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マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに

 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 Mg2+はNMDA受容体の活性を抑制することが示されていたが、食事で摂取するMg2+が、脳内のNMDA受容体複合体に影響を及ぼすのかについては明らかになっていなかった。研究グループはマウスを用いて、食事性MgRが、脳内のNMDA受容体サブユニット構造体の変化を誘発し、NMDA受容体調節機能を変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・MgRは、GluN1を含むNMDA複合体の扁桃体-視床下部タンパク質量の減少と関連していることが示され、うつ病様行動強化を誘発したことが明らかになった。・食事で摂取するMg2+の減少によるGluN1 mRNA値の変化はみられず、転写後の変化は認められなかった。・タンパク質同士の相互作用の可能性を明らかにするために、GluN1の免疫沈降法およびPLA(proximity ligation assays)を行った。予想されたGluN1サブユニットとGluN2A、GluN2Bの関連が明らかになり、また既知の下流シグナルタンパク質に加えて新たにGluA1、GluA2との相互作用も明らかになった。・MgRマウスへのパロキセチン長期投与は、強化されたうつ病様行動を正常化したが、GluN1を含むNMDA受容体量は変化せず、NMDA受容体の下流にターゲットがあることが示された。・現時点のデータから、食事性MgRは脳のGluN1ほかGluN2A、GluN2B、AMPA受容体GluA1、GluA2といくつかのプロテインキナーゼなどを含むNMDA受容体複合体量を変化させたことが示された。・これらのデータは、食事性Mg2+摂取の調節が、MgRにより誘発・強化されたうつ病様行動との関与を示す受容体複合体の機能とシグナルを変化しうることを示すものであった。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 小児ADHD、食事パターンで予防可能か NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム  担当者へのご意見箱はこちら

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若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに

 10代の若年発症統合失調症患者では、神経学的ソフトサイン(neurological soft signs:NSS)の有病率およびスコアが高いことが明らかとなった。NSSは、中枢神経系の特定領域を限定せず、また特定の神経症症候群にも属さないわずかな脳の発達障害を示すサインである。一般的に統合失調症のような疾患症例で観察され、とくに18歳未満の若年発症における脳発達モデルの裏付けとなる。実際にNSSは、統合失調症患者における臨床的、認知的、電気生理学的および脳の障害を反映する神経解剖学的なマーカーに属しているという。検討を行ったチュニジア・Razi病院のS. Bourgou Gaha氏らは、「それらは脳の構造的な異常を示すもので、脳の発達障害に帰結し、脳の発達障害に関する病理学的な仮説を裏付けるものである」と述べている。Encephale誌オンライン版2014年5月19日号の掲載報告。 研究グループは、若年発症統合失調症と診断された思春期の患者におけるNSSの有病率、スコア、その後の経過について健常対照との比較を行った。検討では、NSSと人口統計学的・臨床的特性および治療特性との相互関係について調べた。試験は、同院の小児精神科部門で思春期患者12例を集めて行われた。患者はKiddie SAD PL補足版DSM-IVで統合失調症と診断されていた。また、年齢、教育レベルで適合させた、家族に精神疾患患者がおらず本人にも治療歴のない12例の健康対照と比較した。患者の臨床症状は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて評価を行った。NSSは、Krebs氏らが2000年に行った2群について検討したNeurological Soft Signs Examinationで評価した。尺度は23項目から構成され、運動協調性、運動統合機能、知覚統合、不随意運動と左右の機能分化の質などを調べた。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者の平均年齢は、14.7歳であった。平均発病年齢は12.2歳で、男女比は1.4対1、教育を受けた期間(レベル)は7.4年であった。・PANSS平均総スコアは74.3点であった。・抗精神病薬の1日平均投与量(クロルプロマジン換算)は、523.9mg/日であった。4例の患者が、抗精神病薬の単独強化療法を受けていた一方で、その他の患者は2つの神経遮断薬の投与を受けていた。・NSSの有病率は100%(カットオフ値11)で、総スコアの平均値は29.3±4.1であった。スコアが最も高かったのは運動協調性であった(10.1)。・対照群では総スコアの平均値は7±1.3であった。・患者と対照では、すべてのNSSのサブスコアについて非常に有意な格差が認められた。・患者において、年齢とNSS総スコア(p=0.05、r=-0.57)、および知覚統合スコア(p=0.04、r=-0.58)との間にいずれも逆相関の関連がみられた。・また、NSS総スコアは、教育レベルが低いこととも関連していた(p=0.03、r=-0.61)。・NSSスコアとPANSSスコアまたは抗精神病薬の1日投与量との間には、相関性はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 双極性障害における神経回路異常が明らかに 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所  担当者へのご意見箱はこちら

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頭の万力がとれた【Dr. 中島の 新・徒然草】(019)

