納得感の傾向は? 「そう思う」「ややそう思う」と回答した医師の割合が70%以上、50%以下であった診療科は以下のとおりであった(30人以上の回答が得られた診療科を抽出)。<70%以上>・糖尿病・代謝・内分泌科(31人):74.2%(35.5%、38.7%)・呼吸器内科(34人):70.6%(32.4%、38.2%)<50%以下>・消化器外科(34人):29.4%(5.9%、23.5%)・小児科(52人):50.0%(19.2%、30.8%)適正年収2,000万円以上は36.3% 自身の業務内容・仕事量に見合った適正年収について尋ねた結果、「2,000万~2,500万円」が16.1%、「2,500万~3,000万円」が7.8%、「3,000万円以上」が12.4%で合計すると36.3%となった。2016年もそれぞれ17.1%、6.7%、10.9%で合計34.7%となり、大きな変化はみられなかった。実年収より高い額を適正年収として回答した割合は52.9%であり、実年収別にみると、実年収よりも適正年収を高く回答した割合は1,200万~1,400万円の集団(69.7%)が最も高かった。男性のほうが適正年収を高く回答 男女別にみると、男性のほうが自身の適正年収を高く回答する傾向がみられた。「2,000万~2,500万円」「2,500万~3,000万円」「3,000万円以上」の割合(括弧内は実年収の割合)は、男性がそれぞれ17.7%(14.9%)、8.4%(5.8%)、13.6%(5.3%)、合計41.7%(26.0%)であったのに対し、女性はそれぞれ4.3%(4.3%)、3.4%(4.3%)、3.4%(0%)、合計11.1%(8.6%)となった。消化器外科、脳神経外科は半数以上が適正年収2,000万円以上と回答 「2,000万~2,500万円」「2,500万~3,000万円」「3,000万円以上」と回答した医師の割合が50%以上、30%以下であった診療科は以下のとおりであった(30人以上の回答が得られた診療科を抽出)。<50%以上>・消化器外科(34人):64.7%(32.4%、20.6%、11.8%)・脳神経外科(37人):56.7%(21.6%、10.8%、24.3%)<30%以下>・内科(197人):29.4%(16.8%、2.0%、10.7%)・精神科(78人):29.5%(7.7%、6.4%、15.4%)アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2026【第3回】年収の妥当性・適正年収

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第96回 効果量とは何ですか?【統計のそこが知りたい!】

