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境界性パーソナリティ障害に対する集団精神療法のメタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)治療ガイドラインでは、必須とはいかないまでも、患者ケアの重要な要素として精神療法を推奨している。米国・Rawson-Neal Psychiatric HospitalのStephanie P. B. McLaughlin氏らは、BPDに対する集団精神療法と通常治療(TAU)を比較したランダム化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 グループおよび患者の特性、バイアス変数リスク、TAU比較条件の治療要素(精神療法が含まれるかどうかなど)に基づくアウトカムの違いを調査するため、モデレーター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした研究は、24件(1,595例)であった。・集団精神療法は、BPD症状の軽減に大きな効果を示し(g=0.72、95%CI:0.41~1.04、p<0.001)、自殺念慮/自殺未遂行為に中程度の効果を示した(g=0.46、95%CI:0.22~0.71、p<0.001)。・両アウトカムともに不均一性が高く(それぞれ、I2:76%、70%)、治療ストラクチャ-とBPD症状、理論的手法と自殺念慮/自殺未遂行為の間に関連性が見いだされた。・また、グループの規模とBPD症状および自殺念慮/自殺未遂行為との間にも関連性が認められた。・副次的アウトカム(不安、うつ病、メンタルヘルス)に対する集団精神療法の効果は、小~中程度であった。 著者らは「不均一性についてはさらなる説明が必要であるとしながらも、BPDに対する集団精神療法は、TAUと比較し、より大幅な症状改善が期待できる」としている。■関連記事境界性パーソナリティ障害治療の現状境界性パーソナリティ障害の長期臨床経過に関するメタ解析境界性パーソナリティ障害発症、親子関係が影響

1302.

父親の年齢と統合失調症や双極性障害との関連

 これまでの研究では、出産時の父親の高齢化と統合失調症や双極性障害のリスク増加との関連が報告されていた。この関連は、父親の精子におけるデノボ突然変異によって引き起こされるとする仮説や、高齢時に子供持つ父親の心理社会的特徴に関連するともいわれている。イスラエル・Chaim Sheba Medical CenterのMark Weiser氏らは、これらの仮説について検証を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年3月4日号の報告。 イスラエルのドラフトボードレジストリ、精神科入院レジストリよりプロスペクティブ集団ベースコホート研究を行った。対象者数は、統合失調症患者4,488例、双極性障害患者883例を含む91万6,439例。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、ロジスティック回帰モデルを用いて算出し、予測因子として父親の年齢、アウトカム尺度として統合失調症または双極性障害による入院リスクを使用した。分析モデルは、最初は未調整で行い、次に長子誕生時の父親の年齢で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・未調整モデルでは、出産時の父親の年齢が45歳以上だと、子供の統合失調症OR:1.71、95%CI:1.49~1.99)および双極性障害(OR:1.63、95%CI:1.16~2.24)のリスクが高かった。・しかし、長子誕生時の父親の年齢を考慮すると、父親の高齢化は、統合失調症OR:0.60、95%CI:0.48~0.79)または双極性障害(OR:1.03、95%CI:0.56~1.90)のリスク増加と関連が認められなかった。 著者らは「父親の高齢化と子供の統合失調症および双極性障害リスクとの関連は、父親となる年齢の遅れによる心理社会的要因または一般的な遺伝変異によることが示唆された」としている。■関連記事統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか親の年齢とてんかんリスクに関するレジストリベース調査統合失調症、双極性障害の家族特性を検証

1303.

失業と不眠症との関連

 順天堂大学の前田 光哉氏らは、雇用形態と不眠症関連症状との関連について調査を行った。Industrial Health誌オンライン版2019年3月27日号の報告。 日本の国民生活基礎調査2010のデータより、20~59歳の4万3,865人の匿名データを分析した。雇用形態は、正規雇用、非正規雇用、自営業、その他、失業者、非労働力の6カテゴリで定義した。不眠症関連症状の性別特異的オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、交絡因子で調整した多変量ロジスティック回帰分析を用いた。さらに、精神疾患、喫煙状況、年齢による層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男性における不眠症関連症状の多変量ORは、失業者で2.5(95%CI:1.8~3.4)、非労働力で2.1(95%CI:1.2~3.7)であった。・女性における不眠症関連症状の多変量ORは、失業者で1.9(95%CI:1.5~2.5)であった。・精神疾患で層別分析を行ったところ、この関連性は、精神疾患のない人において、より明確であった。なお、喫煙や年齢との関連性は認められなかった。 著者らは「失業または非労働力男性において、不眠症関連症状の有意に高いORが認められた。そして、この関連性は、精神疾患のない人において、とくに明確であった」としている。■関連記事仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学仕事の早期リタイアは認知症リスクを高める

