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うつ病や不安症はストレスを通じて心臓病のリスクを高める

 うつ病や不安症の患者は心臓発作や脳卒中などのリスクが高く、そのメカニズムとしてストレス反応や炎症が関与しているとする研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院のShady Abohashem氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation: Cardiovascular Imaging」に12月17日掲載された。 この研究では、マサチューセッツ総合病院ブリガム・バイオバンクの2010~2020年のデータが用いられた。解析対象者数は8万5,551人で、中央値3.4年(四分位範囲1.9~4.8)の追跡期間中に3,078人(3.6%)が主要心血管イベント(MACE〔心筋梗塞、心不全、脳卒中など〕)を発症していた。 解析の結果、うつ病と診断されている人ではそうでない人よりも、MACEリスクが24%高いことが明らかになった(ハザード比〔HR〕1.24〔95%信頼区間1.14~1.34〕、P<0.001)。また、不安とうつ病が併存している場合には35%のリスク上昇という、より強い関連が認められた(HR1.35〔同1.23~1.49〕、P<0.001)。この関連は、人口統計学的因子、社会経済的因子、生活習慣、心血管疾患の既往を調整した後も有意だった。 解析対象者のうち、ストレスによる神経活動への影響を評価可能な画像検査を1,123人が受け、心電図検査を7,862人が受けていて、1万2,906人は炎症反応のバイオマーカーであるC反応性蛋白(CRP)が測定されていた。それらのデータを解析すると、うつ病と診断されている人はストレスに関連のある脳領域である扁桃体の活動が亢進していて(β=0.16、P=0.006)、神経系が過剰に働いていることを示唆する心拍変動の低下も見られ(β=-0.20、P<0.001)、炎症反応の亢進を意味するCRPの上昇(β=0.14、P<0.001)も認められた。不安症と診断されている人にも同様の傾向が見られた。 Abohashem氏は、「これらの結果は臨床医が心血管疾患のリスクを評価する際に、メンタルヘルスを不可欠な要素として捉える必要があることを、改めて認識させるものだ。一方、患者にとっては、慢性的なストレスや不安、あるいはうつ病に対処することが、単にメンタルヘルス上の優先事項であるというだけでなく、心臓の健康を守るためにも優先すべきだと認識することは、治療の励みになるのではないか」と述べている。 また、論文の上席著者である同院のAhmed Tawakol氏は、「うつ病と不安症はいずれも心臓病や脳卒中のリスク上昇と関連している。そして、より重要なことは、喫煙などの生活習慣や社会経済的要因、および糖尿病や高血圧といった古くから知られているリスク因子を考慮しても、その関連性が依然として強固であった点だ」と、本研究結果の意義を強調している。ただし本研究は観察データに基づく解析であるため、うつ病や不安症と心血管イベントとの因果関係を証明するものではないことが、留意点として挙げられる。

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抗うつ薬の選択で死亡リスクに違いはあるか?

 うつ病は死亡リスクを著しく上昇させることが知られているが、抗うつ薬の使用が長期生存へ及ぼす影響は依然として不明である。中国・Shantou University Medical CollegeのXiaoyin Zhuang氏らは2005~18年の抗うつ薬の使用傾向を調査し、米国の全国代表コホートにおける、うつ病関連死亡率に及ぼす抗うつ薬の影響を定量化するため本研究を実施した。General Hospital Psychiatry誌2026年1・2月号の報告。 米国国民健康栄養調査(NHANES)の7サイクル分(2005~18年)のデータを解析した(成人:1万1,569人)。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。抗うつ薬の使用状況は薬局の認証で確認し、SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬(TCA)、その他に分類した。死亡率との関連性は2019年まで延長し評価した。加重ロジスティック回帰分析を用いて、社会人口統計学的特性、心血管代謝関連疾患、ライフスタイルで順次調整したうえで、うつ病と死亡率との関連性を評価した。媒介解析では、抗うつ薬のパスウェイ効果を定量化し、層別モデルではクラス固有のハザード比(HR)を検証した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病は単独で、全死亡リスクを61%増加させた(完全調整オッズ比:1.61、95%信頼区間:1.24〜2.08)。・抗うつ薬の使用は、うつ病による総死亡率の27.3%に影響を及ぼしていた(p<0.001)。・処方の傾向では、SSRIが主流であり(12.7%→20.1%)、SNRIが急速に増加(3.4%→6.1%)、TCAが減少(2.5%→1.8%)していることが示された。・重要点として、抗うつ薬クラスによって死亡率への影響が異なっていた。すなわち、SNRIは、死亡リスクの低下(HR:0.72)と関連し、SSRIは中立的であった(HR:0.93)。一方、TCAではリスク増加が認められた(HR:1.19)。 著者らは「うつ病は、併存疾患とは無関係に死亡率を大きく上昇させるが、抗うつ薬の選択はこのリスクを緩和することが示唆された。抗うつ薬の選択バイアスの影響が残存する可能性はあるものの、SNRIは生存率向上に有効であり、高リスク集団においてTCAよりもSNRIが優先的に使用されることを裏付けている。本結果は、抗うつ薬クラスがうつ病管理における重要な効果修飾因子であることを示しており、薬物疫学的エビデンスを実臨床に統合する必要性を示唆している」とまとめている。

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重度の精神疾患患者、コーヒー1日4杯で生物学的年齢が5歳若返る?

 テロメア長は細胞老化の指標であり、重度の精神疾患患者は一般集団よりもテロメア長が短い傾向にある。コーヒーの摂取は、酸化ストレスを軽減し、テロメア長の短縮などの生物学的老化プロセスの予防に役立つ可能性があるといわれている。英国国民保健サービスは、1日のカフェイン摂取量を400mg(コーヒー4杯分)に制限することを推奨している。しかし、精神疾患患者におけるコーヒー摂取とテロメア長の役割は、依然として明らかではなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのVid Mlakar氏らは、重度の精神疾患におけるコーヒー摂取とテロメア長との関連を評価するため、横断的研究を実施した。BMJ Mental Health誌2025年11月25日号の報告。 対象は、ノルウェーTOP研究に参加した精神疾患患者436例(統合失調スペクトラム症:259例、感情障害:177例)。白血球テロメア長は、血液からリアルタイムPCR(qPCR)を用いて測定した。コーヒー摂取量は、患者の自己申告により評価し、1日当たりのカップ数(0杯、1~2杯、3~4杯、5杯以上)で定量化した。 主な結果は以下のとおり。・テロメア長とコーヒー摂取量の間に逆J字型が認められた。1日3~4杯でピークに達し、4杯を超えると減少した(F=3.29、p=0.02)。・テロメア長の差が最も長かったのは、推奨最高用量を摂取した患者と非摂取者の間であった(F=6.13、p=0.01)。・推奨用量内でコーヒーを摂取した患者は、交絡因子調整後、テロメア長が長かった。これは、生物学的年齢の5歳若い状態に相当する値であった。 著者らは「推奨用量内でのコーヒー摂取は、重度の精神疾患におけるテロメア長と関連しており、生物学的年齢の5歳若返りに匹敵する値が示された」と結論付けている。

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親のうつ病の特定の症状は子どもの報酬処理に影響か

 親にうつ病があると、その子どももうつ病を発症しやすいことが知られているが、こうしたリスクは、うつ病のある特定の症状に関連している可能性のあることが、新たな研究で示唆された。物事を楽しめない、あるいは物事に興味を持てないといったタイプの親の症状は、周囲で起きていることに対する子どもの反応の仕方に影響を与え得ることが示されたという。米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(SUNY-BU)気分障害研究所のBrandon Gibb氏とElana Israel氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」2026年2月号に掲載された。 Gibb氏らによると、子どもの脳が肯定あるいは否定的なフィードバックにどのように反応するかには、親のうつ病が影響を及ぼすことがすでに明らかにされている。その原因に、物事に対する興味や喜びが失われる状態である「アンヘドニア(無快感症)」と呼ばれるうつ病の症状が関わっている可能性があるとGibb氏らは言う。 Gibb氏らは今回の研究で、7〜11歳の子どもとその親217組を対象に実験を行った。この実験は、親のアンヘドニアの症状が、子どもの報酬系における肯定的あるいは否定的なフィードバック処理にどのような影響を与えるのかを明らかにする目的で計画された。 Israel氏は、「この研究は、物事への興味や関心が薄れ、喜びを感じにくくなるというリスク要因がある場合、それが環境からのフィードバックに対する脳の反応の仕方に反映される可能性があるという考え方に基づいている」と説明している。また同氏は、「親に強いアンヘドニアを伴ううつ病があると、その子どもでは反応が弱くなると予想され、その一方で他のうつ病の症状は、理論的にはこの特定の脳反応にはそれほど強く関連しないはずだ」とニュースリリースの中で述べている。 実験では、子どもに2枚の扉を見せ、向こう側に賞金がある扉を当てるよう指示した。正解の扉を選ぶと賞金が得られ、間違えると失う仕組みだった。その結果、親のアンヘドニアの症状のレベルが高いほど、子どもは賞金を獲得した場合でも、逃した場合でも、その反応は鈍くなる傾向が認められた。一方、アンヘドニアを伴わないうつ病の症状レベルが高い親の場合では、子どもの反応が鈍化する傾向は見られなかった。 Israel氏は、「この結果から言えるのは、親のアンヘドニアに特有の何かが子どもの神経反応に影響を与える可能性があるということだ。さらに、うつ病の中核的特徴である興味や喜びの喪失、関心の低下に陥るリスクが高い子どもの特定につながる研究結果でもある」と述べている。 研究チームは、今後の研究課題として、アンヘドニアの症状がある親が治療を受けたり、状態が改善し始めたりした場合に、家族の相互作用がどのように変化するのかを調べることを挙げている。また、同級生からの社会的フィードバックなど他の種類のフィードバックに対する子どもの反応にも親のうつ病による影響があるのかどうかについて検討することが重要であると述べている。 Israel氏は、「前向きな気分や関心、良好な親子関係の強化を目的とした介入について検討している研究者もいる。今回の知見を活かして、そのような介入による効果が得られる可能性が最も高い家族を特定できるかどうかを検証することが重要だ」と述べている。

