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統合失調症と強迫性障害の関連が明らかに

 統合失調症と強迫症/強迫性障害(OCD)が併存していることは少なくないが、これまで両障害の臨床的および病因学的な関連性はほとんど解明されていなかった。統合失調症と強迫性障害が共有する病因学的因子を調べることは、臨床医、研究者および患者に有用な情報の提供に結びつく可能性がある。デンマーク・オーフス大学のSandra M. Meier氏らは、統合失調症のリスク因子としての強迫性障害について、全国的な調査を行い、同国の強迫性障害の診断が統合失調症および統合失調症スペクトラム障害との関連性が高いことを報告した。著者は、「観察されたリスクの増大は、強迫性障害、統合失調症統合失調症スペクトラム障害がおそらく共通の原因パスウェイ上に位置することを示すものである」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年9月3日号の掲載報告。強迫性障害の既往歴が統合失調症のリスク増大と関連 著者らは、強迫性障害患者は統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の発症リスクが強いのかを評価し、また、強迫性障害の家族歴が統合失調症統合失調症スペクトラム障害のリスク因子であるかを調べた。デンマーク全国レジスターからの個人データを追跡し、総計4,500万人年を対象とした前向きコホート研究を行った。全生存解析は、性別、年齢、暦年、両親の年齢、出生地で補正して行った。主要アウトカムは、強迫性障害の既往歴、統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の最初の診断(病院、外来クリニック、緊急医療部門での精神科による)のリスクで、発生率比(IRR)と95%信頼区間(CI)を算出して相対リスクを評価した。 統合失調症のリスク因子としての強迫性障害についての調査の主な結果は以下のとおり。・検討は、1955年1月1日~2006年11月30日に生まれた総計300万人を対象に行われ、1995年1月1日~2012年12月31日まで追跡した。・同期間中に、統合失調症または統合失調症スペクトラム障害の発症は、3万556例であった。・強迫性障害の既往歴は、後年の統合失調症(IRR:6.90、95%CI:6.25~7.60)、統合失調症スペクトラム障害(同:5.77、5.33~6.22)の発症リスク増大と関連していた。・同様に、両親に強迫性障害の診断歴があることは、統合失調症(同:4.31、2.72~6.43)、統合失調症スペクトラム障害(同:3.10、2.17~4.27)のリスク増大と関連していた。・これらの結果は、精神疾患の家族歴や本人の病歴で補正後も変わらなかった。

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急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学

 順天堂大学の八田 耕太郎氏ら精神科救急医療機関の多施設共同研究グループ(JAST study group)は、統合失調症の急性期患者でリスペリドンまたはオランザピンの早期治療反応不良(ENR)例について、それぞれへの切り替えvs. 追加併用の検討を行った。結果、リスペリドンENR患者でオランザピンへの切り替えは、オランザピン追加併用よりもわずかだが優れる可能性が、一方でオランザピンENR患者ではリスペリドン追加併用がリスペリドン切り替えよりもわずかに優れる可能性が示されたことを報告した。Schizophrenia Research誌2014年9月号の掲載報告。 検討は、精神科救急医療部門で統合失調症の新規入院急性期患者を適格とし、評価者盲検無作為化試験にて行われた。最初に投与した抗精神病薬(リスペリドン[RIS]またはオランザピン[OLZ])について、ENR(Clinical Global Impressions-Improvement[CGI]尺度:2週時点で4以上)であった患者を、もう一方の抗精神病薬を追加併用する群、または切り替える群に無作為に割り付けて検討した(RIS+OLZ vs. RIS-OLZ、OLZ+RIS vs. OLZ-RIS)。 主な結果は以下のとおり。・リスペリドン治療を2週間受けた患者60例のうち、早期治療反応(ER)例は33例、ENRは27例であった。後者の患者のうちRIS+OLZに14例、RIS-OLZに13例が割り付けられた。・あらゆる要因による治療中止までの期間について、RIS+OLZ群(54.1日、95%信頼区間[CI]:41.3~67.0日)は、RIS-ER群(同:68.7日、61.2~76.2日)よりも有意に短かった(p=0.050)。・一方、RIS-OLZ群(同:58.5日、43.1~73.9日)はRIS-ER群と比較し、有意な差はなかった(p=0.19)。・オランザピン治療を2週間受けた患者60例のうち、ER例は36例、ENRは24例であった。後者の患者のうちOLZ+RISに11例、OLZ-RISに13例が割り付けられた。・あらゆる要因による治療中止までの期間について、OLZ-RIS群(56.1日、95%CI:40.7~71.5日)は、OLZ-ER群(同:74.9日、68.5~81.3日)よりも有意に短かった(p=0.008)。・同期間について、OLZ+RIS群(同:64.6日、49.6~79.6日)はOLZ-ER群と比較し、有意な差はなかった(p= 0.20)。 リスペリドンENR患者でオランザピンへの切り替えは、オランザピン追加併用よりもわずかだが優れる可能性が、一方でオランザピンENR患者ではリスペリドン追加併用がリスペリドン切り替えよりもわずかに優れる可能性が示された。結果を踏まえて著者らは、「これら所見のように日常診療を修正することが妥当か、さらなる検討を行う必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは オランザピンによる急性期治療、心血管系に影響 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究C  担当者へのご意見箱はこちら

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ミノサイクリンの投与は統合失調症に本当に有用か:藤田保健衛生大学