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双極性障害治療に対する新薬候補

 ドラッグ・リポジショニングは、多くの医療分野において有望なアイデアである。躁病および双極性障害の発症率低下に対するアスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、低用量アスピリン、高用量アスピリン、スタチン、アロプリノール、アンジオテンシン系薬の継続使用の影響を調査するため、デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、デンマークの全国人口ベースレジストリをシステマティックに使用し、検討を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 対象薬剤を購入したすべてのデンマーク人および人口の30%のランダム化サンプルを対象に、ポアソン回帰分析を用いた全国人口ベース縦断的研究を行った。フォローアップ期間は、2005~15年の10年間とし、アウトカム指標には、次の2つを含めた。(1)入院または外来患者として精神科病院受診による躁病または双極性障害の診断、(2)躁病または双極性障害の診断またはリチウム使用開始とを組み合わせた測定。 主な結果は以下のとおり。・2005~15年の10年間で対象薬剤のうち1剤を使用した患者は160万5,365例(年齢中央値:57歳[四分位:43、69]、女性の割合:53.1%)であった。・低用量アスピリン、スタチン、アンジオテンシン系薬の継続使用は、両アウトカム測定において躁病または双極性障害の発症率低下との関連が認められた。・アスピリン以外のNSAIDs、高用量アスピリンの継続使用は、双極性障害の発症率上昇との関連が認められた。・アロプリノールでは、統計学的に有意な関連性は認められなかった。 著者らは「双極性障害における炎症やストレス反応システムに作用する薬剤の可能性が支持された。また、ドラッグ・リポジショニングの可能性のある薬剤を識別するために、人口ベースのレジストリが使用可能であることが示唆された」としている。■関連記事統合失調症と双極性障害の違い、脳内の炎症/ストレスに派生双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害の補助治療オプションに関する情報のアップデート

1305.

統合失調症に対する抗炎症薬補助療法~メタ解析

 統合失調症に対する抗炎症薬補助療法が、症状改善に寄与することが最近のエビデンスで示唆されている。しかし、認知機能、全般的機能、副作用に対する抗炎症薬補助療法の効果については、システマティックに研究されていない。韓国・カトリック大学のMyeongju Cho氏らは、統合失調症に対する抗炎症薬補助の効果を包括的に調査するため、メタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane Database of Systematic Reviewsを含むオンラインデータベースより、精神病理、神経認知、全般的機能、錐体外路系副作用を含む臨床アウトカムを調査したランダム化プラセボ対照二重盲検試験を検索した。調査対象抗炎症薬は、アスピリン、セレコキシブ、ω3脂肪酸、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、プレグネノロン、N-アセチルシステイン、ミノサイクリン、davunetide、エリスロポエチンであった。 主な結果は以下のとおり。・定量分析のための選択基準を満たした研究は、62件(2,914例)であった。・抗炎症薬補助により、PANSSの総スコア、陽性症状スコア、陰性症状スコアの有意な減少が認められた。・ミノサイクリンおよびプレグネノロン補助療法では、認知機能の有意な改善が認められた。・全体的に抗炎症薬補助療法により、全般的な機能は有意に改善していた。・抗炎症薬補助療法は、プラセボと比較し、副作用に有意な差は認められなかった。・ベースライン時のPANSS総スコアおよび罹病期間は、精神症状改善に対する抗炎症薬補助療法の効果を緩和する因子として同定された。 著者らは「抗精神病薬単独療法よりも、抗炎症薬補助療法を用いた有効性および安全性が支持された。しかし、抗炎症薬補助療法のより詳細な効果を理解するためには同種の臨床プロファイルを有する患者に焦点を当てた研究が必要である」としている。■関連記事統合失調症治療に抗炎症薬は有用か初回エピソード統合失調症患者におけるアリピプラゾールとリスペリドンの抗炎症効果の比較精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに

1306.

