糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:15

水分摂取を増やすと肥満や腎結石以外にも有効な可能性

 1日の水分摂取量に関しては、公的な推奨がいくつかされているもののそれを裏付けるエビデンスは明確ではなく、水分摂取量を変更することによる利点は十分に確立されていない。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNizar Hakam氏らが実施したシステマティックレビューの結果、エビデンスの質と量は限定的であるものの、少数の研究で1日の水分摂取量の増加が体重減少や腎結石予防に有益であることが示され、また、単一の研究では片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。JAMA Network Open誌2024年11月25日号掲載の報告。

IL-6が新規診断2型糖尿病患者の肥満関連がんリスク予測に有用

 新たに2型糖尿病と診断された患者における肥満関連がんリスクの評価に、インターロイキン-6(IL-6)が有用だとする、ステノ糖尿病センター(デンマーク)のMathilde Dahlin Bennetsen氏らの研究結果が、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表された。  2型糖尿病は、肥満関連がんのリスク増大と関連のあることが知られている。この関連には、2型糖尿病と肥満の双方に共通するリスク因子である、軽度の慢性炎症が関与している可能性が想定されている。脂肪組織はIL-6や腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などの炎症性サイトカインを放出しており、そのため肥満に伴い軽度の慢性炎症が生じ、これが発がんリスク上昇に寄与すると考えられている。IL-6とTNF-αはともに炎症の初期に産生が高まるサイトカインだが、これらとは別の炎症マーカーとして臨床では高感度C反応性タンパク質(hsCRP)が広く用いられている。hsCRPは直接的には発がんメカニズムに関与せずに、全身の炎症レベルを反映する。Bennetsen氏らは、これらの三つの異なる炎症マーカーが、新規診断2型糖尿病患者の肥満関連がんの予測バイオマーカーになり得るかを検討した。

新薬muvalaplin、心血管リスク患者のリポ蛋白(a)を大幅減少/JAMA

 心血管イベントのリスクが高く、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者において、プラセボと比較して経口低分子リポ蛋白(a)阻害薬muvalaplinは、12週間の投与でリポ蛋白(a)を大幅に減少させ、忍容性も良好であることが、オーストラリア・モナシュ大学のStephen J. Nicholls氏らが実施した「KRAKEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年11月18日号で報告された。  KRAKEN試験は、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者におけるmuvalaplinのリポ蛋白(a)抑制効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2022年12月~2023年11月に日本を含む8ヵ国43施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか? ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。

時間制限食でメタボ該当者のHbA1cが有意に低下

 メタボリックシンドローム(MetS)該当者の食事療法に時間制限食を用いることで、標準的な食事療法よりもHbA1cが有意に低下したとする研究結果が報告された。米ソーク生物学研究所のEmily N.C. Manoogian氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月1日掲載された。  時間制限食(time-restricted eating;TRE)は、1日の中でエネルギー量のある飲食物を摂取可能な時間帯を限定し、少なくとも14時間以上はエネルギーを摂取しないという食事療法。一方、摂取を禁止する時間帯以外はエネルギー量を考えず自由な飲食が可能で、総摂取量の増大が許容されることもある。この手軽さから人気が高まりつつあり、また減量や心代謝関連マーカーの改善につながるとする研究報告が増えているものの、まだ評価は確立されていない。

世界の糖尿病罹患率、日本の女性が低下し世界最低群に/Lancet

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのBin Zhou氏らNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)は、200の国と地域における1990~2022年の糖尿病の罹患率と治療動向を調べ、ほとんどの国、とくに低所得国と中所得国では、罹患率の上昇に比べて糖尿病治療率(糖尿病治療薬を使用している患者の割合)はまったく増えていないか、十分には増えていないことを示した。糖尿病はプライマリケアレベルでの検出が可能で、また効果的な治療により合併症リスクを低減できるが、糖尿病治療の実態と、それがどのように変化しているのかについて十分なデータはなかった。Lancet誌2024年11月23日号掲載の報告。

運動習慣のある人でも座りすぎは心臓に良くない

 座っている時間が長いと、たとえ推奨される最低限の運動を行っていたとしても、心臓に悪い影響が生じることを示唆するデータが報告された。ただし、より高強度の運動を加えることで、そのリスクをある程度抑制できる可能性があるという。米コロラド大学ボルダー校のChandra Reynolds氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に9月11日掲載された。同氏は、「仕事の後に少し歩く程度では、心臓の健康にとって十分ではないかもしれない」と述べている。  この研究は、米国コロラド州で行われている二つの疫学研究の参加者1,327人(平均年齢33.2±4.9歳〔範囲28~49〕、女性53%)を対象に行われた。研究参加者の年齢が比較的若いことに関連して、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学リバーサイド校のRyan Bruellman氏は、「若者は自分には加齢の影響が生じ始めていると全く考えていないことが多い。しかし後々の健康にとっては、人生のこの時期に何をするかが重要だ」と語っている。

CKDステージ3への尿酸降下薬、尿酸値6未満達成でCKD進展抑制か

 高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)患者で高頻度にみられる。高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸低下療法については、『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』では、腎機能を抑制する目的に尿酸降下薬を用いることが条件付きで推奨されている。また、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、保存期CKD患者に対する尿酸低下療法について、「腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮してもよい」とされている。しかし、CKD患者における血清尿酸値の管理目標に関する無作為化比較試験は存在しない。

ビタミンDサプリで肥満高齢者の血圧低下

 高齢の肥満者がビタミンDサプリメントを摂取すると、血圧を下げられる可能性のあることが報告された。ただし、推奨される量よりも多く摂取したからといって、上乗せ効果は期待できないようだ。ベイルート・アメリカン大学医療センター(レバノン)のGhada El-Hajj Fuleihan氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に11月12日掲載された。  ビタミンDレベルが低いことが高血圧のリスクと関連のあることを示唆する研究報告があるが、その関連を否定する報告もあり、結論は得られていない。これを背景としてFuleihan氏らは、ビタミンDレベルが低下していて、血圧が高いことの多い肥満高齢者を対象とするランダム化比較試験を行った。

自覚症状に乏しい糖尿病性腎症に早く気付いて/バイエル

 バイエルは、11月14日に「糖尿病の日」に合わせ、糖尿病と合併症に関する啓発イベントを開催した。イベントでは、糖尿病専門医による糖尿病に関するプレスセミナーとお笑いコンビ「ガンバレルーヤ」をゲストに迎えての市民向けの疾患啓発が行われた。  「糖尿病と合併症ってどんな病気? 患者さん中心の医療について考える」をテーマに坊内 良太郎氏(国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター/糖尿病内分泌代謝科)が、糖尿病の病態、診療、合併症を抑えるポイントを解説した。