十九の段 頭の万力がとれたその患者さんは70代の男性。以前から頭痛があって通院しておられ、いろいろな薬を試していたのですが、なかなか症状が改善しません。中島「こうなったら最後の手段です。頭痛名人に頼みましょう」患者「頭痛名人?」中島「普通のクリニックの先生ですけど、難しい頭痛を治してくれるんですよ。ちょっとばかり遠いのと、やたら混んでいるのだけ我慢してください」患者「でも、私はここで治してもらいたいんです」中島「いやいや、私のほうとも縁が切れるわけではありません。これからも通院していただいて、状況をチェックすることにしましょう」患者「わかりました。そのクリニックはどこにあるのでしょうか?」というやり取りの後、頭痛名人に紹介いたしました。そして、1ヵ月後。患者「先生、頭の万力がとれました!」中島「ホンマですか?」患者「ウソみたいなホントの話です」中島「そうか、さすが頭痛名人!」患者さんは、これまで頭を締め付けていた万力がとれたみたいで晴れ晴れとした表情。実際に治療したのは頭痛名人ですが、正しく名人に紹介した私も嬉しい気分です。中島「ところでどんな薬を使ったのかな」患者「これですよ、これ」中島「アミトリプチリン(トリプタノール® 10mg錠)? これ、前に出したことありますよ。でも副作用が出たので、やめたんじゃなかったかな」患者「そうやったかな」アミトリプチリンなら、私も以前にこの患者さんに処方したことがあります。でも喉が渇くし、翌日まで眠いしで、御自分で中止してしまっていたのです。中島「名人の処方は『寝る前に半錠』か、これがコツかも!」患者「夜もよく眠れるようになりました」中島「ぬぬっ、一石二鳥か」私が出していたのは1錠だけだったのですが、それでも翌日の日中まで眠気が残っていたようです。半錠だけ出すのが頭痛治療のポイントなのかもしれません。緊張型頭痛は片頭痛に比べると診断も治療もわかりにくいところがあるように思います。でも、これからは頭痛名人を見習って「アミトリプチリンを寝る前に半錠」を試してみましょう。それにしても「万力がとれた」とは言い得て妙ですね。※ 錠剤を2つに割る方法として、スプーンの裏側の凸面に錠剤を置き、両手でおさえて「パキン!」とやると上手くいくので、患者さんにアドバイスすると喜ばれます。※アミトリプチリンは本来うつ病の薬であり、頭痛に使うのは適応外処方ですが、平成24年9月24日に厚生労働省保険局医療課長より「原則として、「アミトリプチリン塩酸塩【内服薬】」を「片頭痛」、「緊張型頭痛」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」と通達がありました。

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統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は

 長時間作用型注射製剤の抗精神病薬は、幅広い統合失調症疾患群で薬物治療のアドヒアランスおよび再発の低下を目的に用いられている。しかし、第二世代と第一世代の抗精神病薬について、長時間作用型注射製剤に関する相対的な有効性の評価は行われていなかった。米国ジョージア・リージェンツ大学のJoseph P. McEvoy氏らは、統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を対象に、第二世代のパリペリドンパルミチン酸と第一世代のハロペリドールデカン酸の有効性を比較する多地域二重盲検無作為化試験を行った。その結果、パリペリドンパルミチン酸治療は、ハロペリドールデカン酸治療と比べて、治療不成功について統計的有意差は示されなかったことが明らかにされた。一方で、体重増加や血清プロラクチン値上昇との関連が認められたが、アカシジアとの関連はハロペリドールデカン酸でみられた。著者は、「それでも信頼区間(CI)値から、パリペリドンパルミチン酸には臨床上の有効性のアドバンテージがある可能性は排除できない」と述べている。JAMA誌2014年5月21日号の掲載報告。 試験は2011年3月~2013年7月に米国内22施設で行われた。無作為化を受けた被験者は、統合失調症または統合失調感情障害と診断された成人で、再発リスクがあり、長時間作用型注射製剤の抗精神病薬が有益だと考えられた成人の患者であった。主要評価項目は治療不成功で、精神科病院への入院、急性期症状で安定化を要した、外来通院頻度が大きく増大、担当医が長時間作用型注射製剤の投与開始後8週間以内に経口薬を中止できなかった、あるいは有益性が不十分であるとして注射製剤投与を中止した、により特定した。主要副次アウトカムは、抗精神病薬治療の一般的な有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・被験者は311例で、筋注で24ヵ月にわたり毎月1回、ハロペリドールデカン酸25~200mgもしくはパリペリドンパルミチン酸39~234mgの投与を受けた。・パリペリドンパルミチン酸の治療不成功率は、ハロペリドールデカン酸と比較して統計的有意差はみられなかった(補正後ハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.65~1.47)。・治療不成功の患者数は、パリペリドンパルミチン酸群49例(33.8%)、ハロペリドールデカン酸群は47例(32.4%)であった。・平均して、パリペリドンパルミチン酸群では体重増加が、ハロペリドールデカン酸群では体重減少がみられた。6ヵ月時点で、パリペリドンパルミチン酸群の患者の体重(最小二乗法で変化の平均値を算出)は2.17kg(95%CI:1.25~3.09)増加し、ハロペリドールデカン酸群では-0.96kg(同:-1.88~-0.04)低下した。・パリペリドンパルミチン酸投与患者は、血清プロラクチンの最大平均値が有意に高値だった。すなわち、男性では34.56μg/L(95%CI:29.75~39.37)vs. 15.41μg/L(同:10.73~20.08)であり、女性は75.19μg/L(同:63.03~87.36)vs 26.84g/L(同:13.29~40.40)であった(男女ともp<0.001)。・ハロペリドールデカン酸投与患者では、アカシジアの全体評価において有意な増大がみられた(0.73[95%CI:0.59~0.87] vs 0.45 [同:0.31~0.59]、p=0.006)。関連医療ニュース 月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか 第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は

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双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場