高校進学時のうつ病に対する予防プログラム

 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。 高校進学プログラム(The High School Transition Program:HSTP)は、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。対象生徒497人は、HSTP群(241例)または対照群(256例)にランダム化した。うつ病および不安症状は、自己報告法を用いて18ヵ月間にわたり5回の測定を行った。予防効果およびベースライン時の症状、人種、性別などの調整因子を評価するため、階層的線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・HSTP群は、対照群と比較し、経時的に抑うつ症状の減少率が上昇することが示唆された(d=0.23)。・HSTP群は、不安スコアの変化率が有意に速まった(d=0.25)。・ベースライン時の不安の重症度、人種、性別は、症状アウトカムの推移に影響を及ぼさなかった。 著者らは「ストレスの多い青少年の進学において、予防プログラムの意義を検討すべきである」としている。■関連記事青年期うつ病を予測する小児期の特徴思春期の少年少女における自殺念慮の予測日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

1307.

統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析

 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。陰性症状の評価のため、統合失調症患者におけるPE群と任意の対照群を比較したランダム化比較試験を含めた。本メタ解析は、PRISMAガイドラインに従って実施した。研究の方法論的な質の評価には、Cochrane Risk of Bias assessment toolを用いた。モデレーター分析、感度分析、メタ回帰分析を用いて、異質性の分析および研究の質への影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された研究は、22件(1,249例)であった。・全体的な方法論的な質は低かった。・メタ解析(変量効果モデル)では、任意のPEは、任意の対照条件と比較し、中程度の有意な効果が認められた(Hedges’g:0.434、95%CI:0.196~0.671)。・任意の対照群と比較し、MBEでは中程度の有意な効果(Hedges’g:0.461)、AEではわずかに有意な効果(Hedges’g:0.341)が認められた。・RTの効果は、調査できなかった。・全体的に不均一性が高く(I2:76%)、モデレーター分析または感度分析では低減できなかった。 著者らは「PEは、統合失調症患者の陰性症状治療において有望な介入となりうることが示唆された。しかし、抽出された研究の質は低く、異質性が高かったため、明確に推奨することは困難であり、慎重な解釈が求められる」としている。

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うつ、不安、睡眠の質に対する「お笑い介入」~メタ解析

 うつ病や不安症状の治療に対し、ネガティブな感情を減少させるための介入が求められており、お笑いやユーモアを用いた介入(お笑い介入)は、安全かつ便利で、患者と医療従事者との関係を良好に保つことが期待される介入方法である。成人のうつ病、不安および睡眠の質に対するお笑い介入の効果を定量化するため、中国・吉林大学のJinping Zhao氏らが検討を行った。Journal of Advanced Nursing誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 ランダム化比較試験のメタ解析を実施し、2018年12月までの研究を各種データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Chinese National Knowledge Infrastructure、Weipu、Wanfang Data)より検索した。Cochrane Collaborationガイドラインに従って、メタ解析レビューを実施した。研究の選択、データ抽出、バイアスリスク(Cochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール)の評価は、独立した2人のレビューアにより実施した。 主な結果は以下のとおり。・10研究より、814例が抽出された。・メタ解析では、お笑い介入が成人のうつ病、不安を有意に減少させ、睡眠の質を改善することが示唆された。・サブグループ解析では、長期的なお笑い介入は、うつ病患者により多くのベネフィットをもたらすことが示唆された。 著者らは「お笑い介入は、成人のうつ病や不安を軽減し、睡眠の質の改善に有効であることが明らかとなった。今後は、質の高いフォローアップ評価を行うために、さらなる研究が求められる」としている。■関連記事「笑い」でうつ病診断が可能にこれからのうつ病治療、どんな介入を行うべきかうつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