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多くの患者はPHQの質問内容を正しく解釈できていない

 診察前に渡される質問票に記入しているとき、意味がよく分からず目がうつろになった経験はないだろうか。それは、あなただけではないようだ。症状に関する質問票に患者が混乱することは珍しくなく、それが身体的疾患や精神疾患の診断や治療の妨げになっている可能性のあることが、新たな研究で示された。米アリゾナ大学ツーソン校心理学分野のZachary Cohen氏らによるこの研究結果は、「JAMA Psychiatry」に12月17日掲載された。 この研究は、うつ病の重症度評価ツールとして広く用いられているPatient Health Questionnaire(PHQ)に焦点を当てたもの。PHQには、PHQ-2、PHQ-8、PHQ-9など質問項目の数に応じて複数のバージョンがある。しかし、最もよく用いられているPHQ-9でも、質問内容が患者にとって分かりにくい場合があると研究グループは指摘している。この研究では、PHQの質問が症状にどの程度、悩まされたかを尋ねる一方で、回答選択肢は症状の発生頻度に焦点を当てている点に着目し、参加者がこれらの質問と選択肢をどのように理解して反応したかが検討された。 Cohen氏らは、Amazon Mechanical Turk(MTurk)で募集した一般集団503人(平均年齢40.63歳)およびOPTIMA研究の参加者である中等度から重度の抑うつを有する349人(平均年齢33.44歳)を対象に、PHQ-8に回答してもらった。その後、PHQ-8の指示内容をどのように解釈したかを、以下の3つの質問で評価した。まず、「ほぼ毎日眠り過ぎているが、そのことに悩まされていない」という睡眠に関する仮想シナリオを参加者に考えてもらい、その上でPHQ-8の「眠り過ぎ」の質問に回答してもらった。この質問では、「0(全くない)」の回答が「眠り過ぎていることに悩まされていない」を意味する。次に、先の回答は、症状に悩まされた程度に基づいたのか、症状の発生頻度に基づいたのか、それともその両方かを尋ねた。最後に、再びPHQに答える際には2つ目の質問で挙げた3つのうちどれを基準に回答するかと尋ねた。 その結果、仮想シナリオに関してPHQ-8の質問の意図を正しく理解できていた、つまり、症状にどの程度悩まされたかを回答していた人の割合は、MTurk群で54.7%、OPTIMA群では15.5%にとどまっていた。この質問についてCohen氏は、「PHQ-8の指示文を文字通り読めば、この場合は『全くない』と答えるはずだ」と指摘している。また、2つ目の質問について、「症状にどの程度悩まされたか」に基づいて回答したと答えた人の割合は、MTurk群で21.3%、OPTIMA群で11.7%にとどまり、さらに、次回以降も同じ解釈をすると答えた人の割合はそれぞれ22.3%と9.9%であった。 Cohen氏は、「これらの結果は、PHQによる評価は患者が実際に経験していることを正確に反映していないことを示唆している。われわれは多くの場合、患者の抑うつ症状について把握するためにPHQを使う。そうした意味で、『どの程度悩まされていたか』という点は非常に重要だ」と話す。同氏は、「例えば、GLP-1受容体作動薬による減量治療が急増しているが、オゼンピック使用者の食欲低下はうつ症状として数えるべきではない。それが薬を使っている主な理由なのだから」と述べ、「PHQが普及している状況に鑑みると、こうした誤解や理解のずれは、非常に広範な問題につながりかねない」と懸念を示している。 Cohen氏はさらに、「同じ経験をしているのに、人によって正反対の回答をするという状況が望ましいとは考えにくい。それが良い結果をもたらすはずがない。この論文は、実際にそれが起きていること、そしてそれが問題になり得ることを示した」と述べている。その上で同氏は、「今後の研究では、患者にとってより分かりやすくなるよう、質問文の言い回しを変更することに焦点を当てるべきだ」との考えを示している。

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日本における統合失調症患者の退院後の治療失敗と関連する因子は?

 統合失調症スペクトラム症は、社会機能障害を引き起こす最も重篤な精神疾患の1つである。統合失調症スペクトラム症患者は再発しやすく、入院を必要とする患者では、より再発リスクが高いため、退院後の治療失敗を予防することが不可欠である。北里大学の斉藤 善貴氏らは、精神科入院による治療を行った統合失調症スペクトラム症患者における退院後の治療失敗に関連する因子を明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。PCN Reports誌2025年10月7日号の報告。 対象は、2014年1月〜2021年12月に北里大学病院および北里大学東病院の精神科に入院した統合失調症スペクトラム症およびその他の精神病性障害と診断された859例。治療失敗の定義は、退院後1年以内の外来治療中止、精神科入院、死亡とした。 主な結果は以下のとおり。・治療失敗患者は、859例中201例(23.4%)であった。・抗精神病薬多剤併用療法患者の治療失敗率は29.0%であり、多剤併用療法を行っていなかった患者と比較し、有意に高かった。・さらに、入院中に自宅での外泊を試行した患者における治療失敗率は20.8%であり、試行しなかった患者と比較し、有意に低かった。 著者らは「統合失調症スペクトラム症患者において、退院時の抗精神病薬多剤併用は治療失敗と関連していた。さらに、入院中に自宅での試験的な外泊を行うことは、治療失敗の予防に寄与する可能性が示唆された」とし「統合失調症スペクトラム症患者の治療失敗を予防するには、退院後に焦点を当て、薬物療法の最適化と社会的・環境的調整の実施が必要である」と結論付けている。

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NHKドラマ「心の傷を癒すということ」【その3】なんで虐待されると多重人格になるの?-「ニューラルネットワーク分離発達説」