 米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U Correll氏らは、双極性障害(BD)の症状に対する初めての特異的質問票であるBipolar Prodrome Symptom Interview and Scale-Prospective (BPSS-P)の有用度を検討した。その結果、内部整合性、評価者間信頼性、診断群間の識別能などにおいて「良好~優」であることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 本研究の目的は、BDの症状に対する初めての特異的質問票であるBPSS-Pの心理測定法の特徴を検討することであった。BPSS-Pが施行された12~23歳の若年者やその介護者(両方またはいずれか)、計205例を対象とした。対象者のうち、気分スペクトラム障害患者は129例で、内訳はうつスペクトラム障害が77例、他に分類されない気分障害(NOS)が27例、BD-NOSが14例、双極性障害Ⅰ型(BD-I)/双極性障害II型(BD-II)/循環気質が11例であった。このほか、非気分スペクトラム障害が34例、健常対照(HCs)が42例であった。 主な結果は以下のとおり。・BPSS-P Mania (Cronbach's α=0.87)、BPSS-P Depression(Cronbach's α=0.89)およびBPSS-P General Index(Cronbach's α=0.74)の内部整合性は「良好~非常に良好」であった。・BPSS-P総スコア(ICC=0.939)、 BPSS-P Mania(ICC=0.934)、BPSS-P Depression(ICC=0.985)、およびBPSS-P General Index(ICC=0.981)の評価者間信頼性は「高」であった。・以下のツール間で高い識別能が示された(ρ≧0.50)。  BPSS-P Mania IndexとYMRS、GBI-M-10、CHT  BPSS-P Depression IndexとMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)およびCHT  BPSS-P General IndexとGBI-M-10、CHT・BPSS-P Mania IndexとMADRS、BPSS-P Depression Index、YMRSとの間の収束的妥当性は、予想どおり小さかった(ρ=0.10~0.30未満)。・BPSS-Pとそのサブスケールにより、各患者群とHCsおよび非気分スペクトラム患者が識別された(BPSS-P General Indexを除き)。・BPSS-P総スコアは、BD-I/BD-II/循環気質とうつスペクトラム患者を識別し、BPSS-Mania Indexは双極スペクトラムグループの3つすべてを、うつスペクトラム患者と識別した。 ・以上より、BPSS-Pは「良好~優れた」心理測定法であると思われた。さまざまな局面での使用と予測妥当性についてはさらなる検討が求められる。関連医療ニュース 「笑い」でうつ病診断が可能に うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサイン

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帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。英国14万4,959症例を、年齢別に疾患リスクとの関連を分析 最近の文献報告において、帯状疱疹のリスクが一部の疾患で増大すること、および若い人のリスクが高い可能性が示唆され、研究グループは、年齢別に影響があると思われる帯状疱疹のリスク因子の定量化を試みた。具体的には、英国プライマリ・ケアのデータベースであるClinical Practice Research Datalinkを活用して症例対照研究を行った。 2000~2011年に帯状疱疹と診断された14万4,959例と、年齢・性別・診療状況で適合した対照54万9,336例を特定し、年齢ごとの各リスク因子と帯状疱疹との関連の強さを、条件付きロジスティック回帰分析にて補正後オッズ比(OR)を求めて評価した。関節リウマチ患者は1.46倍、相対的に疾患のある若い人でリスクが高い 症例群と対照群の年齢中央値は、62歳であった。 分析の結果、帯状疱疹リスクの増大因子として、関節リウマチ(2.1%vs. 1.5%、補正後OR:1.46、99%信頼区間:1.38~1.55)、IBD(1.3%vs. 0.9%、同:1.36、1.26~1.46)、COPD(4.7%vs. 3.7%、同:1.32、1.27~1.37)、喘息(7.1%vs. 5.8%、同:1.21:1.17~1.25)、慢性腎臓病(6.0%vs. 5.4%、同:1.14、1.09~1.18)、うつ病(4.7%vs. 4.0%、1.15、1.10~1.20)が認められた。 糖尿病との関連は部分的で、1型では関連がみられたが(0.3%vs. 0.2%、同:1.27、1.07~1.50)、2型では関連はみられなかった(7.1%vs. 6.9%、同:1.01、0.98~1.04)。 また年齢別(50歳未満、50~59歳、60~69歳、70歳以上)でみると、若年の患者でリスクが高いことがみてとれた。たとえば、関節リウマチ患者の補正後ORは、50歳未満では1.69であったが、70歳以上では1.41となっていた。 帯状疱疹のリスクが最も高かったのは、帯状疱疹ワクチンの接種が非適格である重度の免疫抑制状態患者の患者で、リンパ腫患者の補正後ORは3.90(99%CI:3.21~4.74)、骨髄腫2.16(同:1.84~2.53)などとなっていた。 以上のように、疾患を有している人では帯状疱疹のリスクが増大することが判明した。また概して、リスクの増大は若年者でより高いことが明らかになった。 これらの結果を踏まえて著者は、「現在推奨されているワクチン接種は、帯状疱疹リスクが高い人には禁忌であることが明らかになった。まった、これらの人々にはリスクを抑制するための別の戦略が必要であることが明確になった」とまとめている。

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統合失調症患者への抗精神病薬、神経メカニズムへの影響は

 統合失調症患者の記憶を含む認知機能は、機能的転帰と強く相関している。長期増強(LTP)は、記憶のための生理学的基礎であると考えられる神経メカニズムのひとつである。抗精神病薬は、ドパミン作動性伝達を変化させることにより、このLTPや認知機能を損なう可能性がある。カナダ・トロント大学のRae Price氏らは、LTPに対する抗精神病薬とD2アンタゴニストとの関係を評価するために、系統的レビューを実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2014年5月10日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・LTPと抗精神病薬に関する大部分の研究によると、抗精神病薬の急性投与は、野生型動物のLTP障害と関連していた。・対照的に、統合失調症動物モデルでは抗精神病薬の連用および急性投与のどちらもLTP障害との関連は認められなかった。・クロザピンとオランザピンを除く定型および非定型抗精神病薬、およびその他のD2アンタゴニストでは、同様の結果であった。・クロザピンでは、強直誘発の独立した増強要因であった。また、オランザピンでは、破傷風誘発の増強を促進していた。・これらの研究は、モデル動物で実施されており、統合失調症患者に対する抗精神病薬の影響は限定的である。・慢性的に抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者でのさらなる研究は、これら薬剤の効果を理解するうえで重要であると考えられる。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 双極性障害における神経回路異常が明らかに