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母親の産後うつが子供の言語発達を遅らせるか

 母親の後期発症型の産後うつは子供の言語発達遅滞を引き起こす可能性があることが、浜松医科大学子どものこころの発達研究センターの青柳 早苗氏らの研究によって明らかになった。PeerJ誌2019年3月号に掲載。 母親の産後うつにさらされることが乳児の言語発達遅滞に関与するということは示唆されている。しかし、言語発達の遅れが幼児期まで持続するのか、また早期発症型の産後うつ(産後4週間以内)と後期発症型の産後うつ(産後5~12週間)のどちらが言語発達遅滞に関与しているかについては明らかではなかった。 著者らは、早期発症型と後期発症型の産後うつで、どちらが乳児期から早期の幼児期の子供(生後40ヵ月まで)の表出性言語スコアを低下させるのかについて検討を行った。 本研究は、「浜松母と子の出生コホート研究」の一部として実施され、969例の新生児およびその母親を対象に行われた。早期発症型および後期発症型の産後うつは、Edinburgh Postnatal Depression Scaleによって診断された。表出性言語発達はMullen Scales of Early Learningによって測り、6つの時点(生後10、14、18、24、 32、40ヵ月)でモニターした。説明変数と表出性言語スコアの変化との関係は、共変量で調整された重回帰分析と成長曲線分析によって評価された。 主な結果は以下のとおり。・成長曲線分析の結果から、後期発症型の産後うつを発症した母親の子供では生後10~40ヵ月にかけての表出性言語スコアが有意に単調減少した。・後期発症型の産後うつは、子供の生後18ヵ月以降の表出性言語スコアを有意に低下させ、生後40ヵ月時点では標準偏差の0.6倍のスコア低下が認められた(95%CI:-0.888~-0.265、p<0.001)。・早期発症型の産後うつを発症した母親の子供では、表出性言語スコアの有意な減少は認められなかった。 著者らは本研究の結果について、「母親の後期発症型の産後うつによって子供の乳幼児期の表出性言語発達遅滞が引き起こされることが示唆され、言語発達遅滞の早期発見と治療介入を容易にするために後期発症型の産後うつのモニタリングが重要である」としている。

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体形とうつ病発症リスクとの関連

 肥満はうつ病と関連しているといわれている。肥満の一般的な指標としてBMIが用いられるが、BMIは身長と体重を組み合わせた指標である。そのため、体の寸法やサイズのどの部分が最も関連しているかはよくわかっていない。米国・トゥルーマン州立大学のJeffrey R. Vittengl氏は、体形とうつ病との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年3月5日号の報告。 妊娠していない20歳以上の成人2万3,739例を対象に、2007~16年の国民健康栄養調査のデータより分析を行った。年齢、性別、民族性、社会経済的地位でコントロールしたうえで、抑うつ症状と体形変数との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・身長ではなく、体重とBMIが抑うつ症状の予測因子であった。・比較的高い体重またはBMIを有する成人(女性の上位約30~40%、男性の上位約10%)は、性別内において実質的に抑うつ症状(d≧0.20)の有症率が高かった。・女性(BMI≧30)および男性(BMI≧36)におけるうつ症状の増加を予測するBMIの範囲は、それぞれ標準的な過体重や肥満の定義よりも高かった。 著者らは「本研究は、横断的観察研究であり、体重とうつ病との潜在的な因果関係を明らかにするためには、今後縦断的および実験的な研究が必要である。また、他の体形変数もうつ病を予測する可能性がある」としながらも「抑うつ症状の予測因子である体重に関して、BMIのような身長により調整されていない体重に重点を置いた評価が、うつ病の予防や治療を改善するかどうかを確認する必要がある」としている。■関連記事抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果はセロトニンの役割、摂食障害や肥満治療への期待肥満と認知症リスク

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統合失調症入院患者における心血管イベント

 レバノン大学のGhina Al-Seddik氏らは、統合失調症患者における心血管(CV)および脳血管イベントと死亡率を評価するため、フラミンガムリスクスコア(FRS)および動脈硬化性疾患(ASCVD)のスコアによる予測能について比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年2月10日号の報告。 対象は、2013年1月から入院中の統合失調症患者329例。CVイベントを検出するため患者のカルテをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・平均フォローアップ期間は41.07±12.55ヵ月であった。・フォローアップ期間中に29件のCVイベントが認められた。内訳は、心筋梗塞4件、脳卒中1件、心不全6件、CV死18件であった。・CVイベント発生率の主要複合アウトカムは9.0/100患者年、2次複合アウトカムは7.2/100患者年であった。・FRSスコアによる高CVR患者と低CVR患者の生存曲線の間には、有意な傾向が認められた(RR:1.90、p=0.078)。・ASCVDにより高CVリスクと分類された患者では、CV生存率の低下が認められた(RR:3.35、p=0.005)。 著者らは「重度の精神疾患患者の医学的評価では、ASCVDの評価を行うべきである」としている。■関連記事抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大統合失調症の心血管リスク、その出現時期は抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