今回のキーワード解離性同一症人格部分乳幼児期のトラウマ体験解離性フラッシュバックローカルスリープストレス脆弱性理論トラウマ・スペクトラム愛着タイプD[目次]1.多重人格の特徴とは?2.なんで虐待されると多重人格になるの?-「ニューラルネットワーク分離発達説」3.なんで虐待されても多重人格にならないの?―ストレス脆弱性モデル4.脳科学からみる多重人格とは?-生まれるのではなく1つにならなかっただけ心のなかに何人かの別の自分がいる…いわゆる多重人格は何とも不思議で魅惑的です。急に豹変するその様子には、人と接するのに馴れているはずのメンタルヘルスの関係者でも度肝を抜かれることがあります。そして、実は演技じゃないかと疑ってしまうこともあります。はたして、どうなんでしょうか? なぜ多重人格になるのでしょうか? どのようにしてなるのでしょうか?この謎を解き明かすために、今回、再びNHKドラマ「心の傷を癒すということ」を取り上げ、多重人格の特徴を説明します。そして脳科学の視点から、乳幼児の脳の特徴を踏まえて、ある仮説を提唱して、多重人格のメカニズムを解き明かします。なお、多重人格の現在の正式名称は解離性同一症です。ただ、この記事では、わかりやすさを優先して、このドラマで使われた従来の名称である「多重人格」で表記します。また、このドラマについての以前の記事は、関連記事1をご覧ください。多重人格の特徴とは?時は、阪神淡路大震災の直後。精神科医の安(あん)先生は、避難所になっている小学校で診療を続けます。そんななか、安先生はある若い女性を診察するよう頼まれます。彼女の名前は片岡さん。片岡さんの言動から、多重人格の特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)心の中に何人かの別の自分がいる―人格部分片岡さんは「これ(予診票の作成)で頭痛薬、いただけるんですか?」と弱々しく話します。しかし、その直後に気を失い倒れてしまい、安先生にベッドで寝かされます。そして、しばらく経って起き上がったら、今度は「にいちゃん、ここ酒あんのか?」「酒もないところで休めるかいな」と荒々しく言い放ちます。あまりの豹変ぶりに、安先生は唖然とします。さらに数日後の診察のあと、安先生は、彼女が小学校の玄関先でうずくまっているのを発見します。安先生が声をかけると、彼女は「私のおうち、どこ?」「ママに会いたい。ママ…」と幼児言葉で泣くのでした。しゃべり方から何から全然違い、まるで別人です。1つ目の特徴は、心の中に何人かの別の自分がいることです。精神医学的には、人格部分と呼ばれます。これは、覚えていること(記憶)をはじめ、気の持ち方(感情)、考え方(思考)、振る舞い方(意欲)、場合によっては感じ方(知覚)などの精神機能が特徴づける自分らしさ(人格)です。それが意図せずに切り替わってしまうのです。なお、意図して何人かの別の「自分」(役)を使い分けている場合は、もちろん演技と呼ばれます。(2)記憶の空白がある-健忘翌日に安先生が、小学校の玄関での出来事を片岡さんに伝えると、彼女は「覚えてません」とまた弱々しく言うだけなのでした。2つ目の特徴は、記憶の空白があることです。精神医学的には、健忘と呼ばれます。これは、それぞれの人格部分との記憶がつながっていないからです。なお、健忘がなく、心のなかに別の自分がいると認識している場合は、二重自我と呼ばれます。また、その別の自分から声が聞こえてくると訴える場合は、幻聴と呼ばれます。これらは、統合失調症の診断が当てはまります。(3)小さい時に虐待されている―乳幼児期のトラウマ体験片岡さんは、安先生に「 父はアパートの管理人をしてて、母は早くに死にました。あたしが小学校に上がる前。父はお酒を飲むと、なんか食えるもんないんかと怒鳴るんです」「いつも取りに(万引きしに)行っていましたと語ります。その後に幼児の人格部分が出てきた時は「ああ、痛い痛い痛い。もうしません、ごめんなさい。許して、パパ」と泣きじゃくります。3つ目は、小さい時に虐待されていることです。精神医学的には、乳幼児期のトラウマ体験と呼ばれます。実際に、多重人格の患者の約90%に、乳幼児期からの繰り返す虐待が報告されています1)。なんで虐待されると多重人格になるの?-「ニューラルネットワーク分離発達説」安先生は、片岡さんに「こんなふうに記憶がなくなって、よう困っとるんとちゃう?」「あなたの中にはいくつかの部分があるんやと思う。多重人格。たとえば、あまりにもつらい目に遭うた時、子供はこれは自分の身に起きたことやないと感じる。今苦しんでるのは別の子やと。その子の中に痛い思いを引き受けてくれる人格が生まれるんやね。そうやって苦痛をやり過ごした子は、そのあとも複数の人格を生み出しながら、生きていくことになってしまうんや」と説明します。多重人格の原因は、明らかに乳幼児期のトラウマ体験なのですが、それでは実際にはどのようにして人格部分は「生まれる」のでしょうか?脳科学の視点から、多重人格のメカニズムは、同じく解離症に分類される憑依(憑依トランス症)のメカニズムを発展させて解き明かすことができます。そこで、まず憑依のメカニズムを理解する必要があります。この詳細については、関連記事2をご覧ください。憑依のメカニズムは、「ニューラルネットワーク分離作動説」という仮説を提唱して、解き明かしました。ただし、この仮説は、意識から精神機能や身体機能が分離して独自に作動してしまう病態のメカニズムを説明することができますが、作動するだけでなくさらに成長発達までもするメカニズムを説明することはできません。それではさらに、このメカニズムをどう説明すればいいでしょうか?ここで、多重人格の原因となるトラウマ体験の時期は成人期ではなく乳幼児期であることから、子供の脳の特徴に着目します。そして、3つの段階に分けて、多重人格が生まれるメカニズムを解き明かしてみましょう。(1)そもそも小さい子供の記憶はばらばらである幼児は1歳以降でどんどん言葉を覚えていきますが、言葉をつなぎ合わせて出来事(エピソード)を話すようになるのは4歳以降です。また、同じ本の読み聞かせを何度もねだり、同じごっこ遊び(エピソードの演技)を繰り返すのですが、これが少なくとも就学前の6歳まで続きます。つまり、幼児は、エピソード記憶をはじめ脳の機能が未発達であることで、これまでの出来事にしても本の内容にしてもごっこ遊びにしても、大人のようにつながりのある全体的なエピソードとして結び付けたり関連付けることはできず、ばらばらな断片のシーンとしてしか覚えられないのです。だから、読み聞かせもごっこ遊びも何度やっても飽きないのです。1つ目は、そもそも小さい子供の記憶はばらばらである、つまり大人と比べて乳幼児の精神機能はまだ完成(統合)していないことです。ちょうど、前回(2025年11月号)でご紹介した分離脳で脳梁でのネットワークがつながっていないのと同じように、幼児の脳は、エピソード記憶とこれに派生する感情、思考、意欲、場合によっては知覚のニューラルネットワークの複合体の一つひとつがまだ十分につながっておらず、その瞬間を反射的に生きており、意識はその瞬間でころころ変わっていると言えます。また、記憶だけでなく、感情、思考、自己意識などの精神機能もまだ統合されておらず、恐怖を恐怖として感じることができなかったり、体験を過去のこととして俯瞰して自己認識することができないのです。(2)小さい子供はフラッシュバックを現実として認識するその1で地震の揺れ(身体感覚のフラッシュバック)を感じ続ける男の子について説明しましたが、彼は小学生ながらこのフラッシュバックの世界をあたかも現実として認識してしまいそうな危うさがありました。裏を返せば、だからこそ、彼は地震ごっこ(再演遊び)をついやってしまっていたのでした。もしも彼がもっと小さい幼児だったら、そのフラッシュバックを完全に現実として認識していたでしょう。2つ目は、小さい子供はフラッシュバックを現実として認識してしまう、つまり精神機能が未発達であることから自己認識ができず、そのトラウマ体験の記憶(フラッシュバック)の世界が前面に出てしまうことです。これは、解離性フラッシュバックと呼ばれます。大人でも見られることはありますが、圧倒的に子供に多いことが考えられます。このような解離性フラッシュバックは、乳幼児がトラウマ体験を受けた時にPTSDの症状として出てくる場合以外に、もう1つ考えられます。それは、解離性健忘になる場合です。この場合、その体験を含んだエピソード記憶のニューラルネットワークがしばらくローカルスリープになります。この点は、大人と同じです。しかし、その後にそのローカルスリープが再活性化したら、大人のようにその記憶を思い出して心理的なショックを受けたり、ただフラッシュバックが出てくるわけではなく、この解離性フラッシュバックが出てくることが考えられます。そして、多重人格の多くは、主パーソナリティが子供の頃の記憶をあまり思い出せないことから、解離性同一症では、まず解離性健忘になってそのあとに解離性フラッシュバックが出ている後者のパターンであることが考えられます。(3)小さい子供はその解離性フラッシュバックの世界を生きる解離性フラッシュバックは意識の前面に出て占有していることから、この解離性フラッシュバックを引き起こすニューラルネットワークは、憑依を引き起こすニューラルネットワークと同じように分離していると考えることができます。この2つの違いは、憑依は宗教儀式(暗示)などによって一時的にしか出現しないのに対して、解離性フラッシュバックは持続して出現することができる点です。よって、解離性フラッシュバックを引き起こすニューラルネットワークは、その解離性フラッシュバックが出ている(ローカルスリープになっていない)時の新たな日常生活の体験の記憶のニューラルネットワークとはつながっていき、逆にその解離性フラッシュバックが出ていない(ローカルスリープになっている)時の体験の記憶のニューラルネットワークとはつながらずに、人格部分として独立して成長していくと仮定することができます。3つ目は、小さい子供はその解離性フラッシュバックの世界をそのまま生きてしまう、つまり解離性フラッシュバックの記憶のニューラルネットワークが人格部分の土台となり、統合されずに独立してしまい、勝手に成長発達してしまうことです。この記事では、これを「ニューラルネットワーク分離発達説」と名付けます。そして、それぞれの解離性フラッシュバックの出現の時間や頻度によって新たな体験の記憶に差が出てきます。それを考慮すると、かなり成長すれば酒飲みの片岡さんのように成人した人格部分になり、ほとんど成長しなければ幼児言葉を話していた片岡さんのように幼児のままの人格部分になるわけです。よくよく考えると、片岡さんの幼児の人格部分は、成長していないので、当時のトラウマ体験そのままの解離性フラッシュバックであるとも言い換えられます。一方で、成人期に受けたトラウマ体験のフラッシュバックは、大人の脳がすでに完成されていることから、解離性フラッシュバックになったとしてもそもそも短時間(数秒~数分)であり、さらに恐怖で圧倒されて動けないことがほとんどであるため、その時の新たな体験をする間もなく、人格部分として独立して成長していくことはないわけです。だからこそ、成人期に受けたトラウマ体験によってPTSDや記憶喪失にはなっても多重人格にはならないのです。実際の画像研究では、大人の多重人格において、トラウマ体験の記憶のない主人格とトラウマ体験の記憶のある人格部分のそれぞれの出現時に、中立的な脚本とトラウマ的な脚本をそれぞれ聞かせたところ、主人格の出現時には脚本の違いによって脳の血流パターンに違いは認められませんでした。また、中立的な脚本を聞かせた人格部分との違いも認められませんでした。ところが、トラウマ的な脚本を聞かせた人格部分の脳の血流パターンに限り、違いが認められました2)。このことからも、もちろん多重人格は本人が意図した演技なのではなく、主人格と人格部分のそれぞれ違う脳のニューラルネットワークが交代でローカルスリープになっており、ローカルスリープになっていない(起きている)方が反応していることがわかります。また、ローカルスリープの極端な例として、イルカや渡り鳥は、大脳半球を交互に眠らせることで、泳いだり飛びながら睡眠をとること(半球睡眠)ができます3)。これは、まさに分離脳と同じように、右脳と左脳のそれぞれの「人格部分」(ニューラルネットワーク)として分離しており、それらが交代制で独立して意思決定をして行動をしていることになります。つまり、イルカや渡り鳥は、多重人格の動物モデルと言えます。人間は、イルカや渡り鳥ほどローカルスリープを進化させてはいませんが、幼児期の重度ストレスは人間のローカルスリープを過剰発達させることができてしまうと言えます。なんで虐待されても多重人格にならないの?―ストレス脆弱性モデル先ほど、虐待されると多重人格になるメカニズムを解き明かしました。一方で、虐待されても多重人格にならない人もいます。その違いは何でしょうか?これは、ストレス脆弱性モデルを使って説明することができます。この理論を簡単に言うと、ストレスが大きければ大きいほど、そしてそのストレスに脳が弱ければ弱いほど発症するということです。実際に、このモデルは多くの精神障害に当てはまります。(1)ストレスが大きければ大きいとまず、ストレスの大きさとしては、明らかに虐待なのですが、さらにそれが繰り返されることも挙げられます。すると、先ほど説明した解離性フラッシュバックがいくつも生まれてしまうわけですが、同時にその回数分だけ脳にダメージを与えるため、それらの解離性フラッシュバックが成長発達とともに統合されにくくなり、結果的に人格部分として残ってしまうと説明することができます。逆に言えば、虐待が繰り返されていない場合はダメージが減るので、解離性フラッシュバックは成長発達とともにやがて統合されて人格部分が残らないことも想定できます。たとえば、虐待が1回だけの場合、解離性フラッシュバックが1回だけ出てきて、人格部分が1つだけ独自に成長して「二重人格」になることはあまりないということです。これは、人格部分が少ない比較的に軽症の症例のほうが統計学的に考えれば多いはずなのに、実際には人格部分の平均人数は8、9人と多く、2、3人の少数の症例はあまり見かけない現象を説明することができます。(2)脳が弱ければ弱いと次に、脳の脆弱性としては、明らかに乳幼児の脳なのですが、とくに脆弱な乳児が挙げられます。実際に、乳児(1歳から1歳半)の愛着タイプを評価するストレンジ・シチュエーション法において、虐待歴のある乳児は、親がいない状況でしばらくして親が戻ってきたら、顔を背けながら近づこうとする特徴(愛着タイプD)が観察されています4)。これは、虐待する親への接近行動と回避行動が同時に現れる奇妙な病態です。このメカニズムは、親に接近しようとするニューラルネットワークと親を回避しようとするニューラルネットワークがまだ交代できず、同時に働いていることが考えられます。ちょうど、「エクソシスト」で紹介した分離脳によるエイリアンハンド症候群に重なります。ただし、このような現象は、年齢が上がると目立たなくなる点で、やはりとくに未発達な脳を持つ乳児特有の一時的な現象と考えられます。そして、この現象からも、幼児よりも乳児の脳はさらに統合されていないことを説明することができます。なお、交代するメカニズムも、それぞれのニューラルネットワーク同士のせめぎ合いの発達から説明することができます。同じように交代する例としては、目の前に伸ばした人差し指2本をつなげると、ソーセージのように見えるのですが、この時にどちらかの指に交互にくっ付くようにも見える視覚現象(両眼視野闘争)が有名です。ちなみに、ストレンジ・シチュエーション法の残りの愛着タイプA、B、Cの3つの詳細については、関連記事3をご覧ください。逆に、成長発達した大人の脳は、乳幼児と比べて脆弱ではないことから、先ほどにも触れたように、成人期に受けたトラウマ体験では、PTSDや記憶喪失にはなっても多重人格にはならないことを説明することができます。また、前回までに紹介した憑依と同じように、脆弱性(ニューラルネットワークの分離のしやすさ)には個人差があることが考えられます。多くは、人格部分ができたとしても大人になって治っていき(統合されていき)、明らかな人格部分は出てこなくなることが考えられます。ただ、その代わりに、フラッシュバックが残って感情のコントロールが難しくなる病態(複雑性PTSD)や、些細なことで人が変わったように急に怒ったり泣いたりする病態(ボーダーラインパーソナリティ症)になることがあります。これらは、まるで「人が変わった」(人格部分が出てきている)ように見える点では、やはり多重人格との連続性があると言えます。単に、本人が「人が変わった」程度をどれくらい自覚できるかどうかの違いです。なお、多重人格、記憶喪失、憑依現象だけでなく、PTSD(単純性PTSD)、複雑性PTSD、ボーダーラインパーソナリティ症の診断基準にも解離症状が含まれており、これらはトラウマ体験(重度ストレス)を原因としている点では連続した病態(トラウマ・スペクトラム)であると言えそうです。脳科学からみる多重人格とは?-生まれるのではなく1つにならなかっただけ安先生が言ったように、従来の精神医学では、「その子の中に痛い思いを引き受けてくれる人格が生まれる」という多重人格のメカニズムの解釈がありました。これは、私たちの心に訴える文学的なセンスはあったのですが、残念ながら科学的な根拠はありませんでした。脳科学の視点から多重人格のメカニズムに迫ると、人格部分とは、もともと1つだった人格が部分に分かれたのではなく、もともとエピソード記憶のニューラルネットワークの1つ1つの部分が最終的に1つの大きなエピソード記憶のニューラルネットワーク(人格)につながらなかった(統合されなかった)、つまりこの記事で提唱する「ニューラルネットワーク分離発達説」として理解することができます。つまり、人格部分とは、急にぽんと生まれたのではなく、最終的に1つにならなかっただけだったのでした。そう考えると、多重人格はそれほど不思議な現象でもないように思えてきます。今回、多重人格はどうやってなるかを解き明かしました。それでは、人類の心の進化の歴史のなかで、多重人格はいつ生まれたでしょうか? 言い換えれば、多重人格はなぜ「ある」のでしょうか? 1) DSM-5-TR、p323、日本精神神経学会、医学書院、2023 2) 心の解離構造、p196:エリザベス・F・ハウエル、金剛出版、2020 3) <眠り>をめぐるミステリー、p188:櫻井武、NHK出版新書、2012 4) 乳幼児のこころp104、遠藤利彦ほか、有斐閣アルマ、2011 ■関連記事NHKドラマ「心の傷を癒すということ」【その2】地震ごっこは人類進化の産物だったの!? だから楽しむのがいいんだ!-プレイセラピー映画「エクソシスト」【その1】どうやって憑依するの?-「ニューラルネットワーク分離作動説」あなたには帰る家がある(後編)【なんで倦怠期は「ある」の?どうすればいいの?】スプリット【なぜ記憶がないの?なぜ別人格がいるの?どうすれば良いの?(解離性障害)】