 近年、統合失調症患者にミノサイクリンを投与することで精神症状が改善するといわれている。藤田保健衛生大学の大矢 一登氏らは、抗精神病薬による治療を受けている統合失調症患者に対するミノサイクリン増強療法に関する総合的なメタ解析を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2014年8月4日号の報告。ミノサイクリンは統合失調症の精神病理を改善 PubMed、PsycINFO、Google Scholar、Cochrane Library databasesから、2014年6月2日までに公表されたデータを抽出した。ミノサイクリンとプラセボを比較した無作為化比較試験(RCT)から得られた患者データを用い、系統的レビューおよびメタ解析を行った。相対リスク(RR)、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(95%CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・4件のRCT、330例の患者データが抽出された。・ミノサイクリンはプラセボと比較し、PANSS総スコア(SMD:-0.70)、陰性尺度(SMD:-0.86)、総合精神病理尺度(SMD:-0.50)の減少で優れていた。しかし、陽性尺度(SMD:-0.26)、うつ症状(SMD:-0.28)では差が認められなかった。・ミノサイクリンは、すべての原因による中止(RR:1.10)、効果不十分による中止(RR:0.42)、有害事象による中止(RR:1.56)、死亡による中止(RR:3.18)においてプラセボと同等であった。・ミノサイクリンは、錐体外路系副作用のスコアにおいてプラセボよりも優れていた(SMD:-0.32)。 今回の結果から、ミノサイクリンは統合失調症の精神病理(とくに陰性症状)を改善し、忍容性も良好であることが示唆された。■関連記事統合失調症治療に抗炎症薬は有用かテストステロンは統合失調症治療の標的となるか治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学

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効果不十分なうつ病患者、次の一手のタイミングは

 既存治療で十分な効果が得られないうつ病患者に対し使用される、アリピプラゾール。その使用にあたり、どのタイミングで既存治療の効果判定を行い、使用を検討すべきなのかは定められていない。米国・オレゴン健康科学大学のD E Casey氏らは、8週間の抗うつ薬単剤療法で効果不十分な大うつ病性障害(MDD)患者を対象に、アリピプラゾール補助療法の有用性を検討した。International journal of clinical practice誌オンライン版2014年9月6日号の報告。 3つの同様に設計された第III相試験(無作為化二重盲検プラセボ対照試験)の事後解析により、1~3剤の抗うつ薬治療(ADT)で効果不十分なMDD患者におけるアリピプラゾールの補助療法の有効性、安全性の調査を実施した。抗うつ薬単剤療法6週時および8週時における「わずかな改善」は臨床全般改善度(CGI-I)スコア3 、「非改善」はCGI-Iスコア4で定義した。 主な結果は以下のとおり。・ADTで「わずかな改善」がみられた患者におけるエンドポイントの奏効率は、アリピプラゾール補助療法群38.8%、プラゼボ群26.6%であった(p<0.05、NNT=9 [95%CI:4.8~27.7])。また、ADTで「非改善」であった患者では、それぞれ24.0%、10.3%であった(p<0.05、NNT=8 [95%CI:4.4~21.5])。・ADTで「わずかに改善」または「非改善」の患者に対するアリピプラゾール補助療法は、単独治療と比較して、それぞれ早くとも1週間後、2週間後に有意な改善がみられた。・ADTで「わずかな改善」がみられた患者におけるエンドポイントの寛解率は、アリピプラゾール補助療法群34.2%、プラゼボ群21.0%であった(p<0.05、NNT=8)。また、ADTで「非改善」であった患者では、それぞれ16.0%、5.9%であった(p<0.05、NNT=10)。・アリピプラゾール補助療法による最も一般的な有害事象は、アカシジア、焦燥感、不眠であった。 8週間の抗うつ薬単剤療法で「わずかな改善」または「非改善」のMDD患者に対する、アリピプラゾール補助療法は有効であることが示された。関連医療ニュース 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は  担当者へのご意見箱はこちら

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どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出

 てんかん患者のうつ病併発検出には、一般的なスクリーニングツールが用いられているが、現在使用されている尺度について、ゴールドスタンダードによる検証は行われていなかった。カナダ・カルガリー大学のKirsten M. Fiest氏らは、てんかん患者のうつ病併発を見つけるために一般的に用いられている3つのスクリーニング尺度について、検証と新たなカットポイント値の評価を行った。結果、感度が最も高かったのは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)、特異度が最も高かったのはPatient Health Questionnaire(PHQ)-9であったことなどを報告した。Epilepsia誌オンライン版2014年8月28日号の掲載報告。 研究グループは、大都市のてんかん専門クリニックで300例を対象に、質問調査(社会人口統計、有害事象プロファイル)と、3つのうつ病スクリーニングツール(HADS、PHQ-9、PHQ-2)による評価を行った。うつ病評価のためのゴールドスタンダードの構造化臨床面接には、185例が参加。うつ病尺度の診断精度について、種々のスコアリングカット値とうつ病診断のゴールドスタンダードとを比較評価した。 主な結果は以下のとおり。・本集団におけるうつ病有病率は、ゴールドスタンダードでは14.6%であった。・最も感度が高かったのはHADSのカット値6による尺度であった(84.6%)。最も特異度が高かったのは、PHQ-9によるアルゴリズム評価においてであった。・全体的に、PHQ-9のカット値9と、HADSのカット値7が、感度と特異度のバランスが最も良かった(AUCはそれぞれ88%、90%)。・スクリーニング目的には、PHQ-9アルゴリズム評価が理想的である(特異度が最適)。一方で、症例を見つけるにはHADSのカット値6が最良であった(感度が最適)。・これらを踏まえて著者は、「適切な尺度のカット値は、試験目的と入手したリソースに基づき選ぶことが必要である」とまとめている。関連医療ニュース てんかん患者のうつ病有病率は高い てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上  担当者へのご意見箱はこちら