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統合失調症患者の睡眠状態を検証

 カナダ・Riviere-des-Prairies病院のFabian Guenole氏らは、睡眠期(dissociated stages of sleep:DSS)を定量化することで、統合失調症における睡眠の機能的不安定性を特徴づけること、およびそれら特徴と精神病理との相関性を調べる検討を行った。その結果、統合失調症とレム睡眠期にみられるニューロンコントロールメカニズムとに有意な相関が認められることを明らかにした。Schizophrenia Research誌2014年5月号(オンライン版2014年4月13日号)の掲載報告。  検討は、統合失調症の若年成人で投薬未治療の初発患者10例と、健常対照10例であった。睡眠紡錘波、急速眼球運動およびアトニーなどを測定した結果、基本的な4つのDSSが記録された。1)睡眠移行期であるEEG混合中間期(EMIS)2)急速眼球運動のみられないレム睡眠期(RSWR)3)アトニーのないレム睡眠期(RSWA)4)急速眼球運動がみられるノンレム睡眠期 EMISとRSWRスコアを合計した中間睡眠期(IS)スコアを算出し、レム睡眠期間のIS(IRSPIS)と、レム睡眠中にスコアしたIS(ISERS)の長さを測定した。患者は、記録時に簡易精神症状評価尺度(BPRS)で評価を受けた。総睡眠時間における各DSSの比率と、レム睡眠におけるIRSPISとISERSの割合を患者群と対照群で比較。また、DSSの変化とBPRSの総スコアとの関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・総DSSの割合は、患者群と対照群で変わらなかった。・DSSサブタイプ群において、アトニーのないレム睡眠期(RSWA)は患者群で比較群と比べて有意な増大が認められた。有意差は示されなかった。・睡眠全体およびレム睡眠期において、BPRSスコアとDSS、IS、RSWR、IRSPIS、ISERSの比率とには、有意な正の相関がみられた。・これらの結果は、統合失調症を有する若年成人の未治療初発患者では、レム睡眠の機能的不安定性を示すものであった。・それらは、レム睡眠行動障害を想起させるパターンを明らかにするものであった。・本検討により、統合失調症とレム睡眠期にみられるニューロンコントロールメカニズムには有意な相関があることが示された。関連医療ニュース 検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 自殺と不眠は関連があるのか

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ビタミンDと透析患者の抑うつ症状との関連

 うつ病は、末期腎不全(ESRD)患者において最も広く知られている心理的問題である。また、うつ病とビタミンD不足との関連が示唆されていた。中国・浙江大学のJisheng Zhang氏らは、透析患者における高感度C反応性蛋白(HsCRP)値、ビタミンD値とうつ病との関連を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。 本検討では、透析患者におけるHsCRP値、ビタミンD値とうつ病との関連を前向きに検討すること、またうつ病透析患者へのビタミンD3製剤カルシトリオール投与の効果を明らかにすることを目的とした。中国南部の2病院から透析患者を登録し、中国版ベックうつ病調査表(BDI)を用いてうつ病の評価を行った。被験者は全員、夏季におけるうつレベルの評価に関するBDI質問票に回答。研究グループは、カットオフ値を16点として、非うつ病群(グループ1)とうつ病群(グループ2)に分類したうえで、両群被験者に、0.5μg/日のカルシトリオールを1年間投与した。その後、再度BDIスコアを測定した。社会人口統計学的および臨床的データや血清ビタミン値のデータも集めて分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、18~60歳の透析患者484例(血液透析患者382例、腹膜透析患者102例)で、うち男性は247例(51.0%)であった。・抑うつ症状が認められたのは、213例(44.0%)であった。・ベースライン時のビタミンD値(D2とD3の合計)は、17.6±7.7nmol/Lであった。・抑うつ症状がみられた患者は対照群と比較して、血清HsCRP値が有意に高く、血清ビタミンD値は有意に低かった。・追跡調査1年後、0.5ug/日のカルシトリオールの投与は、平均血清HsCRP値の低下、血清ビタミンD値の改善にみられるように微小な炎症性の状態をわずかに改善したことは示されたが、抑うつ症状を有意に改善しなかった。・以上より著者は、「カルシトリオールは、透析患者の抑うつ症状を有意に改善しなかった。一方で、血清ビタミンD値が低い透析患者では抑うつ症状がより強かったことが明らかになった」と結論している。・そのうえで、「さらなる前向き無作為化試験を行い、ビタミンD値と抑うつ症状の程度との因果関係、あるいはビタミンD値と透析患者の特定のサブタイプとの関連を明らかにすることが必要である」とまとめている。関連医療ニュース うつ病治療にビタミンD投与は有用か うつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき アルツハイマー病にビタミンD不足が関連