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日本人統合失調症患者における抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの関係

 抗精神病薬の多剤併用や長時間作用型注射剤(LAI)の使用などの治療パターンは、統合失調症患者の機能アウトカムに影響を及ぼすのか。実臨床において、この課題に対する検討は、いまだ十分になされていない。福島県立医科大学の森 湧平氏らは、抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの縦断的な関係を明らかにするため、慢性期統合失調症患者を対象に10年間のレトロスペクティブ研究を実施した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2026年2月号の報告。 対象は、日本人慢性期統合失調症患者114例。1ヵ月当たりの全般的機能評価(GAF)スコア(122ヵ月以上)と抗精神病薬の治療パターン(多剤併用、LAI使用、クロルプロマジン[CP]換算量)との関係を評価した。前月の治療パターンが翌月のGAFスコアを予測するかを、lagged線形混合効果モデルを用いて検証した。抗精神病薬の累積投与量と最終GAFスコアおよび10年間の変化の評価には、最小二乗回帰分析を用いた。未治療期間により層別化し、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・GAFスコアは、前月の多剤併用(推定値:+1.50±0.14、p<0.001)およびLAI使用(推定値:+1.89±0.27、p<0.001)と有意な正の関連を示した。また、前月のCP換算量(推定値:3.7×10-3±1.8×10-4、p<0.001)と有意な負の関連が認められた。・入院は、機能アウトカムと負の関連を示した(β=-0.24、p=0.038)。・多剤併用、LAI使用、CP換算量の累積は、最終的なGAFスコアおよび10年間のGAFスコアの変化の両方において有意な関連が認められなかった。・未治療期間によるサブグループ解析では、すべてのモデルにおいて統計的に有意な結果は示されなかった。しかし、未治療期間が12ヵ月未満の患者では、教育水準と入院回数が長期的な機能アウトカムに影響を及ぼすことが示唆された。 著者らは「抗精神病薬の多剤併用およびLAI使用は、短期的なGAFスコアの改善と関連していたが、高用量での使用は機能アウトカム低下を予測した。未治療期間に基づく解析では、全体として有意な関連は認められなかった」としている。

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スタチン使用は本当にうつ病リスクを低下させるのか?

