循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:332

治療抵抗性高血圧に対する効果の比較、腎除神経術vs擬似的手技/NEJM

 治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーション(腎除神経術)の降圧効果を、盲検下でプラセボ(擬似的手技:シャム)と比較した「SYMPLICITY HTN-3」試験の結果が、同研究グループの米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らにより発表された。6ヵ月時点の評価において、腎除神経術による有意な降圧は認められなかったという。先行研究の非盲検試験では、カテーテルベースの腎除神経術の降圧効果が示唆され、現在80ヵ国以上で臨床導入されている。しかし先行研究は、サンプルサイズが小さく、限定的な24時間血圧の評価で、盲検化不足、シャム対照の不足といった、試験結果の信頼性を損なう多くの点が散見されていた。本試験は、先行研究の方法論の問題を解消するようデザインされた、前向き単盲検無作為化シャム対照試験であった。NEJM誌オンライン版2014年3月29日号掲載の報告より。

結節性多発動脈炎の原因はアデノシンデアミナーゼ2の遺伝子変異である(コメンテーター:金子 開知 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(193)より-

 結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)は、1866年にKussmaulとMaierにより初めて詳細に報告された血管炎である。Chapel Hill Consensus Conference 2012では、PANは「中・小動脈の壊死性血管炎で、糸球体腎炎あるいは細小動脈・毛細血管・細小静脈の血管炎を伴わず、抗好中球細胞質抗体と関連のない疾患」と定義された稀な疾患であり、その病因は明らかではなかった。

破裂性腹部大動脈瘤による死亡率の低い病院の共通因子/Lancet

 英国・ロンドン大学のAlan Karthikesalingam氏らが、破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)からのアウトカムについて米国と英国を比較した結果、米国よりも英国のほうが院内生存率、介入率、血管内修復術実施率が低いことが明らかになった。また、両国とも死亡率が最も低かったのは、病床規模が大きな教育病院で、血管内修復術の施行率が高い病院だった。著者は「これらの共通要因は、rAAAの患者アウトカムの改善戦略を示唆するものである」と述べている。Lancet誌2014年3月15日号掲載の報告より。

薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(192)より-

 SORT OUT III試験は、2種類の異なる薬剤溶出性ステントを留置した患者の臨床転帰について評価することを目的に、デンマーク国内5ヵ所のインターベンションセンターで行われた。適格患者2,332例が無作為に2群に割り付けられ、ゾタロリムス溶出エンデバースプリントステント(米国メドトロニック社製)もしくはシロリムス溶出サイファーセレクトプラスステント(米国コーディス ジョンソン&ジョンソン社製)の留置を受けた。

初発の心血管疾患の予測にHbA1c値は寄与しない/JAMA

 従来の心血管リスク因子にHbA1c値の情報を加えても、初発の心血管疾患(CVD)リスク予測改善にはほとんど寄与しないことが判明した。英国・ケンブリッジ大学のJohn Danesh氏らEmerging Risk Factors Collaborationが、73件の前向き試験に参加したCVDまたは糖尿病歴のない被験者約30万人のデータを分析した結果、明らかになった。高血糖と高率のCVD発生との関連性から、初発のCVDイベント予測のためにその測定を推奨する動きがある。一方で、ACC/AHAが2013年に改訂した心血管リスク評価に関するガイドラインでは推奨がされていないなど、HbA1c値測定に対する評価は定まっていなかった。JAMA誌2014年3月26日号掲載の報告より。

高齢者の肺塞栓症除外には年齢補正Dダイマー値が有用/JAMA

 血漿Dダイマー値を用いた急性肺塞栓症(PE)患者の除外診断について、固定指標値500μg/Lをカットオフ値として用いるよりも、年齢補正Dダイマー値を用いたほうが有用であることが、スイス・ジュネーヴ大学病院のMarc Righini氏らによる多施設共同前向き試験ADJUSTの結果、示された。Dダイマー測定は、PEが臨床的に疑われる患者において重要な診断戦略として位置づけられている。しかし、高齢者の診断ではその有用性が限定的で、年齢補正の必要性が提言されていた。JAMA誌2014年3月19日号掲載の報告より。

急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

 ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2 Scoreを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。

薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet

 ゾタロリムス溶出ステントとシロリムス溶出ステントを直接比較した多施設共同オープン無作為化試験SORT OUT IIIの1年時点と5年時点の臨床転帰を検証した結果、1年時点ではシロリムスの優越性が有意であったが、5年時点ではシロリムスの優越性が失われていたことが判明した。薬剤溶出ステントの直接比較試験では、主要エンドポイントの評価は伝統的に9~12ヵ月時点で行われてきたが、この時期での評価が最適なのかについては不明なままであった。デンマーク・オーフス大学病院のMichael Maeng氏らによる報告で、Lancet誌オンライン版2014年3月13日号で発表された。

深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ

 WellsルールとDダイマー検査による深部静脈血栓症(DVT)除外診断は、性別やDダイマー検査の種別、プライマリ・ケアか入院時かなどを問わず、がん患者を除き有効であることが示された。ただしDVT再発が疑われる場合には、Wellsスコアに1ポイント加えるといった注意が必要となる。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのG J Geersing氏らが、13試験についてメタ解析を行った結果、報告した。これまでの試験結果から、患者全般についてWellsルールとDダイマー検査がDVT除外診断に有効であることは知られていたが、がん患者などのサブグループについての有効性については議論が分かれていた。BMJ誌オンライン版2014年3月10日号掲載の報告より。