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スルピリドをいま一度評価する

 スルピリドは、有害事象の頻度が低く、統合失調症の陰性症状に有効とされる比較的古い抗精神病薬である。相対的に安価でもあるスルピリドは、いくつかの新規非定型抗精神病薬と神経薬理学的プロファイルが類似する。中国・上海交通大学医学院のJijun Wang氏らは、統合失調症に対するスルピリドの有用性をプラセボと比較評価するメタ解析を行った。その結果、プラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られており、著者は、「良好なエビデンスが得られるまでは、臨床試験ではなく実臨床のデータを参考として使用すべきであろう」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月11月号の掲載報告。スルピリドの精神疾患に対する効果をプラセボと比較 本研究は、統合失調症および重大なその他の精神疾患に対するスルピリドの効果をプラセボと比較評価することを目的として行われた。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2008年9月)、ならびに引用から特定されたすべての試験のreferenceを検索した。製薬企業や著者と連絡をとり追加情報も得た。検索は、2012年11月7日時点でアップデートし、統合失調症および統合失調症様の精神疾患を対象としたスルピリドとプラセボの無作為化比較試験(RCT)すべてを検索対象とした。主要アウトカムは、全般的状態の臨床的に有意な改善とした。文献と抄録を独自に詳細に調査して文献を入手し、再調査してそれらの質を評価した。データはIMOとJWを用いて抽出。ランダム効果リスク比(RR)を用いて二分法のデータを解析し、95%信頼区間(CI)を算出した。連続変数データが含まれている場合は、ランダム効果平均差(MD)を95%CIとともに解析した。スルピリドの優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた スルピリドの効果をプラセボと比較した主な結果は以下のとおり。 ・2012年の検索において、新しい試験は含まれていなかった。・レビューしたところ、スルピリドとプラセボの短期比較を行った2件の試験(計113例)が含まれていた。・いずれの試験においても、主要アウトカム(全般的状態:臨床的に有意な改善)および副次アウトカム(QOL・重篤な有害事象・安全性評価)に関する報告はなかった。・精神状態に関しては、陽性症状、陰性症状とも2群間で明らかな差はみられなかった。・Manchester scaleで測定した陽性症状は分布に偏りがあったため、メタ解析には含めなかった(18例、RCT 1件、エビデンスの質:きわめて低い)。・Manchester scaleで測定した陰性症状もまた明らかな差は示されなかった(18例、RCT 1件、MD:-3.0、95%CI:-1.66~1.06、エビデンスの質:きわめて低い)。・試験を3ヵ月間継続していた者はほとんどいなかった(113例、RCT 2件、RR:1.00、95%CI:0.25~4.00)。・Current Behaviour Schedule(CBS)により、プラセボ群における1つのサブスコアで、社会的行動の有意な改善が認められた(18例、RCT 1件、MD:-2.90、95%CI:-5.60~-0.20)。・全般的アウトカム、サービスの使用、有害事象など多くの重要なアウトカムに関するデータはまったく報告されていなかった。・以上、スルピリドは効果的な抗精神病薬であるものの、無作為化比較試験によるプラセボに対する優越性を示すエビデンスはきわめて限られていた。

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統合失調症患者の過度なカフェイン摂取、どう対処すべき

 先行研究において、統合失調症患者は一般集団よりもカフェイン摂取率が高いことが示されている。しかし質的研究は行われていなかったことから、オーストラリア・Neami NationalのLisa Thompson氏らは、統合失調症患者におけるカフェイン摂取の影響に関する検討を行った。その結果、個々のカフェイン摂取に対する信条や行動が明らかとなり、個々人へのアプローチが大切であることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月16日号の掲載報告。統合失調症患者はカフェイン摂取をとても意味のある行動だと認識 研究グループは、統合失調症患者の暮らしにおいてどのようにカフェインを摂取し、また摂取にどのような意味付けをしているのかを、カフェイン摂取の習慣と関連している態度や信条をナラティブに分析して調べる質的研究を行った。検討は、Alcohol, Smoking and Substance Involvement Screening Tool(ASSIST)評価で、カフェイン使用の評価が「中程度」または「高度」のリスクカテゴリーに分類された個人を対象に行われた。20例に対して詳細な面接を行い、記録の写しを分析して、顕著な考え方を特定した。 統合失調症患者におけるカフェイン摂取の影響を検討した主な結果は以下のとおり。・以前の文献でも示されていたように、被験者である統合失調症患者のカフェイン摂取のきっかけは、主としてカフェインの刺激作用にあることが示された。被験者はまた、カフェイン摂取の重大な動機としては「依存」を認識していた。・カフェイン摂取に関連する被験者の行動は、過去の摂取経験によって強化されていることがうかがえた。・被験者が過去の摂取で覚醒やリラクゼーションといったプラスの効果を経験していると、摂取量は同程度また増加していた。・対照的に、マイナス効果を見込んでいる被験者は、カフェイン摂取のパターンを変える頻度が高かった。たとえば、カフェイン含有飲料を代用することでマイナスの副作用の経験を最小化したり、なくそうとしていた。・全体的に被験者は、カフェイン摂取をとても意味のある行動だと認識していた。すなわち、カフェイン摂取は、彼らにとって日々の生活の一部であり、社会との関わりを促進する機会であると認識していた。 以上から、著者は「個々の健康に関する信条と実際の有害リスクとの矛盾が、健康関連の行動に関連しており、精神疾患を診断された人への適切で効果的な健康プロモーション戦略の実施が、重大かつ継続した課題としてあることが提示された」と述べている。そのうえで、「精神疾患患者にかみあったサービスが価値あるものであり、個々の統合失調症患者におけるカフェイン関連健康リテラシー戦略の実行を検討し、過度なカフェイン摂取のリスクや、カフェインと抗精神病薬との相互作用に関して消費者教育を行うことが大切なことである」とまとめている。関連医療ニュース 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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「笑い」でうつ病診断が可能に

 「笑い(laughter)」は、うつ病および潜在的な精神疾患の発症および進展の診断ツールとして有用である可能性が、スペイン・Aragon Institute of Health ScienceのJ. Navarro氏らにより報告された。笑いは医学分野において、健康へのよい影響をもたらすことや重大疾患の予防や治療の手法としては研究されてきたが、疾患の予測指標となる可能性や診断ツールとしての可能性については検討されていなかった。Journal of Affective Disorders誌2014年5月号の掲載報告。 研究グループは、うつ病患者と健常対照の笑いを登録し評価を行った。全患者に対して、ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)で評価を行い、また各笑いについて、Matlab解析ソフトを用いて8つの評価変数で数値化した。患者、対照、性別ごとに分類し、笑いとHDRSの結果との関連を一般解析および判別解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、うつ病患者30例、健常対照20例であった。・総計934回の笑い(うつ病患者517回、健常対照417回)が登録された。・分析の結果、うつ病患者と健常対照では、笑いのタイプに有意な差がみられた(有効な評価対象88%)。・ハミルトンうつ病評価尺度により、笑いとうつ病状態との間には強い関連性があることが示唆された(有効な評価対象、男性85.47%、女性66.17%)。・一方で、本分析結果は以下の点で限定的であった。(1)笑いを喚起するようユーモラスなビデオを制作したため、評価された笑いは可変的なものであった。(2)記録された笑いの中には、楽しく笑っていないものがあったと思われた。(3)笑いのエピソードの評価は、個人的な記録に依存していた。(4)評価した笑いの数は相対的に少なく、うつ病に悩む代表的集団ではない可能性があった。 以上を踏まえたうえで、著者は「笑いは、うつ病および潜在的な精神疾患の発症と進展の診断ツールとなりうる可能性がある」とまとめ、「笑い声は対人関係において、深層心理に潜む感情や気分を表すものといえる」と述べている。関連医療ニュース 子供はよく遊ばせておいたほうがよい スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を ロマンチックな恋愛は幸せか