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統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向

 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。 1995~2014年に統合失調症または双極性障害と診断されたSMRを比較するため(年齢、性別で調整)、デンマーク全人口を含むレジスターベースのコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・重度の精神疾患患者のSMRは、研究期間中の各暦年につき有意に高く、全SMRは、統合失調症患者(3万8,500例)で4.58(95%CI:4.48~4.69)、双極性障害患者(2万3,092例)で2.57(95%CI:2.49~2.65)であった。・統合失調症と双極性障害のそれぞれについてSMRの時間的傾向を調査したところ、SMRの経時的な平均増加は、統合失調症で0.03/年、双極性障害で0.02/年であった(各々p<0.01)。・研究期間中の各暦年における統合失調症と双極性障害のSMRの比は、一定であった(p=0.756)。 著者らは「統合失調症、双極性障害ともに、過去20年間でSMRの増加が認められた。両疾患ではSMRに関する明らかな違いがあるにもかかわらず、SMRの経時的な増加は同様であり、両疾患の死亡率に影響する共通の根本的な要因を示唆している可能性がある」としている。■関連記事精神疾患患者の死亡率は減少しているのか統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で初発統合失調症に対する治療アルゴリズムを作成~日本臨床精神神経薬理学会

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日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。 日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。アンケート内容は、人口統計(年齢、性別など)、スマートフォンの所持、インターネット利用(平日と週末のインターネット利用時間、お気に入りのソーシャルネットワーキングサービス[SNS]など)、Youngのインターネット中毒テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、日本語に翻訳したSAS-SVで構成された。 主な結果は以下のとおり。・アンケート回答者数は、573例(男性:180例、女性:393例)であった(平均年齢:19.3±1.3歳)。・最も人気のあったソーシャルメディアプラットフォームは、LINE(52.0%)であり、次いでTwitter(36.3%)であった。・総IATスコアは、45.3±13.2であり、4.5%が重度(IAT:70以上)であった。・平均SAS-SVスコアは、男性で24.4±10.0、女性で26.8±9.9であった。・カットオフスコアに基づきスマートフォン中毒陽性であったのは、男性の22.8%、女性の28.0%であった。・SAS-SVとIATの合計スコアに相関が認められた。 著者らは「スマートフォンユーザーの増加に伴い、スマートフォン使用に関連する問題も深刻となる。日本語版SAS-SVは、スマートフォン使用の問題を早期発見するために役立つ可能性がある」としている。■関連記事日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスクスマホ依存症になりやすい性格タイプ日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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統合失調症における向精神薬補助療法の有効性比較

 統合失調症治療では、抗精神病薬に加え向精神薬が用いられるが、これらの向精神薬補助療法の有効性を比較したエビデンスは、ほとんどない。米国・コロンビア大学のT. Scott Stroup氏らは、実臨床における統合失調症に対する向精神薬補助療法の有効性を比較検討した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2019年2月20日号の報告。 2001年1月~2010年12月までの全米メディケイドデータを使用し、有効性比較研究を行った。1剤の抗精神病薬で安定して治療されている18~64歳の統合失調症外来患者を対象に、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、気分安定薬、他の抗精神病薬による治療開始後の結果を検討した。データ分析は、2017年1月~2018年6月に実施した。4つの治療群における共変量のバランスをとる傾向スコアを推定するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。治療企図解析(ITT解析)に基づいて365日後の治療転帰を比較するため、加重Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。主要アウトカムは、精神障害による入院リスク、精神障害による救急受診リスク、すべての原因による死亡リスクとした。 主な結果は以下のとおり。・成人統合失調症外来患者は、8万1,921例(平均年齢40.7±12.4歳、女性:3万7,515例[45.8%])であった。併用薬剤は、抗うつ薬3万1,117例、ベンゾジアゼピン1万1,941例、気分安定薬1万2,849例、他の抗精神病薬2万6,014例であった。・他の抗精神病薬使用患者と比較し、抗うつ薬使用患者は精神科入院リスクが低く(ハザード比[HR]:0.84、95%CI:0.80~0.88)、ベンゾジアゼピン使用患者は精神科入院リスクが高かった(HR:1.08、95%CI:1.02~1.15)。気分安定薬使用患者では、有意な差が認められなかった(HR:0.98、95%CI:0.94~1.03)。・精神科救急受診リスクに関しても、同様の関連性が認められた。抗うつ薬(HR:0.92、95%CI:0.88~0.96)、ベンゾジアゼピン(HR:1.12、95%CI:1.07~1.19)、気分安定薬(HR:0.99、95%CI:0.94~1.04)。・気分安定薬の使用は、死亡リスクの増加との関連が認められた(HR:1.31、95%CI:1.04~1.66)。 著者らは「統合失調症治療において、抗うつ薬補助療法は、他の向精神薬と比較し、精神科入院および救急受診リスクの低下と関連が認められた。ベンゾジアゼピンおよび気分安定薬とアウトカム不良との関連については、臨床的に注意し、さらなる調査が必要とされる」としている。■関連記事統合失調症患者への抗精神病薬と気分安定薬併用、注意すべきポイントは統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか?