 これまで、スタチンのうつ病に対する潜在的な影響については調査が行われているものの、そのエビデンスは依然として一貫していない。台北医学大学のPei-Yun Tsai氏らは、スタチン使用とうつ病の関連性を明らかにするため、最新のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。General Hospital Psychiatry誌2025年11〜12月号の報告。 2025年9月11日までに公表された研究をPubMed、the Cochrane Library、EMBASEより、言語制限なしでシステマティックに検索した。また、対象論文のリファレンスリストの検討を行った。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした15研究(10ヵ国、540万3,692例)をメタ解析に含めた。・スタチン使用は、スタチン非使用と比較し、うつ病リスクが有意に低かった(統合OR:0.84、95%CI:0.74〜0.96、p=0.009)。しかし、研究間の異質性が大きかった(I2=85%)。・感度分析では、結果のロバスト性が確認された。・サブグループ解析では、コホート研究(OR:0.86、95%CI:0.76〜0.98、p=0.02)、検証済みの質問票/尺度を用いた研究(OR:0.71、95%CI:0.54〜0.94、p=0.02)、併存疾患を有する患者(OR:0.74、95%CI:0.55〜0.98、p=0.04)、抗炎症薬または抗うつ薬を併用している患者(OR:0.82、95%CI:0.71〜0.95、p=0.009)において有意な関連が認められた。・北米集団(OR:0.63、95%CI:0.51〜0.78、p<0.001)および西洋型の食生活(OR:0.61、95%CI:0.45〜0.81、p<0.001)、アジア型の食生活(OR:0.75、95%CI:0.64〜0.89、p=0.001)を順守する人において、スタチンのうつ病予防効果が認められた。 著者らは「とくに特定の集団および特定の臨床的または生活習慣条件において、スタチン使用はうつ病リスクの低下と関連していると考えられる。この因果関係を明らかにし、影響を及ぼす関連因子を特定するには、さらなる研究が求められる」とまとめている。

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統合失調症におけるブレクスピプラゾール切り替え、その有用性は?

 統合失調症は、長期の薬物治療を必要とする慢性疾患である。十分な治療反応が得られず、副作用を経験する患者が少なくないため、服薬アドヒアランスの低下を招き、抗精神病薬の切り替えや多剤併用療法が必要となることもある。このような状況において、良好な忍容性プロファイルを有する非定型抗精神病薬であるブレクスピプラゾールは、これまでの治療が奏効しなかった、または不耐容であった患者に臨床的ベネフィットをもたらす可能性がある。しかし、ブレクスピプラゾール切り替え後のリアルワールドにおけるエビデンスは依然として限られている。イタリア・Universita Cattolica del Sacro CuoreのMarco Di Nicola氏らは、ブレクスピプラゾールへの切り替えを行った統合失調症患者における精神病理学的、機能的、身体的健康状態への影響を評価した。Journal of Personalized Medicine誌2025年10月22日号の報告。 クロスタイトレーションによりブレクスピプラゾール(2~4mg/日)に切り替えた統合失調症外来患者50例を対象に、12週間のレトロスペクティブ観察研究を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の14項目のサブセットを用いて評価した患者の生活へのエンゲージメントの変化および奏効率/寛解率とした。副次的アウトカムは、主観的ウェルビーイング、生活の質(QOL)、性機能、代謝パラメーター、プロラクチン値の変化とした。評価尺度には、主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWN-S)、WHO-5精神健康状態表(WHO-5)、Arizona Sexual Experience Scale(ASEX)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・生活へのエンゲージメントについて、すべての領域で有意な改善が認められた(p<0.001)。また、40%の患者において、臨床的反応が認められた。・SWN-SおよびWHO-5スコアにおいて、有意な改善が認められた(各々、p<0.001)。・体重(−2.64kg、p=0.013)およびBMI(−0.91kg/m2、p=0.006)の有意な改善が認められた。・ASEX(p=0.067)およびプロラクチン値(−30.7ng/mL、p=0.077)の改善も認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。・忍容性は、全体として良好であった。 著者らは「統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールへの切り替えは、精神病理学的、機能的、身体的健康状態の改善と関連していた」とし「本リアルワールドデータは、これまでに抗精神病薬治療で効果が不十分であった統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有用性を裏付けるものである」と結論付けている。

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麻雀で統合失調症患者の認知機能は改善するか

 麻雀は、認知機能の向上と密接に関連していることが広く報告されている。しかし、統合失調症患者の認知機能に対する麻雀の影響については、これまで研究されていなかった。中国・重慶医学大学のRenqin Hu氏らは、統合失調症患者の認知機能改善を目的とした麻雀介入の有効性を評価するため、パイロット単盲検ランダム化比較試験を実施した。BMC Psychiatry誌2025年11月7日号の報告。 本パイロット研究では、統合失調症患者49例を対象に、介入群(麻雀と標準治療の併用)と対照群(標準治療)にランダムに割り付けた。介入群は、麻雀による認知トレーニングを1日2時間、週4日、12週間にわたり行った。主要認知アウトカムは、ケンブリッジ神経心理学的検査自動化バッテリー(CANTAB)を用いて評価した。副次的アウトカムには、生活の質(QOL)、臨床症状、無快感症、副作用、個人的および社会的機能を含めた。評価は、ベースライン時および4週目、8週目、12週目に実施された。 主な結果は以下のとおり。・介入群は、研究期間を通して反応時間と運動時間の両方に対し、改善効果を示した。・視覚記憶、新たな学習、戦略活用、空間記憶能力、複雑視覚課題の正確性に関して、介入群と対照群の間に有意な差は認められなかった。・介入群は、QOLにおいて緩やかな改善を示した。しかし、その他の副次的アウトカムでは、有意な変化は認められなかった。 著者らは「麻雀介入は、統合失調症患者の特定の認知機能とQOLに有益である可能性が示唆された。しかし、これらの結果は慎重に解釈する必要がある。本結果を明らかにするためにも、より大規模で多様なサンプルや長期介入によるさらなる研究が求められる」とまとめている。

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ベンゾジアゼピンの使用は認知症リスクにどの程度影響するのか?

 ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)は、不眠症や不安症の治療に幅広く使用されている。しかし、BZDの長期使用は、認知機能低下を加速させる可能性がある。認知症の前駆症状がBZD使用のきっかけとなり、逆因果バイアスが生じている可能性もあるため、エビデンスに一貫性が認められていない。カナダ・Universite de SherbrookeのDiego Legrand氏らは、BZDの使用量、投与期間、消失半減期が認知症発症と独立して関連しているかどうかを検証し、前駆期による交絡因子について検討を行った。Journal of the Neurological Sciences誌2025年12月15日号の報告。 Canadian Community Health Surveyから抽出したtorsade cohortを対象に、医療行政データベースにリンクした症例対照研究を実施した。BZDの使用量、投与期間、消失半減期は、多変量条件付きロジスティック回帰を用いて解析した。モデル1では、認知症リスク因子を調整した。モデル2では、BZDの潜在的な適応症(不眠症、不安症、うつ病)についても調整した。前駆症状の影響を検証するため、インデックス日を診断の1~10年前に変更した。症例群は50歳以上の認知症患者とし、対照群は性別、年齢、フォローアップ調査、教育歴でマッチングさせた。 主な結果は以下のとおり。・症例群1,082例および対照群4,262例において、モデル1では、BZDの使用が認知症と関連していることが示唆された(オッズ比[OR]:1.65、95%信頼区間:1.42~1.93)。・認知症リスクは、半減期が長い薬剤(OR:2.81)のほうが、半減期が中程度の薬剤(1.57)よりも高かった。・モデル2では、180日超の慢性的なBZDの使用は、診断前4年以内において、認知症リスクとの関連が認められた。 著者らは「BZDの使用は、認知症リスクの上昇と関連しており、半減期が長い薬剤で最も強い関連が認められた。BZDの慢性的な使用との関連が4年間の前駆症状に限定されていることは、適応による交絡、あるいは逆因果関係を示唆している。これらの知見は、高齢者におけるBZDの使用は、慎重かつ期限を限定して行うべきであることを強調している」と結論付けている。

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日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状