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うつになったら、休むべきか働き続けるべきか

 うつ病を有する就業者について、疾病休業(absenteeism)と継続出勤による労働遂行能力低下(presenteeism)のコストおよび健康アウトカムについて比較した結果、サービス利用費を除くと両者間に有意な差はみられなかったことが示された。ただし、仕事によっては有意性に違いがみられた。オーストラリア・タスマニア大学のFiona Cocker氏らが、マルコフモデルを使用したコホート・シミュレーションの結果、報告した。うつ病で働き続けていてもメンタルヘルス改善は可能だが、集中力の低下や疲労感、仕事中のパフォーマンス低下によるリスクおよびコストをもたらす。しかし、出勤についてエビデンスに基づく推奨はなく、出勤が個人と事業者にもたらす有益性に関するデータは不足していた。PLoS One誌オンライン版2014年9月2日号の掲載報告。 検討では、大うつ病が報告されているオーストラリア人労働者において、一時的な休業vs. 働き続けることのコストと健康アウトカムを比較した。状態変化マルコフモデルを用いたコホート・シミュレーションで、生涯大うつ病を報告した仮定的労働者コホートについて、質の高い疫学データソースおよび既存の臨床論文から見込まれた過去1年と過去5年の間の健康状態の変化をシミュレートした。モデルアウトカムは、健康サービス、雇用に関するコスト、質を調整した生存年(QALY)で、疾病休業者と継続出勤者について算出して比較を行った。また、職業(ブルーカラーvs. ホワイトカラー)で層別化した検討も行った。 主な結果は以下のとおり。・うつ病の従業員当たりでみた1年間と5年間の平均コストは、疾病休業者のほうが継続出勤者よりも高額だった。たとえば5年間の平均コストは、疾病休業者が4万2,573ドル、継続出勤者は3万7,791ドルであった。・しかしながら、信頼区間の重複により、有意差は認められなかった。・雇用関連コスト(生産時間の喪失、離職者)、抗うつ薬コストおよびサービス利用コストは、疾病休業者と継続出勤者とも、ホワイトカラーで有意に高かった。・疾病休業者と継続出勤者との健康アウトカムの差は、ホワイトカラーにおいてのみみられた。・以上を踏まえて著者は、「今回の所見は、仕事に特異的なコストについて初となるエビデンスであった。これを用いて臨床医、従業員、事業者は、うつ病に関連した出勤のマネジメントを検証することが可能である。また、本所見は、従業員に働き続けることを奨励する根拠ともなるだろう」とまとめている。関連医療ニュース 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学  担当者へのご意見箱はこちら

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テストステロンは統合失調症治療の標的となるか

 攻撃的行動と陰性症状は、ホルモンを背景とする統合失調症の二大特徴である。クロアチア・Vrapce大学精神科病院のMirna Sisek-Sprem氏らは、統合失調症患者における陰性症状および攻撃的行動とテストステロン値との関連について検討を行った。その結果、攻撃性の患者ではテストステロン値とこれらパラメータとの間に関連はみられなかったが、非攻撃性の患者ではテストステロン値と陰性症状の重症度が負の相関を示し、興奮、敵意、衝動的行動と正の相関を示すことが判明した。結果を踏まえて、著者は「統合失調症の陰性症状に対して、テストステロンをターゲットとした治療戦略が有用な可能性がある」と示唆している。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年8月25日号の掲載報告。 18~40歳の男性統合失調症患者120例を非攻撃群(60例)と攻撃群(60例)に分け、さらに攻撃群については入院前に明らかになった攻撃のタイプに応じて凶暴(32例)と自殺企図(28例)のサブグループに分けた。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により精神病理学的重症度を、Overt Aggression ScaleおよびColumbia Suicide Severity Rating Scaleにより凶暴性と自殺傾向を評価した。症状を評価した同じ日の朝に血清総テストステロン値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・非攻撃群において、テストステロン値はPANSS陰性症状サブスケールスコア(p=0.04)および抑うつスコア(p=0.013)と負の相関を示し、興奮(p=0.027)、敵意(p=0.02)および衝動的行動(p=0.008)と正の相関を示した。・攻撃群では、これらパラメータおよび凶暴または自殺行動とテストステロン値との間に有意な関連はみられなかった。・テストステロン値が低い非攻撃性の男性統合失調症患者では、陰性症状がより重症であることが確認された。・攻撃性の患者では、テストステロン値と障害あるいは攻撃性の程度やタイプなどの臨床的特徴との間に関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか 双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症患者の感情は損なわれていない

 これまで、統合失調症では感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であった。米国・Nathan Kline InstituteのFabien Tremeau氏らは、統合失調症患者では損なわれているとされる感情の刺激について健常対照との比較を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月23日号の掲載報告。 活動(activity)への意思決定に関与する、さまざまな認知および感情評価において、とくに次の3つの評価、(1)活動そのものへの関心、(2)活動から予想される満足(3)活動を心待ちにしている間の刺激、が重要とされる。これらの活動前評価に加えて、活動後の感情評価が、同じ活動を繰り返すモチベーションに影響を与えるが、これまでの研究において、統合失調症ではこれらの感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であり、研究グループは、健常対照との比較による検討を行った。 具体的には、統合失調症または統合失調感情障害を有する患者と健常対照について、それぞれ別々にごく簡単な認知試験を行い、検査前後の満足、関心、刺激を評価した。 主な結果は以下のとおり。・予想した満足と、認知試験後の満足および関心の評価は、健常対照群よりも患者群が有意に高かった。・刺激については、群間差はみられなかった。・患者群では、予想した満足、試験前の刺激と、うつスコアとの間に負の相関がみられた。また試験前の関心と陰性症状についても負の相関がみられた。・著者は、「統合失調症または統合失調感情障害の被験者が報告した感情評価は、健常対照と比べて同程度かそれ以上であった」とまとめている。・また、「今回得られた所見は、最近の感情研究で示された、統合失調症では満足の経験は損なわれないとの見解と一致するものであった」と述べ、「統合失調症スペクトラム障害における複雑な機能障害をよりよく理解するために、感情と認知プロセスを分けて考える必要があることを強調する結果であった」と指摘している。関連医療ニュース 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学  担当者へのご意見箱はこちら