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「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも

 バランスと歩行の障害は、アルツハイマー型認知症(AD)のごく初期のサインである可能性が、米国・イサカ・カレッジのLaura Z. Gras氏らによる検討の結果、示された。結果を踏まえて著者は、「これらの問題の認識が以降の理学療法介入を早め、バランスと歩行の障害のさらなる進行を遅らせることが可能になるだろう」と述べている。先行研究で、AD患者では歩行とバランスに障害が出ることが示されている。しかし、その障害を認知症の程度(軽度~重度)の区別なく一律に捉えていた。Journal of Geriatric Physical Therapy誌オンライン版2014年4月21日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、ごく初期のAD患者でバランスと歩行の障害がみられるかを確認することを目的とした。13例のごく初期のAD患者と、年齢および性別でマッチさせた非AD対照13例を対照に、バランスと歩行のテストを行った。被験者は全員、地域で生活しており、自立歩行が可能であった。 主な結果は以下のとおり。・患者群13例は72.9±4.7歳、対照群は72.6±4.6歳、両群とも男性10例、女性3例であった。・片脚立ち時間テストは、ごく初期のAD患者のほうが対照群よりも、開眼状態、片目をつぶった状態ともに有意に時間が短かった(それぞれp<0.001、p=0.007)。・また、AD患者群は、Timed "Up & Go"テストで、ゴールまでの時間が長くかかった(p<0.001)。・AD患者の歩行障害は、10mの快適速度での歩行(p=0.029)、および歩行分析装置の歩行(p<0.001)で速度が遅かったことで判明した。AD群のほうが立脚時間(足が地面に接地している間)が長く(p<0.001)、歩幅は小さかった(p=0.001)。なお、10mの最大速度での歩行では両群間に差はみられなかった。・対照群の歩行速度は、10mの快適速度での歩行よりも、歩行分析装置での歩行のほうが速かった(p=0.031)。対照的にAD群は、10mの快適速度での歩行よりも、歩行分析装置での歩行のほうが有意に遅かった(p=0.024)。関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター  担当者へのご意見箱はこちら

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座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか

 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。 現代人のライフスタイルは、かなりの長時間を椅子に座って活動することで特徴づけられる。そのこと自体、健康に対してリスクをもたらす可能性はあるが、精神衛生に対する影響についてはほとんどわかっていない。  研究グループは、一般的な座りきり行動(TV視聴、インターネット利用、読書)といくつかの異なる精神衛生面との関連について調べた。具体的には、地域に住む高齢者コホートを対象とした研究「English Longitudinal Study of Ageing」から、男女6,359例について2年間追跡調査を行った。TV視聴時間、読書、インターネットの利用については、試験開始時の自己申告に基づき評価した。精神衛生については、Centre of Epidemiological Studies Depression尺度の8項目を用いて抑うつ症状を評価した。また、認知機能を評価するために記憶とことばの流暢さを神経心理学検査で測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者6,359例は、64.9±9.1歳であった。・TV視聴時間(6時間以上vs. 2時間未満・/日)は、抑うつ症状がより高いことと関連していた(係数:0.49、95%信頼区間[CI]:0.35~0.63)。また、全体的な認知機能が低いこととも関連していた(同:-1.16、-1.31~-1.00)。・対照的に、インターネット利用者は、抑うつ症状が低く(同:-0.58、-0.66~-0.50)、認知機能は高かった(同:1.27、1.18~1.37)。・試験開始時のすべてのタイプの座りきり行動が、追跡期間中の精神衛生面の測定値の変化と関連しているわけではなかった。・また、スコア差は持続したが、時間とともに増大することはなかった。・以上のように、座りきり行動すべてではなく、そのいくつかが精神衛生に悪影響をもたらすことが示された。・これらの関連は、対照的な環境や社会的コンテクストによって引き起こされていると考えられた。関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与  担当者へのご意見箱はこちら

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線維筋痛症患者、自殺念慮を3割超が有する

 線維筋痛症は、経過とともに自殺を図る患者の割合が増加することが知られている。スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のYolanda Trinanes氏らによる検討の結果、線維筋痛症患者の自殺念虜は、うつや不安、日常生活への支障と密接に関連していることが明らかにされた。Pain Practice誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は32.5% 研究グループは、線維筋痛症における自殺念虜と、さまざまな社会人口統計学的、臨床的および心理的変数との関連を分析する目的で、線維筋痛症の女性患者117例を対象に調査を行った。 評価項目は、睡眠障害(ピッツバーグ睡眠質問票)、うつ(ベックうつ病調査票:BDI)、健康関連QOL(SF-36および線維筋痛症質問票:FIQ)、疼痛(視覚的アナログ尺度)などであった。BDIの9番目の項目で自殺念慮を評価し、すべての変数について自殺念虜のある患者とない患者を比較した。 線維筋痛症における自殺念虜を調査した主な結果は以下のとおり。・自殺念虜を有している線維筋痛症患者の割合は、32.5%だった。・自殺念虜の有無でさまざまなうつ病の指標に有意差が認められた。・また、自殺念虜を有している線維筋痛症患者では、不安レベルが高く、眠気のため日中の機能が障害され、感情的および身体的問題のため限界を感じていた。・BDIにおける自己非難のクラスターでわかるような、認知的抑うつ症状が自殺念慮と密接に関連していた。