第96回 効果量とは何ですか?効果量(effect size)は、統計解析において、「ある処置や介入の効果の大きさを数量的に示す指標」です。これは、単に「差があるかどうか」を示す有意確率(p値)とは異なり、その差が「どれほど大きいのか」を明確にするために用いられます。今回は、「効果量」について解説します。■効果量の意味効果量は、研究における2つのグループ間の差や、変数間の関連性の強さを定量的に評価するための指標です。たとえば、新薬の効果を評価する際、治療群と対照群の平均値の差だけでなく、その差がどの程度の大きさであるかを知ることが重要です。効果量は、この差の大きさを標準化し、他の研究や異なる測定尺度間で比較可能にします。例として2群の差の程度を表す効果量を考えてみましょう。一般にばらつき(標準偏差)の大きいデータでは、平均の差も大きくなったり小さくなったり変動しやすくなります。また、単位が異なる場合は、単純比較はできません。そこで、両者の標準偏差を標準化して同じ値(標準偏差=1)とし、その標準化した標準偏差を考慮した平均の差を求めるのが効果量です。ただ単に平均そのものを比較するのではなく、データのばらつきや単位を比べられるように標準化して、平均の差の程度を比較します。つまり、「差の効果量は、標準化した差の程度」を表しています。■効果量の種類効果量には多様な種類があり、研究の目的やデータの性質に応じて適切な指標を選択します。主な効果量として、以下のものがあります。(1)Cohenのd:2つのグループ間の平均値の差を、標準偏差で割った値です。主に平均値の差を評価する際に用いられます。一般的な解釈として、0.2は小さい効果、0.5は中程度の効果、0.8は大きい効果とされています。(2)Hedgesのg:Cohenのdに似ていますが、小さいサンプルサイズに対して補正を加えた効果量です。サンプルサイズが50例未満の場合に使用が推奨されます。(3)相関係数(r):2つの変数間の関連の強さを示す指標で、-1から1の範囲を取ります。0に近いほど関連が弱く、1または-1に近いほど強い関連を示します。(4)決定係数(R2):回帰分析において、独立変数が従属変数の変動をどの程度説明できるかを示す指標です。0から1の値を取り、1に近いほどモデルの説明力が高いことを示します。■効果量のd族とr族効果量は、その性質に応じて「d族(d family)」と「r族(r family)」の2つに大別されます。d族の効果量主に平均値の差に関する指標であり、グループ間の差の大きさを評価します。「Cohenのd」や「Hedgesのg」がこれに該当します。d族の効果量は、上限・下限が無限であるため、効果の大きさを解釈する際には基準値(たとえばCohenの基準)を参考にします。r族の効果量相関の強さや、モデルで説明される分散の割合に関する指標です。相関係数(r)や決定係数(R2)、η(イータ)、Φ(ファイ)、Cramer(クラメール)のVなどが含まれます。r族の効果量は0から1の範囲を取り、値が大きいほど効果の大きさが強いことを示します。■効果量の重要性効果量は、以下の点で重要な役割を果たします。実質的な意義の評価統計的に有意であっても、効果量が小さい場合、その差や関連性が実際の臨床や実践において重要でない可能性があります。効果量を確認することで、結果の実質的な意義を評価できます。メタ分析での比較効果量は、異なる研究間での結果の比較や統合を可能にし、総合的な結論を導く際に有用です。サンプルサイズの設計研究計画の段階で、期待される効果量を基に必要なサンプルサイズを算出することで、適切な検出力を確保できます。■効果量の解釈効果量の解釈には、一般的な基準が存在しますが、研究分野や文脈によって異なる場合があります。たとえば、Cohenのdでは0.2を小さい効果、0.5を中程度の効果、0.8を大きい効果と解釈しますが、これはあくまで目安であり、各研究の文脈に応じて判断することが重要です。効果量を判断する際には、以下の点に注意が必要です。(1)研究の文脈を考慮する:効果量の大きさは、研究の目的や分野によってその意味合いが異なります。たとえば、医療分野では小さな効果量でも臨床的に重要な意味がある場合があります。効果量の解釈には、研究の背景や目的を十分に考慮する必要があります。(2)サンプルサイズの影響を理解する:効果量はサンプルサイズの影響を受けにくい指標ですが、サンプルサイズが極端に小さい場合、効果量の推定に不確実性が生じる可能性があります。一方、サンプルサイズが大きいと、統計的に有意な結果が得られやすくなりますが、効果量が小さい場合、その実質的な意義を慎重に評価する必要があります。(3)効果量の種類を適切に選択する:効果量にはd族(平均差の指標)やr族(相関の指標)など、さまざまな種類があります。研究のデザインやデータの性質に応じて、適切な効果量の指標を選択することが重要です。(4)効果量の解釈における基準値の限界:「Cohenのd」など、効果量には一般的な基準値がありますが、これらはあくまで目安であり、すべての研究に当てはまるわけではありません。各研究の特性や分野の基準に応じて、効果量の大きさを解釈することが求められます。(5)効果量のみで判断しない:効果量は効果の大きさを示す指標ですが、統計的有意性や信頼区間と併せて評価することで、より総合的な判断が可能となります。効果量だけでなく、他の統計指標とも組み合わせて解釈することが重要です。以上の注意点を踏まえることで、効果量の適切な解釈と研究結果の正確な評価が可能となります。このように効果量は、統計解析において効果の大きさを定量的に評価するための重要な指標です。d族とr族の効果量を適切に使い分け、研究結果の実質的な意義を正確に評価することが求められます。d族の効果量は、グループ間の平均値の差を標準化したものであり、「Cohenのd」や「Hedgesのg」が代表的です。一方、r族の効果量は、相関の大きさを表す指標であり、相関係数(r)や決定係数(R2)などが含まれます。論文を読む際には、これらの効果量を理解し、適切に解釈することが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第11回 リスク比とオッズ比の違いは?第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?第50回 クラメール連関係数とは?第51回 期待度数がわかれば簡単! クラメール連関係数の計算法