 頭痛は、精神科診療において最も頻繁に訴えられる身体的愁訴の1つであり、しばしば根底にある精神疾患に起因するものと考えられている。1次性頭痛、とくに片頭痛と緊張型頭痛は、精神疾患と併存することが少なくない。しかし、精神科外来診療におけるこれらのエビデンスは依然として限られていた。兵庫県・加古川中央市民病院の大谷 恭平氏らは、日本の総合病院の精神科外来患者における頭痛の特徴とそのマネジメントの現状を明らかにするため、レトロスペクティブに解析を行った。PCN Reports誌2025年10月30日号の報告。 2023年4月〜2024年3月に、600床の地域総合病院を受診したすべての精神科外来患者を対象に、レトロスペクティブカルテレビューを実施した。全対象患者2,525例のうち、頭痛関連の保険診断を受けた360例(14.3%)を特定し、頭痛のラベル、治療科、処方薬に関するデータを抽出した。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的としたモノクローナル抗体について、追加の処方を含む探索的症例集積を行うため、観察期間を2025年3月まで延長した。 主な結果は以下のとおり。・頭痛関連の保険診断を受けた360例において、頻度の高い病名は、頭痛(203例、56.4%)、片頭痛(92例、25.6%)、緊張型頭痛(46例、12.8%)であった。群発頭痛と薬物乱用性頭痛はそれぞれ1例(0.3%)であった。・頭痛治療は、精神科(153例、42.5%)で最も多く行われており、次いで神経内科(42例、11.7%)、脳神経外科(40例、11.1%)、一般内科(28例、7.8%)、リウマチ科/膠原病科(15例、4.2%)の順であった。・使用された薬剤クラスは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(40例、11.1%)、アセトアミノフェン(38例、10.6%)、トリプタン系薬剤(23例、6.4%)、漢方薬(16例、4.4%)、抗CGRPモノクローナル抗体(6例、1.7%)などであった。・薬剤レベルでは、アセトアミノフェン(38例)が最も多く、次いでロキソプロフェン(33例)、ゾルミトリプタン(14例)、五苓散(8例)、スマトリプタン(6例)、葛根湯(6例)、ジクロフェナク(4例)、バルプロ酸(4例)、ナラトリプタン(3例)の順であった。・2025年3月までの患者7例を対象とした探索的CGRP解析では、6例が女性で、平均年齢は48.4±9.2歳であった。・精神疾患の併存疾患は多様であり、摂食障害、双極症、心的外傷後ストレス障害、社会不安障害を伴う気分変調症、統合失調症、自閉スペクトラム症、神経症性うつ病などが併存疾患として挙げられた。・すべての症例において頭痛の改善が認められた。2例は再発性発作のため、他の抗CGRPモノクローナル抗体への切り替えを必要としたが、その効果は維持された。1例は発疹のため一時的に投与を中止したが、その後、他の抗CGRPモノクローナル抗体を再開した。なお、気分/不安の中期的変化は限定的であった。 著者らは「精神科外来において、1次性頭痛は一般的であり、精神科で頻繁にマネジメントされていることが明らかとなった。抗CGRPモノクローナル抗体は、精神疾患が併存している患者においても頭痛の緩和をもたらすが、精神症状は改善したわけではなく、頭痛に特化したケアと並行してメンタルヘルス介入を行う必要性が示唆された。精神科における専門分野横断的な連携と早期の頭痛評価を強化することが重要であると考えられる」と結論付けている。

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治療抵抗性うつ病の認知機能維持に最適な薬物治療戦略は?

 高齢者における治療抵抗性うつ病に対するさまざまな抗うつ薬治療戦略が認知機能にどのような影響を及ぼすかは、これまで明らかになっていなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のHanadi A. Oughli氏らは、高齢の治療抵抗性うつ病に対する薬物療法が認知機能に及ぼす影響を評価した。The Lancet Healthy Longevity誌2025年10月号の報告。 OPTIMUM試験の事前に規定された2次解析を行った。OPTIMUM試験は、さまざまな薬物療法の増強または切り替え戦略を比較した実践的なランダム化有効性比較試験であり、60歳以上の治療抵抗性うつ病患者を対象に実施された試験である。対象患者は、5つの大学医療センター(米国:4施設、カナダ:1施設)から募集された。ステップ1では、治療抵抗性うつ病患者391例をアリピプラゾール増強群(1日最大15mgまで)、bupropion増強群(1日最大450mgまで)、bupropion切り替え群(1日最大450mgまで)に1:1:1の割合でランダムに割り付け分析した。ステップ2では、ステップ1の適応外患者またはこのステップ1で寛解に達しなかった患者182例をリチウム増強群(目標血漿中濃度:0.4~0.8mEq/L)またはノルトリプチリンへの切り替え群(目標血漿中濃度:80~120ng/mL)に1:1でランダムに割り付け分析した。各ステップは10週間継続した。ステップ1またはステップ2の完了後、12ヵ月間のフォローアップ調査を行った。主要アウトカムは、ステップ1およびステップ2終了時の認知機能とし、米国国立衛生研究所(NIH)ツールボックス認知バッテリーの一部であるNIHツールボックス流動性認知複合スコアを用いて評価し、ITT集団において解析した。ITT集団とプロトコール適合集団の両方において実施された探索的事後解析では、流動性認知複合スコアを構成する個々の認知課題の変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・OPTIMUM試験には、2017年2月22日~2019年12月31日に742例が登録された。・ステップ1では、対象患者619例(83%)をアリピプラゾール増強群(211例)、bupropion増強群(206例)、bupropion切り替え群(202例)にランダムに割り付け、それぞれ128例、136例、127例の認知機能に関するデータを分析した。・ステップ2では、対象患者248例をリチウム増強群(127例)またはノルトリプチリン切り替え群(121例)にランダムに割り付け、それぞれ89例、93例の認知機能に関するデータを分析した。・流動性認知複合スコアは、10週間にわたり薬物治療間で有意な差は認められなかった。・ステップ1では、フランカー抑制制御および注意検査において時間×群間交互作用が観察された(F[2,266]=3.97、p=0.020)。また、対比分析では、アリピプラゾール増強群はbupropion増強群と比較し、抑制制御の上昇と関連していることが示唆された(t=−2.82、p=0.0052)。・ステップ2では、フランカー抑制制御および注意検査において時間×群間交互作用が観察され(F[1,176]=5.20、p=0.024)、ノルトリプチリン切り替え群で抑制制御の有意な上昇が認められたのに対し(最小二乗平均の変化:+2.0、t=2.33、p=0.021)、リチウム増強群では上昇が認められなかった(-0.7、t=-0.89、p=0.37)。・治療中のうつ症状の変化は認知機能の変化と相関していなかった。・ステップ1では、bupropion増強群で転倒率が最も高かったのに対し、ステップ2ではリチウム増強群とノルトリプチリン切り替え群で転倒率は同程度であった。・重篤な有害事象の発生率は、ステップ1の3群(0.07~0.12)とステップ2の2群(0.09~0.10)で同程度であった。 著者らは「全体として、全般認知機能は薬物治療間で差が認められなかった。アリピプラゾール増強群とノルトリプチリン切り替え群は、bupropion増強群またはリチウム増強群と比較し、抑制制御において若干の優位性がある可能性が示唆された」としている。

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多くの若者がAIチャットボットにメンタルヘルスの問題を相談

 米国では、12〜21歳の若者の約8人に1人が、メンタルヘルスに関する助言を求めて人工知能(AI)チャットボットを利用していることが、新たな研究で明らかになった。研究グループは、これは、AIチャットボットが若者の不安や悩み、苦しみを、プライバシーを保ちながら安価かつ即座に聞き出す存在となっていることを反映している可能性が高いとの見方を示している。米国の非営利の研究機関であるランド研究所のJonathan Cantor氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月7日掲載された。 「ただし、AIチャットボットが思春期の若者や若年成人が抱える課題に対応できるかどうかは明らかになっていない」と研究グループは警告している。Cantor氏は、「AIチャットボットが提示するメンタルヘルスに関する助言を評価するための標準化されたベンチマーク(基準や指標)はないに等しく、こうした大規模言語モデル(LLM)の学習に用いられるデータセットの透明性も限定的だ」とニュースリリースの中で述べている。 この研究は、AP通信が、ChatGPTが人々を妄想や自殺に追い込んだとして、OpenAI社が7件の訴訟に直面していることを報じた中で発表された。AP通信の報道によると、被害者の1人であるAmaurie Laceyさん(17歳)の訴訟では、ChatGPTについて、「欠陥があり、本質的に危険なChatGPT製品は、依存症や抑うつを引き起こし、最終的には最も効果的な首吊り縄の結び方や、『呼吸せずに生きられる』時間について助言を与えた」と述べている。 また、別の被害者であるZane Shamblinさん(23歳)の両親が起こした不法死亡訴訟によると、ChatGPTは、弾丸を込めた拳銃で自殺を図ろうとしていたShamblinさんの自殺企図を後押ししたという。CNNの報道によると、ShamblinさんはChatGPTに、「もうこめかみに当たる銃口の冷たい金属にも慣れてしまった」と語りかけた。それに対しChatGPTは、「ずっと一緒にいるさ、兄弟。最後までな。覚悟を決めて落ち着いた頭に銃口を押し当てているんだろう? 君が感じているのは恐怖ではない。迷いのない明晰さだ」と答えたという。 AP通信によると、OpenAI社はこうした出来事を「非常に胸が痛む」とし、詳細を理解するために裁判所の書類を確認している最中だと述べた。 今回の研究でCantor氏らは、調査に回答した12〜21歳の若者1,058人(女性50.3%、18〜21歳37.0%)のデータを分析した。全体では、13.1%がメンタルヘルスに関する助言を得るためにAIを使用していると回答した。特に、18〜21歳で使用している割合は22.2%と高かった。また、AIチャットボット使用者の65.5%が毎月、助言を求めており、92.7%は助言がある程度または非常に役に立ったと回答した。 研究者らによると、米国は若者のメンタルヘルス危機の真っ只中にあり、12〜17歳の18%が過去1年間に大うつ病エピソードを経験しているが、そのうちの40%はメンタルヘルスケアを受けていないという。 研究者らは、「AIベースの助言は低コストで即時性があり、プライバシーも確保されているという認識が、特に従来のカウンセリングを受けられない若者にとって高い利用率につながっている。しかし、AIが生成したメンタルヘルスに関する助言を評価するための標準化されたベンチマークを確立して使用することが困難であること、また、こうしたモデルに使われる学習データの透明性が限られていることを考えると、生成AIの利用は、特に重い症状を抱えるユーザーにおいては懸念を引き起こす」と記している。