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無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与

 加糖飲料やコーヒー、紅茶は最も消費されているノンアルコール飲料であり、健康に対し重大な影響を及ぼす。米国Westat社のXuguang Guo氏らは、さまざまな飲料の消費量とうつ病との関連を検討した。PloS one誌オンライン版2014年4月17日号の報告。 対象はNIH-AARP Diet and Health Study(食事・健康調査)に参加した26万3,923人。1995~1996年に摂取したさまざまな種類の飲料を評価し、2000年以降に自己申告によるうつ病診断を実施した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、多変量ロジスティック回帰分析から導いた。 主な結果は以下のとおり。・1日当たり4缶または4杯以上摂取している場合とまったく摂取しない場合とを比較したORは、ソフトドリンク1.30(95%CI:1.17~1.44)、フルーツドリンク1.38(1.15~1.65)、コーヒー0.91(0.84~0.98)であった(すべてのp for trend<0.0001)。・アイスティーとホットティーでは関連はなかった。・主にダイエット飲料を飲む人 vs 通常の飲料を飲む人による層別解析でのORは、ソフトドリンクで1.31(1.16~1.47) vs 1.22(1.03~1.45)、フルーツドリンクで1.51(1.18~1.92) vs 1.08(0.79~1.46)、加糖アイスティーで1.25(1.10~1.41) vs 0.94(0.83~1.08)であった。・飲料の非摂取者と比較し、無糖のコーヒーや紅茶を飲んでいた人では、うつ病のリスク低下と関連していた。一方、砂糖や蜂蜜ではない人工甘味料を添加していた人では、リスク上昇と関連していた。・加糖飲料(とくにダイエット飲料)の頻繁な消費が高齢者のうつ病リスクを高める一方で、コーヒーはリスクを軽減させる可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は

 持続勃起症(プリアピスム)は、性的刺激とは関係なく陰茎の勃起状態が、3時間以上続く状態であり、痛みを伴うことが多い。持続勃起症は泌尿器科的な緊急事態で重篤な合併症を引き起こす可能性がある。持続勃起症の発症の25~40%は薬物が原因で、抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、交感神経α受容体遮断薬ほか精神を活性化する物質(アルコール、コカイン、大麻など)などが含まれるが、薬物関連の持続勃起症の約50%は抗精神病薬に起因するという。モロッコ・Ar-Razi大学精神科病院のJ. Doufik氏らは、抗精神病薬により誘発された持続勃起症とその対処について、症例報告を行った。Encephale誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。持続勃起症の症例には現状ではアミスルプリドのような薬剤が適している 研究グループは、とくに非安定性の精神疾患患者において、臨床医はこのまれな副作用とその処置の困難さを認知しておくべきであるとして本症例報告を行った。 抗精神病薬により誘発された持続勃起症の症例とその対処の概要は以下のとおり。・患者は22歳、統合失調症と診断されたモロッコ人男性。精神疾患エピソードの治療のため、精神科病院に初めて入院していた。・患者は、当初15mg/日のハロペリドール投与を受けていた。7日後、持続勃起症を発症した。・患者はただちに泌尿器科に紹介され、海綿体の吸引と洗浄を行うことが提案されたが、患者が拒否したため、実行できなかった。しかしその後10時間後に勃起は自然に萎縮した。・ハロペリドールの投与は中断され、4日後患者はオランザピン10mg/日投与に切り替えられた。・10日後、患者は2度目の持続勃起症を呈した。そのため、オランザピンも投与が中断された。・緊急処置として、海綿体の吸引と洗浄を行われ、陰茎の部分的萎縮に至った。・2日後、治療が行われていないにもかかわらず、患者は再び持続勃起症を呈した。・陰茎の血行再建術が提案されたが、また患者が拒否したため施行には至らなかった。・最終的に、患者はアミスルプリド(国内未発売)400mg/日が投与され、良好なアウトカムを得た。・持続勃起症は、1ヵ月後に消失したが、海綿体の線維化と部分的な勃起不全が残った。 上記を踏まえた著者らの論点は次のとおり。・持続勃起症の発生に関する、抗精神病薬の正確な寄与機序はほとんどわかっていないが、多様な要因が関わっていると思われた。・仮説として最も言及されているのは神経筋の関与である。すなわち、抗精神病薬の作用として類似してみられる、海綿体のα-1アドレナリン様作用受容体の活性を阻害するというものである。・精神疾患患者における持続勃起症の発症、とくに代謝不全の時期における発症は、医療スタッフにとって数多くの難題をもたらすことになる。・第一に、持続勃起症の副作用について患者が認識していないこと、それにより重篤な結果を招く可能性があること。・第二に、抗精神病薬治療の投与量および投与期間と、1つの持続勃起症の発現との関連、およびそれ以上の発症との関連が判明していておらず、予測が難しいこと。・第三に、そのほかの抗精神病薬の選択と開始がチャレンジなことである。・文献では、多くの持続勃起症例が、従来および非定型の両者の抗精神病薬について報告されている。しかしながら、報告者の多くはこうした患者に与えられるべき選択肢については触れていなかった。・そうした中で現状では、α-アドレナリン作用性がないアミスルプリドのような薬剤が、こうした持続勃起症の症例に適しているようであった。・持続勃起症は、抗精神病薬治療においてまれではあるが重篤な有害事象である。・持続勃起症のリスクについて患者に知らせることは、症状の早期報告とともに、勃起不全の回避に役立つと思われた。・そのほかの抗精神病薬に切り替える場合は、α-1阻害性を持たないものが、通常は推奨される。