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問題ばかり起こす人との関係は生物学的老化の加速と関連

 問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。

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医師のアルバイト、10年で「していない」が激減、収入は増加傾向/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人(男性883人、女性117人)を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、医師のアルバイト事情において、10年前の調査と比較して顕著な変化が生じていることが明らかとなった。「アルバイトをしていない医師」は10年前から半減 今回の調査で最も際立ったのは、「アルバイトをしていない」と回答した医師が大幅に減少した点である。「アルバイトをしていない」医師は2016年の調査では52%だったのが、2026年調査では29%と10年間で約半数にまで減少しており、現在、医師にとってアルバイトがきわめて一般的な収入源となっていることが示された。アルバイト収入の分布:二極化と底上げ 2025年度のアルバイト年収は、全体として上昇傾向にあった。最多層は「200万円未満」の28%だが、これは2016年の16%から増加しており、少額でもアルバイトを行う医師の裾野が広がっていることを示している。一方で、アルバイト収入が「1,200万円以上」の層も5%存在し、2016年の2%から倍増した。大学病院勤務者の9割以上がアルバイトに従事 勤務形態別の分析では、大学病院勤務者の実態が顕著であった。大学病院などで働く医師のうち、アルバイトをしていない割合はわずか8%にすぎなかった。大学病院勤務者ではアルバイト年収が「1,000万円以上」に達する割合が23%(1,000~1,200万円未満:11%、1,200万円以上:12%)であり、ほかの勤務先(一般診療所・一般病院)に比べて圧倒的に高い傾向にあった。年代・診療科・地域によっても格差 年代別では、最も積極的にアルバイトを行っているのは「46~55歳」(「していない」割合が23%)であった。対して66歳以上では38%が「していない」との回答だった。 地域別では、北海道・東北では約半数(49%)が「200万円未満」の収入帯に属し、従事者は多いものの単価が低い傾向にあった。一方、九州・沖縄では約半数(49%)が「していない」という結果だった。 診療科別では、アルバイトに従事している医師の割合が最も高かったのは放射線科(「していない」割合が16%)であり、次いで整形外科、精神科、糖尿病・代謝・内分泌科などが続いた。総所得とアルバイト収入の相関 総所得が高い医師ほど、高額のアルバイトに従事している傾向も確認された。総所得2,500万円以上の層では、アルバイト収入だけで「1,200万円以上」を得ている割合が4分の1に達しており、高所得医師においてはアルバイトが所得を押し上げる大きな要因となっていることが裏付けられた。アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。医師の年収に関するアンケート2026【第2回】アルバイト代

