高齢者のうつとペットの意外な関連

高齢者において、うつは大きな問題となる。これまでの研究では、動物と暮らす高齢者のメンタルヘルスが改善することが示されているが、逆の結果も存在する。そこで、ノルウェー・ノルトロンデラグ大学のIngela Enmarker氏らは、ペット非所有・イヌ所有・ネコ所有の高齢(本研究では65歳以上と定義)男女において、自己評価による抑うつ症状を集団研究で比較した。その結果、都会以外でイヌやネコを飼う高齢の男女において、抑うつ症状に違いが認められた。老人ホームのような環境でイヌやネコを利用する場合に、これらの集団研究のデータが使えるかもしれないという。Aging & mental health誌オンライン版2014年7月3日号に掲載。
この横断集団研究には65~101歳の1万2,093人が参加した。そのうち1,083人がネコを、814人がイヌを所有していた。自己評価による抑うつ症状は、自己記入式スケールであるHADS-D(Hospital Anxiety and Depression Scaleにおける抑うつ症状の項目)を用いて測定した。
主な結果は以下のとおり。
・ネコ所有者は、イヌ所有者・ペット非所有者に比べて、HADS-Dの平均値が高かった。
・ペット非所有者は、抑うつ症状を最も低いと評価した。
・抑うつ症状を高評価と低評価に分けた場合、ネコ所有の男性はネコ所有の女性よりも抑うつ症状が低いと感じる可能性が高いことが、ロジスティック回帰分析より示された。
・ペット所有と、一般健康状態・独居・配偶者の有無との相互関係は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)
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