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スタチン治療とうつ病リスク

 スタチン治療によるうつ病発症リスクへの影響は、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、20年間のフォローアップを行ったコホート研究におけるスタチン治療とうつ病との関連を評価した。Journal of Affective Disorders誌2019年3月1日号の報告。 1920~83年に生まれたデンマーク人を対象に、1996~2013年のスタチン治療患者(スタチン群)を特定した。いくつかの潜在的な交絡因子を考慮し、年齢、性別、傾向スコアに基づきスタチン群に非スタチン群をマッチさせた。スタチン治療と抗うつ薬処方、他の薬剤処方、精神科病院でのうつ病診断、心血管死亡率、全死因死亡率との関連を調査するため、Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・スタチン群19万3,977例および非スタチン群19万3,977例を対象に、262万1,282人年フォローアップを行った。・スタチン使用と関連していた項目は以下のとおり。●抗うつ薬使用リスクの増加(ハザードレート比[HRR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.31~1.36)●他の薬剤使用リスクの増加(HRR:1.33、95%CI:1.31~1.35)●うつ病診断率の増加(HRR:1.22、95%CI:1.12~1.32)●抗うつ薬使用で調整していない場合におけるうつ病診断率の増加(HRR:1.07、95%CI:0.99~1.15)●心血管死亡率の減少(HRR:0.92、95%CI:0.87~0.97)●全死因死亡率の減少(HRR:0.90、95%CI:0.88~0.92) 著者らは「スタチン治療と抗うつ薬使用との関連性は非特異的であり、他の薬剤と同様であった。また、スタチン使用とうつ病診断との関連は、残余交絡、バイアスまたはスタチン治療による医師の診断頻度により影響を受けることが示唆された」としている。■関連記事うつ病や自殺と脂質レベルとの関連スタチンと認知症・軽度認知障害リスクに関するメタ解析非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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日本人うつ病に対するω3脂肪酸と心理学的介入

 勤労者における軽度~中等度のうつ病に対し、心理教育とω3多価不飽和脂肪酸(PUFA)の併用療法が有用であるかについて、長崎大学の田山 淳氏らが検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年2月15日号の報告。 二重盲検並行群間ランダム化比較試験として実施した。対象患者は、ω3脂肪酸を投与する介入群またはプラセボを投与する対照群に割り付けられた。介入群には、15×300mgカプセル/日を12週間投与した。ω3PUFAの1日の総投与量は、ドコサヘキサエン酸(DHA)500mg、エイコサペンタエン酸(EPA)1,000mgであった。治療後のうつ病重症度評価には、ベック抑うつ質問票(BDI-II)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・治療12週間後のBDI-IIスコアは、介入群(t=-7.3、p<0.01)および対照群(t=-4.6、p<0.01)のいずれにおいてもベースラインと比較し有意に低かった。・しかし、両群間の有意な差は認められなかった(0.7、95%CI:-0.7~2.1、p=0.30)。・本研究の限界として、血中ω3脂肪酸濃度が測定されておらず、脱落率も高かった。また、他の地域で一般化できない可能性があった。 著者らは「軽度~中等度のうつ病に対する心理教育とω3脂肪酸の併用療法は、症状改善に寄与するものの、心理教育単独療法と比較し、うつ症状の改善に違いが認められなかった」としている。■関連記事EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすかうつ病にEPAやDHAは有用なのかうつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