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SSRI依存による悪影響を検証

 セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)関連依存症の発生が増大しているが、その発生は低率だとみなされており、また多種薬剤依存症患者における実質的な影響は明らかになっていない。緊急救命部門に搬送された多種薬剤依存症患者を対象とした検討から、SRIの曝露が、セロトニン症候群および人工呼吸器装着のリスク増大と有意に関連していることが明らかにされた。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のSebastien Beaune氏らが報告した。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2014年8月22日号の掲載報告。 研究グループは、SRI曝露の影響を評価するため、緊急救命部門に搬送された多種薬剤依存症患者を対象とする検討を行った。同患者のうち、依存薬剤に1種以上のSRIが含まれていた患者と、まったく含んでいなかった適合患者を特定し、年齢、性別、薬剤種類別、摂取用量別に比較した。セロトニン症候群の特色は、Sternbach's基準とHunter'sセロトニン毒性基準の診断基準を用いて、診療録から評価した。 主な結果は以下のとおり。・4年間で、SRI曝露患者148例と適合対照296例が含まれ比較が行われた。・主なSRIは、エスシタロプラム(22%)、ベンラファキシン(20%)、フルオキセチン(19%)、シタロプラム(15%)、パロキセチン(11%)であった。・セロトニン症候群と診断されていたのは1例であった。しかし診療録のレトロスペクティブな評価から、実際にはSRI曝露患者5例での発生が認められた。・また20例(14%)で、セロトニン症候群の基準が1つ以上認められた。・Sternbach's基準を用いた11例、Hunter'sセロトニン毒性基準を用いた9例のうち、少なくとも各2例の医療記録において欠落が認められた。・条件付きロジスティック回帰分析により、SRI曝露患者では、発作(p=0.04)、セロトニン症候群(Sternbach's基準ではp=0.01、Hunter'sセロトニン毒性基準ではp=0.004)の頻度が有意に高いことが示された。・ICUに入室せずとも、人工呼吸器装着の有意な増大がみられた(p=0.03)。・上記の結果を踏まえて著者は、「緊急救命部門に搬送された多種薬剤依存症の患者において、セロトニン症候群の診断は不十分なままであり、診断トレーニングを改善する正当な理由が示された」と提言している。■関連記事セロトニン症候群の発現メカニズムが判明小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況はセロトニン症候群を起こしやすい薬剤は

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変形性膝関節症の痛み、男女差が明らかに

 米国・アイオワ大学のNatalie A Glass氏らは、変形性関節症(OA)およびそのハイリスク患者を対象とした多施設変形性関節症研究MOST(Multicenter Osteoarthritis Study)の解析から、Kellgren-Lawrence(KL)グレードに関係なく女性は男性より膝痛が強く、とくに膝蓋大腿OAで性差が大きいことを明らかにした。また、膝痛の性差には広範痛(widespread pain:WSP)が大きく影響しており、中枢性痛覚過敏の関与が示唆されたという。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年8月号(オンライン版2014年7月4日号)の掲載報告。 研究グループは、X線学的変形性膝関節症(膝OA)が同等の場合、男性より女性のほうが膝痛の重症度が大きいかどうかを調べることを目的とした。 対象は、膝関節置換術または最近ステロイド注射を行っていない膝OA患者2,712例(60%が女性)であった。 一般化推定方程式を用い、年齢、鎮痛剤の使用、BMI、施設、併存疾患、うつ病スコア、教育、人種および広範痛(WSP)について調整後または未調整時の、疼痛強度(視覚アナログスケール[VAS]および西オンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数[WOMAC]による)の性差をKLグレードごとに評価した。 主な結果は以下のとおり。・VASスコアは、すべてのKLグレードで未調整時(効果量[d]=0.21~0.31、p<0.0001~0.0038)およびWSPを除く全共変量で調整後(d=0.16~0.22、p<0.0001~0.0472)も、女性が大きかった。・VASスコアの性差はWSPで調整すると減少したが、KLグレードが≦2(p=0.0015)および2(p=0.0200)で有意であった。・WSPなしと比較して有りの場合、全KLグレードで膝痛が有意に大きかった(d=0.32~0.52、p<0.0001~0.0008)。・VASスコアの性差は各KLグレードにおいて膝蓋大腿OA患者で大きく(d=0.45~0.62、p=0.0006~0.0030)、共変量で調整後も全KLグレードで有意差がみられた(d=0.31~0.57、p=0.0013~0.0361)。・WOMACによる評価でも結果は同様であった。

