循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:334

ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連~39報のメタ解析

 これまで、ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連していることがいくつかの研究で示唆されているが、逆の研究結果も報告されており、関係は十分に確立されていない。今回、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の西村 邦宏氏らの研究チームは、ベジタリアンの食事パターンと血圧との関連を検討した介入研究と観察研究を系統的に検索し、メタ解析を実施した。その結果、肉類の摂取を制限し、野菜、大豆を中心とした豆類、豆腐、精製していない全粒穀物などの植物性の食品を中心とするベジタリアン型の食事摂取と血圧降下とが関連していることが明らかになった。このことより、高血圧に対する非薬物療法のひとつとして、ベジタリアンの食事パターンが有効である可能性が示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2014年2月24日号に掲載。

アブレーションは発作性心房細動の第一選択になりうるか/JAMA

 未治療の発作性心房細動(AF)患者に対する高周波アブレーションvs. 抗不整脈薬治療について検討した結果、高周波アブレーションのほうが2年時点の心房性頻脈性不整脈の発生率が低かったことが、カナダ・マックマスター大学のCarlos A. Morillo氏らによる無作為化試験の結果、示された。現行ガイドラインでは、発作性AFの第一選択治療は抗不整脈薬治療が推奨され再発減少に有効である一方で、高周波アブレーションは抗不整脈薬治療に失敗した場合の第二選択治療として推奨されている。しかしながら先行研究では、第一選択治療としての位置づけをさらに検討すべきであることを示唆する報告がなされていた。JAMA誌2014年2月19日号掲載の報告より。

大気汚染微粒子状物質の長期暴露による冠動脈疾患発生リスク増大への警鐘(コメンテーター:島田 俊夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(179)より-

 これまで大気汚染微粒子状物質(PM)の暴露による冠動脈疾患への影響に関しては、米国、英国などからすでに報告があり、大気中のPM2.5, coarse PM(2.5-10.0), PM10の一定増量分/m3が冠動脈疾患イベントを増大させる、させないと一見矛盾したものも散見される。世界中で大気汚染の問題は年々深刻さの度合いを増し、とくにアジアにおいては、経済発展に伴いPMの健康被害の問題は避けて通れない大きな社会問題となっている。本論文はBMJ2014年1月21日号に掲載された時流を反映した論文であり、私見を加えコメントする。

CHD死亡率、10年で約43%低下/BMJ

 英国・グラスゴー大学のJoel W Hotchkiss氏らは、2000~2010年のスコットランドにおける冠動脈性心疾患(CHD)死亡の傾向について分析した。その結果、同期間にCHD死亡は約半減(43%減)しており、背景要因として薬物療法の選択肢が増大したこと、その有益性をスコットランド国民保健サービス(NHS)が社会経済的階級を問わず公正に供給したことがあったと思われたことを報告した。一方で、血圧やその他リスク因子の低下による、かなりの寄与は、肥満や糖尿病の有害性で減弱していたことも判明した。著者は、「次の10年におけるCHD死亡減少と不公正性の解消を図るために、付加的な広域集団への介入を急がなければならない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。

心房細動アブレーションにおける新しいMRI指標:そのメリットとデメリット(コメンテーター:山下 武志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(173)より-

 心房線維化は心房細動の原因と考えられているばかりでなく、治療抵抗性の指標としても注目されている。あたかも「がんの浸潤」のように、心房線維化が広範に及ぶ例ではカテーテルアブレーションによる治癒率が低下すると予想することは容易である。これまで臨床的にその定量化が容易でないことが一つの課題であったが、本論文は遅延造影MRIにより心房線維化を定量化することにより、この予想が正しいことをあらためて明らかにした。

若いのに血圧が高い人は要注意!中年期の冠動脈石灰化の危険あり/JAMA

 青年期に血圧値が高値で推移した人ほど、中年期の冠動脈石灰化(CAC)リスクが大きいことを、米国・ノースウェスタン大学のNorrina B. Allen氏らが、CARDIA研究の参加者4,681例の前向き追跡データを分析し明らかにした。これまで、血圧の単回測定値とアテローム性動脈硬化進展との関連は示されていたが、血圧値の長期的推移が心血管疾患リスクに与える影響については、十分に解明されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「血圧値の長期推移は、各人の無症候性アテローム性動脈硬化をより正確に特徴づけるのに役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌2014年2月5日号掲載の報告。

カテーテルアブレーション後の再発リスクの予測精度を上げる方法/JAMA

 心房細動(AF)患者における遅延造影MRI上の心房組織の線維化は、カテーテルアブレーション施行後の不整脈再発リスクの独立の予測因子であることが、米国・ユタ大学のNassir F Marrouche氏らが行ったDECAAF試験で示された。AF患者では左心房線維症が高頻度にみられる。遅延造影MRIで同定された心房組織の線維症は、AFに対するカテーテルアブレーションの不良な転帰と関連することが示唆されている。JAMA誌2014年2月5日号掲載の報告。

心血管疾患リスク、妊娠第1期の発育が重要/BMJ

 妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、小児期の心血管リスクは低いことが、約1万2,000例の妊婦の胎児を対象にした前向きコホート試験の結果、明らかになった。オランダ・エラスムス大学医療センターのVincent W V Jaddoe氏らが報告した。出生時体重が小さいと、成人してからの心血管疾患リスクが増大することは知られていたが、胎児または乳児のどの時期が重要なのかは不明だった。今回の結果を踏まえて著者は、「胎児期早期が後年の心血管系の健康に関して重要な時期のようだ」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告。

急性心筋梗塞アウトカム、国家間で格差/Lancet

 急性心筋梗塞の治療およびアウトカムについて、英国とスウェーデンの国家間の違いを検証した結果、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行率や使用頻度の高い薬物の傾向、30日死亡率などに大きな格差があることが、英国・ロンドン大学のSheng-Chia Chung氏らによる検討で明らかにされた。これまで急性心筋梗塞について、医療システムが異なる国家間での比較という観点が欠落していたという。著者は、「このような国家間の比較研究は、医療システムの改善と死亡抑制に役立つと思われる」とコメントしている。Lancet誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告より。

破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(172)より-

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE(Immediate Management of Patients with Rupture: Open Versus Endovascular repair)試験研究グループが、30施設・613例の無作為化試験の結果から、破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、開腹手術と血管内修復術とでは30日死亡率低下およびコスト削減に有意差はないことを示した。