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初回エピソード統合失調症患者における長時間作用型パリペリドンパルミチン酸の有効性と忍容性

 クロアチア・Clinical Hospital Centre RijekaのDaniela Petric氏らは、思春期の初回エピソード統合失調症患者に対する長時間作用型パリペリドンパルミチン酸の有効性および忍容性について、経口抗精神病薬リスペリドンとの比較検討を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2019年2月13日号の報告。 思春期の初回エピソード統合失調症患者を対象に、治療開始12ヵ月間におけるパリペリドンとリスペリドンの有効性および忍容性を比較するため、レトロスペクティブ研究が実施された。データには、一般的な人口統計学的特徴、入院回数、副作用および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)、臨床全般印象度(CGI-I、CGI-S)、治療満足度アンケート(TSQM)の結果を含めた。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月の研究期間中、パリペリドン群およびリスペリドン群においてPANSS、PSP、CGI-I、CGI-Sの有意な改善が認められた。・パリペリドン群は、リスペリドン群と比較し、PANSS、CGI-S、PSPの有意な改善が認められた。・リスペリドン群は、パリペリドン群と比較し、入院回数が有意に多かった。・パリペリドン群のTSQMでは、便宜尺度、全体満足度、全体的な結果においてより高いスコアを達成したが、有効性尺度に差は認められなかった。・報告された副作用は、パリペリドン群で高プロラクチン血症5.5%、体重増加5.5%、リスペリドン群ではそれぞれ5.5%、16.7%であった。 著者らは「パリペリドンは、思春期の初回エピソード統合失調症患者に対し有効かつ安全な薬剤であると考えられる。さらに、リスペリドンと比較し、臨床反応、副作用、入院回数に対し好影響をもたらすであろう」としている。■関連記事急性期統合失調症に対するパリペリドンの6週間オープン試験パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果統合失調症におけるパリペリドンパルミチン酸とリスペリドンの持効性注射剤の比較

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気候変動と認知症入院リスクとの関連

 人間が引き起こす気候変動がここ数十年で加速しており、健康への悪影響が懸念されている。しかし、高齢者の神経疾患に対する気候変動の影響は、まだよくわかっていない。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYaguang Wei氏らは、ニューイングランドにおける認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連について検討を行った。Environment International誌オンライン版2019年2月26日号の報告。 認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連を推定するため、時間依存共変量Cox比例ハザードを用いた。各地域の気温は、衛星画像データを利用した予測モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・夏季(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.96~1.00)または冬季(HR:0.97、95%CI:0.94~0.99)の気温が平均よりも高かったとき、認知症関連入院リスクは低下した。一方、気温変動の大きい地域の高齢者では、認知症関連入院リスクが上昇した。・性別、人種、年齢、メディケア二重資格による交互作用(Effect modification)は、サブグループにおける脆弱性を調査するために考慮された。 著者らは「本結果より、平均気温より低いとき、および気温変動が大きいときに、認知症関連入院リスクの上昇が示唆された。気候変動は、認知症の進行やそれに伴う入院コストに影響を及ぼす可能性がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加(3月18日 記事の一部を修正いたしました)

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クロザピンとアリピプラゾールの併用療法は統合失調症患者の再入院リスクが最も低い