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今後、精神科医療でも配合剤は増えるのか

 精神科における薬物療法では、併用療法が多く用いられているにもかかわらず、配合剤は一般的に利用されていない。スタッフォードシャー大学のSaeed Farooq氏らは、臨床での配合剤の使用および有効性のエビデンスを検討した。Journal of psychopharmacology誌オンライン版2014年8月22日号の報告。 主要なデータベースの系統的な検索から、9つの二重盲検ランダム化比較試験を抽出した。これらの試験より、単一製剤と配合剤を比較した15の結果が得られた(プラセボ比較を含む)。これらの試験における全症例数は2,827例であった(配合剤群:976例、比較群:1851例)。2試験を除き、用いられた配合剤は1種類であった(オランザピンとフルオキセチン[OFC])。 主な結果は以下のとおり。・すべての配合剤による治療は、単剤治療よりも優れていた。うつ症状改善の標準化平均差(SMD)は-0.29 [CI:-0.43~-0.14]であった(p<0.001)。・サブグループ解析では、双極性うつ病に対しOFC配合剤は単剤治療よりも優れていた(SMD:-0.32 [CI:-0.45~-0.19] 、p<0.001)。また、治療抵抗性うつ病でも同様であった(SMD:-0.29 [CI:-0.49~-0.08]、p<0.005)。・しかし、境界性パーソナリティ障害や大うつ病性障害では有意差は認められなかった。 配合剤は有効性および治療アドヒアランスの向上において、重要なメリットをもたらすことが示唆された。しかし、精神医学においては固定用量配合剤の研究開発には制限がかかると考えられる。関連医療ニュース SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は  担当者へのご意見箱はこちら

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ブロナンセリンの薬理学的メカニズムを再考する

 ブロナンセリンはセロトニン5-HT2A受容体よりもドパミン-D2/3受容体に対し高い親和性を示し、その他のセロトニン5-HT2A/ドパミン-D2受容体アンタゴニストと薬理作用が若干異なる。名城大学の肥田 裕丈氏らは、統合失調症動物モデルを用いてブロナンセリンの視覚認知ならびに記憶障害に対する作用とその分子メカニズムを検討した。その結果、ブロナンセリンはフェンシクリジン(PCP)に誘発される視覚認知と記憶の障害を改善すること、その背景にはドパミンD3受容体とセロトニン5-HT2A受容体の両方の阻害が関わっていることを示唆した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年8月14日号の掲載報告。 本研究では、統合失調症動物モデルの認知障害に対するブロナンセリンの作用におけるドパミン-D3受容体の関与を検討した。さらに、その背景にある分子メカニズムを明らかにするため検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・ブロナンセリンはオランザピンと同様、新奇物体認識試験(NORT)および内側前頭前皮質(mPFC)における細胞外ドパミン濃度増加などの所見によって証明されるように、PCPに誘発される視覚認知と記憶の障害を大きく改善した。・DOI(セロトニン5-HT2A受容体アゴニスト) および7-OH-DPAT(ドパミンD3受容体アゴニスト)は、ブロナンセリンの作用と拮抗した。・一方、オランザピン投与時、DOIはその作用と拮抗したが、7-OH-DPATは拮抗作用を示さなかった。・ブロナンセリンによる改善効果は、SCH23390(ドパミンD1受容体アンタゴニスト)およびH-89(プロテインキナーゼA[PKA]阻害薬)によっても拮抗された。・PCP投与マウスについてNORTを実施したところ、ブロナンセリンはmPFCにおけるPKAを介して、Thr197におけるPKAのリン酸化減少、およびSer897におけるNR1(N-メチル-d-アスパラギン酸[NMDA]受容体の必須サブユニット)のリン酸化減少を有意に是正した。・いずれの群においても、Ser896におけるPKCによるNR1リン酸化レベルに差はみられなかった。・以上より、PCP誘発性認知障害に対するブロナンセリンの改善作用は、mPFCにおいてドパミン-D3受容体とセロトニン5-HT2A受容体の両方を阻害することにより、ドパミン作動性神経伝達に続くドパミン-D1-PKA-NMDA受容体伝達経路の機能に対する間接的な刺激と関連していることが示唆された。■関連記事セロトニン症候群の発現メカニズムが判明統合失調症患者への抗精神病薬、神経メカニズムへの影響は抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与かセロトニン症候群を起こしやすい薬剤は

2173.

統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKenneth L. Subotnik氏らは、新規発症の統合失調症の陽性および陰性症状に対する、第二世代抗精神病薬のアドヒアランスの影響について調べた。その結果、高い服薬アドヒアランスは陰性症状レベル低下と関連しており、これは陽性症状との関連性で説明しうる、とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。 検討は、初回エピソード統合失調症患者で、12ヵ月にわたり第二世代経口抗精神病薬リスペリドンの投与を受けた64例を対象に行われた。症状について、陰性症状評価尺度(SANS)と陽性症状評価尺度(SAPS)を用いて3ヵ月ごとに評価を行い、治療期間(12ヵ月)中3ヵ月ごとに、服薬アドヒアランスと症状の相関性をピアソン係数で調べ、考えられる相関要因について交差的時間差パネル分析で推論を行った。 主な結果は以下のとおり。・予想どおり、抗精神病薬服用アドヒアランスが高いほど、同時にみられる現実歪曲(SAPSの妄想および幻覚項目の平均値)のレベルは概して低かった。・3ヵ月間のベースライン期間におけるアドヒアランスが高いと、最初の1年間の外来時における意欲消失-無気力および会話能力低下のレベルは概して低かった。・しかしながら服薬アドヒアランスと、意欲消失-無気力および会話能力低下との有意な関連は認められなかった。・相関係数に基づく交差的時間差パネル分析により、初期の服薬アドヒアランスと会話能力レベル低下との因果関係が明らかになった。・検証試験の結果、現実歪曲を介した間接的経路により、服薬の非アドヒアランスと会話能力低下との関係性が確認された。 これらの所見は、第二世代抗精神病薬の陰性症状に対する効果は、陽性症状の低下を介してもたらされている可能性を示唆するものである。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか  担当者へのご意見箱はこちら

2174.

