循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:354

心カテの閉塞性CAD診断率、北米の2州で大きな差/JAMA

 米国・ニューヨーク州の待機的心臓カテーテル検査による閉塞性冠動脈疾患(CAD)の診断率は、カナダ・オンタリオ州に比べ約15%も低いことが、臨床評価科学研究所(トロント市)のDennis T Ko氏らの検討で示された。同氏は「検査対象に含まれる低リスク例の差が原因」と推察している。同検査は、医療コストや診断効率の観点から、対象をより絞り込むべきとの意見がある一方で、重症CAD患者の同定に問題が生じたり、血行再建術が有効な患者を見逃す危険が指摘されている。同氏らはすでに、人口当たりの検査数はニューヨーク州がオンタリオ州の2倍に上り、これは疾病負担や選択基準の違いで説明可能なことを報告しているが、根本的な原因はわかっていなかった。JAMA誌2013年7月10日号掲載の報告。

CO、PM2.5による大気汚染で心不全増加/Lancet

 大気中の特定のガス状物質や粒子状物質と、心不全による入院や死亡リスクとの関連が、英国エジンバラ大学のAnoop S V Shah氏らの検討で明らかとなった。心不全の有病率は加齢とともに上昇し、罹患者は世界で2,300万人以上に上ることから、公衆衛生学上の課題として浮上している。一方、WHOの推算では、世界で毎年100万人以上の死亡に大気汚染が影響を及ぼしている。大気汚染への急性曝露と心筋梗塞との関連が知られているが、心不全に対する影響はこれまで不明であった。Lancet誌オンライン版2013年7月10日号掲載の報告。

急性VTEへのアピキサバン投与、従来レジメンと非劣性で出血リスクは低下/NEJM

 急性静脈血栓塞栓症(VTE)へのアピキサバン(商品名:エリキュース)投与は、従来レジメンによる治療法と比べ、症候性VTE再発やVTE関連の死亡について非劣性が認められ、出血リスクも半減することが示された。イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らによる、5,000例超を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2013年7月1日号で発表した。

ACSに対する早期侵襲的治療vs.保存的治療/BMJ

 急性冠症候群(ACS)患者に対し、早期侵襲的治療は保存的治療と比較して、わずかだが急性腎損傷(AKI)リスクを増加することが示された。透析および末期腎疾患(ESRD)進行リスクについては差はなかった。カナダ・カルガリー大学のMatthew T James氏らによる傾向マッチコホート研究の結果、報告された。先行研究において、侵襲的治療後のAKIがESRDや死亡を含む有害転帰と関連していることが示されており、そのため高リスクの腎臓病を有するACS患者に対しては、早期侵襲的治療が行われない一因となっていた。しかし、腎臓の有害転帰との関連について早期侵襲的治療と保存的治療とを比較した検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年7月5日号掲載の報告より。

在宅歩行運動療法、PAD患者の身体機能を改善/JAMA

 集団認知行動療法による患者の動機づけに基づく在宅歩行運動療法が、末梢動脈疾患(PAD)患者の身体機能の改善に有用なことが、米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校のMary M McDermott氏らが実施したGOALS試験で示された。下肢PAD患者の身体機能障害の治療法はほとんどなく、監視下トレッドミル運動療法はその有効性が確認されているものの、通常は医療保険の対象外であったり、施設へ通う必要があるなどの問題がある。在宅歩行運動療法も有望視されているが、最近の無作為化試験の結果は一貫性がなく、現行のACC/AHA(米国心臓病学会/米国心臓協会)やTASC(Trans-Atlantic. Inter-Society Consensus)の診療ガイドラインはこれを推奨するエビデンスは十分でないとしている。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

BNPスクリーニング+共同ケア、左室機能障害を予防/JAMA

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)によるスクリーニングプログラムに、プライマリ・ケア医と心血管専門医による共同ケアを組み合わせるアプローチが、高リスク集団における左室機能障害や心不全の予防に有用なことが、アイルランド・セントビンセント医療グループ/セントマイケル病院のMark Ledwidge氏らが行ったSTOP-HF試験で示された。リスク因子への介入を中心とする現在の心不全予防戦略は、期待されたほど効果的ではないとの指摘があるという。一方、初発心不全リスクが最も高い集団の同定には、リスク因子とBNP検査を組み合わせて対象をさらに限定するサーベイランス(targeted surveillance)がより効果的である可能性が示唆されている。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

テレモニタリング+薬剤師による管理で血圧改善/JAMA

 患者の自宅からの家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療の有用性が、米国・HealthPartners Institute for Education and Research(ミネアポリス市)のKaren L Margolis氏らが行ったHyperLink試験で確認された。多くの有効な治療薬が開発されているにもかかわらず、米国では血圧が推奨値以下に管理されている成人高血圧患者は約半数にとどまる。最近の系統的レビューは、血圧の改善には診療体制を再編し、医師以外の医療従事者の主導で降圧治療の調整を行う必要があると結論づけており、遠隔治療と看護師、薬剤師主導のチーム医療を組み合わせた介入の有効性を示唆する研究結果もあるという。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

中心静脈カテーテルの末梢静脈挿入は静脈血栓症のリスクとなるか?(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(109)より-

 末梢静脈挿入の中心静脈カテーテルは増加している。理由としては、挿入が容易であること、使用法の多様性、対費用効果が高いことが挙げられる。欧米では看護師により挿入できることがコスト削減になっていると推察される。静脈血栓症は、費用、罹患率・死亡率も増加する重大な合併症で、発症率が1~38.5%と報告されている。しかし末梢静脈挿入とその他との相対危険度は解明されていない。