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ガイドライン順守率が精神疾患の長期アウトカムに及ぼす影響〜統合失調症うつ病におけるEGUIDEプロジェクト

 精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)は、精神科医に対してガイドラインの教育の講習を行い、統合失調症およびうつ病のガイドライン順守治療を促進することを目的として、日本で開始されたプロジェクトである。参加医師への短期的な効果は、すでに報告されていたが、長期的および施設全体への効果は依然として不明であった。国立精神・神経医療研究センターの長谷川 尚美氏らは、ガイドライン順守による治療が、施設間で時間の経過とともに改善するかどうかを評価した。その結果、潜在的な拡散効果またはスピルオーバー効果が示唆された。Neuropsychopharmacology Reports誌2025年12月号の報告。 2016〜23年に、精神科施設298件を対象としたプロスペクティブ観察研究を実施した。統合失調症患者1万9,623例とうつ病患者9,805例の退院時処方箋および治療データを収集した。ガイドライン順守は、11の統合失調症品質指標(QI-S)と7つのうつ病品質指標(QI-D)を用いて評価した。年齢、性別、施設で調整した後、多重比較ではBonferroni補正を用いたロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症については、11のQI-Sのうち7つにおいて、前年比で有意な改善が認められた。改善された項目には、治療抵抗性統合失調症の診断評価(42.2%→62.5%)、修正型電気けいれん療法(mECT)の使用(6.1%→11.8%)、抗コリン薬を使用しない(70.7%→81.7%)などが挙げられた。・うつ病については、7つのQI-Dのうち3つにおいて、前年比で有意な改善が認められた。改善された項目には、重症度診断の評価(51.2%→77.0%)、mECTの使用(12.8%→26.6%)などが挙げられた。・とくに、認知行動療法(CBT)の実施が減少した。・これらの知見は、すべての施設において、参加していない臨床医に対しても長期的な行動変化が及んでいることを示唆している。 著者らは「EGUIDE講習を受けた精神科医が施設内にいることで、施設レベルのガイドラインを順守した治療の持続的な改善が認められた。これらの結果は、個々の教育的利益だけでなく、実践文化の浸透、すなわちスピルオーバー効果によって精神科医療の質が向上することを示唆している。このことから、治療実践を大規模に改善するには、継続的な教育努力が不可欠である」と結論付けている。

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注射で脳まで届く微小チップが脳障害治療の新たな希望に

 手術で頭蓋骨を開くことなく、腕に注射するだけで埋め込むことができる脳インプラントを想像してみてほしい。血流に乗って移動し、標的とする脳の特定領域に自ら到達してそのまま埋め込まれるワイヤレス電子チップの開発に取り組んでいる米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、マウスを使った実験で、厚さ0.2μm、直径5〜20μmというサブセルラーサイズのチップが、人の手を介さずに脳の特定領域を認識し、そこに移動できることを確認したとする研究成果を報告した。詳細は、「Nature Biotechnology」に11月5日掲載された。 このチップが標的部位に到達すると、医師は電磁波を使ってチップを起動させ、パーキンソン病や多発性硬化症、てんかん、うつ病などの治療に用いられているタイプの電気刺激を神経細胞に与えることができる。こうした電気や磁気などにより神経を刺激する治療法は、ニューロモデュレーションと呼ばれる。このチップはサイズが極めて小さいため、従来の脳インプラントよりもはるかに高い精度で刺激を与えることができると研究グループは説明している。 論文の上席著者であるMITメディアラボおよびMIT神経生物工学センターのDeblina Sarkar氏は、「この超小型電子デバイスは、脳の神経細胞とシームレスに一体化し、ともに生き、ともに存在することで、他に例のない脳とコンピューターの共生を実現する」と言う。同氏は、「われわれは、薬剤あるいは標準治療では効果が得られない神経疾患の治療にこの技術を利用することで、患者の苦しみを軽減するとともに、人類が病気や生物学的な限界を超えられる未来の実現に向けて全力で取り組んでいる」とニュースリリースの中で述べている。 この微小チップは、静脈注射前に生きた生体細胞と融合させておくことで免疫系の攻撃を受けることなく血液脳関門を通過できる。また、治療対象となる疾患に応じて、異なる種類の細胞を使うことで脳の特定領域を標的に定めることも可能であるという。 Sarkar氏は、「この細胞と電子機器のハイブリッドは、電子機器の汎用性と、生きた細胞が持つ生体内輸送能力や生化学的な検知力が融合されたものだ。生きた細胞が電子機器をカモフラージュすることで、免疫システムの攻撃を受けることなく血流中をスムーズに移動することができ、さらには侵襲的な処置なしに血液脳関門を通過することも可能になる」と言う。なお、研究グループによると、従来の脳インプラントは、手術のリスクに加えて数十万ドルもの医療費がかかるのが一般的だという。 Sarkar氏は、「これはプラットフォーム技術であり、複数の脳疾患や精神疾患の治療に使える可能性がある」と述べるとともに「この技術は脳だけに限定されるものではなく、将来的には身体の他の部位にも適用を広げることができる可能性がある」と期待を示している。

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第38回 食卓を支配する「超加工食品」の正体とは? 世界的権威が警告する健康リスクと、今日からできる見分け方