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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【消化管】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。消化管領域からは、胃がんに関する2項目(CQ4、CQ5)、大腸がんに関する2項目(CQ6、CQ7)の計4つのCQが設定された。CQ4 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチンの併用は推奨されるか?推奨:高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチン併用療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 胃癌治療ガイドラインでは、切除不能進行・再発胃がんの1次治療としてオキサリプラチンを含むレジメンが推奨されている。高齢者においては末梢神経障害や骨髄抑制といった有害事象が懸念されるため、条件付きの推奨としてオキサリプラチンを含まないレジメンを使用することもある。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、オキサリプラチンを併用する化学療法(減量投与を含む)(介入群)とオキサリプラチンを併用しない化学療法(対照群)のアウトカムを評価した。2件のランダム化比較試験(RCT)(1件はシスプラチン併用)において、無増悪生存期間(PFS)は併用群で有意に良好で、全生存期間(OS)と奏効率は併用群で良好な傾向を示した。オキサリプラチン通常量と減量投与を評価したRCTでは、減量群では奏効率の低下を認めた。治療関連死は併用群で0%、非併用群で3.8%であった。Grade3以上の有害事象は併用群で多いという報告と少ないという報告があり、結果は一貫しなかった。末梢神経障害は併用群66.7%、非併用群7.7%であり、併用群において有意な増加がみられた。しかし、4サイクル後のglobal QOLは併用群のほうが良好であり、有害事象よりもがんの病勢制御ができることのメリットがより大きいと考えられた。OSは併用群で良好で望ましい効果は大きく、治療関連死は両群で差がないため望ましくない効果は小さいと評価された。CQ5 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた治療は推奨されるか?推奨:高齢者の切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 近年、胃がんの治療では、HER2、CLDN18.2、CPS、MSI(MMR)といったバイオマーカーに基づいて治療レジメンの選択を行うことが推奨されているが、高齢者における分子標的薬の有効性・安全性は十分に評価されていない。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、バイオマーカーに基づいた化学療法(トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ゾルベツキシマブの併用)を行う群(介入群)とバイオマーカーに基づいた化学療法を行わない群(対照群)のアウトカムを評価した。13件の研究が対象となった。トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ併用はRCTの高齢者サブグループ解析でOSの有意な改善が確認できたが、ゾルベツキシマブは明らかなOS改善効果を認めなかった。PFSは、ATTRACTION-4でニボルマブ併用による良好な傾向を認めたが、ゾルベツキシマブは良好な傾向を認める試験(SPOTLIGHT)と認めない試験(GLOW)があった。治療関連死、Grade3以上の有害事象、QOLについてはRCTで高齢者集団に限定した解析は存在しなかった。RCTの高齢者サブ解析において一部の薬剤ではOSの有意な改善が示されて益は大きいものの、高齢者に限定した安全性のデータがないことからエビデンスの強さは「C(弱い)」と評価された。CQ6 結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合、どのような治療が推奨されるか?推奨:結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合には、フッ化ピリミジン単独療法もしくはオキサリプラチン併用の補助化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入または比較対照のいずれかについての条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 大腸癌治療ガイドラインにおいて、StageIIIの大腸がんに対してオキサリプラチン併用療法は強く推奨、フッ化ピリミジン単独療法は弱く推奨されている。しかし、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチンの上乗せ効果については議論がある。そこで本CQでは、結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者を対象に、フッ化ピリミジンとオキサリプラチンの併用療法を6ヵ月施行する群(介入群)とフッ化ピリミジン単独療法を6ヵ月施行する群(対照群)のアウトカムを比較した。3件のRCTではいずれもオキサリプラチン併用による有意なOSの改善効果は示されなかったが、4件の観察研究ではいずれも併用群で良好であった。3件のRCTではいずれも無病生存期間(DFS)の改善効果は示されなかったが、1件の観察研究では併用群で有意に良好であった。Grade3/4の有害事象およびGrade3/4の末梢神経障害は併用群で有意に多かった。RCTではOS・DFSの有意な延長効果は示されないことから益は小さく、Grade3以上の有害事象は増加することから害は中であると評価された。CQ7 切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法においてオキサリプラチンまたはイリノテカンの使用は推奨されるか?推奨:切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法において、オキサリプラチンやイリノテカンの併用は一律には行わず、患者の状態に応じて判断することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入に反対する条件付きの推奨エビデンスの強さ:B 切除不能進行再発大腸がんの1次治療では、オキサリプラチンおよび/またはイリノテカンを併用した強力なレジメンが推奨されているが、忍容性に問題のある患者ではオキサリプラチンやイリノテカンを併用しないレジメンが推奨されている。そこで本CQでは、切除不能進行再発大腸がんの高齢患者を対象に、オキサリプラチンまたはイリノテカンを併用する化学療法を行う群(介入群)とこれらを併用しない化学療法を行う群(対照群)のアウトカムを比較した。日本で行われた第III相のRCT(JCOG1018)において、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチン併用による有意なOSの延長は認められず、その他の5件のRCTでもオキサリプラチンまたはイリノテカン併用による有意なOSの延長は確認されなかった。JCOG1018を含む5件のRCTにおいて、オキサリプラチンまたはイリノテカン追加による有意なPFSの延長は認めなかったが、NORDIC-9ではS-1単独群(標準用量)よりも減量SOX療法のほうがPFSは有意に延長した。Grade3以上の有害事象はNORDIC-9では併用群で有意に少なかったが、その他の試験ではいずれも併用群で有害事象の頻度が高かった。有害事象による治療中止は、NORDIC-9を除くRCTでは併用群で高い傾向を認めた。併用群ではOS・PFSともに有意な改善効果を示していないことから益はわずかである一方、Grade3以上の有害事象の頻度は併用群で高く、治療中止の割合も高い傾向を示したことから害は大きいと評価された。