せん妄、意思決定能力が高齢がん患者の問題

 2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、名古屋市立大学 明智龍男氏は「高齢者がん治療の問題点~精神症状の観点から」と題し、高齢がん患者が抱える精神症状と、それらが及ぼす影響について紹介した。せん妄が多い高齢がん患者の精神症状 高齢がん患者の精神症状は、3つのDと呼ばれる、Delirium(せん妄)、Dementia(認知症)、Depression(抑うつ状態)の頻度が高い。米国の研究結果では、無作為抽出された全病期のがん患者のうち47%に精神科的診断がついた。がん終末期における本邦の研究でも米国のデータと同様、がん患者の半数に精神科的診断がついている。その内訳は、せん妄が28%と最も多く、次いで、認知症、適応障害、うつ病である。 がんの経過と精神症状の関連をみると、診断後はうつ状態が現れ、治療に伴い術後せん妄も認められる。再発進行のイベントとともにうつ病の頻度は高くなり、身体症状の悪化とともに多くの患者がせん妄を経過して亡くなる。一方、認知症は、がんの経過と関係なく加齢とともに増加する。精神症状がもたらすさまざまな影響 せん妄は、特殊な意識障害をもたらし多様な影響を及ぼす。転倒・転落、ドレーン自己抜去など医療事故の原因ともなり、家族とのコミュニケーション障害も現れる。入院の長期化、医療スタッフの疲弊といった医療側の問題にもつながる。せん妄は以前、一過性の病態といわれていたが、最近では一部の患者において永続的な影響を残す可能性が示唆され始めた。 認知症は後天的な知的機能の低下を来すことで自律的意思決定が障害され、薬の飲み忘れなど治療アドヒアランスの低下などを引き起こす。さらに、認知症を合併した患者は、非合併患者に対して生存期間が短いとの報告がある。 うつ病・うつ状態は、がん患者においても自殺の最大の原因である。がん診断時からの期間とうつ病合併患者の自殺の相対危険度をみた海外の大規模観察研究では、がん患者の自殺は診断から1週間以内が最も多い。その相対危険度は非うつ病患者の12.6倍であった。また、自殺の問題だけでなく、術後補助療法の拒否が多いなど、うつ病患者では治療アドヒアランスへの低下も報告されている。課題となる高齢がん患者の意思決定能力障害 インフォームド・コンセントが成立するためには、選択の表明、情報の理解、選択と結果の理解、思考過程の合理性といった意思決定能力が患者に担保されていることが前提条件となる。一方、がん患者では、意思決定能力の問題を抱えていることが多い。 腫瘍精神科に意思決定能力評価を依頼されたがん患者を調べた国立がん研究センターのデータでは、依頼された患者の51%に意思決定能力に障害がみられた。これら患者の精神科診断は多岐にわたるが、実際に意思決定能力の障害があった患者は、せん妄と認知症が多くを占めた。逆に、それ以外の患者では能力は保たれており、意思決定能力は精神科診断だけでは判断できないことがわかった。 高齢がん患者では、せん妄、認知症、うつ病といった精神症状が高頻度に起こり治療に影響を及ぼす。また、意思決定能力を障害されている患者が多数存在しインフォームド・コンセントにも影響を及ぼす。これら患者の治療を適切に行うためには、CGA(Comprehensive Geriatric Assessment:高齢者総合的機能評価)などの総合的評価が重要になっていくであろう。

2175.

ALS、前頭側頭型認知症に小脳の萎縮が関与

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭型認知症(bvFTD)は、認知・神経精神学的症状および運動症状が重複して現れる多系統の神経変性疾患である。この10年の間、認知および神経精神症状の発現過程に小脳の構造が関連するというエビデンスが示されているものの、長い間、小脳は正常な運動機能に重要なものとして知られてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRachel H. Tan氏らは、ALSとbvFTD患者の小脳領域の状況を明らかにし、特定の小脳萎縮領域が、両疾患に重複してみられる認知症状、神経精神および運動症状と関連しているか否かを検討した。その結果、ALS-bvFTDスペクトラムに小脳が重要な役割を担っており、ALS、ALS-bvFTD、bvFTDという3つの表現型すべてにおいて、それぞれが呈する症候と関連する小脳領域の萎縮が認められることを報告した。PLoS One誌オンライン版2014年8月21日号の掲載報告。 研究グループは、ALS-bvFTD患者の小脳領域の状況を明らかにし、特定の小脳萎縮領域が認知、神経精神および運動症状と関連しているか否かを把握するため検討を行った。ALS、ALS-bvFTD、bvFTDと診断された78例(大半はC9ORF72遺伝子異常なし)と健常対照を対象とし、認知、神経精神および機能の評価とともに、小脳小葉、小脳虫部、小脳脚の灰白質区域に関してvoxel-based morphometry(VBM)を用いた画像検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・VBM解析により、ALS-bvFTD患者全体を通して小脳に有意な灰白質萎縮が認められた。・bvFTD患者では、上小脳脚において萎縮が優勢であった。・ALS患者では、下頭頂小脳と小脳虫部において萎縮が優勢であった。・ALS-bvFTD患者では、両方のパターンの萎縮が確認された。・Post-hoc共分散分析により、認知および神経精神症状はとくに小脳脚および上小葉の萎縮と関連していること、一方、運動症状は下頭頂小葉の萎縮とより関連していることが示された。・以上より、ALS-bvFTDスペクトラムに小脳は重要な役割を担っていることが示唆された。また、3つの表現型すべてがそれぞれの症候と関連する小脳領域の萎縮パターンを呈した。関連医療ニュース 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに 抗精神病薬が脳容積の減少に関与か 認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学  担当者へのご意見箱はこちら

2176.