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統合失調症の症状、インターロイキン-2の関与が明らかに

 統合失調症の患者における認知能力の衰退と陰性症状に、インターロイキン2(IL-2)が関与している可能性が、ブラジル・サンパウロ連邦大学のElson Asevedo氏らによる検討の結果、示唆された。これまで、統合失調症においてIL-2が関与している可能性が示唆されていたが、どのような症状と関連しているかを調べる検討は行われていなかった。Physiology & Behavior誌2014年4月号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において、末梢IL-2値と症状および認知のパフォーマンスとの関連について調べ、末梢IL-2値について、統合失調症患者と健常対照者との比較も行った。パフォーマンスについては、DSM-IV基準で統合失調症と診断され治療を受けている外来患者と、健常対照者を対象に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、統合失調症に関するカルガリーうつ病評価尺度(CDSS)、臨床全般印象尺度(CGI)、全般機能評価尺度(GAF)にて評価して調べた。被験者の採血は、全員午前9~10時に、EDTA管を用いた静脈穿刺にて行われた。IL-2の血漿中濃度は、Cytometric Bead Array(CBA)法によって確定し、コンピュータによる神経心理学的検査で、言語学習能、ことばの流暢さ、作業記憶、変化に対する柔軟性(set shifting)、実行機能、抑制と知能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者29例と、健常対照者26例について検討が行われた。・統合失調症患者は、健常対照者よりIL-2値が低値であった(p<0.001)。・統合失調症患者群におけるIL-2値は、ディジットスパンテスト(rho=0.416、p=0.025)、知能評価(rho=0.464、p=0.011)のスコアとの間に明らかな相関を認めた。・また、IL-2値とPANSS陰性サブスケールの総スコアとの逆相関の関連性を認めた(rho=-0.447、p=0.015)。関連医療ニュース 双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与 治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善 統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

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治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善

 多くの統合失調症女性は、現時点での最適な治療を受けているにもかかわらず症状が持続する。これについて先行研究では、エストロゲン療法の追加が効果的である可能性が示唆されていた。オーストラリア・モナシュ大学のJ Kulkarni氏らは、治療抵抗性の統合失調症女性に対するエストロゲン療法追加の有用性を検討する初の大規模臨床試験を行った。その結果、エストラジオール経皮投与は、プラセボと比較し陽性・陰性症状スコア(PANSS)をはじめとする症状スコアを有意に低下させ、とくに陽性症状に対して高い効果を示すことを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2014年4月15日号の掲載報告。  本試験は、治療抵抗性の統合失調症女性を対象とした初めての大規模無作為化比較試験であり、8週間にわたる3群の二重盲検無作為化対照試験で、2006~2011年に実施された。対象は、18~45歳(平均35歳)で、統合失調症または統合失調症様の障害を有しPANSS スコア60超、抗精神病薬を4週間以上服用しているが症状を認める女性183例であった。平均罹病期間は10年以上であった。エストラジオール200 μgおよび100 μgの経皮投与、またはプラセボパッチを投与した。主要アウトカムはPANSSスコアとし、試験を完了した180例についてベースライン時、7、14、28および56日目に評価した。認識力はベースライン時と56日目に神経心理検査RBANS(Repeatable Battery of Neuropsychological Status)を用いて評価した。データは潜在曲線モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・エストラジオール100μg群、200 μg群とも、PANSS陽性スコア、全般スコアおよび総合症状スコアが、プラセボに比べて有意に低下した(p<0.01)。・その効果は、エストラジオール100μg群に比べ200 μg群のほうが大きかった。・エストラジオール200μg群では、PANSSのサブスケール陽性症状において最大の効果が認められた(エフェクトサイズ:0.44、p<0.01)。・以上のように本研究により、治療抵抗性の統合失調症女性、とくに陽性症状を呈する例において、エストラジオールは有効であり、臨床的意義のある追加治療であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに 妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全

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小児ADHDの薬物治療、不整脈リスクに注意を

 小児における注意欠陥・多動性障害(ADHD)薬の使用について、危険な不整脈のリスクがある子供では注意を払う必要があることを、ノルウェー・ベルゲン大学のAnsgar Berg氏らが文献レビューの結果、報告した。ADHDに対する薬物治療は、一般に安全であると考えられてきたが、今回の結果を踏まえて著者は、「心臓病や不整脈の既往、あるいは心臓病リスク因子を有する子供のADHD治療は、小児循環器の専門家との連携のうえで行われるべきである」とまとめている。Tidsskrift for Den norske legeforening誌2014年4月8日号の掲載報告。 ノルウェーでは、ADHD治療が開始される前の健康な小児または若者へのECGスクリーニングが一般的に行われているようである。しかし一方で、ECGは、リスクのある個人にのみ行われるべきだと推奨されている。 研究グループは、小児と若者のADHD薬物療法について、心血管リスク評価に関するガイドラインの位置づけを明確にすること、また実際的な勧告を提案することを目的としたレビューを行った。2013年10月1日時点でPubMedを介し、著者自身の臨床経験や、任意の評価に基づく論文を探索した。 主な結果は以下のとおり。 ・中枢神経刺激薬、アトモキセチンの使用は、わずかだが血圧、脈拍の上昇と関連しており、同様にわずかだがQT幅の変化と関連していた。・ADHD薬を使用している小児・若者の突然死の頻度は、非使用の小児・若者と比べて頻度は多いということはみられなかった。・その他の健常被験者の心血管系へのADHD薬の長期的な影響に関しては、ほとんどわからなかった。また、心臓病を有する小児・若者におけるADHD薬の使用に関連したリスクについてもほとんどわからなかった。・若干の不整脈がある場合、薬物は、突然死リスクを増大すると考えられる。したがって、不整脈が疑われる小児では、ADHDの使用には注意を払うべきであることが示唆された。・薬物療法を開始する前に、リスクを特定するために臨床検査と詳細な病歴調査が推奨された。また、健康な子供については、ADHD治療開始前にECG検査を行う必要はないことも示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 知的障害者の約半数が向精神薬多剤併用 小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

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