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心血管疾患2次予防、目標LDL-C値55mg/dL未満でリスク低下/NEJM

 動脈硬化性心血管疾患患者において、目標LDL-C値は55mg/dL未満が70mg/dL未満よりも、3年時点の心血管イベントリスクの低下に結び付いたことを、韓国・延世大学校医科大学のYong-Joon Lee氏らEz-PAVE Investigatorsが行った非盲検無作為化優越性試験の結果で報告した。ガイドラインでは動脈硬化性心血管疾患患者におけるLDL-C値低下を推奨しているが、これらの患者の2次予防のための適切な目標LDL-C値について評価した無作為化試験からのエビデンスは限定的なままであった。NEJM誌2026年4月9日号掲載の報告。主要エンドポイントは、3年時点の心血管死等の複合 研究グループは、19~80歳の動脈硬化性心血管疾患患者(次のいずれか1つ以上の既往または現有で定義:急性冠症候群[心筋梗塞または不安定狭心症]既往、画像検査または機能検査で確認された安定狭心症、冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術、脳卒中または一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患あり)を、目標LDL-C値を55mg/dL(1.4mmol/L)未満とする群(強化群)または70mg/dL(1.8mmol/L)未満とする群(従来群)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要エンドポイントは、3年時点の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、あらゆる血行再建術、または不安定狭心症による入院の複合であった。安全性も評価した。イベントの累積発生率は強化群6.6%、従来群9.7%で有意な差 2021年1月~2022年7月に韓国17施設で3,048例が無作為化された(強化群1,526例、従来群1,522例)。両群の患者特性はバランスが取れており、平均年齢は64.4±9.0歳、女性が638例(20.9%)で、LDL-C中央値は76mg/dL(四分位範囲[IQR]:61~96)であった。1,694例(55.6%)が急性冠症候群既往で、1,474例(48.4%)が画像検査または機能検査で確認された安定狭心症を、2,049例(67.2%)が冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術を有していた。 追跡期間中央値は3.0年(IQR:3.0~3.0)。試験期間中のLDL-C中央値は、強化群56mg/dL(1.4mmol/L)、従来群66mg/dL(1.7mmol/L)であった。 主要エンドポイントのイベント発生は、強化群100例(推定Kaplan-Meier累積発生率6.6%)、従来群147例(9.7%)であった(ハザード比:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)。 事前に規定した安全性エンドポイントの発生は、強化群でクレアチニン値上昇の発現割合が有意に低かったこと(1.2%vs.2.7%、群間差:-1.5%ポイント、95%CI:-2.5~-0.5、p=0.004)を除き、両群で同程度であった。

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ゴールデンウイークの対応について(ポイント交換停止)

ゴールデンウイーク:ポイント・プログラムのポイント交換停止についてゴールデンウイーク中はポイント交換を停止いたします(発行済み各種ギフト券の確認含む)。ポイント交換受付停止期間2026年5月2日(土)0時 ~ 2026年5月7日(木)0時(5月6日 24時)ご利用中の皆さまにはご不便をお掛けしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。■お問い合わせ

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