双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは

 精神疾患入院患者において、退院後に自殺リスクが顕著に高まることは報告されている。しかし、双極性障害患者における自殺リスク、時間経過との関連やリスク因子については明らかにされていなかった。研究グループは、双極性障害のタイプ別にどのようなパターンがみられるかを調べた。フィンランド・ヘルシンキ大学のErkki Isometsa氏らによる研究。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年7月24日号の掲載報告。 全国レジストリに基づき、1987~2003年にフィンランドの精神科病院から退院した全双極性障害患者5万2,747例を特定し、退院後の状態または自殺について追跡した(466例)。1995~2003年の退院者(3万5,946例)については、退院直後120日間の因子修正自殺リスクを調べた(129例)。 主な結果は以下のとおり。・自殺リスクの時間的パターンは、疾患タイプで異なっていた。うつ症状を伴うタイプの場合、退院後のリスクは最も高かったが急落が認められた。混合状態の場合は、リスクはそれほど高くなく、時間とともに低下した。躁状態を伴う場合のリスクは低く、相対的に安定していた。・Coxモデルにおいて、双極性うつ病で入院した患者(9,635例)の退院後の自殺(65例)について、自殺企図で入院した患者のハザード比は8.05(p=0.001)、男性患者のハザード比は3.63(p<0.001)であった。一方、リチウム服用患者は0.186(p=0.001)であった。・躁病エピソード(28例)または混合エピソード(20例)の退院後の自殺は、それぞれ、男性であることおよび過去の自殺企図によって予測された。・以上のように、双極性障害の退院後の自殺リスクは、抑うつエピソードによる入院患者において高く、時間経過との関連が強かった。また混合エピソードでは、自殺リスクは高くなかった。・「自殺企図のエピソードがあること」および「男性」は、自殺リスクの強い予測因子であった。・抑うつエピソードを伴うリチウム服用患者の退院後の自殺率は低く、同薬について予防的効果があることが示された。関連医療ニュース 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか 双極性障害の自殺予防に求められるのは 双極性障害へのDBT追加療法、自殺念慮の改善も  担当者へのご意見箱はこちら

2177.

統合失調症患者へのインフォームド・コンセント、有効な方法は

 研究の際のインフォームド・コンセントは、一般集団ですら取得が困難なことがあり、複雑な問題を抱えている。この問題は、統合失調症患者において最も大きい可能性がある。フランス・リール第1大学のT. Fovet氏らは、統合失調症患者を対象とした研究に際してのインフォームド・コンセントについて文献レビューを行った。その結果、統合失調症患者の同意に対するキャパシティは、健常人と比較して低下しているが、適切な介入により同意を得られやすい状態にもっていける可能性を示唆した。Encephale誌オンライン版2014年8月12日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症患者を含む研究に際するインフォームド・コンセントについて、関連する文献の適用可能なデータをまとめることを目的とした。MedlineおよびGoogle Scholarにより、MESH用語(統合失調症、インフォームド・コンセントおよび研究)を検索した。  主な結果は以下のとおり。・MacCAT-CRなどのきわめて標準的なスケールを用いた研究により、統合失調症患者の同意に対するキャパシティは健常人と比較して低下していることが示された。・統合失調症が多様な障害であることを考慮すると、最低レベルの見識は重度の認知症状と同様に、同意に対するキャパシティがより障害されていると思われた。・こうした理解力と研究への同意に対するキャパシティの欠乏は、意思決定の変更と関連することが示された。・これらの特別な患者に対しては、介入により、同意へのキャパシティ向上につながる可能性があった。さまざまな戦略として、同意書の質向上、十分なディスカッション、テスト/フィードバック法、またはマルチメディアによる介入などが示された。・それらの中で、コミュニケーションならびに成長しつつある分野、すなわち情報テクノロジー(たとえばweb をベースとしたツール)に着眼したものは有望だと思われた。・最終的には、家族および患者の連携(French Association UNAFAMのような)により、患者が研究プログラムに安全な状態で参加しやすい状況にもっていける可能性が示唆された。・最適かつ個別化した介入を明らかにするため、さらなる研究が求められる。関連医療ニュース 他の精神科医は薬剤の選択基準をどこに置いているのか 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大  担当者へのご意見箱はこちら

2178.