 統合失調症の再発予防に対する抗精神病薬多剤併用療法の有効性は疑問であり、複数の薬剤を使用することは、一般的に身体的健康状態に悪影響を及ぼすと考えられる。スウェーデン・カロリンスカ研究所のJari Tiihonen氏らは、精神医学的再入院と特定の抗精神病薬の組み合わせに関する研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2019年2月20日号の報告。クロザピンとアリピプラゾールの併用療法はクロザピン単剤療法より優れている 1996年1月~2015年12月に行われたフィンランドの全国コホート研究のデータを用い、統合失調症患者6万2,250例を対象に、クロザピンなど29種の抗精神病薬単剤療法および多剤併用療法のタイプについて、精神医学的再入院リスクの評価を行った。データ分析期間は、2018年4月24日~6月15日であった。再入院リスクは、選択バイアスを最小にするため、個別(within-individual)分析を用いて調査した。主要アウトカムは、個別の多剤併用療法 vs.単剤療法の精神医学的再入院のハザード比(HR)とした。 クロザピンなど29種の抗精神病薬単剤療法および多剤併用療法のタイプについて、精神医学的再入院リスクを評価した主な結果は以下のとおり。・対象患者6万2,250例中、3万1,257例が男性(50.2%)であり、年齢中央値は、45.6歳(四分位範囲:34.6~57.9歳)であった。・クロザピンとアリピプラゾールの併用療法は、精神医学的再入院リスクが最も低く、単剤療法の最良アウトカムであるクロザピン単剤療法よりも優れており、すべての多剤併用期間を含む分析においては14%(HR:0.86、95%CI:0.79~0.94)の差が認められ、90日未満の治療期間を除く多剤併用分析においては18%(HR:0.82、95%CI:0.75~0.89、p<0.001)の差が認められた。・初回エピソード統合失調症患者において、クロザピンとアリピプラゾールの併用療法は、クロザピン単剤療法と比較し、精神医学的再入院リスクの差がより大きかった。すべての多剤併用期間を含む分析においては22%(HR:0.78、95%CI:0.63~0.96)の差が認められ、90日未満の治療期間を除く多剤併用分析においては23%(HR:0.77、95%CI:0.63~0.95)の差が認められた。・総計レベルでは、抗精神病薬多剤併用療法は、単剤療法と比較し、精神医学的再入院リスクが7~13%低かった(範囲:[HR:0.87、95%CI:0.85~0.88]~[HR:0.93、95%CI:0.91~0.95]、p<0.001)。・精神医学的再入院リスクの低い治療法ベスト10の中で、唯一の単剤療法の薬剤はクロザピンであった。・すべての原因および身体的な入院、死亡率、その他の感受性分析に関する結果は、主要アウトカムと一致していた。 著者らは「クロザピンとアリピプラゾールの併用療法は、精神医学的再入院リスクが最も低く、統合失調症治療に特定の薬剤による多剤併用療法が適している可能性が示唆された。多剤併用療法は、単剤療法で効果不十分となった時点で行われるため、その効果は過小評価されている可能性もある。本結果は、すべての多剤併用療法が有用であることを示すわけではないが、統合失調症維持治療に対する抗精神病薬多剤併用療法を非推奨とする現在のガイドラインは、推奨の分類を修正すべきである」としている。■関連記事抗精神病薬の高用量投与は悪か統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大統合失調症患者の強制入院と再入院リスクとの関連~7年間のレトロスペクティブコホート研究

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不眠症と将来のうつ病や高血圧との関連

 高齢者では高血圧およびうつ病の有病率が高いが、さらに高血圧とうつ病の合併は、罹患率や死亡率の有意な上昇に影響を及ぼす可能性がある。しかし、その両方に影響を及ぼすリスク因子はよくわかっていない。米国・ジョージア大学のYutong Dong氏らは、高齢者に多い不眠症が、その後の高血圧やうつ病リスクに影響を及ぼすかについて検討を行った。Preventive Medicine誌オンライン版2019年2月8日号の報告。 全米よりサンプリングされた2008~16年のHealth and Retirement Studyより地域在住高齢者の縦断的人口ベース研究を行った。50歳以上の1万8,123例を対象とし、50~60歳群、61~74歳群、75歳以上群の3群に層別化した。2008年時点で、高血圧患者またはうつ病患者は除外した。うつ病性症状上昇のカットオフ値は、CES-Dうつ病自己評価尺度スコア4以上とした。不眠症状は、主観的な症状を評価した。 主な結果は以下のとおり。・Cox比例ハザード回帰では、すべての年齢層においてSBP(1.02[1.01~1.02])と不眠症状の多さ(1.11[1.01~1.21])が高血圧の有意な予測因子であることが明らかとなった。・うつ病に対しては、不眠症状のみが有意な予測因子であった(9.91[6.37~15.41])。・カプラン・マイヤー法では、8年以内に高血圧とうつ病を合併した患者は、全体の9.2%であり、不眠症状の多さが高血圧とうつ病の発症率上昇の予測因子であった(p<0.001)。 著者らは「すべての年齢層において、不眠症状は、将来の高血圧やうつ病の予測因子であることが明らかとなった。高齢者における高血圧やうつ病の病因および合併に、不眠症が影響を及ぼすことが示唆された」としている。■関連記事うつ病に対する不眠症治療効果に関するメタ解析性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少

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