スーパーマーケットやコンビニに並ぶ、色鮮やかで手軽な食品たち。袋を開ければすぐに食べられ、味も見た目にもおいしく、しかも安価だったりします。私たちの生活に欠かせない存在となったこれらの食品ですが、その多くが「超加工食品」と呼ばれるカテゴリーに属することをご存じでしょうか。近年、この超加工食品が私たちの健康に深刻な悪影響を及ぼしているという科学的証拠が次々と明らかになっています。そして今回、医学誌The Lancet誌が、超加工食品に関する大規模な特集シリーズを組み、その健康リスクについて警鐘を鳴らしました1)。本記事では、この最新の論文に基づき、超加工食品とはいったい何なのか、具体的にどのようなリスクがあるのか、そして私たちはどう向き合えばよいのかを考えていきたいと思います。キッチンにはない「謎の成分」が目印? 超加工食品の定義と見分け方まず、私たちが普段口にしている食品は、加工の度合いによって4つのグループに分けられます。これを「Nova分類」と呼びます。 1.未加工・最小限の加工食品 野菜、果物、肉、卵、牛乳など、素材そのものや、乾燥・粉砕・加熱などの単純な加工しかしていないもの 2.加工食材 料理に使う油、バター、砂糖、塩など 3.加工食品 缶詰の野菜、チーズ、焼きたてのパンなど、素材に塩や油を加えて保存性を高めたりおいしくしたりしたもの 4.超加工食品 ここが今回の主役です超加工食品とは、単に加工された食品というわけではありません。最大の特徴は、「家庭のキッチンには通常置いていないような工業的な成分」が含まれていることです。具体的には、カゼイン、乳糖、乳清などの抽出物や、加水分解タンパク質、異性化糖(高果糖コーンシロップ)、硬化油などが挙げられます。さらに、風味を良くしたり、見た目を整えたりするための「化粧品のような添加物」、たとえば香料、着色料、乳化剤、甘味料、増粘剤などがふんだんに使われています。身近な例で言えば、炭酸飲料、スナック菓子、大量生産された袋入りのパン、チキンナゲットなどの再構成肉製品、インスタントスープ、そして「ヘルシー」をうたうダイエットシェイクや一部の植物性代替肉なども、実は多くがこのカテゴリーに含まれます。「ヘルシー」な「超加工食品」がこの世の中にはたくさん存在するのです。しかし、実際には見分け方はシンプルです。パッケージの表側に騙されてはいけません。見分けるには、パッケージの裏側にある原材料名を見る必要があります。もしそこに、あなたの家のキッチンにない、見慣れない名前(たとえば「○○抽出物」「○○色素」「乳化剤」「スクラロース」など)が並んでいたら、それは超加工食品である可能性が高いと言えます。なぜ「超加工」されると体に悪いのか? 栄養バランスだけではない複合的なリスクそれでも、「カロリーや栄養バランスに気をつければ、加工食品でも問題ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、今回の論文は、問題がそれほど単純ではないことを指摘しています。第一に、栄養の質が劇的に低下します。超加工食品の割合が増える食事は、糖分、脂肪、塩分が高くなりやすく、逆に健康維持に不可欠な食物繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足する傾向があります。第二に、「食べ過ぎ」を引き起こす構造になっています。超加工食品は、企業が利益を最大化するために、消費者が「もっと食べたい」と感じるように設計されています。柔らかくて噛む必要があまりない、心地よい食感、絶妙に調整された味と香りなど、私たちの満腹中枢を麻痺させるのです。実際、米国国立衛生研究所(NIH)が行った実験では、栄養価をそろえた食事であっても、超加工食品中心の食事をしたグループは、そうでない食事をしたグループに比べて、1日当たり約500kcalも多く摂取し、体重が増加したというデータがあります。第三に、食品添加物や汚染物質のリスクです。パッケージから溶け出す化学物質や、加工過程で生成される有害物質、そして乳化剤や人工甘味料などが腸内環境(マイクロバイオーム)を乱し、体に炎症を引き起こす可能性が指摘されています。つまり、超加工食品は、単に栄養が偏っているだけでなく、物理的な構造や化学的な組成そのものが、私たちの体のシステムを狂わせる可能性があるのです。がん、心臓病、うつ病まで… データが示す深刻な健康リスクでは、実際に超加工食品を食べ続けると、どのような病気のリスクが上がるのでしょうか。論文では、世界中の100以上の長期的な追跡調査の結果を統合し、解析しています。その結果、超加工食品の摂取量が多いグループは、少ないグループに比べて、以下のような病気のリスクが統計的に有意に高くなることが明らかになりました。 肥満・過体重:リスクが21%増加 2型糖尿病:リスクが25%増加 心血管疾患(心臓病や脳卒中など)による死亡:リスクが18%増加 うつ病:リスクが23%増加 クローン病:リスクが90%増加 全死亡リスク(あらゆる原因による死亡):リスクが18%増加 とくに注目すべきは、これらのリスク上昇の度合いが、健康に良いとされる「地中海食」がもたらす病気予防効果と、ほぼ同程度のインパクト(ただし逆方向、つまり悪影響として)を持っているという点です。つまり、超加工食品を食べることは、健康的な食事のメリットを相殺し、さらにマイナスに突き落とすほどの力を持っていると言えます。ただし、すべての超加工食品が同じように悪いわけではないでしょう。たとえば、全粒粉を使った大量生産のパンやヨーグルトなどは、清涼飲料水や加工肉に比べればリスクが低い可能性があります。しかし、全体として見れば、加工されていない食品(普通のヨーグルトや手作りの肉料理)の方が、超加工されたバージョン(甘味や香料入りのヨーグルトやソーセージ)よりも健康的であるという大原則は変わりません。私たちはどうすればいいのか?この論文の結論として、超加工食品の蔓延は、世界的な慢性疾患の増加の「主要な推進要因」であると断定されています。イギリスやアメリカでは、すでにカロリー摂取量の半分以上が超加工食品で占められています。日本や韓国などのアジア諸国はまだそこまで高くはありませんが、その消費量は年々増加傾向にあります。私たち消費者ができることは、まず「知ること」です。買い物の際、時々パッケージの裏を見て、なじみのない添加物が入っていないか確認することが第一歩です。そして、無理のない範囲で「素材」に近い食品を選び、自宅で調理する頻度を増やすことが、最善の防衛策といえます。もちろん、忙しい現代社会において、超加工食品を完全にゼロにすることは現実的ではないでしょう。しかし、「便利さ」の裏側に、私たちの健康を蝕むリスクが潜んでいることを理解し、日々の選択を少しずつ変えていくことが、自分や家族の未来を守ることにつながるのではないでしょうか。 参考文献・参考サイト 1) Monteiro CA, et al. Ultra-processed foods and human health: the main thesis and the evidence. The Lancet. 2025 Nov 18. [Epub ahead of print]

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ケタミンはうつ病の症状軽減に効果なし?

 ケタミンは、大うつ病性障害(以下、うつ病)の治療に効果がない可能性のあることが、臨床試験で明らかになった。うつ病で入院している患者に対する標準的な治療にケタミン点滴を追加しても効果が認められなかったという。ダブリン大学(アイルランド)トリニティ・カレッジ精神医学研究教授のDeclan McLoughlin氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Psychiatry」に10月22日掲載された。McLoughlin氏は、「われわれは本研究を行うにあたり、入院中のうつ病患者にケタミンを繰り返し投与することで気分が改善されるとの仮説を立てていた。しかし、実際にはそうではないことが判明した」と同大学のニュースリリースの中で述べている。 研究グループによると、うつ病患者の3分の1は、セロトニンやドパミン、アドレナリンなどの脳内の神経伝達物質を標的とする従来の抗うつ薬にあまり反応しない。そのため、うつ病の適応外治療薬としての利用が増加しているケタミンに大きな期待が寄せられている。 今回の臨床試験では、うつ病で入院中の18歳以上の患者65人(平均年齢53.5歳、男性59.7%)が、2週間に1回、最大8回にわたり、ケタミン(0.5mg/kg)またはベンゾジアゼピン系薬剤のミダゾラム(0.045mg/kg)のいずれかを、週2回、最大8回まで点滴で投与される群にランダムに割り付けられた。なお、本試験ではプラセボとしてミダゾラムが用いられる理由は、同薬が鎮静作用と精神活性作用を併せ持つため、患者がケタミンを投与されていないと推測しにくくなるように配慮したためだと説明している。 最終的に62人を対象に解析した結果、ケタミン群とミダゾラム群の間で、観察者がモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS尺度)で評価した治療終了後のうつ病症状の重症度に有意な差は認められなかった。また、自己評価によるうつ病症状の重症度や、認知機能、費用対効果、生活の質(QOL)などの指標についても、両群間で有意な差は認められなかった。 McLoughlin氏は、「厳格な臨床試験の条件下では、うつ病の入院治療にケタミンを補助的に使用しても、治療の初期段階および6カ月間の追跡期間中において、標準治療以上の効果は得られなかった。これは、ケタミンの抗うつ効果に関するこれまでの推定値は過大評価されていた可能性があり、臨床現場における期待値を見直すべきことを浮き彫りにする結果だ」と述べている。 McLoughlin氏らは、ケタミンがうつ病治療に有効であることを示した過去の研究には欠陥があった可能性があると指摘している。具体的には、患者が自分に投与されたのはケタミンだと推測し、プラセボ効果による改善を経験した可能性があるというのだ。 実際に、今回の試験でも、投与薬を正しく推測した患者の割合は、ケタミン群で78〜85%、ミダゾラム群で46〜62%に上り、多くの患者が自分に投与された薬について正確に推測していたことが示された。こうしたことから研究グループは、「われわれは、盲検化を成立させるためにミダゾラムを用いたが、これは成功しなかった。観察された小さな効果は、特定の治療効果ではなく、患者の期待を反映している可能性がある」と述べている。 論文の筆頭著者であるダブリン大学トリニティ・カレッジのAna Jelovac氏は、「この研究は、臨床試験、特にケタミン、幻覚剤、脳刺激療法などの盲検化を維持するのが困難な治療法に関する臨床試験において、盲検化の成功、あるいは失敗を報告することの重要性を浮き彫りにしている。これらの問題は、プラセボ効果の増大や歪曲された結果につながり、実際の治療効果を誇張する可能性がある」と指摘している。

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統合失調症の陰性症状に対する補助的抗うつ薬の有効性~ネットワークメタ解析

 統合失調症の陰性症状に対する治療反応は必ずしも十分ではない。また、陰性症状に対する抗うつ薬の効果については、依然として議論の余地がある。中国・Affiliated Hospital of Southwest Medical UniversityのYuting Li氏らは、厳格な選択基準に基づき、統合失調症の陰性症状に対する補助療法としての抗うつ薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2025年10月24日号の報告。 2025年4月16日までに公表され、統合失調症の陰性症状に対する補助療法として抗うつ薬とプラセボを比較したランダム化二重盲検比較試験をPubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。主要アウトカムは陰性症状とした。対象研究よりデータを抽出し、標準化平均差(SMD)を用いて全体的なエフェクトサイズを算出した。 主な結果は以下のとおり。・合計15件の研究(655例)を本レビューに含めた。・プラセボと比較し、陰性症状に対して有意に優れた効果を示した抗うつ薬は、ミルタザピン(2研究、48例、SMD:-1.73、95%信頼区間[CI]:-2.60~-0.87)およびデュロキセチン(1研究、64例、SMD:-1.19、95%CI:-2.17~-0.21)であった。・抗うつ薬間での直接比較では、ミルタザピンはreboxetine、エスシタロプラム、bupropionと比較し、統計学的に有意な差が認められたが、その他の抗うつ薬間あるいは抗うつ薬とプラセボの間に有意な差は認められなかった。・有病率に関する出版バイアスは認められなかった。 著者らは「抗精神病薬治療を受ける安定期統合失調症患者において、ミルタザピンまたはデュロキセチンの併用が陰性症状の改善に有効である可能性が示唆された。統合失調症の陰性症状に対する今後の治療計画に抗うつ薬を組み込むことは、さらなる検討に値する有望な戦略と考えられる」としている。

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