統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法

 統合失調症患者に対する認知療法としてのメタ認知トレーニング(MCT)は、抗精神病薬治療の効果を上回る妄想減少の持続的効果があることが示された。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのSteffen Moritz氏らが無作為化試験の結果、報告した。MCTは妄想に関する認知バイアスをターゲットとする介入だが、さらに3年時点では自尊心やQOL改善といった、予期しない“スリーパー”効果などもみられたという。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症へのMCT介入の長期効果を調べるため、2施設での無作為化対照並行群間比較試験を行った。試験は、評価者については盲検化された。DSM-IVに基づく統合失調症スペクトラムと診断され、抗精神病薬の処方を受けていた入院・外来患者(150例)を登録し、MCT(介入群)vs. 神経心理トレーニング(COGPACK、対照群)について最大16セッションの介入を行い検討した。被験者は、介入後も3年にわたりフォローアップ評価を受けた。主要評価項目は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)で測定した妄想スコアとした。副次評価項目には、PANSSの陽性スコア、総スコア、Psychotic Symptom Rating Scales(PSYRATS)、結論判断バイアス、自尊心、QOLなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・3年時点でのintention-to-treat解析の結果、MCT介入群は対照群と比べて、PANSS妄想スコアが有意に大きく低下した(η2partial=0.037、p=0.05)。・副次評価においても、intention-to-treat解析の結果、MCT介入群は対照群と比べて、PANSSの陽性スコア(η2partial=0.055、p=0.02)、PSYRATS妄想スコア(η2partial=0.109、p=0.001)で有意に大きなスコアの低下がみられた。・なお、注意スコアの改善は、介入群と同様にCOGPACK(対照群)でも認められた。・結論判断バイアスの改善はみられなかったが、自尊心と安寧に対する効果が認められた。関連医療ニュース 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか 境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか

 認知障害および認知症に対するイチョウ葉エキスの有益性および有害事象については、長年にわたって議論の的となっている。中国海洋大学のMeng-Shan Tan氏らは、認知障害および認知症に対しイチョウ葉エキス(EGb761)の有効性および有害性についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、同240mg/日の22~26週投与により、認知、機能、行動の低下および全般的な低下を、阻止あるいは遅らせうることが、とくに神経精神症状を伴う患者で示されたと報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年8月11日号の掲載報告。 2014年3月の時点でMEDLINE、EMBASE、Cochraneなどの関連データベースを、EGb761に関する無作為化試験(認知障害および認知症患者への治療として検討)を適格として検索し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした試験は、9件であった。試験期間は、22~26週間で、合計2,561例の患者が含まれていた。・メタ解析の結果、認知に関する変化スコアの加重平均差は、プラセボと比較してEGb761群で良好であった(-2.86、95%信頼区間[CI]:-3.18~-2.54)。・また、日常生活動作(ADL)に関する変化スコアの標準平均差も、同様にEGb761群で良好であった(-0.36、95%CI:-0.44~-0.28)。・Clinicians' Global Impression of Change(CGIC)尺度に関するプラセボとのPeto法オッズ比(OR)は、統計的に有意な差がみられた(OR 1.88、95%CI:1.54~2.29)。・これらすべての有益性は、主にEGb761用量が240mg/日で認められた。・神経精神症状を伴う患者のサブグループ解析では、全体グループと比べてEGb761の240mg/日投与は、認知機能、ADL、CGICおよび神経精神症状の改善が、統計的に優れていることが示された。・アルツハイマー型認知症群の解析では、全体グループと比べて主なアウトカムはほとんど同等で統計的な優越性はみられなかった。・安全性のデータから、EGb761の安全性について重大な懸念はないことが示された。関連医療ニュース 認知症にスタチンは有用か 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか 統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か  担当者へのご意見箱はこちら

2180.

6分間歩行で統合失調症患者の身体評価

 フランス・モンペリエ第1大学のP. Bernard氏らは、統合失調症患者を対象とした研究での6分間歩行試験(6MWT)の意義について、システマティックレビューにて評価を行った。その結果、統合失調症患者が6分間に早歩きできる距離(6MWD)は健常成人と比べ概して短いこと、BMIが高値、喫煙量が多い、高用量の抗精神病薬服用、身体的な自己認識が低いことと負の関係にあることなどを報告した。そのうえで著者は、統合失調症患者の身体的健康モニタリングに6MWTが使用可能であるとし、「今後の研究において、その予測因子としての役割を検討するとともに、その測定特性の評価を継続すべきである」と述べている。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2014年8月7日号の掲載報告。 6MWTは、6MWDを測定する亜最大運動負荷試験である。研究グループは、介入効果を測定する際の6MWTの適合性を評価し、統合失調症患者の6MWDを一般集団およびマッチさせたコホートと比較、また6MWD決定要因の特定、6MWTの測定特性や品質手順などを調査した。5つのデータベースを用いて、2013年8月に公表されたフルテキスト文献をシステマティックレビューした。 主な結果は以下のとおり。・16件の研究が選択された。・6MWDの有意な増加を報告した介入研究がなかったため、介入の影響を測定する際の6MWTの適合性については評価を行わなかった。・成人統合失調症患者の歩行距離は、健常成人と比較して全般的に短いようであった。・レビュー対象となった研究の平均6MWDは、421~648mの範囲にあった。・統合失調症患者において、通常、6MWDはBMI高値、喫煙量が多い、高用量の抗精神病薬、低い身体的自己認識と負の関係にあった。・6MWTの信頼性は高かったが、これまで、その基準の妥当性について検討されていなかった。・ガイドラインが存在するにもかかわらず、レビュー対象の研究で用いられていた6MWTの方法には大きなばらつきがあった。・将来、統合失調症患者に対して推奨される身体的健康モニタリングに6MWT を含めるべきであることが示唆された。・6MWTはリハビリテーションに影響を及ぼし、統合失調症患者における機能的運動能力を評価するものであった。・治療介入の影響を6MWTで測定した患者は確認できなかった。・以上の結果を踏まえて著者は、「臨床医は、統合失調症における機能的運動能力を考える際、過体重、抗精神病薬の使用、身体に関する自己認識などを考慮に入れるべきである。また、重篤な精神疾患患者に6MWTを施行する際には、米国胸部学会などによる国際標準に従うべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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